説明

画像形成装置

【課題】現像剤カートリッジの交換時におけるカバーの開閉動作を小さくすることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、互いに並列して配置され、それぞれ現像剤カートリッジ12K,12Y,12M,12Cが着脱可能に装着され、それぞれ現像剤カートリッジ内の現像剤により現像剤像を形成する複数の現像ユニット11K,11Y,11M,11Cと、特定の現像剤カートリッジ12Kを覆い、当該特定の現像剤カートリッジ12Kの着脱が可能となるように開放可能な第1のカバー71と、特定の現像剤カートリッジ12K以外の現像剤カートリッジ12Y,12M,12Cを覆い、当該現像剤カートリッジ12Y,12M,12Cの着脱が可能となるように開放可能な第2のカバー72とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の現像装置を有し、電子写真技術を用いて画像を形成する画像形成装置がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、現像剤カートリッジが着脱可能に装着される複数の現像ユニットと、当該複数の現像ユニットを覆う開閉可能な上部カバーと、当該上部カバーに取り付けられた複数の露光ヘッドとを有し、上部カバーが閉められることにより各現像ユニットと各露光ヘッドとが係合する画像形成装置がある。この画像形成装置では、上部カバーが開けられることで、各現像剤カートリッジの交換が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−65123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような、複数の現像剤カートリッジ全体を覆うカバーを備える構成では、カバーのサイズが大きくなり、現像剤カートリッジの交換時におけるカバーの開閉動作が大きくなる。このため、例えば、現像剤カートリッジを交換する際の作業負荷が大きい。
【0006】
本発明は、現像剤カートリッジの交換時におけるカバーの開閉動作を小さくすることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、
互いに並列して配置され、それぞれ現像剤カートリッジが着脱可能に装着され、それぞれ前記現像剤カートリッジ内の現像剤により現像剤像を形成する複数の現像ユニットと、
前記複数の現像ユニットに装着される複数の現像剤カートリッジのうちの特定の現像剤カートリッジを覆い、当該特定の現像剤カートリッジの着脱が可能となるように開放可能な第1のカバーと、
前記複数の現像剤カートリッジのうちの前記特定の現像剤カートリッジ以外の現像剤カートリッジを覆い、当該特定の現像剤カートリッジ以外の現像剤カートリッジの着脱が可能となるように開放可能な第2のカバーと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現像剤カートリッジの交換時におけるカバーの開閉動作を小さくすることができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1における画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】実施の形態1における画像形成装置の構成を示す斜視図である。
【図3】現像ユニットおよび現像剤カートリッジの構成を示す概略図である。
【図4】現像ユニットと露光ヘッドとの係合に関する構成を示す概略図である。
【図5】第1のカバーが開いた状態における画像形成装置を示す概略図である。
【図6】第2のカバーが開いた状態における画像形成装置を示す概略図である。
【図7】実施の形態2における画像形成装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
実施の形態1.
[画像形成装置の構成]
図1および図2は、それぞれ、実施の形態1における画像形成装置100の構成を示す概略図および斜視図である。この画像形成装置100は、複数の現像ユニットを用いて電子写真方式により画像を形成する装置である。
【0011】
図1において、画像形成装置100は、画像形成装置本体(以下「装置本体」と称す)1と、画像形成部10、用紙給紙部20、用紙搬送部30、画像転写部40、画像定着部50、用紙排出部60、および外部カバー部70を備える。
【0012】
画像形成部10は、現像剤像を形成する部分であり、図1の例では装置本体1の中心部に配置されている。具体的には、画像形成部10は、複数(本例では4個)の現像ユニット11K,11Y,11M,11Cを有する。これらの現像ユニット11K,11Y,11M,11Cは、それぞれブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色の画像を形成する。
