説明

画像形成装置

【課題】カートリッジ支持部材を装着位置から引出位置に斜め上方向に引き出し可能な画像形成装置において、ユーザにとって操作性がよい画像形成装置を提供すること。
【解決手段】プリンタ1は、本体ケーシング2と、カートリッジ支持部材10と、移動規制手段100と、移動規制解除手段101を備える。カートリッジ支持部材10は、複数のカートリッジ13を支持して、本体ケーシング2に装着された装着位置から本体ケーシング2に対して複数のカートリッジを着脱するための引出位置に斜め上方向に引き出し可能である。移動規制手段100は、カートリッジ支持部材10の引出位置から装着位置への装着方向への移動を規制する規制状態と、カートリッジ支持部材10の装着方向への移動の規制を解除する規制解除状態とに切替可能である。移動規制解除手段101は、カートリッジ支持部材10の規制状態から規制解除状態へ切替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のカラープリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、所定方向に並列配置された複数のカートリッジと、複数のカートリッジを支持するカートリッジ支持部材とを備える、カラーレーザプリンタが知られている。カートリッジ支持部材は、画像形成装置本体に装着された装着位置から画像形成装置本体に対して複数のカートリッジを着脱するための引出位置に引出可能である。また、各カートリッジは、カートリッジ支持部材が引出位置にあるときに、カートリッジ支持部材に対して着脱することができる。また、カートリッジ支持部材を装着位置から引出位置へ移動させるときに、水平面より斜め上方向に引き出すプリンタも提案されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−102321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成のプリンタでは、カートリッジ支持部材を引出位置へ移動させる途中で、ユーザがカートリッジ支持部材から手を離してカートリッジの交換をしようとすると、カートリッジ支持部材が自重で装着方向へと移動してしまうことが考えられる。すなわち、カートリッジ支持部材を引出方向へ移動させる途中で止めようとしても、自重で装着位置へ戻ってしまうことが考えられる。このような場合、ユーザが常にカートリッジ支持部材を把持している必要があり、使い勝手が悪い。
【0005】
本発明の目的は、カートリッジ支持部材を装着位置から引出位置に斜め上方向に引き出し可能な画像形成装置において、ユーザにとって操作性がよい画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)前記した目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、本体ケーシングと、カートリッジ支持部材と、移動規制手段と、移動規制解除手段を備える。
【0007】
カートリッジ支持部材は、複数のカートリッジを支持して、本体ケーシングに装着された装着位置から本体ケーシングに対して複数のカートリッジを着脱するための引出位置に斜め上方向に引き出し可能である。
【0008】
移動規制手段は、カートリッジ支持部材の引出位置から装着位置への装着方向への移動を規制する規制状態と、カートリッジ支持部材の装着方向への移動の規制を解除する規制解除状態とに切替可能である。
【0009】
移動規制解除手段は、カートリッジ支持部材の規制状態から規制解除状態へ切替える。
【0010】
(2)また、移動規制手段は、本体ケーシングおよびカートリッジ支持部材のいずれか一方に設けられた係合部材と、本体ケーシングおよびカートリッジ支持部材のいずれか他方に設けられた被係合部材と、を備え、係合部材が被係合部材と係合することで規制状態になり、係合を解除することで規制解除状態になることが好ましい。
【0011】
(3)また、係合部材は、本体ケーシングに設けられ、被係合部材と係合する規制位置と、被係合部材との係合が解除される規制解除位置との間を変位可能であり、移動規制手段は、係合部材を規制位置へ向けて付勢する付勢部材を、有することが好ましい。
【0012】
(4)また、移動規制解除手段は、本体ケーシングにおいてカートリッジ支持部材の引出方向と逆の方向へ押し込み操作可能な操作部を有し、操作部が操作されているときは規制解除状態であり、操作部が操作されていないときは規制状態であることが好ましい。
【0013】
(5)また、係合部材は、カートリッジ支持部材において引出方向上流側に設けられ、上方へ突出した凸部を有し、被係合部材は、本体ケーシングに設けられ、凹部を有し、凸部と凹部が係合することで規制状態になり、凸部と凹部の係合が解除されることで規制解除状態になることが好ましい。
【0014】
(6)また、本体ケーシングは、カートリッジ支持部材の引出方向下流側において、支点を有し、カートリッジ支持部材は、規制状態における規制位置と、規制解除状態における規制解除位置との間を、支点を回動の中心として、回動可能であることが好ましい。
【0015】
(7)また、被係合部材は、カートリッジ支持部材の引出方向に沿って連続した複数の被係合部を有することが好ましい。
【0016】
(8)また、移動規制手段は、カートリッジ支持部材に設けられ、規制位置と規制解除位置との間を変位可能である摩擦部材と、摩擦部材を規制位置へ向けて付勢する付勢部材と、を有することが好ましい。
【0017】
(9)また、カートリッジ支持部材は、カートリッジ支持部材の移動のときに回転する回転部材を有し、摩擦部材が、回転部材と当接したときに規制状態になり、当接を解除したときに規制解除状態になることが好ましい。
【0018】
(10)また、本体ケーシングは、カートリッジ支持部材の移動を案内するガイド部を有し、摩擦部材が、ガイド部と当接したときに移動規制状態になり、当接を解除したときに規制解除状態になることが好ましい。
【0019】
(11)また、移動規制解除手段は、カートリッジ支持部材においてカートリッジ支持部材を引出す際に把持される把持部を有し、把持部が把持されているときは規制解除状態であり、把持部が把持されていないときは規制状態であることが好ましい。
【0020】
(12)また、移動規制手段は、摩擦部材と把持部を連結する連結部材を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
