説明

画像形成装置

【課題】交換ユニットの装着状態の良否を視認性良くユーザーに知らせることにより交換ユニットの誤装着をより確実に防止する。
【解決手段】複数の現像ユニットdy,dm,dc,dkが装置本体に着脱自在に装着される複合機であって、現像ユニットdy,dm,dc,dkに取り付けられる発光体dy1,dm1,dc1,dk1と、現像ユニットdy,dm,dc,dkが正規状態に装着されたか否かあるいは非正規状態に装着されたかを判定し、正規状態と非正規状態とで発光体dy1,dm1,dc1,dk1の発光態様を異ならせる演算制御部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式に基づく画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、感光体ドラム、露光装置及び現像装置等から構成されており、露光装置等によって周面(感光面)に静電潜像が形成された感光体ドラムに現像装置からのトナーを供給することにより静電潜像をトナー像に現像する。このような画像形成装置では、感光体ドラム及び現像装置は消耗部品として位置付けられており、交換やメンテナンスを容易化するために、装置本体に対して着脱が自在となるようにユニット化されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−79023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記画像形成装置における各交換ユニットはサービスマンによって交換されることが一般的であるが、サービスマンに頼ることなくユーザーが自ら交換を行う場合もある。しかしながら、カラー方式の画像形成装置では、感光体ドラムユニット及び現像ユニットがイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、ブラック(K)の各トナー色に対応して各々4つ設けられており、またこれら各4つの感光体ドラムユニット及び現像ユニットは通常では外形的に略同一形状を有するので、ユーザーが自ら交換を行った場合に、例えばイエロー(Y)のトナー色の現像ユニットを装着すべきところに他のトナー色の現像ユニットを装着してしまう等の誤装着が発生する虞がある。そして、このような誤装着状態で画像形成装置を稼働させた場合には、画像形成装置を損傷させる虞がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、交換ユニットの装着状態の良否を視認性良くユーザーに知らせることにより交換ユニットの誤装着をより確実に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、第1の解決手段として、複数の交換ユニットが装置本体に着脱自在に装着される画像形成装置であって、交換ユニットに取り付けられる発光体と、交換ユニットが正規状態に装着されたか否かあるいは非正規状態に装着されたかを判定し、正規状態と非正規状態とで発光体の発光態様を異ならせる発光制御手段とを具備する、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、発光制御手段は、交換ユニットに設けられたユニット側接続部と該ユニット側接続部の装着先である本体側接続部との電気的な接続状態を検知することにより交換ユニットが正規状態に装着されたか否かを判定する、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、装置本体が開閉扉を備えると共に、交換ユニットは開閉扉を開放した状態で装置本体に装着されるものであり、発光体は、開閉扉に対峙する位置に設けられる、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれか1つの解決手段において、開閉扉には、少なくとも発光体に対応する位置が光透過性材料で形成されている、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、第5の解決手段として、上記第1〜第4のいずれか1つの解決手段において、交換ユニットは像担持体にトナーを供給することにより像担持体上の静電潜像をトナー像に現像する現像ユニットであり、発光制御手段は、現像ユニットのトナー消費量に応じて発光体の発光態様を変更する