説明

画像形成装置

【課題】 簡易且つ安価な構成で、装置本体フレームに無端ベルトを高精度に位置決め可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 中間転写ベルト10を張架する複数の張架部材と、該中間転写ベルト10の幅方向両側で張架部材を支持すると共に、ドラム保持部材44に対して移動可能に設けられたサイドフレーム41a,41bと、該ドラム保持部材44に設けられ、張架部材を位置決めする位置決め部とを有して構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式或いは静電記録方式の画像形成装置であって、像担持体上に形成したトナー画像を無端ベルトに静電的に吸着された記録材に転写する静電搬送ベルト方式の画像形成装置に関する。あるいは、像担持体上に形成したトナー画像を無端ベルト上に転写した後に記録材に転写する中間転写ベルト方式等、無端ベルトを用いた複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やレーザープリンタなどのカラー画像形成装置として、中間転写体を有する構成が知られている。中間転写体を有する画像形成装置は、一次転写工程により像担持体である感光ドラム上のトナー画像を中間転写体上で重ね合わせ、二次転写工程により記録材上に一括転写してカラー画像を形成するものである。
【0003】
中間転写体の多くには、無端ベルトが用いられており、無端ベルトの走行を安定させ、高画質な画像を形成するためには、中間転写体を精度良く画像形成装置に位置決めする必要があった。静電搬送ベルト方式においても同様である。
【0004】
特許文献1では、ベルトフレームを3体構成とし、中間のフレーム剛性を低下させることで、装置本体フレームに倣うよう構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−195724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、無端ベルト面に対して垂直方向の位置決めを精度良く行うことを目的としており、無端ベルト搬送方向のローラアライメントを保証することはできない。また、ベルトフレームを3体構成とすることで、左右のフレームの相対位置に誤差が生じてしまう。よって、装置本体フレームに対して転写ユニット自体が傾いて取り付く可能性があった。
【0007】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、簡易且つ安価な構成で、装置本体フレームに無端ベルトを高精度に位置決め可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、無端ベルトと、前記無端ベルトを張架する複数の張架部材と、前記無端ベルトの幅方向両側で前記張架部材を支持すると共に、装置本体フレームに対して移動可能に設けられた支持部材と、前記装置本体フレームに設けられ、前記張架部材を位置決めする位置決め部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、無端ベルトを装置本体フレームに対して高精度に位置決めできる。これにより、無端ベルトの搬送性能を安定化でき、無端ベルトの幅方向の寄りや乗り上げ等の問題を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の構成を説明する断面説明図である。
【図2】第1実施形態の無端ベルト、張架部材、支持部材からなるベルトユニットの構成を説明する斜視説明図である。
【図3】第1実施形態の装置本体フレームとベルトユニットとの取付構造を説明する側面説明図である。
【図4】第1実施形態の張架部材としての駆動ローラの軸受部の構成を説明する断面説明図である。
【図5】第1実施形態の張架部材としてのテンションローラの軸受部の構成を説明する断面説明図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置の第2実施形態の構成を説明する断面説明図である。
【図7】第2実施形態の無端ベルト、張架部材、支持部材からなるベルトユニットの構成を説明する斜視説明図である。
【図8】第2実施形態の装置本体フレームとベルトユニットとの取付構造を説明する側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図により本発明に係る画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。
