説明

画像形成装置

【課題】現像剤補給装置を現像装置に接続した際に作用する加圧力が現像剤担持体と像担持体の対向間隔の長手方向の誤差に影響しにくく、これにより、出力画像の濃度不良や濃度ムラが発生しないで済む画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像剤補給装置20aは、現像装置4aの長手方向の一端側に設けられた現像剤補給口14に対して加圧を伴って接続される。現像装置4aは、感光ドラム1aと現像ローラ17が接離する方向へ揺動軸15を中心に揺動可能で、揺動付勢ばね16によって当接方向に付勢されている。揺動軸15の軸垂直断面の少なくとも一部が、現像ローラ17の軸垂直面内における現像剤補給口14を現像剤補給口14の加圧方向に投影した領域A1に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に対して現像剤担持体が接離する方向に現像装置が揺動可能に支持され、かつ現像装置の長手方向の一端部に現像剤補給装置が接続される画像形成装置に関し、詳しくは現像剤担持体の軸垂直面内における揺動軸の配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体に形成された静電像を、現像装置が、現像剤担持体に担持させたトナーで現像してトナー像を形成し、像担持体に形成されたトナー像を記録材に転写して加熱加圧することにより、記録材に画像を形成する画像形成装置が広く用いられている。
【0003】
特許文献1では、選択された現像装置を像担持体に対向させるために、像担持体を回転自在に支持する像担持体支持部に対して、現像装置が回転移動可能に支持されている。
【0004】
特許文献2では、現像装置の長手方向の両端部を揺動軸で揺動可能に支持している。そして、現像剤担持体の両端部に配置した間隔規制部材を像担持体に当接させて、現像剤担持体の長手方向に沿った像担持体との対向状態を一定に確保している。
【0005】
また、特許文献2では、帯電装置の長手方向の両端部を揺動軸で揺動可能に支持している。そして、付勢部材のコイルばねが帯電装置を像担持体へ向かって付勢することにより、帯電ローラの長手方向に沿った像担持体との当接状態を一定に確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−295386号公報
【特許文献2】特開2002−123063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、現像装置では、画像形成の累積に伴って現像装置内のトナーが消費されるため、長手方向の一端に現像剤補給装置を接続して、外部から消費しただけのトナーを補給現像剤として補給する必要がある。このとき、像担持体に対して揺動可能に配置された現像装置では、現像装置に現像剤補給装置を接続することに関して新たな問題が発生することが判明した。
【0008】
図2を参照して説明すると、現像装置(4a)の長手方向の一端に接続される現像剤補給装置(20a)が、現像剤担持体(17)と像担持体(1a)の対向間隔の長手方向のばらつきを発生させる。現像剤担持体(17)と像担持体(1a)の接点を通る直線(L6)上に揺動軸(15E)を配置している場合、現像剤補給装置(20a)を接続した際に現像装置(4a)に作用する加圧力が揺動軸(15E)周りのモーメントを発生する。このモーメントが、現像装置(4a)の長手方向の両端部における現像剤担持体(17)と像担持体(1a)の対向間隔に誤差を発生させる。このため、現像装置(4a)に作用する加圧力の大きい画像形成装置では、現像剤担持体(17)と像担持体(1a)の対向間隔のばらつきが大きくなって、現像された出力画像の濃度不良や濃度ムラが発生していた。
【0009】
