説明

画像形成装置

【課題】用紙の剛性に起因する画像の転写不良を抑制する。
【解決手段】2次転写ニップ近傍におけるバックアップローラー42と支持ローラー43との間の中間転写ベルト41の張力である対象張力を可変とし、対象張力が用紙Pの剛性に勝るように制御することで、用紙Pの後端が中間転写ベルト41を跳ね上げることにより発生する用紙後端領域の転写不良を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トナー画像を用紙に形成する画像形成装置が知られており、この画像形成装置は、トナー画像を用紙に転写し、転写されたトナー画像を用紙に定着させるという一連のプロセスを実行する。画像形成装置では、用紙へトナー画像を転写させる転写部材として無端状の転写ベルトが用いられており、この転写ベルトは、所定の張力が付与された状態で複数のローラーに架け渡されている。
【0003】
例えば特許文献1には、中間転写ベルトを押し下げローラーにより下方に押し下げることで、各色トナー像が1次転写される中間転写ベルトと2次転写ベルトとの間でプレニップを形成し、転写ニップをベルト移動方向の上流側に拡張することができる画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、用紙が転写ニップへと進入する際には、転写ニップへと進入する際の用紙の曲率を減少させることを目的として、押し下げローラーによる押し下げ量を減少させる、すなわち、押し下げローラーを上方に移動させている。
【0004】
例えば特許文献2には、中間搬送ベルトの回転速度の変動を抑制することができる画像形成装置が開示されている。この画像形成装置において、各色トナー像が1次転写される中間転写ベルトは、主駆動ローラー、補助駆動ローラー、テンションローラーに架け渡されている。主駆動ローラーと、補助駆動ローラーと、中間搬送ベルトの外周面に接触はイットされる二次転写ローラーとをそれぞれ回転駆動する駆動部材は、これらのローラーの周速度がそれぞれ一致するように制御されている。
【0005】
例えば特許文献3には、中間転写ベルトの移動速度を独立して制御できる画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、画像形成位置での中間転写ベルトの速度を決定する第1駆動ローラーと、転写位置での中間転写ベルトの速度を決定する第2駆動ローラーとを有しており、さらに中間転写ベルトの移動経路を変更することができる。この変更に伴い中間転写ベルトが弛むようなシーンでは、第1駆動ローラーと第2駆動ローラーとを異なる速度で独立駆動することで、その弛みをなくように、すなわち、張力が一定な状態が継続するように制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−139603号公報
【特許文献1】特開2009−42451号公報
【特許文献1】特開2010−54855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば厚紙といった剛性の高い用紙を用いた場合に、用紙の剛性に起因してベルト部材の変形等を招き、用紙に対する転写不良を引き起こす可能性がある。このような問題に対して、特許文献1に開示された手法によれば、ベルト張力は一定のままであるか、むしろ弱まる方向に制御が実行されることとなるので、用紙の剛性に起因する転写不良は依然として発生し得る状況にある。また、特許文献2,3に開示された手法によれば、ベルト張力は一定のままに制御されるので、同様に、用紙の剛性に起因する転写不良は依然として発生し得る状況にある。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、用紙の剛性に起因する画像の転写不良を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、本発明は、第1の転写部と、第1の転写部に圧接した状態で配置されており、用紙に画像を転写するための転写ニップを形成する第2の転写部と、を有する画像形成装置を提供する。この場合、第1の転写部は、無端状の転写ベルトと、架け渡された転写ベルトを回転可能に支持するとともに、当該転写ベルトと介して第2の転写部と圧接する第1のローラー及び転写ベルトの回転方向において第1のローラーの上流位置に配置される第2のローラーを含む複数のローラーと、第1のローラーと第2のローラーとの間の転写ベルトの張力である対象張力を調整する張力調整部と、を有する。
【0010】
ここで、本発明において、第2の転写部は、転写ニップからの用紙の排出方向が、転写ニップに対する用紙の進入方向に対して所定の角度をなすように、第1の転写部に対して配置されており、張力調整部は、少なくとも用紙の後端が転写ニップを通過する期間に対応して、対象張力を増加させることが好ましい。
【0011】
また、本発明において、張力調整部は、少なくとも用紙の先端が転写ニップを通過する期間に対応して、対象張力を増加させることが好ましい。
【0012】
また、本発明において、張力調整部は、用紙の先端から後端までが転写ニップを通過する期間に対応して、対象張力を増加させることが好ましい。
【0013】
また、本発明において、張力調整部は、第1のローラー及び第2のローラーの少なくとも一方の周速度を設定する速度設定部と、対象張力を増加させる場合に、速度設定部を制御して、第1のローラーと第2のローラーとの間に相対的な周速度差を設定する制御部と、を有することが好ましい。
