説明

画像形成装置

【課題】かぶりや画像不良が発生することなく、現像剤劣化を軽減でき、画像濃度や画質の低下をおさえることができる画像形成装置の提供。
【解決手段】静電潜像が形成される感光ドラムと、静電潜像をトナー像として現像する現像スリーブと、現像スリーブの回転速度を変更するプリンタ制御部と、所定の枚数中のシートに形成される最大画像濃度を検知するCPUと、CPUにより検知した最大画像濃度が所定の値以上の場合に、現像スリーブを第1の回転速度にて画像形成する第1モードを実行し、CPUにより検知した最大画像濃度が所定の値以下の場合に、現像スリーブを第1の回転速度よりも小さい第2の回転速度にて画像形成する第2モードを実行するように制御する画像処理ユニットと、第1モード及び第2モードに応じて、画像濃度階調性を決定するための第1及び第2のルックアップテーブルと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像を現像する現像装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の現像装置として、いわゆる磁気ブラシ現像法を用いたものがある(特許文献1参照)。磁気ブラシ現像法では、磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤により、内部に磁界発生手段である磁石(マグネットロール)を配置した現像スリーブの表面に磁気ブラシを形成させる。そして、微小な現像間隙を保持して対向させた感光ドラムにこの磁気ブラシを摺擦または近接させ、同時に現像スリーブと感光ドラムの間に連続的に交番電界を印加する。これにり、トナーの現像スリーブ側から感光ドラム側への転移及び逆転移を繰り返し行わせて現像を行う。
【0003】
一般に、トナー及びキャリアは、現像装置の駆動に伴って機械的摩擦を受けて劣化する。特にトナーの劣化に着目した場合、出力画像が低画像比率(低印字比率)の場合は、トナーが長時間消費されずに現像装置内に滞留したまま摩擦を受け続けるため、摩擦によるトナー劣化の影響が大きい。トナー劣化は、帯電能低下による画像濃度変化や流動性変化による画質低下を引き起こす。
【0004】
そこで、特許文献2では、出力画像の画像比率が小さい場合には、現像スリーブの回転速度を低下させることによってトナー劣化を軽減している。しかし、単に現像スリーブの回転速度を低下させるだけでは、単位時間に現像スリーブから感光ドラムに供給されるトナー量が減少し、画像濃度が低下してしまう。
【0005】
そこで、特許文献3では、現像スリーブの回転速度の低下にあわせて交番電界を変化させ、より高濃度に現像することによって、現像スリーブの回転速度低下に伴う画像濃度低下を補償している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭55−32060号公報
【特許文献2】特開2001−75358号公報
【特許文献3】特開2009−163107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、高濃度に現像する場合、通常、現像電圧の交流成分は、非画像部へのトナー付着(かぶり)、異物への放電による画像不良(リングマーク)を許容できる限界が決められている。このため、濃度を補償するためさらに高濃度化する余地は残っていない場合が多い。すなわち、特許文献3の技術で、現像スリーブの速度低下時に、さらに現像交流電圧を高濃度化させると、かぶりやリングマークを許容できなくなる。
【0008】
そこで本発明は、かぶりや画像不良が発生することなく、現像剤劣化を軽減でき、画像濃度や画質の低下をおさえることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、静電潜像が形成される像担持体と、担持したトナーを前記像担持体に転移させて前記静電潜像をトナー像として現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の回転速度を変更する変更手段と、所定の枚数中のシートに形成される最大画像濃度を検知する検知手段と、前記検知手段により検知した最大画像濃度が所定の値以上の場合に、前記現像剤担持体を第1の回転速度にて画像形成する第1モードを実行し、前記検知手段により検知した最大画像濃度が所定の値以下の場合に、前記現像剤担持体を第1の回転速度よりも小さい第2の回転速度にて画像形成する第2モードを実行するように制御する制御部と、前記第1モード及び前記第2モードに応じて、画像濃度階調性を決定するための第1及び第2のルックアップテーブルと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、かぶりや画像不良が発生することなく、現像剤劣化を軽減でき、画像濃度や画質の低下をおさえることができる
