説明

画像形成装置

【課題】ファンを用いることなく搬送ローラーの結露を防止することで、低騒音化を図る。
【解決手段】本発明は、用紙にトナー像を定着させる定着装置23と、定着装置23よりも上方に配置され、トナー像が定着された用紙を所定の方向へと搬送するローラーユニット29と、を備えた画像形成装置1であって、ローラーユニット29は、搬送経路19に沿って配置され、回転可能に設けられる搬送ローラー45と、搬送ローラー45に接触し、搬送ローラー45に従動して回転する吸水ローラー47と、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関し、特に、用紙にトナー像を定着させる定着装置と、トナー像が定着された用紙を所定の方向へと搬送するローラーユニットと、を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンター等の電子写真方式の画像形成装置には、トナー像を加熱及び加圧して用紙に定着させる定着装置と、トナー像が定着された用紙を搬送するローラーユニットと、が設けられている。このローラーユニットは、定着装置よりも用紙の搬送経路の下流側に配置されており、例えば、用紙に対して両面印刷を行わない場合には用紙を排紙トレイへと搬送し、用紙に対して両面印刷を行う場合には用紙を反転経路へと搬送するように構成されている。
【0003】
このような構成の画像形成装置においては、定着装置によって用紙にトナー像を定着させる際に、用紙に含まれていた水分が水蒸気となって放出され、定着装置よりも搬送経路の下流側に配置される部材(特に、上記したローラーユニットに設けられる搬送ローラー)の表面に付着してしまうことがある。このように搬送ローラーの表面に水蒸気が付着すると、搬送ローラーによって形成される搬送ニップに水蒸気が水滴となって溜まることで結露が発生し、上記の搬送ニップを通過する用紙が水滴を吸収してしまう。このように用紙が水滴を吸収すると、用紙が濡れてしまい、用紙に対して両面印刷を行う場合に転写不良を引き起こす虞が有る。
【0004】
そこで、このような不具合を解消するために、定着装置で発生した水蒸気を逃がすための穴を排紙部に設ける構成が知られている。しかしながら、MFP(複合機)のように排紙部の上方が装置本体で塞がれる構造の場合、たとえ排紙部に穴を設けても、水蒸気の流動性が悪く、定着装置で発生した水蒸気を外部に十分に排出することができない。そのため、用紙が水滴を吸収してしまう問題が依然として発生する。
【0005】
そこで、従来は、排気用の通路を装置内部に形成し、ファンを用いて強制的に排気を行うことで対策することが多かった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−59512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような構成では、ファンが追加されることにより通紙時の騒音が上昇してしまうため、低騒音化を目指すことが困難になっていた。
【0008】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、ファンを用いることなく搬送ローラーの結露を防止することで、低騒音化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、用紙にトナー像を定着させる定着装置と、該定着装置よりも上方に設けられ、トナー像が定着された用紙を所定の方向へと搬送するローラーユニットと、を備えた画像形成装置であって、前記ローラーユニットは、前記搬送経路に沿って配置され、回転可能に設けられる搬送ローラーと、該搬送ローラーに接触し、該搬送ローラーの回転に従動して回転する吸水ローラーと、を備えていることを特徴とする。
【0010】
このような構成を採用することにより、搬送ローラーの表面に付着した水蒸気を吸水ローラーによって回収することが可能となり、ファンを用いなくても搬送ローラーの結露を防止することが可能となる。そのため、ファンを用いて搬送ローラーの結露対策を行う場合と比較して、低騒音化を図ることが可能となる。また、例えばシート状の吸水スポンジを固定して搬送ローラーに接触させるような場合と比較して、搬送ローラーと吸水ローラーの間の摩擦抵抗を軽減させることが可能となり、異音の発生を抑制して一層の低騒音化を図ることが可能となる。また、吸水ローラーの同一箇所に搬送ローラーが接触し続けるのを抑制することが可能となり、吸水性能の低下を抑制して、吸水ローラーの耐久性の向上を図ることが可能となる。また、吸水ローラーを駆動させるための手段を別個に設ける必要がなくなり、装置の構成の簡易化を図ることが可能となる。
【0011】
本発明の画像形成装置は、前記吸水ローラーを回転可能に支持し、且つ、前記搬送ローラー側に付勢する付勢部材を備えていても良い。
【0012】
このような構成を採用することで、吸水ローラーを回転可能に支持する部材を付勢部材とは別個に設ける場合と比較して、部品点数の削減を図ることが可能となる。
【0013】
本発明の画像形成装置は、前記定着装置と前記ローラーユニットの間には搬送ガイドが設けられ、該搬送ガイドには、流通穴が上下方向に設けられていても良い。
【0014】
