説明

画像形成装置

【課題】スキャナ部をプリンタ部の筐体に取付けた状態で第2の外装カバーのみを取り外すことでメンテナンスを行うことができ、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】複写機は、プリンタ部が、画像形成手段を支持するシャーシ25と、シャーシ25の周囲に取付けられた筐体とを含んで構成され、筐体が、シャーシ25に取付けられた後外装カバー54と、後外装カバー54に隣接するようにして後外装カバー54と別体に設けられ、シャーシ25に着脱自在な右外装カバー55および左外装カバー56とを含んで構成され、後外装カバー54が、ヒンジ機構5A、5Bを収容してヒンジ機構5A、5Bを保持する袋形状部58、59を有し、袋形状部58、59は、後外装カバー54単体でヒンジ機構5A、5Bを介してスキャナ部を支持可能な強度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、例えば、プリンタ部の上部にヒンジ機構を介して開閉自在なスキャナ部が設けられた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複写機、ファクシミリ装置、またはデジタル複写機とファクシミリ装置とを組み合わせた複合機等の画像形成装置としては、記録紙に画像を形成するための画像形成手段を有するプリンタ部と原稿を読み取る画像読取手段を有するスキャナ部とが分割されてユニット化されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この画像形成装置では、スキャナ部は、原稿の画像を読み取るための読取作業の向上を図るために、通常、プリンタ部の上部に配置されている。
プリンタ部は、インクジェット方式を採用した場合に、インク吐出ヘッドやインクカートリッジ等の画像形成手段を備えており、スキャナ部によって読み取った画像を記録紙に記録するようになっている。
【0004】
この画像形成装置は、プリンタ部の記録紙の詰まり処理(ジャム処理)やインクカートリッジの交換等の作業を容易にするために、スキャナ部がヒンジ機構を介してプリンタ部に対して開閉可能に構成され、プリンタ部とスキャナ部とは、配線により電気的に接続されている。
【0005】
ところで、この種の画像形成装置では、メンテナンスをする際にプリンタ部の内部を調べる場合には、プリンタ部からスキャナ部を取り外すことがある。
【0006】
一般にプリンタ部は、画像形成手段を支持する支持体であるシャーシと、シャーシを取り囲むようにしてシャーシに取付けられた外装カバーとを備えているため、外装カバーをシャーシから取り外して画像形成手段を露出させる必要がある。
【0007】
ここで、スキャナ部に設けられたヒンジ機構は、ネジ等によってプリンタ部の外装カバーに固定されているため、スキャナ部をプリンタ部に着脱する作業は、非常に面倒である。
【0008】
スキャナ部をプリンタ部の外装カバーに容易に着脱できるものとしては、例えば、特許文献2に記載された画像読取装置が知られている。
【0009】
特許文献1に記載された画像読取装置は、プリンタ部の外装カバーの上部に原稿押圧板を組み立てる際に、原稿押圧板のヒンジ機構の縦軸部材を外装カバーに設けた支持部材に差し込み、原稿押圧板を外装カバーから取り外す際に、ヒンジ機構の縦軸部材を外装カバーの支持部材から抜き出すことで、原稿押圧板を筐体に対して容易に着脱できるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の画像読取装置を特許文献1に示す画像形成装置に適用した場合に、スキャナ部をプリンタ部に対して容易に着脱することができるが、プリンタ部からスキャナ部を取り外した後に、メンテナンスを行う必要がある。
したがって、画像形成装置のメンテナンス作業が面倒なものになってしまう。