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、交換ユニットが正規状態に装着されたか否かあるいは非正規状態に装着されたかに基づいて交換ユニットに設けられた発光体の発光態様を異なるので、交換ユニットの装着状態の良否を視認性良くユーザーに知らせることが可能であり、よって交換ユニットの誤装着を従来よりも確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機Aの機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る複合機Aの外観を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施形態における現像ユニットdy〜dkと前扉53との関係を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるユニット側接続部dy2〜dk2を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る複合機Aは、電子写真方式に基づいて記録紙に画像を形成する画像形成装置であり、図1に示すように、操作表示部1、画像読取部2、画像データ記憶部3、画像形成部4、通信部5及び演算制御部6を備える。なお、演算制御部6は、本実施形態における発光制御手段を構成するものである。
【0014】
操作表示部1は、操作キー及びタッチパネルを備えており、ユーザーと画像形成装置Aとを関係付けるマンマシンインターフェイスとして機能する。操作表示部1は、操作キーまたはタッチパネルに表示された操作ボタンに対するユーザーの操作指示を操作信号として演算制御部6に出力するとともに、演算制御部6から入力される制御信号に基づいてタッチパネルに種々の情報を表示する。
【0015】
画像読取部2は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいてADF(Automatic document feeder:自動原稿送り装置)により自動給紙される原稿またはプラテンガラス上に載置された原稿の表面画像(原稿画像)をラインセンサーで読み取って原稿画像データに変換し、この原稿画像データを画像データ記憶部3に出力する。図2に示すように、上記ADFは複合機Aの上部に備えられており、画像読取部2は、このようなADFの下側に設けられている。
【0016】
画像データ記憶部3は、半導体メモリーまたはハードディスク装置等であり、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて、原稿画像データ、通信部5が外部のクライアントコンピューターから受信するプリント画像データ及び通信部5が外部のファクシミリ装置から受信するファクシミリ画像データを記憶すると共にこれら画像データを読み出して画像形成部4に出力する。
【0017】
画像形成部4は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて、給紙カセット45から取り出した記録紙Pに画像データ記憶部3から読み出した画像データに基づく原稿画像を画像形成するものである。この画像形成部4は、ベルトローラー41、中間転写ベルト42、トナーの各色(Y,M,C,K)に対応する4つの画像形成ユニット43Y,43M,43C,43K、1次転写ローラー44Y,44M,44C,44K、給紙カセット45、ピックアップローラー46、搬送ローラー47、レジストローラー48、2次転写ローラー49、定着ローラー50、排紙ローラー51及び排紙トレイ52を備えている。
【0018】
ベルトローラー41は、図示するように、離間して配設された3つのローラー、つまり駆動ローラー41a、従動ローラー41b及びテンションローラー41cからなる。すなわち、駆動ローラー41aと従動ローラー41bとは水平方向に一定距離を空けて配置され、テンションローラー41cは、このような駆動ローラー41aと従動ローラー41bとの間かつ若干上方に変位した位置に配置されている。中間転写ベルト42は、このようなベルトローラー41(駆動ローラー41a、従動ローラー41b、テンションローラー41c)に架け渡された無端ベルトであり、駆動ローラー41aによって矢印で示す方向に走行する。
【0019】