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。(b)第1実施形態に係る現像装置の構成図である。
【図2】第1実施形態に係る画像形成装置の画像処理ユニットのシステム構成を示すブロック図である。
【図3】3種類のプロセス条件を示す図である。
【図4】3種類のプロセス条件1〜3の各γLUTを示す図である。
【図5】プロセス条件選択動作のフローチャートである。
【図6】出力画像の画像濃度推移を示す図である。
【図7】第2実施形態に係るプロセス条件選択動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
本発明に係る画像形成装置の第1実施形態について、図を用いて説明する。図1(a)は本実施形態に係る画像形成装置1の構成図である。図1(a)に示すように、本実施形態の画像形成装置1において、一次帯電器101は、感光ドラム(像担持体)100の外周表面上に配置され感光ドラム表面を一様に帯電する。帯電された感光ドラム100は、画像情報に合わせたレーザー光Lを照射され、静電潜像が形成される。
【0013】
静電潜像は、現像装置102により磁性キャリアと非磁性トナーとを含む二成分現像剤を用いてトナー像として現像される。トナー像は、転写ローラ103により、転写部に搬送されたシート110に転写される。トナー像が転写されたシート110は、定着器105に搬送されてトナー像が定着された後、画像形成装置外へ排出される。トナー像が転写された後、感光ドラム100に残留している転写残トナーは、クリーナー104によって除去され、次の画像形成に供される。
【0014】
(現像装置102)
図1(b)は本実施形態に係る現像装置102の構成図である。図1(b)に示すように現像装置102は、現像容器300と、現像スリーブ(現像剤担持体)301とを有している。現像容器300は、二成分現像剤を収容している。現像スリーブ301は、現像容器300の感光ドラム100に対向した位置に矢印b方向に回転自在に設けられている。
【0015】
現像スリーブ301の内側には、マグネットロール(磁界発生手段)302が設置されており、現像スリーブ301の表面はマグネットロール302の外周に沿って回転するようになっている。また、現像スリーブ301の外側には、規制ブレード(現像剤規制手段)303が、現像スリーブ301と350[mm]の間隔を空けて最近接点が位置するように配置されている。
【0016】
現像装置102の内部には、スクリュー(現像剤搬送部材)304、305が配置されている。現像容器300内に収容された二成分現像剤は、スクリュー305により攪拌されながら、紙面に垂直方向において、手前側から奥側に搬送され、スクリュー304により奥側から手前側に搬送される。その際、一部の現像剤がマグネットロール302の磁力によって現像スリーブ301に供給され、現像スリーブ301表面周上を搬送される。
【0017】
そして、現像部において磁力によって穂立ちした現像剤は、感光ドラム100の表面に接触する。そして、現像スリーブ301に印加される現像バイアスによりトナーのみが、感光ドラム100の表面に形成された静電潜像に転移し、感光ドラム100表面に静電潜像に応じたトナー像を形成する。ここで、現像バイアスは、所定の直流成分Vdev[V]に交流成分を重畳した現像バイアスを印加する。
【0018】
(画像処理ユニット2)
図2は画像形成装置1の画像処理ユニット2のシステム構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像処理ユニット(制御部)2において、外部入力インタフェース201は、原稿スキャナ・コンピュータ(情報処理装置)等の不図示の外部装置からRGB画像データとしてカラー画像データを入力される。LOG変換部202は、ROM208に格納されているデータ等に基づいて、外部入力インタフェース201に入力されたRGB画像データの輝度データをCMYの濃度データ(CMY画像データ)に変換する。マスキング・UCR部203は、CMY画像データから黒成分データを抽出し、記録色剤の色濁りを補正すべく、CMYK画像データにマトリクス演算を施す。
【0019】