【0013】
現像ユニット11K,11Y,11M,11Cには、それぞれ、K、Y、M、C色の現像剤を収容する現像剤カートリッジ12K,12Y,12M,12Cが着脱可能に装着される。現像ユニット11K,11Y,11M,11Cは、それぞれ当該現像ユニットに装着された現像剤カートリッジ内の現像剤を用いて現像剤像を形成する。具体的には、現像剤カートリッジ12K,12Y,12M,12Cは、それぞれ現像ユニット11K,11Y,11M,11Cに対して独立して着脱可能となっており、それぞれ対応する現像ユニットで現像剤がなくなると交換できるようになっている。
【0014】
現像ユニット11K,11Y,11M,11Cは、装置本体1の内部に互いに並列に配置されており、具体的には、給紙される用紙Pに対してK、Y、M、Cの順番で画像が形成されるように配置されている。現像ユニット11K,11Y,11M,11Cは、互いに同様の構成を有しており、以下、これらを「現像ユニット11」と総称する。また、現像剤カートリッジ12K,12Y,12M,12Cは、現像剤の色を除いて互いに同様の構成を有しており、以下、これらを「現像剤カートリッジ12」と総称する。
【0015】
図3に示されるように、本例では、現像ユニット11は、像担持体としての感光体ドラム12、帯電部14、および現像剤供給部15を有する。帯電部14は、所定方向に回転する感光体ドラム12の表面に電荷を供給して当該表面を帯電させる装置であり、例えば帯電ローラである。感光体ドラム12の回転方向における帯電部14の下流側には、後述する露光ヘッド16が配置される。露光ヘッド16は、帯電された感光体ドラム12の表面に光を照射して静電潜像を形成する装置であり、例えば発光体としてLEDを含むLEDヘッドである。現像剤供給部15は、感光体ドラム12に形成された静電潜像を現像剤Dにより現像して現像剤像を形成する。なお、現像ユニット11は、感光体ドラム12の転写後の表面に残留した現像剤を除去するクリーニングブレード等のクリーニング装置を備えてもよい。
【0016】
再び図1,2を参照すると、用紙給紙部20は、画像形成用の用紙Pを給紙する部分であり、図1の例では装置本体1の下部に配置されている。具体的には、用紙給紙部20は、用紙Pを収容する用紙カセット21と、用紙カセット21から用紙Pを取り出して用紙搬送部30に送り出す給紙ローラ22および用紙分離ローラ23と、用紙カセット21内の用紙Pを給紙ローラ22に向けて押圧する給紙ホッピングプレート24とを有する。
【0017】
用紙搬送部30は、用紙給紙部20から送り出された用紙Pを画像形成部10に搬送する部分であり、図1の例では装置本体1の側部(または前面部)に配置されている。具体的には、用紙搬送部30は、レジストローラ31と、用紙ガイド32とを有する。レジストローラ31は、現像ユニット11Kの用紙搬送方向上流に配置され、用紙Pが画像形成部10に入る前に用紙Pの傾きを矯正する働きを持つ。用紙ガイド32は、用紙給紙部20とレジストローラ31との間に配置され、給紙ローラ22によって送り出された用紙Pをレジストローラ31まで案内する役割を持つ。
【0018】
画像転写部40は、画像形成部10により形成された現像剤像を用紙搬送部30からの用紙P上に転写する部分であり、図1の例では画像形成部10または現像ユニット11の下方に配置されている。具体的には、画像転写部40は、転写ベルトユニット41を有する。転写ベルトユニット41は、レジストローラ31からの用紙Pを搬送し、現像ユニット11K,11Y,11M,11Cにより形成された現像剤像を当該用紙P上に順次転写する装置である。転写ベルトユニット41は、例えば、レジストローラ31からの用紙Pを担持して現像ユニット11K,11Y,11M,11Cに沿って搬送する無端状の転写ベルト42と、各現像ユニット11の感光体ドラム12上に形成された各色の現像剤像を転写ベルト42上の用紙Pに転写する図示しない4つの転写ローラとを含む。
【0019】
画像定着部50は、画像形成部10および画像転写部40の用紙搬送方向下流に配置され、画像転写部40により転写された現像剤像を用紙Pに定着させる。具体的には、画像定着部50は、発熱体51、加圧ローラ52、および加圧ベルト53で構成された定着ユニット54を有する。
【0020】
用紙排出部60は、画像定着部50の用紙搬送方向下流に配置され、画像定着部50により現像剤像が定着された用紙P、すなわち印刷後の用紙Pを搬送して排出する。具体的には、用紙排出部60は、印刷後の用紙Pを装置外部の用紙スタッカ81に排出する排出ローラ61と、定着ユニット54と排出ローラ61との間で用紙Pを案内する用紙ガイド62とを有する。
【0021】