すなわち、中間転写ベルト42は、駆動ローラー41aと従動ローラー41bとの間においては水平方向に走行する。また、上述した駆動ローラー41aは、駆動力を発生するモーターが軸結合されたローラーであり、モーターの動力によって中間転写ベルト42を矢印方向に走行させる。上記従動ローラー41bは、自由回転するように設けられたフリーローラーであり、中間転写ベルト42を駆動ローラー41aの動力に従って案内する。また、上記テンションローラー41cは、回転軸が可動可能に設けられ、所定の付整力で中間転写ベルト42を押圧することにより一定のテンション(張力)を中間転写ベルト42に付与するローラーである。
【0020】
画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kは、図示するように、上述した中間転写ベルト42の水平走行部位に所定間隔を空けて設けられている。これら画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kのうち、画像形成ユニット43Yは、イエロー(Y)のトナー画像を形成するユニットであり、従動ローラー41bに最も近い位置に設けられている。画像形成ユニット43Mは、マゼンダ(M)のトナー画像を形成するユニットであり、上記画像形成ユニット43Yの次に従動ローラー41bに近い位置に設けられている。画像形成ユニット43Cは、シアン(C)のトナー画像を形成するユニットであり、上記画像形成ユニット43Mの次に従動ローラー41bに近い位置に設けられている。画像形成ユニット43Kは、ブラック(K)のトナー画像を形成するユニットであり、駆動ローラー41aに最も近い位置に設けられている。
【0021】
このような画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kは、各々に感光体ドラムay,am,ac,ak、帯電部by,bm,bc,bk、レーザースキャニングユニットcy,cm,cc,ck、現像ユニットdy,dm,dc,dk及びクリーナーey,em,ec,ekを構成要素としている。
【0022】
すなわち、画像形成ユニット43Yは、感光体ドラムay、帯電部by、レーザースキャニングユニットcy、現像ユニットdy及びクリーナーeyから構成され、画像形成ユニット43Mは、感光体ドラムam、帯電部bm、レーザースキャニングユニットcm、現像ユニットdm及びクリーナーemから構成され、画像形成ユニット43Cは、感光体ドラムac、帯電部bc、レーザースキャニングユニットcc、現像ユニットdc及びクリーナーecから構成され、画像形成ユニット43Kは、感光体ドラムak、帯電部bk、レーザースキャニングユニットck、現像ユニットdk及びクリーナーekから構成されている。
【0023】
感光体ドラムay,am,ac,akは、周面が所定の感光体材料(例えばアモルファスシリコン)で形成された円筒部材である。帯電部by,bm,bc,bkは、感光体ドラムay,am,ac,akの周面(感光面)を均一に帯電させるものである。レーザースキャニングユニットcy,cm,cc,ckは、帯電状態の上記感光面にレーザー光を照射することにより、感光面に静電潜像を形成するものである。
【0024】
各現像ユニットdy,dm,dc,dkは、内部に所定の量のトナーを収容すると共に当該トナーを感光面に供給することにより当該感光面に形成された静電潜像をトナー画像として現像するものであり、装置本体に対して着脱自在に装着される交換ユニットである。これら現像ユニットdy,dm,dc,dkには、図3に示すように、前扉53に対峙する前面に所定波長の光を発する発光体dy1,dm1,dc1,dk1が設けられている。各発光体dy1,dm1,dc1,dk1は、例えば赤色の光を発光するLED(Light Emitting Diode)である。
【0025】
また、各現像ユニットdy,dm,dc,dkの背面には、ユニット側接続部dy2,dm2,dc2,dk2(接続コネクタ)が設けられている。各ユニット側接続部dy2,dm2,dc2,dk2は、図4に示すように、2ピンの接続コネクタ(雄コネクタ)であり、装置本体に各現像ユニットdy,dm,dc,dkに対応して設けられた本体側接続部54Y,54M,54C,54Kと嵌合することにより、現像ユニットdy,dm,dc,dkを装置本体に電気的に接続させる。上記本体側接続部54Y,54M,54C,54Kは、例えば8つの受け口(雌コネクタ)を有するものである。
【0026】