【0014】
また、本発明において、速度設定部は、第1のローラーを回転駆動する第1の回転駆動部と、第2のローラーを回転駆動する第2の回転駆動部と、を有し、制御部は、対象張力を増加させる場合、第1の回転駆動部及び第2の回転駆動部を制御して、転写ベルトの回転速度に応じて回転駆動される第2のローラーの周速度よりも、第1のローラーの周速度を増加させることが好ましい。
【0015】
また、本発明において、速度設定部は、第1のローラーを回転駆動する第1の回転駆動部と、第2のローラーを回転駆動する第2の回転駆動部と、を有し、制御部は、対象張力を増加させる場合、第1の回転駆動部及び第2の回転駆動部を制御して、転写ベルトの回転速度に応じて回転駆動される第1のローラーの周速度よりも、第2のローラーの周速度を減少させることが好ましい。
【0016】
また、本発明において、速度設定部は、第1のローラーを回転駆動する第1の回転駆動部と、転写ベルトの回転に応じて従動する第2のローラーの回転を減速させるブレーキ部と、を有し、制御部は、対象張力を増加させる場合に、ブレーキ機構を制御して、転写ベルトの回転速度に応じて回転駆動される第1のローラーの周速度よりも、第2のローラーの周速度を減少させることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、対象張力の調整が可能であるため、用紙の搬送に応じて対象張力を制御することができる。これにより、用紙の剛性に逆らうように対象張力を制御することで、対象張力が用紙の剛性に勝り、用紙に対する転写不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】画像形成装置の構成を模式的に示す説明図
【図2】転写ニップ近傍を中心する画像形成装置の要部を模式的に示す構成図
【図3】第1の実施形態にかかる画像形成装置における中間転写ベルトの回転制御を主体とする処理手順を示すフローチャート
【図4】対象張力の相違による中間転写ベルトの変形状況を示す説明図
【図5】第2の実施形態にかかる画像形成装置における中間転写ベルトの回転制御を主体とする処理手順を示すフローチャート
【図6】第3の実施形態にかかるブレーキ機構の説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態にかかる画像形成装置1の構成を模式的に示す説明図である。画像形成装置1は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置であり、複数の感光体ドラムを一本の中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することによりフルカラーの画像を形成する、いわゆる、タンデム型カラー画像形成装置である。
【0020】
この画像形成装置1は、原稿読取装置10、画像形成部30Y,30M,30C,30K、中間転写部40、2次転写部50、定着装置60、排紙反転部70、再給紙部80、給紙部90及び制御部100を主体に構成されている。
【0021】
原稿読取装置10は、原稿画像読取位置RPにおいて、自動原稿送り装置ADFにより搬送される原稿Dの画像を読み取る。具体的には、原稿画像読取位置RPにおいて原稿Dの画像がランプLにて照射される。照射による反射光は第1ミラーユニット11、第2ミラーユニット12、レンズユニット13によって導かれて撮像素子CCDの受光面に結像する。撮像素子CCDは入射した光を光電変換して所定の画像信号を出力する。出力された画像信号は、A/D変換が施されることにより画像データとして作成される。
【0022】
画像読取制御部14は、画像データに、シェーディング補正やディザ処理、圧縮等の処理を施し、この処理により得られる画像データを制御部100のRAMなどに格納する。なお、画像データは、原稿読取装置10から出力されるデータのみならず、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータや他の画像形成装置から受信したものであってもよい。
【0023】
画像形成部30Yは、露光部20Yと、感光体ドラム31Yと、この感光体ドラム31Yの周辺に配置される、主帯電部32Y、現像部33Y、1次転写ローラー34Y及びクリーニング部35Yとから構成されており、イエロー(Y)に対応する画像(トナー画像)を形成する。他の画像形成部30M,30C,30Kも画像形成部30Yと同様な構成であり、露光部20M,20C,20Kと、感光体ドラム31M、31C、31Kと、この感光体ドラム31M、31C、31Kの周辺に配置される、主帯電部32M,32C,32K、現像部33M,33C,33K、1次転写ローラー34M,34C,34K及びクリーニング部35M,35C,35Kとから構成されており、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する画像(トナー画像)を形成する。
【0024】
露光部20Y〜20Kは、図示しないレーザー光源、ポリゴンミラー、複数のレンズ等から構成され、レーザビームを生成する。各露光部20Y〜20Kは、画像データを基に制御部100から出力される出力情報に対応して、対応する感光体ドラム31Y〜31Kの表面をその軸方向(主走査方向)にレーザー光で繰り返し走査する。この走査露光により、各感光体ドラム31Y〜31Kには潜像がそれぞれ形成される。
