説明

画像形成装置

【課題】良好に画像形成および画像読取を実行できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】枠体100の上部には、支持部材111、112が設けられている。支持部材111は、外部から応力に対して弾性変形しやすい金属板により形成されている。支持部材111は、枠体100の上部と、画像読取部5のスキャナー部3の底部と、の間に固定されている。支持部材112は、枠体100の上部に固定されている。また、支持部材112は、支持部材111により片持ち状に支持されたスキャナー部3の底部を受けとめる。これにより、画像読取部で振動が発生すると、支持部材111が撓み、画像読取部で発生した振動は、支持部材111で吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、画像形成装置に関するもので、特に、装置本体の枠体に画像読取部を取り付ける取付手法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成部の上方に画像読取部が配置された画像形成装置において、複数の支柱により画像読取部の下部を支持する技術が、知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、画像形成部および画像読取部をそれぞれ別体で支持することによって、画像形成部および画像読取部の一方から他方に振動が伝達されることを防止する技術も、従来より知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−084517号公報
【特許文献2】特開2008−070606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、画像形成部により印刷処理が実行される場合、および/または、画像読取部により読取処理が実行される場合、モータ等の駆動部に起因した振動が発生する。そして、特許文献1の技術では、画像形成部および画像読取部の一方から他方に振動が伝達され、その結果、印刷性能および読取性能が低下するという問題が生ずる。
【0006】
また、特許文献2の技術では、画像形成部および画像読取部の相互間で振動が伝達されるという問題は、解消されるが、画像形成装置の重量、寸法、および製造コストが増大するという問題が、新たに生ずる。
【0007】
そこで、本発明では、良好に画像形成および画像読取を実行できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、枠体と、前記枠体により囲繞された空間に収容された画像形成部と、前記画像形成部の上方に配置された画像読取部と、前記枠体の上部および前記画像読取部の底部の間に固定されており、前記枠体に対して前記画像読取部を片持ち状に支持する第1支持部材と、前記枠体の上部に固定されており、前記第1支持部材により片持ち状に支持された前記画像読取部の底部を受けとめる第2支持部材とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記画像読取部の長辺側端部が、前記第1支持部材に固定されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、使用者からの入力を受け付ける操作部は、前記第2支持部材の直上付近に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記画像読取部は、読取対象となる原稿を押さえる原稿押さえ部と、前記原稿押さえ部を開閉させるヒンジとを有しており、前記ヒンジは、前記第1支持部材の直上付近に設けられており、前記原稿押さえ部が前記ヒンジの揺動軸を中心に揺動することによって、前記原稿押さえ部の前記第2支持部材側が開閉することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記画像読取部は、読取対象となる原稿を給送することによって、前記原稿から画像を読み取らせる自動原稿搬送部と、前記自動原稿搬送部を開閉させるヒンジとを有しており、前記ヒンジは、前記第1支持部材の直上付近に設けられており、前記自動原稿搬送部が前記ヒンジの揺動軸を中心に揺動することによって、前記自動原稿搬送部の前記第2支持部材側が開閉することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1から請求項5に記載の発明において、第1支持部材は、画像読取部を片持ち状に支持しており、弾性体として形成されている。これにより、画像読取部で振動が発生すると、第1支持部材が撓み、画像読取部で発生した振動は、第1支持部材で吸収される。そのため、枠体に収容された画像形成部に、この振動が伝わることを抑制でき、印刷不良が発生することを防止できる。