(1)このように、構成された画像形成装置によれば、本体ケーシングと、複数のカートリッジを支持して、前記本体ケーシングに装着された装着位置から前記本体ケーシングに対して前記複数のカートリッジを着脱するための引出位置に斜め上方向に引き出し可能であるカートリッジ支持部材と、カートリッジ支持部材の引出位置から装着位置への装着方向への移動を規制する規制状態と、カートリッジ支持部材の装着方向への移動の規制を解除する規制解除状態とに切替可能である移動規制手段と、カートリッジ支持部材の規制状態から規制解除状態へ切替えるための移動規制解除手段と、を備える。
【0022】
よって、ユーザがカートリッジの交換をする際、カートリッジ支持部材の移動を規制出来るため、ユーザにとって操作性がよい。
【0023】
(2)移動規制手段は、本体ケーシングおよびカートリッジ支持部材のいずれか一方に設けられた係合部材と、本体ケーシングおよびカートリッジ支持部材のいずれか他方に設けられた被係合部材と、を備え、係合部材が被係合部材と係合することで規制状態になり、係合を解除することで規制解除状態になる場合、規制状態と規制解除状態との切り替えを比較的簡単な構成で実現出来る。
【0024】
(3)係合部材は、本体ケーシングに設けられ、被係合部材と係合する規制位置と、被係合部材との係合が解除される規制解除位置との間を変位可能であり、移動規制手段は、係合部材を規制位置へ向けて付勢する付勢部材を、有する場合、係合部材は、付勢部材によって常に規制位置へ付勢されているので、基本的に規制位置に配置されている。よって、カートリッジ支持部材がユーザの意思に反して移動することがない。
【0025】
(4)移動規制解除手段は、本体ケーシングにおいてカートリッジ支持部材の引出方向と逆の方向へ押し込み操作可能な操作部を有し、操作部が操作されているときは規制解除状態であり、操作部が操作されていないときは規制状態である場合、操作部を操作しないとカートリッジ支持部材は動かないので、カートリッジ支持部材がユーザの意思に反して移動することがない。
【0026】
(5)係合部材は、カートリッジ支持部材において引出方向上流側に設けられ、上方へ突出した凸部を有し、被係合部材は、本体ケーシングに設けられ、凹部を有し、凸部と凹部が係合することで規制状態になり、凸部と凹部の係合が解除されることで規制解除状態にすることが出来る。
【0027】
(6)本体ケーシングは、カートリッジ支持部材の引出方向下流側において、支点を有し、カートリッジ支持部材は、規制状態における規制位置と、規制解除状態における規制解除位置との間を、支点を回動の中心として、回動可能である場合、カートリッジ支持部材を回動させることで規制を解除できるため、構成を簡単に出来る。
【0028】
(7)被係合部材は、カートリッジ支持部材の引出方向に沿って連続した複数の被係合部を有する場合、ユーザが操作部の操作をカートリッジ支持部材の装着方向への移動途中で止めても、何れかの被係合部材と係合部材が係合してカートリッジ支持部材の移動を規制することができる。
【0029】
(8)移動規制手段は、カートリッジ支持部材に設けられ、規制位置と規制解除位置との間を変位可能である摩擦部材と、摩擦部材を規制位置へ向けて付勢する付勢部材と、を有する場合、摩擦部材は、付勢部材によって常に規制位置へ付勢されているので、基本的に規制位置に配置されている。よって、カートリッジ支持部材がユーザの意思に反して移動することがない。
【0030】
(9)カートリッジ支持部材は、カートリッジ支持部材の前記移動のときに回転する回転部材を有し、摩擦部材が、回転部材と当接したときに規制状態になり、当接を解除したときに規制解除状態になる場合、規制状態と規制解除状態との切り替えを比較的簡単な構成で実現出来る。
【0031】
(10)本体ケーシングは、カートリッジ支持部材の移動を案内するガイド部を有し、摩擦部材が、ガイド部と当接したときに移動規制状態になり、当接を解除したときに規制解除状態になる場合、規制状態と規制解除状態との切り替えを比較的簡単な構成で実現出来る。
【0032】
(11)移動規制解除手段は、カートリッジ支持部材においてカートリッジ支持部材を引出す際に把持される把持部を有し、把持部が把持されているときは規制解除状態であり、把持部が把持されていないときは規制状態である場合、把持部を操作しないとカートリッジ支持部材は動かないので、カートリッジ支持部材がユーザの意思に反して移動することがない。
【0033】
(12)移動規制手段は、摩擦部材と把持部を連結する連結部材を有する場合、摩擦部材を設ける場所が制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】画像形成装置の一例としてのプリンタの概略図である。
【図2(a)】カートリッジ支持部材が装着位置に位置するときの実施形態1に係るプリンタの模式図である。
【図2(b)】カートリッジ支持部材が引出位置に位置し、かつ、カートリッジ支持部材が規制状態のときの実施形態1に係るプリンタの模式図である。
【図2(c)】カートリッジ支持部材が引出位置に位置し、かつ、カートリッジ支持部材が規制解除状態のときの実施形態1に係るプリンタの模式図である。
【図2(d)】カートリッジ支持部材の装着方向への移動途中において、カートリッジ支持部材が規制状態のときの実施形態1に係るプリンタの模式図である。
【図3(a)】カートリッジ支持部材のスライド移動の途中における規制状態のときの実施形態2に係るプリンタの模式図である。
【図3(b)】カートリッジ支持部材のスライド移動の途中における規制解除状態のときの実施形態2に係るプリンタの模式図である。
【図4(a)】カートリッジ支持部材が規制状態のときの実施形態3に係るプリンタの模式図である。
【図4(b)】カートリッジ支持部材が規制解除状態のときの実施形態3に係るプリンタ模式図である。
【図5】実施形態3における連結部材および把持部を抜き出した図である。
【図6】(a)カートリッジ支持部材が規制状態のときの、実施形態4における移動規制手段を説明するための図である。(b)カートリッジ支持部材が規制解除状態のときの、実施形態4における移動規制手段を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<実施形態1>
1.プリンタ全体の構成
本発明について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタ1の一実施形態を示す概念図である。尚、紙面右側をプリンタ1における前側、紙面左側をプリンタ1における後側として、プリンタ1を前側から見たときをプリンタ1における左右の基準とする。各図には、前後上下左右の各方向を示す矢印が記載されている。
