説明

画像形成装置

【課題】紙遅れを可能な限り未然に防ぐと共に、紙遅れ防止による生産性の低下を最小限に抑える。
【解決手段】一次給紙部を制御して用紙を用紙待機位置まで一次給紙させると共に、トナー画像形成部を制御してトナー画像を形成させ、前記トナー画像の形成から所定のタイミングで二次給紙部を制御して前記用紙待機位置にて待機中の用紙を転写部へ二次給紙させる制御部を備える画像形成装置において、前記制御部は、前記用紙待機位置に前記用紙が到達したタイミングと前記トナー画像の形成から所定のタイミングとの時間差を二次給紙待ち時間として計測し、その計測値が予め設定されている下限値以下となった場合に、前記トナー画像形成部による前記トナー画像の形成開始タイミングを遅らせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー機や複合機等の電子写真方式の画像形成装置では、用紙にトナー画像を転写すべきタイミングで、用紙搬送路上の特定箇所(例えばレジストローラーの直前)に用紙が搬送されていなければ「紙遅れ」となり、形成済みのトナー画像を一度破棄して、再度同一のトナー画像を形成し直す必要がある。
また、この紙遅れは、一度発生するとその原因(例えば、給紙ローラーの経年劣化やゴミの付着等による「滑り」の発生)を除去しない限り、連続して発生する可能性が高く、これにより大幅に生産性を低下させてしまう要因となる。
【0003】
下記特許文献1には、紙遅れの発生を検知した場合に、画像形成部による画像形成の速度を遅らせ、その後、次のジョブ実行中に紙遅れの発生した用紙の枚数が所定の閾値を超えたか否かによって給紙手段の劣化状態を判断し、その判断結果に応じて、遅らせた画像形成の速度を元に戻す技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−139725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、既に紙遅れが発生した後に、画像形成部による画像形成の速度を遅らせるので、初回の紙遅れを未然に防ぐことができない。また、次のジョブ実行中に給紙手段の劣化状態を判断し、その判断結果に応じて、遅らせた画像形成の速度を元に戻すので、画像形成の速度を遅らせたジョブの途中から以降のジョブに亘って生産性が低下した状態が必要以上に継続してしまう。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、紙遅れを可能な限り未然に防ぐと共に、紙遅れ防止による生産性の低下を最小限に抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、画像形成装置に係る第1の解決手段として、画像データに基づいてトナー画像を形成するトナー画像形成部と、前記トナー画像を用紙に転写する転写部と、前記転写部に至る用紙搬送路の用紙待機位置まで前記用紙を一次給紙する一次給紙部と、前記用紙待機位置にて待機中の前記用紙を前記転写部へ二次給紙する二次給紙部と、前記一次給紙部を制御して前記用紙を前記用紙待機位置まで一次給紙させると共に、前記トナー画像形成部を制御して前記トナー画像を形成させ、前記トナー画像の形成から所定のタイミングで前記二次給紙部を制御して前記用紙待機位置にて待機中の前記用紙を前記転写部へ二次給紙させる制御部と、を備える画像形成装置であって、前記制御部は、前記用紙待機位置に前記用紙が到達したタイミングと前記トナー画像の形成から所定のタイミングとの時間差を二次給紙待ち時間として計測し、その計測値が予め設定されている下限値以下となった場合に、前記トナー画像形成部による前記トナー画像の形成開始タイミングを遅らせることを特徴とする。
【0008】
また、本発明では、画像形成装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記制御部は、前記二次給紙待ち時間の計測値が前記下限値以下となった場合、予め設定されている前記二次給紙待ち時間の目標値に従って、単位時間当たりの印刷可能枚数で定義された生産性を算出し直し、その算出結果に応じて前記トナー画像の形成開始タイミングの遅らせ量を設定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明では、画像形成装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記制御部は、前記トナー画像の形成開始タイミングを遅らせた後、前記用紙の給紙枚数をカウントし、そのカウント結果に応じて前記トナー画像の形成開始タイミングを元に戻すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、紙遅れを可能な限り未然に防ぐと共に、紙遅れ防止による生産性の低下を最小限に抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機Aの構成概略図である。