これら4つの現像ユニットdy,dm,dc,dkのうち、現像ユニットdyのユニット側接続部dy2は、図4(a)に示すように、本体側接続部54Yの一列に並ぶ8つの受け口のうち、最も左側及び左から2番目に位置する2つの受け口に嵌合する2つの接続ピンP1,P2を備えている。現像ユニットdmのユニット側接続部dm2は、図4(b)に示すように、本体側接続部54Mの一列に並ぶ8つの受け口のうち、左から3番目及び4番目に位置する2つの受け口に嵌合する2つの接続ピンP3,P4を備えている。
【0027】
現像ユニットdcのユニット側接続部dc2は、図4(c)に示すように、本体側接続部54Cの一列に並ぶ8つの受け口のうち、左から5番目及び6番目に位置する2つの受け口に嵌合する2つの接続ピンP5,P6を備えている。さらに、現像ユニットdkのユニット側接続部dk2は、図4(d)に示すように、本体側接続部54Kの一列に並ぶ8つの受け口のうち、左から7番目及び8番目に位置する2つの受け口に嵌合する2つの接続ピンP7,P8を備えている。
クリーナーey,em,ec,ekは、トナー画像の転写後の感光面に残留するトナー(残留トナー)を掻き落として除去するものである。
【0028】
このように構成された画像形成部4は、装置本体内の略中央に設けられており、保守点検(メンテナンス)の必要から、図2に示すように装置本体の前面に設けられた前扉53を開放することによってアクセス可能に構成されている。例えば、各現像ユニットdy,dm,dc,dkは、前扉53を開放し、図示しないレバーを操作することによって装置本体から取り外すことが可能である。
【0029】
また、装置本体に設けられた前扉53には、閉じた状態において交換ユニットである各現像ユニットdy,dm,dc,dkの発光体dy1,dm1,dc1,dk1と対峙する位置に、上記警報光を透過させる透過窓53Y,53M,53C,53Kが設けられている。これら透過窓53Y,53M,53C,53Kは、例えば光透過性樹脂から形成された円盤状部材であり、前扉53に設けられた円形開口に嵌め合わされている。
【0030】
1次転写ローラー44Y,44M,44C,44Kは、図示するように画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kに対応して4つ設けられており、各々に中間転写ベルト42を挟んだ状態で各画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kの感光体ドラムay,am,ac,akに対向配置されている。また、各1次転写ローラー44Y,44M,44C,44Kには1次転写バイアス(高電圧)が印加されており、各1次転写ローラー44Y,44M,44C,44Kは、この1次転写バイアスの作用によって各画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kの感光体ドラムay,am,ac,akにそれぞれ形成された各色のトナー像を中間転写ベルト42に転写(1次転写)させる。
【0031】
給紙カセット45は、A4サイズやB5サイズ等、所定形状の記録紙Pを複数枚重ねた状態で収容する容器である。ピックアップローラー46は、給紙カセット45の上部において記録紙Pに圧接するように設けられ、給紙カセット45内の記録紙Pを1枚づつ取り出して搬送ローラー47に送り出すローラーである。搬送ローラー47は、ピックアップローラー46から給紙された記録紙Pをレジストローラー48に向けて搬送するローラーである。レジストローラー48は、搬送ローラー47から供給された記録紙Pを所定のタイミングで2次転写ローラー49に供給するローラーである。
【0032】
2次転写ローラー49は、中間転写ベルト42を挟んで駆動ローラー41aに対向配置されたローラーであり、中間転写ベルト42上のトナー画像を記録紙Pに転写(2次転写)させるものである。この2次転写ローラー49には、2次転写バイアス(高電圧)が印加されており、2次転写ローラー49は、この2次転写バイアスの作用によって中間転写ベルト42上のトナー画像を記録紙Pに転写(2次転写)させる。
【0033】
定着ローラー50は、内部にヒータを備えた加熱ローラー50aと、当該加熱ローラー50aに圧接する加圧ローラー50bとから構成されている。この定着ローラー50は、加熱ローラー50aと加圧ローラー50bとで各色のトナー画像が転写された記録紙Pを挟み込むことにより記録紙Pを加熱及び加圧して、各色のトナー画像を記録紙P上に定着させる。排紙ローラー51は、定着ローラー50から供給された記録紙Pを排紙トレイ52に向けて搬送するローラーである。排紙トレイ52は、排紙ローラー51から供給された記録紙Pを収容・保持する収容部である。