【0036】
図1に示すように、プリンタ1は、本体ケーシング2内に、用紙Pを給紙するための給紙部3と、給紙された用紙Pに画像を形成するための画像形成部4と、用紙Pにトナーを定着させるための定着部5と、用紙Pを本体ケーシング2外へ排出するための排紙部6とを備えている。
【0037】
給紙部3は、プリンタ1の最下部に設けられており、用紙Pを収容する収容カセット7と、用紙Pを送り出すピックアップローラ8とを備えている。そして、収容カセット7に収容された用紙Pは、ピップアップローラ8により、収容カセット7から1枚ずつ取り出され、搬送ローラ9等を介して画像形成部4に送られる。
【0038】
画像形成部4は、カートリッジ支持部材10と、露光部11と、用紙搬送ベルト12と、4つのプロセスカートリッジ13とを備えている。
【0039】
カートリッジ支持部材10は、4つのプロセスカートリッジ13を支持している。具体的には、前側から後側に向かって、マゼンダプロセスカートリッジ13M、シアンプロセスカートリッジ13C、イエロープロセスカートリッジ13Y、ブラックプロセスカートリッジ13Kが順次配置されている。また、各プロセスカートリッジ13は、内部にマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の各色のトナーを収容している。また、各プロセスカートリッジ13は、感光ドラム14と、現像ローラ15とを備えている。各感光ドラム14は、各プロセスカートリッジ13において、回転可能に支持され、略円筒形状の部材で構成されている。各現像ローラ15は、各プロセスカートリッジ13において、回転可能に支持され、各感光ドラム14に対して上側から対向し、接触している。
【0040】
露光部11は、レーザー光を走査して、感光ドラム14の表面へ照射する。露光部11により、画像データに応じたレーザー光が感光ドラム14の表面に照射されると、照射された部分の表面電位が低下することにより、感光ドラム14の表面には、静電潜像が形成される。
【0041】
用紙搬送ベルト12は、前側から後側に向かうにつれて、下方へと傾斜している。用紙搬送ベルト12は、用紙Pを上面に担持した状態で、一体的に走行するように無端状に構成され、駆動ローラ16と従動ローラ17に架け渡されている。用紙搬送ベルト12は、駆動ローラ16の回動により、感光ドラム14と対向する側の表面が、前側から後側へと移動する。それに伴い、用紙Pが定着部5に送られる。
【0042】
定着部5は、加熱ローラ18と、加圧ローラ19とを備えている。定着部5は、4色のトナー像を担持した用紙Pを、加熱ローラ18及び加圧ローラ19によって狭持搬送しながら加熱及び加圧することにより、トナー像を用紙Pに定着させる。トナー像が定着された用紙Pは、排紙部6へと送られる。
【0043】
排紙部6は、排紙ローラ20と、排紙トレイ21とを備えている。排紙トレイ21はプリンタ1の上面に設けられている。排紙ローラ20は、用紙Pを定着部5から排紙トレイ21へと搬送する。
【0044】
2.移動規制手段および移動規制解除手段
図2(a)は、カートリッジ支持部材10が装着位置に位置するときのプリンタ1の模式図である。図2(b)は、カートリッジ支持部材10が引出位置に位置し、かつ、カートリッジ支持部材10が規制状態のときのプリンタ1の模式図である。図3(c)は、カートリッジ支持部材10が引出位置に位置し、かつ、カートリッジ支持部材10が規制解除状態のときのプリンタの模式図である。図3(d)は、カートリッジ支持部材10の装着方向への移動途中において、カートリッジ支持部材10が規制状態のときのプリンタ1の模式図である。尚、ここでは、左側壁の構成について説明するが、図示しない右側壁も左側壁と同様である。
【0045】
本体ケーシング2は、ガイド部の一例としての上ガイド部47および下ガイド部48と、係合部材22と、係合部材案内壁24と、付勢部材の一例としてのバネ25と、操作部26と、操作部案内壁27と、を備えている。
【0046】
上ガイド部47および下ガイド部48は、本体ケーシング2の左右両側板において前後方向に沿って延びており、カートリッジ支持部材10のスライド移動をガイドする。また、上ガイド部47および下ガイド部48は、用紙搬送ベルト12の感光ドラム14と対向する面と略平行であり、前側から後側に向かうにつれて下方へと傾斜し、プリンタ1の底面40に対して約5度傾いている。
【0047】
係合部材22は、上ガイド部47および下ガイド部48よりも前方に設けられており、後述する被係合部材23に係合するように配置されている。係合部材案内壁24は、係合部材22を上下方向にスライド可能に支持する。バネ25は、係合部材22を被係合部材23に向けて付勢する。操作部案内壁27は、操作部26を前後方向にスライド可能に支持する。
【0048】
カートリッジ支持部材10は、前後方向に延びて係合部材22が係合する被係合部材23と、カートリッジ支持部材10の引出方向上流側に設けられ回転部材の一例としてのコロ49と、コロ49の上方に配置された突出部50とを有している。コロ49は、回転自在であり、カートリッジ支持部材10のスライド移動の際、下ガイド部48に沿って回転しながら移動する。突出部50は、被係合部材23よりも上方へ突出しており、カートリッジ支持部材10のスライド移動の際、上ガイド部47に接触しながら移動する。カートリッジ支持部材10は、コロ49および突出部50によって、上下方向の位置が規制されている。
【0049】
係合部材22、被係合部材23、係合部材案内壁24およびバネ25は、実施形態1において移動規制手段100を構成する。また、操作部26および操作部案内壁27は、実施形態1において移動規制解除手段101を構成する。
【0050】
次に、移動規制手段100と移動規制解除手段101の詳細について、図2(b)の拡大図および図2(c)の拡大図を用いて説明する。
【0051】
まず、移動規制手段100について説明する。
【0052】
係合部材22は、下方が楔形をした略矩形状に形成されている。また、係合部材22は、前方を向いて上下方向に延びる係合面31と、後方を向いて上下方向に延びる後面28と、係合面31の下端と後面28の下端とを連結する当接面32と、係合面31の上端と後面28の上端とを連結するバネ固定面30とを有している。係合面31は、後方に窪んだ凹部29を有する。凹部29は、直方体形の窪みであり、凹部29の上面における前端に、操作部26と当接する角部33を有する。当接面32は、係合面31の下端から後面28の下端に向かうにしたがって上方に延びている。すなわち、係合面31と当接面32とのなす角度は、鋭角である。
