説明

画像形成装置

【課題】感光ドラムの下方に配置された現像器を有するドロワユニットを備えた画像形成装置において、現像器の交換作業を容易にすることを目的とする。
【解決手段】画像形成装置(カラープリンタ1)は、装置本体10と、所定の配列方向に配列された複数の感光ドラム51と、複数の感光ドラム51の下方に配置された複数の現像器52と、複数の感光ドラム51および複数の現像器52を有し、装置本体10に対して配列方向の一方側に引き出し可能に構成されたドロワユニット50を備える。装置本体10には、ドロワユニット50を、移動可能に支持するとともに、配列方向が側方を向く第1姿勢と、第1姿勢よりも立ち上がった第2姿勢とに回動可能に支持する支持部(レール機構80)が設けられる。そして、ドロワユニット50が第2姿勢に回動されると、現像器52が配列方向の一方側に露出して当該一方側から着脱可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の感光ドラムおよび複数の現像器を有するドロワユニットを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式の画像形成装置として、所定の配列方向に配列された複数の感光ドラムと、複数の感光ドラムの下方にそれぞれ配置された複数の現像器と、複数の感光ドラムおよび複数の現像器を有し、かつ、装置本体に対して配列方向に引出可能に構成されたドロワユニットとを備えたものが知られている(特許文献1参照)。この技術では、装置本体からドロワユニットが引き出された状態で、ドロワユニットから現像器が感光ドラムの軸方向(配列方向と直交する方向)に着脱可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−180956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した構造では、ユーザは、ドロワユニットを配列方向に引き出した後、その配列方向とは直交する方向に現像器を取り出さなければならず、現像器の交換作業が煩雑になるといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、感光ドラムの下方に配置された現像器を有するドロワユニットを備えた画像形成装置において、現像器の交換作業を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、装置本体と、所定の配列方向に配列された複数の感光ドラムと、前記複数の感光ドラムの下方にそれぞれ配置された複数の現像器と、前記複数の感光ドラムおよび前記複数の現像器が設けられたフレームを有し、前記装置本体に対して前記配列方向の一方側に引き出し可能に構成されたドロワユニットと、を備える。
前記装置本体には、前記ドロワユニットを前記装置本体内の装着位置と前記装置本体外の引出位置とに移動可能に支持するとともに、前記ドロワユニットを前記感光ドラムの回転軸に平行な軸線を中心にして、前記配列方向が側方を向く第1姿勢と、前記第1姿勢よりも立ち上がった第2姿勢とに回動可能に支持する支持部が設けられる。
そして、前記ドロワユニットが前記引出位置で前記第1姿勢から前記第2姿勢に回動されることで、前記現像器が前記配列方向の一方側に露出して当該一方側から着脱可能となっている。
【0007】
この構成によれば、ドロワユニットを第1姿勢から第2姿勢に回動させることで現像器が配列方向の一方側に露出するので、ドロワユニットを引き出した方向と同じ方向で現像器を着脱することができ、現像器の交換作業を容易にすることができる。
【0008】
また、前記した構成において、前記ドロワユニットには、前記現像器に接触して前記フレームから前記現像器が脱離するのを防止する規制部材が設けられ、前記規制部材が、前記現像器に接触する接触位置と、前記現像器から退避して前記現像器の脱離を許容する退避位置とに移動可能に構成されているのが望ましい。
【0009】
これによれば、例えば現像器をフレームに凹凸で嵌合させて装着する構造に比べ、規制部材が現像器から退避可能に構成されることで、フレームから小さな力で現像器を外すことができるので、現像器の取り外し時に第2姿勢のドロワユニットが倒れるのを抑えることができる。
【0010】
また、前記した構成において、前記規制部材は、前記フレームに前記配列方向に沿って直線的に移動可能に設けられているのが望ましい。
【0011】
これによれば、規制部材を配列方向に沿って直線的に移動可能に構成するので、現像器から規制部材に向けて配列方向と直交する方向に力が加わっても規制部材が移動することがない。そのため、例えば回動する鉤状のロック部材を規制部材とする構造に比べ、第2姿勢のドロワユニットが倒れたときに、現像器によって規制部材が押し退けられず、現像器がフレームから脱落するのを抑えることができる。
【0012】
また、前記した構成において、前記規制部材が、前記ドロワユニットが前記第1姿勢のときに前記接触位置に位置し、前記ドロワユニットが前記第2姿勢のときに前記退避位置に位置するように、前記規制部材を前記ドロワユニットの回動に連動して移動させるリンク機構を備えるのが望ましい。
