説明

画像形成装置

【課題】光走査装置に伝達されるステイの振動を低減すること。
【解決手段】感光ドラム310と、画像データに基づいて感光ドラム310上に静電潜像を形成する光走査装置100と、を備える画像形成装置であって、画像形成装置本体に取り付けられ、光走査装置100が複数の支持部90a、90b、90cを介して載置されるステイ40を備え、ステイ40は、複数の支持部90a、90b、90cが取り付けられる複数の光走査装置取り付け部43a、43b、43cを備え、複数の光走査装置取り付け部43a、43b、43cの少なくとも1つを囲うように屈曲又は湾曲した形状のスリット44a、44b、44cが光走査装置取り付け部43a、43b、43cとステイ40の中央部との間に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置内の光走査装置の振動に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に画像形成装置内の光走査装置、感光ドラム、現像器、定着器などはそれぞれステイなどの支持部材に取り付けられ、画像形成装置内に設けられた2枚の側板に支持部材ごと取り付けられる。この構成において、感光ドラム、現像器、定着器などでモータ駆動やギアの噛み合い時などに発生した振動が、側板、ステイを通り、最終的に光走査装置に伝達される。そして、光走査装置自体あるいは光走査装置内に設けられた光学部品が、強制振動し、伝達される振動の振動数が光走査装置自体あるいは光走査装置内に設けられた光学部品の固有振動数と近い場合は、共振する。その結果、感光ドラム上への副走査線方向に対するレーザ照射位置にムラが生じ、ピッチムラと呼ばれる縞状の画像不良が生じてしまう。従って、光走査装置に伝達される振動を低減することが求められている。
【0003】
振動の対策として、例えば、特許文献1の画像形成装置は、台座の四方を折り曲げ、折り曲げ部中央に切欠きを設けることにより、台座のモードCの振動の腹と節の位置を変化させ、モードC´の振動に替えている。従って、振動の腹となっていた光走査装置取り付け部を、より振動の節に近づけることで光走査装置取り付け部の振動を減少させ、光走査装置への振動伝達を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−183596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では台座の折り曲げ部に切欠きを設けることで、モードCの振動の低減はできているが、他のモードの振動は低減していない。そのため、ピッチムラで問題となる振動数の振動が、台座に発生した場合に、光走査装置が大きく変位し、視認できる程のピッチムラが発生する可能性がある。従って、ピッチムラを低減するためには、光走査装置に伝達される台座(ステイ)の振動を低減する必要がある。
【0006】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、光走査装置に伝達されるステイの振動を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
【0008】
(1)像担持体と、画像データに基づいて前記像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、を備える画像形成装置であって、前記画像形成装置本体に取り付けられ、前記潜像形成手段が複数の支持部を介して載置される載置板を備え、前記載置板は、前記複数の支持部が取り付けられる複数の取り付け部を備え、前記複数の取り付け部の少なくとも1つを囲うように屈曲又は湾曲した形状の開口が前記取り付け部と前記載置板の中央部との間に形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光走査装置に伝達されるステイの振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1〜3の画像形成装置を示す図
【図2】実施例1〜3の画像形成装置に取り付けられた光走査装置を示す図
【図3】実施例1〜3の光走査装置を示す図
【図4】実施例1〜3の光走査装置の主走査断面図及び副走査断面図を示す図
【図5】実施例1〜3の画像形成装置(従来のステイを装備)内の振動伝達経路及びステイの振動モードを示す図
【図6】実施例1のステイを示す図
【図7】実施例1のステイの一次モード振動時の変位解析結果を示す図
【図8】実施例2、3のステイを示す図
