説明

画像形成装置

【課題】冷却手段と高圧給電手段を併設しながら、装置の小型化と低コスト化を実現する。
【解決手段】感光体ユニット2内の帯電装置24や現像ユニット4のような、被冷却部と被給電部とを有する作像ユニット1Y,1M,1C,1Kを備えた画像形成装置である。その被冷却部の内部又は外周部に空気を流通させて冷却するための換気ファン37と、その換気ファン37を設けたファンボックス38と各被冷却部との間に、それぞれ空気流路を形成する分岐ダクト部21a〜21dを有する換気ダクト21とによって換気手段を構成している。そして、その換気ダクト21内に、高圧電源から各被給電部に給電するための導電体を各空気流路に沿って設け、被給電部に受電端子を、導電体の一端にその受電端子と接触する給電端子を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、及びそれらの機能を組合せたデジタル複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置には、それぞれ感光体、帯電装置、現像装置等を備えた作像部(作像ユニット)が1個又は複数個配設されている。その作像部が、定着装置などの発熱部から受ける熱や作像部自身が発する熱(例えば、回転部材から生じる摩擦熱等)などによって、温度上昇して不具合が生じる場合があった。特に、作像部の現像装置が高温に達してしまうと、その内部に収容したトナーが凝固してしまって、出力画像に異常が生じてしまうことがあった。
【0003】
このような問題を解決するため、例えば特許文献1では、作像部を冷却するために、各作像部に向けて、給気ファンおよび給気ダクトによって空気を供給するとともに、各作像部から排気ファンおよび排気ダクトによって空気を吸引することによって作像部を冷却する画像形成装置を開示している。
【0004】
また、このような画像形成装置における作像ユニットにおいては、帯電装置には帯電電圧が印加される帯電ローラや帯電ワイヤを有しており、現像装置にも現像バイアス電圧が印加される現像ローラ等を有している。したがって、その帯電装置や現像装置は、高電圧が給電される被給電部でもある。そのため、これらの被給電部に対して、画像形成装置本体内に設けた高圧電源から高電圧を供給している。
【0005】
一般に、高圧電源等の電力供給部から作像ユニット等の被給電部への電力供給は、電力供給部と各被給電部とを給電線とコネクタで接続して行っている。
そのため、装置を小型化しようとすると、画像形成装置本体内のスペースが狭くなり、コネクタを用いて高圧電源と各ユニットとを接続するものでは、コネクタの着脱が困難になり、装置の小型化が難しいという問題があった。
【0006】
そのため、画像形成装置本体内に電力供給部の給電端子を設け、その給電端子と対応する各被給電部を有するユニット側の位置に受電端子を設けて、各ユニットが装置本体に装着されることによって、給電端子とその対応する受電端子とが接触するように構成したものもある。
例えば、特許文献2では、着脱の困難さや小型化対応性を考慮して、コネクタを用いずに裸電線を用いて、被給電部に設けられた受電端子との接触によって給電するようにした画像形成装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このような従来の画像形成装置においては、作像ユニットに対する冷却手段と高圧給電手段が独立して設けられていた。また、裸電線によって高圧給電を行う際には、裸電線の周囲に存在する部材との絶縁性を維持するために、それらの間に一定空間を確保する必要がある。そのため、占有スペースや部品点数が増加する傾向にあり、装置が大型化するとともに重量も増加してしまい、コスト高にもなっていた。また、投入資源量が増加してしまうという問題もあった。
【0008】
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、作像ユニットに対する冷却手段と高圧給電手段とを設けながら、画像形成装置の小型化、軽量化、低コスト化、及び投入資源量低減化等を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、被冷却部と被給電部とを有する作像ユニットを備えた画像形成装置において、上記の目的を達成するため、上記被冷却部の内部又は外周部に空気を流通させて冷却するための換気ファンと、その換気ファンと上記被冷却部との間に空気流路を形成する換気ダクトとからなる換気手段を備え、上記換気ダクト内に、高圧電源から上記被給電部に給電するための導電体を上記空気流路に沿って設け、上記被給電部に受電端子を、上記導電体の一端にその受電端子と接触する給電端子を、それぞれ設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、作像ユニットを空気流によって冷却するための換気手段の換気ダクト内に、高圧電源から被給電部に給電するための導電体を設けたので、その換気手段によって作像ユニットの被冷却部を冷却しながら被給電部に高電圧を供給できるので、画像形成装置の小型化、軽量化、低コスト化、及び投入資源量低減化等を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明による画像形成装置の一実施形態の全体構成を示す概略図である。
