画像形成装置
【課題】濃度測定に要する時間を短くしつつ、測定精度を向上させる。
【解決手段】一周目に検出された複数位置での下地測定データY11,Y12と、二周目に検出されたトナーパッチを形成されていない複数位置からのパッチ近傍測定データY21,Y22とから、二周目におけるトナーパッチを形成された下地の各位置でのパッチ下地データBa、Bb、Bcが推定される。本発明では、濃度センサ41の発光光量が安定するまで待たずに濃度測定を実行できるため、濃度測定に要する時間を従来よりも短くできる。パッチ下地データBa、Bb、Bcには、発光光量の変化比率と下地からの反射光量のバラツキとが反映されているため、濃度の測定精度を向上させることができる。
【解決手段】一周目に検出された複数位置での下地測定データY11,Y12と、二周目に検出されたトナーパッチを形成されていない複数位置からのパッチ近傍測定データY21,Y22とから、二周目におけるトナーパッチを形成された下地の各位置でのパッチ下地データBa、Bb、Bcが推定される。本発明では、濃度センサ41の発光光量が安定するまで待たずに濃度測定を実行できるため、濃度測定に要する時間を従来よりも短くできる。パッチ下地データBa、Bb、Bcには、発光光量の変化比率と下地からの反射光量のバラツキとが反映されているため、濃度の測定精度を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式によって画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置の画像濃度は、周囲環境の温度湿度条件やプロセスステーションの使用度合いにより変動する。そのため、画像形成装置は、画像濃度を制御してこの変動を補正している。画像形成装置は、感光体上、中間転写体(以下「ITB」と称す)または静電吸着搬送ベルト(以下ETBと称す)上に各色の濃度パッチ画像を形成し、これを濃度検知センサで読み取って、プロセス形成条件にフィードバックする。これによって各色の最大濃度やハーフトーン階調特性が理想的な状態に維持される。
【0003】
一般的に濃度検知センサは、濃度パッチを光源で照明し、反射光強度を受光センサで検知する。その反射光強度の信号はA/D変換され、CPUで処理され、プロセス形成条件にフィードバックされる。
【0004】
濃度検知センサの方式は反射光の乱反射成分を検知する方式と反射光の正反射成分を検知する方式の2つの方式に大別される。乱反射光検知方式は、色として感じる反射の成分を検知するので、有彩色トナーを検知するのに適しているが、黒トナーの検知には適していない。一方、正反射成光検知方式は、下地からの反射光を主として検知するので、トナー・下地の色によらず濃度検知をおこなうことができ、乱反射光検知方式よりも有利である。
【0005】
下地からの反射光を主として検知する正反射光検知方式の濃度センサでは、下地の使用度合いによって下地の表面状態が変動すると、反射光量も変動してしまう。そこで、特許文献1には、濃度パッチの反射光量を下地の反射光量で規格化する(以下「下地補正」と称する)ことが有効であると記載されている。下地補正のための下地反射光量の測定は、ETBまたはITBの材質むらや経時変化を考慮して、なるべく濃度パッチを作成するのと同じタイミング、かつ、下地の同じ位置で行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−292855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
濃度センサから照射される発光素子の発光光量は、発光素子自体の発熱等の影響によって変動してしまう。発光光量は、通電開始直後に大きく変動し、時間経過とともにゆるやかに収束する。
【0008】
従って、発光光量が収束する前にセンサによる検知を行うと検知結果に誤差が生じてしまう。一方、発光素子からの発光光量が安定するまで待機してから、濃度センサでの読み取りを開始する方法も考えられる。しかし、この方法では、濃度測定に要する時間が長くなってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、センサによる測定時間を短くしつつ、測定精度を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、
像担持体にトナー像を形成する画像形成手段と、
前記像担持体に前記トナー像が形成されていない状態における前記像担持体の下地からの第1の反射光と、前記像担持体に前記トナー像が形成されている状態における前記像担持体の下地の上に形成されたトナー像からの第2の反射光と、該トナー像の周囲にあるトナー像を形成されていない下地からの第3の反射光とを検出する検出手段と、
前記検出手段に検出された複数位置での前記第1の反射光の反射光量と、複数位置での前記第3の反射光の反射光量とから、前記トナー像が形成された前記下地の各位置での反射光量を推定する下地反射光量推定手段と、
前記第2の反射光の反射光量を、前記下地反射光量推定手段により推定された対応する反射光量で補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された補正後の反射光量に基づき、前記画像形成手段の画像形成条件を調整する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
これにより、本発明では、発光光量が安定するまで待たずに検出手段による測定を実行できるため、測定に要する時間を短くできる。また、測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】下地データ補正処理の説明する図。
【図2】画像形成装置の断面図。
【図3】濃度センサの構成を示す図。
【図4】画像形成装置の概略を示すブロック図。
【図5】トナーパッチの一例を示す図。
【図6】濃度制御を示すフローチャート。
【図7】パッチ下地データ推定処理を示すフローチャート。
【図8】パッチ下地データ推定処理の概要を示す図。
【図9】パッチ下地データ推定処理を示すフローチャート。
【図10】測定データプロファイルの説明する図。
【図11】測定データの位置補正の概要を示す図。
【図12】濃度制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
<画像形成装置の断面図>
図2はカラー画像形成装置の断面の一実施例を示す図である。多色の画像を形成する画像形成装置100について説明するが、発明の性質上、単色の画像を形成する画像形成装置にも本発明は適用できる。画像形成装置100は、画像情報に基づいて点灯する露光光により静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して単色トナー像を形成する。画像形成装置100は、それぞれ形成した各色の単色トナー像を重ね合わせ、それらを転写材11へ転写し、その転写材11上の多色トナー像を定着させる。転写材は、記録材、記録媒体、用紙、シート、転写紙と呼ばれることもある。以下、詳細に説明する。