【0011】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、スキャナ部をプリンタ部の筐体に取付けた状態で第2の外装カバーのみを取り外すことでメンテナンスを行うことができ、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像形成装置は、上記目的を達成するため、プリンタ部および前記プリンタ部に設けられ、記録紙に画像を形成する画像形成手段を有するプリンタ部と、前記プリンタ部の上部にヒンジ機構を介して開閉自在に設けられ、原稿の画像を読み取る画像読取手段を有するスキャナ部と備えた画像形成装置において、前記プリンタ部が、前記画像形成手段を支持する支持体と、前記支持体の周囲に取付けられた筐体とを含んで構成され、前記筐体が、前記支持体に取付けられた第1の外装カバーと、前記第1の外装カバーに隣接するようにして前記第1の外装カバーと別体に設けられ、前記支持体に着脱自在な少なくとも1つ以上の第2の外装カバーとを含んで構成され、前記第1の外装カバーが、前記ヒンジ機構を収容して前記ヒンジ機構を保持する保持部を有し、前記保持部は、前記第1の外装カバー単体で前記ヒンジ機構を介して前記スキャナ部を支持可能な強度を有するものから構成されている。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、スキャナ部をプリンタ部の筐体に取付けた状態で第2の外装カバーのみを取り外すことでメンテナンスを行うことができ、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、複写機の正面側の概略構成図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、画像形成装置の背面側の概略斜視図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、スキャナ部とプリンタ部との分解図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、画像形成手段の概略構成図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、ADFの概略構成図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、ヒンジ機構の斜視図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、シャーシおよび後外装カバーとヒンジ機構との分解図である。
【図8】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、シャーシ、後外装カバー、左右外装カバーおよびヒンジ機構の分解図である。
【図9】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、後外装カバーおよびヒンジ機構の分解図である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、左外装カバー、後外装カバーおよびヒンジ機構の要部分解図である。
【図11】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、左外装カバー、後外装カバーおよびヒンジ機構の要部構成図である。
【図12】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、ヒンジ機構が取付けられた後外装カバーと左外装カバーとの分解図である。
【図13】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、スキャナ部を開放したときにプリンタ部に加わる力を示す図である。
【図14】本発明に係る画像形成装置の第2の実施の形態を示す図であり、左外装カバー、後外装カバーおよびヒンジ機構の要部分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図13は、本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、画像形成装置としてインクジェット式の複写機に適用した例を示している。なお、画像形成装置としては、デジタル複写機、ファクシミリ装置、またはデジタル複写機とファクシミリ装置とを組み合わせた複合機等に適用してもよい。
【0016】
図1〜図3において、複写機1は、プリンタ部2と、プリンタ部2の上部に設けられたスキャナ部3とを備えている。また、スキャナ部3は、自動原稿搬送装置(以下、単にADFという)4を備えており、スキャナ部3は、ヒンジ機構5A、5Bを介してプリンタ部2に開閉自在に設けられている。
【0017】
図4において、スキャナ部3の上面にはコンタクトガラス6が設けられている。コンタクトガラス6の下方には露光ランプ7とミラー8、レンズ9およびCCD10等が設けられている。
【0018】