本発明は、現像剤補給装置を現像装置に接続した際に作用する加圧力が現像剤担持体と像担持体の対向間隔の長手方向の誤差に影響しにくく、出力画像の濃度不良や濃度ムラが発生しないで済む画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置は、像担持体を回転可能に支持する像担持体支持部と、現像剤を担持して前記像担持体に供給する現像剤担持体を回転可能に支持する現像装置と、前記像担持体支持部に対して、前記像担持体と前記現像剤担持体が接離する方向へ前記現像装置を揺動可能に支持する揺動軸と、前記像担持体と前記現像剤担持体とを当接させる方向へ前記現像装置を付勢する付勢部材と、前記現像装置の長手方向の一端側に設けられた現像剤補給口と、前記現像剤補給口に対して加圧を伴って接続されて前記現像装置に現像剤を補給する現像剤補給装置とを備え、前記揺動軸の軸垂直断面の少なくとも一部が、前記現像剤担持体の軸垂直面内における前記現像剤補給口を前記現像装置と前記現像剤補給口の加圧方向に投影した領域に位置している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置では、現像装置の揺動軸が、現像剤補給装置と現像装置の接続に伴って現像装置に作用する加圧力が揺動軸周りのモーメントを発生しにくい位置を選択して揺動軸を配置している。このため、現像剤補給口に対して作用する加圧力の範囲から外れない位置に揺動軸を配置している。
【0012】
したがって、現像剤補給装置を現像装置に接続した際に作用する加圧力が現像装置を傾かせたり、ねじり変形させたりしにくい。このため、現像剤補給装置の接続が現像剤担持体と像担持体の対向間隔の長手方向の誤差に影響しにくく、対向間隔の誤差に起因する出力画像の濃度不良や濃度ムラが発生しないで済む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】現像装置の内部構造の説明図である。
【図3】プロセスカートリッジの外観の斜視図である。
【図4】実施例1における揺動軸の可能な配置範囲の説明図である。
【図5】現像装置に現像剤補給装置を接続した状態の説明図である。
【図6】プロセスカートリッジの取り付け構造の説明図である。
【図7】現像ギャップのばらつきと画像濃度の関係の説明図である。
【図8】実施例3における揺動軸の可能な配置範囲の説明図である。
【図9】実施例3における現像ギャップと画像濃度の関係の測定結果の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、像担持体に対して現像装置を揺動可能に支持する揺動軸が、従来の常識的な位置よりも現像剤補給装置側に偏らせて配置される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0015】
従って、画像形成装置は、フルカラー/モノクロ、カラー1ドラム型、一成分現像剤/二成分現像剤、直接転写方式/記録材搬送方式/中間転写方式、帯電方式、露光方式、感光体種類等によらず実施できる。本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0016】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置200は、中間転写ベルト7の下向き面に沿って画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
【0017】
画像形成部Paでは、感光ドラム1aにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト7に転写される。画像形成部Pbでは、感光ドラム1bにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト7に転写される。画像形成部Pc、Pdでは、それぞれ感光ドラム1c、1dにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト7に転写される。
【0018】
中間転写ベルト7に転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。分離ローラ61は、記録材カセット60から引き出した記録材Pを1枚ずつに分離して、レジストローラ62へ送り出す。レジストローラ62は、停止状態で記録材Pを受け入れて待機させ、中間転写ベルト7のトナー像にタイミングを合わせて記録材Pを二次転写部T2へ送り込む。中間転写ベルト7に担持されたトナー像は、二次転写部T2を一体に挟持搬送される記録材Pへ二次転写される。
【0019】
四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置65の加熱ニップで加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着された後に、排出ローラ64を通じてトレイ63へ排出される。ベルトクリーニング装置66は、中間転写ベルト7にクリーニングブレードを摺擦させて、二次転写部T2を通過した中間転写ベルト7の表面に付着した転写残トナーを除去する。