【0015】
給紙部21a、21bから転写材11が給紙される。感光ドラム22は、像担持体の一種であり、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されて回転する。YMCKはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを示している。YMCKのそれぞれに共通する事項を説明するときは、参照番号からYMCKを省略するものとする。注入帯電器23は感光ドラム22を帯電させる。光学部24は画像情報に対応した露光光を発光し、感光ドラム22の表面を選択的に露光する。これにより、静電潜像が形成される。現像器26は、トナーカートリッジ25から供給される記録剤(トナー)により静電潜像を現像する。なお、感光ドラム22、注入帯電器23、現像器26、光学部24は、像担持体上にトナー像を形成するステーション(画像形成手段)を形成しており、YMCKの色ごとに設けられている。
【0016】
中間転写体27は、回転体であり、感光ドラム22Y、22M、22C、22Kに接触しており、中間転写体駆動ローラ42によってカラー画像形成時に時計周り方向に回転し、単色トナー像が一次転写される。その後、中間転写体27に転写ローラ28が接触して転写材11が狭持搬送され、転写材11に中間転写体27上の多色トナー像が二次転写される。転写ローラ28は、転写材11上に多色トナー像を転写している間は転写材11に当接し、印刷処理後は破線の位置に離間する。定着装置30は、転写材11を搬送しながら、多色トナー像を溶融定着させる。トナー像定着後の転写材11は、その後図示しない排出ローラによって図示しない排紙トレイに排出して画像形成動作を終了する。クリーニング装置29は、中間転写体27上に残ったトナーをクリーニングする。濃度センサ41は、画像形成装置100において中間転写体27へ向けて配置されており、中間転写体27の表面上に形成されたトナーパッチの濃度を測定する。
【0017】
また、以下では、画像の主走査方向に対して、上からみた場合に主走査方向と直交する方向(例えば転写材11の搬送方向や中間転写体27の回転方向)の称呼を、搬送方向もしくは副走査方向とする。
【0018】
<濃度センサの説明>
この濃度センサ41の構成の一例を図3に示す。濃度センサ41は、LEDなどの赤外光を発光する発光素子51と、フォトダイオード、Cds等の受光素子52、53受光データを処理するICとこれらを収容するホルダーなどで構成される。受光素子52はトナーパッチ64からの乱反射光を受光し、その強度を検知する。受光素子53はトナーパッチ64または下地からの正反射光及び乱反射光を受光し、その強度を検知する。正反射光強度と乱反射光強度の両方を検知することにより、高濃度から低濃度までのトナーパッチ64の濃度を検知することができる。なお、発光素子51と受光素子52の結合のために図示しない光学素子が用いられることもある。
【0019】
<画像形成装置の概略ブロック図>
図4は、画像形成装置のシステム構成を説明するためのブロック図である。
【0020】
コントローラ部401は、ホストコンピュータ400やエンジン制御部402と相互に通信が可能となっている。コントローラ部401はホストコンピュータ400から画像データと印刷条件(枚数、用紙サイズなど)を受信する。コントローラ部401は、ホストコンピュータ400から受信した画像データを画像展開してビデオ信号(画像情報)を生成し、ビデオインターフェイス部403を通してエンジン制御部402へ送信する。また、コントローラ部401は操作部413を備える。操作部413は、ユーザーからの操作指示の入力を受け付ける入力部と、画像形成装置100の情報を表示する表示部とを備えている。ビデオインターフェイス部403は、コントローラ部401からエンジン制御部402に対して送信されるコマンドや信号を受信し、エンジン制御部402からコントローラ部401に画像形成装置の状態や画像情報を要求する信号などを送信する。また、コントローラ部401からエンジン制御部402に送信される画像情報や前記転写材毎の印刷情報などを受信する。
【0021】
エンジン制御部402は、CPU404、ROM417、RAM418、不揮発メモリ419を備える。CPU404には各制御部や各種センサが接続される。CPU404は、ROM417に記憶されているプログラムに従って各手段を制御する。RAM418には、プログラムを実行する上でワークエリアとして機能する。不揮発メモリ419には、画像の累積形成枚数など、画像形成装置100を制御する上で必要なデータが格納されている。定着制御部405は、定着装置30の温度調節などを担当する。給紙制御部406は、転写材11の給紙と搬送を制御する。高圧制御部407は、注入帯電器23の帯電電圧や一次転写バイアス、二次転写バイアスなどを制御する。これらの制御部は、CPU404からの命令にしたがって動作する。
【0022】
CPU404は、印刷開始コマンドを受信すると、イエローを担当する第1ステーションに対するビデオ信号の出力の基準タイミングとなる/TOP信号をコントローラ部401に出力する。また、CPU404は、給紙制御部406に給紙動作を開始させる。給紙制御部406は、給紙された転写材11をレジストローラで一時待機させる。中間転写体27上に形成されたトナー画像が二次転写位置に到達するのに合わせて、給紙制御部406は、レジストローラから転写材11を再給紙する。転写材11には、コントローラ部401により送られたビデオ信号を元に生成された画像が転写される。定着制御部405により制御された定着装置30において転写材11に画像が定着される。
【0023】
なお、CPU404は、濃度センサ41が中間転写体27の周面のうちどの位置を検出しているかを把握するために、中間転写体27の周面に設けられたマーカーを検知する。マーカーは光学的、磁気的または電気的に検知可能である。CPU404は、マーカーを検知するマーカーセンサ43により、周面の絶対位置を特定する。たとえば、マーカーが周面の1か所に設けられていれば、中間転写体27が一回転するたびに、マーカーセンサ43は検知信号を1回出力する。よって、検知信号を基準としてカウンタをスタートすれば、カウンタのカウント値は周面の絶対位置を示すことになる。カウンタは、CPU404がソフトウエア的に実装しても良いし、ハードウエア回路により実装されてもよい。
【0024】
<濃度測定用トナーパッチ>