【図2】本複合機Aの給紙動作と作像動作との時間的な対応関係を示すタイミングチャートである。
【図3】制御部6による紙遅れ防止制御を表すフローチャートである。
【図4】トナー画像の形成開始タイミングの遅らせ量の設定方法の一例に関する補足説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下では、本発明に係る画像形成装置として、コピー機、プリンター、スキャナー及びファクシミリ等の機能を併せ持つ複合機を例示して説明する。
図1は、本実施形態に係る複合機Aの構成概略図である。この図1に示すように、本複合機Aは、操作表示部1、画像読取部2、画像データ記憶部3、用紙搬送画像形成部4、通信部5及び制御部6から構成されている。
【0013】
操作表示部1は、操作キー及びタッチパネルを備えており、ユーザーと複合機Aとを関係付けるマンマシンインターフェイスとして機能する。この操作表示部1は、押下された操作キーまたはタッチパネルに表示された操作ボタンの操作指示を制御部6に出力すると共に、制御部6から入力される制御信号に基づいてタッチパネルに種々の画面を表示する。
【0014】
画像読取部2は、制御部6による制御の下、ADF(Auto document feeder)により自動給紙される原稿またはプラテンガラス上に載置された原稿の表面画像(原稿画像)をラインセンサーで読み取って原稿画像データに変換し、この原稿画像データを制御部6に出力する。なお、画像読取部2は、原稿画像データを制御部6に出力する一方、制御部6は、原稿画像データを画像データ記憶部3に記憶させる。
【0015】
画像データ記憶部3は、半導体メモリーまたはハードディスク装置などであり、制御部6から入力される制御信号に基づいて原稿画像データや、通信部5が外部のクライアントコンピューター(図示略)から受信するプリント画像データや、通信部5がファクシミリ装置から受信したファクシミリ画像データを記憶する。
【0016】
用紙搬送画像形成部4は、制御部6による制御の下、給紙カセット44内に収容された用紙束から用紙を1枚ずつ搬送し、画像データ記憶部3の画像データに基づいて用紙上に画像を形成するものである。このような用紙搬送画像形成部4は、図1に示すように、ブラック、イエロー、シアン、マゼンダの4色に対応するトナーからなる画像(以下、トナー画像と称す)を形成する画像形成ユニット41、中間転写ベルト42、1次転写ローラー43、給紙カセット44、給紙ローラー45、搬送ローラー46、レジストローラー47、レジストセンサー48、2次転写ローラー49、定着ローラー50、排紙ローラー51及び排紙トレイ52から構成されている。
【0017】
なお、用紙搬送画像形成部4の構成要素の内、画像形成ユニット41、中間転写ベルト42及び1次転写ローラー43が本実施形態におけるトナー画像形成部に相当し、2次転写ローラー49が本実施形態における転写部に相当し、給紙ローラー45及び搬送ローラー46が本実施形態における一次給紙部に相当し、レジストローラー47が本実施形態における二次給紙部に相当する。
【0018】
各画像形成ユニット41は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色に対応するトナー画像を形成するものであり、複合機Aの正面から視て水平方向に所定間隔で各色に対応して4つ設けられている。このような画像形成ユニット41は、図1に示すように、トナー画像が周面に形成される感光体ドラム41aを備えている。
【0019】
中間転写ベルト42は、各感光体ドラム41aに接するように設けられた無端ベルトであり、各感光体ドラム41aの周面に形成されたトナー画像が各感光体ドラム41aから1次転写されるものである。1次転写ローラー43は、中間転写ベルト42を挟むように各感光体ドラム41aに対向配置されており、回転しながら1次転写電圧を中間転写ベルト42に印加することにより各感光体ドラム41aから中間転写ベルト42にトナー画像を1次転写させるローラーである。
【0020】
給紙カセット44は、A4サイズやB5サイズ等、所定サイズの用紙を束状に収容する容器であり、束状に積載された用紙の最上面を露出させるための開口部を有している。給紙ローラー45は、給紙カセット44に束状に積載された用紙の最上面に圧接されながら給紙方向に回転することにより、給紙カセット44から用紙を1枚ずつ用紙搬送路Lへ送り出すローラーである。ここで、給紙方向とは、用紙搬送路Lに沿って用紙が搬送される方向を指す。
なお、給紙ローラー45の回転軸には、不図示の回転駆動機構(モーターや減速用ギア等)が連結されており、この給紙ローラー45の回転動作(回転の開始タイミングや停止タイミング、回転速度等)は制御部6による回転駆動機構の制御(特にモーター制御)によって制御される。