外部カバー部70は、装置本体1をカバーする部分である。本例では、外部カバー部70は、第1のカバー71と、第2のカバー72とを有する。具体的には、画像形成装置100には、画像形成装置100(または装置本体1)の上部を分割して開閉可能な2つのカバー71,72が設けられている。
【0022】
第1のカバー71は、複数の現像剤カートリッジ12のうちの特定の現像剤カートリッジ12を覆い、当該特定の現像剤カートリッジ12の着脱が可能となるように開放可能なカバーである。具体的には、第1のカバー71は、装置本体1に開閉可能に設けられ、閉状態において特定の現像剤カートリッジ12を覆い、開状態において当該特定の現像剤カートリッジ12の着脱を可能にするように構成されている。
【0023】
本例では、特定の現像剤カートリッジ12は、使用頻度が最も高いブラックの現像剤カートリッジ12Kであり、図2に示されるように、第1のカバー71が開くことで、ブラックの現像剤カートリッジ12Kだけが着脱可能となる。
【0024】
また、第1のカバー71は、閉状態において装置上部および装置側部(または装置垂直面部)を覆い、開状態において装置上部および装置側部を開放するように構成されている。ここで、装置上部および装置側部とは、画像形成装置100または装置本体1の上部および側部である。
【0025】
また、第1のカバー71は、閉状態において用紙搬送部30(または用紙ガイド32)を覆い、開状態において用紙搬送部30(または用紙ガイド32)を開放するように構成されている。
【0026】
具体的には、第1のカバー71は、装置上部および装置前面部を覆うように断面がL字形状のカバーであり、装置の前方側へ開くことにより、装置上部および装置前面部を開放し、現像剤カートリッジ12K(または現像ユニット11K)および用紙搬送部30を露出させる。より具体的には、第1のカバー71は、装置本体1に対して回転可能に取り付けられ、回転動作により開閉するように構成されている。図1,2では、第1のカバー71は、装置本体1の前側下端部に配置され左右方向に延びる回転軸1a周りに回転可能に支持されている。
【0027】
第2のカバー72は、複数の現像剤カートリッジ12のうちの上記特定の現像剤カートリッジ12以外の現像剤カートリッジ(以下「他の現像剤カートリッジ」と称す)12を覆い、当該他の現像剤カートリッジ12の着脱が可能となるように開放可能なカバーである。具体的には、第2のカバー72は、装置本体1に開閉可能に設けられ、閉状態において他の現像剤カートリッジ12を覆い、開状態において当該他の現像剤カートリッジ12の着脱を可能にするように構成されている。
【0028】
本例では、他の現像剤カートリッジ12は、Y、M、C色の現像剤カートリッジ12Y,12M,12Cであり、第2のカバー72が開くことで、現像剤カートリッジ12Y,12M,12Cが着脱可能となる。また、ここでは、画像形成装置100は、第1のカバー71を開け、さらに第2のカバー72を開けることで、他の現像剤カートリッジ12Y,12M,12Cが着脱可能となるように構成されている。
【0029】
また、第2のカバー72は、閉状態において装置上部を覆い、開状態において装置上部を開放するように構成されている。
【0030】
具体的には、第2のカバー72は、装置上部を覆うカバーであり、装置の上方側へ開くことにより、装置上部を開放し、現像剤カートリッジ12Y,12M,12C(または現像ユニット11Y,11M,11C)を露出させる。より具体的には、第2のカバー72は、装置本体1に対して回転可能に取り付けられ、回転動作により開閉するように構成されている。図1,2では、第2のカバー72は、装置本体1の後側上端部に配置され左右方向に延びる回転軸1b周りに回転可能に支持されている。
【0031】
また、第2のカバー72は、当該第2のカバー72の閉状態において各現像ユニット11を固定し、当該第2のカバー72の開状態において各現像ユニット11の固定状態を解除する固定手段を有する。具体的には、第2のカバー72には、各現像ユニット11により現像される潜像を形成するプリントヘッドが保持され、当該プリントヘッドは、第2のカバー72の閉状態において各現像ユニット11に係合し、第2のカバー72の開状態において各現像ユニット11から離間し、上記固定手段として機能する。より具体的には、第2のカバー72には、プリントヘッドとして、4つの現像ユニット11K,11Y,11M,11Cのそれぞれに対応する同数の露光ヘッド16K,16Y,16M,16Cが、それぞれヘッドホルダ17を介して保持されている。各ヘッドホルダ17は、第2のカバー72に回転支点72aで保持されており、第2のカバー72に対して規制された範囲内で回転が可能となっている。露光ヘッド16K,16Y,16M,16Cは、互いに同様の構成を有しており、以下、これらを「露光ヘッド16」と総称する。
