説明

画像形成装置

【課題】本発明は、像保持部分を有しトナー容器が着脱可能なカートリッジを採用しても、トナー容器の情報と像保持部分の情報との双方をカートリッジ上の1個の記憶体に記憶させて運用可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】トナー容器について空が検知され係留機構によるトナー容器の係留が少なくとも解除自在な状態にされた後、トナー容器が空でないことが空検知部によって検知された場合に、記憶体が記憶している情報を書き換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、感光体と現像部とを有するプロセスユニットと、トナーカートリッジを有するトナーカートリッジユニットとを備え、プロセスユニットが装置本体に対して脱着可能に構成され、トナーカートリッジユニットがプロセスユニットに対して脱着可能に構成された画像形成装置が開示されている。また、この特許文献1には、トナーカートリッジユニットのプロセスユニットへの装着時にトナーカートリッジユニットをプロセスユニットにロックするカートリッジロック手段(ソレノイド)がプロセスユニットに設けられていることや、トナーエンドセンサによるトナーカートリッジ内のトナーエンド検知を受けてソレノイドが動作してロックを解除することで、トナーエンド時にのみトナーカートリッジをプロセスユニットに対して脱着可能とした技術が開示されている。また、この特許文献1には、プロセスユニットの装置本体への装着時にプロセスユニットを装置本体にロックする現像ロック手段(ソレノイド)と、プロセスユニットが寿命に達したか否かを判定する寿命判定手段と、プロセスユニットが寿命に達したときに現像ロック手段によるロックを解除する現像ロック解除手段とを設け、プロセスユニットが寿命に達したときにはカートリッジロック手段によるロックを解除しないことで、このときには、プロセスユニットとトナーカートリッジユニットとを一体化して一回の動作で取り出す技術が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献2には、現像ローラを保持する現像カートリッジと、トナー収容室が形成されたトナーカートリッジとを備え、トナーカートリッジが現像カートリッジに対して着脱可能に装着された構成の現像ユニットが、装置本体に対して着脱可能に装着される画像形成装置が開示されている。また、この特許文献2には、現像カートリッジおよびトナーカートリッジの分離を禁止するロック部材がトナーカートリッジに支持されていることや、ロック部材の操作部を把持することによってロックを解除して、現像カートリッジを装置本体に残したままトナーカートリッジを装置本体から離脱する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−109752号公報
【特許文献2】特開2010−276961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、像保持部分を有しトナー容器が着脱可能なカートリッジを採用しても、トナー容器の情報と像保持部分の情報との双方をカートリッジ上の1個の記憶体に記憶させて運用可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の画像形成装置は、
筐体と、
上記筐体内に収容され、トナー像を保持する像保持体と、
上記筐体内に収容され、上記像保持体上に上記トナー像を形成する像形成部と、
少なくとも上記像保持体を有し、上記筐体に対して着脱自在なカートリッジと、
上記カートリッジに対して装着分離自在に搭載され、トナーを内部に収容して上記像形成部にトナーを補給するトナー容器と、
上記カートリッジに対して上記トナー容器を係留する係留機構と、
上記トナー容器も含めた上記カートリッジの何れかの箇所に設けられると共に、上記トナー容器におけるトナーの使用量に関する第1情報と、上記カートリッジに搭載された構成部分のうちトナー容器を除きかつ少なくとも上記像保持体を含む構成部分である像保持部分の使用量に関する第2情報とを記憶する記憶体と、
上記第1情報および上記第2情報のそれぞれを上記トナー容器におけるトナー使用および上記像保持部分の使用のそれぞれに応じて更新する情報更新部と、
上記筐体内に収容され、上記トナー容器が空か否かを検知する空検知部と、
上記トナー容器が空であることが上記空検知部によって検知された場合に上記係留機構によるトナー容器の係留を少なくとも解除自在な状態にさせると共に、そのトナー容器が空でないことが空検知部によって検知された場合に係留機構にトナー容器を係留させる係留制御部と、
上記トナー容器について空が検知され上記係留が少なくとも解除自在な状態にされた後、トナー容器が空でないことが上記空検知部によって検知された場合に、上記記憶体が記憶している情報を書き換える情報書換部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の画像形成装置は、
上記記憶体は上記像保持部分に搭載されたものであり、
上記情報書換部は、上記トナー容器について空が検知され係留が少なくとも解除自在な状態にされた後、トナー容器が空でないことが上記空検知部によって検知された場合に、上記記憶体が記憶している第1情報をトナーの使い始めに相応した情報に書き換えるものであることを特徴とする。
【0008】
請求項3の画像形成装置は、
上記記憶体は上記トナー容器に搭載された容器側記憶体であり、
少なくとも上記第2情報を記憶すると共に上記筐体からの上記カートリッジの分離時には筐体側に残る筐体側記憶体を備え、
上記情報書換部は、上記トナー容器について空が検知され係留が少なくとも解除自在な状態にされた後、トナー容器が空でないことが上記空検知部によって検知された場合に、上記容器側記憶体が記憶している第2情報を上記筐体側記憶体が記憶している第2情報に書き換えるものであることを特徴とする。
【0009】
請求項4の画像形成装置は、
上記カートリッジは、上記トナー容器から上記像形成部までのトナー補給の少なくとも一部を担う補給機構を備えたものであり、
上記係留機構は、上記補給機構と少なくとも一部が兼用されていることでその補給機構と一体で動作し、この動作によって上記トナー容器の係留が解除不能な係留状態と係留が少なくとも解除自在な解除状態とを実現するものであり、
上記係留制御部は、上記補給機構の動作を制御することで上記トナー容器から上記像形成部へのトナー補給を制御する補給制御部を兼ねたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の画像形成装置によれば、像保持部分を有しトナー容器が着脱可能なカートリッジを採用しても、当該カートリッジ上の1個の記憶体に上記第1情報および上記第2情報の双方を記憶させて運用可能である。
【0011】
請求項2の画像形成装置によれば、トナー容器が交換されて複数使用されても1個の記憶体で運用可能である。
【0012】