【0014】
特に、請求項2に記載の発明によれば、第1支持部材が枠体に固定された位置から、第1支持部材により片持ち状に支持された画像読取部の自由端の位置までの距離は、画像読取部の短辺方向の大きさ程度となる。これにより、画像読取部の短辺付近の底部が、第1支持部材に固定される場合と比較して、画像読取部を安定して片持ち状に支持することができる。そのため、画像読取部で発生した振動をさらに良好に第1支持部材で吸収することができる。
【0015】
特に、請求項3に記載の発明において、使用者により操作部が操作されても、第2支持部材は撓まない。そのため、画像読取部は、操作部の使用状況に影響されることなく、良好に原稿から画像を読み取ることができる。
【0016】
特に、請求項4および請求項5に記載の発明によれば、ヒンジは、第1支持部材の直上付近に設けられている。これにより、自動原稿搬送部または原稿押さえ部の第2支持部材側が開閉する。すなわち、自動原稿搬送部または原稿押さえ部が開閉させられる場合、画像読取部を片持ち状に支持する第1支持部材側は開閉しない。そのため、画像読取部が片持ち状に支持されている場合であっても、自動原稿搬送部または原稿押さえ部を良好に開閉させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】MFPの外観斜視図である。
【図2】MFPの内部構造を示す正面断面図である。
【図3】スキャナー部の構成を示す平面図である。
【図4】枠体付近の構成を示す外観斜視図である。
【図5】枠体付近の構成を示す外観斜視図である。
【図6】印刷画像に発生するジッターを説明するための図である。
【図7】印刷画像に発生するジッターを説明するための図である。
【図8】視覚的な許容指数とジッターの空間周波数との関係を示すグラフである。
【図9】振動の伝達率と振動の周波数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
<1.MFPの概要>
図1は、画像形成装置の一例としての複合機(以下、「MFP」とも称する)1の外観斜視図である。MFP1は、コピー機能、スキャナー機能、プリンター機能、ファックス機能といった多くの機能を有するものであり、例えばLANや電話回線といったネットワーク(通信網)を介してのデータ送受信が可能になっている。
【0020】
すなわち、MFP1は、原稿から読み取ってデジタル変換したデジタル画像データをネットワーク経由で他のコンピューターに出力したり、ネットワーク経由で他のコンピューターからデジタル画像データを入力して該デジタル画像データに基づく印刷を実行したり、FAXデータの送受信をしたりできるものである。
【0021】
図1に示すように、MFP1は、主として、画像読取部5と、画像形成部6と、給紙部7と、排紙貯留部8と、操作パネル9と、を備えている。
【0022】
なお、図1および以降の各図には、それらの方向関係を明確にすべく必要に応じて適宜、Z軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を付している。
【0023】
また、以下の説明で必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば「左右」「上下」等)を用いる場合は、図2で紙面に直交する方向(すなわち、Y軸方向)を正面視とし、この方向を基準にしている。これらの用語は説明の便宜のために用いたものであり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0024】
MFP1における装置本体2の上部に、スキャナー部3と自動原稿搬送部(以下、「ADF」とも称する)4とからなる画像読取部5が設けられている。画像読取部5は、スキャナー部3とADF4とを同期して作動させ、ADF4にセットされた原稿1枚ずつから画像を光学的に読み取ることにより、デジタル画像データを取得するように構成されている。すなわち、ADF4はスキャナー部3に向けて原稿を1枚ずつ搬送し、スキャナー部3は、原稿が所定の読取位置を通過する際に画像を読み取って、デジタル画像データを取得するように構成されている。