【0032】
図4に示されるように、現像ユニット11には係合部11aが設けられ、当該現像ユニット11に対応する露光ヘッド16には係合部16aが設けられ、第2のカバー72が閉じている状態では、係合部11aと係合部16aとの係合により、現像ユニット11に対して露光ヘッド16aが正確な位置に配置される。ここでは、係合部11aは位置決めピンであり、係合部16aは位置決め穴であり、位置決めピン11aと位置決め穴16aとが嵌合することによって位置決めが行われる。
【0033】
また、現像ユニット11、現像剤カートリッジ12、露光ヘッド16、およびヘッドホルダ17は、第2のカバー72が閉じる際に、露光ヘッド16が、現像剤カートリッジ12および現像ユニット11に案内されて移動し、現像ユニット11と係合するように構成されている。具体的には、第2のカバー72が開状態から閉じていくと、露光ヘッド16とこれを保持しているヘッドホルダ17とが、ヘッド挿入方向(図4の矢印X方向)に移動し、現像剤カートリッジ12間の隙間に入り込んでいく。このとき、露光ヘッド16は現像剤カートリッジ12に接触しながら移動し、ヘッドホルダ17は僅かに自由回転し、露光ヘッド16は現像剤カートリッジ12の外面でガイドされて進む。さらに第2のカバー72が閉じていくと、現像ユニット11に設けられたヘッドガイド11bによって露光ヘッド16が規定の嵌合位置までガイドされる。露光ヘッド16と現像ユニット11とが嵌合する際は、露光ヘッド16にあいている位置決め穴16aに現像ユニット11から突出している位置決めピン11aが入り込み、現像ユニット11に対して露光ヘッド16が正確な位置に配置される。具体的には、露光ヘッド16は、対応する現像ユニット11の感光体ドラム12に対して適切に露光できる位置、および、4つの露光ヘッド16の相対的な位置関係を確保するための位置に、位置決めされる。
【0034】
さらに、露光ヘッド16は、ヘッドホルダ17に付勢部材としての不図示のばねを介して保持されている。第2のカバー72が閉じ、露光ヘッド16が現像ユニット11に係合し位置決めされた状態において、露光ヘッド16は、ばね(付勢部材)により現像ユニット11を押圧する。これにより、現像ユニット11は、装置本体1にしっかり固定され、また、露光ヘッド16も、ばねによりしっかり固定されて、位置決めが確立される。
【0035】
このように各露光ヘッド16および各現像ユニット11が正確な位置に位置決めされることにより、各露光ヘッド16および各現像ユニット11による正確な画像形成が可能となる。
【0036】
再び図1,2を参照すると、外部カバー部70には、画像形成された用紙Pが排出され載置される用紙載置部としての用紙スタッカ81と、使用者に対する情報(例えば装置から使用者への指示情報)を表示する情報表示部82とが設けられている。ここでは、第2のカバー72に用紙スタッカ81が形成されており、第1のカバー71に情報表示部82が取り付けられている。
【0037】
[画像形成装置の動作]
次に、画像形成装置100の動作について説明する。
画像形成装置100が印刷を開始すると、画像形成部10では、現像ユニット11K,11Y,11M,11Cの各々において、感光体ドラム12が回転し、感光体ドラム12の表面が帯電部14により帯電される。次に、帯電された感光ドラム12の表面上に、露光ヘッド16から、形成する画像に準じた位置からの除電光が放たれる。感光体ドラム12の表面のうち光を受けた部位には、現像剤供給部15からの現像剤Dが付着し、これにより感光体ドラム12の表面に画像が形成される。
【0038】
一方、用紙給紙部20では、給紙ホッピングプレート24が持ち上がり、用紙カセット21内の用紙Pが給紙ローラ22に押し当てられる。そして、給紙ローラ22の回転と用紙分離ローラ23の働きにより、1枚の用紙Pが用紙ガイド32にガイドされレジストローラ31まで搬送される。当該用紙Pは、レジストローラ31で傾きが修正された後、転写ベルトユニット41により搬送され、現像ユニット11K,11Y,11M,11Cを順に通過する。このとき、各色の現像ユニット11において形成された現像剤DによるK,Y,M,Cの4色の画像が用紙P上に順に転写される。表面に画像が形成された用紙Pは、転写ベルトユニット41により画像定着部50へと搬送される。
【0039】
画像定着部50では、定着ユニット54は、加熱された加圧ローラ52および加圧ベルト53により熱と圧力を加えることで、現像剤Dを用紙Pに定着させる。
【0040】
画像定着後の用紙Pは、用紙ガイド62により排出ローラ61までガイドされ、排出ローラ61によって、第2のカバー72の上面に形成された用紙スタッカ81に排出される。
【0041】