【図9】実施例2のステイの一次モード振動時の変位解析結果を示す図
【図10】実施例2、3の一次モード振動試験の結果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を実施するための形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0012】
[画像形成装置の概略]
図1は実施例1の画像形成装置の概略構成図である。図1の画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色のトナー像を形成する4基の作像エンジン300Y、300M、300C、300Bkを備えている。尚、以下特定の色を説明するとき以外はY、M、C、Bkの符号は省略する。作像エンジン300は、感光ドラム310と、帯電ローラ330と、現像器320を備えている。そして、帯電ローラ330は、感光ドラム310を一様な電位に帯電させ、現像器320は、光走査装置100(潜像形成手段)から出射されたレーザの露光により、感光ドラム310上(像担持体上)に形成された静電潜像にトナー像を形成する。そして、作像エンジン300は、各色の画像データに応じたトナー像を感光ドラム310上に形成する。また、画像形成装置は、感光ドラム310上のトナー像が一次転写される中間転写ベルト400を備える。そして、中間転写ベルト400に多重転写されたトナー像は、給紙部200から搬送された記録紙に、転写ローラ410により2次転写され、カラー画像が記録紙上に形成される。中間転写ベルト400により記録紙上に2次転写されたトナー像は、定着器500に搬送され、定着ローラ510で挟持し、熱と圧力をかけることで記録紙に定着される。
【0013】
4基の作像エンジン300は、中間転写ベルト400の下方に並列して設けられており、光走査装置100は、作像エンジン300の下方に設けられている。そして、光走査装置100は、作像エンジン300に備えられた感光ドラム310を画像データに応じて露光している。また、光走査装置100は、2系統の走査光を出射するユニットを2つ備えている。一方のユニット(光走査装置100a)は、感光ドラム310Y、310Mを走査し、他方のユニット(光走査装置100b)は、感光ドラム310C、310Bkを走査している。光走査装置100aは、ステイ40A(載置板)により支持され、光走査装置100bはステイ40B(載置板)により支持されている。尚、ステイ40の詳しい構成は後述する。
【0014】
[画像形成装置に取り付けられた光走査装置]
図2(a)、(b)は、本実施例の画像形成装置の構成を示している。図2(a)は、2つの光走査装置100a、bを載せたステイ800A、Bが画像形成装置本体に取り付けられた図である。尚、光走査装置100a、bは、複数の支持部90a、90b、90c(脚の部分)を有し、複数の支持部90a、90b、90cを介してそれぞれステイ800A、Bに載置されている。また、図2(a)、(b)のステイ800A、Bは、本実施例のステイ40との比較のために従来例を示している。両側板20、21は複数の支持部材22によって支持されている。そして複数の支持部材22が、側板20、21を含めて一体的に固定され、画像形成装置のフレームとして構成されている。図2(b)は、図2(a)の画像形成装置のA−A´間における断面図であり、光走査装置100aがステイ800A上に取り付けられた状態を示している。ステイ800Aは、画像形成装置の側板20、21に複数のビス23によって取り付けられており、側板20、21間を橋渡しする形で位置決めされている。
【0015】
光走査装置100aは、側板20側(装置手前側)では、側板20に取り付ける板ばね24により支持部90cがステイ800Aに押し当てられることでステイ800A上に固定される。一方、光走査装置100aは、側板21側(装置奥側)では、ステイ800A上に設けられたバネ受け部25に突き当てられた板ばね26により支持部90a、90bがステイ800Aに押し当てられることでステイ800A上に固定される。従って、光走査装置100aは、ステイ800A上に板ばね24、26によって固定され、光走査装置100aの重力方向の位置は、ステイ800Aが画像形成装置に取り付けられた位置によって決められる。尚、板ばね24、26は、ステンレスで構成されている。
【0016】
[光走査装置の光路]