【実施例1】
【0012】
先ず、図1〜図5を用いて本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。
【0013】
<画像形成装置の全体構成>
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、像担持体となる感光ドラム1上に形成したトナー画像を無端ベルトとなる中間転写ベルト10上に転写した後に記録材6に転写する中間転写ベルト方式のカラー画像形成装置である。
【0014】
画像形成装置100は、ドラム状の感光ドラム1を備え、この感光ドラム1は図1の矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
【0015】
感光ドラム1は、この回転過程で、帯電手段となる帯電ローラ2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで、像露光手段となる露光装置3により像露光を受ける。これにより、目的のカラー画像のイエロー色成分像に対応した静電潜像が形成される。次いで、その静電潜像は現像位置において現像手段となる第1の現像装置4により現像され、トナー画像として可視化される。
【0016】
中間転写ベルト10は、張架部材となる駆動ローラ11、テンションローラ12、補助ローラ18により張架され、感光ドラム1に対向する位置で該感光ドラム1と同方向に移動する向きで、且つ該感光ドラム1と略同一の周速度で回転駆動される。
【0017】
感光ドラム1上に形成されたトナー画像は、感光ドラム1と中間転写ベルト10との当接部(以下、「一次転写ニップ部」という)を通過する。その過程で、転写手段となる一次転写ローラ14に印加した一次転写電圧によって、中間転写ベルト10の上に転写される(一次転写)。感光ドラム1表面に残留した一次転写残トナーは、クリーニング装置5により清掃、除去される。
【0018】
以下、同様にして、第2色のトナー画像、第3色のトナー画像、第4色のトナー画像が形成され、中間転写ベルト10上に順次重ねて転写されて、目的のカラー画像に対応した合成カラー画像が得られる。
【0019】
中間転写ベルト10上(無端ベルト上)の4色のトナー画像は、中間転写ベルト10と、駆動ローラ11に対向して該中間転写ベルト10を介在して配置された転写手段となる二次転写ローラ20との間の二次転写ニップ部を通過する。その過程で、二次転写電源により二次転写ローラ20に印加した二次転写電圧によって、給送装置50により該中間転写ベルト10と二次転写ローラ20との間の二次転写ニップ部に搬送された記録材6の表面に一括転写される(二次転写)。
【0020】
その後、4色のトナー画像を担持した記録材6は定着装置30に導入され、そこで加熱及び加圧されることにより4色のトナーが溶融混色して記録材6に固定される。以上の動作により、フルカラーのプリント画像が形成される。
【0021】
また、中間転写ベルト10の表面に残留した二次転写残トナーは、転写ベルトクリーニング装置16により清掃・除去される。
【0022】
<装置本体フレームと支持部材の構成>
次に、本実施形態の画像形成装置の装置本体フレームの構成について説明する。
【0023】
装置本体フレームは、画像形成装置100本体を支持すると共に、各ユニットを位置決めする。装置本体フレームは主に、底板42、天板43、該底板42と天板43とを締結する図示しない側板を有して構成される。底板42上には、図3に示すように、ベルトユニットとしての転写ユニット25の両側に配設された装置本体フレームとなるドラム保持部材44が設けられている。
【0024】
ドラム保持部材44には、複数の張架部材となる駆動ローラ11、テンションローラ12を位置決めする位置決め部としての上方の一部か開放された半円形状の溝部44b及び上方の一部が開放された長穴44cが形成されている。溝部44bには張架部材としての駆動ローラ11の支軸となる軸受部11aが嵌入される。長穴44cには張架部材としてのテンションローラ12の支軸となる軸受部12aが嵌入される。これにより、張架部材となる駆動ローラ11及びテンションローラ12が装置本体フレームとなるドラム保持部材44に対して位置決めされる。
【0025】