【0025】
感光体ドラム31Y〜31Kは、主帯電部32Y〜32Kによりその表面が一様に帯電させられる。現像部33Y〜33Kは、トナーで現像することによって感光体ドラム31Y〜31K上の潜像を顕像化する。これにより、各感光体ドラム31Y〜31K上にはトナー画像が形成される。1次転写ローラー34Y〜34Kは、感光体ドラム31Y〜31K上に形成されたトナー画像を中間転写部40(具体的には中間転写ベルト41)の所定位置に逐次転写する。クリーニング部35Y〜35Kは、トナー画像の転写を終えた感光体ドラム31Y〜31Kの表面に残留するトナーを除去する。
【0026】
中間転写部40は、無端状の中間転写ベルト41と、複数のローラーとを主体に構成されている。中間転写ベルト41は、所定の張力が与えられた状態で複数のローラーに架け渡されており、これらのローラーにより回転可能に支持されている。この中間転写ベルト41には、4つの画像形成部30Y〜30Kがそれぞれ対面して配置されている。中間転写ベルト41は、各画像形成部30Y〜30Kからトナー画像が外周面に転写されると、自己の回転動作を通じて、2次転写部50との圧接部(転写ニップ)に相当する転写位置にトナー画像を搬送する。
【0027】
図2は、転写ニップ近傍を中心する画像形成装置1の要部を模式的に示す構成図である。中間転写ベルト41が架け渡される複数のローラーは、バックアップローラー42及び支持ローラー43を含んでいる。バックアップローラー42は、転写ニップを形成するローラーであり、中間転写ベルト41を介して2次転写部50と圧接されており、回転駆動部としての第1のベルト駆動モーター44により回転駆動される。また、支持ローラー43は、中間転写ベルト41の回転方向においてバックアップローラー42の上流位置に配置されており、回転駆動部としての第2のベルト駆動モーター45により回転駆動される。特に、支持ローラー43は、中間転写ベルト41が掛け渡される複数のローラーのうち他のローラーを介在させることなくバックアップローラー42の上流側に最初に位置している。
【0028】
2次転写部50は、無端状の2次転写ベルト51と、2次転写ローラー52を含む複数のローラーとで構成されており、中間転写部40と圧接した格好で配置されている。2次転写ベルト51は、複数のローラーに架け渡されており、これらのローラーにより回転可能に支持されている。2次転写ローラー52は、上述のバックアップローラー42と対向して配置されており、2次転写ベルト51を介して中間転写部40と圧接している。すなわち、2次転写ローラー52は、転写ニップ、すなわち、中間転写ベルト41と2次転写ベルト51との間の圧接部の形成に寄与している。
【0029】
再び図1を参照するに、トナー画像の転写に供される用紙Pは、給紙部90を構成するいずれかのトレイPG1,PG2,PG3から供給される。そして、用紙Pは複数の搬送ローラーを経た後、レジストローラによって所定のタイミングで送り出され、一対のガイド板G1,G2によってガイドされつつ転写位置へと搬送される(図2参照)。そして、中間転写部40(中間転写ベルト41)上に転写された各カラーよりなるトナー画像は、用紙Pが転写位置を搬送される過程において2次転写部50により用紙Pに転写される。
【0030】
なお、本実施形態では、中間転写部40と2次転写部50との圧接形態にともない、定着ニップへと進入した用紙Pは、転写ニップの通過の際に2次転写部50側へと屈曲した後に排出される。すなわち、転写ニップから排出される用紙Pの排出方向は、転写ニップに進入する用紙Pの進入方向に対して所定の角度をなす関係となっている(図2参照)。
【0031】
定着装置60は、トナー画像が定着された用紙Pを加圧加熱することによって、用紙Pにトナー画像を定着させる。定着装置60は、例えば、一対の定着部材である定着上ローラー61及び定着下ローラー62で構成されている。定着上ローラー61及び定着下ローラー62は互いに圧接した状態で配置されおり、定着上ローラー61と定着下ローラー62との圧接部として定着ニップ部が形成される。また、例えば定着上ローラー61の内部には、当該定着上ローラー61を加熱するヒーターが内蔵されている。このヒーターからの輻射熱により定着上ローラー61が加温され、この定着上ローラー61の有する熱が用紙Pへと伝達される。
【0032】
排紙反転部70は、定着装置60による定着処理を終えた用紙Pを搬送して排紙トレイ75へ排出する。用紙Pを表裏反転して排出する場合、排紙ガイド72は、一旦、用紙Pを下方に導く。排紙反転ローラー73は用紙Pの後端を挟持した後に当該用紙Pを反転搬送し、そして、排紙ガイド72が用紙Pを排紙ローラー74へ導くことで用紙Pが排紙トレイ75へ排出される。
【0033】
また、用紙Pの表面のみに画像形成を行う片面印刷に代えて、用紙Pの表面及び裏面のそれぞれに画像形成を行う両面印刷の場合、排紙ガイド72は、表面のトナー画像の定着処理を終えた用紙Pを下方にある再給紙部80に搬送する。再給紙部80の構成要素の一つである反転ローラー81は用紙Pの後端を挟持した後に逆送することによって用紙Pを反転させて、再給紙搬送路82に送り出す。これにより、再給紙搬送路82を介して、用紙Pが裏面への画像形成に供される。
【0034】