このような構成を採用することで、流通穴を介して定着装置からの熱風がローラーユニットの周辺に流入する。そのため、定着装置で発生する熱をローラーユニットに効率的に伝達することが可能となり、吸水ローラーが乾燥しやすくなる。これに伴って、吸水ローラー内の水分が飽和して吸水ローラーへの水分の回収が困難になるといった不都合を回避することが可能となる。
【0015】
本発明の画像形成装置は、前記吸水ローラーは、上側を密閉された空間内に配置されていても良い。
【0016】
このような構成を採用することで、定着装置からの熱風が、上記した空間の外に逃げにくくなり、この点においても、吸水ローラーが乾燥しやすくなる。これに伴って、吸水ローラー内の水分が飽和して吸水ローラーへの水分の回収が困難になるといった不都合を回避することが可能となる。
【0017】
本発明の画像形成装置は、前記定着装置の上方には、該定着装置で発生する水蒸気を外部に排出するための穴が形成されていても良い。
【0018】
このような構成を採用することで、定着装置で発生した水蒸気を外部に排出しやすくなり、上記した吸水ローラーによる吸水効果と相俟って、搬送ローラーの表面における結露を一層効果的に抑制することが可能となる。
【0019】
本発明の画像形成装置は、前記ローラーユニットが設けられる前記搬送経路は、両面印刷用の反転経路であっても良い。
【0020】
このような両面印刷用の反転経路に沿って設けられるローラーユニットにおいて、搬送ニップに結露が発生すると、用紙に水分が付着して両面印刷時に転写不良が発生する虞がある。そのため、本発明の構成を用いて、用紙への水分の付着を確実に抑制する必要がある。つまり、本発明の構成は、両面印刷用の反転経路に沿って設けられるローラーユニットに好適である。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、ファンを用いることなく搬送ローラーの結露を防止することで、低騒音化を図ることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機の構成の概略を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る複合機において、定着装置及び定着装置よりも下流側部分を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る複合機において、排紙ユニットを示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る複合機において、第3ローラーユニット周辺を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る複合機において、第3ローラーユニット周辺を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、図1を用いて画像形成装置としての複合機1の全体の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る複合機の構成の概略を示す模式図である。
【0024】
複合機1は、箱型形状の複合機本体2を備えており、複合機本体2の下部には用紙(図示せず)を収納した給紙カセット3が設けられ、複合機本体2の上部には第1の排紙トレイ4が設けられ、第1の排紙トレイ4の上方には第2の排紙トレイ5が設けられている。
【0025】
複合機本体2の内部には、像担持体としての中間転写ベルト6が複数のローラー間に架設され、中間転写ベルト6の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器7が配置され、中間転写ベルト6の下部に沿って4個の画像形成部8がトナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられている。
【0026】
各画像形成部8には、感光体ドラム9が回転可能に設けられており、感光体ドラム9の周囲には、帯電器10と、現像器11と、一次転写部12と、クリーニング装置13と、除電器14とが、一次転写のプロセス順に配置されている。
【0027】
現像器11の下部には一対の攪拌ローラー15が設けられ、攪拌ローラー15の斜め上方には磁気ローラー16が設けられ、磁気ローラー16の斜め上方には現像ローラー17が設けられている。現像器11の上方には、各画像形成部8と対応する4個のトナーコンテナ18が、トナーの色ごとに設けられている。
【0028】
複合機本体2の一側(図面上右側)には、搬送経路19の一部を成す主経路20が設けられている。主経路20の上流端には給紙部21が設けられ、主経路20の中流部には中間転写ベルト6の一端(図面上右端)に二次転写部22が設けられ、主経路20の下流部には定着装置23が設けられている。定着装置23の詳細については後述する。
【0029】
主経路20は、定着装置23よりも下流側の部分において上下に分岐している。下側の分岐経路24の下流端部には第1ローラーユニット25が第1の排紙トレイ4の上方一側(図面上、上方右側)に設けられ、上側の分岐経路26の下流端部には第2ローラーユニット27が第2の排紙トレイ5の上方一側(図面上、上方右側)に設けられている。第1ローラーユニット25及び第2ローラーユニット27の詳細については後述する。第2ローラーユニット27は、主経路20の二次転写部22よりも上流側の部分と、主経路20の一側(図面上右側)に設けられた両面印刷用の反転経路28を介して接続されている。本実施形態では、主経路20と、各分岐経路24、26と、反転経路28とによって、搬送経路19が構成されている。反転経路28の上流端には、第3ローラーユニット29が設けられている。第3ローラーユニット29の詳細については後述する。