上記印刷が繰り返されると、現像剤カートリッジ12の内部の現像剤Dが徐々に消費される。ブラックの現像剤カートリッジ12Kの内部の現像剤Dが消費され当該現像剤カートリッジ12Kの交換が必要となった場合、画像形成装置100は、使用者に対してブラックの現像剤カートリッジ12Kの交換を促すメッセージを情報表示部82に出力し、装置の動作を一時的に停止させる。この場合、使用者は、図5に示されるように、第1のカバー71を開ける。これにより、ブラックの現像剤カートリッジ12Kだけが開放される。次に、使用者は、ブラックの現像剤カートリッジ12Kを交換し、第1のカバー71を閉じる。ここで、第1のカバー71は、従来のような4の現像ユニット全体を覆うカバーと比較して小さいサイズに抑えられており、第1のカバー71の開閉は、従来のカバーの開閉よりも容易に行うことができる。
【0042】
Y,M,C色の現像剤カートリッジ12Y,12M,12Cの交換が必要となった場合には、使用者は、図5に示されるように第1のカバー71を開けた後、図6に示されるようにさらに第2のカバー72を開け、目的の現像剤カートリッジ12を交換する。交換後、使用者は、第2のカバー72を閉じ、ついで第1のカバー71を閉じる。ここで、第2のカバー72は、従来のような4つの現像ユニット全体を覆うカバーと比較して小さいサイズに抑えられており、第2のカバー72の開閉は、従来のカバーの開閉よりも容易に行うことができる。
【0043】
用紙搬送部30で用紙ジャムが発生した場合、例えば給紙ローラ22とレジストローラ31との間で用紙Pが詰まった場合、使用者は、第1のカバー71を開け、用紙搬送部30(または用紙ガイド32)を開放し、詰まった用紙Pを取り除く。すなわち、本例では、第1のカバー71は、ブラックの現像剤カートリッジ12Kを交換するときに開けられるカバーとして用いられるほか、用紙ジャムを解除するときに開けられるカバーとしても用いられる。
【0044】
[効果]
以上説明した本実施の形態1によれば、下記(1)〜(6)の効果が得られ得る。
(1)本実施の形態では、画像形成装置は、複数の現像剤カートリッジのうちの特定の現像剤カートリッジを覆い、当該特定の現像剤カートリッジの着脱が可能となるように開放可能な第1のカバーと、他の現像剤カートリッジを覆い、当該他の現像剤カートリッジの着脱が可能となるように開放可能な第2のカバーとを備える。本実施の形態によれば、複数の現像剤カートリッジ全体を覆うカバーを備える構成と比較して、カバーの大きさを小さくすることができ、これにより、現像剤カートリッジの交換時におけるカバーの開閉動作を小さくすることができる。これにより、例えば、現像剤カートリッジの交換時におけるカバーの開閉動作を容易化することができ、現像剤カートリッジの交換の際の作業負荷を軽減することができる。
【0045】
具体的には、従来のような、4つの現像剤カートリッジ全体を覆うカバーを備える画像形成装置では、使用者は、現像剤カートリッジを交換する際、カバーを大きく開くこととなる。このカバーを開けるときの回転角度は例えば70度から100度であり、カバーの開閉動作が大きい。このため、使用者、特に体の小さな使用者にとって、現像剤カートリッジの交換時におけるカバーの開閉作業の負荷が大きく、この負荷を軽減することが望まれる。本実施の形態では、上記の構成と比較して、カバー(第1および第2のカバー)のサイズを小さく抑えることができ、カバーの開閉作業の負荷を軽減することができる。
【0046】
(2)一つの態様では、特定の現像剤カートリッジは、ブラックの現像剤カートリッジである。本態様によれば、交換頻度の高いブラックの現像剤カートリッジの交換が容易となり、ユーザビリティを向上させることができる。
【0047】
(3)一つの態様では、第2のカバーは、当該第2のカバーの閉状態において各現像ユニットを固定する固定手段を有する。本態様では、第2のカバーによる各現像ユニットの固定状態を維持したまま、第1のカバーだけを開けることにより、特定の現像剤カートリッジを交換することができる。このため、どの現像剤カートリッジを交換する場合にも現像ユニットの固定解除および固定が行われる構成と比較して、現像剤カートリッジの交換に伴う現像ユニットの固定解除および固定の回数(頻度)を少なくすることができ、固定に係る部品の消耗を軽減することができる。
【0048】
(4)一つの態様では、上記固定手段は、第2のカバーに保持され、当該第2のカバーの閉状態において各現像ユニットに係合し、各現像ユニットにより現像される潜像を形成するプリントヘッドである。本態様では、各現像ユニットとプリントヘッドとの係合状態を維持したまま、第1のカバーだけを開けることにより、特定の現像剤カートリッジを交換することができる。このため、どの現像剤カートリッジを交換する場合にも係合解除および係合が行われる構成と比較して、現像剤カートリッジの交換に伴う現像ユニットとプリントヘッドとの係合解除(または離間)および係合の回数(頻度)を少なくすることができ、係合に係る部品の消耗を軽減することができる。