【0034】
通信部5は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて、電話回線を介して外部の複合機あるいはファクシミリ装置と通信を行うと共に、LAN(Local Area Network)を介してクライアントコンピューター等と通信を行うものである。すなわち、この通信部5は、G3等のファクシミリ規格に準拠した通信機能とイーサネット(登録商標)等のLAN規格に準拠した通信機能とを兼ね備えたものである。
【0035】
演算制御部6は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び電気的に相互接続された各部と各種信号の送受信を行うインターフェイス回路等から構成されている。この演算制御部6は、上記ROMに記憶された制御プログラムに基づいて各種の演算処理を行うと共に各部と通信を行うことにより複合機Aの全体動作を制御する。
【0036】
また、演算制御部6は、特徴的な制御処理として、現像ユニットdy,dm,dc,dkが装置本体に装着された際に、正規状態に装着されたかあるいは非正規状態に装着されたかを判定し、正規状態と非正規状態とで現像ユニットdy,dm,dc,dkの発光体dy1,dm1,dc1,dk1の発光態様を異ならせる。
【0037】
この演算制御部6は、例えば現像ユニットdy,dm,dc,dkを装置本体から取り外すためのレバーが操作されると、本体側接続部54Y,54M,54C,54Kとのユニット側接続部dy2,dm2,dc2,dk2との接続状態を監視し、新たに現像ユニットdy,dm,dc,dkが装置本体に装着されると、該接続状態が正規状態かあるいは非正規状態かを判定し、正規状態の場合にのみ発光体dy1,dm1,dc1,dk1を発光させる。なお、このような特徴的な制御処理の詳細については後述する。
【0038】
また、この特徴的な制御処理は複合機Aの主電源がOFF状態で行われるが、演算制御部6は、主電源がOFF状態であってもバッテリ等の補助電源によって上記特徴的な制御処理を行い得るように電源系が構成されている。
【0039】
次に、このように構成された複合機Aの特徴的動作について説明する。
最初に本複合機Aの全体動作を説明する。例えばユーザーがADFに原稿をセットし、また操作表示部1を操作することによって原稿の複写(コピー)を指示すると、当該指示に関する操作信号は操作表示部1から演算制御部6に入力される。この結果、演算制御部6は、画像読取部2に原稿の頁毎に原稿画像を順次読み取らせると共に、当該原稿画像の原稿画像データを画像データ記憶部3に記憶させる。そして、演算制御部6は、上記原稿画像データに基づいて各トナー色に対応するビットマップ画像データをそれぞれ生成し、これらビットマップ画像データに基づいて原稿画像の画像形成処理を画像形成部4に実行させる。
【0040】
すなわち、演算制御部6は、ピックアップローラー46を駆動させて給紙カセット45内の記録紙Pを1枚づつ取り出して搬送ローラー47に送り出させると共に当該搬送ローラー47を駆動させて記録紙Pをレジストローラー48に向けて搬送させる。また、演算制御部6は、駆動ローラー41aを駆動させて中間転写ベルト42を走行状態とすると共に、各画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kを駆動させ、上述した各ビットマップ画像データに基づいて各色のトナー像を各感光体ドラムay,am,ac,akの感光面(周面)に形成させる。そして、演算制御部6は、各1次転写ローラー44Y,44M,44C,44Kに1次転写バイアスを印加させることによって、各感光体ドラムay,am,ac,akのトナー像を中間転写ベルト42上に1次転写させる。
【0041】
そして、演算制御部6は、画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kにおける各色の画像形成の処理タイミングに合わせてレジストローラー48を駆動させると共に2次転写ローラー49に2次転写バイアスを印加させることによって、記録紙Pの所望位置に中間転写ベルト42上のトナー画像(原稿画像)を2次転写させる。そして、演算制御部6は、定着ローラー50及び排紙ローラー51を駆動させて、記録紙P上のトナー画像を定着させると共に排紙トレイ52に排出させる。