本実施例の光走査装置100の上面図を図3(a)に、斜視図を図3(b)に示す。図4(a)は、図3(a)の光走査装置100を右に90度回転し、光走査装置の光路を一平面上に展開した主走査断面図である。ここで、ポリゴンミラー5の回転によってレーザが走査される方向を主走査方向、それに直交し、かつポリゴンミラー5の回転軸と垂直な方向を副走査方向という。主走査断面とは、走査方向と平行で、かつ、ポリゴンミラー5の回転軸と垂直な面である。
【0017】
図4(a)に示すように、ポリゴンミラー5を挟んで対称に第1走査経路と第2走査経路の2つの走査経路が設けられており、第1走査経路と第2走査経路で別々の感光ドラム310を走査する。第1走査経路において、光源2aから出射したレーザはコリメータレンズ3aによって平行光に変換され、直後のシリンドリカルレンズ4aによって副走査方向のみ収束されたレーザとなる。そして、副走査方向のみ収束されたレーザは、絞り15aによって所定の形状に整形された後、ポリゴンミラー5の反射面上で線状に結像される。ポリゴンミラー5に結像されたレーザは、ポリゴンミラー5の回転により走査され、fθレンズ6a、7aにより感光ドラム310の表面上を等速度走査し結像を行う。尚、第2走査経路における上述の構成は、第1走査経路と同じなので省略する。
【0018】
図4(b)は、図4(a)で説明した光学系を搭載した光走査装置100aの副走査断面図である。副走査断面とは、走査方向と垂直でかつポリゴンミラー5の回転軸と平行な面である。図4(a)では光学系を平面展開して説明したが、光走査装置100aは、実際には図4(b)に示すように折り返しミラーを用いて立体的な経路で感光ドラム310Y、310Mを走査している。具体的には、光走査装置100aは、第1走査経路のレーザ光路上において、fθレンズ6aと7aの間に第1ミラー8aを設け、更にfθレンズ7aを通過した後に第2ミラー9aを設け、2回の折り返しでレーザを感光ドラム310Yへと導いている。尚、第2走査経路は、第1走査経路と同じ構成なので省略する。これらの光学部品は、全て筐体1により収められ光走査装置100aとして構成されている。尚、光走査装置100bは光走査装置100aと同じ構成なので省略する。
【0019】
[画像形成装置内の振動伝達]
図5(a)は、図2(b)の従来のステイ800を備える画像形成装置内を伝達する振動を示している。尚、ビス23、板ばね24、バネ受け部25、板ばね26は省略している。光走査装置100は、その重量を支えるため、側板20、21間に固定された従来のステイ800上に取り付けられている。駆動源10の振動は、図1の作像エンジン300、定着器500などにおいて転写ローラ410や定着ローラ510を回転駆動するためのモータやギアの噛み合いにより発生する。そして駆動源10で発生した振動は、側板20、21に伝達し(図5(a)の丸文字数字1)、側板20、21からステイ800に伝達される(図5(a)の丸文字数字2)。そして、ステイ800に伝達された振動は、ステイ800内を伝わり(図5(a)の丸文字数字3)、ステイ800から光走査装置100へと伝達される(図5(a)の丸文字数字4)。
【0020】
[ステイの構成]
図6(a)は、本実施例におけるステイ40を示している。本実施例の光走査装置100はステイ40によって光走査装置100を支持する構成を備える。ステイ40は矩形の板材である。光走査装置100の複数の支持部90a、b、cそれぞれに対応するように側板20、21に複数の梁を設け、その梁上に光走査装置100を載置することによって光走査装置100を画像形成装置内に設置することも可能である。しかしながら、図2の高さ方向において設置後の複数の梁の相対位置関係にずれがあると、画像形成装置内に光走査装置100が傾いて設置されることになり、光走査装置100の設置精度を高めることができない。それに対して、ステイ40は板状の部材であり、設置前に平面度が保証されている。そのため、ステイ40によって光走査装置100の支持部90a、90b、90cを支持することによって光走査装置100の設置精度を高めることができる。また、複数の梁を設ける場合、それぞれを側板20、21に取り付ける必要があり、設置工程が煩雑になる。それに対して、本実施例の画像形成装置では、ステイ40を側板20、21に取り付けるのみで光走査装置100の支持構成を形成することができるため、相対的に設置工程を簡便にすることができる。
【0021】