図5は、濃度測定用トナーパッチの一例を示す図である。トナーパッチ64は、それぞれ濃度が異なる複数のトナーパッチからなる。隣接した2つのトナーパッチ64は所定の間隔で離れて形成される。この間隔の部分にはトナー像が形成されないため、濃度センサ41は、下地からの反射光量を直接的に検出できる。なお、トナーパッチ64の数はこの例に示す限りではなく、たとえば、中間転写体27の周長や濃度制御にかける時間などによって変わる。
【0025】
<濃度制御のフローチャート>
図6に濃度制御のフローチャートを示し、以下説明する。尚、このフローチャートに示す処理は、CPU404が制御プログラムに従って行う処理である。以下では、次のようなデータを取り扱う。下地測定データは、下地から測定した第1の反射光の反射光量のデータである。パッチ測定データは、トナーパッチから測定した第2の反射光の反射光量のデータである。パッチ近傍測定データは、トナーパッチの近傍の下地から測定した第3の反射光の反射光量のデータである。パッチ下地データは、二周目にトナーパッチが形成された下地からの反射光量の推定値のデータである。
【0026】
ここでは、発明を分かりやすくするために、一周目に下地を測定し、二周目にパッチとその近傍を測定するものと仮定している。しかし、一周目にパッチとその近傍を測定し、二周目に下地を測定してもよい。このように、ある位置の下地の測定と、その位置に形成されたパッチとその近傍の下地の測定とは、それぞれ異なる周に実行されれば十分である。
【0027】
S601で、CPU404は、濃度センサ41の発光素子51を点灯する。
【0028】
S602で、CPU404は、マーカーセンサ43で特定した中間転写体27上の基準位置から中間転写体27の下地の反射濃度を測定する。CPU404は、濃度センサ41を用いて測定した下地の反射濃度(反射光量)を下地測定データとしてRAM418に保持する。下地の反射濃度の測定は、中間転写体27の一周目に実行される。このように、濃度センサ41は、中間転写体27の一周目に、中間転写体27の周面の下地からの反射光を検出する検出手段として機能する。
【0029】
S603で、CPU404は、ステーションを制御して、各色の濃度測定用のトナーパッチ64を中間転写体27上の所定位置に形成する。CPU404は、マーカーセンサ43で特定した基準位置を基準としたタイミングで光学部24の発光を開始させることで、トナーパッチ64を中間転写体27上の所定位置に形成する。光学部24には、トナーパッチ64に対応した画像情報がCPU404から入力される。
【0030】
S604で、CPU404は、トナーパッチ64の反射濃度を測定しパッチ測定データとしてRAM418に保存する。また、CPU404は、トナーパッチ64の近傍における中間転写体27の下地の反射濃度も測定し、パッチ近傍測定データとしてRAM418に保持する。パッチ測定データとパッチ近傍測定データの取得は、中間転写体27の二周目に実行される。このように、濃度センサ41は、中間転写体27の二周目に、下地の上に形成されたトナーパッチ64からの反射光と、トナーパッチ64の周囲にあるトナーパッチ64を形成されていない下地からの反射光とを検出する検出手段として機能する。
【0031】
S605で、CPU404は、濃度センサ41の発光光量の変動成分を補正するために、一周目に取得したパッチ形成位置の下地測定データと、二周目に取得したパッチ近傍測定データとから二周目のパッチ下地データを推定する。二周目ではトナーパッチ64が形成されるため、その位置での下地測定データを直接的に取得できない。そこで、CPU404は、一周目に取得したその位置の下地測定データと、その位置の近傍のパッチ近傍測定データとから二周目のパッチ下地データを推定する。
【0032】
S606で、CPU404は、パッチ下地データ(推定値)とパッチ測定データ(実測値)からパッチ濃度を算出する。この算出方法は公知であるため、詳細には説明しないこととする。このように、CPU404は、二周目に検出されたトナー像からの反射光量を、推定された対応する反射光量で補正して濃度値を算出する濃度値算出手段として機能する。なお、ここでの濃度値とは、パッチ濃度に換算することができる又は相関性のある補正後の反射光量のことを指す。また、具体的な濃度値の算出方法として、例えば以下の式を例示することができる。勿論、下記の式の算出方法に限定されることはなく、様々な周知の濃度値の算出方法を適用することが可能である。
【0033】
濃度値(補正後反射光量)=Pr/Br−α×Pd ・・・ [式0]
なお、数式中に用いられている各変数や定数は以下の通りである。
Pr:パッチ測定データのうち、受光素子53による検知結果
Br:パッチ下地測定データのうち、受光素子53による検知結果
α:係数
Pd:パッチ測定データのうち、受光素子52による検知結果
S607で、CPU404は、算出したパッチ濃度(補正後の反射光量)を画像形成条件にフィードバックする。パッチ濃度が目標濃度に近づくように、CPU404は、画像処理の条件(ルックアップテーブル)を変更したり、注入帯電器23の帯電電圧や転写バイアスなどを変更したりして画像形成条件を調整制御する。このように、CPU404は、算出された濃度値を、トナー像の濃度に係る画像形成条件にフィードバックするフィードバック手段及び画像形成条件を調整する制御手段として機能する。
【0034】
<下地データの推定処理>
図1に、下地データ推定処理の概要を示す。図1(a)は、一周目の下地測定と二周目のパッチ測定の時間と濃度センサ41の値の概要を示している。TMは、マーカーセンサ43がマーカーを検出したタイミングを示している。T11〜T12は一周目の測定タイミングを示しており、T21〜T22は二周目の測定タイミングを示している。なお、T11〜T12とT21〜T22はTMを基準としたタイミングであるため、T11〜T12とT21〜T22は中間転写体27の周面の同じ位置に対応している。つまり、T11に取得されたデータと、T21に取得されたデータは、周面の同じ位置から取得されたデータである。このように、Tijは、i周目の位置jを示す情報である。 濃度センサ41は発光素子51の発光光量が発光開始から時間経過によって変化する特性を有している。本実施例では、濃度制御の測定時間短縮のために、発光開始からすぐに測定が開始される。そのため、発光素子51の発光光量は測定中も時間経過によって変化する。
【0035】
一周目の下地測定時と二周目のパッチ測定時では、時間経過によって変化する発光光量の違いがある。そのため、パッチを形成していない中間転写体27上の位置を測定しても、一周目と二周目とでは濃度センサ41
の測定値が異なる。一周目の測定時と二周目の測定時の発光光量の差は、トナーパッチ64の下地データの誤差をもたらす。本実施例では、一周目に取得した下地測定データと、トナーパッチ64の近傍の下地からのパッチ近傍測定データとから二周目のパッチ下地データを推定する。これにより、一周目と二周目とにおける発光素子51の発光光量の差によるパッチ濃度演算への影響を低減している。