図2に示すように、中間転写ベルト10の幅方向両側には、張架部材となる駆動ローラ11、テンションローラ12、補助ローラ18を支持する支持部材となるサイドフレーム41a,41bが設けられている。サイドフレーム41a,41bは、装置本体フレームとなるドラム保持部材44に対して移動可能に設けられている。
【0026】
露光装置3は、天板43上に取り付けられて位置決めされる。
【0027】
図3に示すドラム保持部材44は、左右の2個を1対として装置本体フレームを構成する。ドラム保持部材44は、同形状の部品で構成されている。同じ型で成型することで、左右の相対差を低減することができる。感光ドラム1が設けられる感光ドラムユニットは、ドラム保持部材44のドラム保持部44aに位置決めされる。
【0028】
ドラム保持部材44には、張架部材としての駆動ローラ11の支軸となる軸受部11aが嵌入される半円状の溝部44bからなる位置決め部が形成されている。更に、張架部材としてのテンションローラ12の支軸となる軸受部12aが嵌入される長穴44cからなる位置決め部が形成されている。これらの位置決め部となる溝部44b及び長穴44cにより転写ユニット25が位置決めされる。
【0029】
これにより、感光ドラムユニットと転写ユニット25とを、1つの部品からなるドラム保持部材44で位置決めすることができるようになっている。これにより、感光ドラムユニットと転写ユニット25とを高精度に位置決めできる。
【0030】
<転写ユニットの構成>
図2を用いて、本実施形態の転写ユニット25の構成について説明する。
【0031】
中間転写ベルト10は、図1に示すように、該中間転写ベルト10を駆動する駆動ローラ11、テンションローラ12、及び二次転写ニップ部の近傍に配置される補助ローラ18によって張架される。テンションローラ12はテンションバネ12bのバネ力によって中間転写ベルト10に張力を付与する。各張架部材の支軸は、支持部材であるサイドフレーム41a,41bに対して各軸受部を介して回転可能に軸支されている。
【0032】
図2及び図4に示すように、駆動ローラ11は、その回転軸11b上に固定されたギア45が装置本体側に設けられた図示しない駆動ギアに噛合されて駆動伝達され、中間転写ベルト10を回転駆動する。図4は、駆動ローラ11と、支持部材となるサイドフレーム41aとの接合を示す部分断面図である。
【0033】
図4に示すように、駆動ローラ11の回転軸11bを回転自在に軸支する支軸となる軸受部11aがスナップフィットによりサイドフレーム41aに取り付けられている。駆動ローラ11の回転軸11bの先端部は小径部11b1で構成されており、該小径部11b1を軸受部11a内に挿入して回転自在に係合させ、小径部11b1の先端外周部に設けられた溝部11b2に止め輪60を係止して固定する。尚、駆動ローラ11の反対側のサイドフレーム41bへの取り付けも同様に構成されている。
【0034】
これにより、支持部材となる左右のサイドフレーム41a,41bの間隔が保持できる。サイドフレーム41a,41bは駆動ローラ11の回転軸11bを中心に回動可能に構成される。更に、係合ガタの範囲内で、中間転写ベルト10の搬送方向における前後方向、中間転写ベルト10のベルト面に対して垂直方向である上下方向に位置自由度を持って、装置本体フレームに対して移動可能に設けられている。
【0035】
左右のサイドフレーム41a,41bは、相対的に前後方向及び上下方向に各々0.1mm〜1.0mm程度、移動可能に構成することが好ましい。これにより、転写ユニット25が柔構造のフレームとして構成される。
【0036】
サイドフレーム41a,41bは、ポリカーボネイト等の高剛性材料で成型することが望ましい。駆動ローラ11とは別に左右のサイドフレーム41a,41bを締結する締結部材を設けても良いが、左右のサイドフレーム41a,41bが相対的に移動可能となるように締結部材により低剛性に締結することが望ましい。
【0037】
図5に示すように、テンションローラ12は、サイドフレーム41a,41bに設けられた長穴41cに対して、テンションローラ12の回転軸12cを回転自在に軸支する軸受部12aが該長穴41cに沿って移動自在に嵌合される。そして、該長穴41cに沿って中間転写ベルト10の搬送方向における前後方向に移動可能に保持されている。
【0038】