【0020】
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、現像装置4a、4b、4c、4dで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部Paについて説明し、他の画像形成部Pb、Pc、Pdについては、説明中の符号末尾のaを、b、c、dに読み替えて説明されるものとする。
【0021】
画像形成部Paは、感光ドラム1aを囲んで、帯電ローラ2a、露光装置3a、現像装置4a、転写ローラ5a、ドラムクリーニング装置6aを配置している。感光ドラム1aは、アルミニウム製シリンダの外周面に感光層が形成されており、所定のプロセススピードで回転する。
【0022】
帯電ローラ2aは、感光ドラム1aを一様な負極性の電位に帯電させる。露光装置3は、イエローの分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1aの表面に画像の静電像を書き込む。現像装置4aは、トナーを感光ドラム1aに供給して静電像をトナー像に現像する。
【0023】
転写ローラ5aは、中間転写ベルト7を押圧して、感光ドラム1aと中間転写ベルト7との間に一次転写部T1aを形成する。転写ローラ5aに直流電圧が印加されることにより、感光ドラム1aに担持されたトナー像が、一次転写部T1aを通過する中間転写ベルト7へ一次転写される。ドラムクリーニング装置6aは、感光ドラム1aにクリーニングブレードを摺擦させて、一次転写部T1aを通過した感光ドラム1aの表面に付着した転写残トナーを除去する。
【0024】
中間転写ベルト7は、テンションローラ17、二次転写対向ローラを兼ねた駆動ローラ8、及び張架ローラ18に掛け渡して支持され、駆動ローラ8に駆動されて矢印R7方向に回転する。
【0025】
二次転写部T2は、駆動ローラ8に内側面を支持された中間転写ベルト7に二次転写ローラ9を当接して構成される。
【0026】
現像装置4a、4b、4c、4dの上方に、トナーボトルTa、Tb、Tc、Tdが配置される。トナーボトルTa、Tb、Tc、Tdから取り出された補給用現像剤は、現像剤補給装置20a、20b、20c、20dによって、それぞれ現像装置4a、4b、4c、4dに補給される。画像形成によって現像装置4a、4b、4c、4dで消費された量のトナーが、それぞれトナーボトルTa、Tb、Tc、Tdから補給されることで、現像装置4a、4b、4c、4d内のトナー現像剤の状態が一定に保たれる。
【0027】
<現像装置>
図2は現像装置の内部構造の説明図である。図3はプロセスカートリッジの外観の斜視図である。
【0028】
図2に示すように、現像装置4aは、現像容器40に貯留した現像剤を帯電させて、現像ローラ17に担持させて、感光ドラム1aの静電像を現像する。現像容器40には、トナー(非磁性)とキャリア(磁性)からなる二成分現像剤が充填されている。
【0029】
現像容器40内は、隔壁45によって現像室41と攪拌室42とに区画され、現像室41と攪拌室42は、隔壁45の両端部に設けた不図示の開口部で連通して、現像剤の循環路を形成している。現像室41に配設された現像スクリュー43と、攪拌室42に配置された攪拌スクリュー44によって、現像剤が搬送されて現像容器40内を循環する過程で、トナーとキャリアが相互に摩擦して帯電する。
【0030】
現像ローラ17の内部には、不図示のマグネットローラが非回転に設置され、マグネットローラの磁力がキャリアを磁気的に拘束して、現像ローラ17の表面に現像剤を担持させる。直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を現像ローラ17に印加することによって、現像剤中のトナーだけが感光ドラム1aへ移転する。
【0031】
図3に示すように、感光ドラム1a及び現像装置4aは、その他のプロセス手段を含めて一体的にカートリッジ化され、画像形成装置(200:図1)の本体筐体に着脱可能なプロセスカートリッジ10に組み立てられている。プロセスカートリッジ10は、感光ドラム1aと現像ローラ(17:図2)が対になって、タンデム方式で使用される一体構成式プロセスカートリッジである。プロセスカートリッジ10では、感光ドラム1aと現像ローラ17が常に当接した状態でよく、離間する必要はない。しかし、現像濃度を等しくするためには、感光ドラム1aと現像ローラ17の現像ギャップが長手方向に沿った各位置で等しい必要がある。従来の感光ドラム1aと現像ローラ17の現像ギャップの一般的な構成は、両者の回転軸を共通の部材に固定するものであったため、現像ギャップの精度が低かった。