請求項3の画像形成装置によれば、複数種類のトナー容器を運用可能である。
【0013】
請求項4の画像形成装置によれば、トナー容器の係留解除のために駆動部品を新たに設けることが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態である画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示す画像形成装置の扉を開いた状態を示す斜視図である。
【図4】プロセスカートリッジを取り出す途中の状態を示す斜視図である。
【図5】プロセスカートリッジの構成を示す断面図である。
【図6】プロセスカートリッジの外観を示す斜視図である。
【図7】トナー容器を示す斜視図である。
【図8】図7に示すトナー容器の内部構成を示す斜視図である。
【図9】プロセスカートリッジを、そのプロセスカートリッジに搭載された構成部分のうちトナー容器および容器装着部の部分を透視して示す一部透視側面図である。
【図10】トナー容器をプロセスカートリッジから分離し得る状態のプロセスカートリッジを示す一部透視側面図である。
【図11】トナー容器をプロセスカートリッジから分離した状態のプロセスカートリッジを示す一部透視側面図である。
【図12】トナー供給のための制御部の動作を示すフローチャートである。
【図13】プロセスカートリッジの交換のための制御部の動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の別の実施形態である画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図15】別の実施形態のトナー容器を示す斜視図である。
【図16】別の実施形態でのプロセスカートリッジ交換のための制御部の動作を示すフローチャートである。
【図17】別の例でのプロセスカートリッジを示す模式図である。
【図18】トナー容器をプロセスカートリッジから分離し得る状態の、別の例でのプロセスカートリッジを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
[画像形成装置の全体構成]
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置の概略構成を示す断面図である。また、図2は、図1に示す画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【0017】
図1および図2に示す画像形成装置1は、用紙上に電子写真方式により画像をプリントするプリンタである。なお、この画像形成装置1は、用紙すなわち紙の記録媒体のみならず、OHPシートに代表される樹脂の記録媒体にも対応した装置であるが、以下の説明では、特に断らない限り、用紙で記録媒体を代表させて説明しているものとする。
【0018】
画像形成装置1は、トナー像形成保持部10、露光器20、用紙搬送装置30、転写器40、定着器50、および用紙収容部60を備えている。トナー像形成保持部10は、感光体ドラム11、帯電器12、および現像器13を備えている。
【0019】
感光体ドラム11は、円筒状の表面を有しており、図示しないモータによって円筒の軸周りである矢印a方向に回転駆動する。感光体ドラム11は、表面に形成される静電潜像およびトナー像を保持する。この感光体ドラム11が、本発明にいう像保持体の一例に相当する。
【0020】
帯電器12は、感光体ドラム11の表面を帯電させる。帯電器12は、ここに示す例では、感光体ドラム11に接触して回転する帯電ロールであるが、他の例としては、例えばコロトロンによる非接触式の帯電手段も採用され得る。
【0021】
露光器20は、感光体ドラム11を露光して感光体ドラム11上に静電潜像を形成する。露光器20は、帯電器12によって帯電された感光体ドラム11の表面を、外部から供給される画像信号に基づいた光ビームBmで走査し、感光体ドラム11の表面上に潜像を形成する。露光器20は光ビームBmで感光体ドラム11の表面を、感光体ドラム11の回転軸が延びる軸方向Xに走査する。
【0022】
現像器13は、感光体ドラム11上の潜像をトナーで現像して感光体ドラム11上にトナー像を形成する。現像器13は、トナーおよび磁性キャリアを含む現像剤を攪拌する攪拌部材132,133と、攪拌された現像剤を感光体ドラム11上に搬送する現像ロール131とを有する。また、現像器13には、現像器13内の現像剤におけるトナー比率を検知するセンサ134が搭載されている。この現像器13が、本発明にいう像形成部の一例に相当する。また、詳細な説明は後述するが、このセンサ134と、後述する制御部1Cとを合わせたものが、本発明にいう空検知部の一例に相当する。
【0023】
転写器40は、感光体ドラム11との間に用紙を挟んで回転するロールであり、感光体ドラム11上のトナー像を用紙上に転写する。
【0024】
定着器50は、感光体ドラム11から転写を受けたトナー像を用紙上に定着する。定着器50は、加熱ロール51および加圧ロール52を備えており、定着前のトナー像が形成された用紙を挟んで通過させることによりトナーを加熱および加圧する。
【0025】
用紙収容部60は、画像が形成される用紙を収容している。用紙収容部60は、3種類の用紙を収容する3つの用紙収容器61,62,63を備えている。3つの用紙収容器61〜63のうち、下に配置された2つの用紙収容器62,63は、作業者によって画像形成装置1の前面から前方向Fに引き出され、用紙が補給され、後ろ方向Bに押し込まれて画像形成装置1内に収容されることで、用紙に画像を形成し得る状態となる。3つの用紙収容器61〜63のうち残りの、上に配置された用紙収容器61は、画像形成装置1の前面に設けられた手差し扉81が前方向Fに開かれることで外部に露出し、用紙が補給される。
【0026】
用紙搬送装置30は、用紙を、転写位置を経由する搬送経路Rに沿って搬送する。転写位置は、用紙が感光体ドラム11からトナー像の転写を受ける位置であり、感光体ドラム11と転写器40とに挟まれた位置である。用紙搬送装置30は、取出しロール31、捌きロール32、レジストレーションロール33、排出ロール34、および反転搬送ロール35を備えている。取出しロール31は、用紙収容器61〜63から用紙を取り出す。捌きロール32は、取出しロール31で取り出された用紙を1枚ずつに捌く。レジストレーションロール33は、感光体ドラム11にトナー像が形成されるタイミングに合わせて用紙を転写器40に送り込む。排出ロール34は、定着器50によってトナー像が定着された用紙を画像形成装置1の外部に排出する。排出ロール34によって排出された用紙は、画像形成装置1の上部に設けられた排出台83の上に排出される。排出された用紙のうち、排出台83からはみ出た一部が扉82の上に載る。扉82は、画像形成装置1の前面と上面を覆う部材である。扉82が画像形成装置1の前面に設けられた軸82aを中心として前方向Fに回転することで、画像形成装置1の内部の機構が露出する。排出ロール34は、両面プリントが実行される場合には、用紙を途中まで搬送した状態で逆転し、用紙を反転搬送経路R’に沿って搬送する。反転搬送ロール35は、用紙を反転搬送経路R’に沿って搬送し、レジストレーションロール33に送り込む。これによって用紙の、画像がすでに形成された面の反対面に新たな画像が形成される。