【0013】
これによれば、ドロワユニットを第2姿勢に起こすと、規制部材による規制が自動的に解除されるので、現像器の交換作業をより容易にすることができる。また、第2姿勢のドロワユニットが倒れても、ドロワユニットの回動に連動して規制部材が自動的に接触位置に移動するので、現像器の脱落を確実に抑えることができる。
【0014】
また、前記した構成において、前記規制部材が当該規制部材を移動させるときにユーザによって把持される操作部を有する場合には、前記操作部が、前記ドロワユニットが前記第2姿勢にあるときに前記配列方向の一方側に露出する位置に配置されているのが望ましい。
【0015】
これによれば、規制部材の操作部が配列方向の一方側に露出するので、ユーザによる規制部材の操作を容易にすることができる。
【0016】
また、前記した構成において、前記ドロワユニットと前記支持部との間には、前記ドロワユニットの回動時の抵抗となるダンパが設けられているのが望ましい。
【0017】
これによれば、ドロワユニットを勢いよく回動させた場合であっても、ドロワユニットの回動の勢いがダンパで減衰されるので、支持部等にかかる衝撃を和らげることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、感光ドラムの下方に配置された現像器を有するドロワユニットを備えた画像形成装置において、現像器の交換作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るカラープリンタを示す説明図である。
【図2】ドロワユニットを引き出したときの第1レールおよび第2レールの状態を示す説明図である。
【図3】ドロワユニットを引き出したときのドロワユニットと第2レールの状態を示す説明図である。
【図4】ドロワユニットを第1姿勢から上方に回動し始めた状態を示す説明図である。
【図5】ドロワユニットを第2姿勢にしたときの状態を示す説明図である。
【図6】フレームから現像器を取り外した状態を示す説明図である。
【図7】スライド片と車輪と第2レールとの関係を示す斜視図である。
【図8】規制部材が接触位置に位置する状態を示す斜視図(a)と、規制部材が退避位置に位置する状態を示す斜視図(b)である。
【図9】規制部材の変形例を示す説明図であり、規制部材が接触位置に位置する状態を示す図(a)と、規制部材が退避位置に位置する状態を示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラープリンタについて、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、方向は、カラープリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、奥側を「左」、手前側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0021】
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体10内に、給紙ユニット30と、スキャナユニット40と、ドロワユニット50と、転写ユニット60と、定着装置70とを備えている。
【0022】
装置本体10の上部には、装置本体10から排出された用紙Sが載置される排紙トレイ11が設けられている。
【0023】
給紙ユニット30は、装置本体10内の下部に設けられ、用紙Sを収容する給紙トレイ31と、給紙トレイ31から用紙Sを転写位置(中間転写ベルト63と2次転写ローラ65との間)に搬送する給紙機構32とを備えている。給紙トレイ31内の用紙Sは、給紙機構32によって1枚ずつ分離されて転写位置に搬送される。
【0024】
スキャナユニット40は、給紙ユニット30の上方に配置され、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。そして、スキャナユニット40では、レーザビームが図の2点鎖線で示す経路を通って、感光ドラム51の表面上に高速走査にて照射される。
【0025】
ドロワユニット50は、中間転写ベルト63の下方(中間転写ベルト63とスキャナユニット40の間)に配置され、装置本体10に対して前後方向に移動可能に設けられ、装置本体10の前壁に形成される図示せぬ開口部から前側(配列方向の一方側)に引き出し可能となっている(図2および図3参照)。なお、ドロワユニット50の構造やドロワユニット50を支持する構造については、後で詳述する。
【0026】
ドロワユニット50には、前後方向(所定の配列方向)に配列された4つの感光ドラム51と、4つの図示せぬ公知の帯電器と、4つの現像器52とが設けられ、各現像器52には、現像ローラ53や、図示せぬ公知の供給ローラ、層厚規制ブレード、トナー収容室などが設けられている。現像器52は、現像ローラ53が上向きになった状態で、感光ドラム51の下方に配置されている。詳しくは、現像器52は、現像ローラ53の回転軸が感光ドラム51の回転軸よりも下方になる位置に設けられている。
