画像形成装置
【課題】このような原稿および記録媒体の搬送の特性を考慮しつつ、消費電力を低減するとともに、小型化が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、原稿読取手段と、画像形成手段と、用紙を配置するための給紙部と、給紙部に配置された用紙を給紙するための搬送手段と、用紙を受取るための排紙部と、給紙部から原稿読取手段を経て排紙部へとつながる第1の搬送経路と、給紙部から画像形成手段を経て排紙部へとつながる第2の搬送経路と、搬送手段によって給紙される用紙が原稿読取手段による読み取り対象となる原稿か画像形成手段によって画像が形成される記録媒体のいずれであるかを識別する識別手段と、識別手段による識別結果に基づいて、第1の搬送経路および第2の搬送経路のいずれかを選択する経路選択手段とを含む。
【解決手段】画像形成装置は、原稿読取手段と、画像形成手段と、用紙を配置するための給紙部と、給紙部に配置された用紙を給紙するための搬送手段と、用紙を受取るための排紙部と、給紙部から原稿読取手段を経て排紙部へとつながる第1の搬送経路と、給紙部から画像形成手段を経て排紙部へとつながる第2の搬送経路と、搬送手段によって給紙される用紙が原稿読取手段による読み取り対象となる原稿か画像形成手段によって画像が形成される記録媒体のいずれであるかを識別する識別手段と、識別手段による識別結果に基づいて、第1の搬送経路および第2の搬送経路のいずれかを選択する経路選択手段とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿および記録媒体に係る給紙および排紙機構を簡素化した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、ファクシミリ、複合機(MFP:multi-function peripheral)などの画像形成装置においては、原稿および記録媒体のそれぞれについて、給紙するための給紙機構と排紙するための排紙機構とがそれぞれ独立に設けられる構成が一般的である。
【0003】
これに対して、原稿の給紙トレイと記録媒体の給紙トレイとが兼用され、原稿および記録媒体がそれぞれの排紙トレイに排出される構成が提案されている。たとえば、特開平10−333381号公報(特許文献1)は、記録媒体給紙トレイと原稿給紙トレイとを兼ねるとともに、一部、同一の搬送経路を用いる画像形成装置を開示する。
【0004】
また、特開2007−034271号公報(特許文献2)は、原稿排紙トレイと装置本体の上面に向けて排出される記録媒体排紙トレイを備え、記録媒体が原稿排出方向と交差するように排出され、載置される画像形成装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−333381号公報
【特許文献2】特開2007−034271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような一般的な画像形成装置の構成、すなわち、原稿および記録媒体のそれぞれについて、給紙するための給紙機構と排紙するための排紙機構とがそれぞれ独立に設けられる構成において、原稿の搬送と記録媒体の搬送とが同時に行なわれない場合には、いずれか一方の給紙機構および排紙機構(両者を繋ぐ搬送機構を含む)は休止状態となる。このように、各時点でみれば、いずれか一方の搬送は休止しているにもかかわらず、原稿および記録媒体をそれぞれ給紙、搬送、排紙するための駆動源や各種部品を備えておく必要があった。そのため、装置全体の消費電力が増大し、かつ、装置の小型化を妨げる一因ともなっていた。
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、このような原稿および記録媒体の搬送の特性を考慮しつつ、消費電力を低減するとともに、小型化が可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面に従う画像形成装置は、原稿読取手段と、画像形成手段と、用紙を配置するための給紙部と、給紙部に配置された用紙を給紙するための搬送手段と、用紙を受取るための排紙部と、給紙部から原稿読取手段を経て排紙部へとつながる第1の搬送経路と、給紙部から画像形成手段を経て排紙部へとつながる第2の搬送経路と、搬送手段によって給紙される用紙が原稿読取手段による読み取り対象となる原稿か画像形成手段によって画像が形成される記録媒体のいずれであるかを識別する識別手段と、識別手段による識別結果に基づいて、第1の搬送経路および第2の搬送経路のいずれかを選択する経路選択手段とを含む。
【0009】
好ましくは、第1の搬送経路および第2の搬送経路は、その一部の経路を共有する。
好ましくは、搬送手段は、給紙ローラーを含み、給紙部は、原稿を配置するための第1の積載板と、記録媒体を配置するための第2の積載板とを含み、第1の積載板と、第2の積載板とは、第1の積載板に配置された原稿または第2の積載板に配置された記録媒体のいずれかが給紙ローラーと当接するように構成される。
【0010】
特に、第1の積載板は、第2の積載板の上部に重ねて配置され、第1の積載板および第2の積載板の各々は、回動可能に構成されており、給紙部は、第2の積載板を介して、第1の積載板を給紙ローラー側に回動させるための押上げ力を発生する押上部をさらに含む。
【0011】
特に、第1の積載板は、給紙ローラーとは干渉しないように構成される。
特に、識別手段は、第1の積載板に関連付けて配置され、第1の積載板上に原稿が存在するか否かを検知する手段を含む。
【0012】
好ましくは、経路選択手段は、原稿および記録媒体が排紙部へ排出される前に、その搬送方向を反転して対応する搬送経路に戻すための経路を形成する。
【0013】
好ましくは、排紙部は、原稿読取手段によって内容が読取られた後の原稿を受取るための第1の排紙トレイと、画像形成手段によって画像が形成された記録媒体を受取るための第2の排紙トレイと、識別手段による識別結果に基づいて、排出口から排出される用紙を第1の排紙トレイまたは第2の排紙トレイのいずれかに導くガイドとを含む。
【0014】
好ましくは、給紙部は、排紙部の上部に重ねて配置される。
好ましくは、給紙部は、原稿または記録媒体を格納した状態で着脱可能な給紙カセットを含む。
【0015】
好ましくは、原稿読取手段は、原稿を置載するための置載台と、置載台に置載された原稿に対して相対移動可能な読取部とを含み、読取部は、原稿が第1の搬送経路を搬送される場合に、第1の搬送経路上の所定位置に固定される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、原稿および記録媒体の搬送の特性を考慮しつつ、消費電力を低減するとともに、小型化が可能な画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の関連技術に係る画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う画像形成装置における片面原稿の自動送り動作を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う画像形成装置における両面原稿の自動送り動作を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態に従う画像形成装置における片面プリント動作を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態に従う画像形成装置における両面プリント動作を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態に従う画像形成装置における原稿読取り時の動作を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態に従う画像形成装置におけるプリント時の動作を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態に従う画像形成装置における給排紙ユニットの要部構造を示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態に従う画像形成装置の制御部のハードウェア構成を示す模式図である。
【図11】本発明の実施の形態に従う画像形成装置の制御部における処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態の変形例1に従う画像形成装置における給排紙ユニットを示す模式図である。
【図13】本発明の実施の形態の変形例2に従う画像形成装置における給排紙ユニットを示す模式図である。
【図14】本発明の実施の形態の変形例3に従う画像形成装置における給排紙ユニットを示す模式図である。
【図15】本発明の実施の形態の変形例4に従う画像形成装置における読取り動作からプリント動作への切替え処理を示す模式図である。
【図16】本発明の実施の形態の変形例4に従う画像形成装置の制御部における処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
[A.関連技術に係る構成]
本発明の実施の形態に従う画像形成装置について説明する前に、本発明の関連技術に係る画像形成装置の構成について説明する。
【0020】
図1は、本発明の関連技術に係る画像形成装置200の概略構成を示す模式図である。図1に示す関連技術に係る画像形成装置200は、原稿給紙トレイ231などの原稿の給紙機構と、原稿排紙トレイ233などの原稿の排紙機構と、記録媒体給紙トレイ211などの記録媒体(用紙)の給紙機構と、記録媒体排紙トレイ218などの記録媒体の排紙機構とを備える。
【0021】
より具体的には、画像形成装置200は、記録媒体に画像を形成するプリントエンジン210と、原稿読取りユニット220と、原稿自動送りユニット230とを含む。図1には、典型例として、カラープリントが可能なサイクル式のプリントエンジン210を示す。このプリントエンジン210は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー画像を生成するイメージングユニット213と、中間転写ベルト215と、イメージングユニット213が生成した各色のトナー画像を中間転写ベルト215へ転写(一次転写)するための一次転写ローラー214と、中間転写ベルト215に重ね合わされたトナー画像を記録媒体へ転写(二次転写)するための二次転写ローラー216とを含む。この二次転写ローラー216には、記録媒体給紙トレイ211に収納された記録媒体が記録媒体搬送経路212に沿って搬送される。トナー画像が転写された記録媒体は、定着ローラー217へ搬送され、当該トナー画像が加熱および加圧されることで、記録媒体上に定着される。そして、トナー画像が定着された後の記録媒体は、記録媒体排紙トレイ218へ排出される。なお、図1には、本体内部に設けられた記録媒体排紙トレイ218へ排出される、いわゆる胴内排紙の構成を示す。
【0022】
一方、原稿は、原稿読取りユニット220の原稿読取り部221によって読取られる。原稿は、原稿読取りユニット220の原稿置載台(プラテンガラス)上に置載される場合と、原稿自動送りユニット230によって順次搬送される場合とがある。
【0023】
原稿自動送りユニット230によって原稿が順次搬送される場合には、原稿給紙トレイ231に置載される原稿が原稿搬送経路232に沿って搬送され、その搬送中に内容が原稿読取り部221によって読取られ、その後、原稿排紙トレイ233へ排出される。
【0024】
図1に示す画像形成装置200を用いて、原稿から電子データ(たとえば、PDF(Portable Document Format)データ)を生成するような機能(スキャナ機能)を提供する場合を考えると、原稿自動送りユニット230のみが作動し、プリントエンジン210は作動する必要がない。また、画像形成装置200を用いて、プリントジョブに従って記録媒体上に画像を形成するような機能(プリント機能)を提供する場合を考えると、プリントエンジン210のみが作動し、原稿自動送りユニット230は作動する必要がない。
【0025】
さらに、画像形成装置200を用いて、原稿を読取るとともに、その読取った内容を記録媒体上にプリントするというような機能(コピー機能)を提供する場合を考えると、プリントエンジン210および原稿自動送りユニット230のいずれもが作動するが、原稿の読取り動作とプリント動作とを連続的(直列的)に実行すれば、プリントエンジン210と原稿自動送りユニット230とを同時に作動させる必要はない。
【0026】
そこで、以下に説明する本実施の形態に従う画像形成装置は、このような原稿の給紙機構と記録媒体の給紙機構とを必ずしも同時に作動させる必要がないことに着目して、これらの機構を共通化する。これにより、装置の小型化および低消費電力化を図るものである。
【0027】
[B.本実施の形態に従う構成]
次に、本実施の形態に従う画像形成装置100の構成について説明する。
【0028】
図2は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100の概略構成を示す模式図である。本実施の形態に従う画像形成装置100は、上述の画像形成装置200とは異なり、原稿および記録媒体に係る給紙機構および排紙機構を共通化したものである。そのため、プリントエンジンとして採用する印字方式は任意の方式を採用できる。すなわち、図2には、一例として、サイクル式のカラープリントが可能なプリントエンジンを例示するが、タンデム式のカラープリント、電子写真式のモノクロプリント、インクジェット方式、昇華型方式、ドットインパクト方式など各種の方式に適用可能である。
【0029】
また、画像形成装置100は、複写機、ファクシミリ、複合機(MFP)などのいずれにも適用可能である。
【0030】
より具体的には、画像形成装置100は、プリントエンジン110と、原稿読取りユニット120と、給排紙ユニット130とを含む。
【0031】
プリントエンジン110は、記録媒体に画像を形成する画像形成手段の典型例であり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー画像を生成するイメージングユニット113と、中間転写ベルト115と、イメージングユニット113が生成した各色のトナー画像を中間転写ベルト115へ転写(一次転写)するための一次転写ローラー114と、中間転写ベルト115に重ね合わされたトナー画像を記録媒体へ転写(二次転写)するための二次転写ローラー116とを含む。また、プリントエンジン110は、トナー画像が転写された記録媒体に対して、加熱および加圧する定着ローラー117を含む。
【0032】
原稿読取りユニット120は、原稿読取り手段の具現化例であり、原稿を読取るための原稿読取り部121と、原稿が置載される原稿置載台122とを含む。原稿読取り部121は、CCD(Charged Couple Device)やラインセンサーなどの光学素子からなり、原稿との間で相対移動することで、その内容を読取る。すなわち、原稿読取り部121は、プラテンガラスなどの原稿置載台122上に置載された原稿に対して、紙面横方向に移動することでその内容を読取り、給排紙ユニット130によって順次搬送される原稿に対して、原稿が通過する所定位置に位置決めされることでその内容を読取る。
