説明

画像形成装置

【課題】排紙空間が作像部の上方に設けられている画像形成装置で、排紙空間と作像部を断熱する。
【解決手段】画像形成装置1は、排紙空間である排紙部5を装置本体10内の画像形成部3の上方に備え、これらの間に、全周を壁面で囲んで空気層7を形成し、ファンを備えた連結ダクトを接続し、空気層7によって装置本体10外との通気を可能とする。空気層7を形成するとともに排出される用紙Pを積載する排紙カバー51が、排紙部5内へ突出する凸部54、54を備え、凸部54の内側面が、空気層7を囲む壁面の一部を構成する。また凸部54間に、排紙部5内や装置外部へ通じる吸気用の開口を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等の画像形成装置に関し、詳しくは、これら画像形成装置の放熱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像形成装置では、上方に読取部が、下方に作像部が設けられ、読取部と作像部との間に用紙等の記録媒体が排出される排紙空間が区画形成してある。このような排紙空間に排出される記録媒体は、画像定着時に熱が与えられており、排紙空間に排出され、複数枚が積載されると、それらの熱を放出しにくくなる。また排紙空間の直下にはトナー補給部が設けられるのが一般的である。しかし、トナーは熱で固化するため、積載された記録媒体による熱を受けて固化し、トナーが作像ユニットに供給されない、供給されにくくなる等の問題が発生するおそれがある。
【0003】
そこで、排紙空間と画像形成装置本体内部とを区画するカバー部材に排気孔を設ける技術が提案されている。例えば、特許文献1には、画像形成装置本体内に熱がこもりにくくする目的で、排紙空間と画像形成装置本体内部とを区画するカバー部材に排気孔を設ける構成が開示されている。ただし、排紙部に排出、積載された用紙等の記録媒体によって排紙空間が温められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すなわち従来のカバー部材に排気孔を設ける技術では、主に自然対流により、画像形成装置本体内部で過熱された空気を排紙空間へ排気、排熱するのにすぎなかった。具体的に説明すると、画像形成装置本体内部で温められた空気が移動しても作像部の最上方、すなわち排紙空間の直下近辺ではすでに温められた空気が通過するのみで、冷却効果は低くなるばかりか、積載された記録媒体によって排紙空間が温められている場合には自然対流は発生しにくくなるため、排熱効果は低くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、排紙空間が作像部の上方に設けられている画像形成装置で、排紙空間と作像部を断熱することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、
排紙空間が画像形成装置本体内の作像部の上方に備え、
前記排紙空間と前記作像部との間に、全周を壁面で囲んで空気層を形成し、
該空気層に、ファンを備えたダクトを接続し、
前記空気層によって前記画像形成装置本体外との通気を可能とした画像形成装置において、
前記排紙空間を形成するとともに排出される記録媒体を載置する排紙カバーが、前記排紙空間内に突出する凸部を備え、
該凸部の内側面の少なくとも一部が、前記空気層を囲む壁面の一部を構成するとともに、
前記凸部に、前記排紙空間あるいは前記画像形成装置本体外へ通じる開口を有する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、排紙空間と画像形成装置本体内の作像部との間に、壁で囲んで構成した空気層を配して断熱を行うので、排紙空間と作像部を断熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す斜視図
【図2】図1の画像形成装置の内部構造を概念的に示す断面図
【図3】図1、図2に示す画像形成装置の画像形成装置本体(装置本体)について説明するための断面図
【図4】空気層及びダクトの構成に関連する部品、部材を図1、図2の背面側から見て示す斜視図
【図5】排紙カバーを取り去って底部カバーを図1と同じく正面側から見て示す拡大斜視図
【図6】装置本体と、その背面の排気口を図1、図2の背面側から見て示す斜視図
