説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において、可動部材の可動領域を確保しつつ、底板の強度を向上させること。
【解決手段】底板13は、絞り131、132及び133を有している。絞りは、応力を分散させる位置に、一又は複数設けられる。絞り131は、リンク部材22と底板13とが接触することが無いように、Y軸正方向に円弧状に突出してリンク部材22を避けている。背板12及び底板13には、補強部材27が溶接されている。補強部材27は、XY平面とYZ平面の2つの面で背板12に溶接されている。背板12は、支持部材20を貫通させるために、その一部がZ軸負方向に屈曲している。補強部材27は、当該屈曲により生じた背板12のYZ平面で溶接される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置において、支持脚にかかる荷重が相互に等しくなるように、装置内部の各ユニットを配置する技術が記載されている。また、支持脚にかかる荷重の分布状態に合わせて、支持脚の弾性率を相互に異ならせる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−160081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像形成装置において、可動部材の可動領域を確保しつつ、底板の強度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、筐体を形成するフレームと、前記フレームによって支持されると共に前記筺体から引き出し可能に構成され、記録媒体を収納する収納部と、前記収納部の底面に設けられ、前記収納部に対して第一の方向に向けて当該収納部の底面を越えて可動する可動領域を有する可動部材と、前記フレームの一部であって前記収納部に対して第一の方向に隣接して配置された底板と、を有し、前記底板は、前記可動領域に応じて形成され且つ当該可動領域における前記可動部材を避けるように形成された絞り部を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、前記第一の方向に突出し、前記フレームを支持する脚部材を有し、前記絞り部は、脚部材と脚部材との間に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、底板が可動部材の可動領域に応じた絞り部を有していない場合と比較して、可動部材の可動領域を確保しつつ、底板の強度を向上させることができる。
請求項2に係る発明によれば、絞り部が、脚部材と脚部材との間に形成されていない場合と比較して、脚部材の周囲の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像形成装置の外観を示す斜視図。
【図2】画像形成装置のフレームの概観を示す斜視図。
【図3】用紙収納部の底面を下から見た模式図。
【図4】比較例のフレームの形状を示した斜視図。
【図5】底板の形状を示した拡大図。
【図6】底板の断面を示した図。
【図7】底板を上から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図である。画像形成装置1は、複写機、プリンタ、スキャナ及びファクシミリとして機能する装置である。画像形成装置1は、用紙収納部2aと、用紙収納部2bと、操作パネル3とを有する。以下では、画像形成装置1の構成要素間の位置関係を説明するため、3次元直交座標系を用いる。画像形成装置1を操作するユーザが画像形成装置1を正面(操作パネル3に正対する向き)から見たときの右方向がX軸、高さ方向(鉛直上向き)をY軸、奥行き方向(奥から手前に向かう向き)がZ軸の、それぞれ正方向である。画像形成装置1は、底面側に用紙を収納する用紙収納部2a及び2b(収納部の一例)を備えている。用紙収納部2a及び2bは、各種サイズの用紙(記録媒体の一例)を収納する。用紙収納部2a及び2bは、Z軸正方向に滑らせて引き出すことができる。操作パネル3は、画像形成装置1を操作するためのメニュー画面又はメッセージを表示し、ユーザからの各種指示又は各種操作を受け付ける。以下、用紙収納部2a及び2bを区別する必要がない場合は、単に用紙収納部2と表現する。画像形成装置1は、筐体と、内部機器とを有する。筐体は、フレームと外装部品とを有する。内部機器は、画像形成装置としての機能を実現するための機器であり、例えば、電子部品、感光体ドラム、及びローラーを含む。用紙収納部2は、画像形成装置のフレームによって支持されると共に、筐体から引き出し可能に構成される。
【0010】
図2は、画像形成装置1のフレームの概観の一例を示す斜視図である。この図は、画像形成装置1の背面側から見た図である。フレームは、背板12、底板13、柱14、柱15、柱16、梁17、梁18、梁19、及び支持部材20を有する。これらの部材は、例えば亜鉛めっき鋼板により形成されている。背板12は、画像形成装置1の背面のXY平面上に設けられる。背板12は、矩形の部材であり、底面側において底板13と溶接されている。背板12の外周は、底板13と溶接される辺を除いて、Z軸負方向に屈曲している。画像形成装置1の背面には、屈曲した背板12と底板13とで囲まれた空間が形成される。底板13には、二つのフット41(脚部材の一例)がY軸負方向(第一の方向の一例)に向かって突出するようにネジ止めされている。画像形成装置1を床面に設置する際、底板13から突出する2つのフット41と、図示されていない画像形成装置1の正面の底板から突出する2つのフットとが、フレーム(すなわち画像形成装置1)を支持する。