【0033】
給排紙ユニット130は、原稿および記録媒体に係る給紙機構および排紙機構を提供する。より具体的には、給排紙ユニット130は、原稿積載板131と、記録媒体積載板132と、給紙ローラー133と、排紙ローラー134と、スイッチバックローラー135と、切替えガイド136,137,138と、排紙トレイ139とを含む。
【0034】
ユーザーは、給排紙ユニット130の原稿積載板131に原稿をセットし、記録媒体積載板132に記録媒体をセットした上で、画像形成装置100を操作することで、後述するような原稿の読取り動作および記録媒体へのプリント動作が行なわれる。すなわち、原稿積載板131は、原稿読取りユニット120による読取り対象となる原稿と、プリントエンジン110によって画像が形成される記録媒体とを配置するための給紙部に相当する。給排紙ユニット130に配置された原稿および記録媒体を給紙するための搬送手段の具現化例である給紙ローラー133は、原稿積載板131上の原稿および記録媒体を1枚ずつ送出する。
【0035】
そして、原稿読取りユニット120によって内容が読取られた後の原稿と、プリントエンジン110によって画像が形成された記録媒体とは、いずれも排紙トレイ139へ排出される。すなわち、排紙トレイ139は、原稿読取りユニット120によって内容が読取られた後の原稿と、プリントエンジン110によって画像が形成された記録媒体とを受取るための排紙部に相当する。
【0036】
なお、図2に示す画像形成装置100では、原稿および記録媒体を配置する位置と、読取られた後の原稿および画像が形成された記録媒体を取り出す位置とを近接させて、ユーザーの操作性を向上させるために、給排紙ユニット130において、原稿積載板131および記録媒体積載板132は、排紙トレイ139の上部に重ねて配置される。
【0037】
図2に示すように、本実施の形態に従う画像形成装置100においては、給排紙ユニット130による原稿搬送方向と記録媒体の搬送方向とが同一方向である。また、画像形成装置100は、同一の給紙口および給紙ローラー133を兼用する、原稿および記録媒体についてのそれぞれの用紙給紙トレイ(原稿積載板131および記録媒体積載板132)を有している。さらに、原稿および記録媒体が同一の排紙ローラー134および排紙口を兼用する。
【0038】
以下、原稿読取り動作および記録媒体へのプリント動作について、図を参照して説明する。
【0039】
[C.動作例]
(c1:自動原稿送り動作(片面))
まず、片面原稿を自動送りして読取る場合の動作について説明する。
【0040】
図3は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100における片面原稿の自動送り動作を説明するための図である。図3を参照して、ユーザーは、原稿積載板131上に原稿をセットするとともに、画像形成装置100に対して目的の動作を開始させるための指令を与える。なお、後述するように、原稿積載板131上に原稿がセットされていることを検知する機構を設けて、この検知結果に応答して、原稿読取り動作を開始してもよい。
【0041】
本例における切替えガイド136は、3つの位置に切替え可能に設けられており、具体的には、最上位置、中間位置、最下位置に位置決めすることが可能である。
【0042】
自動原稿送り動作においては、切替えガイド136が最上位置に位置決めされ、切替えガイド137が下側に位置決めされ、切替えガイド138が上側に位置決めされる。これによって、給排紙ユニット130の内部を原稿が一巡した上で、排紙トレイ139へ導かれる、原稿搬送経路141が形成される。給紙ローラー133が原稿を送出し、原稿は、原稿搬送経路141を通過した後、排紙トレイ139へ排出される。
【0043】
このとき、原稿読取り部121は、原稿搬送経路141の経路上に位置決めされ、原稿の搬送に同期して、電気的/光学的な読取り動作を開始する。そして、原稿搬送経路141上における、給紙ローラー133から排紙トレイ139までの間で、原稿読取り部121によって原稿が読取られる。
【0044】
(c2:自動原稿送り動作(両面))
次に、両面原稿を自動送りして読取る場合の動作について説明する。
【0045】
図4は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100における両面原稿の自動送り動作を説明するための図である。両面原稿を読取る場合には、上述の図3に示すような方法によって、一方面を読取った後、図4に示すように、当該原稿をスイッチバックして、給排紙ユニット130の内部を再度一巡させる。すなわち、図3に示す原稿搬送経路141を搬送される原稿の終端がスイッチバックローラー135を抜けた後、切替えガイド136が中間位置に切り替わることで、原稿搬送経路142が形成される。そして、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135の回転方向を反転することで、原稿は、原稿搬送経路142を通過した後、排紙トレイ139へ排出される。
【0046】
このように、画像形成装置100では、原稿が排紙トレイ139へ排出される前に、その搬送方向を反転して対応する搬送経路に戻すための経路が形成される。
【0047】
(c3:原稿読取り動作(原稿置載台))
原稿が原稿置載台122に置載される場合には、給排紙ユニット130は動作せず、原稿読取りユニット120の原稿読取り部121が紙面横方向に移動することで、原稿の内容を読取る。
【0048】
このように、原稿読取りユニット120は、原稿を置載するための原稿置載台122と、原稿置載台122に置載された原稿に対して相対移動可能な原稿読取り部121とを含む。そして、原稿読取り部121は、原稿が原稿搬送経路141または142を搬送される場合に、当該原稿搬送経路上の所定位置に固定される。
【0049】
(c4:プリント動作(片面))
次に、記録媒体の片面にプリントする場合の動作について説明する。
【0050】
図5は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100における片面プリント動作を説明するための図である。図5を参照して、片面プリント動作においては、切替えガイド136が中間位置に位置決めされ、切替えガイド137が上側に位置決めされ、切替えガイド138が上側に位置決めされる。これによって、給排紙ユニット130を通過した後、プリントエンジン110の内部を記録媒体が一巡した上で、排紙トレイ139へ導かれる、記録媒体搬送経路143が形成される。給紙ローラー133が記録媒体を送出し、記録媒体は、図3に示す原稿搬送経路141と一部共有される経路を通過した後、プリントエンジン110において画像形成処理がなされ、その後、排紙トレイ139へ排出される。
【0051】
(c5:プリント動作(両面))
次に、記録媒体の両面にプリントする場合の動作について説明する。
【0052】
図6は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100における両面プリント動作を説明するための図である。両面プリント動作においては、上述の図5に示すような方法によって、記録媒体の一方面に画像を形成した後、図6に示すように、当該記録媒体をスイッチバックして、プリントエンジン110の内部を再度一巡させる。すなわち、図5に示す記録媒体搬送経路143を搬送されるプリント後の記録媒体の終端がスイッチバックローラー135を抜けた後、切替えガイド136が最下位置に切り替わることで、記録媒体搬送経路144が形成される。そして、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135の回転方向を反転することで、記録媒体は、図3に示す原稿搬送経路141と一部共有される経路を通過した後、プリントエンジン110において再度画像形成処理がなされ、その後、排紙トレイ139へ排出される。
【0053】
このように、画像形成装置100では、記録媒体が排紙トレイ139へ排出される前に、その搬送方向を反転して対応する搬送経路に戻すための経路が形成される。なお、図4および図6に示すように、原稿および記録媒体が搬送途中に方向を逆転されて、それぞれの給紙経路に再び搬送される構成が採用されており、逆転時の搬送経路についてみれば、原稿および記録媒体の間で一部共有されている。
【0054】
[D.原稿自動送りユニット]
上述したように、本実施の形態に従う画像形成装置100は、給排紙ユニット130が原稿に係る給紙/排紙機構および記録媒体に係る給紙/排紙機構を提供する。本実施の形態に従う給排紙ユニット130は、原稿を置載するための原稿積載板131と、記録媒体を置載するための記録媒体積載板132とをそれぞれ有している。すなわち、原稿積載板131が原稿を配置するための積載板に相当し、記録媒体積載板132が記録媒体を配置するための積載板に相当する。
【0055】
このような構成を採用した場合には、ユーザーが原稿読取り動作とプリント動作とのいずれかを明示的に指定するようにしてもよいが、ユーザーフレンドリーの観点からは、原稿読取りからプリント動作までを自動的に行なえることが好ましい。
【0056】
そこで、本実施の形態に従う給排紙ユニット130は、コピー機能などのように、セットされた一連の原稿を読取り、続いて、その読取った内容をプリントするような動作を自動的に行なう構成を採用する。
【0057】
図7は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100における原稿読取り時の動作を説明するための図である。図8は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100におけるプリント時の動作を説明するための図である。
【0058】
図7および図8を参照して、給排紙ユニット130は、原稿積載板131上の原稿の有無を判断するための用紙有無検出部151を有する。この用紙有無検出部151は、給紙手段の具現化例である給紙ローラー133によって給紙される用紙が原稿および記録媒体のいずれであるかを識別する識別手段に相当する。より具体的には、用紙有無検出部151は、後述するように、原稿積載板131の一部を切り欠いた穴を貫通する検出子を有しており、この検出子の位置に基づいて、原稿積載板131上における用紙(原稿)の有無を判断する。
【0059】
図7に示すように、原稿積載板131上に原稿がセットされていると検出した場合には、原稿搬送経路141または142を形成し、原稿を読取る。一方、図8に示すように、原稿積載板131上には原稿がセットされていないと検出した場合には、記録媒体搬送経路143または144を形成し、プリント処理を実行する。すなわち、用紙有無検出部151による検出結果に応答して、切替えガイド136,137,138が切り替わり、原稿または記録媒体が搬送される。このように、切替えガイド136,137,138およびそれを駆動する制御機構(後述する)は、識別手段である用紙有無検出部151による識別結果に基づいて、給紙ローラー133から原稿読取りユニット120を経て排紙トレイ139へとつながる第1の搬送経路(原稿搬送経路141または142)と、給紙ローラー133からプリントエンジン110を経て排紙トレイ139へとつながる第2の搬送経路(記録媒体搬送経路143または144)とを選択的に形成する経路選択手段に相当する。第1の搬送経路(原稿搬送経路141または142)および第2の搬送経路(記録媒体搬送経路143または144)は、その一部の経路を共通としている。
【0060】
次に、給排紙ユニット130のより具体的な構造について、図9を参照して説明する。図9は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100における給排紙ユニット130の要部構造を示す模式図である。図9(a)は、給排紙ユニット130の原稿および記録媒体をセットする部分の上面図であり、図9(b)は、給排紙ユニット130の原稿および記録媒体をセットする部分の側面図である。
【0061】
図9を参照して、原稿積載板131および記録媒体積載板132は、それぞれ原稿積載板支点131aおよび記録媒体積載板支点132aによって回動可能に構成されている。原稿積載板131は、記録媒体積載板132の上部側に配置されており、原稿積載板131と記録媒体積載板132との間に記録媒体がセット可能となっている。すなわち、原稿を配置するための原稿積載板131は、記録媒体を配置するための記録媒体積載板132に比較して、給紙ローラー133に近接して配置されている。
【0062】
また、原稿積載板131の原稿がセットされる範囲の一部には、切り欠き部152が形成されており、この切り欠き部152を通じて用紙有無検出部151が原稿面に対して上下方向に回動可能となっている。この用紙有無検出部151の回動によって、原稿の有無を検出する。このように、識別手段の典型例である用紙有無検出部151は、原稿積載板131に関連付けて配置され、原稿積載板131上に原稿が存在するか否かを検知する。
【0063】
原稿積載板131は、記録媒体積載板132に比較して、原稿/記録媒体の搬送方向においてより短くなっており、原稿積載板131上の原稿が存在しない場合には、給紙ローラー133と干渉しないようになっている。記録媒体積載板132は、押上げばね155により、給紙ローラー133に当接する方向に押し上げられる構成となっている。すなわち、記録媒体積載板132は、記録媒体積載板支点132aを支点として回動する方向に、原稿および/または記録媒体を給紙ローラー133に当接させる。
【0064】
図9に示すような構成を採用することで、原稿積載板131上にセットされた原稿、および、記録媒体積載板132上にセットされた記録媒体が順次搬送される。すなわち、原稿積載板131に配置された原稿および記録媒体積載板132に配置された記録媒体は、いずれも給紙ローラー133と当接可能に構成される。
【0065】
より具体的には、上部側に設けられた原稿積載板131は、その下面に下部側に設けられた記録媒体積載板132(または、記録媒体積載板132にセットされた記録媒体)が記録媒体積載板支点132aを始点に回動することによって、押上げばね155からの押し上げ力が伝達されて、給紙ローラー133に当接する方向に押し上げられる。これにより、原稿積載板131上にセットされた原稿は、給紙ローラー133により1枚ずつ給紙される。この押上げばね155は、記録媒体積載板132を介して、原稿積載板131を給紙ローラー133側に回動させるための押上げ力を発生する押上部に相当する。
【0066】
原稿積載板131は、反支点側の長さが給紙ローラー133に当接しないように短く構成されているので、原稿積載板131上にセットされた原稿がすべて給紙されると、給紙ローラー133と干渉しない位置に跳ね上がる。すなわち、原稿積載板131は、配置される原稿が存在しない状態で、給紙ローラー133とは干渉しないように構成される。