【図7】本発明の他の実施形態を、図4と同じく、空気層及びダクトの構成に関連する部品、部材を図1、図2の背面側から見て示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の後述する実施形態は、排紙空間が作像部の上方に設けられている画像形成装置において、排紙空間と画像形成装置本体内の作像部との間に全周を壁で囲まれた空気層を設けて両者を区画して断熱を行うものである。
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す斜視図、図2は、図1の画像形成装置の内部構造を概念的に示す断面図、図3は、図1、図2に示す画像形成装置の画像形成装置本体(以下、装置本体という)について説明するための断面図である。
【0011】
本実施形態の胴内排紙タイプのカラー複写機1は、画像形成装置全体の筐体である天面が開口した概略箱状の装置本体10と、その装置本体10の上部に配置した、原稿の画像を読み取る画像読取部2と、この画像読取部2の下方に配置した、画像読取部2で読み取るか又は外部機器が送信してくる画像情報をもとに画像を形成する作像部である画像形成部3と、装置本体10の最下部に配置され、用紙搬送路に用紙(コピー用紙やOHP用の樹脂シート、厚紙、葉書などを含むシート状の部材を指す:以下同じ)等の記録媒体P(以下、用紙Pと記載する。)を供給する給紙部4と、画像形成部3の上方に設けてあって用紙Pを排出する排紙部5と、給紙部4と排紙部5の間に設けた用紙搬送路6などから主に構成してある。
【0012】
画像読取部2は、装置本体10の天面部分に取り付けてあり原稿が載置される原稿台としてのコンタクトガラス20と、このコンタクトガラス20の直下に配置してあって移動しながら原稿に光を当てる光源21と、原稿からの反射光を結像する結像レンズ22と、その結像位置に配置してあり原稿画像を読み取る読取手段としてのCCD等のイメージセンサ23と、原稿からの反射光を反射しながら結像レンズ22に導く複数のミラーなどから構成してある。また、この画像読取部2の上部には、コンタクトガラス20に載置した原稿を押さえる圧板24が設けてある。なお、圧板24に代えて、コンタクトガラス20に原稿を自動給紙する自動原稿給紙装置(ADF)を設置する構造もあるが、周知であるので、図示及び説明を省略する。
【0013】
画像形成部3は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの計4色のトナーに対応する4つのプロセスカートリッジ3Y、3M、3C、3Kと、これら4つのプロセスカートリッジ3Y、3M、3C、3Kの下方に設けてあり、前記各感光体ドラムに潜像を書き込む書込ユニット30と、前記各プロセスカートリッジに対応する色の新規トナーを収容する4つのトナーボトル31Y、31M、31C、31Kと、各プロセスカートリッジで形成した画像をいったん転写した後、用紙Pに転写する転写ユニット32と、用紙Pに画像を定着する定着ユニット33などから構成してある。
【0014】
プロセスカートリッジ3Y、3M、3C、3Kは、後述の中間転写ベルト32aの下面に沿って、図中の矢印で示す外周表面の移動方向上流側からイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に配してある。各プロセスカートリッジ3Y、3M、3C、3Kは、図2の紙面上で時計回りに回転駆動する潜像担持体である感光体ドラムY、M、C、Kを中心として、各感光体ドラムY、M、C、Kの外周面に帯電処理を施して一様に帯電させる帯電手段、各感光体ドラムY、M、C、K上に後述の書込ユニット30で形成された静電潜像を対応する各色のトナーで単色のトナー像に可視像化する現像手段30Y、30M、30C、30K、感光体ドラムY、M、C、Kの外周面に転写後も残留する転写残トナーをクリーニングして回収するクリーニング手段などから一体成型されて装置本体10に対して脱着可能に構成した作像装置である。
【0015】
書込ユニット30は、ポリゴンミラーやfθレンズなどを備え、画像読取部2やパソコン、外部スキャナなどから入力した画像情報をもとに、レーザ発光装置からレーザ光を照射しながら走査し、一様に帯電した感光体ドラムY、M、C、Kの外周表面を選択的に露光させ、照射した部分の表面電位を低下させ、感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光装置である。
【0016】