制御部100は、画像形成装置を統合的に制御する機能を担っており、CPU、ROMやRAMなどのメモリ、補助記憶装置としてのHDD(Hard Disk Drive)、通信I/F部などを備えるコンピューターであり、これらの要素はバスを介して相互に接続されている。この制御部100は、画像形成装置1の各部、具体的には、原稿読取装置10、画像形成部30Y,30M,30C,30K、中間転写部40、2次転写部50、定着装置60、排紙反転部70、再給紙部80及び給紙部90を制御することにより、用紙Pにトナー画像を形成する。
【0035】
また、本実施形態の特徴の一つとして、制御部100は、バックアップローラー42と支持ローラー43との間の中間転写ベルト41の張力である対象張力を調整する張力調整部としての機能を担っている。この場合、本実施形態では、制御部100は、少なくとも用紙Pの後端が転写ニップを通過する期間に対応して、対象張力を増加させることとしている。この対象張力の増加により、用紙Pにおける後端領域の転写不良、具体的には、トナー画像が転写されず欠けてしまうといった事態を抑制することとしている。
【0036】
具体的には、制御部100は、第1及び第2のベルト駆動モーター44,45を制御することにより、中間転写ベルト41の回転速度(周速度)を制御している。制御部100は、基本的に、中間転写ベルト41の回転速度が用紙Pの搬送速度と対応するように、第1及び第2のベルト駆動モーター44,45を制御している。この場合、制御部100は、バックアップローラー42と、この上流側に位置する支持ローラー43との周速度が互いに対応するにように、第1及び第2のベルト駆動モーター44,45を制御することとなる。
【0037】
一方、制御部100は、対象張力を増加させる場合、前述の第1及び第2のベルト駆動モーター44,45を制御して、バックアップローラー42と、支持ローラー43との間に相対的な周速度差を設定する。具体的には、制御部100は、中間転写ベルト41の回転速度に応じて回転駆動される支持ローラー43の周速度よりも、バックアップローラー42の周速度を増加させることとしている。このような制御形態において、第1及び第2のベルト駆動モーター44,45は、バックアップローラー42と支持ローラー43の一方又は双方の周速度を設定する速度設定部としての機能を担っている。
【0038】
このような制御を行うため、制御部100には、用紙検知センサー101からの検出信号が入力されている。用紙検知センサー101は、図1又は図2に示すように、用紙Pの搬送路において転写ニップから所定距離だけ離れた上流位置に配置されており、検出位置を搬送される用紙Pの有無を検出する。用紙検知センサー101としては、例えば発光素子と受光素子とを有する反射型の光学センサーを用いることができる。用紙検知センサー101は、通常オフ信号を出力しており、用紙Pがセンサーの検出位置を通過している間においてオン信号を出力する。この用紙検知センサー101の信号立ち上がり及び信号立ち下がりに応じて、用紙Pの先端及び後端の通過を判定することができる。
【0039】
図3は、本実施形態の画像形成装置1の制御手順を示すフローチャートであり、具体的には、中間転写ベルト41の回転制御を主体とする処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、ジョブの開始指令に応じて呼び出され、制御部100によって実行される。
【0040】
まず、ステップ10(S10)において、制御部100は、用紙Pの搬送を開始する。具体的には、制御部100は、複数のトレイPG1〜PG3のうちのユーザーの指定に対応したトレイPG1〜PG3から用紙Pを給紙する。給紙された用紙Pは、複数の搬送ローラーにより搬送され所定時間後に転写位置へと到達することとなる。また、制御部100は、用紙Pの搬送開始に対応して、中間転写ベルト41の回転を開始させる。
【0041】
ステップ11(S11)において、制御部100は、用紙検知センサー101から出力される検出信号に基づいて、用紙Pの先端を検出したか否かを判断する。用紙Pの先端を検出していない状況では、このステップ11において否定判定されるため、再度ステップ11の処理を行う。一方、用紙Pの先端が検出されると、ステップ11において肯定判定されるので、ステップ12(S12)に進む。
【0042】
ステップ12において、制御部100は、タイマーTのカウントを開始する。このタイマーTの値は、用紙Pの先端が用紙検知センサー101の検知位置を通過してからの経過時間を示す。
【0043】
ステップ13(S13)において、制御部100は、用紙Pの後端領域(用紙後端及びそれよりも用紙先端側へと所定長だけ遡った範囲を含む領域)が転写ニップに到達するか否かを判断する。この判断は、タイマーTが予め設定した第1の判定時間Tpaに到達したか否かを判断することによって実行される。第1の判定時間Tpaは、用紙Pの先端が用紙検知センサー101を通過してから、用紙Pの後端領域を画定するために予め設定された用紙上の規定位置が転写ニップへと到達するまでの基準時間を規定したものであり、用紙Pの搬送速度及び用紙サイズなどに応じて予め設定されている。ステップ13において肯定判定された場合、すなわち、用紙Pの後端領域が転写ニップに到達する場合には、ステップ14(S14)に進む。一方、ステップ13において否定判定された場合、すなわち、用紙Pの後端領域が転写ニップに到達していない場合には、ステップ13に戻る。
【0044】