【0053】
被係合部材23は、前後方向に延びる基部34と、基部34の上方に形成されて前後方向に隙間なく並べられた複数個の被係合部35とを有している。被係合部35は、前側において上下方向に延びる被係合面35aと、被係合面35aの下端から後方へ延び、隣接する後方の被係合部35の被係合面35aの上端と連結されている被当接面35bとを有している。カートリッジ支持部材10の装着方向への移動は、係合部材22の係合面31が被係合部材23の被係合面35aと係合することにより禁止される。被当接面35bは、係合部材22の当接面32と当接する。
【0054】
係合部材案内壁24は、上下方向に伸びる第1係合部材案内壁36と、第1係合部材案内壁36の前方において間隔を隔てて対向するとともに上下方向に延びる第2係合部材案内壁37と、第1係合部材案内壁36の上端と第2係合部材案内壁37の上端を結合する第3係合部材案内壁38とを有している。係合部材案内壁24は、第1係合部材案内壁36と第2係合部材案内壁37との間で、係合部材22を上下方向にスライド可能に支持している。第2係合部材案内壁37には、角部33と操作部26とを当接させるための開口45が形成されている。
【0055】
バネ25は、一端が係合部材22のバネ固定面30に固定され、他端が第3係合部材案内壁38に固定されており、係合部材22を下方、つまり被係合部材23へ向かう方向へ付勢している。
【0056】
次に、移動規制解除手段101について説明する。
【0057】
操作部26は、上端において前後方向に延びる上面43と、下端において前後方向に延びる下面44と、上面43の前端と下面44の前端とを連結する操作面39と、上面43の後端と下面44の後端とを連結する持上面42とを有している。操作面39は、本体ケーシング2の前端から前方へ突出した位置に配置されている。ユーザは、操作面39を押すことにより、操作部26をカートリッジ支持部材の引出方向と逆の方向、すなわち後方へ押し込むことができる。持上面42は、操作部26のスライド移動可能な範囲において、係合部材22の角部33と常に当接するように配置されている。操作部26と係合部材22は、持上面42と角部33との当接によって連動する。
【0058】
また、操作部26は、上面43から上方へ突出した上突起41aと、下面44から下方へ突出した下突起41bとを有している。
【0059】
操作部案内壁27は、係合部材案内壁24の開口45から前方へむけて延設される上案内壁46aおよび下案内壁46bを有している。上案内壁46aは、操作部26がスライド移動する際、操作部26の上面43と接触する。下案内壁46bは、操作部26がスライド移動する際、操作部26の下面44をガイドする。上案内壁46aの前端と下案内壁46bの前端は、操作部26が後方に押し込まれる途中で、上突起41aおよび下突起41bと当接する。操作部26は、上突起41aおよび下突起41bが操作部案内壁27と当接することにより、スライド移動が規制される。
【0060】
次に、移動規制手段100および移動規制解除手段101の操作について説明する。
【0061】
係合部材22は、操作部26が操作されていないとき、バネ25によって付勢されて被係合部材23に係合する規制位置(図2(b)参照)に位置する。このとき、係合部材22の係合面31は、被係合部材23の被係合面35aに対向接触している。操作部26は、係合部材22の角部33に当接している持上面42を介して前方へ付勢されている。カートリッジ支持部材10は、係合部材22が規制位置に位置しているため、装着方向(後方向)への移動が規制される規制状態におかれる。
【0062】
操作部26は、ユーザにより操作部26が後方へ押し込まれると、上案内壁46aと上突起41aおよび下案内壁46bと下突起41bがそれぞれ接触することによって操作部26の後方への移動が規制される位置まで、スライド移動する。このとき、係合部材22は、操作部26の持上面42に当接している角部33を介してバネ25の付勢力に反する力がかかることによって、操作部26のスライド移動に連動して、被係合部材26と係合しない規制解除位置(図2(c)参照)にスライド移動する。カートリッジ支持部材10は、係合部材22が規制解除位置に位置しているため、装着方向への移動の規制が解除された規制解除位置におかれる。尚、角部33は、係合部材22が規制位置から規制解除位置に移動するとき、操作部26の持上面42の下部から上部に向かって徐々に移動する。そして、操作部26は、角部33の移動に連動して、凹部29の間へ徐々に移動する。
【0063】
3.カートリッジ支持部材のスライド移動次に、カートリッジ支持部材10の装着位置と引出位置との間のスライド移動について、図2(a)から図2(d)を参照して説明する。
始めに、図2(a)に示すカートリッジ支持部材10の装着位置から図2(b)に示す引出位置に移動させる動作について説明する。
【0064】
カートリッジ支持部材10は、ユーザがカートリッジ支持部材10の前部を把持して前方向へ引き出すことにより、装着位置から引出位置に移動される。このとき、係合部材22は、被係合部材23に係合している。しかしながら、カートリッジ支持部材10の前方向への移動は、被係合部材23の被当接面35bが前下方に向かって傾斜していることから、係合部材22が被係合部材23を乗り越えて移動することができるため規制されない。よって、ユーザは、操作部26を操作することなく、カートリッジ支持部材10を引出方向へ移動させることができる。
【0065】
また、カートリッジ支持部材10は、ユーザが引出方向への操作をやめたとき、係合部材22が被係合部材23に係合されて規制状態におかれる。これにより、ユーザがカートリッジ支持部材10から手を離しても、カートリッジ支持部材10が装着方向へ戻ってしまうことを防止できる。
【0066】
次に、図2(b)に示すようなカートリッジ支持部材10の引出位置に示す状態から図2(a)に示す装着位置に移動させる動作について説明する。
【0067】