トナーボトル31Y、31M、31C、31Kは、それぞれ前記4色の新規トナーが個別に充填してあり、図示しない搬送経路を通じて各プロセスカートリッジ3Y、3M、3C、3Kの現像手段30Y、30M、30C、30Kへ各色のトナーを補給する仕組みとなっている。
【0017】
転写ユニット32は、中間転写体として弾性樹脂の多層構造体からなる無端状ベルトである中間転写ベルト32aと、この中間転写ベルト32aを支持、張架する4つの支持ローラ32b、32c、32d、32eと、感光体ドラムY、M、C、Kとそれぞれ中間転写ベルト32aを挟んで対向する4つの1次転写ローラ32f、支持ローラ32bに対向配置した2次転写ローラ32gなどから主に構成した中間転写方式の転写装置である。
【0018】
支持ローラ32bは、図示しない駆動手段に接続した駆動ローラとなっており、図の矢印方向に中間転写ベルト32aを回転駆動させる機能を有している。なお、この駆動ローラとなる支持ローラ32b(以下、駆動ローラ32bと記載する)と中間転写ベルト32aを挟んで対向する位置には2次転写ローラ32gが配してあり、支持ローラ32cの近傍には、中間転写ベルト32aの外周表面に付着する残留トナーを掻き取ってクリーニングするクリーニング装置32hが設けてある。
【0019】
各1次転写ローラ32fは、接触印加方式の転写バイアス(転写電圧)印加手段であり、図示しないバイアス電源に接続され、1次転写バイアスを中間転写ベルト32aの裏面(内周面)から印加可能に構成されている。各1次転写ローラ32fの位置は、空隙放電による画像劣化を考慮してある。すなわち、各感光体ドラムY、M、C、Kと中間転写ベルト32aを挟んで中心間距離が最短距離で当接する正対位置から、中間転写ベルト32aの表面移動方向で下流側に少しずらした位置に配置してある。
【0020】
2次転写ローラ32gは、図示しない付勢手段により付勢されて駆動ローラ32bの外周において中間転写ベルト32aに圧接し、駆動ローラ32bとの間に2次転写ニップを形成するよう構成してある。また、駆動ローラ32bは、図示しないバイアス電源に接続した接触方式の転写バイアス印加手段となっている。なお、2次転写ローラ32gを転写バイアス印加手段としてもよく、その場合、転写するトナー像とは逆極性の転写バイアスを印加することになる。
【0021】
定着ユニット33は、定着ローラ33aと加熱ローラ33bに張架した無端状ベルトである定着ベルト33cと、この定着ベルト33cに圧接する加圧部材としての加圧ローラ33dとの間に定着ニップを形成する。この定着ニップにおいて後述の用紙搬送路6を通って搬送されてきた用紙Pに熱と圧力を加え、前述の転写ユニット32の2次転写ニップで転写されたトナー像を用紙Pに溶融付着させて定着させる。
【0022】
給紙部4は、例えば、種々大きさの違う用紙Pを収容可能な給紙カセット40、41を備える。給紙カセット40、41は装置本体10から引き出し可能な構成としてあり、収容してある用紙Pに上方から圧接する給紙ローラ42、43などを備えている。そして、制御手段(図示せず)の制御信号に基づいて、給紙カセット40、41にそれぞれ収容している用紙Pを、給紙ローラ42、43で後述の用紙搬送路6に送り出す。
【0023】
また、給紙部4には、搬送可能な所定の大きさの範囲内の任意の用紙を載置する手差トレイ44と、この任意の用紙を送り出す給紙ローラ45とが設けてある。手差トレイ44に載置した用紙を、給紙ローラ45を回転駆動させることにより後述の用紙搬送路6に送り出せる。
【0024】
排紙部5は、前述のトナーボトル31Y、31M、31C、31Kと画像読取部2との間に形成した斜面部分や、それに続く平坦部分からなる排紙トレイ50を備える。そして、排紙ローラ対63によって排紙口から排紙した用紙Pを排紙トレイ50上に集積する。すなわち、図示の例は、いわゆる胴内排紙タイプの排紙部であるが、本発明はこのタイプの排紙部を有する画像形成装置には限定されない。この排紙部には、前述の画像形成部3(作像部)で発生する熱を放熱するため、後述する手段が設けてある。
【0025】
用紙搬送路6は、主に、装置本体10の下部に設けた給紙部4から装置本体10の上部に設けられた排紙部5へ下から上に向けて搬送する縦搬送方式(縦パス方式)の通常搬送路60と、両面印刷のために用紙Pを反転させる反転搬送路61とから構成してある。これら通常搬送路60、反転搬送路61には、最小用紙サイズに応じた間隔で複数の搬送ローラ対が設けてあり、これらの搬送ローラ対が用紙Pを挟みながら回転することで用紙Pを搬送する。