【0049】
具体的には、現像剤カートリッジが着脱可能に装着される4つの現像ユニットと、4つの現像剤カートリッジ全体を覆うカバーと、当該カバーに保持された4つの露光ヘッドとを有し、カバーの閉状態において4つの現像ユニットと4つの露光ヘッドとが係合する画像形成装置では、現像剤カートリッジの交換の度に、カバーが開閉され、現像ユニットと露光ヘッドとが離間した後に再係合する。この動作が頻繁に繰り返されると、係合に係る部品が消耗する。これにより、現像ユニット内の感光体ドラムに対する露光ヘッドの位置がずれ、形成される画像に不具合が生じる場合がある。したがって、現像ユニットと露光ヘッドとの離間および再係合の回数(頻度)は少ない方が望ましい。上記の画像形成装置では、どの現像剤カートリッジを交換する場合にも現像ユニットと露光ヘッドとの離間および再係合が行われ、その回数(頻度)が多い。これに対し、本実施の形態では、ブラックの現像剤カートリッジ12Kを交換する場合には、第1のカバー71だけを開ければよく、第2のカバー72を開ける必要がないので、現像ユニット11と露光ヘッド16との係合状態(または位置決め状態)を維持することができる。このため、現像ユニット11と露光ヘッド16との離間および再係合の回数(頻度)を減らすことができる。これにより、装置の信頼性が向上し、また、ヘッドガイド11b、位置決めピン11a、および位置決め穴16aの消耗を低減することができ、露光ヘッド16の位置ずれを抑制することができる。
【0050】
(5)一つの態様では、第1のカバーは、開状態において、画像形成用の用紙を搬送する用紙搬送部を開放する。本態様によれば、第1のカバーを開けることにより、用紙搬送部における用紙ジャムを解除することができる。また、第2のカバーによる現像ユニットの固定状態を維持したまま、第1のカバーだけを開けてジャム処理を行うことができ、ジャム処理に伴う現像ユニットの固定解除および固定の回数(頻度)を減らすことができ、固定に係る部品の消耗を軽減することができる。
【0051】
(6)一つの態様では、第2のカバーには、画像形成された用紙が排出され載置される用紙載置部が形成されている。本態様では、第2のカバーの用紙載置部に画像形成後の用紙が載置されていても、そのままの状態で、特定の現像剤カートリッジの交換作業や、用紙搬送部における用紙ジャムの解除作業を行うことができる。
【0052】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2における画像形成装置200の構成を示す概略図である。この画像形成装置200は、実施の形態1における画像形成装置100と殆ど同じであるので、実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を用い、説明を省略または簡略化することとする。
【0053】
図7において、第2のカバー72が開いて再び閉じる場合、現像ユニット11と露光ヘッド16とは、離間した後に再び係合する。この場合、カバーが開く前と再び閉じた後とで、各現像ユニット11の位置および各露光ヘッド16の位置が微妙に変化し、これにより、各現像ユニット11により形成される画像の位置(例えば用紙Pにおける各色の画像の位置)が変化する。
【0054】
本実施の形態2では、画像形成装置200は、第2のカバー72が閉じたことを検知した場合に、各現像ユニット11により形成される画像の位置ずれの補正を行う制御部230を備える。制御部230は、各現像ユニット11により形成される画像間の位置ずれ(例えば用紙Pにおける各色の画像間の位置ずれ)を補正する色ずれ補正や、各現像ユニット11により形成される画像の用紙Pに対する位置ずれを補正する印刷位置ずれ補正を行う。具体的には、制御部230は、第2のカバー72が閉じたことを検知した場合に、各現像ユニット11により補正用のパターンを転写媒体(例えば転写ベルト42や用紙P)上に形成し、当該形成されたパターンを読み取り、当該読み取りの結果に基づき、各現像ユニット11により形成される画像の位置ずれの補正を行う。
【0055】
図7の例では、画像形成装置200は、第1のカバー用センサスイッチ211、第2のカバー用センサスイッチ212、センサユニット220、および制御部230をさらに備える。
【0056】
第1のカバー用センサスイッチ211は、第1のカバー71の開閉状態を検知するセンサであり、例えば第1のカバー71に取り付けられる。第2のカバー用センサスイッチ212は、第2のカバー72の開閉状態を検知するセンサであり、例えば第2のカバー72に取り付けられる。
【0057】