【0025】
装置本体2の下部には、記録材Pを収容する給紙部7が設けられている。装置本体2のうち画像読取部5と給紙部7との間には、公知の電子写真方式によってデジタル画像データに応じたトナー像を記録材Pに印刷する画像形成部6が設けられている。すなわち、給紙部7の上方に画像形成部6が配置され、画像形成部6の上方に画像読取部5が配置されている。給紙部7は記録材Pを1枚ずつ画像形成部6に供給し、画像形成部6は画像読取部5やネットワーク経由で取得されたデジタル画像データに基づき、記録材P上にトナー像を印刷するように構成されている。装置本体2のうち画像読取部5と画像形成部6との間にある凹みスペースは、排紙空間を構成する排紙貯留部8である。画像形成部6にてトナー像が印刷された記録材Pは排紙貯留部8に排出される。
【0026】
操作パネル9は、MFP1の使用者(以下、単に、「使用者」とも称する)からの入力を受け付ける操作部である。図1に示すように、操作パネル9は、装置本体2の正面側(前面側:使用者から見て手前側)に設けられた複数のキー(ボタン)を有している。
【0027】
使用者は、操作パネル9の表示画面等を見ながらキー操作をすることによって、MFP1の各種機能の中から選択した機能について設定操作をしたり、MFP1に作業実行を指示したりできる。
【0028】
MFP1はいわゆるA4対応機であり、給紙部7には、最大でA4サイズの記録材Pを、画像形成部6に長辺側から進入する横送りの姿勢で収容することが可能である。この場合、A4横の記録材Pの長辺寸法L(幅寸法)は297mm、短辺寸法N(搬送方向寸法)は210mmである。
【0029】
<2.MFPの内部構造>
図2は、MFP1の内部構造を示す正面断面図である。図3は、スキャナー部3の構成を示す平面図である。ここでは、図2および図3を参照しつつ、MFP1の内部構造について説明する。
【0030】
装置本体2の上部にある画像読取部5のうちスキャナー部3は、上面側にプラテンガラス12を有する原稿台11と、原稿Dに対して光を照射する光源装置13と、原稿Dからの反射光を画像信号に光電変換するイメージセンサー14と、反射光をイメージセンサー14上に結像させる結像レンズ15と、原稿Dからの反射光を順次反射させて結像レンズ15に入射させるミラー群16とを備えている。光源装置13、イメージセンサー14、結像レンズ15及びミラー群16は原稿台11の内部に設けられている。
【0031】
プラテンガラス12上の原稿Dを読み取る場合は、光源装置13やミラー群16を画像読取部5の長辺方向(装置本体2の左右方向)に移動させながら、光源装置13から原稿Dに光を照射する。原稿Dから反射した反射光は、ミラー群16で順次反射されて結像レンズ15に入射し、イメージセンサー14上に結像される。イメージセンサー14は、入射光の強さに応じて画素毎に光電変換を実行し、原稿Dの画像に対応した画像信号(RGB信号)を生成する。画像信号(RGB信号)は、後述する制御基板42に出力される。
【0032】
図3に示すように、原稿台11の上面側には、複数(本実施の形態では2つ)のヒンジ121(121a、121b)が設けられている。これらヒンジ121(121a、121b)は、スキャナー部3の原稿台11に対してADF4を開閉させる。
【0033】
ADF4は、プラテンガラス12上の原稿Dに覆い被さることによって原稿Dをプラテンガラス12に密着させる働きも有する。ADF4は、原稿載置トレイ17と原稿排出トレイ18とを備えている。原稿載置トレイ17に載置された原稿Dを読み取る場合、当該原稿Dは複数のローラー等で構成される原稿搬送機構19によって読取位置に搬送される。このとき、光源装置13から原稿Dの読取位置部分に光が照射され、その反射光がミラー群16及び結像レンズ15を介してイメージセンサー14上に結像される。そして、イメージセンサー14が原稿Dの画像に対応した画像信号(RGB信号)に変換して、当該画像信号を制御基板42に出力する。その後、原稿Dは原稿排出トレイ18に排出される。
【0034】
最大サイズであるA4サイズの原稿Dを画像読取部5にて読み取る際は、装置本体2の正面側から見て、原稿Dをその長辺方向が装置本体2の左右方向に沿うようにセットする。すなわち、長辺方向が画像形成部6の通紙幅方向(装置本体2の前後方向)に直交するように、原稿Dをセットすることになる。ADF4における原稿載置トレイ17上の原稿Dは、短辺側から縦送りの姿勢で、装置本体2の左右方向に搬送される。このことから分かるように、画像読取部5の長辺方向は装置本体2の左右方向に沿い、短辺方向は装置本体2の前後方向に沿うことになる。