【0026】
通常搬送路60には、搬送ローラ対の他に2次転写ニップの下方にレジストローラ対62が、用紙搬送方向の末端付近に排紙ローラ対63が設けてある。そして、レジストローラ対62により、図示しない制御手段の指令に基づいて、転写ユニット32の2次転写ニップへ用紙Pを搬送するタイミングを調整したうえ、2次転写ニップで用紙Pに画像を転写させる。その後、用紙Pは、定着ユニット33を通過して画像を定着され、排紙ローラ対63により排紙口64から排紙トレイ50上へ排紙される。
【0027】
なお、前述の通常搬送路60、反転搬送路61の切り替えは切替爪65で行う。例えば、切替爪65で案内された用紙Pが通常搬送路60から離脱し、反転搬送ローラ対66で反転搬送路61の上部搬送路67へ運び、反転搬送ローラ対66が反転することによりスイッチバック式に用紙Pの先後端を反転させ、レジストローラ対62の手前の通常搬送路60へ搬送する間に、用紙Pの表裏が反転する。
【0028】
次に、図示のカラー複写機1の画像形成動作について説明する。
コピーを取るときは、まず圧板24を開いて画像読取部2のコンタクトガラス20上に原稿をセットする。圧板24に代えてADFを設けてあるときは、ADFの原稿台上に原稿がセットする。続いて、図示しない操作パネルに設けてあるスタートスイッチを押すなどの操作をすると、画像読取部2が駆動され、走行する光源21から発せられた光が原稿面に当って反射し、その反射光を複数のミラーで反射して結像レンズ22を通してイメージセンサ23に結像させ、イメージセンサ23で電子信号に変換し、原稿の画像(原稿の内容)を読み取る。なお、ADFを取り付けた場合は、ADFの載置台から原稿をコンタクトガラス20上へ自動搬送した後、前記動作が実行される。そして、操作パネルで選択されたモード設定等に応じて、フルカラーモード、又は白黒モードで画像形成動作を実行する。
【0029】
フルカラーモードでカラー画像を形成する場合、カラー複写機1において画像形成動作を開始すると、各感光体ドラムY、M、C、Kがカラー複写機1の正面(図1の方向)から見て時計回りの方向に回転駆動される。このとき、各帯電手段によって各感光体ドラムY、M、C、Kの外周面が所定の極性(例えば、マイナス)に一様に帯電される。ついで、それぞれの帯電面に、書込ユニット30からトナー色に対応するよう色分解された画像情報に基づいてレーザ光を照射し、各感光体ドラムY、M、C、Kの外周面上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像を各現像手段30Y、30M、30C、30Kによって単色のトナー像として可視像化し、各色のトナー像に、それぞれ対応する1次転写ローラ32fによって1次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト32a上に順次重ねて転写してゆき、フルカラーのトナー像を形成する。なお、白黒モードでモノクロ画像を形成する場合は、ブラックのプロセスカートリッジ3Kだけを用いて前記の動作を実行する。
【0030】
そして、給紙部4の給紙カセット40、41にストックされている用紙Pを、給紙ローラ42、43により1枚ずつ用紙搬送路6に送り出す。送り出された用紙Pは用紙搬送路6を上昇して行き、先端がレジストローラ対62に突き当たるといったん停止する。用紙Pの先端が搬送方向に対して斜めになったりしていてもこの突き当たりによって整えられる。ついで、中間転写ベルト32a上に形成した前記カラートナー像が2次転写ニップに到達するタイミングに合わせてレジストローラ対62を回転駆動し、転写ユニット32の2次転写ニップに向けて用紙Pを送り出す。
【0031】
次に、転写ユニット32の2次転写ニップで、2次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト32a上の前記フルカラーのトナー像が用紙Pに静電気力により転写する。その後、用紙Pは定着ユニット33の定着ニップに送られる。そこで、定着ベルト33cと加圧ローラ33dによって熱と圧力が加えられ、用紙P上の未定着のトナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着された後、用紙Pは排紙ローラ対63が回転することによって排紙トレイ50上に排紙される。用紙Pが複数枚排紙されると、図2に示すように排紙順に積載されてゆく。