図5に示すように、サイドフレーム41の長穴41cを構成する凸部41dと、テンションローラ12の軸受部12aの外周面に設けられた凹部12a1とが係合し、軸受部12aが長穴41cに沿ってスライド可能に構成されている。テンションローラ12の軸受部12aにはテンションバネ12bが備えられており、該テンションバネ12bの押圧力によりテンションローラ12を押圧して中間転写ベルト10に張力を付与するよう付勢されている。
【0039】
図2に示すように、一次転写ローラ14はサイドフレーム41a,41bに軸受部14a,14bを介して保持されている。軸受部14a,14bには凸部14dが形成され、サイドフレーム41a,41bに設けられた凹部41eと係合して各々図2の上下方向にスライド可能に保持されている。一次転写ローラ14は中間転写ベルト10の搬送方向における前後方向、及び中間転写ベルト10の幅方向(図2の左右方向)はサイドフレーム41a,41bに対して位置が拘束されている。
【0040】
図1及び図2に示すように、一次転写ローラ14の軸受部14a,14bの下方には、一次転写バネ14cが配置されており、該一次転写バネ14cの押圧力により一次転写ローラ14が中間転写ベルト10を介在して感光ドラム1に対して付勢される。
【0041】
一次転写バネ14cは、駆動ローラ11とサイドフレーム41a,41bとの係合部となる軸受部11aと、テンションローラ12とサイドフレーム41a,41bとの係合部となる軸受部12aとを結ぶ直線上(図2のA−A線上)に配置されている。これによって、サイドフレーム41a,41bのそれぞれに捩れモーメントが発生しないように構成されている。以上のように、柔構造の転写ユニット25を構成することができる。
【0042】
<装置本体フレームと転写ユニットとの取付構造>
転写ユニット25は、画像形成装置100本体に対して脱着可能に構成されている。
【0043】
図2及び図4に示すように、転写ユニット25の張架軸である駆動ローラ11の軸受部11aは、サイドフレーム41a,41bを貫通して突出している。図3に示すように、転写ユニット25は、駆動ローラ11の支軸となる軸受部11aが、ドラム保持部材44の位置決め部となる上方の一部が開放された半円形状の溝部44b内に嵌入されて係合することで位置決めされる。
【0044】
図3に示す押圧部材47は、駆動ローラ11の軸受部11aの外周面上部をドラム保持部材44の位置決め部となる溝部44b側に捩じりコイルバネ47aの押圧力により押圧している。
【0045】
押圧部材47は回動軸7を中心に回動自在に設けられている。そして、該回動軸7に嵌合された捩じりコイルバネ47aの一端部47a1が押圧部材47に設けられた係止部47bに係止される。そして、該捩じりコイルバネ47aの他端部47a2がドラム保持部材44に設けられた図示しない係止部に係止されている。
【0046】
また、図3に示すように、テンションローラ12の支軸となる軸受部12aをドラム保持部材44の上方の一部が開放された略U字形状の長穴44c内に嵌入して係合する。テンションローラ12はドラム保持部材44の長穴44cに沿って軸受部12aが移動することで、ドラム保持部材44の長尺方向となる水平方向にスライド可能である。
【0047】
転写ユニット25は柔構造であり、左右のサイドフレーム41aは各々駆動ローラ11の軸受部11a、テンションローラ12の軸受部12aを介してドラム保持部材44に位置決めされる。よって、転写ユニット25を高精度に画像形成装置100本体に対して位置決めできる。
【0048】
以上説明したように、転写ユニット25を柔構造とし、駆動ローラ11の軸受部11a及びテンションローラ12の軸受部12aをドラム保持部材44に設けた位置決め部となる溝部44b及び長穴44c内に嵌入して位置決めする。これにより、簡易且つ安価な構成で、装置本体フレームに転写ユニット25を高精度に位置決め可能である。
【0049】
これにより、中間転写ベルト10の搬送性能を安定化でき、中間転写ベルト10の幅方向の寄りや乗り上げ等の問題を回避することができる。また、一次転写ローラ14の位置精度を保証でき、トナーの飛び散り、色ずれ等の画像劣化を防止することができる。
【実施例2】
【0050】
次に図6〜図8を用いて本発明に係る画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
前記実施形態では、二次転写ローラ20に対向する張架部材として駆動ローラ11を配置した。本実施形態では、図6に示すように、二次転写ローラ20に中間転写ベルト10を介在して対向する位置に該中間転写ベルト10の内周面に摺動する張架部材となる摺動部材40が設けられている。本実施形態では、無端ベルトとなる中間転写ベルト10は、複数の張架部材となる摺動部材40、駆動ローラ11及びテンションローラ12により張架される。