【0067】
一方、下部側に設けられた記録媒体積載板132は、記録媒体が存在しない場合でも給紙ローラー133に当接するような長さに構成されているので、原稿積載板131上の原稿がなくなると、記録媒体積載板132上にセットされた記録媒体が押し上げられて給紙ローラー133に当接する。そして、給紙ローラー133が記録媒体積載板132上にセットされた記録媒体を1枚ずつ給紙する。
【0068】
なお、原稿積載板131上の原稿がなくなったことは、用紙有無検出部151によって検出される。
【0069】
[E.制御構造]
次に、上述のような動作を実現するための制御構造について説明する。画像形成装置100は、全体の動作を制御するための制御部10を搭載している。
【0070】
図10は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100の制御部10のハードウェア構成を示す模式図である。図10を参照して、制御部10は、処理部であるCPU(Central Processing Unit)12と、記憶部であるRAM(Random Access Memory)13、ROM(Read Only Memory)14、EEPROM(Electrical Erasable and Programmable Read Only Memory)15、およびHDD(Hard Disk Drive)16と、通信部である外部通信I/F(インターフェイス:Interface)17および内部通信I/F18とを含む。なお、これらの部位は、内部バス11を介して互いに接続される。
【0071】
制御部10では、CPU12が、ROM14などに予め格納されている各種処理を実行するためのプログラムをRAM13などに展開して実行することで、画像形成装置100が制御される。
【0072】
RAM13は、揮発性メモリであり、ワークメモリとして使用される。より具体的には、RAM13には、実行されるプログラム自体に加えて、処理対象の画像データや各種変数データが一時的に格納される。EEPROM15は、典型的には不揮発性の半導体メモリであり、画像形成装置100のIPアドレスやネットワークドメインなどを各種設定値を記憶する。HDD16は、典型的には不揮発性の磁気メモリであり、画像処理装置から受信したプリントジョブや原稿読取り部121によって取得した画像情報などを蓄積する。
【0073】
外部通信I/F17は、典型的にはイーサネット(登録商標)といった汎用的な通信プロトコルをサポートし、ネットワークを介してパーソナルコンピュータなどとの間でデータ通信を提供する。内部通信I/F18は、プリントエンジン110などと接続され、プリントエンジン110に含まれる各種センサーでの検出信号を受信して、CPU12へ伝送するとともに、CPU12からの命令に従って、プリントエンジン110の各種アクチュエーターへ必要な信号を送信する。
【0074】
[F.処理手順]
次に、本実施の形態に従う画像形成装置100における動作を実現するための処理手順について説明する。
【0075】
図11は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100の制御部10における処理手順を示すフローチャートである。なお、図11には、ユーザーが、原稿積載板131上に1枚以上の原稿をセットし、記録媒体積載板132上に対応する記録媒体をセットした上で、コピー動作を行なう場合の処理を示す。この図11に示す各ステップは、典型的には、制御部10がプログラムを実行することで実現される。但し、図11に示す処理手順を実現するための一部または全部の構成が、専用のハードウェアとして実装されていてもよい。
【0076】
まず、制御部10は、ユーザーによる設定を受け付ける(ステップS2)。この設定は、原稿が片面原稿であるのか、あるいは両面原稿であるのかという指定、ならびに、片面プリントであるか、両面プリントであるかという指定を含む。
【0077】
続いて、制御部10は、切替えガイド136,137,138を位置決めすることで、原稿搬送経路141(図3)を形成する(ステップS4)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を最上位置に位置決めし、切替えガイド137を「下側」に位置決めし、切替えガイド138を「上側」に位置決めする。そして、制御部10は、給紙ローラー133を回転駆動し、原稿を原稿搬送経路141に沿って搬送する(ステップS6)とともに、搬送された原稿を原稿読取り部121によって読取る(ステップS8)。なお、原稿読取り部121は、原稿搬送経路141の経路上に固定されているとする。
【0078】
その後、制御部10は、読取った原稿が両面原稿であるか否かを判断する(ステップS10)。この判断は、ステップS2においてユーザーによって入力された設定に基づいて行なわれる。
【0079】
読取った原稿が片面原稿である場合(ステップS10においてNOの場合)には、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、原稿を排紙トレイ139へ排出する(ステップS12)。そして、処理はステップS24へ進む。
【0080】
これに対して、読取った原稿が両面原稿である場合(ステップS10においてYESの場合)には、制御部10は、原稿の終端がスイッチバックローラー135を抜けるまで、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動する(ステップS14)。原稿の終端がスイッチバックローラー135を抜けると、制御部10は、切替えガイド136の位置を切替えることで、原稿搬送経路142(図4)を形成する(ステップS16)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を最上位置から中間位置に切替える。そして、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139とは逆方向に向けて回転駆動し、原稿を原稿搬送経路142に沿って搬送する(ステップS18)とともに、搬送された原稿を原稿読取り部121によって読取る(ステップS20)。原稿読取り部121によって読取られた画像データは、HDD16(図10)などに逐次格納される。さらに、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、原稿を排紙トレイ139へ排出する(ステップS22)。
【0081】
制御部10は、用紙有無検出部151による検出結果に基づいて、原稿積載板131上にセットされたすべての原稿の読取りが完了したか否かを判断する(ステップS24)。原稿積載板131上に原稿が残っている場合(ステップS24においてNOの場合)には、ステップS4以下の処理が繰返される。なお、片面原稿の読取りが連続する場合には、ステップS4の処理は実質的にスキップされる。
【0082】
一方、原稿積載板131上にセットされたすべての原稿の読取りが完了した場合(ステップS24においてYESの場合)には、制御部10は、プリント処理を開始する。すなわち、制御部10は、切替えガイド136,137,138を位置決めすることで、記録媒体搬送経路143(図5)を形成する(ステップS26)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を中間位置に位置決めし、切替えガイド137を「上側」に位置決めし、切替えガイド138を「上側」に位置決めする。そして、制御部10は、給紙ローラー133を回転駆動し、記録媒体を記録媒体搬送経路143に沿って搬送する(ステップS28)とともに、搬送された記録媒体に対してプリントエンジン110によって画像を形成する(ステップS30)。なお、本実施の形態に従う画像形成装置100のようなサイクル式の場合には、記録媒体の搬送開始前にイメージングユニット113で各色のトナー画像の形成を開始していてもよい。
【0083】
その後、制御部10は、両面プリントが指定されているか否かを判断する(ステップS32)。この判断は、ステップS2においてユーザーによって入力された設定に基づいて行なわれる。
【0084】
片面プリントが指定されている場合(ステップS32においてNOの場合)には、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、画像をプリントした記録媒体を排紙トレイ139へ排出する(ステップS34)。そして、処理はステップS46へ進む。
【0085】
これに対して、両面プリントが指定されている場合(ステップS32においてYESの場合)には、制御部10は、画像をプリントした記録媒体がスイッチバックローラー135を抜けるまで、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動する(ステップS36)。画像をプリントした記録媒体がスイッチバックローラー135を抜けると、制御部10は、切替えガイド136の位置を切替えることで、記録媒体搬送経路144(図6)を形成する(ステップS38)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を中間位置から最下位置に切替える。そして、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139とは逆方向に向けて回転駆動し、画像をプリントした記録媒体を記録媒体搬送経路144に沿って搬送する(ステップS40)とともに、搬送された記録媒体に対してプリントエンジン110によって画像を再度形成する(ステップS42)。さらに、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、画像をプリントした記録媒体を排紙トレイ139へ排出する(ステップS44)。
【0086】
制御部10は、読取ったすべての原稿についてのプリント処理が完了したか否かを判断する(ステップS46)。プリントすべき原稿が残っている場合(ステップS46においてNOの場合)には、ステップS26以下の処理が繰返される。なお、片面プリントが連続する場合には、ステップS26の処理は実質的にスキップされる。
【0087】
読取ったすべての原稿についてのプリント処理が完了した場合(ステップS46においてYESの場合)には、処理は終了する。
【0088】
[G.変形例1]
上述した実施の形態に従う給排紙ユニット130では、図9に示すように、上部側の原稿積載板131における反支点側の長さを短く構成することで、原稿がない状態で給紙ローラー133に当接しないように構成している。このような構成に代えて、原稿積載板131の給紙ローラー133に対向する部分を切り欠く、または、穴を設けてもよい。
【0089】
図12は、本発明の実施の形態の変形例1に従う画像形成装置100における給排紙ユニット130を示す模式図である。図12(a)は、原稿積載板131における反支点側の給紙ローラー133が対向する領域を切り欠いた場合の構成例を示す。図12(b)は、原稿積載板131における反支点側の給紙ローラー133が対向する領域に穴を設けた構成例を示す。
【0090】
このように、いずれの場合においても、原稿積載板131は、配置される原稿が存在しない状態で、給紙ローラー133とは干渉しないように構成される。なお、原稿積載板131は、給紙ローラー133に当接する方向に押し上げられた状態であっても、給紙ローラー133の回動を妨げないように、給紙ローラー133の回転軸と接触しないように、押し上げ方向の可動範囲が規制される。
【0091】
[H.変形例2]
上述した実施の形態に従う給排紙ユニット130では、原稿およびプリントした記録媒体が共通の排紙トレイ139に排出される。これに対して、原稿とプリントした記録媒体とを区別して排出する構成を採用してもよい。
【0092】
図13は、本発明の実施の形態の変形例2に従う画像形成装置100における給排紙ユニット130を示す模式図である。図13に示すように、排紙ローラー134の後段に排紙トレイ切替えガイド140を設けるとともに、排紙トレイを第1排紙トレイ139−1および第2排紙トレイ139−2に区切って構成することで、原稿とプリントした記録媒体とが区別して排出される。なお、排紙トレイ切替えガイド140は、用紙有無検出部151による検出結果、すなわち原稿の有無に連動して切替えるようにすればよい。
【0093】
本実施の形態の変形例2においては、排紙部は、原稿読取りユニット120によって内容が読取られた後の原稿を受取るための第1排紙トレイ139−1と、プリントエンジン110によって画像が形成された記録媒体を受取るための第2排紙トレイ139−2と、用紙についての識別結果に基づいて、排出口から排出される用紙を第1排紙トレイ139−1または第2排紙トレイ139−2のいずれかに導く排紙トレイ切替えガイド140とを含む。
【0094】
このように構成することで、原稿とプリントした記録媒体とが混ざることがない。
[I.変形例3]
上述した実施の形態に従う給排紙ユニット130では、ユーザーが、原稿積載板131に原稿をセットし、記録媒体積載板132上に記録媒体をセットする構成を示したが、これに代えて、給紙カセットを使用できる形態に構成してもよい。
【0095】
図14は、本発明の実施の形態の変形例3に従う画像形成装置100における給排紙ユニット130を示す模式図である。図14に示すように、原稿積載板131または記録媒体積載板132に相当する積載板161を内部に配置した給紙カセット160を用いる。このような給紙カセット160を用いることで、原稿積載板131または記録媒体積載板132に用紙をセットした場合と同等の動作をするように構成される。なお、給紙カセット160の上部または下部には、給紙ローラー133や用紙有無検出部151が用紙に当接するための穴または切り欠き部が設けられている。
【0096】
このように、本実施の形態の変形例3においては、給排紙ユニット130は、原稿または記録媒体を格納した状態で着脱可能な給紙カセット160を含む。
【0097】
このような給紙カセット160を用いることで、原稿または記録媒体をセットした状態で着脱が可能となり、異なるサイズの原稿および/または記録媒体を用いる必要がある場合などに、よりユーザーフレンドリーとなり好ましい。
【0098】
[J.変形例4]
上述した実施の形態に従う給排紙ユニット130では、原稿積載板131に設けられた用紙有無検出部151によって、読取るべき原稿の有無を判断する構成を示したが、これに代えて、光学的に原稿と記録媒体とを識別するように構成してもよい。
【0099】
たとえば、読取るべき原稿には、何らかの文字や画像が存在しており、一方で、プリント前の記録媒体は真っ白な状態である。そこで、(給紙ローラー133によって先に原稿が給紙されるように)原稿および記録媒体を重ねてセットしておき、原稿読取り部121によってその内容を順次読取る。そして、何らの画像も読取れない、すなわち白ベタの画像が読取られた場合には、その用紙は原稿ではなく、記録媒体であると判断し、読取り動作からプリント動作に切替える。