引出位置におけるカートリッジ支持部材10(または、カートリッジ交換位置におけるカートリッジ支持部材10)は、係合部材22と被係合部材23が係合しているため、装着方向への移動が規制されている。これは、カートリッジ支持部材10を装着方向へ移動させようとすると、装着方向と略直交する被係合部材23の被係合面35aと係合部材の係合面31とが当接するためである。カートリッジ支持部材10は、ユーザが操作部26を後方へ押し込むと、係合部材22と被係合部材23との係合が解除されてカートリッジ支持部材10が規制解除状態におかれることにより、装着方向への移動が可能となる。
【0068】
ただし、カートリッジ支持部材10は、ユーザがカートリッジ支持部材10の装着動作途中に操作部26の操作を解除すると、係合部材22は何れかの被係合部35と係合して、装着方向への移動が規制される(図2(d)参照)。よって、ユーザは、カートリッジ支持部材10を装着方向へ移動させる場合には、常に操作部26を後方へ押し込んでおかなければならない。
【0069】
4.作用効果
(1)以上のように、プリンタ1は、本体ケーシング2と、複数のプロセスカートリッジ13を支持して、本体ケーシング2に装着された装着位置から本体ケーシング2に対して複数のプロセスカートリッジ13を着脱するための引出位置との間をスライド移動可能であるカートリッジ支持部材10と、カートリッジ支持部材10の装着方向への移動を規制する規制状態と、カートリッジ支持部材10の装着方向への移動の規制を解除する規制解除状態とに切替可能である移動規制手段100と、カートリッジ支持部材10の規制状態から規制解除状態へ切替えるための移動規制解除手段101と、を備えている。
【0070】
その結果、ユーザがプロセスカートリッジ13の交換をする際、カートリッジ支持部材10をユーザが把持していなくても、カートリッジ支持部材10が重力により装着方向へ移動することを規制できる。よって、ユーザにとって操作性がよい。
【0071】
(2)また、移動規制手段100は、本体ケーシング2に設けられた係合部材22と、カートリッジ支持部材10に設けられた被係合部材23と、を備え、係合部材22が被係合部材23と係合することで規制状態になり、係合を解除することで、規制解除状態になる。
【0072】
その結果、規制状態と規制解除状態との切り替えを比較的簡単な構成で実現出来る。
【0073】
(3)また、係合部材22は、本体ケーシング2に設けられ、被係合部材23と係合する規制位置と、被係合部材23との係合が解除される規制解除位置との間を変位可能であり、移動規制手段100は、係合部材22を規制位置へ向けて付勢するバネ25を、有する。
【0074】
その結果、係合部材22は、バネ25によって常に規制位置へ付勢されているので、基本的に規制位置に配置されている。よって、カートリッジ支持部材10がユーザの意思に反して移動することがない。
【0075】
(4)また、移動規制解除手段101は、本体ケーシング2においてカートリッジ支持部材10の引出方向と逆の方向へ押し込み操作可能な操作部26を有し、操作部26が操作されているときは規制解除状態であり、操作部26が操作されていないときは規制状態である。
【0076】
その結果、操作部26を操作しないとカートリッジ支持部材10は動かないので、カートリッジ支持部材10がユーザの意思に反して移動することがない。
(5)また、被係合部材23は、カートリッジ支持部材10の引出方向に沿って、複数の連続する被係合部35を有している。
【0077】
その結果、ユーザが操作部26の操作をカートリッジ支持部材10の装着方向への移動途中で止めても、被係合部材35の何れかの被係合部材35と係合部材22が係合してカートリッジ支持部材10の移動を規制することができる。
【0078】
<実施形態2>
次に、実施形態2について説明する。
【0079】
図3(a)は、カートリッジ支持部材10のスライド移動の途中における規制状態のときのプリンタ1の模式図である。図3(b)は、カートリッジ支持部材10のスライド移動の途中における規制解除状態のときのプリンタ1の模式図である。尚、ここでは、左側壁の構成について説明するが、図示しない右側壁も左側壁と同様である。また、実施形態1と同様の部分については、同一の符号を符し、詳細な説明な省略するものとする。
【0080】
カートリッジ支持部材10は、係合部材51と、コロ49とを備えている。
【0081】
係合部材51は、後述する被係合部材52とともに、実施形態2における移動規制手段102を構成している。
【0082】
係合部材51は、カートリッジ支持部材10の左右方向両端において前後方向に延びる基部53aと、基部53aの上側後方において上方へ突出した突出部53bを有している。突出部53bは、コロ49の上方に配置されている。また、突出部53bは、最も突出した頂部53cと、頂部53cから前方へ向かうに従って下方へ伸びる第1係合面54と、頂部53cから後方へ向かうに従って下方へ伸びる第2係合面55とを有している。
【0083】
本体ケーシング2は、カートリッジ支持部材10のスライド移動をガイドする下ガイド部59と、本体ケーシング2の側板前方に設けられた支点60と、下ガイド部59と上下方向において対向する被係合部材52と、を備えている。
【0084】
被係合部材52は、前後方向において隙間なく形成された複数の凹部56を有している。各凹部56は、当該凹部56の前方に形成された第1被係合面57と、当該凹部56の後方に形成された第2被係合面58とを有している。凹部56の第1被係合面57は、突出部53bの第1係合面54と係合する。凹部56の第2被係合面58は、突出部53bの第2係合面55と係合する。カートリッジ支持部材10は、係合部材51と被係合部材52が係合することにより、装着方向および引出方向への移動が規制される規制状態になる。
【0085】
下ガイド部59は、前後方向に沿って延び、カートリッジ支持部材10のスライド移動の際、コロ49と接触している。また、下ガイド部59は、上下方向において、被係合部材52と対向している。
【0086】
支点60は、カートリッジ支持部材10が回動する際に、カートリッジ支持部材10の左右方向端部と接触して、回動の中心となる。また、支点60は、下ガイド部59よりも前方に位置し、カートリッジ支持部材10がスライド移動する際に、常に、カートリッジ支持部材10の左右方向端部と接触している。
【0087】
また、図3(b)の拡大図に示すように、下ガイド部59と被係合部材52の凹部56の上端との対向間隔L1は、ころ49の下端から係合部材51の頂部53cまでの距離L2より大きい。これにより、カートリッジ支持部材10は、上下方向に多少自由に動くことができる。具体的には、カートリッジ支持部材10は、支点60を回動の中心として回動することができる。
【0088】