【0030】
次に、このような構成を備えた複合機1の画像形成動作について説明する。複合機1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着装置23の温度設定等の初期設定が実行される。そして、複合機1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0031】
まず、帯電器10によって感光体ドラム9の表面が帯電された後、露光器7からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム9に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム9の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像器11がトナーにより対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部12において中間転写ベルト6の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部8が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト6上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム9上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング装置13及び除電器14によって除去される。
【0032】
一方、給紙部21によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部22へと搬送され、二次転写部22において、中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像が用紙に二次転写される。トナー像を二次転写された用紙は、主経路20を下流側へと搬送されて定着装置23に進入し、この定着装置23において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、下側の分岐経路24又は上側の分岐経路26のいずれかに進入する。下側の分岐経路24に進入した用紙は、第1ローラーユニット25によって第1の排紙トレイ4上に排出される。上側の分岐経路26に進入した用紙は、第2ローラーユニット27によって第2の排紙トレイ5上に排出されるか、又は、両面印刷のために反転経路28へと搬送される。
【0033】
次に、主に図2〜図5を用いて、定着装置23及び第1〜第3ローラーユニット25、27、29について詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る複合機において、定着装置及び定着装置よりも下流側部分を示す断面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る複合機において、排紙ユニットを示す平面図である。図4は、本発明の一実施形態に係る複合機において、第3ローラーユニット周辺を示す断面図である。図5は、本発明の一実施形態に係る複合機において、第3ローラーユニット周辺を示す斜視図である。以下、便宜上、図2及び図4における手前側を各部材の正面側(前側)として説明する。図3においては、下側が各部材の正面側(前側)であり、図5においては、左手前側が各部材の正面側(前側)である。
【0034】
図2に示されるように、定着装置23は、加熱ローラー30と、加熱ローラー30の右方に設けられる加圧ローラー31と、を備えている。
【0035】
加熱ローラー30は、例えば、ローラー本体と、このローラー本体に周設されるベルト体と、により構成されている。ローラー本体は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属から成る円筒状の芯材と、この芯材に周設されるシリコンゴム等から成る弾性層と、この弾性層を被覆するPFA等のフッ素樹脂からなる離型層と、を備えている。ベルト体は、例えば、Ni等の強磁性材料で形成される基材と、この基材に周設されるシリコンゴム等から成る弾性層と、この弾性層を被覆するPFA等のフッ素樹脂からなる離型層と、を備えている。加熱ローラー30は、IH定着ユニット(図示せず)によって加熱されるようになっている。
【0036】
加圧ローラー31は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属から成る円筒状の芯材と、この芯材に周設されるシリコンゴム等から成る弾性層と、この弾性層を被覆するPFA等のフッ素樹脂からなる離型層と、を備えている。加圧ローラー31は、付勢手段(図示せず)の付勢力によって加熱ローラー30に圧接しており、加熱ローラー30と加圧ローラー31の間には定着ニップ33が形成され、加圧ローラー31が加熱ローラー30の回転に従動して回転するように構成されている。そして、主経路20に沿って搬送されてきた用紙を、定着ニップ33において加熱及び加圧することで、用紙上にトナー像を定着させるように構成されている。
【0037】