【0100】
図15は、本発明の実施の形態の変形例4に従う画像形成装置100における読取り動作からプリント動作への切替え処理を示す模式図である。図15に示すように、原稿読取り部121によって何らの画像も読取れなかった場合には、読取った対象が記録媒体であると判断し、切替えガイド136を最下位置に切替えるとともに、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135の回転方向を反転することで、当該用紙(記録媒体)は、本来の記録媒体搬送経路143へ戻される。
【0101】
このような構成を採用することで、給排紙ユニット130をより簡素化できる。
次に、図15に示すような本発明の実施の形態の変形例4に従う画像形成装置100における動作を実現するための処理手順について説明する。図16は、本発明の実施の形態の変形例4に従う画像形成装置100の制御部10における処理手順を示すフローチャートである。
【0102】
図16を参照して、制御部10は、ユーザーによる設定を受け付ける(ステップS2)。この設定は、原稿が片面原稿であるのか、あるいは両面原稿であるのかという指定、ならびに、片面プリントであるか、両面プリントであるかという指定を含む。
【0103】
続いて、制御部10は、切替えガイド136,137,138を位置決めすることで、原稿搬送経路141(図3)を形成する(ステップS4)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を最上位置に位置決めし、切替えガイド137を「下側」に位置決めし、切替えガイド138を「上側」に位置決めする。そして、制御部10は、給紙ローラー133を回転駆動し、原稿を原稿搬送経路141に沿って搬送する(ステップS6)とともに、搬送された原稿を原稿読取り部121によって読取る(ステップS8)。なお、原稿読取り部121は、原稿搬送経路141の経路上に固定されているとする。
【0104】
続いて、制御部10は、原稿読取り部121によって読取られた画像に有意な情報が含まれているか否かを判断する(ステップS9)。原稿読取り部121によって読取られた画像に有意な情報が含まれている場合(ステップS9においてYESの場合)には、制御部10は、読取り対象の用紙が原稿であると判断し、ステップS10以下の処理を実行する。
【0105】
これに対して、原稿読取り部121によって読取られた画像に有意な情報が含まれていない場合(ステップS9においてNOの場合)には、制御部10は、読取り対象の用紙が記録媒体であると判断し、ステップS23以下の処理を実行する。
【0106】
ステップS10において、制御部10は、読取った原稿が両面原稿であるか否かを判断する。この判断は、ステップS2においてユーザーによって入力された設定に基づいて行なわれる。
【0107】
読取った原稿が片面原稿である場合(ステップS10においてNOの場合)には、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、原稿を排紙トレイ139へ排出する(ステップS12)。そして、ステップS4以下の処理が繰返される。
【0108】
これに対して、読取った原稿が両面原稿である場合(ステップS10においてYESの場合)には、制御部10は、原稿の終端がスイッチバックローラー135を抜けるまで、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動する(ステップS14)。原稿の終端がスイッチバックローラー135を抜けると、制御部10は、切替えガイド136の位置を切替えることで、原稿搬送経路142(図4)を形成する(ステップS16)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を最上位置から中間位置に切替える。そして、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139とは逆方向に向けて回転駆動し、原稿を原稿搬送経路142に沿って搬送する(ステップS18)とともに、搬送された原稿を原稿読取り部121によって読取る(ステップS20)。原稿読取り部121によって読取られた画像データは、HDD16(図10)などに逐次格納される。さらに、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、原稿を排紙トレイ139へ排出する(ステップS22)。そして、ステップS4以下の処理が繰返される。
【0109】
ステップS23において、制御部10は、制御部10は、切替えガイド136,137,138を位置決めすることで、原稿読取り部121によって読取られた用紙を記録媒体搬送経路143に戻すための経路(図15)を形成する。そして、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139とは逆方向に向けて回転駆動し、用紙(記録媒体)を記録媒体搬送経路143まで搬送する(ステップS25)。そして、制御部10は、プリント処理を開始する。
【0110】
すなわち、制御部10は、切替えガイド136,137,138を位置決めすることで、記録媒体搬送経路143(図5)を形成する(ステップS26)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を中間位置に位置決めし、切替えガイド137を「上側」に位置決めし、切替えガイド138を「上側」に位置決めする。そして、制御部10は、給紙ローラー133を回転駆動し、記録媒体を記録媒体搬送経路143に沿って搬送する(ステップS28)とともに、搬送された記録媒体に対してプリントエンジン110によって画像を形成する(ステップS30)。なお、本実施の形態に従う画像形成装置100のようなサイクル式の場合には、記録媒体の搬送開始前にイメージングユニット113で各色のトナー画像の形成を開始していてもよい。
【0111】
その後、制御部10は、両面プリントが指定されているか否かを判断する(ステップS32)。この判断は、ステップS2においてユーザーによって入力された設定に基づいて行なわれる。
【0112】
片面プリントが指定されている場合(ステップS32においてNOの場合)には、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、画像をプリントした記録媒体を排紙トレイ139へ排出する(ステップS34)。そして、処理はステップS46へ進む。
【0113】
これに対して、両面プリントが指定されている場合(ステップS32においてYESの場合)には、制御部10は、画像をプリントした記録媒体がスイッチバックローラー135を抜けるまで、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動する(ステップS36)。画像をプリントした記録媒体がスイッチバックローラー135を抜けると、制御部10は、切替えガイド136の位置を切替えることで、記録媒体搬送経路144(図6)を形成する(ステップS38)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を最上位置から中間位置に切替える。そして、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139とは逆方向に向けて回転駆動し、画像をプリントした記録媒体を記録媒体搬送経路144に沿って搬送する(ステップS40)とともに、搬送された記録媒体に対してプリントエンジン110によって画像を再度形成する(ステップS42)。さらに、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、画像をプリントした記録媒体を排紙トレイ139へ排出する(ステップS44)。
【0114】
制御部10は、読取ったすべての原稿についてのプリント処理が完了したか否かを判断する(ステップS46)。プリントすべき原稿が残っている場合(ステップS46においてNOの場合)には、ステップS26以下の処理が繰返される。なお、片面プリントが連続する場合には、ステップS26の処理は実質的にスキップされる。
【0115】
読取ったすべての原稿についてのプリント処理が完了した場合(ステップS46においてYESの場合)には、処理は終了する。
【0116】
[K.利点]
本実施の形態によれば、原稿および記録媒体について、給紙および排紙の機能や搬送経路を兼用した構成を採用したことにより、高さを抑えて装置を小型化することができる。すなわち、給紙機構と排紙機構との間の重複機能(たとえば、給紙、排紙、用紙搬送、保持するための構造体)をなくすことで、省スペースにできる。
【0117】
また、給紙機構と排紙機構との間の重複機能をなくして構成を簡素化することで、駆動源の電力負荷が軽減されて省エネルギーを実現できるとともに、部品点数を減らせて、装置の低コスト化を実現できる。
【0118】
本実施の形態に従う画像形成装置では、給紙機構と排紙機構との間の重複機能をなくしつつ、原稿/記録媒体の搬送経路にスイッチバック機能を設け、給紙経路に原稿/記録媒体を再び導いて同一の搬送経路に再度通紙させることで、原稿については両面読取りが可能となり、記録媒体については両面プリントが可能となる。
【0119】
また、本実施の形態に従う画像形成装置では、いずれも回動可能に構成された原稿積載板131および記録媒体積載板132を有する給排紙ユニット130を採用したので、給紙ローラーと当接する用紙に印加される圧力が安定し、それぞれの積載板上に対する積載枚数を増加させることができる。
【0120】
また、本実施の形態に従う画像形成装置では、原稿積載板131および記録媒体積載板132は、排紙トレイ139の上部に重ねて配置されるとともに、いずれも原稿読取りユニット120の上方に集中して配置されるので、ユーザーの視認性の良い位置に操作する箇所が集中し、ユーザーの操作性を向上できる。
【0121】
また、本実施の形態に従う画像形成装置では、原稿または記録媒体を格納した状態で着脱可能な給紙カセット160を採用することもでき、この場合には、ユーザーによる原稿置載台122へのアクセスを容易化できるので、手置きした書類などのコピーについての操作性を向上できる。
【0122】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0123】
10 制御部、11 内部バス、12 CPU、13 RAM、14,15 ROM、17,18 通信I/F、100,200 画像形成装置、110,210 プリントエンジン、113,213 イメージングユニット、114,214 一次転写ローラー、115,215 中間転写ベルト、116,216 二次転写ローラー、120,220 原稿読取りユニット、121,221 原稿読取り部、122 原稿置載台、130 給排紙ユニット、131 原稿積載板、131a 原稿積載板支点、132 記録媒体積載板、132a 記録媒体積載板支点、133 給紙ローラー、134 排紙ローラー、135 スイッチバックローラー、136,137,138 ガイド、139 排紙トレイ、139−1 第1排紙トレイ、139−2 第2排紙トレイ、140 排紙トレイ切替えガイド、141,142,232 原稿搬送経路、143,144,212 記録媒体搬送経路、151 用紙有無検出部、152 切り欠き部、155 押上げばね、160 給紙カセット、161 積載板、211 記録媒体給紙トレイ、217 定着ローラー、218 記録媒体排紙トレイ、230 原稿自動送りユニット、231 原稿給紙トレイ、233 原稿排紙トレイ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿および記録媒体に係る給紙および排紙機構を簡素化した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、ファクシミリ、複合機(MFP:multi-function peripheral)などの画像形成装置においては、原稿および記録媒体のそれぞれについて、給紙するための給紙機構と排紙するための排紙機構とがそれぞれ独立に設けられる構成が一般的である。
【0003】
これに対して、原稿の給紙トレイと記録媒体の給紙トレイとが兼用され、原稿および記録媒体がそれぞれの排紙トレイに排出される構成が提案されている。たとえば、特開平10−333381号公報(特許文献1)は、記録媒体給紙トレイと原稿給紙トレイとを兼ねるとともに、一部、同一の搬送経路を用いる画像形成装置を開示する。
【0004】
また、特開2007−034271号公報(特許文献2)は、原稿排紙トレイと装置本体の上面に向けて排出される記録媒体排紙トレイを備え、記録媒体が原稿排出方向と交差するように排出され、載置される画像形成装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−333381号公報
【特許文献2】特開2007−034271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような一般的な画像形成装置の構成、すなわち、原稿および記録媒体のそれぞれについて、給紙するための給紙機構と排紙するための排紙機構とがそれぞれ独立に設けられる構成において、原稿の搬送と記録媒体の搬送とが同時に行なわれない場合には、いずれか一方の給紙機構および排紙機構(両者を繋ぐ搬送機構を含む)は休止状態となる。このように、各時点でみれば、いずれか一方の搬送は休止しているにもかかわらず、原稿および記録媒体をそれぞれ給紙、搬送、排紙するための駆動源や各種部品を備えておく必要があった。そのため、装置全体の消費電力が増大し、かつ、装置の小型化を妨げる一因ともなっていた。
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、このような原稿および記録媒体の搬送の特性を考慮しつつ、消費電力を低減するとともに、小型化が可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面に従う画像形成装置は、原稿読取手段と、画像形成手段と、用紙を配置するための給紙部と、給紙部に配置された用紙を給紙するための搬送手段と、用紙を受取るための排紙部と、給紙部から原稿読取手段を経て排紙部へとつながる第1の搬送経路と、給紙部から画像形成手段を経て排紙部へとつながる第2の搬送経路と、搬送手段によって給紙される用紙が原稿読取手段による読み取り対象となる原稿か画像形成手段によって画像が形成される記録媒体のいずれであるかを識別する識別手段と、識別手段による識別結果に基づいて、第1の搬送経路および第2の搬送経路のいずれかを選択する経路選択手段とを含む。
【0009】
好ましくは、第1の搬送経路および第2の搬送経路は、その一部の経路を共有する。