ルックアップテーブル部(LUT部)204は、画像データを画像形成時の画像濃度階調特性に合わせるため、CMYK画像データの各色毎にガンマルックアップテーブル(γLUT)を参照して、濃度補正を施す。なお、γLUTは、RAM209上に展開されたデータに基づいて作成され、そのテーブル内容はプリンタ制御部210の演算装置であるCPU207によって設定される。
【0020】
パルス幅変調部205は、LUT部204から入力された画像データ(画像信号)のレベルに対応するパルス幅のパルス信号を出力する。このパルス信号に基づいて、レーザードライバ206がレーザーを駆動し、感光ドラム100上を照射することで静電潜像が形成される。
【0021】
(プロセス条件)
図3は3種類のプロセス条件1〜3を示す図である。図4は3種類のプロセス条件1〜3の各γLUTを示す図である。ROM208には、図3に示す3種類のプロセス条件が記憶してあり、画像データに応じてこれらのプロセス条件を切り替える。ここでプロセス条件とは、現像スリーブ301の回転速度、スクリュー304、305の回転速度、γLUTをいう。なお、本実施形態においては、感光ドラム100の回転速度は変化せず、常に260mm/sとした。現像スリーブ301の回転速度、スクリュー304、305の回転速度は、プリンタ制御部(変更手段)210により変更される。
【0022】
プロセス条件1は、従来の画像形成装置におけるプロセス条件に準じるものであり、本構成における一般的に最適なプロセス条件である。プロセス条件2は、プロセス条件1よりも現像スリーブ301、スクリュー304、305の回転速度を遅くしている。プロセス条件3は、さらにプロセス条件2よりも現像スリーブ301、スクリュー304、305の回転速度を遅くしている。
【0023】
また、図3、図4に示すように、プロセス条件2は、プロセス条件1よりもγLUTの立ち上がりが急峻になっている。プロセス条件3は、さらにプロセス条件2よりもγLUTの立ち上がりが急峻になっている。
【0024】
現像スリーブ301、スクリュー304、305の回転速度が低下すると、感光ドラム100に供給する単位時間あたりのトナー量が減少するため、他の条件が同じなら画像濃度は低下する。一方、γLUTの立ち上がりが急になるということは、同じ画像信号に対してより長い露光パルス幅を対応させることになるため、他の条件が同じなら画像濃度は増加する。
【0025】
従って、3つのプロセス条件1〜3は、回転速度、γLUTの変化による画像濃度変化がちょうどキャンセルして、同じ画像データに対して同じ画像濃度となるように設定されているため、3つのプロセス条件は全て同じ画像濃度階調特性を与える。
【0026】
ただし、次に述べるように例外が存在する。すなわち、プロセス条件2、3においては、γLUTの立ち上がりを急峻にした結果として、一定以上の高濃度な画像信号値に対して露光パルス幅が上限値Pmaxに張り付いており、階調性が失われている。露光パルス幅の上限とは、感光ドラム100の全領域に渡る露光を意味しているため、レーザー光強度一定の条件下では本質的な上限である。従って、プロセス条件2、3は、ある濃度以下の画像データに対してはプロセス条件1と同じ画像濃度階調特性を与える。
【0027】
そこで本実施形態では、入力した画像データの最大画像濃度信号値が、図4におけるD23未満の場合にはプロセス条件3を用いる。そして、図4におけるD23以上D12未満の場合にはプロセス条件2を用い、図4におけるD12以上場合にはプロセス条件1を用いて画像形成を行う。
【0028】
現像スリーブ301、スクリュー304、305の回転速度を下げたプロセス条件2、3が選択されることで、現像剤の劣化を軽減することができる。また、入力した画像データの最大画像濃度信号値に合わせて、γLUTが露光パルス幅上限値に張り付かないγLUTを選択しているため、階調性が失われることなく、画像濃度変化をおさえることができる。
【0029】
(プロセス条件選択動作)
図5はプロセス条件動作のフローチャートである。図5に示すように、まず、出力すべき画像データが外部入力インタフェース201に入力される(S501)。なお、フルカラー画像は単色画像の組み合わせであるため、ここでは単色画像を考える。
【0030】
最大画像濃度検知手段であるCPU207は、所定の枚数中のシートに形成される入力画像データ(すなわち画素数と同個数の濃度値の集まり)の中から最も濃度信号が大きい点を検索し、その最大画像濃度をDmaxとする(S502)。本実施形態では、本実施形態では1枚のシートに形成される入力画像毎にDmaxを決定する。最大画像濃度DmaxがD23未満か否かを検知する(S503)。S503で最大画像濃度DmaxがD23未満の場合には、プロセス条件3を選択し(S505)、1枚目の画像形成を行う(S508)。