ステイ40は、矩形の板材の四方を折り曲げることで光走査装置100を支えるために十分な剛性が確保されている。ステイ40の対向する折り曲げ部41、42には、側板20、21への取り付け用ビス穴が設けられており、図2(b)に示した従来のステイ800のように、ステイ40は、ビス23により側板20、21間に取り付けられる。図6(b)は、図6(a)のステイ40のB−B´間における断面図である。光走査装置100は、ステイ40上の端部に設けられた光走査装置取り付け部43a、43b、43c(取り付け部)で、板バネ24、26によって固定される。また、図2、図5で示した従来のステイ800と異なり、本実施例のステイ40は、端部に設けられた光走査装置取り付け部43a、43b、43cの周囲に形状の異なるスリット44a、44b、44c(開口)を有している。
【0022】
スリット44a、44bは、湾曲する形状を有し、湾曲する形状の凸部の方向が、ステイ40の中央部に向いている。スリット44a、bはステイ40の中央部と光走査装置取り付け部43a、bの間に光走査装置取り付け部43a、bを囲うように(取り付け部43a、43bに取り付けられた光走査装置100の支持部90a、90bに沿うように)ステイ40に形成されている。また、スリット44cは、屈曲する形状を有し、屈曲する形状の凸部の方向が、ステイ40の中央部に向いている。そして、スリット44cは、ステイ40の中央部と光走査装置取り付け部43cの間に光走査装置取り付け部43cを囲うように(取り付け部43cに取り付けられた光走査装置100の支持部90cに沿うように)ステイ40に形成されている。上述のスリット44a、44b、44cは、ステイ40の振動時における光走査装置取り付け部43a、43b、43cの振動を低減することを目的としている。尚、スリット44a、44b、44cの位置は、ステイ40の中央部付近より、ステイ40の端部に設けられた光走査装置取り付け部43a、43b、43cから近い距離(取り付け部側)に配置された方が振動を低減する効果が期待できる。尚、本実施例では、光走査装置取り付け部43a、43b、43cを3つ有する構成とした。しかし、光走査装置取り付け部43a、43b、43cの数は、取り付け位置の精度と振動に対する安定度とから決定されるものであり、本実施例の構成に限定されるものではない。また、スリット44a、44b、44cの形状は、本実施例の構成に限定されるものではなく、図6(a)のように光走査装置取り付け部43a、43b、43cを囲うことができる形状であれば他の形状でもよい。例えば、屈曲形状を有するスリット44cは屈曲部の数が2つあるが、1つでも、3つ以上でもよい。
【0023】
[振動時の変位量の解析]
図5(b−1)は従来のステイ800が無振動時の状態を、図5(b−2)は従来のステイ800の一次モード振動の振動形態を、図5(b−3)は従来のステイ800の2次モード振動の振動形態を示している。図5(b−2)で示すように、一般的に振動によるステイ800の変位量は、周波数の低い一次モード振動において最大となる。例えば、本実施例の画像形成装置において、視認できる程のピッチムラで問題となる周波数は100Hz〜200Hzである。そして、図5(a)の駆動源10で発生する100Hz〜200Hzの周波数の振動が、ステイ800の一次モードの固有振動数と近く、図5(a)のようにステイ800に振動が伝達した場合に、ステイ800に図5(b−2)のような一次モードの振動が発生する。そして、ステイ800が一次モードで振動することで、光走査装置100が大きく揺らされてしまい、視認できる程目立つ、例えば1mm〜2mmのピッチムラが発生する場合がある。
【0024】
図7は一次モード振動により変位した本実施例のステイ40の解析結果を示している。図7でステイ40に付された色は、濃い色になるにつれて変位量が大きく、淡い色になるにつれて変位量が小さいことを示している。従って、最も濃い色が付されたステイ40の中央部分(中央部)の変位量が最も大きいことがわかる。また、光走査装置取り付け部43a、43b、43cの変位量は、周囲に比べ局所的に小さくなっていることがわかる。尚、図7のステイ上の最も淡い色(光走査装置取り付け部43cの色)の部分の変位は、無視できるほど微少であり、ピッチムラにおいて問題となる振動はしていない。
【0025】