好ましくは、搬送手段は、給紙ローラーを含み、給紙部は、原稿を配置するための第1の積載板と、記録媒体を配置するための第2の積載板とを含み、第1の積載板と、第2の積載板とは、第1の積載板に配置された原稿または第2の積載板に配置された記録媒体のいずれかが給紙ローラーと当接するように構成される。
【0010】
特に、第1の積載板は、第2の積載板の上部に重ねて配置され、第1の積載板および第2の積載板の各々は、回動可能に構成されており、給紙部は、第2の積載板を介して、第1の積載板を給紙ローラー側に回動させるための押上げ力を発生する押上部をさらに含む。
【0011】
特に、第1の積載板は、給紙ローラーとは干渉しないように構成される。
特に、識別手段は、第1の積載板に関連付けて配置され、第1の積載板上に原稿が存在するか否かを検知する手段を含む。
【0012】
好ましくは、経路選択手段は、原稿および記録媒体が排紙部へ排出される前に、その搬送方向を反転して対応する搬送経路に戻すための経路を形成する。
【0013】
好ましくは、排紙部は、原稿読取手段によって内容が読取られた後の原稿を受取るための第1の排紙トレイと、画像形成手段によって画像が形成された記録媒体を受取るための第2の排紙トレイと、識別手段による識別結果に基づいて、排出口から排出される用紙を第1の排紙トレイまたは第2の排紙トレイのいずれかに導くガイドとを含む。
【0014】
好ましくは、給紙部は、排紙部の上部に重ねて配置される。
好ましくは、給紙部は、原稿または記録媒体を格納した状態で着脱可能な給紙カセットを含む。
【0015】
好ましくは、原稿読取手段は、原稿を置載するための置載台と、置載台に置載された原稿に対して相対移動可能な読取部とを含み、読取部は、原稿が第1の搬送経路を搬送される場合に、第1の搬送経路上の所定位置に固定される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、原稿および記録媒体の搬送の特性を考慮しつつ、消費電力を低減するとともに、小型化が可能な画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の関連技術に係る画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う画像形成装置における片面原稿の自動送り動作を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う画像形成装置における両面原稿の自動送り動作を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態に従う画像形成装置における片面プリント動作を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態に従う画像形成装置における両面プリント動作を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態に従う画像形成装置における原稿読取り時の動作を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態に従う画像形成装置におけるプリント時の動作を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態に従う画像形成装置における給排紙ユニットの要部構造を示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態に従う画像形成装置の制御部のハードウェア構成を示す模式図である。
【図11】本発明の実施の形態に従う画像形成装置の制御部における処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態の変形例1に従う画像形成装置における給排紙ユニットを示す模式図である。
【図13】本発明の実施の形態の変形例2に従う画像形成装置における給排紙ユニットを示す模式図である。
【図14】本発明の実施の形態の変形例3に従う画像形成装置における給排紙ユニットを示す模式図である。
【図15】本発明の実施の形態の変形例4に従う画像形成装置における読取り動作からプリント動作への切替え処理を示す模式図である。
【図16】本発明の実施の形態の変形例4に従う画像形成装置の制御部における処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
[A.関連技術に係る構成]
本発明の実施の形態に従う画像形成装置について説明する前に、本発明の関連技術に係る画像形成装置の構成について説明する。
【0020】
図1は、本発明の関連技術に係る画像形成装置200の概略構成を示す模式図である。図1に示す関連技術に係る画像形成装置200は、原稿給紙トレイ231などの原稿の給紙機構と、原稿排紙トレイ233などの原稿の排紙機構と、記録媒体給紙トレイ211などの記録媒体(用紙)の給紙機構と、記録媒体排紙トレイ218などの記録媒体の排紙機構とを備える。
【0021】
より具体的には、画像形成装置200は、記録媒体に画像を形成するプリントエンジン210と、原稿読取りユニット220と、原稿自動送りユニット230とを含む。図1には、典型例として、カラープリントが可能なサイクル式のプリントエンジン210を示す。このプリントエンジン210は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー画像を生成するイメージングユニット213と、中間転写ベルト215と、イメージングユニット213が生成した各色のトナー画像を中間転写ベルト215へ転写(一次転写)するための一次転写ローラー214と、中間転写ベルト215に重ね合わされたトナー画像を記録媒体へ転写(二次転写)するための二次転写ローラー216とを含む。この二次転写ローラー216には、記録媒体給紙トレイ211に収納された記録媒体が記録媒体搬送経路212に沿って搬送される。トナー画像が転写された記録媒体は、定着ローラー217へ搬送され、当該トナー画像が加熱および加圧されることで、記録媒体上に定着される。そして、トナー画像が定着された後の記録媒体は、記録媒体排紙トレイ218へ排出される。なお、図1には、本体内部に設けられた記録媒体排紙トレイ218へ排出される、いわゆる胴内排紙の構成を示す。
【0022】
一方、原稿は、原稿読取りユニット220の原稿読取り部221によって読取られる。原稿は、原稿読取りユニット220の原稿置載台(プラテンガラス)上に置載される場合と、原稿自動送りユニット230によって順次搬送される場合とがある。
【0023】
原稿自動送りユニット230によって原稿が順次搬送される場合には、原稿給紙トレイ231に置載される原稿が原稿搬送経路232に沿って搬送され、その搬送中に内容が原稿読取り部221によって読取られ、その後、原稿排紙トレイ233へ排出される。
【0024】
図1に示す画像形成装置200を用いて、原稿から電子データ(たとえば、PDF(Portable Document Format)データ)を生成するような機能(スキャナ機能)を提供する場合を考えると、原稿自動送りユニット230のみが作動し、プリントエンジン210は作動する必要がない。また、画像形成装置200を用いて、プリントジョブに従って記録媒体上に画像を形成するような機能(プリント機能)を提供する場合を考えると、プリントエンジン210のみが作動し、原稿自動送りユニット230は作動する必要がない。
【0025】
さらに、画像形成装置200を用いて、原稿を読取るとともに、その読取った内容を記録媒体上にプリントするというような機能(コピー機能)を提供する場合を考えると、プリントエンジン210および原稿自動送りユニット230のいずれもが作動するが、原稿の読取り動作とプリント動作とを連続的(直列的)に実行すれば、プリントエンジン210と原稿自動送りユニット230とを同時に作動させる必要はない。
【0026】
そこで、以下に説明する本実施の形態に従う画像形成装置は、このような原稿の給紙機構と記録媒体の給紙機構とを必ずしも同時に作動させる必要がないことに着目して、これらの機構を共通化する。これにより、装置の小型化および低消費電力化を図るものである。
【0027】
[B.本実施の形態に従う構成]
次に、本実施の形態に従う画像形成装置100の構成について説明する。
【0028】
図2は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100の概略構成を示す模式図である。本実施の形態に従う画像形成装置100は、上述の画像形成装置200とは異なり、原稿および記録媒体に係る給紙機構および排紙機構を共通化したものである。そのため、プリントエンジンとして採用する印字方式は任意の方式を採用できる。すなわち、図2には、一例として、サイクル式のカラープリントが可能なプリントエンジンを例示するが、タンデム式のカラープリント、電子写真式のモノクロプリント、インクジェット方式、昇華型方式、ドットインパクト方式など各種の方式に適用可能である。
【0029】
また、画像形成装置100は、複写機、ファクシミリ、複合機(MFP)などのいずれにも適用可能である。
【0030】
より具体的には、画像形成装置100は、プリントエンジン110と、原稿読取りユニット120と、給排紙ユニット130とを含む。
【0031】
プリントエンジン110は、記録媒体に画像を形成する画像形成手段の典型例であり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー画像を生成するイメージングユニット113と、中間転写ベルト115と、イメージングユニット113が生成した各色のトナー画像を中間転写ベルト115へ転写(一次転写)するための一次転写ローラー114と、中間転写ベルト115に重ね合わされたトナー画像を記録媒体へ転写(二次転写)するための二次転写ローラー116とを含む。また、プリントエンジン110は、トナー画像が転写された記録媒体に対して、加熱および加圧する定着ローラー117を含む。
【0032】
原稿読取りユニット120は、原稿読取り手段の具現化例であり、原稿を読取るための原稿読取り部121と、原稿が置載される原稿置載台122とを含む。原稿読取り部121は、CCD(Charged Couple Device)やラインセンサーなどの光学素子からなり、原稿との間で相対移動することで、その内容を読取る。すなわち、原稿読取り部121は、プラテンガラスなどの原稿置載台122上に置載された原稿に対して、紙面横方向に移動することでその内容を読取り、給排紙ユニット130によって順次搬送される原稿に対して、原稿が通過する所定位置に位置決めされることでその内容を読取る。
【0033】
給排紙ユニット130は、原稿および記録媒体に係る給紙機構および排紙機構を提供する。より具体的には、給排紙ユニット130は、原稿積載板131と、記録媒体積載板132と、給紙ローラー133と、排紙ローラー134と、スイッチバックローラー135と、切替えガイド136,137,138と、排紙トレイ139とを含む。
【0034】
ユーザーは、給排紙ユニット130の原稿積載板131に原稿をセットし、記録媒体積載板132に記録媒体をセットした上で、画像形成装置100を操作することで、後述するような原稿の読取り動作および記録媒体へのプリント動作が行なわれる。すなわち、原稿積載板131は、原稿読取りユニット120による読取り対象となる原稿と、プリントエンジン110によって画像が形成される記録媒体とを配置するための給紙部に相当する。給排紙ユニット130に配置された原稿および記録媒体を給紙するための搬送手段の具現化例である給紙ローラー133は、原稿積載板131上の原稿および記録媒体を1枚ずつ送出する。
【0035】
そして、原稿読取りユニット120によって内容が読取られた後の原稿と、プリントエンジン110によって画像が形成された記録媒体とは、いずれも排紙トレイ139へ排出される。すなわち、排紙トレイ139は、原稿読取りユニット120によって内容が読取られた後の原稿と、プリントエンジン110によって画像が形成された記録媒体とを受取るための排紙部に相当する。
【0036】
なお、図2に示す画像形成装置100では、原稿および記録媒体を配置する位置と、読取られた後の原稿および画像が形成された記録媒体を取り出す位置とを近接させて、ユーザーの操作性を向上させるために、給排紙ユニット130において、原稿積載板131および記録媒体積載板132は、排紙トレイ139の上部に重ねて配置される。
【0037】
図2に示すように、本実施の形態に従う画像形成装置100においては、給排紙ユニット130による原稿搬送方向と記録媒体の搬送方向とが同一方向である。また、画像形成装置100は、同一の給紙口および給紙ローラー133を兼用する、原稿および記録媒体についてのそれぞれの用紙給紙トレイ(原稿積載板131および記録媒体積載板132)を有している。さらに、原稿および記録媒体が同一の排紙ローラー134および排紙口を兼用する。
【0038】
以下、原稿読取り動作および記録媒体へのプリント動作について、図を参照して説明する。
【0039】
[C.動作例]
(c1:自動原稿送り動作(片面))
まず、片面原稿を自動送りして読取る場合の動作について説明する。
【0040】
図3は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100における片面原稿の自動送り動作を説明するための図である。図3を参照して、ユーザーは、原稿積載板131上に原稿をセットするとともに、画像形成装置100に対して目的の動作を開始させるための指令を与える。なお、後述するように、原稿積載板131上に原稿がセットされていることを検知する機構を設けて、この検知結果に応答して、原稿読取り動作を開始してもよい。
【0041】
本例における切替えガイド136は、3つの位置に切替え可能に設けられており、具体的には、最上位置、中間位置、最下位置に位置決めすることが可能である。
【0042】
自動原稿送り動作においては、切替えガイド136が最上位置に位置決めされ、切替えガイド137が下側に位置決めされ、切替えガイド138が上側に位置決めされる。これによって、給排紙ユニット130の内部を原稿が一巡した上で、排紙トレイ139へ導かれる、原稿搬送経路141が形成される。給紙ローラー133が原稿を送出し、原稿は、原稿搬送経路141を通過した後、排紙トレイ139へ排出される。
【0043】
このとき、原稿読取り部121は、原稿搬送経路141の経路上に位置決めされ、原稿の搬送に同期して、電気的/光学的な読取り動作を開始する。そして、原稿搬送経路141上における、給紙ローラー133から排紙トレイ139までの間で、原稿読取り部121によって原稿が読取られる。
【0044】
(c2:自動原稿送り動作(両面))
次に、両面原稿を自動送りして読取る場合の動作について説明する。
【0045】