【0031】
S503で最大画像濃度DmaxがD23以上の場合には、最大画像濃度DmaxがD12未満か否かを検知する(S504)。S504で最大画像濃度DmaxがD12未満の場合には、プロセス条件2を選択し(S506)、1枚目の画像形成を行う(S508)。S504で最大画像濃度DmaxがD12以上の場合には、プロセス条件1を選択し(S507)、1枚目の画像形成を行う(S508)。
【0032】
残りの入力画像がある場合にはS502に戻って同様の処理を繰り返し、残りの入力画像がない場合には画像形成を終了する(S509)。
【0033】
(実験)
本実施形態における発明の効果を述べる実験を行った。図6は常にプロセス条件1を用いる場合(本発明を用いない場合)と、常にプロセス条件3を用いる場合(本発明を用いる場合)とで、それぞれ10000枚の画像出力を行った場合の画像濃度推移を示す図である。図6において、初期の反射光量を1とし、初期に対する反射光量比率として示した。1枚当たりの形成画像は1cm四方のパッチとし、その画像濃度信号値はγ23に0.9を乗じた値とした。なお、1000枚出力毎に理論上消費されるトナーと同量の新たなトナーを補給しているため、図6においては1000枚毎に不連続に濃度が増加している。
【0034】
なお、トナーとキャリアのそれぞれが劣化し、独立な各々の寄与の総和として帯電能低下及び画像濃度変化を引き起こしているが、いずれも機械的摩擦がその原因であることには変わりない。そこで、単に画像濃度変化によって現像剤劣化の総量を評価する。
【0035】
本発明は、画像中の最大画像濃度信号値が異なるようなさまざまな画像が入力されることを前提としている。すなわち、プロセス条件2、3が選択される場合に、本発明の効果が発揮される。常にプロセス条件3が適用される場合は、本発明の効果が最も発揮される。一方、常に全色の最大画像濃度信号値が想定される最大の濃度に一致するような画像のみが入力されるようなケースにおいては、常にプロセス条件1が適用され、現像剤劣化に対して何ら効果は無い。
【0036】
図6に示すように、本発明を用いない場合には最終的に35%の画像濃度変化が生じたのに対し、本発明を用いた場合には15%程度に抑えられている。これらの画像濃度変化(濃度の上昇)は、トナー及びキャリアの帯電能が機械的摩擦によって劣化した結果、同じ静電潜像を充電するために必要なトナーの個数が変化(増加)して生じたものである。本発明を用いた場合に、画像濃度変化を小さく抑えられることは、現像装置102の駆動速度((現像スリーブ301、スクリュー304、305の回転速度)が小さいことが帯電能劣化軽減に寄与したためである。
【0037】
一般に、トナーの帯電量は、現像剤に占めるトナー量(トナー比率)の減少に従って増加し、トナー劣化に伴って減少する。このため、トナーの帯電量と反比例の関係にある画像濃度は、トナーが補給されない1000枚毎の中ではトナー比率が減少するため減少する。また、画像濃度は、10000枚全体としては、トナー劣化の影響により、緩やかな増加を示す。10000枚目出力時はトナー補給を行っていないため、前述の画像濃度の変化量はトナー比率の変化による寄与を含んでいる。
【0038】
さて、本発明を用いない場合と用いた場合の違いはプロセス条件のみであるため、画像濃度変化の差分は、概ね現像装置102の駆動速度の低下による現像剤劣化の軽減を示していると考えられる。ただし、本発明を用いた場合においては、現像装置102の駆動速度とγLUTを同時に変更している。このため、純粋に現像剤劣化の度合いを濃度変化によって評価するためには、本来ならγLUT変更の効果を差し引く必要がある。
【0039】
そこで、本発明を用いた場合において、10000枚の画像出力を終えた時点で、プロセス条件1を適用して10001枚目の画像を出力した(この際、当然トナー補給は行っていない)。その結果、プロセス条件3を用いた10000枚目の画像とプロセス条件1を用いた10001枚目の画像の濃度差は1%未満となり、γLUTによって現像装置駆動速度低下による濃度変化をちょうど打ち消す効果は保たれている。すなわち、本発明により、画像濃度変動を伴うことなく、現像剤の劣化を軽減できた。
【0040】
なお、本実施形態においてはプロセス条件毎に現像スリーブ301とスクリュー304、305の回転速度を全て変更したが、これらのうち一部の回転速度は一定値としてもよい。ただし、その場合には、現像装置102の内部で現像剤の分布に変化が生じる可能性があるため、この変化が画像形成に悪影響を及ぼさないように配慮する必要がある。