【0042】
ここで、このような本複合機Aにおける画像形成処理では、各現像ユニットdy,dm,dc,dk内に収納された各色のトナーは、徐々に消費され、最終的には残量がなくなるので、交換の必要が生じる。また、各現像ユニットdy,dm,dc,dkに何らかのトラブルが発生した場合にも現像ユニットdy,dm,dc,dkを交換する必要が生じ得る。このような各現像ユニットdy,dm,dc,dkの交換は、サービスマンあるいは複合機Aを使用しているユーザー自らが行うことになる。
【0043】
例えば、ユーザーが各現像ユニットdy,dm,dc,dkの全ての交換を行う場合、前扉53を閉じた状態から開放状態とし、装置本体に装着された状態の各現像ユニットdy,dm,dc,dkを複合機Aの前方側(前扉53側)に引き出して順次取り外す。そして、ユーザーは、別途入手した新たな現像ユニットdy,dm,dc,dkを前方から後方に押し込むことによって装置本体に順次装着する。これら現像ユニットdy,dm,dc,dkの正規の装着位置は、図2に示すように、正面から見て現像ユニットdyが最も右側で、現像ユニットdmが右から2番目、現像ユニットdcが右から3番目、また現像ユニットdkが右から4番目(つまり最も左側)である。
【0044】
ユーザーは、これら4つの現像ユニットdy,dm,dc,dkを例えば現像ユニットdy→現像ユニットdm→現像ユニットdc→現像ユニットdkの順で装置本体に装着するが、図3に示すように最初の現像ユニットdyを最も右側の正規位置に装着した場合、つまり本体側接続部54Yに現像ユニットdyのユニット側接続部dy2を接続した場合、図4(a)に示すように、本体側接続部54Yの8つの受け口のうち、最も左側及び左から2番目に位置する2つの受け口に現像ユニットdyのユニット側接続部dy2の2つの接続ピンP1,P2が嵌合する。この結果、演算制御部6は、現像ユニットdyが正規位置に装着されたので、当該現像ユニットdyを正常に制御することが可能であり、よって当該現像ユニットdyの発光体dy1を発光させる。
【0045】
これに対して、ユーザーが最初の現像ユニットdyを最も右側以外の位置に装着した場合、つまり本体側接続部54Y以外の本体側接続部54M,54C,54Kの何れか(例えば本体側接続部54M)に現像ユニットdyのユニット側接続部dy2を接続した場合、本体側接続部54Mの8つの受け口のうち、最も左側及び左から2番目に位置する2つの受け口にユニット側接続部dy2の2つの接続ピンP1,P2が嵌合する。
【0046】
この場合には、正規には、図4(b)に示すように、本体側接続部54Mには現像ユニットdmが接続されるべきであり、この様な正規状態では現像ユニットdmの2つの接続ピンP3,P4が本体側接続部54Mの8つの受け口のうち、左から3番目及び4番目に位置する2つの受け口に接続される。演算制御部6は、このような本体側接続部54Mに正規な現像ユニットdm以外の現像ユニットdyが接続されると、現像ユニットdyの発光体dy1を発光させない。
【0047】
このような演算制御部6による特徴的な制御処理は、2番目以降に装置本体に装着される各現像ユニットdm,dc,dkについても同様であり、ユーザーが図3に示された正規位置に各現像ユニットdm,dc,dkを装着した場合にのみ、演算制御部6は、新たに装着された現像ユニットdm,dc,dkの発光体dm1,dc1,dk1を発光させる。
【0048】
ここで、このような複合機Aでは、装置本体に対して正規状態に装着された各現像ユニットdy,dm,dc,dkの発光体dy1,dm1,dc1,dk1は何れも点灯状態つまり何れも赤色光を発する状態となる。また、このような発光体dy1,dm1,dc1,dk1は、各現像ユニットdy,dm,dc,dkの前面に設けられているので、複合機Aの前方側から装置本体にアクセスするユーザーにとって視認し易い。全ての現像ユニットdy,dm,dc,dkの装着が完了すると、ユーザーは、前扉53を閉じるが、前扉53には各透過窓53Y,53M,53C,53Kが設けられているので、ユーザーは、複合機Aの外部から発光体dy1,dm1,dc1,dk1の光を容易に視認することができる。
【0049】