【0027】
本実施形態の画像形成装置1は、フロントシーダと称するタイプの装置であり、用紙は画像形成装置1の前面側から補給される。この画像形成装置1では、画像形成装置1より前方向Fの位置から用紙収容器61〜63に補給された用紙Pは、画像形成装置1の後部、具体的には、感光体ドラム11より後ろ方向Bに設けられた搬送経路Rを下から上に向かって搬送される。画像が形成された用紙Pは、画像形成装置1の上部にある排出台83の上に前方向Fに向かって排出される。この画像形成装置1では、作業者による新たな用紙の補給と、画像が形成された用紙の取り出しが装置より前方向Fの位置から行われる。したがって、画像形成装置1の軸方向Xの両脇に空間的な余裕がない場所にも設置され得る。また、画像形成装置1の上方には、用紙取出しおよび部品交換のための隙間をあけて、画像読取装置が配置され得る。さらに後述するように、プロセスカートリッジCR、および、トナー容器(トナーカートリッジ)TCの着脱も前方向Fから行われる。
【0028】
また、画像形成装置1には、制御部1C、清掃器71、回収トナー収容箱72、容器装着部73、トナー供給器74、および表示画面84も備えられている。
【0029】
制御部1Cは、画像形成装置1の各部を制御する。詳細な説明は後述するが、この制御部1Cが、本発明にいう情報更新部や情報書換部や係留制御部や補給制御部の一例に相当する。
【0030】
清掃器71は、感光体ドラム11上に接触し、用紙へのトナー像の転写後に感光体ドラム11上に残存するトナーを除去することにより感光体ドラム11を清掃する。清掃器71は、感光体ドラム11に沿って延びた板状のブレードである。
【0031】
回収トナー収容箱72は、清掃器71により感光体ドラム11から除去されたトナーを収容する。
【0032】
容器装着部73には、トナー容器(トナーカートリッジ)TCが、装着分離が自在に装着される。トナー容器TCには、現像器13への補給用のトナーが収容されている。このトナー容器(トナーカートリッジ)TCが、本発明にいうトナー容器の一例に相当する。
【0033】
トナー供給器74は、トナー容器TCに収容されたトナーを現像器13に供給する。トナー供給器74は、トナー容器TCの下部から現像器13の上部まで延びた管の中に、螺旋形の羽根部材74aが配置された構造を有している。トナー供給器74は、羽根部材74aが回転することでトナーをトナー容器TCから現像器13に向けて搬送する。
【0034】
詳しくは後述するが、本実施形態では、トナー供給器74が制御部1Cによる制御の下で駆動されることでトナー容器TCから現像器13内へと適宜にトナーが供給されている。その結果として、現像器13内の現像剤におけるトナー比率は所定比率以上に保たれている。しかし、トナー容器TCのトナーが空になった場合には、トナー供給器74がいくら駆動されても現像器13内のトナー比率は上昇せず、やがては上記所定比率を下回ってしまう。本実施形態では、現像器13に搭載されたセンサ134により、現像器13内のトナー比率がこのように所定比率を下回ったことが検知されると、制御部1Cは、トナー容器TCのトナーが空になったと見なして、表示画面84に、トナー容器TCの交換を作業者に促すメッセージを表示する。
【0035】
上述したトナー像形成保持部10、清掃器71、回収トナー収容箱72、容器装着部73、トナー容器TC、およびトナー供給器74は、プロセスカートリッジCRに搭載されている。プロセスカートリッジCRは、画像形成装置1の本体1Aに対して装着分離が自在に搭載されている。このプロセスカートリッジCRが、本発明にいうカートリッジの一例に相当し、本体1Aが、本発明にいう筐体の一例に相当する。プロセスカートリッジCRに搭載された構成部分のうちトナー容器TCは、プロセスカートリッジCRに対して装着分離が自在に搭載されている。また、プロセスカートリッジCRに搭載された構成部分のうち、トナー容器TCを除く構成部分、すなわちトナー像形成保持部10、清掃器71、回収トナー収容箱72、容器装着部73、およびトナー供給器74は、ドラムユニットDUに搭載されている。このドラムユニットDUが、本発明にいう像保持部分の一例に相当する。ここで、プロセスカートリッジCRが本体1Aに装着される方向を装着方向Jと称し、装着方向Jの反対方向を取外し方向Kと称する。また、装着方向Jおよび取外し方向Kを含む双方向を着脱方向JKと称する。プロセスカートリッジCRには、本体1Aに着脱される際に作業者が掴む把手76も備えられている。プロセスカートリッジCRの具体的な構造、およびプロセスカートリッジCRに対するトナー容器TCの装着分離に関する具体的な構造については、後に説明する。
【0036】
[画像形成装置の基本動作]
図1に示す画像形成装置1の基本動作を説明する。
【0037】
トナー像形成保持部10では、感光体ドラム11が矢印a方向に回転駆動され、感光体ドラム11の表面に帯電器12によって電荷が付与される。露光器20は、外部から供給される画像信号に基づく露光光を感光体ドラム11の表面に照射することで、感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成する。感光体ドラム11は、静電潜像を保持しながら回転する。
【0038】
現像器13は、感光体ドラム11上の静電潜像をトナーで現像することで、トナー像を形成する。現像器13には、トナー供給器74によって、トナー容器TCからトナーが供給される。感光体ドラム11は、現像器13によって形成されたトナー像を保持しながら回転する。
【0039】
用紙収容器61,62,63に収容された用紙Pは、取出しロール31によって取り出され、捌きロール32、およびレジストレーションロール33によって搬送経路Rを転写器40に向かって搬送される。用紙Pは、レジストレーションロール33によって、感光体ドラム11上にトナー像が形成されていくタイミングに合わせて、転写器40に送り込まれる。転写器40は、感光体ドラム11と用紙との間に転写用のバイアス電圧を与えることによって、感光体ドラム11のトナー像を用紙に転写する。転写器40によって、トナー像が転写された用紙は定着器50に搬送され、転写されたトナー像が用紙上に定着される。このようにして、用紙上に画像が形成される。画像が形成された用紙は排出ロール34によって排出台83の上に排出される。
【0040】
転写器40による転写後、感光体ドラム11に残存したトナーは、清掃器71によって除去される。清掃器71により感光体ドラム11から除去されたトナーは、回収トナー収容箱72に収容される。
【0041】
[プロセスカートリッジの着脱]
図3は、図2に示す画像形成装置の扉を開いた状態を示す斜視図である。
【0042】