【0032】
また、両面モードが選択されて両面コピーを行う場合は、切替爪65で搬送路を切り替え、片面に画像を定着させた用紙Pを、反転搬送路61の上部搬送路67に一時的にストックした後、反転搬送ローラ対66でスイッチバック式に進行方向を反転させ、搬送ローラにより反転搬送路61を搬送し、レジストローラ対62の手前に再給紙し、前述した画像形成動作と同様に裏面側の画像形成(印刷)を行う。
【0033】
なお、感光体ドラムY、M、C、K上の残留トナーは、各クリーニング手段でクリーニングし、その後、帯電手段によって直流に交流成分を重畳させたバイアスを印加し、感光体ドラムは除電と同時に一様に帯電される。また、中間転写ベルト32a上の残留トナーは、クリーニング装置32hによってクリーニングし、カラー複写機1は次の画像形成動作に備える。
【0034】
本実施形態の装置本体10には、排紙トレイ50と画像形成部3の間、詳細には、排紙空間である排紙部5の底面を構成する排紙カバー51(図示の例では排紙トレイ50の一部を構成している)と画像形成部3の最上部に位置するトナーボトル31Y、31M、31C、31Kの間に空気層7を構成してある。さらに詳細には、排紙カバー51と排紙トレイ50の内部側の底部カバー52とによりダクト53を形成することによって空気層7を構成している。
【0035】
図4〜図7により、具体的な空気層7と流路となるダクト53の構成などについて説明する。
図4は、空気層7及びダクト53の構成に関連する部品、部材を図1、図2の背面側から見て示す斜視図、図5は、排紙カバー51を取り去って底部カバー52を図1と同じく正面側から見て示す拡大斜視図、図6は、装置本体10と、その背面の排気口101を図1、図2の背面側から見て示す斜視図である。
【0036】
ダクト53で構成する空気層7は、排紙カバー51と底部カバー52とにより、ほぼ全周を壁面で囲んで形成した層状の空間部分であり、上面は排紙カバー51の下側の面(下面、あるいは裏面:図示はしていない)、底面は底部カバー52の上面(あるいは、表面:図5参照)、側面は排紙カバー51の側面51aである(図1及び図6参照)。
【0037】
本実施形態の排紙カバー51は、排紙トレイ50への排紙方向の下流側に、一対の凸部54、54を形成してある。そのため、これら凸部54、54の部位では、空気層7を構成する壁面は、上面は排紙カバー51の下側の面、底面は底部カバー52の上面、排紙カバー51の正面側及び背面側の側面51a、51a、及び底部カバー52の上面に加え、2つの凸部54の間に向く側面54aと、凸部54、54の間の連結面54bの裏面、凸部54の前端面54cの裏面である。凸部54が後端面を備えていれば、その裏面も含まれる。ただし、図示の例では凸部54に後端面は設けていない。
【0038】
また、図示の例では、凸部54、54の間に、少し高さが低くて凸部54、54間を連結する外観を呈するように小凸部55が設けてある。そのため、空気層7を構成する壁面には小凸部55の内側の壁面も含まれる。なお、図中に符号56で示す2つの翼状の部位は、図5からよく分かるように、底部カバー52上への嵌め込み部分である。
【0039】
小凸部55には、主に外気取り込みに用いる開口57が設けてある。すなわち、用紙Pが搬送される方向(図1〜図3、図5では右側から左側へ向かう方向、図4と図6では図の左側から右側へ向かう方向)で下流側の面に開口57を設けてある。開口57は、排紙カバー51の中央部分あるいはその近傍で空気層7と外気とを通じさせている。
【0040】
また空気層7を構成したダクト53は、装置本体10の背面に、設けた排気口101との間をつなぐために屈曲させた連結ダクト58に連結してある。そのため、底部カバー52の排紙口64寄りの部位には連結ダクト58と連通させる開口59が設けてある。開口59が設けてある部位は、図示の例では排紙カバー51が傾斜している部分の辺りに位置している。もちろん、その他の部位であっても構わない。また連結ダクト58は、装置本体10背面の排気口101の臨ませる強制排気用のファン102に接続してある。
【0041】
このファン102により空気層7内の空気を吸引して強制的に排気できる。また上述のように、開口57が用紙Pの搬送方向で下流側の面に設けてあるため、排紙カバー51上に用紙Pが排紙、積載されているか否かにかかわらず、開口57を外気に通じている状態に保つことができ、空気層7は常に外気と連通状態となる。すなわちファン102により強制排気しつつ外気を常に取り込めるようになっている。なお連結ダクト58を装置本体10の画像形成部3内部へ分岐させ、ファン102を、作像部である画像形成部3からの排気用のファンとして兼用する構成とすることもできる。