第1ローラーユニット25は、定着装置23の斜め上方(本実施形態では左上方)に配置されている。第1ローラーユニット25は、第1駆動ローラー37と、この第1駆動ローラー37の上方に配置される第1従動ローラー38と、を備えている。
【0038】
第1駆動ローラー37は、駆動源(図示せず)と複数のギア(図示せず)を介して接続されており、駆動源からの駆動力によって回転するように構成されている。第1従動ローラー38は第1駆動ローラー37に圧接しており、第1駆動ローラー37の回転に従動して回転するように構成されている。そして、第1駆動ローラー37及び第1従動ローラー38を回転させることで、下側の分岐経路24に搬送されてきた用紙を、第1の排紙トレイ4(図1参照)へと排出できるように構成されている。
【0039】
第2ローラーユニット27は、定着装置23のほぼ上方(正確には、定着装置23の上方よりもわずかに左に寄った位置)に設けられており、第1ローラーユニット25よりも定着装置23から離間している。
【0040】
第2ローラーユニット27は、第2駆動ローラー40と、第2駆動ローラー40の上方に配置される第2従動ローラー41と、を備えている。第2駆動ローラー40は、駆動源(図示せず)と複数のギア(図示せず)を介して接続されており、駆動源からの駆動力によって回転するように構成されている。第2従動ローラー41は、第2駆動ローラー40に圧接しており、第2駆動ローラー40に従動して回転するように構成されている。そして、第2駆動ローラー40及び第2従動ローラー41を一方向に回転させることで、上側の分岐経路26に搬送されてきた用紙を、第2の排紙トレイ5(図1参照)へと排出できるように構成されている。一方で、第2駆動ローラー40及び第2従動ローラー41を上記した一方向とは逆方向に回転させることで、上側の分岐経路26に搬送されてきた用紙を、反転経路28へとスイッチバックできるように構成されている。
【0041】
第2ローラーユニット27の上側は排紙ユニット42によって覆われている。図3に示されるように、排紙ユニット42の右側部には、多数のスリット状の長穴43が穿設されている。各長穴43は、左右方向に長い形状を成している。図2に示されるように、各長穴43は、定着装置23の上方に配置されている。排紙ユニット42の下面の右側部には、各長穴43の形成間隔ごとにリブ44が突設されている。各リブ44は、左右方向に長い形状を成しており、上側の分岐経路26を搬送されてきた用紙や上側の分岐経路26から反転経路28にスイッチバックされる用紙が、各長穴43に詰まるのを防止している。
【0042】
第3ローラーユニット29は、定着装置23の上方に配置されている。定着装置23と第3ローラーユニット29の間には複数の搬送ガイド73が存在し、各搬送ガイド73には流通穴74が上下方向に穿設されている。
【0043】
図4に最も良く示されるように、第3ローラーユニット29は、反転経路28に沿って設けられる搬送ローラーとしての第3駆動ローラー45と、この第3駆動ローラー45の左斜め下方に配置される第3従動ローラー46と、第3駆動ローラー45の右方に配置される吸水ローラー47と、を備えている。
【0044】
第3駆動ローラー45は、複合機本体2の右側面を被覆する右カバー48に回転可能に支持されている。第3駆動ローラー45は、第3ローラーユニット29の下方に設けられた駆動源(図示せず)とベルト機構(図示せず)を介して接続されており、駆動源からの駆動力によって回転するように構成されている。
【0045】
第3従動ローラー46は、第3駆動ローラー45に圧接して搬送ニップ51を形成しており、第3駆動ローラー45の回転に伴って従動回転するようになっている。そして、第3駆動ローラー45及び第3従動ローラー46を回転させることで、反転経路28の上流端へと搬送されてきた用紙を、反転経路28の下流側へと搬送できるようになっている。
【0046】
吸水ローラー47は、右カバー48の内側板50、外側板52(図2参照)及び上板53によって上側を密閉された空間54内に配置されている。吸水ローラー47は、軸部材55と、この軸部材55に周設される中間部材56と、この中間部材56に周設される吸水部材57と、を備えている。軸部材55及び中間部材56は例えば樹脂製であり、軸部材55から放射状に延びる4本の接続部材58によって一体化されている。吸水部材57は例えばスポンジ製であり、円筒状を成している。図5に最も良く示されるように、吸水ローラー47は第3駆動ローラー45と略同一の長さで形成されており、第3駆動ローラー45と同じ向きで配置されている。
【0047】
吸水ローラー47は、付勢部材としての板バネ59に取り付けられている。板バネ59は、板金を屈曲させることで形成されており、吸水ローラー47の右側面を覆うようにして設けられる側板60と、側板60の前後両端から左方に向かって屈曲される取付板61と、側板60の下端から右方に向かって屈曲される連結板62と、連結板62の右端から下方に向かって屈曲される固定板63と、を備えている。
【0048】
各取付板61には、貫挿穴(図示せず)が前後方向に穿設されており、この貫挿穴に吸水ローラー47の軸部材55の前後両端部が貫挿されることで、板バネ59に吸水ローラー47が回転可能に支持されている。
【0049】
