説明

画像形成装置

【課題】機械品質が安定する構成で、必要最小限の部品追加によって確実に帯電器の寿命を向上させ得る画像形成装置を提供する。
【解決手段】ケーシング11内に画像形成装置本体8から電気的に独立した複数の接続経路を持たせるために、2つの端子12a、12bを電気的に独立にして設け、それぞれに3本ずつのコロナワイヤ10を設置する。画像形成装置本体8側には、2つの端子9a、9bを設け、スイッチ機構13を介して供給電源7につなげる。端子12a、12bで形成する2つの接続経路と供給電源7の間を、スイッチ機構13により接・断し、端子12a、12bの一方が供給電源7に接続しているときは、端子12a、12bの他方は供給電源7から遮断されているようにする。コロナワイヤ10が放電動作を休止している間は汚れが進行しないので帯電器の寿命を大幅に伸ばし得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロナ帯電装置を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コロナ帯電装置(以下、帯電CHと記載する)を帯電器として用いた電子写真方式の画像形成装置では、コロナワイヤの汚れによる帯電CHの劣化が問題となっている。コロナワイヤは高圧で放電させるため、空気中の物質がイオン化されてワイヤに付着してしま、付着した物質によりコロナワイヤ表面の抵抗が著しく上昇し、正常な放電ができなくなり、ハーフトーンムラ等の異常画像が生じてしまうのである。またコロナワイヤに付着した物質は強固にこびりつく。そのため、研磨材等でコロナワイヤを擦ってクリーニングしようとしても、通常は付着物質が取れることがなく、この付着物質に起因していずれは異常画像が発生することになり、そのような時点あるいは時期がコロナワイヤとしての寿命となる。すなわち、帯電CHの寿命は上述のようなコロナワイヤの汚れによって決まるといってよい。
【0003】
一方、近年のプリンタや複写機等の画像形成装置では、飛躍的な高寿命化を要求されている。帯電CHは、画像形成装置を構成する種々の機器、装置のうちでも寿命が比較的短く、交換頻度が多い。そのことにより、サービスマンの交換作業の工賃がかさみ、ひいては記録媒体1枚に印刷するのに要する費用(以下CPP(COST PER PRINT)と記載する)が上昇してしまう。換言すると、帯電CHの交換頻度を下げることが印刷費用を低減させるために重要な課題であるということになる。
【0004】
この問題を解消するため、従来、印刷量の累積に伴ってコロナワイヤを少しずつ巻き取り、きれいなワイヤに入れ替えるという技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また例えば特許文献2には、コロナ放電ワイヤに電圧を印加する定電流電源の印加電圧を検出する電圧変動幅検知手段と、電圧変動幅検知手段により検出された帯電時の電圧変動幅が予め定められた基準電圧変動幅を越えた場合に清掃部材を動作させる装置にすることで、ワイヤや清掃部材の寿命を損なうことなく、画像の濃度ムラや転写不良の発生を防止した画像形成装置が提案されている
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、コロナワイヤを安定して巻き取るための駆動に係る構成と、放電対象物である感光体とのギャップを精度良く保つこと、コロナワイヤに常に一定のテンションを保つことが要求される。感光体とのギャップ維持と、一定のテンションの保持は感光体への一定の帯電量付与を行う上で必須事項となる。コロナワイヤを安定して巻き取るための駆動に係る構成に工夫を凝らしても、例えば感光体とのギャップを常に0.1mmオーダーの精度を維持しながら巻き取ることは非常に難しい。
【0007】
また特許文献2の技術では、コロナワイヤを放電する時間は従来の機器と同一のため、コロナワイヤが汚れるスピードはほぼ同等であり、そのために著しく寿命の向上を望むことはできない。
【0008】
本発明は上述の事情にかんがみてなしたものであって、ワイヤ巻き取り不良等、故障の懸念が少なく、機械品質が安定する構成で、かつ必要最小限の部品追加で、確実に帯電CHの寿命を向上させ得る画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、像担持体表面をコロナ放電により均一に帯電させる帯電器を有する画像形成装置において、前記帯電器のケーシング内に、複数のコロナワイヤと、該複数のコロナワイヤそれぞれに電気的に独立で接続する複数の端子を具備し、画像形成装置本体内に、前記帯電器内の複数の端子にそれぞれ電気的に独立で接続する複数の端子を具備し、前記画像形成装置本体内に、前記画像形成装置本体内の前記複数の端子への高圧供給電源の接続・遮断を行うスイッチ機構を具備し、該スイッチ機構が定期的に動作することで前記複数のコロナワイヤの各々への高圧印加・休止を切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高価な帯電器内に比較的安価なスイッチ機構を追加することで、コロナワイヤの交換頻度を減らせ、画像形成装置が製品としての寿命を迎えるまでに必要な維持費用を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の要部の概念的断面図