【0042】
また、排紙カバー51にエンドフェンスを設ける構造の場合でも、排紙カバー51の凸部54等の盛り上がった部分の近傍に設けるものであるから、開口57はエンドフェンスの回転中心近傍に位置することととなり、エンドフェンスを排紙カバー51に沿って閉じた状態でも、回転して開いた状態のいずれでも、エンドフェンスによって開口57がふさがれない構造とすることができる。またエンドフェンスの近傍であれば開口57があっても目立たず、外観へ与える影響は小さい。
【0043】
以上述べたように、空気層7に底面(図示の例では排紙トレイ50の内部側の底部カバー52)を設けて、二重カバー状の構造とすると、底面が無く、自然放熱だけの構造に比べて、底面を設けることにより、熱を発生する画像形成部3と空気層7の空気とを隔絶することができる。二重カバーなしの自然放熱では、作像部である画像形成部3が熱を発生した場合に、画像形成部3の上部の穴等から自然対流によって熱を外へ逃がすことになるが、画像形成部3の上部に形成される空気層の上に熱を持った用紙Pなどの記録媒体が置かれた場合、排気機能があまり効率的に機能しなくなる。その一方で、本実施形態のような二重カバー構造では、作像部である画像形成部3との間を隔絶して断熱し、用紙P等の記録媒体からの熱が画像形成部3へ伝わるのを防ぐことができる(もちろん、空気層7が暖まってしまうと画像形成部3へ熱が伝わることになるので、二重カバーにするとともに、ファン102により強制排気することで、空気層7内の空気の温度を外気とほぼ同等程度の温度に保つことができる。
【0044】
なお前記実施形態の説明においては、一連の流路のうち作像部である画像形成部3と排紙カバー51の間に作られる空間を「空気層」として説明したが、本発明はこれに限定されず、排紙空間と作像部との間に、全周を壁面で囲んで形成される空間であれば、例えば用紙幅全域にわたって存在する空間であっても、これを空気層とすることができる。また、全周を壁面で囲んで形成される空間とは、図示の実施形態のように明確な形態での外部への開口が開いている形態だけではなく、そのような開口が無いものであってもよい。さらには、空気層7は、連結ダクト58の配置によっては、開口57からファン102に至る屈曲した空気流路の一部あるいは全部で構成することも可能である。
【0045】
<実施形態2>
図7は本発明の他の実施形態を、図4と同じく、空気層及びダクトの構成に関連する部品、部材を図1、図2の背面側から見て示す斜視図である。
この実施形態では、外気取り込みに用いる開口57に加え、排紙カバー51の背面側の側面51aに、複数の開口57aを設けてある。もちろん、装置本体10の正面側から開口が見え得るという外観を考慮すれば、排紙カバー51の正面側の側面51aにも設けてもよい。
【0046】
既述のように排紙カバー51の中央部で積載された用紙Pは凸型に盛り上がるので、そのような部分の近傍に位置する開口11aが塞がれることはなく、空気層7へ常に外気を取り込むことができる。また、開口57と複数の開口57aにより、空気層7と外気の循環が生じてそれによる放熱もあり得る。その他の構成、作用等は実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0047】
なお本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0048】
1:カラー複写機
2:画像読取部
3:画像形成部
3Y、3M、3C、3K:プロセスカートリッジ
4:給紙部
5:排紙部
6:用紙搬送路
7:空気層
10:装置本体
20:コンタクトガラス
21:光源
22:結像レンズ
23:イメージセンサ
24:圧板
30:書込ユニット
30Y、30M、30C、30K:現像手段
31Y、31M、31C、31K:トナーボトル
32:転写ユニット
32a:中間転写ベルト
32b、32c、32d、32e:支持ローラ
32b:駆動ローラ
32f:1次転写ローラ
32g:2次転写ローラ
32h:クリーニング装置
33:定着ユニット
33a:定着ローラ
33b:加熱ローラ
33c:定着ベルト
33d:加圧ローラ
40:給紙カセット
42:給紙ローラ