【0036】
図1(b)は、図1(a)における中間転写体27上の同じ位置の測定タイミングとなるT11〜T12とT21〜T22を同じ時間軸に重ねた図である。また、図7はパッチ下地データの推定およびパッチ測定データの補正処理のフローチャートである。なお、S701ないしS705は図6のS605に対応している。図1(b)と図7を用いて、測定中に時間経過で変化する発光光量の変化を補正する処理について以下に示す。
【0037】
S701で、CPU404は、一周目の下地測定データからパッチ形成位置付近のデータを線形に置き換える。具体的に、CPU404は、
y1 = α×T1 + m ・・・ [式1]
を満たす傾きαと切片mを、時間T11における測定値Y11と、時間T12における測定値Y12から求める。式1は、中間転写体27の一周目に検出された複数位置(T11、T12)での反射光量(Y11、Y12)から導出された、位置と反射光量との関係を表す第1の式である。つまり、CPU404は、第1の式を導出する第1導出手段として機能する。
【0038】
S702で、CPU404は、式1から下地のバラツキを求める。まず、CPU404は、式1に、パッチ形成位置となる時間T1a、T1b、T1cを代入し、値y1a、y1b、y1cを求める。尚、y1aなどの小文字のyを用いた表記は[式1]による演算により求められた論理値を意味する。CPU404は、値y1a、y1b、y1cと、実際の測定値Y1a、Y1b、Y1cから、下地の材質むらや経時変化などによるバラツキ値Δを算出する。この算出には、以下の式が使用される。
【0039】
Δ = y − Y ・・・ [式2]
これにより、Δa、Δb、Δcが求められる。このように、CPU404は、下地の複数位置(T1a、T1b、T1c)において第1の式から反射光量(y1a、y1b、y1c)を算出する。さらに、CPU404は、これらの反射光量(y1a、y1b、y1c)と、中間転写体27の一周目に検出された複数位置での反射光量(Y1a、Y1b、Y1c)との差分をバラツキ値(Δa、Δb、Δc)として算出するバラツキ値算出手段として機能する。
【0040】
S703で、CPU404は、2周目に測定したパッチ非形成位置での下地測定データからパッチ形成位置付近のデータを線形に置き換える。具体的に、CPU404は、
y2 = β×T2 + n ・・・ [式3]
を満たす傾きβと切片nを、時間T21における測定値Y21と、時間T22における測定値Y22から求める。つまり、CPU404は、二周目に検出されたトナー像を形成されていない複数位置(T21、T22)からの反射光量(Y21、Y22)から、位置と反射光量との関係を示す第2の式(式3)を導出する第2導出手段として機能する。
【0041】
S704で、CPU404は、下地のバラツキ値を修正する。CPU404は、式3にパッチ形成位置に対応した時間T2a、T2b、T2cを代入し、値y2a、y2b、y2cを求める。
【0042】
また、CPU404は、二周目においてトナーパッチ64を形成される下地の複数位置のそれぞれについて式1から算出された反射光量と、式3から算出された反射光量とから、一周目と二周目との間における反射光量の変化比率を算出する。つまり、CPU404は、変化比率算出手段として機能する。ここでは、下地測定時とパッチ測定時の光量差による変化比率は、y2a/y1a、y2b/y1b、y2c/y1cである。
【0043】
Δ’= Δ ×(y2/y1) ・・・ [式4]
式4に変化比率とバラツキ値Δa、Δb、Δcを代入することで、CPU404は、変化比率で修正したバラツキ値Δa’、Δb’、Δc’を求める。このように、CPU404は、一周目における下地の複数位置のそれぞれでのバラツキ値を対応する変化比率で修正して二周目における下地の複数位置のそれぞれでのバラツキ値を求めるバラツキ値修正手段として機能する。
【0044】
S705で、CPU404は、パッチ形成位置におけるパッチ下地データを推定する。CPU404は、式3から求めた値y2a、y2b、y2cを下地のバラツキ値Δa’、Δb’、Δc’で補正することで、パッチ下地データBa、Bb、Bcを推定する。この推定式は、以下の式5である。
【0045】
B = y2 − Δ’ ・・・ [式5]
このように、CPU404は、二周目においてトナーパッチを形成される下地の複数位置についての式3から反射光量を求める。さらに、CPU404は、この反射光量を対応する修正後のバラツキ値で補正して、二周目においてトナーパッチを形成される下地の複数位置のそれぞれでの反射光量を推定する。その後、上述したS606で、CPU404は、このパッチ下地データBa、Bb、Bcとパッチ測定値からパッチ濃度を算出する。
【0046】
なお、[式2]にy1(y1a、y1b・・・)、Y1(Y1a、Y1b・・・)を代入すると、Δ = y1 − Y1となる。これを式4に代入すると、以下のようになる。Δ’=(y1−Y1)×(y2/y1)となり、さらにこれを式5に代入すると、以下のようになる。
【0047】
B = y2 − (y1−Y1)×(y2/y1)
B = Y1×(y2/y1) ・・・ [式6]
すなわち、実際の中間転写体27の表面測定値Y1に、1周目と2周目とにおける同一/略同一下地位置の演算論理値の比を乗算することでも、式5と同様の下地データBを得ることができる。
【0048】
以上のように、本実施例においては、一周目に検出された複数位置での反射光量と、二周目に検出されたトナー像を形成されていない複数位置からの反射光量とから、二周目におけるトナー像を形成された下地の各位置での反射光量が推定される。つまり、CPU404は、下地反射光量推定手段として機能する。本実施例では、濃度センサ41の発光光量が安定するまで待たずに濃度測定を実行できるため、濃度測定に要する時間を従来よりも短くできる。
【0049】
また、CPU404は、一周目に検出された複数位置での反射光量と、二周目に検出されたトナー像を形成されていない複数位置からの反射光量と、から回転体の一周目と二周目との間における反射光量の変化比率を求める。さらに、CPU404は、この変化比率で一周目における各位置の下地の反射光量のバラツキ値を修正して、二周目における下地の各位置での反射光量を求める。或いは、CPU404は、この変化比率を用い、一周目における各位置の下地における反射光量を補正する。このように、本実施例では、トナーパッチ64を形成された下地の位置からの反射光量の推定に、発光光量の変化比率を用いており、これにより濃度測定に要する時間の短縮及び精度向上を達成することができる。
【0050】
以下では、発明を分かりやすくするために、一周目に下地を測定し、二周目にパッチとその近傍を測定するものと仮定する。しかし、図12が示すように、一周目にパッチとその近傍を測定し、二周目に下地を測定してもよい。このように、ある位置の下地の測定と、その位置に形成されたパッチとその近傍の下地の測定とは、それぞれ異なる周に実行されれば十分である。