【0035】
図2に示すように、画像形成部6は、周知の電子写真方式によって、像担持体としての感光体ドラム21上に形成されたトナー像を記録材Pに転写してから、転写後の記録材Pを定着器28に搬送して加熱及び加圧し、トナー像を記録材Pに定着させるものである。感光体ドラム21の周囲には、その回転方向(図2の反時計方向)に沿って順に、帯電器22、露光器23、現像器24、転写ローラー25、分離器26及びクリーナー27が配置されている。
【0036】
帯電器22は感光体ドラム21の表面を一様に帯電させる。露光器23は感光体ドラム21の表面に静電潜像を形成させる。現像器24は感光体ドラム21上の静電潜像をトナー像(可視像)に現像する。転写ローラー25は感光体ドラム21上のトナー像を記録材Pに転写させる。感光体ドラム21と転写ローラー25との当接部分が転写位置である。分離器26は感光体ドラム21と記録材Pとを分離させる。クリーナー27は感光体ドラム21上に残った未転写トナーを除去する。なお、感光体ドラム21や転写ローラー25等の最大通紙幅(記録材Pの搬送方向と直交する幅方向寸法の最大値)は、A4横の記録材Pに転写可能なように、A4横の記録材Pの長辺寸法L(=297mm)よりも若干長い。
【0037】
定着器28は、ハロゲンランプ等の定着ヒーターを内蔵した定着ローラーと、定着ローラーに対峙する加圧ローラーとを備えている。定着ローラーと加圧ローラーとの当接部分が定着位置である。制御基板42にて定着ヒーターへの通電が制御され、定着ヒーターが定着に必要な温度に維持される。なお、定着器28の最大通紙幅も、A4横の記録材Pを加熱及び加圧可能なように、A4横の記録材Pの長辺寸法L(=297mm)より若干長い。感光体ドラム21や転写ローラー25等の最大通紙幅、並びに定着器28の最大通紙幅の関係から分かるように、実施形態では、画像形成部6の最大通紙幅がA4横の記録材Pに印刷可能な長さに設定されている。
【0038】
図2に示すように、給紙部7は、記録材Pを収容する上下複数段の給紙カセット31、各給紙カセット31内の記録材Pを最上層から繰り出す繰り出しローラー32、繰り出された記録材Pを1枚ずつに分離する分離ローラー対33、繰り出された記録材Pを転写位置に送り出すタイミングをとるレジストローラー対34等を備えている。各給紙カセット31内の記録材Pは、対応する繰り出しローラー32及び分離ローラー対33の回転駆動によって、最上層のものから1枚ずつ、給紙路R1経由で主搬送路R0に向けて送り出される。主搬送路R0は画像形成(印刷)の工程を経る記録材Pの主たる通り道である。給紙路R1は給紙カセット31毎に設けられる。各給紙路R1はレジストローラー対34の搬送上流側で主搬送路R0に合流している。
【0039】
ここで、給紙カセット31の長辺方向は装置本体2の前後方向に沿わせている。A4サイズの記録材Pの長辺方向は、給紙カセット31に収容された状態で装置本体2の前後方向に沿うことになる。従って、A4サイズの記録材Pは、長辺側から横送りの姿勢で画像形成部6に進入することになる。
【0040】
また、給紙カセット31の長辺方向は、画像読取部5の長辺方向と直交する位置関係になっている。この点からも明らかなように、装置本体2において画像読取部5を構成する上半部の前後寸法は、給紙カセット31等を内蔵した下半部の前後寸法に比べて短くなっており、前記下半部(装置本体2)は、平面視で前記上半部(画像読取部5)と部分的に重なった状態で、少なくとも前記上半部(画像読取部5)の長辺手前側からはみ出している。実施形態では、平面視で前記上半部(画像読取部5)の前後に、前記下半部(装置本体2)の外形との関係で空きスペースSが形成されている。
【0041】
画像読取部5の近傍である前側の空きスペースSには、操作部としての操作パネル9が、給紙部7のうち装置本体2の左右方向に沿う短辺一側部(実施形態では前面部)の外側面よりも外側に突出しないように配置されている。給紙部7の短辺一側部は、A4サイズの記録材Pにおける一方の短辺側に対応する部分である。操作パネル9の前端側は装置本体2(給紙部7)の前面より内側に位置し、操作パネル9全体が前側の空きスペースS内に収まっている。
【0042】