露光ランプ7およびミラー8は、コンタクトガラス6に載置された原稿を読み取る際には、コンタクトガラス6の下方で図4中、左右方向に移動し、また、ADF4から搬送された原稿を読み取る際には、コンタクトガラス6の左下方で停止し、露光ランプ7によって原稿面を照射した後、反射光をミラー8およびレンズ9を介してCCD10等の結像素子に結像する。本実施の形態では、露光ランプ7、ミラー8、レンズ9およびCCD10が画像読取手段24を構成している。
【0019】
ADF4は、原稿Oを載置可能な原稿載置台11を備えており、原稿載置台11に載置された原稿束Oは、この原稿束Oに当接・離隔可能な呼出しコロ12によって給紙された後、分離ベルト13および分離阻止コロ14によって分離される。
分離ベルト13および分離阻止コロ14によって分離された原稿は、第1搬送コロ15および従動コロ16によって反転経路17に沿って反転されてコンタクトガラス6上の原稿読取位置に向かって搬送される。
【0020】
原稿読取位置を通過した原稿は、排紙経路18内を第2搬送コロ19および従動コロ20に挟持されて搬送された後、排紙コロ21および従動コロ22に挟持され、原稿排紙トレイ23上に排紙される。
【0021】
プリンタ部2は、図5に示す左右の側板(図7参照)25a、25bに両端部が固定されたガイド部材26を備えており、このガイド部材26にはキャリッジ27が主走査方向に移動自在に支持されている。
【0022】
このキャリッジ27は、主走査モータ28によって駆動プーリ29と従動プーリ30との間に巻き付けられたタイミングベルト37を介して主走査方向に移動走査されるようになっている。
【0023】
このキャリッジ27には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液滴を吐出するインク吐出ヘッドおよびこのインク吐出ヘッドにインクを供給するヘッドタンクを含む複数の記録ヘッドユニット31が設けられている。
【0024】
この記録ヘッドユニット31は、複数のノズルからなるノズル列が主走査方向と直交する副走査方向に配列されており、滴吐出方向を下方に向けてキャリッジ27に装着されている。
【0025】
ここで、記録ヘッドユニット31は、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等を、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたもの等が使用される。
【0026】
この記録ヘッドユニット31は、図示しないドライバICが搭載されており、制御基板43にハーネス42を介して電気的に接続されている。また、記録ヘッドユニット31には図示しないインクカートリッジからインクが供給される。
【0027】
これらの複数の記録ヘッドユニット31は、図示しないヘッドホルダに保持されることでユニット化されてキャリッジ27に搭載されている。
【0028】
また、キャリッジ27の主走査方向に沿ってエンコーダスケール32が配置されており、キャリッジ27側にはエンコーダスケール32の目盛りを読み取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ33が取付けられている。
【0029】
これらのエンコーダスケール32とエンコーダセンサ33とによって位置検出装置としてのリニアエンコーダが構成されている。
【0030】
一方、キャリッジ27の下側には、図示しない記録媒体を副走査方向に搬送する無端状の搬送ベルト34が配置されている。この搬送ベルト34は、搬送ローラ35とテンションローラ36との間に掛け渡されており、副走査モータ28によってタイミングベルト37およびタイミングプーリ38を介して搬送ローラ35が回転駆動されることによって副走査方向に周回移動される。
【0031】
さらに、キャリッジ27の主走査方向の一方側には搬送ベルト34の側方に記録ヘッドユニット31の維持回復を行う維持回復機構40が配置されており、維持回復機構40は、例えば、記録ヘッドユニット31のノズル面をキャッピングするキャップ部材、ノズル面を払拭するワイパ部材、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出受け等を含んで構成されている。
【0032】
このプリンタ部2は、外部機器からの印刷データが入力された場合または、スキャナ部3によって原稿を読み取ったデータが入力された場合に、給紙された記録紙を搬送ベルト34で間歇的に搬送し、キャリッジ27を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッドユニット31を駆動することにより、停止している記録紙に液滴を吐出して1行分を記録し、記録紙を所定量搬送後、次の行の記録を行う動作を繰り返して記録紙上に画像を形成し、画像形成後の記録紙を装置正面側の排紙トレイ41に排紙する。