【0027】
転写ユニット60は、ドロワユニット50の上方に設けられ、駆動ローラ61と、従動ローラ62と、駆動ローラ61および従動ローラ62の間に張設された無端状の中間転写ベルト63と、中間転写ベルト63を介して感光ドラム51と対向配置された4つの1次転写ローラ64と、中間転写ベルト63を介して駆動ローラ61と対向配置された2次転写ローラ65とを備えている。
【0028】
このようなドロワユニット50および転写ユニット60では、まず、感光ドラム51の表面が、帯電器により一様に帯電された後、スキャナユニット40によって露光されることで、感光ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容室内のトナーは、供給ローラを介して現像ローラ53の表面に担持される。
【0029】
現像ローラ53の表面に担持されたトナーは、現像ローラ53から感光ドラム51上の静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化されて感光ドラム51上にトナー像が形成(担持)される。各感光ドラム51上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト63上に順次重ね合わせて転写される。そして、給紙ユニット30から搬送された用紙Sが、中間転写ベルト63と2次転写ローラ65の間の転写位置を通過することで、中間転写ベルト63上のトナー像が用紙Sに転写される。
【0030】
定着装置70は、転写ユニット60の後側上方に設けられ、加熱ローラ71と、加熱ローラ71と対向配置されて加熱ローラ71を押圧する加圧ローラ72とを備えている。定着装置70では、トナー像が転写された用紙Sが、加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過することでトナー像が熱定着される。なお、トナー像が熱定着された用紙Sは、図示せぬ排出ローラによって装置本体10の外部に排出されて排紙トレイ11上に載置される。
【0031】
<ドロワユニット50とその周囲の構造>
次に、ドロワユニット50とその周囲の構造について詳細に説明する。
ドロワユニット50は、上下に開口する矩形の筒状に形成されるフレーム510を有し、フレーム510の左右の側壁511に対して、複数の感光ドラム51が回転可能に設けられるとともに、複数の現像器52が着脱可能に設けられている。そして、このドロワユニット50は、装置本体10に設けられる支持部の一例としてのレール機構80によって支持されることで、装置本体10内の装着位置(図1の位置)と装置本体10外の引出位置(図3の位置)とに移動可能となるとともに、図4および図5に示すように、引出位置において回動可能となっている。
【0032】
詳しくは、ドロワユニット50は、引出位置において、感光ドラム51の回転軸51Aに平行な軸線L1(後述するダンパ523の回転軸)を中心にして、感光ドラム51の配列方向が前後方向(側方)を向く第1姿勢(図3の姿勢)と、第1姿勢よりも立ち上がった第2姿勢(図5の姿勢)とに回動可能となるように、レール機構80によって支持されている。
【0033】
そして、このようにドロワユニット50が引出位置で第1姿勢から第2姿勢に回動されることで、各現像器52が前側(配列方向の一方側)に露出して前側からフレーム510に対して着脱可能となっている(図6参照)。これにより、ドロワユニット50を引き出した方向と同じ方向で現像器52を着脱することができるので、現像器52の交換作業を容易にすることが可能となっている。
【0034】
具体的に、レール機構80は、図2および図3に示すように、ドロワユニット50を左右方向で挟み込むように装置本体10の左右の側壁12に1つずつ設けられており、主に、装置本体10の側壁12に固定される第1レール81と、第1レール81によって前後方向に移動可能に支持される第2レール82とを備えている。第1レール81は、装置本体10の後側から前後方向略中央部まで前後方向に延びる部材であり、その左右方向内側の面には、第2レール82を前後方向にスライド可能に支持するためのスライド溝81Aが形成されている。
【0035】
第2レール82は、装置本体10の後側から前側まで前後方向に延びる部材であり、全体が装置本体10内に収容された収容位置(図1の位置)と、前側の一部が装置本体10外に突出した突出位置との間で移動可能となっている。詳しくは、第1レール81と第2レール82には、第2レール82を収容位置と突出位置で止めるための図示せぬ規制部がそれぞれ設けられている。
【0036】
第2レール82の左右方向内側の面には、ドロワユニット50に設けられるスライド片521および車輪522を前後方向に移動可能に支持する支持溝82Aが形成されている。ここで、スライド片521は、図7に示すように、ドロワユニット50の左右の側壁511の後側下部にダンパ523を介して1つずつ設けられ、車輪522は、左右の側壁511のうち各スライド片521から後方に離れた位置に1つずつ設けられている。ここで、図7では、便宜上、第2レール82を一部破断して図示している。