ステップ14において、制御部100は、対象張力を増加させる張力増加処理を開始する。具体的には、制御部100は、中間転写ベルト41の回転速度に応じて回転駆動される支持ローラー43のローラーの周速度よりも、バックアップローラー42の周速度を増加させる。バックアップローラー42の周速度の増加量は、用紙Pにおける後端領域の転写不良を抑制するという観点から、実験やシミュレーションを通じて最適値が予め設定されている。例えばバックアップローラー42の周速度の増加量は、紙種(例えば斤量)によって定まる用紙Pの剛性に応じて相違するため、制御部100は、紙種とバックアップローラー42の周速度の増加量との対応関係を記載したマップを保持しており、紙種に応じてバックアップローラー42の周速度の増加量を決定するといった如くである。
【0045】
この張力増加処理により、バックアップローラー42の周速度が、支持ローラー43の周速度よりも増加するために、バックアップローラー42と支持ローラー43との間に相対的な周速度差が発生する。この周速度差の発生により、対象張力、すなわち、バックアップローラー42と支持ローラー43との間の中間転写ベルト41の張力が、両ローラー42,43が同期した周速度で回転駆動している場合と比較して、さらには、残余の領域の中間転写ベルト41の張力と比較して、増加することとなる。
【0046】
ステップ15(S15)において、制御部100は、用紙Pの後端が転写ニップを通過したか否かを判断する。この判断は、タイマーTが予め設定した第2の判定時間Tpeに到達したか否かを判断することによって実行される。第2の判定時間Tpeは、用紙Pの先端が用紙検知センサー101を通過してから、用紙Pの後端が転写ニップを通過するまでの基準時間を規定したものであり、用紙Pの搬送速度及び用紙サイズなどに応じて予め設定されている。ステップ15において肯定判定された場合、すなわち、用紙Pの後端が転写ニップを通過した場合には、ステップ16(S16)に進む。一方、ステップ15において否定判定された場合、すなわち、用紙Pの後端が転写ニップを通過していない場合には、ステップ15に戻る。
【0047】
ステップ16において、制御部100は、張力増加処理を終了する。具体的には、制御部100は、バックアップローラー42の周速度を減少させ、中間転写ベルト41の回転速度に応じた周速度に制御する。
【0048】
ステップ17(S17)において、制御部100は、タイマーTをリセットする。
【0049】
ステップ18(S18)において、制御部100は、転写ニップを通過した用紙Pが最終紙、すなわち、ジョブにおける最終の用紙Pであるか否かを判断する。このステップ18において肯定判定された場合、すなわち、最終紙である場合には、本ルーチンを抜ける。一方、ステップ18において否定判定された場合、すなわち、最終紙でない場合には、次に転写ニップに搬送される用紙Pを対象として前述した処理を実行すべくステップ11に戻る。
【0050】
このように本実施形態において、画像形成装置1は、バックアップローラー42と支持ローラー43との間の中間転写ベルト41の張力である対象張力を調整することができる。
【0051】
ここで、例えば、中間転写ベルト41の張力が一定に設定されている状況を考える。この場合、図4に示すように、剛性の高い用紙Pが転写ニップを通過する過程において、ガイド板G1,G2を通過した用紙Pの後端が中間転写ベルト41を跳ね上げて、用紙Pと中間転写ベルト41との間に空隙を生じさせる(41b参照)。この場合、転写ニップに接近するにつれて、空隙部における中間転写ベルトの電位が上昇し、放電が発生し、弱帯電トナー又は逆帯電トナーが出現する。このトナーの存在により、用紙後端領域の転写不良が発生することとなる。
【0052】
この点、本実施形態によれば、対象張力の調整により、用紙Pの搬送に応じて対象張力を制御することができる。これにより、用紙Pの剛性に逆らうように対象張力を制御することで、対象張力が用紙Pの剛性に勝り、用紙Pの後端が中間転写ベルト41を跳ね上げてしまうといった事態を抑制することができる(図4:41a参照)。これにより、用紙後端領域の転写不良を抑制することができる。
【0053】
また、中間転写ベルト14の全体的な張力を増加させて、これにより、用紙Pの後端よる中間転写ベルト41の跳ね上げを抑制することも考えられる。しかしながら、このような手法によれば、後述するように1次転写不良や、レジスト性能の低下を招き、また、中間転写ベルト41の劣化をはやめるという問題がある。すなわち、転写ニップの上流側における一部の領域を対象として張力を制御することで、実効性を有することとなる。これにより、1次転写不良やレジスト性能の低下を抑制しつつ、用紙後端領域の転写不良を抑制することができる。
【0054】
以下、中間転写ベルト41の張力と、バックアップローラー42及び支持ローラー43の間の周速度差と、用紙後端領域の転写不良との関係について具体例を挙げて説明する。表1に示す条件の画像形成装置にて、種々の斤量の用紙毎に、中間転写ベルトの張力(ベルト全体の張力)を種々の値に設定した上で、用紙Pに画像を転写した。この際の用紙後端領域の転写不良に関する実験結果を表2に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