板バネ59は、右カバー48の内側板50に固定されている。この固定について説明すると、固定板63の前後方向中央にはボルト穴(図示せず)が左右方向に穿設され、このボルト穴の前後両側にはボス穴64が左右方向に穿設されている。一方、右カバー48の内側板50には、右方に向かって5枚の突出板65が突設されている。各突出板65の上下方向中央部は補強板66(図4参照)によって連結されている。前後方向中央の突出板65には雌ネジ部(図示せず)が設けられており、この前後方向中央の突出板65の前後両側の突出板65には、それぞれボス67が突設されている。そして、各ボス67を固定板63の各ボス穴64に嵌合させた状態で、固定板63のボルト穴に貫挿させたボルト68を前後方向中央の突出板65に設けられた雌ネジ部に螺合させることで、板バネ59が内側板50に固定されている。
【0050】
吸水ローラー47は、板バネ59によって第3駆動ローラー45側に付勢されることで第3駆動ローラー45に圧接しており、第3駆動ローラー45が回転すると、この回転に従動して吸水ローラー47が回転するようになっている。
【0051】
なお、反転経路28には、第3ローラーユニット29の下方に、第4〜第6ローラーユニット70〜72(図1参照)が設けられている。第4ローラーユニット70は、定着装置23の右斜め上方に配置されている。第4〜第6ローラーユニット70〜72の構成は、吸水ローラー47が設けられていないことを除いて第3ローラーユニット29と同様であるため、説明を省略する。
【0052】
上記の如く構成されたものにおいて、画像形成動作時には、定着装置23によって用紙にトナー像を定着させる際に、用紙に含まれている水分が水蒸気となって放出される。この水蒸気の一部は、排紙ユニット42に設けられた各長穴43から外部に排出される。また、上記した水蒸気の別の一部は、各搬送ガイド73の隙間などを通って定着装置23の上方へと流動し、第3ローラーユニット29の第3駆動ローラー45の表面に付着する。この第3駆動ローラー45の表面に付着した水蒸気は、吸水ローラー47によって回収され、第3駆動ローラー45の表面から除去される。吸水ローラー47によって回収された水蒸気は、定着装置23で発生する熱によって乾燥される。
【0053】
本実施形態ではこのように、第3駆動ローラー45の表面に付着した水蒸気を吸水ローラー47によって回収しているため、ファンを用いなくても、第3駆動ローラー45の結露を防止することが可能となる。そのため、ファンを用いて第3駆動ローラー45の結露対策を行う場合と比較して、低騒音化を図ることが可能となる。
【0054】
また、吸水ローラー47が第3駆動ローラー45の回転に従動して回転するように構成されているため、例えばシート状の吸水スポンジを固定して第3駆動ローラー45に接触させるような場合と比較して、第3駆動ローラー45と吸水ローラー47の間の摩擦抵抗を軽減させることが可能となり、異音の発生を抑制して一層の低騒音化を図ることが可能となる。また、吸水ローラー47の同一箇所に第3駆動ローラー45が接触し続けるのを抑制することが可能となり、吸水性能の低下を抑制して、吸水ローラー47の耐久性の向上を図ることが可能となる。また、吸水ローラー47を駆動させるための手段を別個に設ける必要がなくなり、装置の構成の簡易化を図ることが可能となる。
【0055】
また、板バネ59は、吸水ローラー47を第3駆動ローラー45側に付勢する機能と吸水ローラー47を回転可能に支持する機能の両方を有している。そのため、吸水ローラー47を回転可能に支持する部材と吸水ローラー47を第3駆動ローラー45側に付勢する部材を別個に設ける場合と比較して、部品点数の削減を図ることが可能となる。
【0056】
また、本実施形態では、各搬送ガイド73に流通穴74が形成されており、この流通穴74を介して定着装置23からの熱風が第3ローラーユニット29の周辺に流入する(図2の一点鎖線矢印X参照)。そのため、定着装置23で発生する熱を第3ローラーユニット29に効率的に伝達することが可能となり、吸水ローラー47が乾燥しやすくなる。これに伴って、吸水ローラー47の吸水部材57内の水分が飽和して吸水ローラー47への水分の回収が困難になるといった不都合を回避することが可能となる。
【0057】
更に、上側を密閉された空間54内に吸水ローラー47が配置されており、定着装置23からの熱風が上記した空間54の外に逃げにくくなり、この点においても、吸水ローラー47を乾燥しやすくなる。
【0058】
また、本実施形態では、排紙ユニット42に長穴43を形成しているため、定着装置23で発生した水蒸気を外部に排出しやすくなり、上記した吸水ローラー47による吸水効果と相俟って、第3駆動ローラー45の表面における結露を一層効果的に抑制することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態では、反転経路28に設けられる第3ローラーユニット29に本発明の構成を適用している。このように反転経路28に沿って設けられる第3ローラーユニット29において搬送ニップ51に結露が発生すると、用紙に水分が付着して両面印刷時に転写不良が発生する虞がある。そのため、本発明の構成を用いて、用紙への水分の付着を確実に抑制する必要がある。つまり、本発明の構成は、反転経路28に沿って設けられる第3ローラーユニット29に好適である。
【0060】