【0033】
本実施の形態では、ガイド部材26、キャリッジ27、主走査モータ28、駆動プーリ29、従動プーリ30、記録ヘッドユニット31、エンコーダスケール32、エンコーダセンサ33、搬送ベルト34、搬送ローラ35、テンションローラ36、タイミングベルト37、タイミングプーリ38、維持回復機構40、排紙トレイ41、ハーネス42および制御基板43が画像形成手段44を構成している。
【0034】
図6に示すように、ヒンジ機構5A、5Bは、揺動ブラケット51と、支持ブラケット52とを備えている。揺動ブラケット51は、スキャナ部3のスキャナ本体3aに取付けられており、揺動軸51aを介して支持ブラケット52に揺動自在に取付けられている。また、揺動ブラケット51は、プリンタ部2に取付けられている。
【0035】
すなわち、ヒンジ機構5A、5Bは、スキャナ部3が開閉自在にとなるようにスキャナ部3をプリンタ部2に連結されている。なお、スキャナ部3を開閉自在にプリンタ部2に連結するとは、コンタクトガラス6が露出する位置とコンタクトガラス6が閉塞される位置との間でスキャナ部3をプリンタ部2に対して回動させることである。
【0036】
このヒンジ機構5A、5Bは、スキャナ部3がプリンタ部2に対して所定の回動位置に回動したときにスキャナ部3をその回動位置に維持できる公知の機構である。
【0037】
図7に示すように、プリンタ部2は、支持体としてのシャーシ25を備えており、このシャーシ25の側板25a、25bにガイド部材26の両端部が支持される等して画像形成手段44がシャーシ25に支持されている。
【0038】
図8、図9に示すように、シャーシ25の周囲には、後外装カバー54、右外装カバー55および左外装カバー56が着脱自在に設けられており、これら後外装カバー54、右外装カバー55および左外装カバー56は、別体に設けられている。
【0039】
本実施の形態では、後外装カバー54、右外装カバー55および左外装カバー56が筐体を構成し、後外装カバー54が第1の外装カバーを構成し、右外装カバー55および左外装カバー56が後外装カバー54に隣接する第2の外装カバーを構成している。また、右外装カバー55および左外装カバー56の上端にはシャーシ25に向かって折り曲げられた折り曲げ部55a、56aが形成されており、この折り曲げ部55a、56aによってプリンタ部2の上方の一部分が閉塞される。
【0040】
図7〜図10に示すように、後外装カバー54の上部背面には保持部を構成する有底の袋形状部58、59が設けられており、この袋形状部58、59は、後外装カバー54の上部背面に後外装カバー54の幅方向に離隔して設けられている。
【0041】
この袋形状部58、59にはヒンジ機構5A、5Bの支持ブラケット52が差し込まれるようになっており、ヒンジ機構5A、5Bを後外装カバー54に保持するようになっている。したがって、スキャナ部3は、ヒンジ機構5A、5Bを介してプリンタ部2に開閉自在に支持される。
【0042】
この袋形状部58、59の外周部は、複数のリブ58a、58b、59a、59bによって補強されて剛性が高くなっており、袋形状部58、59は、後外装カバー54単体でヒンジ機構5A、5Bを介してスキャナ部3を支持可能な強度に形成されている。
【0043】
リブ58a、59aは、袋形状部58、59の外周部に横方向(幅方向)に延在して複数形成されており、リブ58b、59bは、袋形状部58、59の外周部に縦方向に延在して複数形成されている。
【0044】
なお、袋形状部58、59の強度を高めるために、袋形状部58、59を金属プレートによって補強したり、袋形状部58、59の表面を凹凸形状に形成してもよい。また、袋形状部58、59の肉厚を厚くするようにしてもよい。要は、袋形状部58、59は、後外装カバー54単体でヒンジ機構5A、5Bを介してスキャナ部3を支持可能な強度に形成されていればよい。
【0045】
図7〜図10に示すように、後外装カバー54の上部には補強部としての補強片60が設けられており、この補強片60は、袋形状部58、59の間に位置して後外装カバー54から略垂直方向に突出して幅方向両端部が袋形状部58、59に連続している。
【0046】
また、図9、図10に示すように、左外装カバー56の端部上部には上下方向に延在するガイドリブ61が形成されており、このガイドリブ61は、左外装カバー56がシャーシ25に取付けられた状態で、スキャナ部3の開閉方向で袋形状部58に接触するようになっている。