カートリッジ支持部材10は、支点60を回動中心として左側面視時計周りに回転することにより、係合部材51が被係合部材52と係合する規制位置に位置し、規制状態となる(図3(a))。
【0089】
カートリッジ支持部材10は、支点60を回動中心として左側面視反時計周りに回転することにより、係合部材51が被係合部材52との係合が解除される規制解除位置に位置し、規制解除状態になる(図3(b))。
【0090】
この回動動作はユーザが把持部61を把持することによって行う。すなわち、実施形態2における移動規制解除手段103とは、把持部61である。
【0091】
次に、カートリッジ支持部材10のスライド移動および移動規制手段102と移動規制解除手段103の操作について説明する。
【0092】
ユーザは、カートリッジ支持部材10を装着方向もしくは引出方向へ移動させるとき、カートリッジ支持部材10の前端に設けられた把持部61を把持する。そして、係合部材51の突出部53bは、ユーザが把持部61を把持した状態でカートリッジ支持部材10を装着方向もしくは引出方向へ移動させると、被係合部材52の凹部56と係合しない。従って、カートリッジ支持部材10は、スライド移動が規制されず、スライド移動が可能である。
【0093】
次に、カートリッジ支持部材10の装着位置から引出位置への移動途中または引出位置から装着位置への移動途中で、把持部61からユーザが手を離した場合について説明する。
【0094】
カートリッジ支持部材10は、カートリッジ支持部材10の移動途中(図3(b)の状態)でユーザが把持部61から手を放すと、支点60を回動の中心として左側面視時計周りに回動する。カートリッジ支持部材10は、この回動によって、支点60より後側の部分が上方へと移動し、係合部材51と被係合部材52が係合する(図3(a)の状態)。このようにして、カートリッジ支持部材10のスライド移動は、規制された状態となる。規制状態のカートリッジ支持部材10は、ユーザが把持部61を上方(図3(a)矢印方向)に持ち上げることにより、コロ49が下ガイド部59と接触して、再度スライド移動可能になる。係合部材51は、このカートリッジ支持部材10の回動により、被係合部材52との係合が解除される。
【0095】
以上のような構成によれば、移動規制手段102は、カートリッジ支持部材10に設けられた係合部材22と、本体ケーシング2に設けられた被係合部材23と、を備え、係合部材22が被係合部材23と係合することで規制状態になり、係合を解除することで規制解除状態になる。
【0096】
その結果、規制状態と規制解除状態との切り替えを比較的簡単な構成で実現出来る。 また、本体ケーシング2は、カートリッジ支持部材10の引出方向下流側において、支点60を有し、カートリッジ支持部材10は、規制状態における規制位置と、規制解除状態における規制解除位置との間を、支点60を回動の中心として、回動可能である。
【0097】
その結果、カートリッジ支持部材10を回動させることで規制を解除できるため、構成を簡単に出来る。
【0098】
<実施形態3>
次に、実施形態3について説明する。
【0099】
図4(a)は、カートリッジ支持部材10が規制状態のときのプリンタ1の模式図である。図4(b)は、カートリッジ支持部材10が規制解除状態のときのプリンタ1の模式図である。図5は、連結部材および把持部を抜き出した図である。尚、ここでは、左側壁の構成について説明するが、図示しない右側壁も左側壁と同様である。また、実施形態1と同様の部分については、同一の符号を符し、詳細な説明は省略するものとする。
【0100】
カートリッジ支持部材10は、左右方向両端部において前後方向に延びる基部104aと、摩擦部材62と、摩擦部材62をコロ49に向けて付勢する付勢部材の一例としてのバネ63とを備える。基部104a、摩擦部材62およびバネ63は、実施形態3における移動規制手段104を構成する。
【0101】
基部104aは、摩擦部材62を収容するために基部104aの後方に形成された摩擦部材収容部64と、バネ63を収容するために摩擦部材64の前方に形成されたバネ収容部65とを有している。
【0102】
摩擦部材62は、コロ49の前側上方に設けられ、コロ49と当接してコロ49の回転を規制する規制位置(図4(a))と、コロ49との当接が解除されてコロ49の回転が規制されない規制解除位置(図4(b))との間を移動可能である。規制解除位置は、規制位置に対して前方に配置されている。また、摩擦部材62は、ゴムやコルクなど摩擦係数の高い材料で形成されている。また、摩擦部材62は、コロ49と当接する当接部66と、当接部66を固定する当接部固定板67とを備えている。
【0103】
当接部66は、上方に形成されて前後方向に延びる上面70と、下方に形成されて前後方向に延びる下面72と、上面70の前端と下面72の前端を連結する固定面69と、上面70の後端から下方に延びる後面71と、後面71の下端と下面72の後端とを連結する当接面68とを有している。当接面68は、円弧状に形成され、コロ49と当接する。当接部66は、固定面69において当接部固定板67に固定されている。
【0104】
バネ63は、一端が当接部固定板67に固定され、他端がバネ収容部65の前端部に固定されている。また、バネ63は、摩擦部材62を後方のころ49へ向かう方向へ付勢している。
【0105】
摩擦部材収容部64は、摩擦部材62が前後方向に移動するために基部104aに設けられた空間である。摩擦部材収容部64の上端部は、摩擦部材62のスライド移動の際に、当接部固定板67と当接して摩擦部材62をガイドしている。
【0106】
バネ収容部65は、バネ63を収容するために基部104aに設けられた空間である。また、バネ収容部65は、バネ63が前後方向に伸縮するように、上下方向を規制しつつ前後方向にガイドしている。
【0107】
カートリッジ支持部材10は、また、前端に設けられた把持部73と、把持部73と摩擦部材62とを連結する連結部材74と、を備えている。把持部73および連結部材74は、実施形態3における移動規制解除手段105を構成する。
【0108】
把持部73は、カートリッジ支持部材10の前端に設けられた固定把持部79と、回動可能な移動把持部80と、を有している。固定把持部79は、移動把持部80よりも前方に設けられ、カートリッジ支持部材10をスライド移動する際にユーザに把持される。
【0109】