センサユニット220は、転写媒体(ここでは転写ベルト42)上に形成された補正用のチェックパターンを読み取るセンサであり、例えば転写ベルトユニット41の下部に取り付けられる。
【0058】
制御部230は、第2のカバー用センサスイッチ212の出力に基づき、第2のカバー72が閉じたことを検知した場合に、各現像ユニット11により補正用のチェックパターンを転写媒体(ここでは転写ベルト42)上に形成し、当該形成されたチェックパターンをセンサユニット220により読み取り、当該読み取りの結果に基づいて、転写媒体上における各現像ユニット11により形成される画像の位置ずれの補正を行う。
【0059】
以下、本実施の形態2における画像形成装置200の動作について説明する。
ブラックの現像剤カートリッジ12Kの交換や、用紙搬送部30における用紙ジャムの解除等のため、第1のカバー71だけが開けられた場合、制御部230は、第1のカバー用センサスイッチ211および第2のカバー用センサスイッチ212によって、第1のカバー71だけが開けられたことを検知する。この場合、制御部230は、カバーは開けられたが、色ずれや印刷位置ずれに関係する現像ユニット11または露光ヘッド16の装置本体1に対する位置は変化していないと判断し、色ずれや印刷位置ずれの補正動作を実行しない。
【0060】
一方、Y,M,C色の現像剤カートリッジ12Y,12M,12Cの交換や、現像ユニット11の交換、定着ユニット54の交換、転写ベルトユニット41の交換、定着ユニット54や転写ベルトユニット41での用紙ジャムの解除等のため、第2のカバー72が開けられた場合、制御部230は、第2のカバー用センサスイッチ212によって、第2のカバー72が開けられたことを検知する。この場合、制御部230は、カバーの開放により現像ユニット11または露光ヘッド16の位置が変化した可能性があると判断し、第2のカバー用センサスイッチ212によって第2のカバー72の閉鎖を検知した後、色ずれや印刷位置ずれの補正を実行する。具体的には、制御部230は、転写ベルトを回転させ、各色の現像ユニット11を用いて各色のチェックパターン(現像剤像)を転写ベルト42上に形成し、転写ベルト42上の各色のチェックパターンをセンサユニット220により読み取って色ずれ量または位置ずれ量を検出し、検出された色ずれ量または位置ずれ量を基に露光ヘッド16の発光位置や発光のタイミングを補正する。
【0061】
以上説明した本実施の形態2によれば、上記(1)〜(6)の効果の他に、下記(7)〜(9)の効果が得られ得る。
【0062】
(7)本実施の形態では、制御部は、第2のカバーが閉じたことを検知した場合に、各現像ユニットにより形成される画像の位置ずれの補正を行う制御部を備える。本実施の形態によれば、第2のカバーの開閉により現像ユニットや露光ヘッドの位置が変化しても、適切な位置に画像を形成することができる。
【0063】
(8)上記制御部は、第1のカバーが閉じた場合には位置ずれの補正を実行しない。これにより、位置ずれ補正の回数(頻度)を減らすことができ、例えば、位置ずれ補正にかかる時間等の資源を減らすことができる。
【0064】
(9)一つの態様では、制御部は、第2のカバーが閉じたことを検知した場合に、各現像ユニットにより補正用のパターンを転写媒体上に形成し、当該形成されたパターンを読み取り、当該読み取りの結果に基づき上記位置ずれの補正を行う。本態様では、位置ずれ補正の回数(頻度)を減らすことにより、位置ずれ補正による現像剤の消費を減らすことができる。
【0065】
具体的には、現像剤カートリッジが着脱可能に装着される4つの現像ユニットと、4つの現像剤カートリッジ全体を覆うカバーとを有し、カバーが閉じたときに位置ずれ補正を行う画像形成装置では、どの現像剤カートリッジが交換された場合にも、カバーの開閉のたびに位置ずれ補正が行われ、位置ずれ補正の回数(頻度)が多い。これに対し、本実施の形態では、第2のカバーを閉じたまま、第1のカバーだけを開閉することで特定の現像剤カートリッジを交換することができ、特定の現像剤カートリッジの交換に伴う位置ずれ補正をなくすことができる。これにより、上記画像形成装置と比較して、現像剤カートリッジの交換に伴う位置ずれ補正の回数(頻度)を少なくすることができる。また、第2のカバーを閉じたまま、第1のカバーだけを開閉することで用紙搬送部における用紙ジャムを解除することができ、用紙搬送部における用紙ジャムの解除に伴う位置ずれ補正をなくすことができる。これにより、用紙ジャムの解除に伴う位置ずれ補正の回数(頻度)を少なくすることができる。
【0066】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様で実施することができる。
【0067】