図4は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100における両面原稿の自動送り動作を説明するための図である。両面原稿を読取る場合には、上述の図3に示すような方法によって、一方面を読取った後、図4に示すように、当該原稿をスイッチバックして、給排紙ユニット130の内部を再度一巡させる。すなわち、図3に示す原稿搬送経路141を搬送される原稿の終端がスイッチバックローラー135を抜けた後、切替えガイド136が中間位置に切り替わることで、原稿搬送経路142が形成される。そして、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135の回転方向を反転することで、原稿は、原稿搬送経路142を通過した後、排紙トレイ139へ排出される。
【0046】
このように、画像形成装置100では、原稿が排紙トレイ139へ排出される前に、その搬送方向を反転して対応する搬送経路に戻すための経路が形成される。
【0047】
(c3:原稿読取り動作(原稿置載台))
原稿が原稿置載台122に置載される場合には、給排紙ユニット130は動作せず、原稿読取りユニット120の原稿読取り部121が紙面横方向に移動することで、原稿の内容を読取る。
【0048】
このように、原稿読取りユニット120は、原稿を置載するための原稿置載台122と、原稿置載台122に置載された原稿に対して相対移動可能な原稿読取り部121とを含む。そして、原稿読取り部121は、原稿が原稿搬送経路141または142を搬送される場合に、当該原稿搬送経路上の所定位置に固定される。
【0049】
(c4:プリント動作(片面))
次に、記録媒体の片面にプリントする場合の動作について説明する。
【0050】
図5は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100における片面プリント動作を説明するための図である。図5を参照して、片面プリント動作においては、切替えガイド136が中間位置に位置決めされ、切替えガイド137が上側に位置決めされ、切替えガイド138が上側に位置決めされる。これによって、給排紙ユニット130を通過した後、プリントエンジン110の内部を記録媒体が一巡した上で、排紙トレイ139へ導かれる、記録媒体搬送経路143が形成される。給紙ローラー133が記録媒体を送出し、記録媒体は、図3に示す原稿搬送経路141と一部共有される経路を通過した後、プリントエンジン110において画像形成処理がなされ、その後、排紙トレイ139へ排出される。
【0051】
(c5:プリント動作(両面))
次に、記録媒体の両面にプリントする場合の動作について説明する。
【0052】
図6は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100における両面プリント動作を説明するための図である。両面プリント動作においては、上述の図5に示すような方法によって、記録媒体の一方面に画像を形成した後、図6に示すように、当該記録媒体をスイッチバックして、プリントエンジン110の内部を再度一巡させる。すなわち、図5に示す記録媒体搬送経路143を搬送されるプリント後の記録媒体の終端がスイッチバックローラー135を抜けた後、切替えガイド136が最下位置に切り替わることで、記録媒体搬送経路144が形成される。そして、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135の回転方向を反転することで、記録媒体は、図3に示す原稿搬送経路141と一部共有される経路を通過した後、プリントエンジン110において再度画像形成処理がなされ、その後、排紙トレイ139へ排出される。
【0053】
このように、画像形成装置100では、記録媒体が排紙トレイ139へ排出される前に、その搬送方向を反転して対応する搬送経路に戻すための経路が形成される。なお、図4および図6に示すように、原稿および記録媒体が搬送途中に方向を逆転されて、それぞれの給紙経路に再び搬送される構成が採用されており、逆転時の搬送経路についてみれば、原稿および記録媒体の間で一部共有されている。
【0054】
[D.原稿自動送りユニット]
上述したように、本実施の形態に従う画像形成装置100は、給排紙ユニット130が原稿に係る給紙/排紙機構および記録媒体に係る給紙/排紙機構を提供する。本実施の形態に従う給排紙ユニット130は、原稿を置載するための原稿積載板131と、記録媒体を置載するための記録媒体積載板132とをそれぞれ有している。すなわち、原稿積載板131が原稿を配置するための積載板に相当し、記録媒体積載板132が記録媒体を配置するための積載板に相当する。
【0055】
このような構成を採用した場合には、ユーザーが原稿読取り動作とプリント動作とのいずれかを明示的に指定するようにしてもよいが、ユーザーフレンドリーの観点からは、原稿読取りからプリント動作までを自動的に行なえることが好ましい。
【0056】
そこで、本実施の形態に従う給排紙ユニット130は、コピー機能などのように、セットされた一連の原稿を読取り、続いて、その読取った内容をプリントするような動作を自動的に行なう構成を採用する。
【0057】
図7は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100における原稿読取り時の動作を説明するための図である。図8は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100におけるプリント時の動作を説明するための図である。
【0058】
図7および図8を参照して、給排紙ユニット130は、原稿積載板131上の原稿の有無を判断するための用紙有無検出部151を有する。この用紙有無検出部151は、給紙手段の具現化例である給紙ローラー133によって給紙される用紙が原稿および記録媒体のいずれであるかを識別する識別手段に相当する。より具体的には、用紙有無検出部151は、後述するように、原稿積載板131の一部を切り欠いた穴を貫通する検出子を有しており、この検出子の位置に基づいて、原稿積載板131上における用紙(原稿)の有無を判断する。
【0059】
図7に示すように、原稿積載板131上に原稿がセットされていると検出した場合には、原稿搬送経路141または142を形成し、原稿を読取る。一方、図8に示すように、原稿積載板131上には原稿がセットされていないと検出した場合には、記録媒体搬送経路143または144を形成し、プリント処理を実行する。すなわち、用紙有無検出部151による検出結果に応答して、切替えガイド136,137,138が切り替わり、原稿または記録媒体が搬送される。このように、切替えガイド136,137,138およびそれを駆動する制御機構(後述する)は、識別手段である用紙有無検出部151による識別結果に基づいて、給紙ローラー133から原稿読取りユニット120を経て排紙トレイ139へとつながる第1の搬送経路(原稿搬送経路141または142)と、給紙ローラー133からプリントエンジン110を経て排紙トレイ139へとつながる第2の搬送経路(記録媒体搬送経路143または144)とを選択的に形成する経路選択手段に相当する。第1の搬送経路(原稿搬送経路141または142)および第2の搬送経路(記録媒体搬送経路143または144)は、その一部の経路を共通としている。
【0060】
次に、給排紙ユニット130のより具体的な構造について、図9を参照して説明する。図9は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100における給排紙ユニット130の要部構造を示す模式図である。図9(a)は、給排紙ユニット130の原稿および記録媒体をセットする部分の上面図であり、図9(b)は、給排紙ユニット130の原稿および記録媒体をセットする部分の側面図である。
【0061】
図9を参照して、原稿積載板131および記録媒体積載板132は、それぞれ原稿積載板支点131aおよび記録媒体積載板支点132aによって回動可能に構成されている。原稿積載板131は、記録媒体積載板132の上部側に配置されており、原稿積載板131と記録媒体積載板132との間に記録媒体がセット可能となっている。すなわち、原稿を配置するための原稿積載板131は、記録媒体を配置するための記録媒体積載板132に比較して、給紙ローラー133に近接して配置されている。
【0062】
また、原稿積載板131の原稿がセットされる範囲の一部には、切り欠き部152が形成されており、この切り欠き部152を通じて用紙有無検出部151が原稿面に対して上下方向に回動可能となっている。この用紙有無検出部151の回動によって、原稿の有無を検出する。このように、識別手段の典型例である用紙有無検出部151は、原稿積載板131に関連付けて配置され、原稿積載板131上に原稿が存在するか否かを検知する。
【0063】
原稿積載板131は、記録媒体積載板132に比較して、原稿/記録媒体の搬送方向においてより短くなっており、原稿積載板131上の原稿が存在しない場合には、給紙ローラー133と干渉しないようになっている。記録媒体積載板132は、押上げばね155により、給紙ローラー133に当接する方向に押し上げられる構成となっている。すなわち、記録媒体積載板132は、記録媒体積載板支点132aを支点として回動する方向に、原稿および/または記録媒体を給紙ローラー133に当接させる。
【0064】
図9に示すような構成を採用することで、原稿積載板131上にセットされた原稿、および、記録媒体積載板132上にセットされた記録媒体が順次搬送される。すなわち、原稿積載板131に配置された原稿および記録媒体積載板132に配置された記録媒体は、いずれも給紙ローラー133と当接可能に構成される。
【0065】
より具体的には、上部側に設けられた原稿積載板131は、その下面に下部側に設けられた記録媒体積載板132(または、記録媒体積載板132にセットされた記録媒体)が記録媒体積載板支点132aを始点に回動することによって、押上げばね155からの押し上げ力が伝達されて、給紙ローラー133に当接する方向に押し上げられる。これにより、原稿積載板131上にセットされた原稿は、給紙ローラー133により1枚ずつ給紙される。この押上げばね155は、記録媒体積載板132を介して、原稿積載板131を給紙ローラー133側に回動させるための押上げ力を発生する押上部に相当する。
【0066】
原稿積載板131は、反支点側の長さが給紙ローラー133に当接しないように短く構成されているので、原稿積載板131上にセットされた原稿がすべて給紙されると、給紙ローラー133と干渉しない位置に跳ね上がる。すなわち、原稿積載板131は、配置される原稿が存在しない状態で、給紙ローラー133とは干渉しないように構成される。
【0067】
一方、下部側に設けられた記録媒体積載板132は、記録媒体が存在しない場合でも給紙ローラー133に当接するような長さに構成されているので、原稿積載板131上の原稿がなくなると、記録媒体積載板132上にセットされた記録媒体が押し上げられて給紙ローラー133に当接する。そして、給紙ローラー133が記録媒体積載板132上にセットされた記録媒体を1枚ずつ給紙する。
【0068】
なお、原稿積載板131上の原稿がなくなったことは、用紙有無検出部151によって検出される。
【0069】
[E.制御構造]
次に、上述のような動作を実現するための制御構造について説明する。画像形成装置100は、全体の動作を制御するための制御部10を搭載している。
【0070】
図10は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100の制御部10のハードウェア構成を示す模式図である。図10を参照して、制御部10は、処理部であるCPU(Central Processing Unit)12と、記憶部であるRAM(Random Access Memory)13、ROM(Read Only Memory)14、EEPROM(Electrical Erasable and Programmable Read Only Memory)15、およびHDD(Hard Disk Drive)16と、通信部である外部通信I/F(インターフェイス:Interface)17および内部通信I/F18とを含む。なお、これらの部位は、内部バス11を介して互いに接続される。
【0071】
制御部10では、CPU12が、ROM14などに予め格納されている各種処理を実行するためのプログラムをRAM13などに展開して実行することで、画像形成装置100が制御される。
【0072】
RAM13は、揮発性メモリであり、ワークメモリとして使用される。より具体的には、RAM13には、実行されるプログラム自体に加えて、処理対象の画像データや各種変数データが一時的に格納される。EEPROM15は、典型的には不揮発性の半導体メモリであり、画像形成装置100のIPアドレスやネットワークドメインなどを各種設定値を記憶する。HDD16は、典型的には不揮発性の磁気メモリであり、画像処理装置から受信したプリントジョブや原稿読取り部121によって取得した画像情報などを蓄積する。
【0073】
外部通信I/F17は、典型的にはイーサネット(登録商標)といった汎用的な通信プロトコルをサポートし、ネットワークを介してパーソナルコンピュータなどとの間でデータ通信を提供する。内部通信I/F18は、プリントエンジン110などと接続され、プリントエンジン110に含まれる各種センサーでの検出信号を受信して、CPU12へ伝送するとともに、CPU12からの命令に従って、プリントエンジン110の各種アクチュエーターへ必要な信号を送信する。
【0074】
[F.処理手順]
次に、本実施の形態に従う画像形成装置100における動作を実現するための処理手順について説明する。
【0075】
図11は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置100の制御部10における処理手順を示すフローチャートである。なお、図11には、ユーザーが、原稿積載板131上に1枚以上の原稿をセットし、記録媒体積載板132上に対応する記録媒体をセットした上で、コピー動作を行なう場合の処理を示す。この図11に示す各ステップは、典型的には、制御部10がプログラムを実行することで実現される。但し、図11に示す処理手順を実現するための一部または全部の構成が、専用のハードウェアとして実装されていてもよい。
【0076】
まず、制御部10は、ユーザーによる設定を受け付ける(ステップS2)。この設定は、原稿が片面原稿であるのか、あるいは両面原稿であるのかという指定、ならびに、片面プリントであるか、両面プリントであるかという指定を含む。
【0077】
続いて、制御部10は、切替えガイド136,137,138を位置決めすることで、原稿搬送経路141(図3)を形成する(ステップS4)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を最上位置に位置決めし、切替えガイド137を「下側」に位置決めし、切替えガイド138を「上側」に位置決めする。そして、制御部10は、給紙ローラー133を回転駆動し、原稿を原稿搬送経路141に沿って搬送する(ステップS6)とともに、搬送された原稿を原稿読取り部121によって読取る(ステップS8)。なお、原稿読取り部121は、原稿搬送経路141の経路上に固定されているとする。
【0078】