図3および図1を参照して説明を続ける。プロセスカートリッジCRは、画像形成装置1の前面および上面を覆う扉82が前方向Fに開かれることで、画像形成装置1の外部に露出する。より詳細には、扉82が開かれることで、プロセスカートリッジCRのうち、ドラムユニットDUの容器装着部73と、トナー容器TCと、把手76とが露出する。プロセスカートリッジCRは、本体1Aの装着部90に設けられた空洞に配置されている。装着部90の空洞は、画像形成装置1の本体1Aの前方向F斜め上に向かって開口した装着開口91を有する。
【0043】
図4は、プロセスカートリッジを取り出す途中の状態を示す斜視図である。図4には、画像形成装置1の上部に配置され得る画像読取装置RDの配置位置が破線で示されている。画像読取装置RDは、原稿から画像を読み取る装置であり、読み取った画像データを画像形成装置1に供給することで、画像形成装置1を例えば複写機として機能させる。
【0044】
操作者が把手76を掴んで引くと、プロセスカートリッジCRは、画像形成装置1の本体1Aから、前方向F斜め上に、すなわち取外し方向Kに引き出される。画像形成装置1の上方に画像読取装置RDが配置される場合、画像形成装置1と画像読取装置RDとの間には、用紙を取り出すための空間が設けられる。プロセスカートリッジCRの着脱の際には、プロセスカートリッジCRが、この画像形成装置1と画像読取装置RDとの間の用紙を取り出すための空間内を移動することとなる。
【0045】
[プロセスカートリッジの構成]
図5は、プロセスカートリッジの構成を示す断面図である。また、図6は、プロセスカートリッジの外観を示す斜視図である。
【0046】
図5には、プロセスカートリッジCRが画像形成装置1の本体1A(図1参照)に装着された状態における転写器40の位置も破線で示されている。また、図6に示すプロセスカートリッジCRは、本体1Aから取り出された状態のものである。
【0047】
プロセスカートリッジCRは、トナー容器TCおよびドラムユニットDUが一体化された交換ユニットである。このうち、ドラムユニットDUは、トナー像形成保持部10、清掃器71、回収トナー収容箱72、容器装着部73、トナー供給器74、および把手76を有する。また、トナー像形成保持部10は、上述したように、感光体ドラム11、帯電器12、および現像器13を有する。
【0048】
プロセスカートリッジCRにおいて、トナー像形成保持部10、回収トナー収容箱72、およびトナー容器TCは、プロセスカートリッジCRの着脱方向JKに配列され、回収トナー収容箱72は、トナー容器TCとトナー像形成保持部10とに挟まれた空間に広がっている。プロセスカートリッジCRが本体1Aに装着された状態では、容器装着部73に装着されたトナー容器TCが装着方向J最後尾に位置する向きとなっている。すなわち、プロセスカートリッジCRが本体1Aに装着された状態では、プロセスカートリッジCRのトナー容器TCが画像形成装置1の本体1Aの装着部90における最も手前側に配置されている。このため、図3に示す、本体1Aの扉82が開かれた状態では、プロセスカートリッジCRのうちトナー容器TCが外部に露出する。
【0049】
ドラムユニットDUの回収トナー収容箱72側面には、ユニット側メモリDUMが搭載されている。ユニット側メモリDUMには、トナー容器TCにおけるトナーの残量を表したトナー残量情報と、ドラムユニットDUにおける感光体ドラム11の累積使用量を表したドラム累積使用情報とが記憶されている。このユニット側メモリDUMが、本発明にいう記憶体の一例に相当する。また、このトナー残量情報が、本発明にいう第1情報の一例に相当し、このドラム累積使用情報が、本発明にいう第2情報の一例に相当する。
【0050】
また、本体1Aの装着部90にプロセスカートリッジCRが配置された状態では、ドラムユニットDUに搭載されているユニット側メモリDUMが、装着部90の内面に対向する位置に来る。このユニット側メモリDUMの外面には接続端子が設けられており、装着部90の内面には、ユニット側メモリDUMの接続端子と接触する接続端子が設けられている。装着部90にプロセスカートリッジCRが配置された状態では、これらの接続端子が互いに接触することによって電気的に接続され、ユニット側メモリDUMは、画像形成装置1(図1参照)の制御部1Cに接続されることとなる。そして、制御部1Cは、ユニット側メモリDUMに記憶されているトナー残量情報およびドラム累積使用情報を読み書きし得る状態になる。
【0051】
[トナー容器および容器装着部]
図7は、トナー容器を示す斜視図である。また、図8は、図7に示すトナー容器の内部構成を示す斜視図である。
【0052】
図7に示すトナー容器TCは、周面の一部にこのトナー容器TCの向きを示す突部TC2が設けられた有底円筒形状の筐体TC1を有しており、内部にはトナーが収容されている。トナー容器TCの周面には、トナーの通路を塞ぐ扉TC3が設けられている。また、図8に示すように、トナー容器TCの内部には、螺旋状に延びた線状部分TC4aと、その線状部分TC4aを保持した軸部分TC4bとを有する搬送部材TC4が設けられている。この搬送部材TC4は筐体TC1に対して回転自在に保持されており、軸部分TC4bはトナー容器TCの外部へと突き出している。この突き出した軸部分TC4bに、後述する駆動用ステッピングモータMの動力が伝達される。この動力で搬送部材TC4は、この軸部分TC4bを中心として回転し、その回転によってトナーを扉TC3に向けて搬送する。
【0053】
また、トナー容器TCの円状の側面には、トナー容器TCを容器装着部73に拘束する拘束部材TC5が設けられている。拘束部材TC5は、切欠きTC5aを有する円盤状の部材であり、搬送部材TC4の軸部分TC4bに固定されていて、搬送部材TC4と一体で回転する。搬送部材TC4と拘束部材TC5とを合わせたものが本発明にいう補給機構の一例に相当する。
【0054】
このようなトナー容器TCは、上述したように、図5に示すドラムユニットDUの容器装着部73に装着されることでプロセスカートリッジCRに搭載される。
【0055】
図9は、プロセスカートリッジを、そのプロセスカートリッジに搭載された構成部分のうちトナー容器および容器装着部の部分を透視して示す一部透視側面図である。図9に示すプロセスカートリッジCRは、ここでは図示を省略しているが、本体1Aの装着部90(図1参照)に設けられた空洞に配置された状態のものである。また、図9には、本体1Aに備えられた駆動用ステッピングモータMおよび駆動伝達ギアGも示されている。
【0056】
本体1Aには、駆動用ステッピングモータMおよび駆動伝達ギアGが備えられている。駆動用ステッピングモータMは、制御部1Cにより回転制御される。駆動伝達ギアGは、駆動用ステッピングモータMの動力を拘束部材TC5に伝達し、延いては搬送部材TC4にも伝達するギアである。拘束部材TC5には駆動伝達ギアGと噛み合う歯TC5b(図8参照)が備えられており、拘束部材TC5と駆動伝達ギアGは、プロセスカートリッジCRが装着部90に挿入されることで互いに噛み合う。駆動用ステッピングモータMが駆働すると駆動伝達ギアGを介して拘束部材TC5と搬送部材TC4が回転する。尚、図示は省略するが、上述したトナー供給器74の羽根部材74aも、駆動用ステッピングモータMの動力を受けて回転するものである。