【0047】
また、図9に示すように、右外装カバー55の端部上部には上下方向に延在するガイドリブ62が形成されており、このガイドリブ62は、右外装カバー55がシャーシ25に取付けられた状態で、スキャナ部3の開閉方向で袋形状部59に接触するようになっている。なお、詳細は図示しないが、ガイドリブ62は、ガイドリブ61と同一形状となっており、ガイドリブ61、62は、後外装カバー54の幅方向の同一面内に位置している。
【0048】
図9に示すように、左外装カバー56にはネジ穴63a、63b、63cが形成されている。ネジ穴63a、63bは、左外装カバー56の下方に形成されており、このネジ穴63a、63bにはネジ65が挿通されるようになっている。
【0049】
シャーシ25には、ネジ溝25c(図7参照に一部のネジ溝25cを示す)が形成されており、左外装カバー56の下部は、ネジ穴63a、63bを通してシャーシ25にネジ65が取付けられることにより、シャーシ25に固定される。
【0050】
また、ヒンジ機構5Aの支持ブラケット52の下部には突出片52aが形成されており、この突出片52aにはネジ止め部としてのネジ溝52bが形成されている。また、図8、図10に示すように、袋形状部58の下部には開口部58cが形成されており、この開口部58aを通してネジ溝52bが露出する。
【0051】
したがって、左外装カバー56の上部端部は、ネジ穴63cを通してネジ溝52bにネジ65がネジ止めされることにより、ヒンジ機構5Aに固定される。また、ヒンジ機構5Aは、シャーシ25にネジ65によって固定された左外装カバー56にネジ止めされることにより、袋形状部58から抜け出ることが防止される。
【0052】
また、右外装カバー55にはネジ穴64a、64b、64cが形成されている。ネジ穴64a、64bは、左外装カバー56の下方に形成されており、このネジ穴64a、64bにはネジ66が挿通されるようになっている。
【0053】
シャーシ25には、ネジ溝が形成されており、右外装カバー55の下部は、ネジ穴64a、64bを通してシャーシ25にネジ66が取付けられることにより、シャーシ25に固定される。
【0054】
また、ヒンジ機構5Bの支持ブラケット52の下部には突出片52aが形成されており、この突出片52aにはネジ止め部としてのネジ溝52bが形成されている。また、袋形状部59の下部にも図示しない開口部が形成されており、この開口部を通してネジ溝52bが露出している。
【0055】
したがって、右外装カバー55の上部端部は、ネジ穴64cを通してネジ溝52bにネジ66がネジ止めされることにより、ヒンジ機構5Bに固定される。また、ヒンジ機構5Bは、シャーシ25にネジ66によって固定された右外装カバー55にネジ止めされることにより、袋形状部59から抜け出ることが防止される。なお、ネジ穴63c、64cは、ヒンジ機構5A、5Bのネジ止め部を構成している。
【0056】
すなわち、本実施の形態では、右外装カバー55および左外装カバー56の上部端部をネジ65、66によってヒンジ機構5A、5Bに固定することで右外装カバー55および左外装カバー56をヒンジ機構5A、5Bを介してシャーシ25に固定することができるとともに、ヒンジ機構5A、5Bが後外装カバー54から抜け出るのを防止する抜け止め機能を付与することができる。
【0057】
図7、図9、図10に示すように、袋形状部58の外周部には逃げ部58dが形成されており、この逃げ部58dは、記録ヘッドユニット31が図5中、左端に移動したときハーネス42の移動を許容するための逃げ部として機能する。
【0058】
本実施の形態では、プリンタ部2の記録紙のジャム処理やインクカートリッジの交換等の作業を行う場合には、スキャナ部3をヒンジ機構5A、5Bを介してプリンタ部2に対して開放する。このため、プリンタ部2にアクセスすることができ、ジャム処理やインクカートリッジの交換等を容易に行うことができる。
【0059】
一方、複写機1の故障が起こり、カスタマーサービス従事者が、例えば、プリンタ部2の内部を調べる場合には、スキャナ部3をヒンジ機構5A、5Bを介してプリンタ部2に対して開放する。
【0060】
次いで、右外装カバー55および左外装カバー56からネジ65、66を取り外してシャーシ25から右外装カバー55および左外装カバー56を独立して取り外す。このため、プリンタ部2が露出されてプリンタ部2に設けられた画像形成手段44を構成する記録ヘッドユニット31、維持回復機構40、制御基板43等のメンテナンスを行うことができる。