その後、制御部10は、読取った原稿が両面原稿であるか否かを判断する(ステップS10)。この判断は、ステップS2においてユーザーによって入力された設定に基づいて行なわれる。
【0079】
読取った原稿が片面原稿である場合(ステップS10においてNOの場合)には、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、原稿を排紙トレイ139へ排出する(ステップS12)。そして、処理はステップS24へ進む。
【0080】
これに対して、読取った原稿が両面原稿である場合(ステップS10においてYESの場合)には、制御部10は、原稿の終端がスイッチバックローラー135を抜けるまで、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動する(ステップS14)。原稿の終端がスイッチバックローラー135を抜けると、制御部10は、切替えガイド136の位置を切替えることで、原稿搬送経路142(図4)を形成する(ステップS16)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を最上位置から中間位置に切替える。そして、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139とは逆方向に向けて回転駆動し、原稿を原稿搬送経路142に沿って搬送する(ステップS18)とともに、搬送された原稿を原稿読取り部121によって読取る(ステップS20)。原稿読取り部121によって読取られた画像データは、HDD16(図10)などに逐次格納される。さらに、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、原稿を排紙トレイ139へ排出する(ステップS22)。
【0081】
制御部10は、用紙有無検出部151による検出結果に基づいて、原稿積載板131上にセットされたすべての原稿の読取りが完了したか否かを判断する(ステップS24)。原稿積載板131上に原稿が残っている場合(ステップS24においてNOの場合)には、ステップS4以下の処理が繰返される。なお、片面原稿の読取りが連続する場合には、ステップS4の処理は実質的にスキップされる。
【0082】
一方、原稿積載板131上にセットされたすべての原稿の読取りが完了した場合(ステップS24においてYESの場合)には、制御部10は、プリント処理を開始する。すなわち、制御部10は、切替えガイド136,137,138を位置決めすることで、記録媒体搬送経路143(図5)を形成する(ステップS26)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を中間位置に位置決めし、切替えガイド137を「上側」に位置決めし、切替えガイド138を「上側」に位置決めする。そして、制御部10は、給紙ローラー133を回転駆動し、記録媒体を記録媒体搬送経路143に沿って搬送する(ステップS28)とともに、搬送された記録媒体に対してプリントエンジン110によって画像を形成する(ステップS30)。なお、本実施の形態に従う画像形成装置100のようなサイクル式の場合には、記録媒体の搬送開始前にイメージングユニット113で各色のトナー画像の形成を開始していてもよい。
【0083】
その後、制御部10は、両面プリントが指定されているか否かを判断する(ステップS32)。この判断は、ステップS2においてユーザーによって入力された設定に基づいて行なわれる。
【0084】
片面プリントが指定されている場合(ステップS32においてNOの場合)には、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、画像をプリントした記録媒体を排紙トレイ139へ排出する(ステップS34)。そして、処理はステップS46へ進む。
【0085】
これに対して、両面プリントが指定されている場合(ステップS32においてYESの場合)には、制御部10は、画像をプリントした記録媒体がスイッチバックローラー135を抜けるまで、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動する(ステップS36)。画像をプリントした記録媒体がスイッチバックローラー135を抜けると、制御部10は、切替えガイド136の位置を切替えることで、記録媒体搬送経路144(図6)を形成する(ステップS38)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を中間位置から最下位置に切替える。そして、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139とは逆方向に向けて回転駆動し、画像をプリントした記録媒体を記録媒体搬送経路144に沿って搬送する(ステップS40)とともに、搬送された記録媒体に対してプリントエンジン110によって画像を再度形成する(ステップS42)。さらに、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、画像をプリントした記録媒体を排紙トレイ139へ排出する(ステップS44)。
【0086】
制御部10は、読取ったすべての原稿についてのプリント処理が完了したか否かを判断する(ステップS46)。プリントすべき原稿が残っている場合(ステップS46においてNOの場合)には、ステップS26以下の処理が繰返される。なお、片面プリントが連続する場合には、ステップS26の処理は実質的にスキップされる。
【0087】
読取ったすべての原稿についてのプリント処理が完了した場合(ステップS46においてYESの場合)には、処理は終了する。
【0088】
[G.変形例1]
上述した実施の形態に従う給排紙ユニット130では、図9に示すように、上部側の原稿積載板131における反支点側の長さを短く構成することで、原稿がない状態で給紙ローラー133に当接しないように構成している。このような構成に代えて、原稿積載板131の給紙ローラー133に対向する部分を切り欠く、または、穴を設けてもよい。
【0089】
図12は、本発明の実施の形態の変形例1に従う画像形成装置100における給排紙ユニット130を示す模式図である。図12(a)は、原稿積載板131における反支点側の給紙ローラー133が対向する領域を切り欠いた場合の構成例を示す。図12(b)は、原稿積載板131における反支点側の給紙ローラー133が対向する領域に穴を設けた構成例を示す。
【0090】
このように、いずれの場合においても、原稿積載板131は、配置される原稿が存在しない状態で、給紙ローラー133とは干渉しないように構成される。なお、原稿積載板131は、給紙ローラー133に当接する方向に押し上げられた状態であっても、給紙ローラー133の回動を妨げないように、給紙ローラー133の回転軸と接触しないように、押し上げ方向の可動範囲が規制される。
【0091】
[H.変形例2]
上述した実施の形態に従う給排紙ユニット130では、原稿およびプリントした記録媒体が共通の排紙トレイ139に排出される。これに対して、原稿とプリントした記録媒体とを区別して排出する構成を採用してもよい。
【0092】
図13は、本発明の実施の形態の変形例2に従う画像形成装置100における給排紙ユニット130を示す模式図である。図13に示すように、排紙ローラー134の後段に排紙トレイ切替えガイド140を設けるとともに、排紙トレイを第1排紙トレイ139−1および第2排紙トレイ139−2に区切って構成することで、原稿とプリントした記録媒体とが区別して排出される。なお、排紙トレイ切替えガイド140は、用紙有無検出部151による検出結果、すなわち原稿の有無に連動して切替えるようにすればよい。
【0093】
本実施の形態の変形例2においては、排紙部は、原稿読取りユニット120によって内容が読取られた後の原稿を受取るための第1排紙トレイ139−1と、プリントエンジン110によって画像が形成された記録媒体を受取るための第2排紙トレイ139−2と、用紙についての識別結果に基づいて、排出口から排出される用紙を第1排紙トレイ139−1または第2排紙トレイ139−2のいずれかに導く排紙トレイ切替えガイド140とを含む。
【0094】
このように構成することで、原稿とプリントした記録媒体とが混ざることがない。
[I.変形例3]
上述した実施の形態に従う給排紙ユニット130では、ユーザーが、原稿積載板131に原稿をセットし、記録媒体積載板132上に記録媒体をセットする構成を示したが、これに代えて、給紙カセットを使用できる形態に構成してもよい。
【0095】
図14は、本発明の実施の形態の変形例3に従う画像形成装置100における給排紙ユニット130を示す模式図である。図14に示すように、原稿積載板131または記録媒体積載板132に相当する積載板161を内部に配置した給紙カセット160を用いる。このような給紙カセット160を用いることで、原稿積載板131または記録媒体積載板132に用紙をセットした場合と同等の動作をするように構成される。なお、給紙カセット160の上部または下部には、給紙ローラー133や用紙有無検出部151が用紙に当接するための穴または切り欠き部が設けられている。
【0096】
このように、本実施の形態の変形例3においては、給排紙ユニット130は、原稿または記録媒体を格納した状態で着脱可能な給紙カセット160を含む。
【0097】
このような給紙カセット160を用いることで、原稿または記録媒体をセットした状態で着脱が可能となり、異なるサイズの原稿および/または記録媒体を用いる必要がある場合などに、よりユーザーフレンドリーとなり好ましい。
【0098】
[J.変形例4]
上述した実施の形態に従う給排紙ユニット130では、原稿積載板131に設けられた用紙有無検出部151によって、読取るべき原稿の有無を判断する構成を示したが、これに代えて、光学的に原稿と記録媒体とを識別するように構成してもよい。
【0099】
たとえば、読取るべき原稿には、何らかの文字や画像が存在しており、一方で、プリント前の記録媒体は真っ白な状態である。そこで、(給紙ローラー133によって先に原稿が給紙されるように)原稿および記録媒体を重ねてセットしておき、原稿読取り部121によってその内容を順次読取る。そして、何らの画像も読取れない、すなわち白ベタの画像が読取られた場合には、その用紙は原稿ではなく、記録媒体であると判断し、読取り動作からプリント動作に切替える。
【0100】
図15は、本発明の実施の形態の変形例4に従う画像形成装置100における読取り動作からプリント動作への切替え処理を示す模式図である。図15に示すように、原稿読取り部121によって何らの画像も読取れなかった場合には、読取った対象が記録媒体であると判断し、切替えガイド136を最下位置に切替えるとともに、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135の回転方向を反転することで、当該用紙(記録媒体)は、本来の記録媒体搬送経路143へ戻される。
【0101】
このような構成を採用することで、給排紙ユニット130をより簡素化できる。
次に、図15に示すような本発明の実施の形態の変形例4に従う画像形成装置100における動作を実現するための処理手順について説明する。図16は、本発明の実施の形態の変形例4に従う画像形成装置100の制御部10における処理手順を示すフローチャートである。
【0102】
図16を参照して、制御部10は、ユーザーによる設定を受け付ける(ステップS2)。この設定は、原稿が片面原稿であるのか、あるいは両面原稿であるのかという指定、ならびに、片面プリントであるか、両面プリントであるかという指定を含む。
【0103】
続いて、制御部10は、切替えガイド136,137,138を位置決めすることで、原稿搬送経路141(図3)を形成する(ステップS4)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を最上位置に位置決めし、切替えガイド137を「下側」に位置決めし、切替えガイド138を「上側」に位置決めする。そして、制御部10は、給紙ローラー133を回転駆動し、原稿を原稿搬送経路141に沿って搬送する(ステップS6)とともに、搬送された原稿を原稿読取り部121によって読取る(ステップS8)。なお、原稿読取り部121は、原稿搬送経路141の経路上に固定されているとする。
【0104】
続いて、制御部10は、原稿読取り部121によって読取られた画像に有意な情報が含まれているか否かを判断する(ステップS9)。原稿読取り部121によって読取られた画像に有意な情報が含まれている場合(ステップS9においてYESの場合)には、制御部10は、読取り対象の用紙が原稿であると判断し、ステップS10以下の処理を実行する。
【0105】
これに対して、原稿読取り部121によって読取られた画像に有意な情報が含まれていない場合(ステップS9においてNOの場合)には、制御部10は、読取り対象の用紙が記録媒体であると判断し、ステップS23以下の処理を実行する。
【0106】
ステップS10において、制御部10は、読取った原稿が両面原稿であるか否かを判断する。この判断は、ステップS2においてユーザーによって入力された設定に基づいて行なわれる。
【0107】
読取った原稿が片面原稿である場合(ステップS10においてNOの場合)には、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、原稿を排紙トレイ139へ排出する(ステップS12)。そして、ステップS4以下の処理が繰返される。
【0108】
これに対して、読取った原稿が両面原稿である場合(ステップS10においてYESの場合)には、制御部10は、原稿の終端がスイッチバックローラー135を抜けるまで、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動する(ステップS14)。原稿の終端がスイッチバックローラー135を抜けると、制御部10は、切替えガイド136の位置を切替えることで、原稿搬送経路142(図4)を形成する(ステップS16)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を最上位置から中間位置に切替える。そして、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139とは逆方向に向けて回転駆動し、原稿を原稿搬送経路142に沿って搬送する(ステップS18)とともに、搬送された原稿を原稿読取り部121によって読取る(ステップS20)。原稿読取り部121によって読取られた画像データは、HDD16(図10)などに逐次格納される。さらに、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、原稿を排紙トレイ139へ排出する(ステップS22)。そして、ステップS4以下の処理が繰返される。
【0109】