【0037】
スライド片521は、前後方向に長い矩形の部材であり、支持溝82Aの上下の幅と略同じ幅で形成されている。スライド片521は、公知のロータリダンパや揺動ダンパのような回転式のダンパ523を介して側壁511に回動可能に設けられている。
【0038】
これにより、ドロワユニット50が、ダンパ523の回転軸(軸線L1:図3参照)を中心にして回動可能となっている。また、ドロワユニット50と第2レール82の間に、ドロワユニット50の回転時の抵抗となるダンパ523が設けられることになるので、ドロワユニット50を勢いよく回動させた場合であっても、ドロワユニット50の回動の勢いがダンパ523で減衰され、第2レール82等にかかる衝撃を和らげることが可能となっている。
【0039】
支持溝82Aの前端部A1は、スライド片521に当接するようになっており、これにより、ドロワユニット50が引出位置で規制されるようになっている。なお、ドロワユニット50の装着位置への規制は、第2レール82とドロワユニット50に設けた図示せぬ規制部によって行われている。
【0040】
そして、支持溝82Aの下面A2には、引出位置において車輪522を下方に移動させるための貫通孔A3が形成されている。貫通孔A3は、支持溝82Aの前端部A1にスライド片521が当接した状態において、車輪522の下方に位置するように形成されており、下方に向かうにつれて徐々に前後方向に広がるように形成されている。
【0041】
これにより、ドロワユニット50を第1姿勢から第2姿勢に回動させることが可能になるとともに、第2姿勢から第1姿勢にドロワユニット50を戻すときに、車輪522が第2レール82の下面に引っ掛からずに支持溝82A内に戻り易くなっている。
【0042】
また、貫通孔A3は、スライド片521よりも前後方向に短く形成されるとともに、スライド片521に対して左右にずれた位置に形成されている。これにより、スライド片521が貫通孔A3から脱落することが防止されている。
【0043】
また、図3に示すように、ドロワユニット50のフレーム510の左右の側壁511には、各現像器52に下側から接触してフレーム510から各現像器52が脱離するのを防止する規制部材530が設けられている。規制部材530は、図8(a),(b)に示すように、前後方向に延びる長尺状の板であり、その左右方向内側の端縁には、各現像器52に設けられる係合凸部52Aが通過可能な大きさに形成される4つの切欠部531が、各係合凸部52Aと同じピッチで形成されている。
【0044】
ここで、各現像器52の左右の側壁には、図3に示すように、上下に離れた一対の係合凸部52Aが左右方向外側に突出するように設けられており、ドロワユニット50の左右の側壁511には、一対の係合凸部52Aを案内する一対のガイドリブ512が設けられている。そして、規制部材530は、感光ドラム51の配列方向に沿って直線的に移動可能となるようにフレーム510の側壁511に設けられており、その左右方向内側の端部と切欠部531とによって一対のガイドリブ512の下側の開口を開閉するように構成されている。
【0045】
言い換えると、規制部材530は、各現像器52に接触する接触位置(図8(a)の位置)と、各現像器52から退避して現像器52の脱離を許容する退避位置(図8(b)の位置)とに移動可能に構成されている。これにより、例えば現像器をフレームに凹凸で嵌合させて装着する構造に比べ、規制部材530が各現像器52から退避可能に構成されることで、フレーム510から小さな力で現像器52を外すことができるので、現像器52の取り外し時に第2姿勢のドロワユニット50が倒れるのを抑えることが可能となっている。
【0046】
また、規制部材530が、感光ドラム51の配列方向に沿って直線的に移動可能となることで、規制部材530に対して配列方向と直交する方向に力が加わっても規制部材530が移動しないようになっている。これにより、例えば回動する鉤状のロック部材を規制部材とする構造に比べ、第2姿勢のドロワユニット50が倒れたときに、各現像器52によって規制部材530が押し退けられず、各現像器52がフレーム510から脱落するのを抑えることが可能となっている。
【0047】
なお、規制部材530を側壁511に対して直線的に移動可能にする構造としては、例えば、側壁511に設けられたリブ等によって、規制部材530を配列方向に沿って直線的に移動可能に支持する構造などが挙げられる。
【0048】
また、規制部材530は、図8(a)に示すように、リンク機構540によってドロワユニット50の回動に連動して移動するように構成されている。リンク機構540は、左右の側壁511のそれぞれに回動可能に支持されるリンクアーム541を備えて構成されている。
【0049】