図2に示すように、給紙部7の上方に画像形成部6が配置され、画像形成部6の上方に排紙ローラー対36が配置されている。主搬送路R0は、下から上の縦方向に記録材Pを搬送するように構成されている。この場合、画像形成部6は給紙カセット31のうち装置本体2の前後方向に長い長辺一側部の上方に配置されている。給紙カセット31の長辺一側部は、A4サイズの記録材Pにおける一方の長辺側に対応する部分である。実施形態の画像形成部6は、装置本体2内の右方に片寄って配置されている。画像形成部6だけでなく主搬送路R0、排紙ローラー対36及び循環搬送部37も、装置本体2内の右方に片寄って配置されている。
【0043】
装置本体2における左右方向の一側部(実施形態では右側部)には、外部から所定サイズの記録材Pを給紙可能な手差しトレイ35が設けられている。手差しトレイ35は、装置本体2内にある通常の給紙部7とは別に補助的に設けられたものであり、装置本体2における左右方向の一側部に対して開閉回動可能に取り付けられている。手差しトレイ35上の記録材Pは、ピックアップローラー等の回転駆動によって、最上層のものから1枚ずつ、手差し給紙路R1′経由で主搬送路R0に向けて送り出される。
【0044】
主搬送路R0のうち定着器28よりも下流側には、印刷済の記録材Pを排出する排紙ローラー対36が配置されている。印刷済の記録材Pは、排紙ローラー対36の回転駆動によって排紙貯留部8に排出される。
【0045】
実施形態の装置本体2内には、片面印刷後の記録材Pを表裏反転させて両面印刷するための循環搬送部37が設けられている。循環搬送部37は、片面印刷後の記録材Pを表裏反転させる反転ローラー対と、複数組の両面搬送ローラー対38とを備えている。循環搬送部37では、片面印刷後の記録材Pを表裏反転させ、循環搬送路R2を介して再びレジストローラー対34まで搬送させる。この場合、排紙ローラー対36を正逆回転可能に構成することによって、排紙ローラー対36に反転ローラー対の機能を兼用させている。排紙ローラー対36の正逆回転によって、記録材PをMFP1外に排出したり、スイッチバック(逆送)してMFP1内に戻したりできる。循環搬送路R2の上流側は、主搬送路R0のうち定着器28と排紙ローラー対36との間から分岐している。循環搬送路R2の下流側は、レジストローラー対34の上流側に合流している。
【0046】
図2に示すように、装置本体2内には、給紙部7を挟んでその短辺方向の一方に画像形成部6が、他方に電装部40が配置されている。給紙部7を挟んで画像形成部6の反対側に位置する電装部40は、装置本体2の各部(例えば画像読取部5、画像形成部6及び給紙部7等)への電力を制御する電源基板41と、前記各部の作動制御全般を司る制御基板42とを有するユニットである。電源基板41及び制御基板42は、金属板を箱状に形成してなるシールド筐体43で囲われている。シールド筐体43にて両基板41,42を囲うことによって、各基板41,42から放出されるノイズの拡散防止や、各基板41、42等の接地アースの強化が図られている。
【0047】
前述の通り、実施形態の画像形成部6は、最上段の給紙カセット31における長辺右側部の上方に位置している。電装部40は、給紙カセット31における長辺左側部の左方に位置している。この場合、シールド筐体43は、上下及び前後方向に長く、左右方向に厚みの薄い箱型に形成されていて、給紙カセット31における長辺左側部の左方に縦置きされている。電源基板41及び制御基板42は、シールド筐体43内に縦置きされている。
【0048】
図2に示すように、装置本体2の左側板には、電装部40に臨むように吸気口51が形成されている一方、装置本体2の右側板には、転写ローラー25及び循環搬送路R2中途部の両面搬送ローラー対38に臨むように排気口52が形成されている。電装部40を構成するシールド筐体43の左側板には、吸気口51から外の空気を取り込むための筐体側吸込み口44が形成され、シールド筐体43の上面板には、シールド筐体43内の空気を排出するための筐体側吐出し口45が形成されている。シールド筐体43における筐体側吐出し口45の上方に、冷却ファン53が配置されている。なお、実施形態では、装置本体2内のうち排気口52に対峙する箇所に、排気ファン54が設けられている。
【0049】
冷却ファン53及び排気ファン54を回転駆動させると、シールド筐体43内の空気が下から上に流れ、装置本体2内の空気が左から右へ流れて内部圧力が低下し、シールド筐体43内外及び装置本体2内外に圧力差が生ずる。このため、吸気口51から外の空気が取り込まれる。吸気口51から取り込まれて筐体側吸込み口44を通過した空気は、シールド筐体43内を流通して電源基板41及び制御基板42の熱を奪い、上面板の筐体側吐出し口45から冷却ファン53を介して露光器23に導かれる。次いで、露光器23に導かれた空気(シールド筐体43内を流通して暖まった空気)は、露光器23以外の画像形成部6(感光体ドラム21、現像器24及び転写ローラー25等)を冷却して、排気口52から外に排出される(図2の矢印W方向参照)。