柱14、柱15、及び柱16は、Y軸方向に沿って延びる部材である。柱14及び柱15は、画像形成装置1の正面の柱となる部材である。柱14は、画像形成装置1を正面から見て右端に設けられ、柱15は、左端に設けられる。柱16は、画像形成装置1を正面から見て、背板12の左上端部分に設けられる。柱16は、底面側の一部が背板12と底板13とで囲まれた空間に入り込んでおり、背板12に溶接及びネジ止めされている。梁17、梁18、及び梁19は、Z軸方向に沿って延びる部材である。梁17は、一端が柱14の上端に、他端が背板12にネジ止めされている。梁18は、一端が柱15に、他端が背板12にネジ止めされている。梁19は、一端が柱15の上端に、他端が柱16の上端にネジ止めされている。支持部材20は、Z軸方向に沿って延び、フレームの両側面となる部材である。一方の側面の支持部材20は、背板12及び柱14にネジ止めされている。図示されていない、他方の側面の支持部材は、背板12及び柱15にネジ止めされている。支持部材20は、筐体の内部側に、用紙収納部2をZ軸方向に滑らせるためのレールを有しており、用紙収納部2を支持する。支持部材20は、筐体の内部に収納された用紙収納部2aの底面が、底板13よりも高くなる位置で背板12に固定されている。すなわち、底板13は、用紙収納部2に対してY軸負方向に隣接して配置される。なお、図2においては、図面が煩雑になるのを避けるため、ネジ穴等の詳細な形状は省略されている。
【0011】
図3は、用紙収納部2の底面を下から見た模式図である。用紙収納部2は、本体21と、リンク部材22と、ガイド部23と、伝達部24と、サイズ検知機構25とを有する。本体21は、用紙を収納するための容器である。本体21の、図3で示されている面(下から見た面)を「底裏面」(底面の一例)という。リンク部材22(可動部材の一例)は、用紙収納部2の底裏面に設けられている。リンク部材22は、用紙収納部2に収納された用紙のサイズの検知に用いられる。リンク部材22は、棒状の形状を有している。リンク部材22は、回転軸Oを中心に回転する。リンク部材22は、両端から予め定められた距離に孔220a及び孔220bを有する。孔220aにはガイド部23の突起部203が、孔220bには伝達部24の突起部204が、それぞれ挿入されている。本体21の底裏面には、溝213及び溝214が設けられている。ガイド部23は、溝213に沿って移動する。ガイド部23は、用紙収納部2の底表面(図示されている面の裏の面、すなわち用紙が載せられる面)にも突起している。ユーザは用紙収納部2に収納されている用紙のサイズにあわせてガイド部23を移動させる。ガイド部23が図中a方向(X軸負方向)に移動すると、リンク部材22は図中b方向に回転する。リンク部材22の回転に伴って、伝達部24は、溝214に沿って図中c方向(X軸正方向)に移動する。
【0012】
図3(b)は、図3(a)の状態からリンク部材22が回転した状態を示している。サイズ検知機構25は、伝達部24の位置に応じた電気信号を生成する。その結果、用紙収納部2に収納された用紙のサイズに応じた電気信号がサイズ検知機構25で生成される。リンク部材22が回転する角度は、突起部203の可動域d1及び突起部204の可動域d2、並びに孔220a及び孔220bの大きさによって決まる。リンク部材22が回転すると、図3(b)で示すように、リンク部材22の一部が、背面側へ突出する。以下では、リンク部材22が回転に伴って掃く領域のうち、用紙収納部2に対してZ軸負方向を向いて、本体21の底裏面を越えて可動する部分(図3(b)の破線で示される部分と本体21の外周で囲まれる領域)を可動領域という。背板が単純な平板形状を有していた場合、可動領域は確保されず、リンク部材22が背板にぶつかって回転できなくなってしまう。
【0013】
図4は、比較例に係る画像形成装置のフレームの形状を示した斜視図である。比較例において、背板12は、矩形の孔125aと孔125b、及びスリット126aと126bを有する。孔125a及び孔125bからは、用紙収納部2のサイズ検知機構25が突出する。スリット126a及びスリット126bは、リンク部材22の可動領域を確保し、回転したリンク部材22を通過させる。用紙収納部2aのリンク部材22は、回転するとスリット126aを通過する。用紙収納部2bのリンク部材22は、回転するとスリット126bを通過する。スリット126a又は126bを通過したリンク部材22は、背板12と底板とで囲まれた空間に突出する。底板は、スリット126aを通過するリンク部材22の可動領域を確保するため、平板状になっている。底板が平板状である場合、フット41の周りの強度が十分でなく、フット41にかかる荷重によって底板が変形する場合がある。
【0014】
図5は、画像形成装置1の底板13の形状を示した拡大図である。底板13は、絞り131、132、及び133を有している。絞りとは、他の部分より突出した部分をいう。絞りは、応力を分散させる位置に、一又は複数設けられる。絞り131(絞り部の一例)は、背板12のスリット126aよりも(Y軸正方向において)高い位置で背板12に溶接されている。絞り131は、リンク部材22と底板13とが接触することが無いように、リンク部材22の可動領域に応じて形成され且つ可動領域におけるリンク部材22を避けるように形成されている。絞り131は、Y軸正方向に円弧状に突出してリンク部材22を避けている。背板12及び底板13には、補強部材27が溶接されている。補強部材27は、XY平面とYZ平面の2つの面で背板12に溶接されている。背板12は、支持部材20を貫通させるために、その一部がZ軸負方向に屈曲している。補強部材27は、当該屈曲により生じた背板12のYZ平面で溶接される。図5のeは、補強部材27と背板12、及び背板12と底板13の溶接箇所を示している。