【0057】
容器装着部73は、回収トナー収容箱72に固定される固定部材731と、固定部材731に固定された把手76とを備えている。固定部材731の内側面には、トナー容器TCの装着時および分離時に切欠きTC5aを案内する、直線状に延びた突起731aが設けられている。トナー容器TCは、固定部材731の内側に収容される。
【0058】
トナー容器TCが空でない状態における画像形成装置1の動作停止時には、後で詳述するように、駆動用ステッピングモータMの回転制御によって、拘束部材TC5の切欠きTC5aが、直線状に延びた突起731aの装置奥側における延長線上の位置(以下この位置を解除位置と称する)とは異なる位置に停止する。このため、トナー容器TCは、容器装着部73内に係留されて容器装着部73から取り出せないロック状態となる。つまり、固定部材731と拘束部材TC5との組み合わせが、本発明にいう係留機構の一例に相当する。
【0059】
また、トナー容器TCが空の状態になると、後で詳述するように、駆動用ステッピングモータMの回転制御によって、拘束部材TC5の切欠きTC5aが上記解除位置に停止する。この結果、トナー容器TCは、プロセスカートリッジから分離し得る状態となる。
【0060】
図10は、トナー容器をプロセスカートリッジから分離し得る状態のプロセスカートリッジを示す一部透視側面図である。この図10には、図9と同様に、プロセスカートリッジCRに搭載された構成部分のうちトナー容器TCおよび容器装着部73の部分を透視した状態が示されている。また、この図10に示すプロセスカートリッジCRも、図9と同様に、ここでは図示を省略しているが、本体1Aの装着部90(図1参照)に設けられた空洞に配置された状態のものである。また、図9と同様に、本体1Aに備えられた駆動用ステッピングモータMおよび駆動伝達ギアGも示されている。
【0061】
図10に示すトナー容器TCの向きは、作業者が操作によって、図9に示す向きから矢印b方向に回転させた向きとなっている。この作業者の操作時には、拘束部材TC5は駆動伝達ギアGと噛み合っているので、トナー容器TCの向きが変わっても、拘束部材TC5の切欠きTC5aは上記解除位置に存在している。即ち、トナー容器TCの状態は、トナー容器TCの切欠きTC5aが突起731aに案内されてトナー容器TCが容器装着部73から分離され得る状態となっている。なお、作業者の操作によるトナー容器TCの回転は、図7に示す扉TC3でトナーの通路を塞ぐための回転であり、この回転は、図示を省略した検知機構を介して制御部1Cによって検知される。この検知により制御部1Cは、トナー容器TCの交換の有無を判定する。
【0062】
図11は、トナー容器をプロセスカートリッジから分離した状態のプロセスカートリッジを示す一部透視側面図である。この図11には、プロセスカートリッジCRに搭載された構成部分のうち容器装着部73の部分を透視した状態が示されている。また、この図10に示すプロセスカートリッジCRのドラムユニットDUは、ここでは図示を省略しているが、本体1Aの装着部90(図1参照)に配置された状態のものである。また、図9,図10と同様に、本体1Aに備えられた駆動用ステッピングモータMおよび駆動伝達ギアGも示されている。
【0063】
図11に示すように、トナー容器TCは、ドラムユニットDUを本体1A(図1参照)に残したままプロセスカートリッジCRから分離される。尚、トナー容器TCは、図10に示す状態でプロセスカートリッジCRを本体1A(図1参照)から取り出し、取り出された状態のプロセスカートリッジCRから分離してもよい。
【0064】
図9〜図11を参照して説明したように、本実施形態の画像形成装置1では、トナー容器TCが空であることがセンサ134によって検知された場合にのみ、トナー容器TCをプロセスカートリッジCRから分離し得る。逆に言えば、トナー容器TCが空でない場合は、トナー容器TCをプロセスカートリッジCRから分離することが禁止されている。
【0065】
[トナー供給のための制御部の動作]
図12は、トナー供給のための制御部の動作を示すフローチャートである。
【0066】
このフローチャートが示す動作は、画像形成の度に起動されて制御部1Cで実行される動作である。この動作が開始されると制御部1Cは、センサ134が示すトナー比率に基づいて、トナー容器TCに収容されたトナーの現像器13へのトナー供給が必要か否かを判定する(ステップS1)。このステップS1でトナー供給が必要と判定された場合には、制御部1Cは、駆動用ステッピングモータMを駆動させ、トナー容器TCの搬送部材TC4およびトナー供給器74の羽根部材74aを所定量回転させる(ステップS2)。これにより、トナー容器TCに収容されたトナーが現像器13へ供給される。このようにトナーが供給されると、制御部1Cは、ユニット側メモリDUMに記憶されているトナー残量情報を更新する。トナー残量情報が更新された結果として、トナー容器TCが空に近付いたことに相当するトナー残量情報に至った場合には、制御部1Cは表示画面84に、トナー容器TCの交換時期に近付いていることを示すメッセージを表示する。画像形成装置1の作業者は、表示画面84に表示されるこのメッセージを見てトナー容器TCを用意する。但し、トナー容器TCの交換は、後述するようにトナー容器TCの空が検知された場合に実行される。
【0067】
また、制御部1Cは、トナー供給の有無に拘わらず、画像形成の度に、ユニット側メモリDUMに記憶されているドラム累積使用情報を更新する。
【0068】
上記ステップS2でトナーが現像器13へ供給された後、制御部1Cは、搬送部材TC4の回転停止時に、拘束部材TC5の切欠きTC5aが上記解除位置からずれているか否かを、駆動用ステッピングモータMにおけるパルス数に基づいた演算によって判定する(ステップS3)。
【0069】
ステップS3で、切欠きTC5aが上記解除位置に停止していると判定された場合には、制御部1Cは、駆動用ステッピングモータMを駆動させ、切欠きTC5aが上記解除位置とは異なる位置に存在するように拘束部材TC5を回転させる(ステップS4)。
【0070】
[プロセスカートリッジの交換のための制御部の動作]
図13は、プロセスカートリッジの交換のための制御部の動作を示すフローチャートである。
【0071】
このフローチャートが示す動作は、上述した図12のフローチャートが示す動作と並行に実行される動作である。
【0072】
このフローチャートが示す動作が開始されると、制御部1Cは、現像器13に搭載されたセンサ134が示すトナー比率が上述した所定比率以下に下がったか否か、すなわちトナー容器TCが空であるか否かを検知する(ステップS11)。このステップS11でトナー容器TCの空が検知されない限り、作業者の操作に従って画像形成が続けられ、上述した図12のフローチャートが示す動作によってトナー供給も随時実行される。そして、トナー残量情報およびドラム累積使用情報も随時更新されて行くことになる。