【図2】帯電CHの構成を示す概念図
【図3】本発明の一実施形態に係る帯電CHを示す概念図
【図4】本発明の他の実施形態に係る帯電CHを示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態は、シールドケース(以下ケーシング)内に複数対のコロナワイヤを設け、これらコロナワイヤには各々電気的に独立した端子を設け、また画像形成装置本体内にも前記端子に接続する複数の端子を設け、画像形成装置本体内にあるスイッチ機構によりそれぞれの端子の電源供給・遮断を行う。あるコロナワイヤに電源を供給して放電動作を行わせている際、スイッチ機構により別のコロナワイヤへの電源供給を停止させ、放電動作を行わせないようにする。コロナワイヤの使用時間や使用枚数がある値を超えたときには、スイッチ機構により電流供給・遮断が切り替わる。このような構成とすることにより、一つの帯電CHで2倍の寿命を確保することができる。したがって帯電CHの交換頻度が半分になることで交換工賃が半分となり、印刷一枚辺りの費用(CPP)を低減させることができる。
【0013】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態の構成、動作を図面を参照して説明する。
図1に本発明の一実施形態として、感光体及び乾式現像方式を用いた電子写真方式の画像形成装置を示す。図1において、符号1は像担持体である感光体、符号2は感光体1の表面を均一に帯電させる帯電CH、3は現像装置、4は転写ベルトや転写ローラ等からなる転写・分離装置、5は転写工程後に感光体1上に残留するトナーを除去するためのクリーニング装置である。
【0014】
帯電CH2のコロナ放電及び電圧が印加されたグリッド電極によって、感光体1を均一に帯電する。そして露光工程で原稿からの光像を感光体1上に露光するかあるいは画像情報に応じて非図示のレーザスキャナー等によって光書き込み6を行い、感光体1上に静電潜像を形成する。この露光工程後、現像装置3によって現像を行い、静電潜像上にトナーを付着させ、トナー像として顕像化する。
【0015】
感光体1上のトナー像は、転写・分離装置4による転写・分離工程により記録紙上に転写するが、トナー像として付着していたトナーの数%は感光体1上に残留する。この感光体1上の残留トナーはクリーニング装置5の位置に到達したときに、クリーニング装置5でクリーニングする。
【0016】
帯電CH2の構成としては図2のような構成が一般的である。符号10は帯電CH2内に張ったコロナワイヤ(図2の例では3本使用している)、符号11はコロナワイヤ10の周りをシールドするアルミ板等の金属で形成したケーシングである。また符号12は帯電CH2内に設ける端子で、画像形成装置本体8側に設けた供給電源7に接続するための端子9につなげるためのものである。この一つの端子12に、複数設置したコロナワイヤ10が電気的につながっている。なお、ケーシング11側の端子11bを別途に設ける必要がある。
【0017】
また図2(B)で示すように、ケーシング11の仕切り11aで区切った枠内にコロナワイヤ10がそれぞれ設けてあり、このケーシング11の仕切り11aによりコロナワイヤから発せられた過剰な電荷をこの仕切り11aに流すことで、常に一定の電荷を感光体1に与えられるように制御することが可能となっている。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態に係る帯電CHを示す。図2の装置と共通する構成要素には同一の符号を付して示してある。この実施形態装置の構成では、ケーシング11内の一つの仕切り11aに画像形成装置本体8から電気的に独立した複数の接続経路を持たせるために、2つの端子12a、12bを電気的に独立にして設け、それぞれに複数本(図示の例では3本ずつ)のコロナワイヤ10を設置している。なお、端子の個数は図示の例のように2つ(端子12a、12b)に限定されることはない。
【0019】
画像形成装置本体8側には、複数の端子12a、12bにそれぞれ個別に接続するための2つの端子9a、9bを設けてある。これらの端子は、スイッチ機構13を介して供給電源7につなげてある。そして、供給電源7からの供給電力により、コロナワイヤ10からの放電動作を行わせ、感光体1を帯電させるようになっている。なお画像形成装置本体8側の端子9a、9bの個数は、帯電CH2側の端子12a、12bの個数に合わせる。
【0020】
本実施形態では、端子12a、12bで形成する2つの接続経路と供給電源7の間を、スイッチ機構13により接・断し、端子12a、12bの一方が供給電源7に接続しているときは、端子12a、12bの他方は供給電源7から遮断されているようにしてある。この構成により、ケーシング11内の複数のコロナワイヤ10は、端子12aに接続しているコロナワイヤ10が放電動作を行っているときは、他方の端子12bに接続しているコロナワイヤ10は放電動作を休止している。またその逆の状態ともなる。
【0021】