【0051】
図12を用いて、他の制御方法について説明する。なお、S601、S606およびS607については、図6と共通するステップであるため、説明を省略する。S601の次にS1202に進む。
【0052】
S1202で、CPU404は、ステーションを制御して、各色の濃度測定用のトナーパッチ64を中間転写体27上の所定位置に形成する。CPU404は、マーカーセンサ43で特定した基準位置を基準としたタイミングで光学部24の発光を開始させることで、トナーパッチ64を中間転写体27上の所定位置に形成する。光学部24には、トナーパッチ64に対応した画像情報がCPU404から入力される。
【0053】
S1203で、CPU404は、トナーパッチ64の反射濃度を測定し、パッチ測定データとしてRAM418に保存する。また、CPU404は、トナーパッチ64の近傍における中間転写体27の下地の反射濃度も測定し、パッチ近傍測定データとしてRAM418に保持する。パッチ測定データとパッチ近傍測定データの取得は、中間転写体27の一周目に実行される。このように、濃度センサ41は、中間転写体27の一周目に、下地の上に形成されたトナーパッチ64からの反射光と、トナーパッチ64の周囲にあるトナーパッチ64を形成されていない下地からの反射光とを検出する検出手段として機能する。
【0054】
S1204で、CPU404は、マーカーセンサ43で特定した中間転写体27上の基準位置から中間転写体27の下地の反射濃度を測定する。CPU404は、濃度センサ41を用いて測定した下地の反射濃度(反射光量)を下地測定データとしてRAM418に保持する。下地の反射濃度の測定は、中間転写体27の二周目に実行される。このように、濃度センサ41は、中間転写体27の二周目に、中間転写体27の周面の下地からの反射光を検出する検出手段として機能する。
【0055】
S1205で、CPU404は、濃度センサ41の発光光量の変動成分を補正するために、二周目に取得したパッチ形成位置の下地測定データと、一周目に取得したパッチ近傍測定データとから一周目のパッチ下地データを推定する。一周目ではトナーパッチ64が形成されるため、その位置での下地測定データを直接的に取得できない。そこで、CPU404は、二周目に取得したその位置の下地測定データと、その位置の近傍のパッチ近傍測定データとから一周目のパッチ下地データを推定する。具体的な計算方法についてはすでに図7を用いて説明したとおりである。
【0056】
その後、CPU404は、S606およびS607を実行する。
【0057】
このように、パッチ形成位置の実際の下地測定データを取得する工程と、パッチ近傍測定データを取得する工程とはどちらが先であってもよい。また、必ずしも連続した周回において2つの工程が実行されなくてもよい。これを一般化すると、次のようになる。検出手段は、回転体のh周目に、回転体の周面の下地からの反射光を検出し、回転体のi周目に、回転体の下地の上に形成されたトナー像からの反射光と、該トナー像の周囲にあるトナー像を形成されていない下地からの反射光とを検出する。下地反射光量推定手段は、回転体のh周目に検出された複数位置での反射光量と、回転体のi周目に検出されたトナー像が形成されていない複数位置からの反射光量とから、回転体のi周目におけるトナー像が形成された下地の各位置での反射光量を推定する(hとiは異なる自然数)。補正手段は、回転体のi周目に検出されたトナー像からの反射光量を、下地反射光量推定手段により推定された対応する反射光量で補正する。
【0058】
このように、h>iまたはh<iのいずれであってもよいし、|h−i|は必ずしも1でなくてもよい。ただし、|h−i|=1の場合、推定精度が高いと考えられる。すなわち、連続した2周においてこれらの工程を実行すると、パッチ下地データの推定精度が高まると考えられる。これは、2つの工程間の時間差が短いからである。
【0059】
上記の実施例では、下地データと、パッチ近傍における中間転写体上の同じ位置の測定データと、をもとに、パッチ下地データを推定した。本実施例では、数点の測定データの平均値からパッチ下地データを推定する方法について説明する。平均値を用いるため、測定タイミングの誤差に起因した中間転写体27上の測定位置のずれの影響を低減できる。本実施例における画像形成装置の概略構成の説明から、濃度制御の制御フローまでは、上記の実施例と同様であるため、説明は省略する。
【0060】
図8は上記の実施例と同様に、中間転写体上の同じ位置の測定タイミングとなるT11〜T12とT21〜T22を同じ時間軸に重ねた図である。また、図9は、本実施例におけるパッチ下地データ推定処理を示すフローチャートである。図8と図9を用いて、本実施例の下地データ補正処理を説明する。なお、S901ないしS908は図6のS605に対応し、S909およびS910は図6のS606に対応している。
【0061】
S901で、CPU404は、パッチ形成位置の前後の位置における一周目の下地測定データの平均値を求める。図8に示すように、CPU404は、時間T11の前後5点の平均値Y11を求めるとともに、時間T12の前後5点の平均値Y12を求める。また平均値の求め方について、単純平均(相加平均)のみに限定されず、加重平均(重み付き平均)を適用してもよい。
【0062】
S902で、CPU404は、パッチ形成位置付近の一周目データを線形に置き換えるため、式1を満たす傾きαと切片mを、時間T11、T12、平均値Y11、Y12から求める。このように、CPU404は、中間転写体27の一周目に検出された複数位置での反射光量の平均値を求め、複数の平均値Y11、Y12から式1を導出する第1導出手段として機能する。
【0063】
S903で、CPU404は、二周目の5点のパッチ形成位置と同一の位置における一周目の下地測定データの平均値Y1pを求める。また、平均値Y1pに対応した時間をT1pとする。T1pは5点の各時間の平均になる。また5点の時間の真ん中ともいえる。
【0064】
S904で、CPU404は、下地のバラツキ値Δを求めるため、S902で導出した式1に時間T1pを代入し、値y1pを求める。さらに、CPU404は、式2にy1pとY1pを代入して下地のバラツキ値Δpを求める。
【0065】
S905で、CPU404は、パッチ形成位置の前後の位置における二周目のパッチ近傍測定データの平均値を求める。時間T21の前後5点の平均値Y21を求めるとともに、時間T22の前後5点の平均値Y22を求める。
【0066】
S906で、CPU404は、パッチ近傍測定データを線形に置き換えるため、式3を満たす傾きβと切片nを、平均値Y21、Y22から求める。このように、CPU404は、中間転写体27の二周目に検出されたトナーパッチ64を形成されていない複数位置からの反射光量の平均値を求め、複数の平均値Y21、Y22から式3を導出する第2導出手段として機能する。