【図2】その作像ユニット1の構成例を示す概略構成図である。
【図3】図1における各作像ユニットと換気ダクトの接続状態の一例を示す斜視図である。
【図4】図3に示した換気ダクトの内部構成例を示す長手方向に沿った縦断面図である。
【図5】図4に示した換気ダクト内の導電体と1個の作像ユニットとの接続例を示す斜視図である。
【図6】図5の要部を拡大して示す斜視図である。
【図7】図3に示した換気ダクトの内部構成の他の例のファンボックス取付部付近のみを示す縦断面図である。
【図8】図7に示した換気ダクトをA−A線に沿って切断してファンボックスも含めて斜め手前側から見た斜視図である。
【図9】図8に示した換気ダクトにフィルタを取り付ける場合の取付位置を仮想線で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔画像形成装置の全体説明〕
図1はこの発明による画像形成装置の一実施形態の全体構成を示す概略図、図2はその作像ユニット1の構成例を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、本体100と画像読取部110と両面用搬送部120とから構成されている。
【0013】
本体100内には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)のトナー像を形成するための4つの作像部である作像ユニット1Y,1M,1C,1Kを備えている。
これらの各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kと、その各周囲に後述する帯電装置や現像装置を備えている。そして、各各感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kの表面に各色の画像を形成するために、各現像ユニットでそれぞれ異なる色のYトナー,Cトナー,Mトナー,Kトナーを用いるが、それ以外は同じ構成になっている。その構造については図2によって後述する。
【0014】
この画像形成装置はタンデム型中間転写方式のカラープリンタであり、周回する中間転写ベルト5が、駆動ローラである二次転写対向ローラ6と従動ローラ7との間に、所定の張力をもって張り渡されている。
その中間転写ベルト5の下面側に、そのベルト走行方向に沿って、前述した作像ユニット1Y,1M,1C,1Kが順に配置されている。
作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの下方には、各感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kの表面を、レーザビームで露光走査する画像書込ユニット8が設けられている。
さらに、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kに対して中間転写ベルト5を挟んで対向する位置に、それぞれ一次転写ローラが配置されているが、図示を省略している。
【0015】
また、図1において画像書込ユニット8の後ろ側(奥側)の各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの下側に、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの熱を発生する被冷却部を冷却すると共に被給電部に高電圧を給電するための換気ダクト21を配置している。この換気ダクト21の詳細については後述する。
【0016】
中間転写ベルト5の上方には、各作像ユニットの現像ユニットにそれぞれ各色のトナーを補給するため、トナーボトル9Y,9M,9C,9Kが交換可能に搭載されている。
【0017】
一方、画像形成対象となる転写材である用紙10は、2段の給紙カセット11A、11Bに収容されている。その各給紙カセット11A、11B内の用紙10は、用紙繰り出し側に設けられたピックアップローラ12A、12Bのいずれかによって一枚ずつ繰り出される。その繰り出された用紙10は、図示を省略している複数の搬送ローラ対によって、図1に細線で示す搬送経路に沿って位置決めローラ対13まで搬送される。そして、その位置決めローラ対13によって所定のタイミングで、二次転写ローラ14と二次転写対向ローラ6とが中間転写ベルト5を挟んで対向している二次転写位置へ送られる。
【0018】
二次転写位置の上方の搬送経路には定着装置19が配置されており、その定着装置19を通過した用紙は、排紙用搬送ローラ対20によって排紙トレイ22上へ排出される。
【0019】
画像読取部110は、本体100の上部に設けられており、図示はしていないが、コンタクトガラスと開閉可能な圧板又は自動原稿給装装置(ADF)を備え、コンタクトガラスの下側には、光源と光学系及びCCD等の撮像デバイスなどからなる読取走査装置が設けられている。
【0020】
両面用搬送部120は、本体100の一側面に取り付けられ、図1に細線で示す用紙搬送路と、それに沿って反転ローラ対15及び複数の両面搬送ローラ対16を備えている。