本実施形態では、第3ローラーユニット29に設けられる一対のローラー(第3駆動ローラー45と第3従動ローラー46)のうち、第3駆動ローラー45のみに吸水ローラー47を接触させる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、第3従動ローラー46のみに吸水ローラー47を接触させたり、第3駆動ローラー45と第3従動ローラー46の両方にそれぞれ吸水ローラー47を接触させたりしても良い。つまり、「搬送ローラー」には、第3駆動ローラー45だけでなく、第3従動ローラー46も含まれる。
【0061】
本実施形態では、反転経路28に設けられる第3ローラーユニット29に本願発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、第1ローラーユニット25、第2ローラーユニット27、第4ローラーユニット70等の他の異なるローラーユニットに本願発明の構成を適用しても良い。つまり、「搬送ローラー」には、定着装置23よりも上方のローラーユニットに設けられて用紙の搬送に用いられるあらゆるローラーが含まれる。
【0062】
特に、第2ローラーユニット27は、定着装置23のほぼ上方に配置されていることから水蒸気が溜まりやすく、また、第1ローラーユニット25に比べて定着装置23から離間していることから、各ローラー40、41の表面に付着した水蒸気が乾燥しにくい。そのため、本発明の構成を適用することによる効果が高い。
【0063】
本実施形態では、スポンジ製の吸水部材57を用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、例えばフェルトや高分子吸収材等の他の異なる材質で形成される吸水部材57を用いても良い。
【0064】
本実施形態では、軸部材55と、中間部材56と、吸水部材57の三層構造で吸水ローラー47を構成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、軸部材55と吸水部材57の2層構造によって吸水ローラー47を形成したり、吸水部材57のみによって吸水ローラー47を形成したりすることも可能である。
【0065】
本実施形態では、付勢部材として板バネ59を用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、例えばコイルスプリング等の他の異なる付勢部材を用いても良い。
【0066】
本実施形態では、吸水ローラー47を回転可能に支持する部材と吸水ローラー47を第3駆動ローラー45等の搬送ローラー側に付勢する部材を同一の部材(板バネ59)としたが、他の異なる実施形態では、吸水ローラー47を回転可能に支持する部材と吸水ローラー47を第3駆動ローラー45等の搬送ローラー側に付勢する部材とを別個に設けても良い。
【0067】
本実施形態では、加熱ローラー30を加熱する手段としてIH定着ユニットを用いたが、他の異なる実施形態では、例えばハロゲンヒーター等の他の加熱手段を用いて加熱ローラー30を加熱しても良い。
【0068】
本実施形態では、複合機1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、カラープリンター、モノクロプリンター、複写機、ファクシミリ等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 複合機(画像形成装置)
19 搬送経路
23 定着装置
28 反転経路
29 第3ローラーユニット
43 長穴(穴)
45 第3駆動ローラー(搬送ローラー)
47 吸水ローラー
54 空間
59 板バネ(付勢部材)
74 搬送ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙にトナー像を定着させる定着装置と、該定着装置よりも上方に設けられ、トナー像が定着された用紙を所定の方向へと搬送するローラーユニットと、を備えた画像形成装置であって、
前記ローラーユニットは、
前記搬送経路に沿って配置され、回転可能に設けられる搬送ローラーと、
該搬送ローラーに接触し、該搬送ローラーの回転に従動して回転する吸水ローラーと、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記吸水ローラーを回転可能に支持し、且つ、前記搬送ローラー側に付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着装置と前記ローラーユニットの間には搬送ガイドが設けられ、該搬送ガイドには、流通穴が上下方向に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記吸水ローラーは、上側を密閉された空間内に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記定着装置の上方には、該定着装置で発生する水蒸気を外部に排出するための穴が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ローラーユニットが設けられる前記搬送経路は、両面印刷用の反転経路であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−64789(P2013−64789A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202235(P2011−202235)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】