【0050】
すなわち、図2に矢印Wで示すように、吸気口51から取り込まれた空気は、電装部40、露光器23及び露光器23以外の画像形成部6を経由して、排気口52から排出されるように流通する。吸気口51から電装部40、露光器23及び露光器23以外の画像形成部6を経由して排気口52に至る経路が空気流路W(空気の通り道)になっている。このことから分かるように、冷却ファン53は、空気流路Wのうち電装部40及び画像形成部6(具体的には露光器23)の間に位置している。なお、実施形態の排気口52は、装置本体2の右側板において転写ローラー25と定着器28との間付近で開口している。このため、画像形成部6周辺を通過する空気は、定着器28周辺の熱も奪いながら排気口52から排出される(空気流路Wを流れる空気は定着器28周辺の熱を奪う役割も担っている)。
【0051】
実施形態では、装置本体2の左側板のうち冷却ファン53に対峙する箇所に、吸気口51とは別の空気取入れ口55が形成されている。空気取入れ口55から取り込まれた外の空気は、電装部40を通過することなく冷却ファン53に導かれ、露光器23以降の空気流路Wに合流する。従って、空気取入れ口55からの空気は、電装部40を通過した空気よりも温度が低くて、空冷効果が高い。空気取入れ口55から電装部40を通過せずに冷却ファン53に至る経路は、空気流路Wとは別の空気導入路W′になっている。この場合、空気取入れ口55、冷却ファン53、画像形成部6、排気ファン54及び排気口52がほぼ横一直線状に並ぶので、電装部40を通過せず温度の低い空気の流れは至極円滑であり、画像形成部6の空冷に高い効果を発揮できる。
【0052】
MFP1による印刷動作を簡単に説明する。MFP1は、開始信号や画像信号等を受信して印刷動作を開始する。片面印刷の場合、給紙部7(給紙カセット31又は手差しトレイ35)から繰り出された記録材Pは、主搬送路R0に沿って画像形成部6に搬送される。画像形成部6では、感光体ドラム21上のトナー像の先端が転写位置に達するタイミングに合わせて、記録材Pがレジストローラー対34にて転写位置に搬送され、感光体ドラム21上のトナー像が記録材Pに転写される。転写後に感光体ドラム21上に残った未転写トナーは、クリーナー27にて掻き取られ、感光体ドラム21上から取り除かれる。片面に未定着トナー像を載せた記録材Pは、定着器28の定着位置を通過する際に加熱及び加圧され、未定着トナー像を定着される。トナー像定着後(片面印刷後)の記録材Pは排紙貯留部8に排出される。両面印刷の場合は、片面印刷後の記録材Pを両面印刷用の循環搬送路R2に搬送して裏返しにし、再び主搬送路R0に戻すことによって、記録材Pの他面にトナー像を転写及び定着させることになる。
【0053】
<3.装置本体の枠体付近の構成>
図4および図5は、枠体100付近の構成の一例を示す外観斜視図である。枠体100は、装置本体2の骨組みを形成する構造物であり、例えば金属板により形成されている。図4および図5に示すように、枠体100は、主として、支柱103、104、105と、フレーム106、107と、を有している。また、枠体100の上部には、支持部材111、112が設けられている。
【0054】
フレーム106、107は、金属により形成された板体であり、空間108の周囲に配置されている。これにより、画像形成部6は、枠体100(より具体的にはフレーム106、107)に囲繞された空間に収容される。
【0055】
支柱103、104は、それぞれフレーム106の左端上部および右端上部から上方に延びる部材である。支柱105は、フレーム107の右端に隣接して設けられた部材であり、上方に延びる。そして、図4および図5に示すように、支柱103および支柱104の上部に支持部材111が、支柱105の上部に支持部材112が、それぞれ固定されている。
【0056】
支持部材111(第1支持部材)は、外部から応力に対して弾性変形しやすい金属板により形成されており、弾性体として形成されている。図4に示すように、支持部材111は、枠体100の上部(より具体的には、操作パネル9を操作する使用者から見て奥側に位置する枠体100の上部)と、画像読取部5のスキャナー部3の底部(より具体的には、スキャナー部3の長辺付近の底部)と、の間に固定されている。