そして、一方の面にトナー画像が転写されて定着装置19を経て定着された用紙を導入して、その表裏を反転させて位置決めローラ対13へ送り出す。それによって、その用紙の他方の面にもトナー画像を転写して画像を形成することができる。
この実施形態では、両面用搬送部120に手差しトレイ17も取り付けており、その手差しトレイ17上にセットされた用紙10も、搬送ローラ対18によって位置決めローラ対13へ送り出し、それにトナー像を転写して画像を形成することができる。
【0021】
このように構成された画像形成装置によって、カラー画像を形成する場合の動作手順の概略を図1によって説明する。
この画像形成装置が複写装置として使用される場合は、画像読取部110にコピー用のカラー原稿がセットされ、スタートキーが押されると、その原稿の読み取りを開始して、読み取ったカラー画像データに基づいて、図示していないコントローラがカラー印刷データを生成する。
この画像形成装置がプリンタとして使用される場合は、ネットワーク等を介して接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト装置から印刷命令とカラー印刷用ジョブを受信すると、それに基づいてコントローラがカラー印刷データを生成する。
【0022】
そのいずれかのカラー印刷データに応じて、各作像ユニット1Y,1M,1C,1K及び画像書込ユニット8等による作像工程を順に開始する。
まず、各感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kの表面を後述する各帯電装置によって均一に帯電し、その各表面を画像書込ユニット8の光走査によって各色の画像データに応じて露光し、その各表面に静電潜像を形成する。その各静電潜像を、後述する各現像ユニットの各色のトナーによってそれぞれ現像し、各感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kの表面に、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像を順次形成する。
【0023】
その各感光体ドラム3Y,3M,3C,3K上の各色のトナー画像をバイアス電圧が印加された図示しない一次転写ローラの作用によって、中間転写ベルト1上に順次重ねて一次転写し、中間転写ベルト1上にフルカラーのトナー画像を形成する。そのトナー画像を中間転写ベルト5の周回による右方への移動によって二次転写位置へ送る。
【0024】
一方、前述したように、給紙カセット11A、11Bのいずれかの画像サイズに適したサイズの用紙10を、ピックアップローラ12A又は12Bによって繰り出し、図示していない搬送ローラ対によって位置決めローラ対13に挟まれるまで搬送して待機させる。
そして、その位置決めローラ対13によってその用紙10を所定のタイミングで、二次転写ローラ14と二次転写対向ローラ6とが中間転写ベルト5を挟んで対向している二次転写位置へ送る。
【0025】
それによって、中間転写ベルト5上のトナー画像が、バイアス電圧が印加された二次転写ローラ14の作用によって、その用紙10上に一括転写(二次転写)される。
そのフルカラーのトナー画像が転写された用紙10を、定着装置19へ搬送し、そこで加熱及び加圧による定着処理を施して送出し、排紙用搬送ローラ対20によって排紙トレイ22上へ排出する。
【0026】
モノクロ画像を形成する場合は、画像読取部110で読み取るか、ホスト装置から受信したモノクロの画像データに基づいてモノクロ印刷データを生成し、作像ユニットとしてはブラック用の作像ユニット1Kのみを使用して、感光体ドラム3Kの表面にブラックのトナー画像を形成する。それを中間転写ベルト5に転写した後、用紙10に転写する。
転写材はトナー画像を転写して定着できる媒体であればよく、用紙の他に、転写紙、印刷用紙、記録紙、印刷シート、記録シートなどとも称される。
【0027】
〔作像ユニットの構成例〕
ここで、作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの構成例を説明する。これらの各作像ユニットは、前述したように使用するトナーの色が異なるだけで、その構造は同じである。そこで、その構造例をY,M,C,Kを付けない作像ユニット1として、図2によって説明する。
図2に示す作像ユニット1は、感光体ユニット2と現像装置である現像ユニット4によって構成されている。そして、これらを一体のユニットとして、あるいは個別のユニットとして、図1に示した本体100に対して着脱可能である。
【0028】
感光体ユニット2は、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置23、図示していない除電装置、および感光体ドラム3の表面を帯電させる帯電装置24などを有している。感光体ドラム3は、図示していない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。
帯電装置24は、高電圧の帯電バイアスが印加される帯電ローラ25を感光体ドラム3の表面に近接して備えており、その帯電ローラを反時計回りに回転駆動することによって感光体ドラム3の表面を一様帯電させる。したがって、この帯電装置24は被給電部でもある。