【0073】
ステップS11で、トナー容器TCが空であることが検知されると、制御部1Cは、ユニット側メモリDUMのドラム累積使用情報を読み出して、感光体ドラム11の寿命が尽きたことに相当するドラム累積使用情報に至ったか否かを判定する(ステップS12)。
【0074】
ステップS12で、感光体ドラム11の寿命が尽きたことに相当するドラム累積使用情報にはまだ至っていないと判定された場合には、制御部1Cは、駆動用ステッピングモータMの回転を制御して、拘束部材TC5の切欠きTC5aが上記解除位置に来るように拘束部材TC5を回転させて停止させる。これにより、トナー容器TCが容器装着部73から分離され得る状態となる(ステップS13)。また、制御部1Cは、トナー容器TCの交換を作業者に促すメッセージを表示画面84に表示させる(ステップS14)。
【0075】
作業者によってトナー容器TCがプロセスカートリッジCRとは別に交換されたことを上述した検知機構を介して検知する(ステップS15)と、制御部1Cは、上記ステップS11と同様の方式で、現像器13に搭載されたセンサ134により、交換されたトナー容器TCが空であるか否を検知する(ステップS16)。
【0076】
ステップS16で、交換されたトナー容器TCが空であることが検知されると、ステップS14に戻る。
【0077】
一方、ステップS16で、交換されたトナー容器TCが空でないことが検知されると、制御部1Cは、駆動用ステッピングモータMの回転制御によって、拘束部材TC5の切欠きTC5aが上記解除位置とは異なる位置に存在するように拘束部材TC5を回転させて停止させる。これにより、トナー容器TCは容器装着部73内に係留された、容器装着部73から取り出せないロック状態となる(ステップS17)。
【0078】
このようにステップS17でトナー容器TCが容器装着部73内に係留されると、トナー容器TCが新品に交換されたことになるので、制御部1Cは、ユニット側メモリDUMに記憶されているトナー残量情報を、トナー容器TCにおける満杯のトナー量に相当するトナー残量情報に書き換える(ステップS18)。その後、プロセスカートリッジCRは使用が許可される(ステップS19)。
【0079】
上記ステップS12で、感光体ドラム11の寿命が尽きたことに相当するドラム累積使用情報に至ったと判定された場合には、制御部1Cは、ユニット側メモリDUMのドラム累積使用情報を、「寿命」を表した情報に書き換える(ステップS121)。また、制御部1Cは、プロセスカートリッジCRの交換を作業者に促すメッセージを表示画面84に表示させる(ステップS122)。このメッセージを見た作業者は、プロセスカートリッジCRを新品のプロセスカートリッジCRに交換する。制御部1Cは、ユニット側メモリDUMにおけるドラム累積使用情報を監視することで、プロセスカートリッジCRの交換の有無を検知する。
【0080】
作業者によってプロセスカートリッジCRが交換されたことが検知される(ステップS123)と、ステップS11に戻る。そして、上述したように、トナー容器TCの空が検知されない限り、作業者の操作に従って画像形成が続けられる。
【0081】
本実施形態は、トナー容器TCが交換されて複数使用される間に1個のユニット側メモリDUMが継続運用されるという点で好ましい形態である。
【0082】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。この別の実施形態では、ドラムユニットDUに搭載されたユニット側メモリDUMに代えてトナー容器TCにカートリッジ側メモリが搭載されている点と、画像形成装置1に本体側メモリが備えられている点と、トナー容器TCの交換時における制御部1Cの動作がそれらのメモリに応じた動作である点とで、上述した実施形態とは異なるが、その他の構成や動作は上述した実施形態と同様である。以下、相違点に着目して説明する。
【0083】
[画像形成装置の全体構成(別の実施形態)]
図14は、本発明の別の実施形態である画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【0084】
画像形成装置1には、本体側メモリ1Mが備えられている。
【0085】
本体側メモリ1Mは、画像形成装置1の本体1Aに搭載されたメモリである。本体側メモリ1Mには、ドラムユニットDUにおける感光体ドラム11の累積使用量を表したドラム累積使用情報が記憶されている。詳細な説明は後述するが、この本体側メモリ1Mが、本発明にいう筐体側記憶体の一例に相当する。
【0086】
[トナー容器および容器装着部(別の実施形態)]
図15は、別の実施形態のトナー容器を示す斜視図である。
【0087】
トナー容器TCの周面には、カートリッジ側メモリTCMが搭載されている。カートリッジ側メモリTCMには、トナー容器TCにおけるトナーの残量を表したトナー残量情報と、ドラムユニットDUにおける感光体ドラム11の累積使用量を表したドラム累積使用情報とが記憶されている。このカートリッジ側メモリTCMが、本発明にいう容器側記憶体の一例に相当する。また、このトナー残量情報が、本発明にいう第1情報の一例に相当し、このドラム累積使用情報が、本発明にいう第2情報の一例に相当する。
【0088】
また、容器装着部73にトナー容器TCが装着された状態では、トナー容器TCに搭載されているカートリッジ側メモリTCMが、装着部90の内面に対向する位置に来る。このカートリッジ側メモリTCMの外面には接続端子が設けられており、装着部90の内面には、カートリッジ側メモリTCMの接続端子と接触する接続端子が設けられている。容器装着部73にトナー容器TCが装着された状態では、これらの接続端子が互いに接触することによって電気的に接続され、カートリッジ側メモリTCMは、画像形成装置1(図1参照)の制御部1Cに接続されることとなる。そして、制御部1Cは、カートリッジ側メモリTCMに記憶されているトナー残量情報およびドラム累積使用情報を読み書きし得る状態になる。制御部1Cは画像形成装置1における画像形成動作の全体を制御しているものであり、画像形成が行われる度に、カートリッジ側メモリTCMのドラム累積使用情報を更新する。また、ドラム累積使用情報のバックアップを本体側メモリ1Mへと書き込む。さらに制御部1Cは、必要に応じてトナー供給器74を稼働させて現像器13にトナー容器TCからトナーを供給させ、そのトナー供給の度に、カートリッジ側メモリTCMのトナー残量情報を更新する。
【0089】
[プロセスカートリッジ交換のための制御部の動作(別の実施形態)]
図16は、別の実施形態でのプロセスカートリッジ交換のための制御部の動作を示すフローチャートである。
【0090】