【0052】
摺動部材40の表層は、低摩擦で且つ導電性を有するポリエチレンシートで構成されている。摺動部材40は、中間転写ベルト10を介して二次転写ローラ20との間で記録材6を挟持する。
【0053】
そして、二次転写電源により二次転写ローラ20に印加した二次転写電圧によって、給送装置50により該中間転写ベルト10と二次転写ローラ20との間の二次転写ニップ部に搬送された記録材6の表面に中間転写ベルト10上のトナー画像が一括転写される。
【0054】
摺動部材40よりも中間転写ベルト10の搬送方向下流側には、感光ドラム1と一次転写ローラ14との一次転写ニップ部が配置され、更にその下流側に駆動ローラ11が配置されている。これにより、二次転写ニップ部、一次転写ニップ部で中間転写ベルト10の張力にたるみが発生することなく、安定したベルト走行を行うことができる。
【0055】
駆動ローラ11よりも中間転写ベルト10の搬送方向下流側には、テンションローラ12が配置され、該テンションローラ12はテンションバネ12bの押圧力により図6の右斜め下方向に付勢されている。
【0056】
<転写ユニットの構成>
次に、図7を用いて本実施形態の転写ユニット26の構成を説明する。
【0057】
摺動部材40の両端部には支軸となる位置決めボス40aが設けられており、支持部材となるサイドフレーム41a,41bに設けられた位置決め穴41fに位置決めボス40aを貫通して位置決めされる。摺動部材40は段ビス61によりサイドフレーム41aに締結されている。摺動部材40とサイドフレーム41bも同様に段ビス61により締結されており、段ビス61により締結された摺動部材40とサイドフレーム41a,41bとにより略コ字形状のフレームが構成される。
【0058】
摺動部材40とサイドフレーム41a,41bとを段ビス61により締結しても良いが、締結部を低剛性で締結することが好ましい。
【0059】
摺動部材40は、中間転写ベルト10を張架する役割と、二次転写ローラ20とで中間転写ベルト10を介して記録材6を挟持し、該中間転写ベルト10上のトナー画像を記録材6に転写する役割と、転写ユニット26のフレームの一部を構成する役割を担う。
【0060】
駆動ローラ11は、サイドフレーム41a,41bに設けられた図示しない長穴に軸受部11aを嵌入して支持されている。駆動ローラ11は中間転写ベルト10のベルト面に対して垂直方向である上下方向、及び中間転写ベルト10の幅方向(図7の左右方向)は拘束されるが、中間転写ベルト10の搬送方向における前後方向にスライド可能に構成される。駆動ローラ11の前後方向の位置は、本実施形態では、特に拘束しない。
【0061】
一次転写ローラ14、テンションローラ12の支持構成は、前記第1実施形態と同様に構成される。
【0062】
以上のように、柔構造の転写ユニット26を構成することができる。
【0063】
<装置本体フレームと転写ユニットとの取付構造>
図8を用いて、装置本体フレームとなるドラム保持部材44と転写ユニット26との取付構造について説明する。
【0064】
ドラム保持部材44には、位置決め部として、摺動部材40の支軸となる位置決めボス40aが嵌入される上方の一部が開放された半円形状の溝部44bが形成されている。更に、駆動ローラ11の支軸となる軸受部11aが嵌入される上方の一部が開放された略U字形状の長穴44cが形成されている。摺動部材40の位置決めボス40aをドラム保持部材44の溝部44bに嵌入して係合した後、前記第1実施形態と同様に押圧部材47で押圧される。
【0065】
図8に示す押圧部材47は、摺動部材40の位置決めボス40aの外周面上部をドラム保持部材44の位置決め部となる溝部44b側に捩じりコイルバネ47aの押圧力により押圧している。
【0066】
押圧部材47は回動軸7を中心に回動自在に設けられている。そして、該回動軸7に嵌合された捩じりコイルバネ47aの一端部47a1が押圧部材47に設けられた係止部47bに係止され、該捩じりコイルバネ47aの他端部47a2がドラム保持部材44に設けられた図示しない係止部に係止されている。
【0067】