【0041】
また、本実施形態においては3種類のプロセス条件を切り替える構成であるが、3種類に限定する必要はない。たとえば、現像装置102の駆動速度及びγLUTを連続的に変化させることが可能な構成とし、入力された画像データに応じてその都度算出してもよい。
【0042】
また、従来知られているような、出力画像の階調をフィードバックしてγLUTに補正をかける方式、あるいは画像形成装置内部・外部の温湿度や出力画像履歴に基づいてγLUTに補正をかける方式と組み合わせてもよい。例えば、補正後のγLUTに対して所定の計算式によって各プロセス条件に適合するγLUTを求めた上で本発明を適用してもよい。
【0043】
さらに、本発明はもともと特定の入力画像に対して効果を発揮するものであるため、本発明の実施に際し、画像形成装置としていついかなる時も本発明に係る動作を忠実に実行する必要はない。例えば、特定の高画質モード、あるいは特定の高画質紙対応時には、無条件にプロセス条件1を適用するような構成を採用したとしても、プロセス条件2又はプロセス条件3が適用されるような別の機会が存在していれば、現像剤劣化はトータルで軽減される。
【0044】
また、本実施形態では、3つのプロセス条件を用いたが、本発明において、プロセス条件の数は3つに限定されず、2つ以上のプロセス条件を用いるものであればよい。すなわち、検知手段により検知した最大画像濃度が所定の値以上の場合に、現像スリーブ301を第1の回転速度にて画像形成する第1モードを実行し、スクリュー304、305を第3の回転速度とし、第1のルックアップテーブルを用いる。
【0045】
そして、検知手段により検知した最大画像濃度が所定の値未満の場合に、現像スリーブ301を第1の回転速度よりも小さい第2の回転速度にて画像形成する第2モードを実行し、スクリュー304、305を前記第3の回転速度より小さい第4の回転速度とする。そして、前記第1のルックアップテーブルよりも画像濃度を増加させる第2のルックアップテーブルを用いる。第1及び第2のルックアップテーブルは、第1モード及び第2モードに応じて、画像濃度階調性を決定する。
【0046】
[第2実施形態]
次に本発明に係る画像形成装置の第2実施形態について図を用いて説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。図7は本実施形態に係るプロセス条件選択動作のフローチャートである。
【0047】
上記第1実施形態においては、入力された1枚分の画像データにおける最大画像濃度信号値を基準としてプロセス条件を決定した。すなわち、複数の入力画像に対して、場合によっては1枚毎にプロセス条件を変更することを前提としている。
【0048】
これに対し、本実施形態では、複数の入力画像が与えられた場合に、全ての入力画像の中(所定枚数のシートに形成される入力画像全体中)で最大となる濃度信号値を見出し、この値を基準にプロセス条件を決定する。そして、これら一連の画像出力においては同一のプロセス条件を採用する。
【0049】
図7に示すように、まず、出力すべき画像データが外部入力インタフェース201に入力される(S701)。なお、フルカラー画像は単色画像の組み合わせであるため、ここでは単色画像を考える。
【0050】
最大画像濃度検知手段であるCPU207は、全ての入力画像データ(すなわち、全入力画像の画素数の合計値と同個数の濃度値の集まり)の中から最も濃度信号が大きい点を検索し、その最大画像濃度をDmaxとする(S702)。最大画像濃度DmaxがD23未満か否かを検知する(S703)。S703で最大画像濃度DmaxがD23未満の場合には、プロセス条件3を選択し(S705)、全ての画像形成を行う(S708)。
【0051】
S703で最大画像濃度DmaxがD23以上の場合には、最大画像濃度DmaxがD12未満か否かを検知する(S704)。S704で最大画像濃度DmaxがD12未満の場合には、プロセス条件2を選択し(S706)、全ての画像形成を行う(S708)。S704で最大画像濃度DmaxがD12以上の場合には、プロセス条件1を選択し(S707)、全ての画像形成を行う(S708)。
【0052】
本実施形態の構成によれば、特に連続出力時にプロセス条件が毎回切り替わることがなく、上記第1実施携帯に比べて、生産性を向上させることができる。また、同じ画像濃度階調特性を示すべき複数のプロセス条件が環境変化等の理由によって異なる画像濃度階調特性を示すようになった場合に、少なくとも連続出力画像の中で色味が不整合となることを抑制できる。