【0029】
なお、帯電装置として、帯電ローラの代わりに帯電ブラシを感光体ドラムに当接させるものを用いてもよい。また、スコロトロンチャージャのように、帯電ワイヤによるチャージャ方式によって感光体ドラムを帯電させるものを用いてもよい。
帯電装置24によって一様帯電された感光体ドラム3の表面は、図1に示した画像書込ユニット8から発せられるレーザ光Lによって露光走査されて静電潜像を担持する。
【0030】
現像ユニット4は、筐体4a内に、第1搬送スクリュー26が配設された第1剤収容部27と、透磁率センサ等からなるトナー濃度センサ28、第2搬送スクリュー29、現像ローラ30、現像剤規制部材としてのドクタブレード31などが設けられた第2剤収容部32とを備えている。
【0031】
第1剤収容部27と第2剤収容部32の内部には、磁性キャリアとマイナス帯電性のトナーとからなる現像剤(図示せず)が収容される。第1搬送スクリュー26は、図示していない駆動手段によって回転駆動され、第1剤収容部27内の現像剤を紙面に垂直な方向における手前側から奥側へ搬送する。そして、第1剤収容部27と第2剤収容部32との間の仕切壁4bに設けられた図示していない連通口を経て、第2剤収容部32内に現像剤を進入させる。
【0032】
第2剤収容部32内の第2搬送スクリュー29は回転駆動され、現像剤を図中奥側から手前側へ搬送する。搬送途中の現像剤は、第2剤収容部32の底部に固定されたトナー濃度センサ28によってそのトナー濃度が検知される。第2搬送スクリュー29の上方には、現像ローラ30が第2搬送スクリュー29と平行に配設されている。その現像ローラ30は、図中反時計回り方向に回転駆動される非磁性パイプから成る現像スリーブ33内にマグネットローラ34を内蔵している。
【0033】
第2搬送スクリュー29によって搬送される現像剤の一部は、そのマグネットローラ34の磁力によって現像スリーブ33の表面に汲み上げられる。そして、現像ローラである現像スリーブ33と所定の間隙を保持するように配設されたドクタブレード31によってその層厚が規制された後、感光体ドラム3と対向する現像領域まで搬送され、感光体ドラム3上の静電潜像にトナーを付着させる。この付着により、感光体ドラム3上にトナー像が形成される。
この現像ユニットの現像ローラ30には高電圧の現像バイアス電圧が印加されるので、この現像ユニット4が被給電部でもある。
【0034】
感光体ドラム3上に形成されたトナー像は、図1に示した中間転写ベルト5に中間転写される。そして、中間転写工程を経た後の感光体ドラム3表面に残留したトナーを、ドラムクリーニング装置23が除去する。クリーニング処理が施された感光体ドラム3の表面は、図示していない除電装置によって除電され、次の画像形成に備える。
【0035】
この実施形態では、現像装置である現像ユニット4が被冷却部でもあるので、その筐体4aに第1剤収容部27内に通じる通気口35を設けており、この通気口35を図1に示した換気ダクト21に接続している。そして、詳しくは後述するが、この通気口35から換気ダクト21を通して現像ユニット4内の空気を換気する。それによって、第1剤収容部27内及びそれと連通する第2剤収容部32内が冷却され、第1、第2搬送スクリュー26,29等を回転部材の摩擦熱や、図1に示した定着装置19などの発熱部から受ける熱によって第1、第2剤収容部27,32内が温度上昇し、現像剤が凝集するようなことが防止される。
【0036】
〔換気ダクトの構成例と接続例〕
次に、換気ダクト21の構成例と接続例を図3〜図9によって説明する。
図3は、図1における作像ユニット1Y,1M,1C,1Kと接続した換気ダクト21の構成例を示す斜視図である。この図3は図1の後ろ側から見た斜視図であり、図1とは左右が反転している。図4は図3に示した換気ダクト21の内部構成例を示す長手方向に沿った縦断面図である。
【0037】
作像ユニット1Y,1M,1C,1Kは、図1に示した本体100内に、それぞれ中間転写ベルト5の幅方向に延び、その移動方向に並んで平行に図3に示すように装着されている。その各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kは、いずれも前述したように被冷却部及び被給電部ともなる帯電装置を含む感光体ユニット2と現像装置である現像ユニット4を有している。
その各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの長手方向の一端部(図3における手前側の端部)にカバー部材50を備えており、その内側に空気室を形成している。
【0038】
換気ダクト21は、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kのカバー部材50の内側の上記空気室にそれぞれ接続される分岐ダクト部21a,21b,21c,21dと、それを順次集合する集合ダクト部21eとからなっている。その集合ダクト部21eに、換気ファン37を内蔵したファンボックス38を一体的に設けている。これらによって換気手段を構成している。
【0039】