【0021】
搬送ローラー46は、用紙搬送路L上における給紙ローラー45の下流側に配置されており、給紙方向に回転することにより、給紙ローラー45によって用紙搬送路Lへ送り出された用紙を用紙搬送路Lの下流側へ搬送するものである。
なお、搬送ローラー46の回転軸には、不図示の回転駆動機構(モーターや減速用ギア等)が連結されており、この搬送ローラー46の回転動作(回転の開始タイミングや停止タイミング、回転速度等)は制御部6による回転駆動機構の制御(特にモーター制御)によって制御される。なお、給紙ローラー45の回転力をベルトによって搬送ローラー46の回転軸に伝達する構成を採用しても良い。
【0022】
用紙搬送路L上における搬送ローラー46の下流側には、用紙の2次転写ローラー49への搬送タイミングを調節するための一対のレジストローラー47が配置されている。この一対のレジストローラー47は、互いに対向配置されて、圧接されながら給紙方向に正回転する2本のローラーから構成されている。
なお、レジストローラー47の一方のローラーの回転軸に、不図示の回転駆動機構(モーターや減速用ギア等)が連結されており、他方のローラーは空転するようになっている。つまり、一方のローラーの回転動作(回転の開始タイミングや停止タイミング、回転速度等)は制御部6による回転駆動機構の制御(特にモーター制御)によって制御され、他方のローラーは一方のローラーに従動するようになっている。
【0023】
レジストセンサー48は、用紙搬送路L上におけるレジストローラー47の直前に配置されており、この位置(用紙待機位置)における用紙の有無を検出し、その検出結果に応じた信号を制御部6に出力する。例えば、このレジストセンサー48は、用紙待機位置に用紙が存在する場合にはオン信号(ハイレベル信号)を出力し、用紙が存在しない場合にはオフ信号(ローレベル信号)を出力する。
【0024】
2次転写ローラー49は、対抗配置された対向ローラーとの間に中間転写ベルト42を挟むように配置され、中間転写ベルト42との間で2次転写ニップを形成するローラーであり、中間転写ベルト42上のトナー画像を用紙に2次転写させるものである。すなわち、2次転写ローラー49は、2次転写ニップにおいて中間転写ベルト42と用紙とを挟んだ状態で2次転写電圧を印加することにより、中間転写ベルト42上のトナー画像を用紙に2次転写させる。
【0025】
定着ローラー50は、内部にヒーターを備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに圧接される加圧ローラーとから構成され、上記2次転写ローラー49でトナー画像が2次転写された用紙を挟持することにより、用紙を加熱及び加圧してトナー画像を用紙上に定着させる。排紙ローラー51は、定着ローラー50から搬送される用紙を排紙トレイ52に排出する。排紙トレイ52は、排紙ローラー51によって排出された用紙を収容する受け皿である。
【0026】
通信部5は、制御部6から入力される制御信号に基づいて電話回線を介して外部の複合機あるいはファクシミリ装置、またローカルエリアネットワークを介してクライアントコンピューターなどと通信を行うものである。すなわち、この通信部5は、イーサネット(登録商標)などのLAN規格に準拠した通信機能と、G3などのファクシミリ規格に準拠した通信機能とを兼ね備えたものである。通信部5は、例えば、電子メールの送信またはファクシミリの送受信を行う。
【0027】
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び上述した各部と各種信号の送受信を行うインターフェイス回路などから構成されており、上記ROMに記憶された制御プログラムに基づいて複合機Aの全体動作を制御する。
【0028】
次に、上記のように構成された本複合機Aの動作について説明する。
図2は、本複合機Aの給紙動作と作像動作(トナー画像形成動作)との時間的な対応関係を示すタイミングチャートである。制御部6は、例えば操作表示部1のコピースタートキーが押下された場合、画像読取部2に原稿画像を読み取らせ、画像読取部2から得られる原稿画像データを画像データ記憶部3に記憶させた後、図2(a)に示す給紙開始タイミングt1にて給紙動作を開始する。
【0029】
具体的には、制御部6は、レジストローラー47を停止させた状態で、給紙ローラー45及び搬送ローラー46を回転させることで、給紙カセット44から用紙搬送路L上の用紙待機位置(レジストローラー47の直前位置)まで1枚の用紙を一次給紙させる。給紙ローラー45の回転によって給紙カセット44から用紙搬送路Lへ送り出された1枚の用紙は、搬送ローラー46の回転によってレジストローラー47に突き当たるまで用紙搬送路Lに沿って搬送される。用紙がレジストローラー47に突き当たる、つまり用紙がレジストローラー47の直前位置(用紙待機位置)まで到達すると、レジストセンサー48から制御部6へオン信号が出力される。