この別の実施形態でも、ステップS17でトナー容器TCが容器装着部73内に係留されると、トナー容器TCが新品に交換されたことになる。そして、この別の実施形態では、トナー容器TCとともにカートリッジ側メモリTCMも新しいメモリに交換されることになる。このため、カートリッジ側メモリTCMに記憶されているドラム累積使用情報は、「使用量不明」を表した情報となっている。一方で、ドラムユニットDUは使用中(いわゆる中古の状態)であるため、適正なドラム累積使用情報をカートリッジ側メモリTCMに記憶させることが必要となる。そこで、ステップS17でトナー容器TCが容器装着部73内に係留されると、制御部1Cは、カートリッジ側メモリTCMに記憶されている、「使用量不明」を表したドラム累積使用情報を、本体側メモリ1Mに記憶されているドラム累積使用情報に書き換える(ステップS28)。これにより、新しいカートリッジ側メモリTCMにドラム累積使用情報が正常に引き継がれることとなる。その後、プロセスカートリッジCRは使用が許可される(ステップS19)。
【0091】
この別の実施形態は、トナー容量が異なる複数種類のトナー容器TCを運用可能であるという点で好ましい形態である。
【0092】
以上説明した各実施形態では、トナー容器TCが空でない場合に、トナー容器TCをプロセスカートリッジCRから分離することを禁止する機構を、図9〜図11を参照して、トナー容器TCの側面に設けられた拘束部材TC5と、容器装着部73の固定部材731の内側面に設けられた突起731aとの組み合わせにより実現する例を挙げて説明したが、その機構は、これに限られるものではなく、例えば以下に示すような例によっても実現される。以下、相違点に着目して説明する。
【0093】
[トナー容器TCが空でない場合に、トナー容器TCをプロセスカートリッジCRから分離することを禁止する機構(別の例)]
図17は、別の例でのプロセスカートリッジを示す模式図である。図17に示すプロセスカートリッジCRは、ここでは図示を省略しているが、本体1Aの装着部90(図1参照)に配置された状態のものである。
【0094】
図17に示すトナー容器TCの側面には、上述した拘束部材TC5に代えて、突起TC6が設けられている。
【0095】
また、図17に示すドラムユニットDUの容器装着部73は、上述した突起731aに代えて、トナー容器TCを容器装着部73に拘束する拘束部材732を備えている。拘束部材732は、トナー容器TCの突起TC6を案内・保持する容器案内保持切欠き732aを有する円盤状の部材であり、トナー供給器74の羽根部材74aの軸部分に固定されていて、羽根部材74aと一体で回転する。より詳細には、トナー容器TCが容器装着部73に装着された状態では容器案内保持切欠き732aによってトナー容器TCが保持され、トナー容器TCが容器装着部73に装着される途中の状態では容器案内保持切欠き732aによってトナー容器TCが案内される。また、駆動用ステッピングモータM(図9参照)の動力が伝達されて羽根部材74aが回転するとその回転に合わせて拘束部材732も回転する。尚、駆動用ステッピングモータMは、制御部1Cにより回転制御される。トナー容器TCは、容器装着部73内で拘束部材732よりも内側に収容される。
【0096】
トナー容器TCが空でない状態における画像形成装置1の動作停止時には、駆動用ステッピングモータMの回転制御によって、拘束部材732が、トナー容器TCの突起TC6が容器案内保持切欠き732aによって案内され得る位置(以下この位置を解除位置と称する)とは異なる位置に停止する。このため、トナー容器TCは、容器装着部73内に係留されて容器装着部73から取り出せないロック状態となる。つまり、突起TC6と拘束部材732との組み合わせが、本発明にいう係留機構の一例に相当する。
【0097】
また、トナー容器TCが空の状態になると、後で詳述するように、駆動用ステッピングモータMの回転制御によって、拘束部材732が上記解除位置に停止する。この結果、トナー容器TCは、プロセスカートリッジから分離し得る状態となる。
【0098】
図18は、トナー容器をプロセスカートリッジから分離し得る状態の、別の例でのプロセスカートリッジを示す模式図である。この図18に示すプロセスカートリッジCRも、図17と同様に、ここでは図示を省略しているが、本体1Aの装着部90(図1参照)に配置された状態のものである。
【0099】
図18に示す状態は、現像器13に搭載されたセンサ134により現像剤中のトナーの比率が所定比率以下に下がったことが検知され、すなわちトナー容器TCが空であることが検知され、表示画面84に、トナー容器TCの交換を作業者に促すメッセージが表示されている状態でもある。そして、センサ134によるトナー容器TCの空検知を受けて、駆動用ステッピングモータMの回転制御によって、拘束部材732が上記解除位置に回転して停止している。つまり、トナー容器TCが容器装着部73から分離され得る状態となっている。
【0100】
以上、図17,18を参照して説明したような構成によっても、トナー容器TCが空でない場合に、トナー容器TCをプロセスカートリッジCRから分離することを禁止する機構が実現される。
【0101】
尚、上述した各実施形態では、画像形成装置の例としてモノクロプリンタが示されている。しかし、本発明にいう画像形成装置はこれに限られず、例えば、カラー画像を形成するカラープリンタであってもよい。
【0102】
また、上述した各実施形態では、画像形成装置の例としてプリンタが示されている。しかし、本発明にいう画像形成装置はプリンタに限られず、例えば、複写機やファクシミリであってもよい。
【0103】
また、上述した各実施形態では、本発明にいう係留制御部が、プロセスカートリッジへのトナー容器の係留を完全に外す機構である例を挙げて説明したが、本発明にいう係留制御部は、これに限られるものではなく、プロセスカートリッジへのトナー容器の係留を作業者が操作で外し得る状態とする機構であってもよい。
【0104】
また、上述した各実施形態では、本発明にいう第1情報が、トナー容器におけるトナーの残量を表したトナー残量情報である例を挙げて説明したが、本発明にいう第1情報は、これに限られるものではなく、例えば、感光体ドラムの使用累積数や、印刷画像密度の総計量、トナー容器におけるトナー使用量を表した情報や、トナー回収容器のトナー回収量に関する情報、トナー容器が未使用であることを示すフラグなど、「トナー容器におけるトナーの使用量に関する情報」であればいかなる情報であってもよい。
【0105】
また、上述した各実施形態では、本発明にいう第2情報が、ドラムユニットにおける感光体ドラムの累積使用量を表したドラム累積使用情報である例を挙げて説明したが、本発明にいう第2情報は、これに限られるものではなく、例えば、ドラムユニットにおける感光体ドラムの残使用量を表した情報など、「ドラムユニットの使用量に関する情報」であればいかなる情報であってもよい。
【0106】
また、上述した各実施形態では、本発明にいう像保持部分が、トナー像形成保持部と清掃器と回収トナー収容箱と容器装着部とトナー供給器74とが搭載されたドラムユニットDUである例を挙げて説明したが、本発明にいう像保持部分は、これに限られるものではなく、プロセスカートリッジに搭載された構成部分のうち、トナー容器を除きかつ少なくとも感光体ドラムを含む構成部分であれば、いかなる構成部分が含まれていてもよい。