表2から分かるように、表1に示す構成の画像形成装置では、350gsm紙までの斤量の用紙Pについて、用紙後端領域の転写不良を抑制するためには、中間転写ベルトの張力として48N以上が必要となる。ただし、中間転写ベルトの張力を大きく設定すると、中間転写ベルトに対する1次転写ローラーの押圧状態の良否やレジスト性能の良否にも影響を与えるため、これらの要因を考慮すると、42Nが中間転写ベルトの張力として適当な値となる。この場合、250gsm紙よりも大きな斤量の用紙Pに対して、張力増加処理を施すことが要求される。
【0058】
次に、バックアップローラー42と支持ローラー43との周速度差の程度に応じた用紙後端領域の転写不良に関する実験結果を表3に示す。なお、同表では、バックアップローラー42と支持ローラー43との周速度差を、支持ローラー43の周速度を基準としたバックアップローラー42の周速度の比(%)で示し、「周速度1」は、バックアップローラー42の周速度を示している。
【0059】
【表3】

【0060】
表2から分かるように、用紙後端領域の転写不良を抑制するためには、速度比として、280gsm紙で0.15%、314gsm紙で0.25%、350gsm紙で0.35%程度、バックアップローラー42の周速度を増加させる必要がある。250gsm紙から280gsm紙の場合には、バックアップローラー42の周速度を速度比として0.15%増加させることで、用紙後端領域の転写不良を抑制することができる。また、281gsm紙から314gsm紙の場合には、バックアップローラー42の周速度を速度比として0.25%増加させることで、用紙後端領域の転写不良を抑制することができる。さらに、315gsm紙から350gsm紙の場合には、バックアップローラー42の周速度を速度比として0.35%増加させることで、用紙後端領域の転写不良を抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、制御部100は、少なくとも用紙Pの後端が転写ニップを通過する期間に対応して、対象張力を増加させている。用紙後端領域の転写不良は、用紙Pの後端領域が転写ニップを通過する際に生じ得る。そこで、このようなタイミングに限定して張力の増加を実現することにより、中間転写ベルト41の劣化を促進する要因を減少させることができる。
【0062】
なお、前述した処理フローでは、全ての用紙Pに対して張力増加処理を実施しているが、このように周速度差を与える条件は、用紙Pの剛性と、中間転写ベルト41に付与する初期的に張力とに応じて相違する。そのため、用紙Pに画像を形成する際(ジョブの実行時)、用紙Pの剛性と、中間転写ベルト41に付与する初期的な張力とに基づいて、当該用紙Pが張力増加処理を実行する用紙であるか否かを判断してもよい。例えば、剛性の低い用紙Pでは、中間転写ベルト41に余計な張力を付与することを回避することを優先して、張力増加処理を行わず通常の張力のままとし、剛性の高い用紙Pでは、転写不良を抑制することを優先して、張力増加処理を行うといった如くである。この場合、給紙部90のトレイPG1〜PG3に用紙Pを収容する際に、図示しない操作部を通じて、当該用紙Pの剛性に関する情報を制御部100のRAMなどに記憶させることが好ましい。これにより、制御部100は、予め設定された基準値と、用紙Pを搬送するトレイPG1〜PG3に対応付けられた用紙Pの剛性とを比較すること、張力増加処理の実行の有無を判断することができる。なお、用紙Pの剛性を直接的に設定する以外にも、斤量や用紙サイズといった情報を、前述の剛性に関する間接的な情報として利用してもよい。
【0063】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態にかかる画像形成装置1について説明する。第2の実施形態にかかる画像形成装置1が、第1の実施形態のそれと相違する点は、張力増加処理を実行するタイミングである。なお、本実施形態では、説明の便宜上、画像形成装置の構成として、転写ニップからの用紙Pの排出方向と、転写ニップに対する用紙Pの進入方向とが角度をなさず、一直線上に並ぶような関係にあることとする。このような相違点以外、画像形成装置1の構成は第1の実施形態と同様であり、重複する構成については説明を省略することとし、以下、相違点を中心に説明を行うこととする。
【0064】
本実施形態において、制御部100は、少なくとも用紙Pの先端が転写ニップを通過する期間に対応して、対象張力を増加させている。例えば厚紙などのように用紙Pの剛性が高い場合には、転写ニップへの用紙Pの先端の突入に伴って中間転写ベルト41が位置的にずれたり形状的に変化したりし、これにより、用紙Pにおける先端領域の転写不良を引き起こす場合がある。本実施形態では、対象張力を増加させることにより、用紙Pの先端の突入に伴う位置的なずれや形状的な変化を抑制し、これにより、用紙Pにおける先端領域の転写不良を抑制することとしている。
【0065】
図5は、本実施形態にかかる画像形成装置1における中間転写ベルト41の回転制御を主体とする処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、ジョブの開始指令に応じて呼び出され、制御部100によって実行される。このフローチャートに示すステップ20(S20)からステップ28(S28)までの各処理は、第1の実施形態に示すステップ10からステップ18までの各処理と概ね同じであるが、ステップ23(S23)及びステップ25(S25)の処理が相違している。
【0066】