【0030】
制御部6は、レジストセンサー48からオン信号が入力されたタイミング(図2(a)のt3)を、用紙待機位置に用紙が到達したタイミング(以下、二次給紙準備完了タイミングと称す)として認識する。なお、給紙ローラー45及び搬送ローラー46は、二次給紙準備完了タイミングt3には既に停止している。
【0031】
一方、制御部6は、給紙開始タイミングt1より少し遅れた時刻t2(作像開始タイミング)に作像動作を開始する。具体的には、制御部6は、画像データ記憶部3に記憶された原稿画像データを基に各画像形成ユニット41を制御して、各感光体ドラム41aの表面に各色のトナー画像を形成(現像)すると共に、中間転写ベルト42を回走させながら各1次転写ローラー43に順次1次転写電圧を発生させることにより、中間転写ベルト42上に各色のトナー画像を順次重ねて転写(一次転写)させる。
【0032】
制御部6は、作像開始タイミングt2から所定のタイミング、または、中間転写ベルト42上におけるトナー画像の一次転写が完了したタイミングt4(以下、二次給紙要求タイミングと称す)で、レジストローラー47を回転させることにより、用紙待機位置、つまりレジストローラー47の直前位置にて待機中の用紙を二次転写ローラー49へ二次給紙させる。これにより、中間転写ベルト42上のトナー画像が用紙に2次転写され、定着ローラー50によってトナー画像の定着が行われた後、排紙ローラー51によって外部に排紙される。
【0033】
ここで、図2(a)、(b)に示すように、二次給紙要求タイミングt4と二次給紙準備完了タイミングt3との時間差(以下、二次給紙待ち時間TWと称す)が「0」より大きい、すなわち二次給紙要求タイミングt4より二次給紙準備完了タイミングt3の方が早い場合、「紙遅れ」は発生せず、問題なく用紙上にトナー画像を転写することができる。
【0034】
一方、図2(c)に示すように、二次給紙要求タイミングt4と二次給紙準備完了タイミングt3との時間差(以下、二次給紙待ち時間TWと称す)が「0」より小さい、すなわち二次給紙要求タイミングt4より二次給紙準備完了タイミングt3の方が遅い場合、「紙遅れ」が発生してしまい、中間転写ベルト42に形成済みのトナー画像を一度破棄して、再度同一のトナー画像を形成し直す必要がある。
【0035】
このような問題を解決するために、本実施形態において、制御部6は、図3に示す制御フローチャートに従って、二次給紙要求タイミングt4と二次給紙準備完了タイミングt3との時間差を二次給紙待ち時間TWとして計測し、その計測値が予め設定されている下限値以下となった場合に、トナー画像形成部(画像形成ユニット41、中間転写ベルト42及び1次転写ローラー43)によるトナー画像の形成開始タイミング(図2中の作像開始タイミングt2)を遅らせる機能を有している。
【0036】
具体的には、制御部6は、図3に示すように、二次給紙要求タイミングt4の到来を検知すると(ステップS1)、二次給紙要求タイミングt4と二次給紙準備完了タイミングt3との時間差を二次給紙待ち時間TWとして計測し、その計測値が予め設定されている下限値以下か否かを判定する(ステップS2)。
【0037】
制御部6は、上記ステップS2にて「No」の場合には、後述のステップS4の処理に移行する一方、「Yes」の場合には、トナー画像の形成開始タイミング(図2中の作像開始タイミングt2)を所定量だけ遅らせる(ステップS3)。具体的には、制御部6は、このステップS3にて、予め設定されている二次給紙待ち時間TWの目標値に従って、単位時間当たりの印刷可能枚数で定義された生産性を算出し直し、その算出結果に応じてトナー画像の形成開始タイミングの遅らせ量を設定する。
【0038】
例えば、複合機Aが1分間に20枚印刷可能な生産性(20(page/min))を有しており、図4に示すように、二次給紙待ち時間TWの下限値が50(msec)、下限検知後の目標値が100(msec)と設定されており、二次給紙待ち時間TWの計測値が下限値より低い25(msec)であったと想定する。
【0039】
このような想定の下で、生産性から算出できる用紙1枚当たりにかかる時間は、60(sec)/20(page/min)=3(page/sec)である。この用紙1枚当たりにかかる時間から下限検知後の目標値となるように総時間を算出すると、3(page/sec)+(0.1(page/sec)−0.025(page/sec))=3.075(page/sec)となる。
【0040】
このように算出した総時間から変更後の生産性を算出し直すと、60(sec)/3.075(page/sec)=19.5(page/min)となる。すなわち、この場合、制御部6は、生産性が20(page/min)から19.5(page/min)に低下するように、トナー画像の形成開始タイミングの遅らせ量を設定する。
【0041】