【0032】
画像形成装置200では、現像装置4aの長手方向の両端部に揺動軸15を設けて現像装置4aをプロセスカートリッジ10に対して揺動可能に支持させている。そして、現像ローラ17の回転軸の両端に感光ドラム1aの周面に対する当接部材を配置して、当接部材の先端部を感光ドラム1aへ当接させる。最近では、感光ドラム1aの精度と色ずれの観点からこの方式が一般的となっている。
【0033】
プロセスカートリッジ10の主な構成部品としては、現像容器40、感光ドラム1a、ドラム筐体12、軸受け13を掲げることができる。感光ドラム1aは、軸受け13を介してドラム筐体12に保持されている。現像容器40は、揺動軸15を中心として、ドラム筐体12に対して揺動可能に保持されている。
【0034】
現像容器40は、揺動付勢ばね16によって、感光ドラム1aへ向かってばね付勢されている。現像容器40は、揺動付勢ばね16のばね付勢力によって、揺動軸15を中心にして付勢されることにより、現像ローラ17を感光ドラム1aに位置決める。
【0035】
図2に示すように、現像容器40に保持された現像ローラ17の回転軸の両端に、当接部材18がそれぞれ配置される。当接部材18は、円弧状の先端部を感光ドラム1aに当接させて、現像ローラ17と感光ドラム1aの対向距離を規制する。当接部材18の先端部が感光ドラム1aに接触することで、現像ローラ17と感光ドラム1aとの間に現像ギャップが形成される。現像ローラ17が所定の間隔(SDギャップ)を隔てて感光ドラム1aに対向する。現像ローラ17と感光ドラム1aの現像ギャップは、画像の濃度に感度があるパラメータであるため、長手方向のどの位置でも現像ギャップの値が一定であることが望ましい。
【0036】
しかし、現像装置4aの長手方向の一端部に現像剤補給装置20aを接続すると、現像剤補給口14に配置されたスポンジシールを潰して隙間を封止するために、現像剤補給口14に下向きのニップ力14dが作用する。プロセスカートリッジ10を画像形成装置200の正面側から奥側へ押し込む最後の段階で、現像装置4aの先端が上へ押し上げられて、現像剤補給装置20aの粉体充填部14cに密着する。このとき、現像剤補給口14に粉体充填部14cからのニップ力14dが作用して、図3に示すように、現像装置4aの奥側が押し下げられる。
【0037】
現像剤補給口14は、現像容器40の奥側の端部に設けられているため、ニップ力14dは、プロセスカートリッジ10の奥側と手前側とで不均一に揺動軸15周りのモーメントを発生してプロセスカートリッジ10の全体をねじり変形させる。このため、感光ドラム1aと現像ローラ17の対向間隔を長手方向の全域にわたって一定に保つことが困難である。
【0038】
現像剤補給口14は、プロセスカートリッジ10の長手方向の一端部に偏って配置されるため、発生したニップ力14dは、現像ローラ17の両端部にある当接部材(18:図2)に不均一な圧をかける。その結果、感光ドラム1aの両端部で当接部材18の当接圧が不均一になり、両端の当接部材18の圧縮歪差が現像ギャップのばらつきとなって現像濃度に差が発生する。現像ローラ17の両端部に配置された一対の当接部材18の感光ドラム1aに対する当接圧のバランスが崩れて、感光ドラム1aの長手方向の両端部で現像ローラ17との対向間隔に差が生じる。
【0039】
ここで、ニップ力14dを小さく設定すれば、ニップ力14dの影響を軽減できる。しかし、粉体充填部14cと現像剤補給口14のニップ力14dが不足すると、粉体充填部14cと現像剤補給口14の隙間からトナー漏れが発生する。現像剤補給装置20aへの接続を前提としたプロセスカートリッジ10では、トナー漏れ防止のため、粉体充填部14cと現像剤補給口14との接合部でトナー飛散やトナー漏れが発生しないために、ある程度のニップ力14dが必要である。現像ローラ17の感光ドラム1aへの当接圧均一化を図るために、現像剤補給口14のニップ力14dを小さくしていくと、現像剤補給口14からのトナー漏れの問題が発生する。したがって、現像剤補給口14のニップ力の確保と感光ドラム1a当接圧の均一化の両立が課題となる。