ここで、後外装カバー54は、シャーシ25に取付けられた状態となっており、後外装カバー54にはプリンタ部2が傾斜した状態で取付けられている。
【0061】
本実施の形態では、袋形状部58、59の外周部が複数のリブ58a、58b、59a、59bによって補強されて剛性が高くなっており、後外装カバー54単体でヒンジ機構5A、5Bを介してスキャナ部3を支持可能な強度に形成されている。
【0062】
このため、後外装カバー54に取付けた状態で、右外装カバー55および左外装カバー56をシャーシ25から取り外すことができ、プリンタ部2を後外装カバー54に取付けた状態でプリンタ部2のメンテナンスを行うことができる。
この結果、複写機1のメンテナンスを容易に行うことができ、複写機1のメンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【0063】
また、スキャナ部3を後外装カバー54に取付けた状態でプリンタ部2を駆動させることができるため、従来のようにスキャナ部3を別スペースに置くのを不要にして、メンテナンスのためのスペースを少なくすることができる。
【0064】
また、スキャナ部3を後外装カバー54に取付けた状態でプリンタ部2を駆動させることができるため、スキャナ部3とプリンタ部2とを電気的に接続するための配線を再度行うのを不要にでき、余分な配線処理を無くすことができる。
【0065】
特に、本実施の形態のスキャナ部3はADF4を有するので、スキャナ部3およびADF4を後外装カバー54に取付けた状態で複写機1のメンテナンスを行うことができ、複写機1のメンテナンス作業の作業性をより一層向上させることができる。
【0066】
また、本実施の形態では、袋形状部58、59が後外装カバー54の幅方向両端の上部に一対設けられており、後外装カバー54の上部に、袋形状部58、59の間に位置し、後外装カバー54から略垂直方向に突出する補強片60を有するので、スキャナ部3が開放されたときに袋形状部58、59の間の後外装カバー54が前後方向に捩じれるのを防止することができ、スキャナ部3をヒンジ機構5A、5Bを介して正しい姿勢でプリンタ本体53に保持することができる。
【0067】
また、本実施の形態では、袋形状部58、59にヒンジ機構5A、5Bの支持ブラケット52を差し込むことにより、スキャナ部3をプリンタ部2に装着することができるため、スキャナ部3の組み付け作業を容易に行うことができる。
【0068】
一方、図13に示すように、スキャナ部3が所定角度、例えば、45°だけ開放した状態では、スキャナ部3の重量によりスキャナ部3に複写機1の前方に向かうモーメントMが発生する。
【0069】
このため、ヒンジ機構5A、5Bは、複写機1の前方に倒れ込むような力Fが加わる。本実施の形態では、右外装カバー55および左外装カバー56の端部上部には上下方向に延在するガイドリブ61、62が形成され、ガイドリブ61、62は、右外装カバー55および左外装カバー56がシャーシ25に取付けられた状態で、スキャナ部3の開閉方向で袋形状部58、59に接触するようになっている。
【0070】
このため、ガイドリブ61、62によって袋形状部58、59を支持することができ、ヒンジ機構5A、5Bが複写機1の前方に倒れ込むのを防止して、スキャナ部3をヒンジ機構5A、5Bを介してプリンタ本体53に安定して支持することができる。
【0071】
(第2の実施の形態)
図14は、本発明に係る画像形成装置の第2の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同一の構成には同一番号を付して説明を省略する。
【0072】
本実施の形態では、ヒンジ機構5A、5Bの突出片52aおよびネジ溝52bを廃止し、ヒンジ機構5A、5Bの支持ブラケット52の上部に第1の突出部としての突出片52cを設けたものから構成されている。
【0073】
また、右外装カバー55および左外装カバー56の上端には形成された折り曲げ部55a、56aが、第2の突出部を構成しており、右外装カバー55および左外装カバー56がシャーシ25に取付けられた状態で折り曲げ部55a、56aが突出片52cの上部に位置している。
【0074】
このため、本実施の形態では、右外装カバー55および左外装カバー56がシャーシ25に取付けられた状態で、ヒンジ機構5A、5Bから袋形状部58、59から抜け出ようとしても突出片52cを折り曲げ部55a、56aに接触させることでヒンジ機構5A、5Bの抜け止めを図ることができ、突出片52cが突出片52aおよびネジ溝52bと同様の機能を果たすことができる。