【0053】
なお、本実施形態では、複数の入力画像全体の中から最大画像濃度信号値を算出した。しかし、本発明はかかる構成に限定されるものではない。例えば、複数の入力画像を所定の枚数(例えば、10枚)ごとに、最大画像濃度信号値を算出してもよい。具体的には、まず最初に出力する10枚の中から最大画像濃度信号値を得てプロセス条件を決定し、その出力が終わった時点で改めて次の10枚に対して同じ手続きを繰り返す。これにより、低濃度画像出力時に高濃度画像用プロセス条件を適用して、現像剤劣化軽減の効果が低下する割合を改善することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 …画像形成装置
2 …画像処理ユニット
100 …感光ドラム(像担持体)
102 …現像装置
201 …外部入力インタフェース
202 …LOG変換部
203 …マスキング・UCR部
204 …LUT部
205 …パルス幅変調部
206 …レーザードライバ
207 …CPU(検知手段)
208 …ROM
209 …RAM
210 …プリンタ制御部(回転速度変更手段)
300 …現像容器
301 …現像スリーブ(現像剤担持体)
302 …マグネットロール
303 …規制ブレード
304、305 …スクリュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される像担持体と、
担持したトナーを前記像担持体に転移させて前記静電潜像をトナー像として現像する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の回転速度を変更する変更手段と、
所定の枚数中のシートに形成される最大画像濃度を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知した最大画像濃度が所定の値以上の場合に、前記現像剤担持体を第1の回転速度にて画像形成する第1モードを実行し、前記検知手段により検知した最大画像濃度が所定の値未満の場合に、前記現像剤担持体を第1の回転速度よりも小さい第2の回転速度にて画像形成する第2モードを実行するように制御する制御部と、
前記第1モード及び前記第2モードに応じて、画像濃度階調性を決定するための第1及び第2のルックアップテーブルと、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ルックアップテーブルは、前記検知手段により検知した最大画像濃度の画像に対しても階調性が失われないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の回転速度、前記第1のルックアップテーブルを用いた場合と、前記第2の回転速度、前記第2のルックアップテーブルを用いた場合とで、同じ画像濃度階調特性となることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
トナーを前記現像剤担持体へ搬送する現像剤搬送部材を有し、
前記変更手段は、前記現像剤搬送部材の回転速度を変更し、
前記検知手段により検知した最大画像濃度が所定の値以上の場合に、前記現像剤担持体を第1の回転速度とし、前記現像剤搬送部材を第3の回転速度とし、第1のルックアップテーブルを用い、
前記検知手段により検知した最大画像濃度が所定の値未満の場合に、前記現像剤担持体を前記第1の回転速度より小さい第2の回転速度とし、前記現像剤搬送部材を前記第3の回転速度より小さい第4の回転速度とし、前記第1のルックアップテーブルよりも画像濃度を増加させる第2のルックアップテーブルを用いる制御部と、を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知手段による前記最大画像濃度の検知は、1枚のシートに形成される入力画像毎に行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検知手段により検知される前記最大画像濃度は、所定枚数のシートに形成される入力画像全体中の最大画像濃度であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−114252(P2013−114252A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263505(P2011−263505)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】