【0040】
以下の実施例では、現像剤補給口14で発生するニップ力が現像ローラ17と感光ドラム1aの対向距離に影響しないで済む揺動軸15の配置構成を提案している。現像剤補給口14のニップ圧を確保してトナー漏れを確実に阻止すると同時に、現像ローラ17と感光ドラム1aの対向距離のばらつきによる画質濃度ムラを改善している。現像剤補給口14のトナー飛散、漏れ防止効果を犠牲にしないで画質濃度ムラを改善することができるプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供している。
【0041】
<実施例1>
図4は実施例1における揺動軸の可能な配置範囲の説明図である。図5は現像装置に現像剤補給装置を接続した状態の説明図である。図6はプロセスカートリッジの取り付け構造の説明図である。図7は現像ギャップのばらつきと画像濃度の関係の説明図である。
【0042】
図4に示すように、像担持体支持部の一例であるドラム筐体12は、像担持体の一例である感光ドラム1aを回転可能に支持する。間隔規制部材の一例である当接部材18は、現像ローラ17の両端部に配置されて感光ドラム1aと現像ローラ17との対向間隔を規制する。
【0043】
現像装置4aは、現像剤担持体の一例である現像ローラ17を回転可能に支持する。現像ローラ17は、現像剤を担持して感光ドラム1aに供給する。現像剤補給口14は、現像装置4aの長手方向の一端側に設けられている。現像剤補給装置20aは、現像剤補給口14に対して加圧を伴って接続されて現像装置4aに現像剤を補給する。
【0044】
揺動軸15は、ドラム筐体12に対して、感光ドラム1aと現像ローラ17が接離する方向へ現像装置4aを揺動可能に支持する。図3に示すように、付勢部材の一例である揺動付勢ばね16は、感光ドラム1aと現像ローラ17とを当接させる方向へ現像装置4aを付勢する。
【0045】
揺動軸15の軸垂直断面の少なくとも一部が、現像ローラ17の軸垂直面内における現像剤補給口14を現像剤補給口14の加圧方向に投影した領域に位置している。揺動軸15の中心が、現像剤補給口14が設けられた面の法線方向に現像剤補給口14を投影した領域内の一例である範囲A1に設けられている。現像剤補給口14は、現像装置4aの上面に水平に配置され、現像剤補給口14に対する加圧方向は、垂直下向き方向である。
【0046】
また、揺動軸15の中心は、現像ローラ17の軸垂直面内において、現像ローラ17の中心と感光ドラム1aの中心とを結ぶ直線L5よりも高い位置に配置されている。さらに、揺動軸15の中心は、現像ローラ17の中心と感光ドラム1aの中心とを結ぶ直線よりも高い位置に設けられている。現像ローラ17の中心を通って直線L5に直角に交差する直線L3よりも現像剤補給口側に偏らせてある。
【0047】
揺動軸15が配置される範囲A1は、現像ローラ17の中心を通る水平な直線L4より上の範囲である。感光ドラム1aの中心と現像ローラ17の中心を結んだ直線L5上に揺動軸15が配置されている場合、揺動軸15の周りで現像装置4aを揺動させても、幾何学的に見て、現像ローラ17は、感光ドラム1aに対して接離方向へ移動しない。現像装置4aを揺動軸15で揺動させて現像ローラ17を感光ドラム1aへ確実に当接させるためには、揺動軸15は、直線L5に直角で感光ドラム1aと現像ローラ17の現像ギャップを通る直線L6の上に配置することが好ましい。
【0048】
しかし、実施例1では、直線L1と直線L2の間まで揺動軸15を偏らせている。現像装置4aの現像剤補給口14を鉛直方向に投影した直線L1と直線L2の間に揺動軸15が配置されている。直線L1と直線L2の間に揺動軸15を配置して、ニップ力14dが揺動軸15に向かって作用するようにしている。
【0049】
図5に示すように、ニップ力14dが揺動軸15に向かって作用するため、現像剤補給装置20aを現像装置4aに接続した際のニップ力14dは、揺動軸15周りのモーメントをほとんど発生しなくなる。その結果、現像装置4aの個体差によって現像剤補給装置20aのニップ力14dが相当に大きく違っていても、感光ドラム1aに対する当接部材(18:図2)の当接圧が安定する。現像ギャップが精密に再現される。
【0050】
図6に示すように、プロセスカートリッジ10が画像形成装置200の枠体29に取り付けられる。プロセスカートリッジ10を機械へ位置決めする場合、感光ドラム1aの軸受け13を画像形成装置200の枠体29に開いている穴29aに挿入する。設置した揺動中心軸(15:図5)と同軸上に現像容器40から突起15aを設け、プロセスカートリッジ10の回転規制として画像形成装置200の枠体29の穴29bに挿入して位置決めをする。