なお、ヒンジ機構5A、5Bに突出片52cおよびネジ溝52bを設けてもよい。このようにすれば、ヒンジ機構5A、5Bを袋形状部58、59により確実に保持してヒンジ機構5A、5Bが袋形状部58、59から抜け出るのをより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 複写機(画像形成装置)
2 プリンタ部
3 スキャナ部
4 ADF(自動原稿搬送装置)
5A、5B ヒンジ機構
24 画像読取手段
25 シャーシ(支持体)
43 制御基板
44 画像形成手段
52b ネジ溝(ヒンジ機構のネジ止め部)
52c 突出片(第1の突出部)
53 プリンタ本体
54 後外装カバー(第1の外装カバー、筐体)
55 右外装カバー(第2の外装カバー、筐体)
56 左外装カバー(第2の外装カバー、筐体)
58、59 袋形状部(保持部)
58a、58b、59a、59b リブ
60 補強片(補強部)
61、62 ガイドリブ
63c、64c ネジ穴(第2の外装カバーのネジ止め部)
65、66 ネジ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2009−222887号公報
【特許文献2】特開2003−330130号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタ部および前記プリンタ部に設けられ、記録紙に画像を形成する画像形成手段を有するプリンタ部と、前記プリンタ部の上部にヒンジ機構を介して開閉自在に設けられ、原稿の画像を読み取る画像読取手段を有するスキャナ部と備えた画像形成装置において、
前記プリンタ部が、前記画像形成手段を支持する支持体と、前記支持体の周囲に取付けられた筐体とを含んで構成され、前記筐体が、前記支持体に取付けられた第1の外装カバーと、前記第1の外装カバーに隣接するようにして前記第1の外装カバーと別体に設けられ、前記支持体に着脱自在な少なくとも1つ以上の第2の外装カバーとを含んで構成され、
前記第1の外装カバーが、前記ヒンジ機構を収容して前記ヒンジ機構を保持する保持部を有し、前記保持部は、前記第1の外装カバー単体で前記ヒンジ機構を介して前記スキャナ部を支持可能な強度を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記保持部は、前記ヒンジ機構が差し込まれる有底の袋形状部からなることを特徴する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の外装カバーは、前記支持体に取付けられた状態で、前記スキャナ部の開閉方向で前記保持部に接触するガイドリブを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ヒンジ機構がネジ止め部を有し、前記ヒンジ機構がネジによって前記保持部にネジ止めされることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2の外装カバーのネジ止め部および前記ヒンジ機構のネジ止め部がネジによって前記保持部にネジ止めされることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ヒンジ機構に第1の突出部が形成され、前記第2のカバーに、前記第1の突出部に接触する第2の突出部が形成され、前記第1の外装カバーが前記第2の外装カバーに取付けられた状態で、前記第2の突出部が前記第1の突出部の上方に位置することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記保持部が、前記第1の外装カバーの幅方向両端の上部に一対設けられており、前記第1の外装カバーの上部に、前記一対の保持部の間に位置し、前記第1の外装カバーの上部を補強する補強部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記スキャナ部が、前記画像読取手段の画像読取位置に原稿を自動搬送する自動原稿搬送装置を含んで構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−113991(P2013−113991A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259276(P2011−259276)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】