演算制御部6は、このような発光体dy1,dm1,dc1,dk1について、発光態様を変更させる、例えば所定周期でパルス状に点灯させることによって各現像ユニットdy,dm,dc,dkのトナー消費量(トナー残量)を外部に報知させる。例えば、演算制御部6は、トナー消費量が多くなる程(トナー残量が少なくなる程)に点灯周期が短くなるように発光体dy1,dm1,dc1,dk1の発光態様を変化させることにより各現像ユニットdy,dm,dc,dkの状態を外部に報知する。
【0050】
より具体的には、演算制御部6は、複合機Aが処理するジョブ毎にトナー各色のドット数をカウントすることによりトナー各色のドットカウント値を算出し、該ドットカウント値と予め記憶している1ドットあたりのトナー消費量とに基づいてジョブにおけるトナー各色のトナー消費量を算出し、各現像ユニットdy,dm,dc,dkの交換から今までのトナー各色毎にトナー消費量を積算することにより各現像ユニットdy,dm,dc,dk毎のトナー消費量を算出する。そして、演算制御部6は、該トナー消費量が多い程に発光体dy1,dm1,dc1,dk1に短い間隔で発光させる。ユーザーは、閉じた状態にある前扉53の透過窓53Y,53M,53C,53Kを介して複合機Aの外部から発光体dy1,dm1,dc1,dk1の光を視認することができるので、各現像ユニットdy,dm,dc,dkのトナー消費量を容易に確認することができる。
【0051】
このような本実施形態によれば、各現像ユニットdy,dm,dc,dkが装置本体に対して正規状態に装着された場合にのみ各現像ユニットdy,dm,dc,dkの発光体dy1,dm1,dc1,dk1が発光するので、各現像ユニットdy,dm,dc,dkの装着状態の良否を視認性良くユーザーに知らせることが可能であり、よって各現像ユニットdy,dm,dc,dkの誤装着を従来よりも確実に防止することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、発光体dy1,dm1,dc1,dk1の発光態様がトナー消費量に応じて変更されるので、直接的かつ容易に各現像ユニットdy,dm,dc,dkのトナー消費状態を確認することができる。さらに、本実施形態によれば、前扉53に透過窓53Y,53M,53C,53Kが設けられているので、ユーザーは、発光体dy1,dm1,dc1,dk1の光状態、つまり各現像ユニットdy,dm,dc,dkの装着状態及びトナー消費状態を複合機Aの外部から容易に確認することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態では、現像ユニットdy,dm,dc,dkが装置本体の正規位置に装着された場合に発光体dy1,dm1,dc1,dk1が発光し、非正規位置に装着された場合には発光体dy1,dm1,dc1,dk1が発光しないようにしたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、これとは逆に、現像ユニットdy,dm,dc,dkが装置本体の正規位置に装着された場合に発光体dy1,dm1,dc1,dk1を発光させず、非正規位置に装着された場合には発光体dy1,dm1,dc1,dk1を発光させてもよい。
【0054】
具体的には、各現像ユニットdy,dm,dc,dkそれぞれの内部にトナー各色に対応した識別情報を組み込んだ回路を埋め込み、演算制御部6は、各現像ユニットdy,dm,dc,dkの装着時に、上記回路から識別情報を受け取る。そして、演算制御部6は、該識別情報に基づいて正しい組み合わせで装着されたか否か判定し、正しい組み合わせで装着された場合には、各現像ユニットdy,dm,dc,dk内部の回路に発光体dy1,dm1,dc1,dk1を発光させず、正しくない組み合わせで装着された場合には、各現像ユニットdy,dm,dc,dk内部の回路に発光体dy1,dm1,dc1,dk1を発光させる。
【0055】
(2)上記実施形態は、各現像ユニットdy,dm,dc,dkの装着位置の正否を通知するものであるが、本発明はこれに限定さない。例えば、各感光体ドラムay,am,ac,akが各々に対応する帯電部by,bm,bc,bkとユニット化された感光体ユニットに発光体及びユニット側接続部を設け、上記と同じ処理をさせてもよい。
【0056】
(3)上記実施形態において、演算制御部6は、ドットカウント値を用いて各現像ユニットdy,dm,dc,dkのトナー消費量を算出し、該トナー消費量に応じて発光体dy1,dm1,dc1,dk1を発光させたが、本発明はこれに限定されない。