図3に戻り、制御部6は、上記のようにトナー画像の形成開始タイミングを所定量だけ遅らせた後、トナー画像の形成開始タイミングを既に遅らせているか否かを判定し(ステップS4)、「No」の場合には、本制御フローを終了する一方、「Yes」の場合には、用紙の給紙枚数のカウントを行う(ステップS5)。
【0042】
そして、制御部6は、用紙の給紙枚数が規定枚数に達しているか否かを判定し(ステップS6)、「No」の場合には、本制御フローを終了する一方、「Yes」の場合には、トナー画像の形成開始タイミングを元に戻して本制御フローを終了する(ステップS7)。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、二次給紙要求タイミングt4と二次給紙準備完了タイミングt3との時間差を二次給紙待ち時間TWとして計測し、その計測値が予め設定されている下限値以下となった場合に、トナー画像形成部(画像形成ユニット41、中間転写ベルト42及び1次転写ローラー43)によるトナー画像の形成開始タイミングを遅らせるので、未然に紙遅れの傾向を検知しながら、紙遅れを可能な限り未然に防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、トナー画像の形成開始タイミングを遅らせた後、用紙の給紙枚数をカウントし、そのカウント結果に応じてトナー画像の形成開始タイミングを元に戻すので、紙遅れ防止による生産性の低下を最小限に抑えることができる。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が挙げられる。
例えば、上記実施形態では、用紙の給紙枚数が規定枚数に達した場合に、トナー画像の形成開始タイミングを元に戻す場合を例示したが、給紙枚数が増えるに従って段階的にトナー画像の形成開始タイミングを元に戻すようにしても良い。
また、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置として複合機Aを参照しながら説明したが、本発明はこれに限定されず、コピー機やプリンター、ファクシミリ等の他の画像形成装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
A…複合機、1…操作表示部、2…画像読取部、3…画像データ記憶部、4…用紙搬送画像形成部、5…通信部、6…制御部、41…画像形成ユニット、42…中間転写ベルト、43…1次転写ローラー、44…給紙カセット、45…給紙ローラー、46…搬送ローラー、47…レジストローラー、48…レジストセンサー、49…2次転写ローラー、50…定着ローラー、51…排紙ローラー、52…排紙トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいてトナー画像を形成するトナー画像形成部と、
前記トナー画像を用紙に転写する転写部と、
前記転写部に至る用紙搬送路の用紙待機位置まで前記用紙を一次給紙する一次給紙部と、
前記用紙待機位置にて待機中の前記用紙を前記転写部へ二次給紙する二次給紙部と、
前記一次給紙部を制御して前記用紙を前記用紙待機位置まで一次給紙させると共に、前記トナー画像形成部を制御して前記トナー画像を形成させ、前記トナー画像の形成から所定のタイミングで前記二次給紙部を制御して前記用紙待機位置にて待機中の前記用紙を前記転写部へ二次給紙させる制御部と、
を備える画像形成装置であって、
前記制御部は、前記用紙待機位置に前記用紙が到達したタイミングと前記トナー画像の形成から所定のタイミングとの時間差を二次給紙待ち時間として計測し、その計測値が予め設定されている下限値以下となった場合に、前記トナー画像形成部による前記トナー画像の形成開始タイミングを遅らせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記二次給紙待ち時間の計測値が前記下限値以下となった場合、予め設定されている前記二次給紙待ち時間の目標値に従って、単位時間当たりの印刷可能枚数で定義された生産性を算出し直し、その算出結果に応じて前記トナー画像の形成開始タイミングの遅らせ量を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記トナー画像の形成開始タイミングを遅らせた後、前記用紙の給紙枚数をカウントし、そのカウント結果に応じて前記トナー画像の形成開始タイミングを元に戻すことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−11737(P2013−11737A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144452(P2011−144452)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】