その換気ファン37は、換気ダクト21内の空気流路を通して、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの被冷却部の内部又は外周部に空気を流通させて冷却する。この例では換気手段が被冷却部から空気を吸引して外部に排気する排気手段であって、換気ファン37は排気ファンであり、換気ダクト21は排気ダクトである。
【0040】
換気ダクト21は図4に示すように、各分岐ダクト部21a,21b,21c,21dと集合ダクト部21eとによって、換気ファン37と各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの被冷却部との間に空気流路36a,36b,36c,36dを形成する。
さらに、その換気ダクト21内には、図示していない高圧電源から、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの被給電部に給電するための導電体39a,39b,39c,39dを、各空気流路36a,36b,36c,36dに沿って設けている。
【0041】
その各導電体39a,39b,39c,39dにおける、各分岐ダクト部21a,21b,21c,21dの開口端側の端部には、それぞれ給電端子40が設けられ、その各給電端子40は、それぞれ給電端子固定部材43によって各分岐ダクト部21a,21b,21c,21dの内壁に固定され、その開口端から幾分突出している。
そして、この換気ダクト21の集合ダクト部21eにおける図4に仮想線で示す位置の手前側に、換気ファン37を内蔵したファンボックス38が設けられる。
【0042】
一方、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの図3で手前側の端部には、図5及び図6にカバー部材50を取り外して作像ユニット1として示すように、被給電部に接続された受電端子41が位置決めして設けられている。
そして、換気ダクト21を各分岐ダクト部21a,21b,21c,21dの開口端部が、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kのカバー部材50の内側の空気室に連通するように接続して位置決め固定すると、図5及び図6に示すように、各給電端子40が各受電端子41と接触して導通する。
【0043】
それによって、図示しない高圧電源から、換気ダクト21内の各導電体39a,39b,39c,39dを通して、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの被給電部、すなわち帯電装置24の帯電ローラ25又は現像ユニット4の現像ローラ30、あるいはその両方に高電圧を供給することができる。
【0044】
換気ダクト21を合成樹脂等の非金属の絶縁材で形成すれば成形性がよく、しかも各導電体39a,39b,39c,39dは、絶縁被覆されていない銅やアルミニウム等の線状又は帯状の裸導体でも充分絶縁性を確保できるので一層安価になる。
しかし、それは、この発明に必須の条件ではなく、供給電圧が比較的低い場合には、換気ダクト21を金属板等の導電材で形成してもよく、その場合は導電体39a,39b,39c,39dとして絶縁被覆された被覆銅線などを使用する。
【0045】
この実施例では、換気ダクト21は絶縁材で形成され、導電体39は裸導体であって、図5及び図6に示したように、コネクタを用いずに給電端子40と受電端子41とが圧接により接触することによって給電できる。そのため、作像ユニット1Y,1M,1C,1Kを着脱する際にコネクタの着脱について考慮する必要がない。また、画像形成装置内のスペースを節約できるので小型化できる。
【0046】
各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの複数の被給電部にそれぞれ異なる電圧等の給電を行う場合には、換気ダクト21の各空気流路36a,36b,36c,36d内に、それぞれ複数本ずつ導電体を配置する。
その場合、絶縁材製の換気ダクトであれば、各空気流路内にそれぞれ複数本の裸導体を、互いに接触しないように突起や溝等によって間隔を規制して配置するか、絶縁被覆した複数本の導電体を配置する。導電材製の換気ダクトであれば、各空気流路内に、それぞれ絶縁被覆した複数本の導電体を配置する。
あるいは、複数の各導電体をそれぞれ配置する空気流路を個別に形成するようにしてもよい。
【0047】
この換気ダクトと換気ファン37からなる換気手段によって、図3に示す各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの被冷却部である現像ユニット4から、図2に破線で示した通気口35を通して空気を吸引し、それぞれ空気流路36a,36b,36c,36dを通して外部へ排気して、冷却することができる。
感光体ユニット2の帯電装置24も冷却する場合には、その長手方向の一端部にも通気口を形成すれば、それを通して帯電装置24内の空気を吸引して外部へ排出することができる。
【0048】