すなわち、図2の構成例では例えば3本のコロナワイヤ10で帯電動作を行っていたものを、6本のコロナワイヤ10で行い、コロナワイヤ10を3本ずつ期間内に切り替えて帯電動作を行おうというものである。コロナワイヤ10が放電動作を休止している間は、その汚れが進行しない。例えば図2の構成の帯電CHの寿命設定を40万枚(画像形成した記録媒体の枚数)とし、この枚数に達するまでのコロナワイヤの放電時間は120時間となるものとすると、図3の実施形態装置では、帯電CH2の寿命設定は、単純計算では倍の80万枚、240時間にすることが可能になる。
【0022】
本実施形態で実現される帯電CH2におけるコストアップ要因は、主にコロナワイヤ10の追加であるが、一般的にケーシングを含めた帯電CH2全体のコストに占めるコロナワイヤ1本のコストは2〜3%である。したがって、本実施形態では4〜6%のコストアップとなるが、帯電CH2の寿命が計算上では2倍になるので、記録媒体1枚あたりの印刷費用CPPは半分近くにできることになる。
【0023】
すなわち、高価な帯電CH2内の比較的安価なコロナワイヤ10という部品の追加で帯電装置の構成変更をほぼ達成できるので、帯電装置としてのコストは大きく増加することがなく、またコロナワイヤ10の交換頻度が半分になり、CPPが半分になることが挙げられる。そして、その結果、画像形成装置の製品としての寿命到達までに必要な全費用は著しく低減させ得る。
【0024】
<実施形態2>
図4に本発明の他の実施形態を示す。本実施形態は、先に説明した実施形態よりも供給電源7の切り替えスイッチ13の構成をより簡素に実現するため、帯電CH2のオートクリーニングに連動したスイッチ機構を提案している。
【0025】
スポンジのパッドでコロナワイヤを挟み込み、パッドの往復動作によりコロナワイヤをクリーニングするオートクリーニング機構が一般的に用いられている。図示の実施形態2でもこの機構で用いている。図示の機構は、例えばネジ軸16で図中の矢印のように往復移動するように駆動するクリーニングパッドホルダ14が画像形成装置本体8側に到達したとき、クリーニングパッドホルダ14の端部14aがプッシュスイッチ15の端部15aを押し、プッシュスイッチ15の移動によって切り替えスイッチ13を切り替え、それによって供給電源7からの電源供給の経路を切り替える。プッシュスイッチ15には種々の機構のものを用いることができるが、例えばプッシュロック機構(一度押されたら、押された状態を保持し、次に押されたときに元に戻る)等を用いると良い。すなわち、切り替えスイッチ13の切り替えのために特別なアクチュエータを設ける必要がなく、安価な構成で供給電源経路の切り替えを行うことができるからである。
【0026】
なお図4では、ケーシング11内のコロナワイヤや端子の図示は省略指定あるが、図3に示した実施形態と同様であればよい。
【符号の説明】
【0027】
1:感光体
2:帯電CH
3:現像装置
4:転写・分離装置
5:クリーニング装置
6:光書き込み
7:供給電源
8:画像形成装置本体
9、9a、9b:画像形成装置本体側の端子
10:コロナワイヤ
11:ケーシング
11b:ケーシング側の端子
11a:ケーシングの仕切り
12、12a、12b:帯電CH内の端子
13:スイッチ機構
14:クリーニングパッドホルダ
15:プッシュスイッチ
16:ネジ軸
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2004−29504号公報
【特許文献2】特開平09−258528号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体表面をコロナ放電により均一に帯電させる帯電器を有する画像形成装置において、
前記帯電器のケーシング内に、複数のコロナワイヤと、該複数のコロナワイヤそれぞれに電気的に独立で接続する複数の端子を具備し、
画像形成装置本体内に、前記帯電器内の複数の端子にそれぞれ電気的に独立で接続する複数の端子を具備し、
前記画像形成装置本体内に、前記画像形成装置本体内の前記複数の端子への高圧供給電源の接続・遮断を行うスイッチ機構を具備し、
該スイッチ機構が定期的に動作することで前記複数のコロナワイヤの各々への高圧印加・休止を切り替える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置本体内に、前記複数のコロナワイヤのオートクリーニング機構を具備し、
該オートクリーニング機構と前記スイッチ機構を連動させ、前記オートクリーニング機構のオートクリーニング動作に連動して前記複数のコロナワイヤの各々への高圧印加・休止を切り替える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記オートクリーニング機構と連動し、前記スイッチ機構を動作させるプッシュスイッチを備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記プッシュスイッチが、プッシュロック機構により、一度押されたら、押された状態を保持し、次に押されたときに元に戻るものである
ことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−41049(P2013−41049A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177028(P2011−177028)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】