【0067】
S907で、CPU404は、下地のバラツキ値を修正する。まず、CPU404は、S906で求めた式3に時間T1pを代入し、値y2pを求める。さらに、CPU404は、y1pとy2pから変化比率を求め、変化比率とバラツキ値Δpを式4に代入し、修正されたバラツキ値Δp’を求める。
【0068】
S908で、CPU404は、y2pと修正されたバラツキ値Δp’を式5に代入し、パッチ下地データBp(=y2p−Δp’)を求める。
【0069】
S909で、CPU404は、パッチ形成位置で取得された5点のパッチ測定データの平均値Y2pを求める。
【0070】
S910で、CPU404は、パッチ測定データの平均値Y2pとパッチ下地データBpからパッチ濃度を求める。このように、CPU404は、二周目に検出されたトナーパッチ64からの反射光量の平均値Y2pを求め、平均値Y2pを、対応するパッチ下地データBpで補正して濃度値を算出する濃度値算出手段として機能する。なお、二周目に検出されたトナーパッチ64からの反射光量の平均値Y2pをパッチ下地データで補正する処理は、上記の実施例のS606において実行してもよい。
【0071】
このように、本実施例では、数点の測定データの平均値からパッチ下地データを推定するため、測定タイミングの誤差に起因した中間転写体27上の測定位置のずれの影響を低減できる。
【0072】
なお、上記の実施例では、一周目の測定データと二周目の測定データを全てRAM418で保持しておきパッチ濃度補正処理を行うため、大きなRAM容量が必要となっていた。一方、本実施例では、平均化した値のみをRAM418で保持するため、RAM容量を節約できる。
【0073】
本実施例では、平均値を求めるための測定点を5点としたが、測定点の数を限定するものではなく、中間転写体27の周長やトナーパッチ64の大きさ、RAM容量などにより変更してもよい。
【0074】
なお、上記の実施例で説明した[式6]を用いて、Bp = Y1p×(y2p/y1p)としてBpをCPU404に演算させてもよい。すなわち、一周目の下地測定データの平均値Y1pに、中間転写体27の一周目と二周目の間における同一/略同一位置での演算論理値(反射光量)の比(変化率y2p/y1p)を乗じて、補正後のパッチ下地データを求めるようにしてもよい。
【0075】
以上説明したように、測定タイミングの誤差により中間転写体上の測定位置がずれてしまう場合に、測定データ数点の平均値からパッチ下地補正を行うことが可能となるとともに、RAM容量を節約することができる。
【0076】
本実施例は、測定データのプロファイルから位置情報を算出して、プロファイルから同じ位置の測定データを特定し、パッチ下地データを推定する発明である。これにより、本実施例では、上記の実施例よりも濃度測定の精度が向上するであろう。本実施例における画像形成装置の概略構成の説明から、濃度制御の制御フローまでは、上記の実施例と同様であるため、説明は省略する。
【0077】
ここでは、各サンプル位置を示す変数をjとする。一周目における測定データをA(j)とし、二周目における測定データをB(j)とする。たとえば、一周目の測定開始時の測定データはA(0)であり、二周目の測定開始時の測定データはB(0)である。
【0078】
図10において、T11とT21はj=1での一周目と二周目の同一のタイミングを示し、本来これらは、中間転写体27上の同じ位置に対応しているはずである。ここで、パッチを形成されない位置での一周目の測定データA(j)、二周目の測定データB(j)に着目する。A(j)は、中間転写体27の一周目に検出された複数位置での反射光量から導出された第1のプロファイルである。B(j)は、中間転写体27の二周目に検出された複数位置での反射光量から導出された第2のプロファイルである。CPU404は、プロファイル導出手段として機能する。
【0079】
図10(a)が示すように、CPU404は、中間転写体27上の同じ位置の測定データとなるはずである、5点の一周目の測定データA(j)および二周目の測定データB(j)を比較し、その差分の積算値Xを式7により求める。
【0080】
【数7】
【0081】
式7で、kは位置のずらし量である。
【0082】
図10(b)は、ずらし量kを1とした例を示している。CPU404は、ずらし量kを変えながら10回の積算値Xを求める。求めた積算値Xが最小になるときのずらし量kが、位置データjの修正量となる。たとえば、A(j)とB(j+k)は、中間転写体27上の同じ位置の測定データである。CPU404は、ずらし量kで二周目の測定データB(j)をB(j+k)と修正し、修正後の測定データB(j+k)を使用して、上記の実施例の方法を実行する。このように、CPU404は、第1のプロファイルと第2のプロファイルとを比較して、一周目に反射光量を検出した位置に対応する二周目に反射光量を検出した位置を特定し、二周目に反射光量を検出した位置のデータを修正する位置データ修正手段として機能する。
【0083】
図11が示す例では、ずらし量を1とすることで、一周目の測定データと二周目の測定データとの各測定位置が整合することになる。
【0084】
このように、本実施例では、CPU404が、測定データのプロファイルから同じ位置の測定データを特定し、パッチ下地データを推定する。これにより、本実施例では、上記の実施例よりも濃度測定の精度が向上するであろう。
【0085】
なお、本発明では、中間転写体27にトナーパッチ64を形成するものとして説明したが、中間転写体27に代えて転写材11を吸着して搬送する静電吸着搬送ベルトが採用されても良い。本発明は、静電吸着搬送ベルトを回転体として採用しても、トナーパッチ64の濃度と、静電吸着搬送ベルトの下地の濃度を検出できるからである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式によって画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置の画像濃度は、周囲環境の温度湿度条件やプロセスステーションの使用度合いにより変動する。そのため、画像形成装置は、画像濃度を制御してこの変動を補正している。画像形成装置は、感光体上、中間転写体(以下「ITB」と称す)または静電吸着搬送ベルト(以下ETBと称す)上に各色の濃度パッチ画像を形成し、これを濃度検知センサで読み取って、プロセス形成条件にフィードバックする。これによって各色の最大濃度やハーフトーン階調特性が理想的な状態に維持される。
【0003】
一般的に濃度検知センサは、濃度パッチを光源で照明し、反射光強度を受光センサで検知する。その反射光強度の信号はA/D変換され、CPUで処理され、プロセス形成条件にフィードバックされる。
【0004】