【0051】
実施例1では、現像ローラ17が感光ドラム1aへ当接する方式を採用した補給系プロセスカートリッジを採用する。そのため、現像装置4aと現像剤補給装置20aの接合部で発生するニップ力14dが、感光ドラム1aの前側と後側とで、現像ローラ17に対する対向状態の不均一を発生させる。よって、現像剤補給口14のニップ力14dの確保とドラム当接圧の均一化を両立させている。
【0052】
実施例1では、現像剤補給口14で発生するニップ力14dがドラム当接圧に影響しない構成により、現像剤補給口14の汚れ防止効果と、画質濃度ムラの改善とを達成できるプロセスカートリッジおよび画像形成装置を実現している。
【0053】
そのため、揺動軸15の中心位置を、感光ドラム1aの中心と現像ローラ17の中心を結んだ直線L5より高く、粉体充填部14bと現像剤補給口14とのニップ境界線より低い位置に配置する。揺動軸15の中心位置を、現像ローラ17の中心を通る鉛直方向線と、現像剤補給口14断面の感光ドラム1aから最も離れている鉛直線との間に配置する。
【0054】
<実施例2>
図7は実施例2における揺動軸の可能な配置範囲の説明図である。図7に示すように、実施例2では、図4に示す実施例1の範囲から上下にはみ出した範囲に揺動軸15を配置している。現像装置4aの現像剤補給口14を鉛直方向に投影した直線L1と直線L2の間に揺動軸15が配置されている。直線L1と直線L2の間に揺動軸15を配置して、ニップ力14dが破線で示す揺動軸15の高さで作用させる。
【0055】
揺動軸15が配置される範囲A2は、現像ローラ17の中心と感光ドラム1aの中心を結ぶ直線L5より上の範囲であるとともに、現像剤補給装置20aの現像剤補給幅14bと重なる範囲である。揺動軸15を現像剤補給幅14b内に収めることで、ニップ力14dによる揺動軸15周りのモーメントを小さくすることができる。範囲A2に配置した場合も、現像剤補給装置20aを現像装置4aに接続した際のニップ力14dは、揺動軸15周りのモーメントをほとんど発生しなくなる。その結果、現像装置4aの個体差によって現像剤補給装置20aのニップ力14dが相当に大きく違っていても、感光ドラム1aに対する当接部材(18:図2)の当接圧が安定する。
【0056】
<実施例3>
図8は実施例3における揺動軸の可能な配置範囲の説明図である。図9は実施例3における現像ギャップと画像濃度の関係の測定結果の説明図である。図8に示すように、実施例3では、現像ローラ17の軸垂直面内における揺動軸15の中心は、現像剤補給口14の中心を通る加圧方向の直線よりも現像剤担持体側に配置されている。実施例1、2よりも、現像ローラ17側へ揺動軸15をシフトさせて配置して、現像ローラ17を感光ドラム1aに対してより垂直に近い方向に接離させている。ただし、現像剤補給装置20aを現像装置4aに接続した際のニップ力14dが発生する揺動軸15するモーメントを抑制するために、図4に示す直線L6よりも大幅に現像剤補給口14側にシフトさせている。
【0057】
実施例3では、直線L5、L3、L1、L7によって囲まれた範囲A3におけるいずれかの位置に現像容器40が揺動するための揺動軸15を設ける。直線L5は、感光ドラム1aの中心と現像ローラ17の中心を結ぶ直線である。直線L3は、現像ローラ17の中心を通って直線L5に直角な直線である。直線L1は、現像剤補給装置20aの現像剤補給幅14bを構成する現像ローラ17から遠い側の直線である。直線L7は、現像剤補給口14のニップ平面の直線である。
【0058】
これに対して、揺動軸15が領域A3から外れて直線L1よりも現像ローラ17から遠い側に配置した場合、ニップ力14dによって、揺動軸15を中心にして現像容器40を時計周りに回転させる大きなモーメントが発生する。結果的に、感光ドラム1aの両端部の当接部材18の当接圧18aの差が大きくなる。大きな差を吸収するためには、揺動付勢ばね16の付勢力を必要以上に大きくしなければならないため、部品コストや組立性の観点で好ましくない。また、現像ローラ17の中心を通る直線L3の右側に配置した場合も感光ドラム1aの両端部の当接部材18の当接圧18aの差が大きくなる。
【0059】