スリット44a、44b、44cは、一次モード振動時に変位量が最大となるステイ40の中央部分と、光走査装置取り付け部43a、43b、43cを分離する働きをする。その結果、ステイ40の中央部分に引っ張られるように変形する光走査装置取り付け部43a、43b、43cの変位量が、スリット44a、44b、44cを設けることにより小さくなる。その結果、ステイ40から光走査装置取り付け部43a、43b、43cを通して光走査装置100へ伝達される一次モードの振動が、低減される。尚、本実施例では光走査装置取り付け部43a、43b、43cの全てに対して、それぞれスリット44a、44b、44cを設ける構成を示したが、この構成に限られない。例えば、スリット44cのみ、又はスリット44b、44cのみ設ける構成にしてもよい。また、例えば、スリット44a、44b、44cに加え、更に1つ以上のスリットを光走査装置取り付け部43a、43b、43cの周辺に設ける構成にしてもよい。
【0026】
以上本実施例によれば、光走査装置に伝達されるステイの振動を低減することができる。
【実施例2】
【0027】
[鋼板で作製した補強部材を取り付けたステイの構成]
実施例2の画像形成装置は実施例1で説明した構成とおおむね同じであるが、ステイ40の構成が異なっている。また、実施例1で説明した図1〜6は本実施例において援用する。図8は、本実施例における図6(a)のステイ40の裏面(ステイ40の光走査装置100が載置される面の裏面側)を示している。図8に示すように、複数のビス52が、ステイ40の裏面の光走査装置取り付け部43a、43b、43cの位置に鋼板(金属板)で作製した補強部材51a、51b、51cを固定している。そして、補強部材51a、51b、51cが、ステイ40の振動方向に対する光走査装置取り付け部43a、43b、43cの剛性を局所的に上げている。尚、本実施例ではビス52で補強部材51a、51b、51cを取り付けているが、溶接や接着などの固定方法でも同一の効果を得ることができる。また、本実施例では、補強部材51a、51b、51cに例えば、板厚1.6mmの鋼板を用いている。
【0028】
図9は、図8のステイ40に補強部材51a、51b、51cを取り付けた場合の一次モード振動時におけるステイ40の変位の解析結果を示している。また、図7の解析結果と比較すると、光走査装置取り付け部43a、43bの変位量が低減されていることがわかる。これは補強部材51a、51b、51cを取り付けたことで、光走査装置取り付け部43a、43b、43cの剛性が上がり、ステイ中央部分の変位が光走査装置取り付け部43a、43b、43cに及ぼす影響が、より低減されたためである。
【0029】
以上本実施例によれば、光走査装置に伝達されるステイの振動を低減することができる。
【実施例3】
【0030】
[制振鋼板で作製した補強部材を取り付けたステイの構成]
実施例3の画像形成装置は、実施例1で説明した構成とおおむね同じであるが、ステイ40の構成が異なっている。また、実施例1で説明した図1〜6は本実施例において援用する。本実施例のステイ40は、図8の鋼板で作成した補強部材51a、51b、51cを制振鋼板で作製した補強部材51a、51b、51cに代えた構成を有する。制振鋼板は、光走査装置取り付け部43a、43b、43cの剛性を上げるだけでなく、制振鋼板の有する制振性能により、実施例2の鋼板のみの補強部材51a、51b、51cよりも光走査装置取り付け部43a、43b、43cの振動を低減する。尚、制振鋼板とは、例えば、樹脂材料を2枚の鋼板で挟んだ構造をしたものである。また、制振鋼板の板厚は例えば、鋼板同様1.6mmを用いる。
【0031】
[補強部材を取り付けた場合の振動結果の比較]
図10のグラフは、本実施例の光走査装置100を載せたステイ40の一次モードの振動数を含む80Hz〜160Hzの振動を、連続して加振(スイープ加振)した場合の折り返しミラー9の中央部の振動加速度を示している。振動は、加振器によって側板21に対して5分程度に渡り加えている。
【0032】
図10のグラフは、実施例2のスリット44a、44b、44cと鋼板の構成を有するステイ40、及び実施例3のスリット44a、44b、44cと制振鋼板の構成を有するステイ40の振動低減効果を示している。測定対象は次のとおりである。まず実線で示す(A)は、スリット44a、44b、44cを設けていないステイ40、即ち、ステイ800を用いた場合である。次に破線で示す(B)は、スリット44a、44b、44cと鋼板の補強部材を設けた実施例2のステイ40を用いた場合である。次に太実線で示す(C)は、スリット44a、44b、44cと制振鋼板の補強部材を設けた実施例3のステイ40を用いた場合である。
【0033】