リンクアーム541は、長尺状の部材であり、その略中央部が側壁511に回動可能に支持されている。リンクアーム541の下端部には、規制部材530の後端部から左右方向外側に突出するように設けられる係合突起532に回動可能に係合する係合孔542が形成されている。
【0050】
また、リンクアーム541の上端部には、左右方向外側に突出する突起部543が設けられ、当該突起部543は、側壁511に形成される円弧状孔513を通ってフレーム510外に突出するようになっている。フレーム510外に突出する突起部543の先端部には、第2レール82の上面に当接する当接ブロック544(図3〜5参照)が設けられている。
【0051】
そして、リンクアーム541は、図示せぬトーションバネ等の付勢部材によって、図3の姿勢となるように(詳しくは、突起部543が円弧状孔513の後端部に当接するように)付勢されている。
【0052】
これにより、図3〜図5に示すように、ドロワユニット50を第1姿勢から第2姿勢に起こしていくと、ドロワユニット50とともに回動する当接ブロック544が、徐々に第2レール82の上面に近付いていき、ドロワユニット50が第2姿勢になる直前に第2レール82の上面に当接する。当接ブロック544が第2レール82に当接した後、さらにドロワユニット50を第2姿勢に向けて回動していくと、第2レール82によって移動が止められた当接ブロック544は、図示時計回りに回動するドロワユニット50のフレーム510に対して図示反時計回りに相対的に移動する。
【0053】
これにより、リンクアーム541が、図示反時計回りに回動して、その下端部で規制部材530を接触位置から退避位置に移動させる。また、これとは逆に、ドロワユニット50を第2姿勢から第1姿勢に寝かせていくときには、リンクアーム541が、図示せぬトーションバネによって図示時計回りに回動することで、その下端部で規制部材530を退避位置から接触位置に移動させる。
【0054】
つまり、規制部材530は、ドロワユニット50が第1姿勢のときに接触位置に位置し、ドロワユニット50が第2姿勢のときに退避位置に位置するように、ドロワユニット50の回動に連動して移動するようになっている。これにより、ドロワユニット50を第2姿勢に起こすと、規制部材530による規制が自動的に解除されるので、各現像器52の交換作業をより容易にすることが可能となっている。また、第2姿勢のドロワユニット50が倒れても、ドロワユニット50の回動に連動して規制部材530が自動的に接触位置に移動するので、各現像器52の脱落を確実に抑えることが可能となっている。
【0055】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0056】
前記実施形態では、リンク機構540によって規制部材530をドロワユニット50の回動に連動させて移動させたが、本発明はこれに限定されず、規制部材はユーザによって手動で動くように構成してもよい。具体的には、例えば図9(a),(b)に示すように、規制部材550に、ユーザによって把持される操作部551を設け、当該操作部551によって規制部材550を感光ドラム51の配列方向に動かせるように構成してもよい。
【0057】
なお、規制部材550は、前記実施形態の規制部材530と略同じ構造であり、前記実施形態と同様の切欠部531を備えるとともに、感光ドラム51の配列方向に移動可能に構成されている。
【0058】
このような操作部551を設ける場合には、図9(a),(b)に示すように、操作部551は、ドロワユニット50が第2姿勢にあるときに前側(配列方向の一方側)に露出する位置に配置されるのが望ましい。具体的に、図9(a),(b)では、操作部551は、ドロワユニット50が第2姿勢にあるときの規制部材550の下端部から前側に突出するように設けられている。
【0059】
これにより、ユーザがドロワユニット50を第2姿勢に起こすと、規制部材550の操作部551が前側(ユーザ側)に露出するので、ユーザがすばやく操作部551にアクセスすることができ、ユーザによる規制部材550の操作を容易にすることが可能となっている。
【0060】
なお、この構造では、前記実施形態における当接ブロック544は、ドロワユニット50の左右の側壁511の外面に固定されている。これにより、ドロワユニット50が第2姿勢で保持されるようになっている。
【0061】
また、この構造において、規制部材550を接触位置と退避位置に保持する方法としては、例えば規制部材550とドロワユニット50の側壁に設けた凹凸を嵌合させることで各位置に保持させる方法や、規制部材550と当該規制部材550を移動可能に支持する溝とをきつめに嵌め合わせることで規制部材550の動きを渋くして各位置に保持させる方法などが挙げられる。
【0062】
前記実施形態では、支持部として2つのレール81,82からなるレール機構80を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば3つ以上のレールからなるレール機構であってもよい。
【0063】