実施例3では、現像剤補給口14に現像剤補給装置20aを接続した状態で、現像剤補給装置側における感光ドラム1aと現像ローラ17の対向間隔に対する反対側の感光ドラム1aと現像ローラ17の対向間隔の比率が、図9に示すように90%以上である。
【0060】
図9に示すように、感光ドラム1aと現像ローラ17の現像ギャップに応じて画像濃度が変化する。255/255の最高階調の静電像を現像したとき、定着画像の反射濃度は、1.20を目標として、そのプラスマイナス0.1を許容範囲としている。多くの場合、この範囲ならば濃度差として認識されないからである。
【0061】
しかし、現像装置4aによっては、反射濃度が1.20プラスマイナス0.10に収まらない場合がある。その場合は、感光ドラム1aの長手方向の両端部に当接する当接部材18の圧縮歪の差によって発生している。
【0062】
実施例1では、揺動軸15の配置によって、現像剤補給装置20aの反対側の現像ギャップの目標値330μmに対して、現像剤補給装置20a側が300μmを割り込むことがなかった。すなわち、現像剤補給装置20aのニップ圧14dがどんなに大きな場合でも、現像剤補給装置20aに押されて当接圧18aが増大する、現像剤補給装置20a側の現像ギャップは目標値の90%以上を確保していた。
【0063】
その結果、定着画像の反射濃度のばらつきを、1.20を中心値として、そのプラスマイナス0.1の許容範囲に収めることができた。目標値300μm以上の現像ギャップを確保して、定着画像の反射濃度のばらつきが最大0.2に抑制されて、出力画像の十分な濃度再現性を確保できた。
【符号の説明】
【0064】
1a、1b、1c、1d 感光ドラム、4a、4b、4c、4d 現像装置
10 プロセスカートリッジ、12 ドラム筐体、13 軸受け
14 現像剤補給口、14b 現像剤補給幅、14c 粉体補給部
14d ニップ力、15 揺動軸、15a 突起、16 揺動付勢ばね
17 現像ローラ、18 当接部材、18a 当接圧、40 現像容器
43 現像スクリュー、44 搬送スクリュー、45 隔壁
L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7 直線
A1、A2、A3 範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体を回転可能に支持する像担持体支持部と、
現像剤を担持して前記像担持体に供給する現像剤担持体を回転可能に支持する現像装置と、
前記像担持体支持部に対して、前記像担持体と前記現像剤担持体が接離する方向へ前記現像装置を揺動可能に支持する揺動軸と、
前記像担持体と前記現像剤担持体とを当接させる方向へ前記現像装置を付勢する付勢部材と、
前記現像装置の長手方向の一端側に設けられた現像剤補給口と、
前記現像剤補給口に対して加圧を伴って接続されて前記現像装置に現像剤を補給する現像剤補給装置と、を備え、
前記揺動軸の軸垂直断面の少なくとも一部が、前記現像剤担持体の軸垂直面内における前記現像剤補給口を前記現像装置と前記現像剤補給口の加圧方向に投影した領域に位置していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像剤担持体の軸垂直面内における前記揺動軸の中心は、前記現像剤補給口の中心を通る前記加圧方向の直線よりも前記現像剤担持体側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像剤補給口は、前記現像装置の上面に水平に配置され、前記加圧方向は、垂直下向き方向であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像剤担持体の両端部に配置されて前記像担持体と前記現像剤担持体との対向間隔を規制する間隔規制部材を備え、
前記現像剤補給口に前記現像剤補給装置を接続した状態で、前記現像剤補給装置側における前記像担持体と前記現像剤担持体の対向間隔に対する反対側の前記像担持体と前記現像剤担持体の対向間隔の比率が90%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−3316(P2013−3316A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133569(P2011−133569)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】