各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの冷却は、現像ユニット4内や感光体ユニット2の帯電装置24内の空気を吸引して流通させて行うことに限らず、それらの外周部に空気を流通させることによって行うこともできる。その場合、各作像ユニット1Y,1M,1C,1K間の各隙間から空気を吸引するなどによって、その各隙間の空気を流通させてもよい。
【0049】
次に、換気ダクトのその他の構成例について、図7〜図9によって説明する。
図7は、換気ダクトの内部構成の他の例のファンボックス取付部付近のみを示す縦断面図である。図8は、その換気ダクトを図7のA−A線に沿って切断し、ファンボックスも含めて斜め手前側から見た斜視図であり、図9は、その換気ダクトにフィルタを取り付ける場合の取付位置を仮想線で示す図である。
これらの図において、図1と共通する部分には同じ符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0050】
図7に示す換気ダクト21において、図4に示した例と相違するのは、換気ダクト21内の各空気流路36a,36b,36c,36dを形成する壁面に、各導電体39a,39b,39c,39dを各空気流路に沿わせて保持するための規制手段である突条42を設けたことである。
【0051】
この突条42は、換気ダクト21の図7に示されていない部分にも設けており、特に各導電体39a,39b,39c,39dを収容する空気流路36a,36b,36c,36dが角度を変える(曲がる)部分に近い内壁面に沿って設け、その内壁面と突条42との間に、各導電体39a,39b,39c,39dを規制する。
規制手段である全ての突条42は、合成樹脂性の換気ダクト21の壁面と一体に成形することができる。
【0052】
この換気ダクト21の集合ダクト部21eの一方の平面側には、空気流路36a,36b,36c,36dの全てがその内部に開放されるファンボックス38が、図8に示すように一体に形成されている。このファンボックス38内に、図3に示した換気ファン37が取付られる。
このファンボックス38の下部には仕切版44を設け、換気ファン37を収納する空間と、各導電体39a,39b,39c,39dを通して外部へ導く空間とを仕切っている。
【0053】
その仕切版44には、導電体を通すための4つの切欠部44aを形成している。そして、各空気流路36a,36b,36c,36dからの導電体39a,39b,39c,39dが、仕切板44の各切欠部44aを通してその下側の空間に導かれ、その空間からダクト外へ導出され、図示していない高圧電源に接続される。
なお、図8では空気流路36dの導電体39dを設けた部分、及びファンボックス38の導電体39dが通る部分は切り取られているため、図示されていない。
【0054】
ところで、この換気ダクト21のファンボックス38内には、仕切板44の上部の空気流路36a,36b,36c,36dと換気ファン37との間の位置に、図9に仮想線で示すように各種のフィルタ45を設置することができる。
【0055】
このフィルタ45は、換気手段によって冷却する被冷却部が現像装置である現像ユニット4である場合には、換気ファン37と換気ダクト21によって現像ユニット4から吸引される飛散トナーを捕集するトナーフィルタにするとよい。
それによって、現像ユニット4内の空気を吸引したときに、その空気と共に飛散トナーを吸引してしまっても、その飛散トナーはファンボックス38内でフィルタ45であるトナーフィルタに補集され、排出されることはなくなるため、画像形成装置内または機外を汚す恐れがなくなる。
【0056】
また、換気手段によって冷却する被冷却部が感光体ユニット2の帯電装置24である場合には、フィルタ45を、帯電装置24から吸引されるオゾンを補集するオゾンフィルタにするとよい。
それによって、帯電装置24内で放電によって発生するオゾンを空気と共に吸引してしまっても、そのオゾンはファンボックス38内でフィルタ45であるオゾンフィルタに補集され、排出されることはなくなるため、機外にオゾンが飛散して健康に影響を与える恐れがなくなる。
【0057】
換気手段によって冷却する被冷却部が現像ユニット4及び帯電装置である場合には、フィルタ45として、上述したトナーフィルタとオゾンフィルタとを重ねて接地するとよい。
【0058】
上述したこの発明の実施形態によれば、冷却手段を構成する換気ダクト21を絶縁材で形成し、その各空気流路36a〜36d内に給電用の導電体39a〜39dとして裸導体を設けている。そのため、その導電体39a〜39dによって高圧給電を行う場合に、裸導体とその周囲に存在する各種の部材との絶縁性を維持するために必要な空間を、換気ダクト21内で確保することができる。
したがって、冷却手段と高圧給電手段を併設しながら、装置の小型化と低コスト化を実現することができる。
【0059】
なお、上述した実施形態では、換気手段が、作像ユニットの被冷却部から空気を吸引して外部に排気する排気手段であり、換気ファン37が排気ファンであり、換気ダクト21が排気ダクトであった。
しかし、換気手段はこれに限らず、被冷却部に外部から空気を供給する給気手段であってもよく、その場合は換気ファンが給気ファンになり、換気ダクトが給気ダクトになる。
【0060】