例えば、演算制御部6は、各記録紙における各色の印字率に基づいて各現像ユニットdy,dm,dc,dkのトナー消費量を算出してもよい。
【0057】
例えば、演算制御部6は、画像形成時に、画像データに基づいて各記録紙に対する各色の印字率を算出し、該印字率に基づいて記録紙毎の各色のトナー消費量を算出する。そして、演算制御部6は、各現像ユニットdy,dm,dc,dkそれぞれの交換から今までの記録紙毎の各色のトナー消費量を積算することにより各現像ユニットdy,dm,dc,dkのトナー消費量を算出する。そして、演算制御部6は、該トナー消費量に応じて発光体dy1,dm1,dc1,dk1を発光させる。
【0058】
また、演算制御部6は、実行されたジョブ数に基づいて各現像ユニットdy,dm,dc,dkにおける各色のトナー消費量を算出するようにしてもよい。例えば、演算制御部6は、予め1つのジョブあたりの各色のトナー消費量の平均値を記憶する。そして、演算制御部6は、各現像ユニットdy,dm,dc,dkの交換から今までに実行されたジョブ数と1つのジョブあたりの各色のトナー消費量の平均値とに基づいて各現像ユニットdy,dm,dc,dkのトナー消費量を算出する。そして、演算制御部6は、該トナー消費量に応じて発光体dy1,dm1,dc1,dk1を発光させる。
【符号の説明】
【0059】
A…複合機(画像形成装置)、1…操作表示部、2…画像読取部、3…画像データ記憶部、4…画像形成部、5…通信部、6…演算制御部、41a,41b,41c…ベルトローラー、42…中間転写ベルト、43Y,43C,43M,43K…画像形成ユニット、44Y,44M,44C,44K…1次転写ローラー、45…給紙カセット、46…ピックアップローラー、47…搬送ローラー、48…レジストローラー、49…2次転写ローラー、50…定着ローラー、51…排紙ローラー、52…排紙トレイ、53…前扉、53Y,53M,53C,53K…透過窓、54Y,54C,54M,54K…本体側接続部、ay,am,ac,ak…感光体ドラム、by,bm,bc,bk…帯電部、cy,cm,cc,ck…レーザースキャニングユニット、dy,dm,dc,dk…現像ユニット、ey,em,ec,ek…クリーナー、dy1,dm1,dc1,dk1…発光体、dy2,dm2,dc2,dk2…ユニット側接続部、P…記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の交換ユニットが装置本体に着脱自在に装着される画像形成装置であって、
前記交換ユニットに取り付けられる発光体と、
前記交換ユニットが正規状態に装着されたか否かあるいは非正規状態に装着されたかを判定し、正規状態と非正規状態とで前記発光体の発光態様を異ならせる発光制御手段とを具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記発光制御手段は、前記交換ユニットに設けられたユニット側接続部と該ユニット側接続部の装着先である本体側接続部との電気的な接続状態を検知することにより前記交換ユニットが正規状態に装着されたか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
装置本体が開閉扉を備えると共に、前記交換ユニットは前記開閉扉を開放した状態で前記装置本体に装着されるものであり、
前記発光体は、前記開閉扉に対峙する位置に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記開閉扉には、少なくとも前記発光体に対応する位置が光透過性材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記交換ユニットは像担持体にトナーを供給することにより前記像担持体上の静電潜像をトナー像に現像する現像ユニットであり、
前記発光制御手段は、前記現像ユニットのトナー消費量に応じて前記発光体の発光態様を変更することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−25238(P2013−25238A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162071(P2011−162071)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】