44:手差トレイ
45:給紙ローラ
50:排紙トレイ
51:排紙カバー
51a:排紙カバーの側面
52:底部カバー
53:ダクト
54:凸部
54a:凸部の側面
54b:凸部の連結面
54c:凸部の前端面
55:小凸部
57、57a:小凸部の開口
58:連結ダクト
59:開口
60:通常搬送路
61:反転搬送路
62:レジストローラ対
63:排紙ローラ対
64:排紙口
65:切替爪
66:反転搬送ローラ対
67:上部搬送路
101:排気口
102:ファン
P:用紙(記録媒体)
Y、M、C、K:感光体ドラム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】
【特許文献1】特開2010−210809号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排紙空間が画像形成装置本体内の作像部の上方に備え、
前記排紙空間と前記作像部との間に、全周を壁面で囲んで空気層を形成し、
該空気層に、ファンを備えたダクトを接続し、
前記空気層によって前記画像形成装置本体外との通気を可能とした画像形成装置において、
前記排紙空間を形成するとともに排出される記録媒体を載置する排紙カバーが、前記排紙空間内に突出する凸部を備え、
該凸部の内側面の少なくとも一部が、前記空気層を囲む壁面の一部を構成するとともに、
前記凸部に、前記排紙空間あるいは前記画像形成装置本体外へ通じる開口を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、前記開口を、前記排紙空間内への記録媒体の排出方向で下流側へ向く部位に設けた、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1の画像形成装置において、前記開口を、前記空気層を囲む壁面の一部を構成するとともに前記排紙空間内への記録媒体排出方向で側方側へ向く壁面に設けた、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1の画像形成装置において、
前記排紙空間内への記録媒体排出方向で下流側へ向く壁面に設けた一の開口と、
前記空気層を囲む壁面の一部を構成するとともに前記排紙空間内への記録媒体排出方向で側方側へ向く壁面に設けた他の開口と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2または4の画像形成装置において、
前記凸部を前記排紙空間内への記録媒体排出方向に沿って複数設け、
前記排紙空間内への記録媒体排出方向で下流側へ向く壁面に設けた開口を、前記2つの凸部の間に位置させて設けた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3または4の画像形成装置において、前記排紙空間内への記録媒体排出方向で側方側へ向く壁面が、前記凸部の記録媒体排出方向で側方側へ向く側面である、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、前記凸部が、記録媒体排出方向で側方側へ向く前記側面を一対備え、該一対の側面の少なくとも一方に、前記開口を設けた、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、前記側面の前記開口を複数設けた、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7の画像形成装置において、前記側面の前記開口が、操作者から見て前記画像形成装置本体の背面側となる前記凸部の側面に設けてある、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかの画像形成装置において、
前記空気層に、ファンを備えた連結ダクトを接続し、
該連結ダクトを前記画像形成装置本体に設けた排気口に接続し、
前記ファンによって前記画像形成装置本体外との空気の入れ替えを行う、
ことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−54206(P2013−54206A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192206(P2011−192206)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】