具体的には、ステップ23において、制御部100は、用紙Pの先端が転写ニップに到達するか否かを判断する。この判断は、タイマーTが予め設定した第3の判定時間Tfeに到達したか否かを判断することによって実行される。第3の判定時間Tfeは、用紙Pの先端が用紙検知センサー101を通過してから、用紙Pの先端が転写ニップに到達するまでの基準時間を規定したものであり、用紙Pの搬送速度に応じて予め設定されている。ステップ23において肯定判定された場合、すなわち、用紙Pの先端が転写ニップに到達する場合には、ステップ24(S24)に進む。一方、ステップ23において否定判定された場合、すなわち、用紙Pの後端が転写ニップを通過していない場合には、ステップ23に戻る。
【0067】
また、ステップ25において、制御部100は、用紙Pの先端領域(用紙先端及びそれよりも用紙後端側へと所定長だけ拡張した範囲を含む領域)が転写ニップを通過したか否かを判断する。この判断は、タイマーTが予め設定した第4の判定時間Tfaに到達したか否かを判断することによって実行される。第4の判定時間Tfaは、用紙Pの先端が用紙検知センサー101を通過してから、用紙Pの先端領域を画定するために予め設定された用紙上の規定位置が転写ニップへと到達するまでの基準位置を規定したものであり、用紙Pの搬送速度に応じて予め設定されている。ステップ25において肯定判定された場合、すなわち、用紙Pの先端領域が転写ニップに到達する場合には、ステップ26(S26)に進む。一方、ステップ25において否定判定された場合、すなわち、用紙Pの後端領域が転写ニップに到達していない場合には、ステップ25に戻る。
【0068】
このように本実施形態によれば、対象張力の調整により、用紙Pの搬送に応じて対象張力を制御することができる。これにより、用紙Pの剛性に逆らうように対象張力を制御することで、対象張力が用紙Pの剛性に勝り、中間転写ベルト41が位置的にずれたり形状的に変化したりしてしまうといった事態を抑制することができる。これにより、用紙Pの先端領域における転写不良を抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、制御部100は、少なくとも用紙Pの先端が転写ニップを通過する期間に対応して、対象張力を増加させている。用紙Pの剛性に起因する中間転写ベルト41が位置的なずれや形状的な変化は、転写ニップへの用紙Pの先端の突入に伴って生じるため、特に、用紙Pの先端領域が転写ニップを通過する際に生じ易い傾向にある。そこで、このようなタイミングに限定して張力の増加を実現することにより、中間転写ベルト41の劣化を促進する要因を減少させることができる。
【0070】
なお、第1の実施形態に示すように、画像形成装置1が、転写ニップからの用紙Pの排出方向が、転写ニップに対する用紙Pの進入方向に対して所定の角度をなすような場合であっても、用紙Pにおける先端領域の転写不良は生じ得る。そこで、このような場合には、本実施形態に示す手法と、第1の実施形態に示す手法との双方を重畳的に適用して、用紙Pの先端領域と後端領域とに対応して張力増加処理を実行してもよい。また、種々の要件を考慮して転写不良を抑制するのであれば、用紙Pの先端から後端までが転写ニップを通過する期間に対応して、対象張力を増加させるようにしてもよい。
【0071】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態にかかる画像形成装置1について説明する。第3の実施形態のそれが、第1又は第2の実施形態のそれと相違する点は、バックアップローラー42と支持ローラー43との間に相対的な周速度差を設定する手法である。なお、第1又は第2の実施形態と重複する構成については説明は省略することとし、以下、相違点を中心に説明を行うこととする。
【0072】
第1の手法として、制御部100は、第2のベルト駆動モーター45を制御して支持ローラー43の周速度を減少させてもよい。すなわち、制御部100は、対象張力を増加させる場合、第1及び第2のベルト駆動モーター44,45を制御して、中間転写ベルト41の回転速度に応じて回転駆動されるバックアップローラー42の周速度よりも、支持ローラー43の周速度を減少させてもよい。かかる手法であっても、第1の実施形態と同様に、相対的な周速度差(周速度比)を設定することにより、同様の効果を得ることができる。
【0073】
また、第2の手法は、支持ローラー43が、これを回転駆動するベルト駆動モーターを備えず、従動ローラーとして機能する構成に適用可能な手法である。この場合には、図6に示すように、支持ローラー43の回転を減速させるブレーキ機構46を備えた上で、制御部100は、対象張力を増加させる場合に、ブレーキ機構46を制御して、中間転写ベルト41の回転速度に応じて回転駆動されるバックアップローラー42の周速度よりも、支持ローラー43の周速度を減少させてもよい。このような制御形態において、第1のベルト駆動モーター44及びブレーキ機構46は、バックアップローラー42と支持ローラー43の一方又は双方の周速度を設定する速度設定部としての機能を担っている。
【0074】