【0057】
これにより、画像読取部5は、支持部材111によって、枠体100に対して片持ち状に支持される。この場合、支持部材111は、枠体100に固定された位置から、画像読取部5の短辺方向に沿って離隔するに従い撓む。
【0058】
支持部材112(第2支持部材)は、図4に示すように、枠体100の上部(より具体的には、使用者から見て手前側に位置する枠体100の上部)に固定されている。これにより、支持部材112は、支持部材111により片持ち状に支持された画像読取部5のスキャナー部3の底部を受けとめる。
【0059】
ここで、図3に示すように、複数のヒンジ121(121a、121b)は、支持部材111の直上、または、ADF4の開閉による振動の影響を最小限に抑制できる支持部材111の直上付近に設けられている。
【0060】
また、これら複数のヒンジ121(121a、121b)が設けられることによって、ADF4が支持部材111付近の揺動軸を中心に揺動し、ADF4の支持部材112側(操作パネル9を操作する使用者から見て手前側)が開閉する。すなわち、ADF4が開閉させられる場合、画像読取部5を片持ち状に支持する支持部材111側(操作パネル9を操作する使用者から見て奥側)は開閉しない。そのため、画像読取部5が片持ち状に支持されている場合であっても、ADF4を良好に開閉させることができる。
【0061】
また、図1および図4から明かなように、操作パネル9は、支持部材112の直上付近に設けられている。これにより、使用者により操作パネル9が操作されても、支持部材112は撓まない。そのため、画像読取部5は、操作パネル9の使用状況に影響されることなく、良好に原稿から画像を読み取ることができる。
【0062】
<4.支持部材による振動の吸収>
図6および図7は、印刷画像に発生するジッターを説明するための図である。図8は、視覚的な許容指数とジッターの空間周波数との関係を示すグラフである。図9は、振動の伝達率と振動の周波数との関係を示すグラフである。
【0063】
ここで、ジッターとは、本来、一方向に沿って等間隔に印刷されるべき複数の印刷要素の各間隔が、画像形成部に付与された振動の周波数に応じて、異なった大きさになる(各間隔が揺らぐ)ことを言う。
【0064】
例えば、画像読取部5に伝達される振動が画像形成に影響を及ぼさない場合、印刷画像130の各印刷要素131(131a、131b)は、図6に示すように、等間隔D11に印刷される。
【0065】
これに対して、例えば画像読取部5から画像形成部6に振動が伝達される場合、印刷画像135の印刷要素136(136a〜136d)の各間隔D21、D22は、図7に示すようにばらつく。
【0066】
また、人間の視覚特性により許容できる範囲(視覚的な許容指数)と、ジッターの空間周波数と、の間には、図8のような関係がある。図8に示すように、許容範囲が最も狭くなるジッターの空間周波数f1は、「1.0」(LP/mm)付近であることが知られている。そして、空間周波数f1に対応する振動の周波数f2は、画像形成部6の印刷速度に依存するが、一般的には、「50」〜「200」(Hz)程度である。
【0067】
したがって、画像形成が良好に実行されるためには、画像読取部5から画像形成部6に、この範囲の振動の周波数f2が伝達されることを防止する必要がある。
【0068】
また、振動の伝達特性と、振動の周波数と、の間には、図9のような関係がある。図9に示すように、共振点RP付近では振動が増幅されるが、共振点RPより高い周波数では伝達率が急激に低下する。
【0069】
さらに、本実施の形態において、支持部材111は、片持ち構造のため、共振周波数が「20」(Hz)付近に設定されている。すなわち、ジッターに起因した印刷不良が発生する振動の周波数f2(=「50」〜「200」)は、支持部材111の共振周波数より小さい。
【0070】
これにより、ジッターの発生原因となる振動は、支持部材111で吸収され、枠体100および画像形成部6に伝達されない。そのため、ジッターなどの印刷不良が発生することを防ぎ、良好な印刷画像を得ることができる。また、画像形成部6で発生した振動も、支持部材111で吸収される。そのため、画像読取部5により良好に読取画像を得ることができる。
【0071】
<5.本実施の形態の画像形成装置の利点>