ステップS23において、制御部10は、制御部10は、切替えガイド136,137,138を位置決めすることで、原稿読取り部121によって読取られた用紙を記録媒体搬送経路143に戻すための経路(図15)を形成する。そして、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139とは逆方向に向けて回転駆動し、用紙(記録媒体)を記録媒体搬送経路143まで搬送する(ステップS25)。そして、制御部10は、プリント処理を開始する。
【0110】
すなわち、制御部10は、切替えガイド136,137,138を位置決めすることで、記録媒体搬送経路143(図5)を形成する(ステップS26)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を中間位置に位置決めし、切替えガイド137を「上側」に位置決めし、切替えガイド138を「上側」に位置決めする。そして、制御部10は、給紙ローラー133を回転駆動し、記録媒体を記録媒体搬送経路143に沿って搬送する(ステップS28)とともに、搬送された記録媒体に対してプリントエンジン110によって画像を形成する(ステップS30)。なお、本実施の形態に従う画像形成装置100のようなサイクル式の場合には、記録媒体の搬送開始前にイメージングユニット113で各色のトナー画像の形成を開始していてもよい。
【0111】
その後、制御部10は、両面プリントが指定されているか否かを判断する(ステップS32)。この判断は、ステップS2においてユーザーによって入力された設定に基づいて行なわれる。
【0112】
片面プリントが指定されている場合(ステップS32においてNOの場合)には、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、画像をプリントした記録媒体を排紙トレイ139へ排出する(ステップS34)。そして、処理はステップS46へ進む。
【0113】
これに対して、両面プリントが指定されている場合(ステップS32においてYESの場合)には、制御部10は、画像をプリントした記録媒体がスイッチバックローラー135を抜けるまで、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動する(ステップS36)。画像をプリントした記録媒体がスイッチバックローラー135を抜けると、制御部10は、切替えガイド136の位置を切替えることで、記録媒体搬送経路144(図6)を形成する(ステップS38)。すなわち、制御部10は、切替えガイド136を最上位置から中間位置に切替える。そして、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139とは逆方向に向けて回転駆動し、画像をプリントした記録媒体を記録媒体搬送経路144に沿って搬送する(ステップS40)とともに、搬送された記録媒体に対してプリントエンジン110によって画像を再度形成する(ステップS42)。さらに、制御部10は、排紙ローラー134およびスイッチバックローラー135を排紙トレイ139に向けて回転駆動することで、画像をプリントした記録媒体を排紙トレイ139へ排出する(ステップS44)。
【0114】
制御部10は、読取ったすべての原稿についてのプリント処理が完了したか否かを判断する(ステップS46)。プリントすべき原稿が残っている場合(ステップS46においてNOの場合)には、ステップS26以下の処理が繰返される。なお、片面プリントが連続する場合には、ステップS26の処理は実質的にスキップされる。
【0115】
読取ったすべての原稿についてのプリント処理が完了した場合(ステップS46においてYESの場合)には、処理は終了する。
【0116】
[K.利点]
本実施の形態によれば、原稿および記録媒体について、給紙および排紙の機能や搬送経路を兼用した構成を採用したことにより、高さを抑えて装置を小型化することができる。すなわち、給紙機構と排紙機構との間の重複機能(たとえば、給紙、排紙、用紙搬送、保持するための構造体)をなくすことで、省スペースにできる。
【0117】
また、給紙機構と排紙機構との間の重複機能をなくして構成を簡素化することで、駆動源の電力負荷が軽減されて省エネルギーを実現できるとともに、部品点数を減らせて、装置の低コスト化を実現できる。
【0118】
本実施の形態に従う画像形成装置では、給紙機構と排紙機構との間の重複機能をなくしつつ、原稿/記録媒体の搬送経路にスイッチバック機能を設け、給紙経路に原稿/記録媒体を再び導いて同一の搬送経路に再度通紙させることで、原稿については両面読取りが可能となり、記録媒体については両面プリントが可能となる。
【0119】
また、本実施の形態に従う画像形成装置では、いずれも回動可能に構成された原稿積載板131および記録媒体積載板132を有する給排紙ユニット130を採用したので、給紙ローラーと当接する用紙に印加される圧力が安定し、それぞれの積載板上に対する積載枚数を増加させることができる。
【0120】
また、本実施の形態に従う画像形成装置では、原稿積載板131および記録媒体積載板132は、排紙トレイ139の上部に重ねて配置されるとともに、いずれも原稿読取りユニット120の上方に集中して配置されるので、ユーザーの視認性の良い位置に操作する箇所が集中し、ユーザーの操作性を向上できる。
【0121】
また、本実施の形態に従う画像形成装置では、原稿または記録媒体を格納した状態で着脱可能な給紙カセット160を採用することもでき、この場合には、ユーザーによる原稿置載台122へのアクセスを容易化できるので、手置きした書類などのコピーについての操作性を向上できる。
【0122】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0123】
10 制御部、11 内部バス、12 CPU、13 RAM、14,15 ROM、17,18 通信I/F、100,200 画像形成装置、110,210 プリントエンジン、113,213 イメージングユニット、114,214 一次転写ローラー、115,215 中間転写ベルト、116,216 二次転写ローラー、120,220 原稿読取りユニット、121,221 原稿読取り部、122 原稿置載台、130 給排紙ユニット、131 原稿積載板、131a 原稿積載板支点、132 記録媒体積載板、132a 記録媒体積載板支点、133 給紙ローラー、134 排紙ローラー、135 スイッチバックローラー、136,137,138 ガイド、139 排紙トレイ、139−1 第1排紙トレイ、139−2 第2排紙トレイ、140 排紙トレイ切替えガイド、141,142,232 原稿搬送経路、143,144,212 記録媒体搬送経路、151 用紙有無検出部、152 切り欠き部、155 押上げばね、160 給紙カセット、161 積載板、211 記録媒体給紙トレイ、217 定着ローラー、218 記録媒体排紙トレイ、230 原稿自動送りユニット、231 原稿給紙トレイ、233 原稿排紙トレイ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿読取手段と、
画像形成手段と、
用紙を配置するための給紙部と、
前記給紙部に配置された用紙を給紙するための搬送手段と、
用紙を受取るための排紙部と、
前記給紙部から前記原稿読取手段を経て前記排紙部へとつながる第1の搬送経路と、
前記給紙部から前記画像形成手段を経て前記排紙部へとつながる第2の搬送経路と、
前記搬送手段によって給紙される用紙が前記原稿読取手段による読み取り対象となる原稿か前記画像形成手段によって画像が形成される記録媒体のいずれであるかを識別する識別手段と、
前記識別手段による識別結果に基づいて、前記第1の搬送経路および前記第2の搬送経路のいずれかを選択する経路選択手段とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の搬送経路および前記第2の搬送経路は、その一部の経路を共有する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、給紙ローラーを含み、
前記給紙部は、前記原稿を配置するための第1の積載板と、前記記録媒体を配置するための第2の積載板とを含み、
前記第1の積載板と、前記第2の積載板とは、前記第1の積載板に配置された原稿または前記第2の積載板に配置された記録媒体のいずれかが前記給紙ローラーと当接するように構成される、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の積載板は、前記第2の積載板の上部に重ねて配置され、
前記第1の積載板および前記第2の積載板の各々は、回動可能に構成されており、
前記給紙部は、前記第2の積載板を介して、前記第1の積載板を前記給紙ローラー側に回動させるための押上げ力を発生する押上部をさらに含む、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の積載板は、前記給紙ローラーとは干渉しないように構成される、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記識別手段は、前記第1の積載板に関連付けて配置され、前記第1の積載板上に前記原稿が存在するか否かを検知する手段を含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記経路選択手段は、前記原稿および前記記録媒体が前記排紙部へ排出される前に、その搬送方向を反転して対応する搬送経路に戻すための経路を形成する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記排紙部は、
前記原稿読取手段によって内容が読取られた後の原稿を受取るための第1の排紙トレイと、
前記画像形成手段によって画像が形成された記録媒体を受取るための第2の排紙トレイと、
前記識別手段による識別結果に基づいて、排出口から排出される用紙を前記第1の排紙トレイまたは前記第2の排紙トレイのいずれかに導くガイドとを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記給紙部は、前記排紙部の上部に重ねて配置される、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記給紙部は、前記原稿または前記記録媒体を格納した状態で着脱可能な給紙カセットを含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記原稿読取手段は、
前記原稿を置載するための置載台と、
前記置載台に置載された原稿に対して相対移動可能な読取部とを含み、
前記読取部は、前記原稿が前記第1の搬送経路を搬送される場合に、前記第1の搬送経路上の所定位置に固定される、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
原稿読取手段と、
画像形成手段と、
用紙を配置するための給紙部と、
前記給紙部に配置された用紙を給紙するための搬送手段と、
用紙を受取るための排紙部と、
前記給紙部から前記原稿読取手段を経て前記排紙部へとつながる第1の搬送経路と、
前記給紙部から前記画像形成手段を経て前記排紙部へとつながる第2の搬送経路と、
前記搬送手段によって給紙される用紙が前記原稿読取手段による読み取り対象となる原稿か前記画像形成手段によって画像が形成される記録媒体のいずれであるかを識別する識別手段と、
前記識別手段による識別結果に基づいて、前記第1の搬送経路および前記第2の搬送経路のいずれかを選択する経路選択手段とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の搬送経路および前記第2の搬送経路は、その一部の経路を共有する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、給紙ローラーを含み、
前記給紙部は、前記原稿を配置するための第1の積載板と、前記記録媒体を配置するための第2の積載板とを含み、
前記第1の積載板と、前記第2の積載板とは、前記第1の積載板に配置された原稿または前記第2の積載板に配置された記録媒体のいずれかが前記給紙ローラーと当接するように構成される、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の積載板は、前記第2の積載板の上部に重ねて配置され、
前記第1の積載板および前記第2の積載板の各々は、回動可能に構成されており、
前記給紙部は、前記第2の積載板を介して、前記第1の積載板を前記給紙ローラー側に回動させるための押上げ力を発生する押上部をさらに含む、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の積載板は、前記給紙ローラーとは干渉しないように構成される、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記識別手段は、前記第1の積載板に関連付けて配置され、前記第1の積載板上に前記原稿が存在するか否かを検知する手段を含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記経路選択手段は、前記原稿および前記記録媒体が前記排紙部へ排出される前に、その搬送方向を反転して対応する搬送経路に戻すための経路を形成する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記排紙部は、
前記原稿読取手段によって内容が読取られた後の原稿を受取るための第1の排紙トレイと、
前記画像形成手段によって画像が形成された記録媒体を受取るための第2の排紙トレイと、
前記識別手段による識別結果に基づいて、排出口から排出される用紙を前記第1の排紙トレイまたは前記第2の排紙トレイのいずれかに導くガイドとを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記給紙部は、前記排紙部の上部に重ねて配置される、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記給紙部は、前記原稿または前記記録媒体を格納した状態で着脱可能な給紙カセットを含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記原稿読取手段は、
前記原稿を置載するための置載台と、
前記置載台に置載された原稿に対して相対移動可能な読取部とを含み、
前記読取部は、前記原稿が前記第1の搬送経路を搬送される場合に、前記第1の搬送経路上の所定位置に固定される、請求項1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−3448(P2013−3448A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136371(P2011−136371)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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