例えば、特定の現像剤カートリッジは、上記実施の形態ではブラックの現像剤カートリッジであるが、他の現像剤カートリッジでもよい。例えば、ブラック以外の他の色の現像剤の使用頻度が高い場合には、当該他の色の現像剤カートリッジが特定の現像剤カートリッジとされてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、露光ヘッドとしてLEDを含むLEDヘッドを例示したが、他の形式の発光体を含む露光ヘッドが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 画像形成装置本体、 10 画像形成部、 11K,11Y,11M,11C 現像ユニット、 11a 係合部(位置決めピン)、 11b ヘッドガイド、 12K,12Y,12M,12C 現像剤カートリッジ、 13 感光体ドラム、 14 帯電部、 15 現像剤供給部、 16K,16Y,16M,16C 露光ヘッド、 16a 係合部(位置決め穴)、 17 ヘッドホルダ、 20 用紙給紙部、 21 用紙カセット、 22 給紙ローラ、 23 用紙分離ローラ、 24 用紙ホッピングプレート、 30 用紙搬送部、 31 レジストローラ、 32 用紙ガイド、 40 画像転写部、 41 転写ベルトユニット、 42 転写ベルト、 50 用紙定着部、 51 発熱体、 52 加圧ローラ、 53 加圧ベルト、 54 定着ユニット、 60 用紙排出部、 61 排出ローラ、 62 用紙ガイド、 70 外部カバー部、 71 第1のカバー、 72 第2のカバー、 81 用紙スタッカ、 82 情報表示部、 100,200 画像形成装置、 211 第1のカバー用センサスイッチ、 212 第2のカバー用センサスイッチ、 220 センサユニット、 230 制御部、 P 用紙、 D 現像剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列して配置され、それぞれ現像剤カートリッジが着脱可能に装着され、それぞれ前記現像剤カートリッジ内の現像剤により現像剤像を形成する複数の現像ユニットと、
前記複数の現像ユニットに装着される複数の現像剤カートリッジのうちの特定の現像剤カートリッジを覆い、当該特定の現像剤カートリッジの着脱が可能となるように開放可能な第1のカバーと、
前記複数の現像剤カートリッジのうちの前記特定の現像剤カートリッジ以外の現像剤カートリッジを覆い、当該特定の現像剤カートリッジ以外の現像剤カートリッジの着脱が可能となるように開放可能な第2のカバーと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2のカバーは、前記第2のカバーの閉状態において前記各現像ユニットを固定する固定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記固定手段は、前記第2のカバーに保持され、前記第2のカバーの閉状態において前記各現像ユニットに係合し、前記各現像ユニットにより現像される潜像を形成するプリントヘッドであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1のカバーおよび前記第2のカバーは、開状態において当該画像形成装置の上部を開放することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1のカバーは、開状態において当該画像形成装置の上部および側部を開放することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1のカバーは、開状態において、画像形成用の用紙を搬送する用紙搬送部を開放することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2のカバーには、画像形成された用紙が排出され載置される用紙載置部が形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2のカバーが閉じたことを検知した場合に、前記各現像ユニットにより形成される画像の位置ずれの補正を行う制御部をさらに備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2のカバーが閉じたことを検知した場合に、前記各現像ユニットにより補正用のパターンを転写媒体上に形成し、当該形成されたパターンを読み取り、当該読み取りの結果に基づき前記位置ずれの補正を行うことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−61577(P2013−61577A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201247(P2011−201247)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】