連結部材74は、図5に示すように、把持部73の上端において左右方向に延びる棒状の第1連結部75と、第1連結部75の左右端部付近から下方へ延びる第2連結部76と、第2連結部76の下端から後方に延びる第3連結部78とを有している。第1連結部75および第2連結部76は、樹脂材料で形成されている。第3連結部は、移動規制手段104の基部104aに沿って延びており、一端が第2連結部76に固定され、他端が摩擦部材62の当接部固定板67に固定されている。また、第3連結部78は、ワイヤで形成されている。
【0110】
把持部73の移動把持部80は、第1連結部75から下方に延びており、第1連結部75を支点として回動可能に構成されている。また、移動把持部80は、ユーザがカートリッジ支持部材10をスライド移動させる際に、固定把持部79とともにユーザに把持されることにより、第1連結部75を支点として前方へ回動して下端部が固定把持部79に当接する(図4(b)参照)。摩擦部材62は、移動把持部80が連結部材74を介して摩擦部材62と連結されているため、移動部材80の前方への回動に連動して、前方へスライド移動する。
【0111】
次に、移動規制手段104および移動規制解除手段105の操作について説明する。
【0112】
摩擦部材62は、把持部73がユーザに把持されていないとき、バネ63によって後方へ付勢されてコロ49と当接する。カートリッジ支持部材10は、摩擦部材62がコロ49と当接する規制位置に位置していることにより、規制状態となる。
【0113】
摩擦部材62は、把持部73がユーザに把持されて移動把持部80が前方へ回動したとき、摩擦部材収容部64の前端に当接する位置までスライド移動する。コロ49は、摩擦部材62の当接が解除されることにより、自由に回転できるようになる。カートリッジ支持部材10は、摩擦部材62がコロ49に当接しない規制解除位置に位置していることにより、スライド移動可能な解除状態となる。
【0114】
次に、カートリッジ支持部材10のスライド移動について説明する。
【0115】
ユーザは、カートリッジ支持部材10を装着方向もしくは引出方向へ移動させるとき、カートリッジ支持部材10の固定把持部79および移動把持部80を把持する。移動把持部80は、ユーザの把持により、前方へ回動する。摩擦部材62は、移動把持部80の回動に連動して摩擦部材収容部64の前端に当接する位置までスライド移動する。ユーザは、摩擦部材62のスライド移動により摩擦部材62がコロ49から離れることにより、カートリッジ支持部材10を装着方向もしくは引出方向へ移動させることができる。
【0116】
次に、装着位置から引出位置への移動途中または引出位置から装着位置への移動途中で把持部73から手を離した場合について説明する。
【0117】
移動把持部80は、カートリッジ支持部材10の移動途中(図4(b)の状態)でユーザが把持部73から手を離したとき、バネ63の付勢力により後方へ回動する。摩擦部材62は、連結部材74を介して移動把持部80に連結されているため、移動把持部80が後方へ回動すると同時に、後方へ移動してコロ49と当接する。カートリッジ支持部材10は、摩擦部材62がコロ49と当接することにより、規制状態となる(図4(a)の状態)。
【0118】
以上のような構成によれば、移動規制手段104は、カートリッジ支持部材10に設けられ、規制位置と規制解除位置との間を変位可能である摩擦部材62と、摩擦部材62を規制位置へ向けて付勢するバネ63と、を有する。
【0119】
その結果、摩擦部材62は、バネ63によって常に規制位置へ付勢されているので、基本的に規制位置に配置されている。よって、カートリッジ支持部材10がユーザの意思に反して移動することがない。
【0120】
また、カートリッジ支持部材10は、カートリッジ支持部材10のスライド移動のときに回転するころ49を有し、摩擦部材62が、ころ49と当接したときに規制状態になり、当接を解除したときに規制解除状態になる。
【0121】
その結果、規制状態と規制解除状態との切り替えを比較的簡単な構成で実現出来る。
【0122】
また、移動規制解除手段105は、カートリッジ支持部材10においてカートリッジ支持部材10を引出す際に把持される把持部73を有し、把持部73が把持されているときは規制解除状態であり、把持部73が把持されていないときは規制状態である。
【0123】
その結果、把持部73を操作しないとカートリッジ支持部材10は動かないので、カートリッジ支持部材10がユーザの意思に反して移動することがない。
【0124】
<実施形態4>
実施形態4は、実施形態3における移動規制手段104の変形例である。
【0125】
図6(a)は、カートリッジ支持部材10が規制状態のときの移動規制手段106を説明するための図である。図6(b)は、カートリッジ支持部材10が規制解除状態のときの移動規制手段106を説明するための図である。なお、移動規制手段106以外は実施形態3と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0126】
カートリッジ支持部材10は、コロ49の前方に設けられた摩擦部材81と、摩擦部材81を上ガイド部47に向けて付勢するバネ82と、摩擦部材81と把持部73とを連結する連結部材83と、バネ82を収容するバネ収容部84とを備えている。摩擦部材81、バネ82およびバネ収容部84は、実施形態4における移動規制手段を構成する。
【0127】
摩擦部材81は、カートリッジ支持部材10の移動を規制する規制位置(図6(a))と、カートリッジ支持部材10の移動の規制を解除した規制解除位置(図6(b)との間を移動可能である。規制位置にある摩擦部材81は、上ガイド部47に当接している。規制解除位置にある摩擦部材81は、上ガイド部47との当接が解除され、規制位置から下方へ移動している。
【0128】
バネ82の一端は、摩擦部材81の下端に固定されている。バネ82の他端は、バネ収容部84の下端に固定されている。
【0129】
バネ収容部84は、バネ82を収容するためのスペースであり、バネ82の左右方向の位置を規制している。
【0130】
カートリッジ支持部材10は、実施形態3と同様の把持部73をユーザが把持することにより、規制状態から規制解除状態になる。摩擦部材81は、ユーザが連結部材83と連結された把持部73を把持することにより、下方へスライド移動する。これにより、カートリッジ支持部材10は、スライド移動可能になる。
【0131】
また、実施形態3において、第3連結部78をワイヤで形成したが、樹脂で形成してもよい。
【符号の説明】
【0132】
1 プリンタ
2 本体ケーシング
22 係合部材(実施形態1)
23 被係合部材(実施形態1)