濃度検知センサの方式は反射光の乱反射成分を検知する方式と反射光の正反射成分を検知する方式の2つの方式に大別される。乱反射光検知方式は、色として感じる反射の成分を検知するので、有彩色トナーを検知するのに適しているが、黒トナーの検知には適していない。一方、正反射成光検知方式は、下地からの反射光を主として検知するので、トナー・下地の色によらず濃度検知をおこなうことができ、乱反射光検知方式よりも有利である。
【0005】
下地からの反射光を主として検知する正反射光検知方式の濃度センサでは、下地の使用度合いによって下地の表面状態が変動すると、反射光量も変動してしまう。そこで、特許文献1には、濃度パッチの反射光量を下地の反射光量で規格化する(以下「下地補正」と称する)ことが有効であると記載されている。下地補正のための下地反射光量の測定は、ETBまたはITBの材質むらや経時変化を考慮して、なるべく濃度パッチを作成するのと同じタイミング、かつ、下地の同じ位置で行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−292855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
濃度センサから照射される発光素子の発光光量は、発光素子自体の発熱等の影響によって変動してしまう。発光光量は、通電開始直後に大きく変動し、時間経過とともにゆるやかに収束する。
【0008】
従って、発光光量が収束する前にセンサによる検知を行うと検知結果に誤差が生じてしまう。一方、発光素子からの発光光量が安定するまで待機してから、濃度センサでの読み取りを開始する方法も考えられる。しかし、この方法では、濃度測定に要する時間が長くなってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、センサによる測定時間を短くしつつ、測定精度を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、
像担持体にトナー像を形成する画像形成手段と、
前記像担持体に前記トナー像が形成されていない状態における前記像担持体の下地からの第1の反射光と、前記像担持体に前記トナー像が形成されている状態における前記像担持体の下地の上に形成されたトナー像からの第2の反射光と、該トナー像の周囲にあるトナー像を形成されていない下地からの第3の反射光とを検出する検出手段と、
前記検出手段に検出された複数位置での前記第1の反射光の反射光量と、複数位置での前記第3の反射光の反射光量とから、前記トナー像が形成された前記下地の各位置での反射光量を推定する下地反射光量推定手段と、
前記第2の反射光の反射光量を、前記下地反射光量推定手段により推定された対応する反射光量で補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された補正後の反射光量に基づき、前記画像形成手段の画像形成条件を調整する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
これにより、本発明では、発光光量が安定するまで待たずに検出手段による測定を実行できるため、測定に要する時間を短くできる。また、測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】下地データ補正処理の説明する図。
【図2】画像形成装置の断面図。
【図3】濃度センサの構成を示す図。
【図4】画像形成装置の概略を示すブロック図。
【図5】トナーパッチの一例を示す図。
【図6】濃度制御を示すフローチャート。
【図7】パッチ下地データ推定処理を示すフローチャート。
【図8】パッチ下地データ推定処理の概要を示す図。
【図9】パッチ下地データ推定処理を示すフローチャート。
【図10】測定データプロファイルの説明する図。
【図11】測定データの位置補正の概要を示す図。
【図12】濃度制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
<画像形成装置の断面図>
図2はカラー画像形成装置の断面の一実施例を示す図である。多色の画像を形成する画像形成装置100について説明するが、発明の性質上、単色の画像を形成する画像形成装置にも本発明は適用できる。画像形成装置100は、画像情報に基づいて点灯する露光光により静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して単色トナー像を形成する。画像形成装置100は、それぞれ形成した各色の単色トナー像を重ね合わせ、それらを転写材11へ転写し、その転写材11上の多色トナー像を定着させる。転写材は、記録材、記録媒体、用紙、シート、転写紙と呼ばれることもある。以下、詳細に説明する。
【0015】
給紙部21a、21bから転写材11が給紙される。感光ドラム22は、像担持体の一種であり、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されて回転する。YMCKはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを示している。YMCKのそれぞれに共通する事項を説明するときは、参照番号からYMCKを省略するものとする。注入帯電器23は感光ドラム22を帯電させる。光学部24は画像情報に対応した露光光を発光し、感光ドラム22の表面を選択的に露光する。これにより、静電潜像が形成される。現像器26は、トナーカートリッジ25から供給される記録剤(トナー)により静電潜像を現像する。なお、感光ドラム22、注入帯電器23、現像器26、光学部24は、像担持体上にトナー像を形成するステーション(画像形成手段)を形成しており、YMCKの色ごとに設けられている。
【0016】
中間転写体27は、回転体であり、感光ドラム22Y、22M、22C、22Kに接触しており、中間転写体駆動ローラ42によってカラー画像形成時に時計周り方向に回転し、単色トナー像が一次転写される。その後、中間転写体27に転写ローラ28が接触して転写材11が狭持搬送され、転写材11に中間転写体27上の多色トナー像が二次転写される。転写ローラ28は、転写材11上に多色トナー像を転写している間は転写材11に当接し、印刷処理後は破線の位置に離間する。定着装置30は、転写材11を搬送しながら、多色トナー像を溶融定着させる。トナー像定着後の転写材11は、その後図示しない排出ローラによって図示しない排紙トレイに排出して画像形成動作を終了する。クリーニング装置29は、中間転写体27上に残ったトナーをクリーニングする。濃度センサ41は、画像形成装置100において中間転写体27へ向けて配置されており、中間転写体27の表面上に形成されたトナーパッチの濃度を測定する。
【0017】