以上のように、本実施の形態のMFP1において、支持部材111(第1支持部材)は、画像読取部5を片持ち状に支持しており、弾性体として形成されている。これにより、画像読取部5で振動が発生すると、支持部材111が撓み、画像読取部5で発生した振動は、支持部材111で吸収される。そのため、枠体100に収容された画像形成部6に、この振動が伝わることを抑制でき、印刷不良が発生することを防止できる。
【0072】
また、図3に示すように、画像読取部5の長辺付近の底部が、支持部材111に固定されている。これにより、支持部材111が枠体100に固定されている位置から、支持部材111により片持ち支持された画像読取部5の自由端の位置までの距離は、画像読取部5の短辺方向の大きさ程度となる。
【0073】
そのため、画像読取部5の短辺付近の底部が、支持部材111に固定される場合と比較して、画像読取部5を安定して片持ち状に支持することができ、画像読取部5で発生した振動をさらに良好に支持部材111で吸収することができる。
【0074】
<6.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0075】
本実施の形態において、画像読取部5は、スキャナー部3と、ADF4と、を有するものとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、画像読取部5は、ADF4の代わりに、ADF機能を有しない原稿押さえ部を有するものであっても良い。
【0076】
この場合、原稿押さえ部が支持部材111付近の揺動軸を中心に揺動することによって、原稿押さえ部の支持部材112側(操作パネル9を操作する使用者から見て手前側)が開閉する。そのため、画像読取部5が片持ち状に支持されている場合であっても、原稿押さえ部を良好に開閉させることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 MFP(画像形成装置)
2 装置本体
3 スキャナー部
4 ADF(自動原稿搬送部)
5 画像読取部
6 画像形成部
9 操作パネル(操作部)
100 枠体
108 空間
111 支持部材(第1支持部材)
112 支持部材(第1支持部材)
121(121a、121b) ヒンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 枠体と、
(b) 前記枠体により囲繞された空間に収容された画像形成部と、
(c) 前記画像形成部の上方に配置された画像読取部と、
(d) 前記枠体の上部および前記画像読取部の底部の間に固定されており、前記枠体に対して前記画像読取部を片持ち状に支持する第1支持部材と、
(e) 前記枠体の上部に固定されており、前記第1支持部材により片持ち状に支持された前記画像読取部の底部を受けとめる第2支持部材と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記画像読取部の長辺側端部が、前記第1支持部材に固定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、
使用者からの入力を受け付ける操作部は、前記第2支持部材の直上付近に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像読取部は、
(c-1) 読取対象となる原稿を押さえる原稿押さえ部と、
(c-2) 前記原稿押さえ部を開閉させるヒンジと、
を有しており、
前記ヒンジは、前記第1支持部材の直上付近に設けられており、
前記原稿押さえ部が前記ヒンジの揺動軸を中心に揺動することによって、前記原稿押さえ部の前記第2支持部材側が開閉することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像読取部は、
(c-1) 読取対象となる原稿を給送することによって、前記原稿から画像を読み取らせる自動原稿搬送部と、
(c-2) 前記自動原稿搬送部を開閉させるヒンジと、
を有しており、
前記ヒンジは、前記第1支持部材の直上付近に設けられており、
前記自動原稿搬送部が前記ヒンジの揺動軸を中心に揺動することによって、前記自動原稿搬送部の前記第2支持部材側が開閉することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−3359(P2013−3359A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134531(P2011−134531)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】