【0107】
また、上述した各実施形態では、本発明にいう空検知部が、現像器における現像剤中のトナーの比率を検知するセンサである例を挙げて説明したが、本発明にいう空検知部は、これに限られるものではなく、例えば、光透過窓を有するトナー容器に収容されたトナーを光透過窓を通して検知する、画像形成装置の本体に設けられたセンサや、トナー容器に収容されたトナーを直接検知する、トナー容器内部に設けられたセンサや、トナー供給の結果として適正濃度の画像が実際に形成されるか否かを検知する画像濃度センサなどであってもよい。
【0108】
また、上述した各実施形態では、本発明にいう係留機構が、補給機構と一部が兼用されていることで補給機構と一体で動作する例を挙げて説明したが、本発明にいう係留機構は、これに限られるものではなく、例えばソレノイドや専用モータにより動作する機構のような、補給機構とは別体で動作する機構であってもよい。
【0109】
また、上述した別の実施形態では、本発明にいう筐体側記憶体である本体側メモリが、本発明にいう第2情報であるドラム累積使用情報を記憶するものである例を挙げて説明したが、本発明にいう筐体側記憶体は、これに限られるものではなく、本発明にいう第1情報と第2情報との双方を記憶するものであってもよい。
【0110】
また、上述した別の実施形態では、本発明にいう情報更新部が、画像形成が行われる度に、カートリッジ側メモリのドラム累積使用情報を更新し、ドラム累積使用情報のバックアップを本体側メモリへと書き込む例を挙げて説明したが、本発明にいう情報更新部は、これに限られるものではなく、本体側メモリとカートリッジ側メモリとの一方を頻繁に更新して他方を時々バックアップするものでもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 画像形成装置
1A 本体
1C 制御部
M 駆動用ステッピングモータ
G 駆動伝達ギア
1M 本体側メモリ
10 トナー像形成保持部
11 感光体ドラム
12 帯電器
13 現像器
131 現像ロール
132,133 攪拌部材
134 センサ
20 露光器
30 用紙搬送装置
31 取出しロール
32 捌きロール
33 レジストレーションロール
34 排出ロール
35 反転搬送ロール
40 転写器
50 定着器
51 加熱ロール
52 加圧ロール
60 用紙収容部
61,62,63 用紙収容器
71 清掃器
72 回収トナー収容箱
73 容器装着部
731 固定部材
731a 突起
732 拘束部材
732a 容器案内保持切欠き
74 トナー供給器
74a 羽根部材
76 把手
81 手差し扉
82 扉
82a 軸
83 排出台
84 表示画面
90 装着部
91 装着開口
TC トナー容器(トナーカートリッジ)
TC1 筐体
TC2 突部
TC3 扉
TC4 搬送部材
TC4a 線状部分
TC4b 軸部分
TC5 拘束部材
TC5a 切欠き
TC5b 歯
TCM カートリッジ側メモリ
TC6 突起
DU ドラムユニット
DUM ユニット側メモリ
CR プロセスカートリッジ
RD 画像読取装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に収容され、トナー像を保持する像保持体と、
前記筐体内に収容され、前記像保持体上に前記トナー像を形成する像形成部と、
少なくとも前記像保持体を有し、前記筐体に対して着脱自在なカートリッジと、
前記カートリッジに対して装着分離自在に搭載され、トナーを内部に収容して前記像形成部に該トナーを補給するトナー容器と、
前記カートリッジに対して前記トナー容器を係留する係留機構と、
前記トナー容器も含めた前記カートリッジの何れかの箇所に設けられると共に、前記トナー容器におけるトナーの使用量に関する第1情報と、前記カートリッジに搭載された構成部分のうち該トナー容器を除きかつ少なくとも前記像保持体を含む構成部分である像保持部分の使用量に関する第2情報とを記憶する記憶体と、
前記第1情報および前記第2情報のそれぞれを前記トナー容器におけるトナー使用および前記像保持部分の使用のそれぞれに応じて更新する情報更新部と、
前記筐体内に収容され、前記トナー容器が空か否かを検知する空検知部と、
前記トナー容器が空であることが前記空検知部によって検知された場合に前記係留機構による該トナー容器の係留を少なくとも解除自在な状態にさせると共に、該トナー容器が空でないことが該空検知部によって検知された場合に該係留機構に該トナー容器を係留させる係留制御部と、
前記トナー容器について空が検知され前記係留が少なくとも解除自在な状態にされた後、トナー容器が空でないことが前記空検知部によって検知された場合に、前記記憶体が記憶している情報を書き換える情報書換部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記憶体は前記像保持部分に搭載されたものであり、
前記情報書換部は、前記トナー容器について空が検知され係留が少なくとも解除自在な状態にされた後、トナー容器が空でないことが前記空検知部によって検知された場合に、前記記憶体が記憶している第1情報をトナーの使い始めに相応した情報に書き換えるものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶体は前記トナー容器に搭載された容器側記憶体であり、
少なくとも前記第2情報を記憶すると共に前記筐体からの前記カートリッジの分離時には該筐体側に残る筐体側記憶体を備え、
前記情報書換部は、前記トナー容器について空が検知され係留が少なくとも解除自在な状態にされた後、トナー容器が空でないことが前記空検知部によって検知された場合に、前記容器側記憶体が記憶している第2情報を前記筐体側記憶体が記憶している第2情報に書き換えるものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カートリッジは、前記トナー容器から前記像形成部までのトナー補給の少なくとも一部を担う補給機構を備えたものであり、
前記係留機構は、前記補給機構と少なくとも一部が兼用されていることで該補給機構と一体で動作し、該動作によって前記トナー容器の係留が解除不能な係留状態と該係留が少なくとも解除自在な解除状態とを実現するものであり、
前記係留制御部は、前記補給機構の動作を制御することで前記トナー容器から前記像形成部へのトナー補給を制御する補給制御部を兼ねたものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−41045(P2013−41045A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177004(P2011−177004)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】