図10のグラフにおいて、縦軸の振動加速度(m/s)がピークとなる120Hz付近の振動数が、光走査装置100を載せたステイ40が一次モードで振動する固有振動数である。120Hz付近の各々の振動加速度を比較すると、(B)実施例2のスリット44a、44b、44cと鋼板の補強部材を設けたステイ40は、(A)スリット44a、44b、44cを設けていないステイ40に対し約30%振動加速度が小さくなっている。また、(C)実施例3のスリット44a、44b、44cと制振鋼板の補強部材を設けたステイ40は、(B)実施例2のスリット44a、44b、44cと鋼板の補強部材を設けたステイ40に対し更に約30%振動加速度が小さくなっている。従って、スリット44a、44b、44c及び鋼板の補強部材51a、51b、51cにより、ステイ40の一次モード振動の際の光走査装置取り付け部43a、43b、43cの振動が小さくなり、光走査装置100へ伝達する振動が低減していることが確認できる。また、制振性能を有する制振鋼板を補強部材51a、51b、51cに用いることで、鋼板の補強部材51a、51b、51cを設ける場合より、光走査装置100へ伝達する振動をより効果的に低減していることも確認できる。
【0034】
以上本実施例によれば、光走査装置に伝達されるステイの振動を低減することができる。
【符号の説明】
【0035】
40 ステイ
43a、43b、43c 光走査装置取り付け部
44a、44b、44c スリット
90a、90b、90c 支持部
100 光走査装置
310 感光ドラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
画像データに基づいて前記像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
を備える画像形成装置であって、
前記画像形成装置本体に取り付けられ、前記潜像形成手段が複数の支持部を介して載置される載置板を備え、
前記載置板は、前記複数の支持部が取り付けられる複数の取り付け部を備え、前記複数の取り付け部の少なくとも1つを囲うように屈曲又は湾曲した形状の開口が前記取り付け部と前記載置板の中央部との間に形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記取り付け部を囲う前記開口は、前記載置板の中央部と前記取り付け部との間において前記取り付け部側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記取り付け部を囲う前記開口は、前記載置板の中央部と前記取り付け部との間において、前記取り付け部に取り付けられている前記支持部に沿うように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記取り付け部を囲う前記開口の屈曲又は湾曲した形状の凸部の方向が、前記載置板の中央部に向いていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記取り付け部と、前記取り付け部を囲う前記開口は、前記載置板の端部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記取り付け部を囲う前記開口の屈曲又は湾曲した形状は、前記取り付け部の位置に応じてそれぞれ異なる形状であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記開口を、1つの前記取り付け部について少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記取り付け部を補強するために前記載置板の前記潜像形成手段が載置される面の裏面側に取り付けられる補強部材を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記補強部材が、前記載置板の前記潜像形成手段が載置される面の裏面側の前記取り付け部の位置に取り付けられることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記補強部材は、金属板であることを特徴とする請求項8又は9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記補強部材は、制振鋼板であることを特徴とする請求項8又は9に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−25187(P2013−25187A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161087(P2011−161087)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】