25 バネ(実施形態1)
26 操作部(実施形態1)
49 ころ
51 係合部材(実施形態2)
52 被係合部材(実施形態2)
60 支点
62 摩擦部材
63 バネ(実施形態3)
73 把持部
74 連結部材
79 固定把持部
80 移動把持部
100 移動規制手段(実施形態1)
101 移動規制解除手段(実施形態1)
102 移動規制手段(実施形態2)
103 移動規制解除手段(実施形態2)
104 移動規制手段(実施形態3)
105 移動規制解除手段(実施形態3)
106 移動規制手段(実施形態4)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケーシングと、
複数のカートリッジを支持して、前記本体ケーシングに装着された装着位置から前記本体ケーシングに対して前記複数のカートリッジを着脱するための引出位置に斜め上方向に引き出し可能であるカートリッジ支持部材と、
前記カートリッジ支持部材の前記引出位置から前記装着位置への装着方向への移動を規制する規制状態と、前記カートリッジ支持部材の前記装着方向への移動の規制を解除する規制解除状態とに切替可能である移動規制手段と、
前記カートリッジ支持部材の前記規制状態から前記規制解除状態へ切替えるための移動規制解除手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記移動規制手段は、前記本体ケーシングおよび前記カートリッジ支持部材のいずれか一方に設けられた係合部材と、前記本体ケーシングおよび前記カートリッジ支持部材のいずれか他方に設けられた被係合部材と、を備え、
前記係合部材が前記被係合部材と係合することで前記規制状態になり、前記係合を解除することで前記規制解除状態になることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記係合部材は、前記本体ケーシングに設けられ、前記被係合部材と係合する規制位置と、前記被係合部材との係合が解除される規制解除位置との間を変位可能であり、
前記移動規制手段は、前記係合部材を前記規制位置へ向けて付勢する付勢部材を有することを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記移動規制解除手段は、前記本体ケーシングにおいて前記カートリッジ支持部材の引出方向と逆の方向へ押し込み操作可能な操作部を有し、
前記操作部が操作されているときは前記規制解除状態であり、前記操作部が操作されていないときは前記規制状態であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記係合部材は、前記カートリッジ支持部材において引出方向上流側に設けられ、上方へ突出した凸部を有し、
前記被係合部材は、前記本体ケーシングに設けられ、前記凸部と係合可能な凹部を有し、
前記凸部と前記凹部が係合することで前記規制状態になり、前記凸部と前記凹部の係合が解除されることで前記規制解除状態になることを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記本体ケーシングは、前記カートリッジ支持部材の引出方向下流側において、支点を有し、
前記カートリッジ支持部材は、前記規制状態における規制位置と、前記規制解除状態における規制解除位置との間を、前記支点を回動の中心として、回動可能であることを特徴とする、請求項2または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記被係合部材は、前記カートリッジ支持部材の前記引出方向に沿って連続した複数の被係合部を有することを特徴とする、請求項2、3、5、6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記移動規制手段は、前記カートリッジ支持部材に設けられ、規制位置と規制解除位置との間を変位可能である摩擦部材と、前記摩擦部材を前記規制位置へ向けて付勢する付勢部材と、を有することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記カートリッジ支持部材は、前記カートリッジ支持部材の前記移動のときに回転する回転部材を有し、
前記摩擦部材が、前記回転部材と当接したときに前記規制状態になり、前記当接を解除したときに前記規制解除状態になることを特徴とする、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記本体ケーシングは、前記カートリッジ支持部材の前記移動を案内するガイド部を有し、
前記摩擦部材が、前記ガイド部と当接したときに前記移動規制状態になり、前記当接を解除したときに前記規制解除状態になることを特徴とする、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記移動規制解除手段は、前記カートリッジ支持部材において前記カートリッジ支持部材を引出す際に把持される把持部を有し、
前記把持部が把持されているときは前記規制解除状態であり、前記把持部が把持されていないときは前記規制状態であることを特徴とする、請求項8から10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記移動規制手段は、前記摩擦部材と前記把持部を連結する連結部材を有することを特徴とする、請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記移動規制解除手段は、前記カートリッジ支持部材において前記カートリッジ支持部材を引出す際に把持される把持部を有し、
前記把持部が把持されているときは前記規制解除状態であり、前記把持部が把持されていないときは前記規制状態であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図2(c)】
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【図2(d)】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−20108(P2013−20108A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153599(P2011−153599)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】