ブレーキ機構46は、例えば、ウレタンゴム等の弾性体から構成される押圧部材47と、押圧部材47を昇降させるカム48と、カム48を回転駆動するカム駆動モーター49とで構成されている。押圧部材47には、バネなどの付勢手段が設けられており、押圧部材47は支持ローラー43の外周面を押圧するように構成されている。この押圧部材47は、カム駆動モーター49を制御してカム48の回転角を設定することにより、上下方向に昇降することで、支持ローラー43に対する押圧力を調整することができる。すなわち、支持ローラー43に対する押圧力は、支持ローラー43の周速度を減少させるブレーキ力として機能するため、ブレーキ力と周速度を減少量との関係に基づいて、支持ローラー43の周速度を所定量だけ減少させることができる。
【0075】
このように本実施形態によれば、従動ローラーである支持ローラー43をブレーキ機構46により減速させることにで、対象張力の調整を行っている。かかる手法であっても、対象張力を有効に制御することができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態にかかる画像形成装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0077】
1 画像形成装置
10 原稿読取装置
30Y〜30K 画像形成部
40 中間転写部
41 中間転写ベルト
42 バックアップローラー
43 支持ローラー
44 第1のベルト駆動モーター
45 第2のベルト駆動モーター
46 ブレーキ機構
47 押圧部材
48 カム
49 カム駆動モーター
50 2次転写部
51 2次転写ベルト
52 2次転写ローラー
60 定着装置
70 排紙反転部
80 再給紙部
90 給紙部
100 制御部
101 用紙検知センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の転写部と、
前記第1の転写部に圧接した状態で配置されており、用紙に画像を転写するための転写ニップを形成する第2の転写部と、を有し、
前記第1の転写部は、
無端状の転写ベルトと、
架け渡された前記転写ベルトを回転可能に支持するとともに、当該転写ベルトを介して前記第2の転写部と圧接する第1のローラー及び前記転写ベルトの回転方向において前記第1のローラーの上流位置に配置される第2のローラーを含む複数のローラーと、
前記第1のローラーと前記第2のローラーとの間の前記転写ベルトの張力である対象張力を調整する張力調整部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の転写部は、前記転写ニップからの用紙の排出方向が、当該転写ニップに対する用紙の進入方向に対して所定の角度をなすように、前記第1の転写部に対して配置されており、
前記張力調整部は、少なくとも用紙の後端が前記転写ニップを通過する期間に対応して、前記対象張力を増加させることを特徴とする請求項1に記載された画像形成装置。
【請求項3】
前記張力調整部は、少なくとも用紙の先端が前記転写ニップを通過する期間に対応して、前記対象張力を増加させることを特徴とする請求項1に記載された画像形成装置。
【請求項4】
前記張力調整部は、用紙の先端から後端までが前記転写ニップを通過する期間に対応して、前記対象張力を増加させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された画像形成装置。
【請求項5】
前記張力調整部は、
前記第1のローラー及び前記第2のローラーの少なくとも一方の周速度を設定する速度設定部と、
前記対象張力を増加させる場合に、前記速度設定部を制御して、前記第1のローラーと前記第2のローラーとの間に相対的な周速度差を設定する制御部と、
を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載された画像形成装置。
【請求項6】
前記速度設定部は、
前記第1のローラーを回転駆動する第1の回転駆動部と、
前記第2のローラーを回転駆動する第2の回転駆動部と、を有し、
前記制御部は、前記対象張力を増加させる場合、前記第1の回転駆動部及び前記第2の回転駆動部を制御して、前記転写ベルトの回転速度に応じて回転駆動される前記第2のローラーの周速度よりも、前記第1のローラーの周速度を増加させることを特徴とする請求項5に記載された画像形成装置。
【請求項7】
前記速度設定部は、
前記第1のローラーを回転駆動する第1の回転駆動部と、
前記第2のローラーを回転駆動する第2の回転駆動部と、を有し、
前記制御部は、前記対象張力を増加させる場合、前記第1の回転駆動部及び前記第2の回転駆動部を制御して、前記転写ベルトの回転速度に応じて回転駆動される前記第1のローラーの周速度よりも、前記第2のローラーの周速度を減少させることを特徴とする請求項5に記載された画像形成装置。
【請求項8】
前記速度設定部は、
前記第1のローラーを回転駆動する第1の回転駆動部と、
前記転写ベルトの回転に応じて従動する前記第2のローラーの回転を減速させるブレーキ機構と、を有し、
前記制御部は、前記対象張力を増加させる場合に、前記ブレーキ機構を制御して、前記転写ベルトの回転速度に応じて回転駆動される前記第1のローラーの周速度よりも、前記第2のローラーの周速度を減少させることを特徴とする請求項5に記載された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−54157(P2013−54157A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191390(P2011−191390)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】