前記実施形態では、レール機構80によってドロワユニット50を装着位置と引出位置との間で移動可能に構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、レール機構を上下動させることによって、ドロワユニットを、各感光ドラムが中間転写ベルトに接触する装着位置と、各感光ドラムが中間転写ベルトから離れる離間位置と、装置本体外の引出位置との間で移動可能に構成してもよい。
【0064】
前記実施形態では、ドロワユニット50を垂直状態よりも後側(配列方向の他方側)に傾いた姿勢を第2姿勢としたが、本発明はこれに限定されず、第2姿勢は第1姿勢よりも立ち上がった姿勢であればよい。ただし、前記実施形態のように垂直状態よりも後側に傾いた姿勢を第2姿勢とする場合には、後側に傾いたドロワユニット50をレール機構80で支持するだけで第2姿勢に保持することができるので、第2姿勢に保持する構造を簡易な構造とすることができる。
【0065】
前記実施形態では、主に1本のリンクアーム541からなるリンク機構540を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば2本以上のリンクアームやギヤなどを用いてリンク機構を構成してもよい。
【0066】
前記実施形態では、回転式のダンパ523を用いてドロワユニット50の回動の勢いを減衰させたが、本発明はこれに限定されず、例えば軸方向に移動するピストンを有するダンパを用いて減衰させてもよい。
【0067】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【0068】
前記実施形態では、現像ローラ53やトナー収容室等を一体に備える現像器52を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、現像器は、現像ローラを有する現像装置と、当該現像装置に着脱可能で、かつ、トナー収容室を有するトナーカートリッジとで構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 カラープリンタ
10 装置本体
50 ドロワユニット
51 感光ドラム
51A 回転軸
52 現像器
80 レール機構
510 フレーム
L1 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
所定の配列方向に配列された複数の感光ドラムと、
前記複数の感光ドラムの下方にそれぞれ配置された複数の現像器と、
前記複数の感光ドラムおよび前記複数の現像器が設けられたフレームを有し、前記装置本体に対して前記配列方向の一方側に引き出し可能に構成されたドロワユニットと、を備えた画像形成装置であって、
前記装置本体には、前記ドロワユニットを前記装置本体内の装着位置と前記装置本体外の引出位置とに移動可能に支持するとともに、前記ドロワユニットを前記感光ドラムの回転軸に平行な軸線を中心にして、前記配列方向が側方を向く第1姿勢と、前記第1姿勢よりも立ち上がった第2姿勢とに回動可能に支持する支持部が設けられ、
前記ドロワユニットが前記引出位置で前記第1姿勢から前記第2姿勢に回動されることで、前記現像器が前記配列方向の一方側に露出して当該一方側から着脱可能となることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ドロワユニットには、
前記現像器に接触して前記フレームから前記現像器が脱離するのを防止する規制部材が設けられ、
前記規制部材は、前記現像器に接触する接触位置と、前記現像器から退避して前記現像器の脱離を許容する退避位置とに移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記フレームに前記配列方向に沿って直線的に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記規制部材が、前記ドロワユニットが前記第1姿勢のときに前記接触位置に位置し、前記ドロワユニットが前記第2姿勢のときに前記退避位置に位置するように、前記規制部材を前記ドロワユニットの回動に連動して移動させるリンク機構を備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記規制部材は、当該規制部材を移動させるときにユーザによって把持される操作部を有し、
前記操作部は、前記ドロワユニットが前記第2姿勢にあるときに、前記配列方向の一方側に露出する位置に配置されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ドロワユニットと前記支持部との間には、前記ドロワユニットの回動時の抵抗となるダンパが設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−50581(P2013−50581A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188491(P2011−188491)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】