【0015】
図6は、底板13のX−X断面を示した図である。用紙収納部2を側面から見た場合、リンク部材22が本体21の底面を超えて、Z軸負方向に突出する部分が可動領域である。絞り131は、奥行きd3、高さh1の形状を有している。奥行きd3と背板12の厚さd4との和は、リンク部材22の可動領域よりも長い。高さh1は、底板13の絞り痛いの部分からの高さである。高さh1は、底板13の絞り以外の部分からのスリット126aの上部までの高さh2よりも大きくなるように形成される。絞り131は、絞りにより生じる側面とXZ面との間の角度θが鈍角になるように形成される。絞り131は、用紙収納部2aのリンク部材22が、スリット126aを通過して回転するときの可動領域を避けている。
【0016】
図7は、底板13を上から見た図である。絞り131は、フット41a及び41bの間に形成される。絞り131の幅Wは、リンク部材22の可動領域よりも長い。破線で示されるフット41は、画像形成装置1の設計上要求される強度を有する位置に配置される。特に、フット41a及び41bのうち絞り131に近い位置に設けられるフット41bは、絞り131との位置関係が、決められた条件(例えば、フット41bの周辺部分が設計上要求される強度を有するという条件)を満たす位置に配置される。フット41bは、底板13の背面側の辺よりも絞り131に近い位置に配置される。また、フット41bは、周りを絞り131、背板12、及び補強部材27で囲まれる位置に配置される。これにより、フット41bの周辺部分における応力は、絞り131から、背板12へと分散し、図4の比較例と比べてフット41bの周りの強度が向上する。
【0017】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下で説明する変形例のうち、2つ以上のものが組み合わされて用いられても良い。
【0018】
(1)変形例1
フレームの構造は、実施形態に記載したものに限定されない。外装部品又は筐体に収納される内部機器が画像形成装置の機種により異なる場合には、これに対応したフレーム構造が採用されてもよい。フレームのネジ止め及び溶接の位置は、実施形態に記載したものに限定されない。ネジ止めされていた部材が溶接されてもよいし、またその逆であってもよい。また、ネジ止め及び溶接以外の接合方法が用いられてもよい。
【0019】
(2)変形例2
用紙収納部の数及び形状は、実施形態に記載したものに限定されない。例えば、用紙収納部に収納される用紙の位置が異なる場合には、リンク部材22、ガイド部23、伝達部24及びサイズ検知機構25が実施形態とは異なる位置に設けられてもよい。
【0020】
(3)変形例3
可動部材は、リンク部材22に限定されない。可動部材は、可動領域を有する部材であれば、用紙のサイズの検知に用いられる部材でなくてもよい。例えば、用紙収納部に収納されている用紙の量又は用紙切れを検知する部材であってもよい。また、可動部材が設けられる位置は用紙収納部の本体の底裏面に限定されない。収納部の底面からはみ出た可動領域を有するのであれば、可動部材は、用紙収納部のどの位置に設けられていてもよい。
【0021】
(4)変形例4
絞りが突出する方向は、Y軸正方向に限定されない。絞りは、Y軸負方向(鉛直下向き)に突出してもよい。また、絞り131の形状は、円弧状に限らない。絞り131は、リンク部材22の可動領域を避ける形状であれば、矩形や楕円などであってもよい。
【0022】
(5)変形例5
背板12は、スリット126aを有していなくてもよい。背板12は、用紙収納部2aのリンク部材22の可動領域を確保できるように形成されていればよい。この場合においても、絞り131は、用紙収納部2aのリンク部材22と底板13とが接触することが無いように、Y軸正方向に円弧状に突出する。
【符号の説明】
【0023】
1…画像形成装置、2…用紙収納部、3…操作パネル、12…背板、13…底板、14,15,16…柱、17,18,19…梁、20…支持部材、41…フット、21…本体、22…リンク部材、23…ガイド部、24…伝達部、25…サイズ検知機構、203,204…突起部、213,214…溝、220a,220b…孔、125…孔、126…スリット、131,132,133…絞り、27…補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体を形成するフレームと、
前記フレームによって支持されると共に前記筺体から引き出し可能に構成され、記録媒体を収納する収納部と、
前記収納部の底面に設けられ、前記収納部に対して第一の方向に向けて当該収納部の底面を越えて可動する可動領域を有する可動部材と、
前記フレームの一部であって前記収納部に対して第一の方向に隣接して配置された底板と、
を有し、
前記底板は、前記可動領域に応じて形成され且つ当該可動領域における前記可動部材を避けるように形成された絞り部を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第一の方向に突出し、前記フレームを支持する脚部材を有し、
前記絞り部は、脚部材と脚部材との間に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−29540(P2013−29540A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163484(P2011−163484)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】