駆動ローラ11は、サイドフレーム41a,41bに対して図示しない長穴に軸受部11aを嵌入して保持されており、中間転写ベルト10の搬送方向における前後方向にスライド可能である。よって、駆動ローラ11をスライドさせてドラム保持部材44の位置決め部となる長穴44cの上部開放口まで移動させ、軸受部11aを長穴44c内に嵌入して係合できる。駆動ローラ11の軸受部11aは前述した摺動部材40の位置決めボス40aと同様に押圧部材47で押圧される。
【0068】
支持部材となるサイドフレーム41a,41bは、無端ベルトとなる中間転写ベルト10の幅方向両側で張架部材となる摺動部材40、駆動ローラ11及びテンションローラ12を支持する。そして、装置本体フレームとなるドラム保持部材44に対して移動可能に設けられている。このようにして、転写ユニット26を画像形成装置100本体に位置決めすることができる。
【0069】
左右のドラム保持部材44は、共通の部品で構成されており、その相対誤差を小さくできる。左右のドラム保持部材44に摺動部材40、駆動ローラ11を位置決めすることで、そのアライメントを高精度に保証できる。
【0070】
駆動ローラ11は、ギア45によって、装置本体側のギアと噛合することで駆動伝達される。駆動ローラ11を画像形成装置100本体に位置決めすることで、ギア間ピッチを高精度に保証でき、高精度に駆動伝達可能になる。
【0071】
以上説明したように、二次転写ローラ20に対向する摺動部材40を転写ユニット26の位置決めガイドとし、該転写ユニット26のフレームの役割を持たせることで、簡易で安価な転写ユニット26を構成することができる。
【0072】
また、摺動部材40と駆動ローラ11の中間転写ベルト10の搬送方向における前後方向の位置と、中間転写ベルト10のベルト面に対して垂直方向である上下方向の位置とを高精度に拘束することができる。即ち、ドラム保持部材44に設けられた位置決め部となる溝部44bと長穴44cとに、摺動部材40の位置決めボス40aと、駆動ローラ11の軸受部11aとをそれぞれ嵌入して係合することにより高精度に拘束することができる。よって、中間転写ベルト10の搬送性能を安定化できる。
【0073】
尚、前記各実施形態では、像担持体となる感光ドラム1上に形成したトナー画像を無端ベルトとなる中間転写ベルト10上に転写した後に記録材6に転写する中間転写ベルト方式の画像形成装置100に適用した場合の構成について説明した。他に、像担持体となる感光ドラム1上に形成したトナー画像を無端ベルトからなる記録材搬送ベルトに静電的に吸着された記録材6に転写する静電搬送ベルト方式の画像形成装置にも適用出来る。
【符号の説明】
【0074】
10 …中間転写ベルト(無端ベルト)
11 …駆動ローラ(張架部材)
12 …テンションローラ(張架部材)
41a,41b …サイドフレーム(支持部材)
44 …ドラム保持部材(装置本体フレーム)
44b …溝部(位置決め部)
44c …長穴(位置決め部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端ベルトと、
前記無端ベルトを張架する複数の張架部材と、
前記無端ベルトの幅方向両側で前記張架部材を支持すると共に、装置本体フレームに対して移動可能に設けられた支持部材と、
前記装置本体フレームに設けられ、前記張架部材を位置決めする位置決め部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記位置決め部は、一部が開放された溝部及び一部が開放された長穴を有して構成され、該溝部及び該長穴に前記複数の張架部材のそれぞれの支軸が嵌入されて、該張架部材が位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記張架部材は、前記無端ベルトの内周面に摺動する摺動部材により構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記張架部材に対向して前記無端ベルトを介在して転写手段が配置され、
前記無端ベルトと前記転写手段との間に記録材が搬送されて前記無端ベルト上のトナー画像が記録材に転写されるよう構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−114210(P2013−114210A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262593(P2011−262593)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】