この発明は、被冷却部と被給電部とを有する作像ユニットを備えた画像形成装置であれば、どのような画像形成装置にも適用できる。したがって、図1に示したようなタンデム型の中間転写方式のカラープリンタに限らない。その他の中間転写方式又は直接転写方式のカラープリンタ、モノクロのプリンタ、それらのいずれかに画像読取部を備えた複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を組み合わせたデジタル複合機等の各種の画像形成装置にも、この発明を適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1,1Y,1M,1C,1K:作像ユニット 2:感光体ユニット
3,3Y,3M,3C,3K:感光体ドラム 4:現像ユニット
4a:現像ユニットの筐体 4b:仕切壁 5:中間転写ベルト
6:二次転写対向ローラ 7:従動ローラ 8:画像書込ユニット
9:トナーボトル 10:用紙 11A,11B:給紙カセット
12A,12B:ピックアップローラ 13:位置決めローラ対
14:二次転写ローラ 15:反転ローラ対 16:両面搬送ローラ対
17:手差しトレイ 18:搬送ローラ対 19:定着装置
20:排紙用搬送ローラ対 21:換気ダクト(排気ダクト)
21a,21b,21c,21d:分岐ダクト部 21e:集合ダクト部
【0062】
22:排紙トレイ 23:ドラムクリーニング装置 24:帯電装置
25:帯電ローラ 26:第1搬送スクリュー 27:第1剤収容部
28:トナー濃度センサ 29:第2搬送スクリュー 30:現像ローラ
31:ドクタブレード 32:第2剤収容部 33:現像スリーブ
34:マグネットローラ 35:通気口
36a,36b,36c,36d:空気流路
37:換気ファン(排気ファン) 38:ファンボックス
39a,39b,39c,39d:導電体 40:給電端子
41:受電端子 42:突条(規制手段) 43:給電端子固定部材
44:仕切板 44a:切欠部 45:フィルタ 50:カバー部材
100:本体 110:画像読取部 120:両面用搬送部 L:レーザ光
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2010−32577号公報
【特許文献2】特開2004−347728号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷却部と被給電部とを有する作像ユニットを備えた画像形成装置において、
前記被冷却部の内部又は外周部に空気を流通させて冷却するための換気ファンと、該換気ファンと前記被冷却部との間に空気流路を形成する換気ダクトとからなる換気手段を備え、
前記換気ダクト内に、高圧電源から前記被給電部に給電するための導電体を前記空気流路に沿って設け、前記被給電部に受電端子を、前記導電体の一端に前記受電端子と接触する給電端子を、それぞれ設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記換気ダクトは絶縁材で形成され、前記導電体は絶縁被覆されていない裸導体であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記換気ダクト内には、前記導電体を前記空気流路に沿わせて保持するための規制手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記換気手段が、前記被冷却部から空気を吸引して外部に排気する排気手段であって、前記換気ファンが排気ファンであり、前記換気ダクトが排気ダクトであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記被冷却部が現像装置であって、前記排気ダクト内に、前記現像装置から吸引される飛散トナーを捕集するトナーフィルタを設けたことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記被冷却体が帯電装置であって、前記排気ダクト内に、前記帯電装置から吸引されるオゾンを補集するオゾンフィルタを設けたことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記被冷却体が現像装置及び帯電装置であって、前記排気ダクト内に、前記現像装置から吸引される飛散トナーを捕集するトナーフィルタと、前記帯電装置から吸引されるオゾンを補集するオゾンフィルタとを設けたことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記換気手段が、前記被冷却部に外部から空気を供給する給気手段であって、前記換気ファンが給気ファンであり、前記換気ダクトが給気ダクトであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−57913(P2013−57913A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197669(P2011−197669)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】