また、以下では、画像の主走査方向に対して、上からみた場合に主走査方向と直交する方向(例えば転写材11の搬送方向や中間転写体27の回転方向)の称呼を、搬送方向もしくは副走査方向とする。
【0018】
<濃度センサの説明>
この濃度センサ41の構成の一例を図3に示す。濃度センサ41は、LEDなどの赤外光を発光する発光素子51と、フォトダイオード、Cds等の受光素子52、53受光データを処理するICとこれらを収容するホルダーなどで構成される。受光素子52はトナーパッチ64からの乱反射光を受光し、その強度を検知する。受光素子53はトナーパッチ64または下地からの正反射光及び乱反射光を受光し、その強度を検知する。正反射光強度と乱反射光強度の両方を検知することにより、高濃度から低濃度までのトナーパッチ64の濃度を検知することができる。なお、発光素子51と受光素子52の結合のために図示しない光学素子が用いられることもある。
【0019】
<画像形成装置の概略ブロック図>
図4は、画像形成装置のシステム構成を説明するためのブロック図である。
【0020】
コントローラ部401は、ホストコンピュータ400やエンジン制御部402と相互に通信が可能となっている。コントローラ部401はホストコンピュータ400から画像データと印刷条件(枚数、用紙サイズなど)を受信する。コントローラ部401は、ホストコンピュータ400から受信した画像データを画像展開してビデオ信号(画像情報)を生成し、ビデオインターフェイス部403を通してエンジン制御部402へ送信する。また、コントローラ部401は操作部413を備える。操作部413は、ユーザーからの操作指示の入力を受け付ける入力部と、画像形成装置100の情報を表示する表示部とを備えている。ビデオインターフェイス部403は、コントローラ部401からエンジン制御部402に対して送信されるコマンドや信号を受信し、エンジン制御部402からコントローラ部401に画像形成装置の状態や画像情報を要求する信号などを送信する。また、コントローラ部401からエンジン制御部402に送信される画像情報や前記転写材毎の印刷情報などを受信する。
【0021】
エンジン制御部402は、CPU404、ROM417、RAM418、不揮発メモリ419を備える。CPU404には各制御部や各種センサが接続される。CPU404は、ROM417に記憶されているプログラムに従って各手段を制御する。RAM418には、プログラムを実行する上でワークエリアとして機能する。不揮発メモリ419には、画像の累積形成枚数など、画像形成装置100を制御する上で必要なデータが格納されている。定着制御部405は、定着装置30の温度調節などを担当する。給紙制御部406は、転写材11の給紙と搬送を制御する。高圧制御部407は、注入帯電器23の帯電電圧や一次転写バイアス、二次転写バイアスなどを制御する。これらの制御部は、CPU404からの命令にしたがって動作する。
【0022】
CPU404は、印刷開始コマンドを受信すると、イエローを担当する第1ステーションに対するビデオ信号の出力の基準タイミングとなる/TOP信号をコントローラ部401に出力する。また、CPU404は、給紙制御部406に給紙動作を開始させる。給紙制御部406は、給紙された転写材11をレジストローラで一時待機させる。中間転写体27上に形成されたトナー画像が二次転写位置に到達するのに合わせて、給紙制御部406は、レジストローラから転写材11を再給紙する。転写材11には、コントローラ部401により送られたビデオ信号を元に生成された画像が転写される。定着制御部405により制御された定着装置30において転写材11に画像が定着される。
【0023】
なお、CPU404は、濃度センサ41が中間転写体27の周面のうちどの位置を検出しているかを把握するために、中間転写体27の周面に設けられたマーカーを検知する。マーカーは光学的、磁気的または電気的に検知可能である。CPU404は、マーカーを検知するマーカーセンサ43により、周面の絶対位置を特定する。たとえば、マーカーが周面の1か所に設けられていれば、中間転写体27が一回転するたびに、マーカーセンサ43は検知信号を1回出力する。よって、検知信号を基準としてカウンタをスタートすれば、カウンタのカウント値は周面の絶対位置を示すことになる。カウンタは、CPU404がソフトウエア的に実装しても良いし、ハードウエア回路により実装されてもよい。
【0024】
<濃度測定用トナーパッチ>
図5は、濃度測定用トナーパッチの一例を示す図である。トナーパッチ64は、それぞれ濃度が異なる複数のトナーパッチからなる。隣接した2つのトナーパッチ64は所定の間隔で離れて形成される。この間隔の部分にはトナー像が形成されないため、濃度センサ41は、下地からの反射光量を直接的に検出できる。なお、トナーパッチ64の数はこの例に示す限りではなく、たとえば、中間転写体27の周長や濃度制御にかける時間などによって変わる。
【0025】
<濃度制御のフローチャート>
図6に濃度制御のフローチャートを示し、以下説明する。尚、このフローチャートに示す処理は、CPU404が制御プログラムに従って行う処理である。以下では、次のようなデータを取り扱う。下地測定データは、下地から測定した第1の反射光の反射光量のデータである。パッチ測定データは、トナーパッチから測定した第2の反射光の反射光量のデータである。パッチ近傍測定データは、トナーパッチの近傍の下地から測定した第3の反射光の反射光量のデータである。パッチ下地データは、二周目にトナーパッチが形成された下地からの反射光量の推定値のデータである。
【0026】
ここでは、発明を分かりやすくするために、一周目に下地を測定し、二周目にパッチとその近傍を測定するものと仮定している。しかし、一周目にパッチとその近傍を測定し、二周目に下地を測定してもよい。このように、ある位置の下地の測定と、その位置に形成されたパッチとその近傍の下地の測定とは、それぞれ異なる周に実行されれば十分である。
【0027】
S601で、CPU404は、濃度センサ41の発光素子51を点灯する。
【0028】
S602で、CPU404は、マーカーセンサ43で特定した中間転写体27上の基準位置から中間転写体27の下地の反射濃度を測定する。CPU404は、濃度センサ41を用いて測定した下地の反射濃度(反射光量)を下地測定データとしてRAM418に保持する。下地の反射濃度の測定は、中間転写体27の一周目に実行される。このように、濃度センサ41は、中間転写体27の一周目に、中間転写体27の周面の下地からの反射光を検出する検出手段として機能する。
【0029】
S603で、CPU404は、ステーションを制御して、各色の濃度測定用のトナーパッチ64を中間転写体27上の所定位置に形成する。CPU404は、マーカーセンサ43で特定した基準位置を基準としたタイミングで光学部24の発光を開始させることで、トナーパッチ64を中間転写体27上の所定位置に形成する。光学部24には、トナーパッチ64に対応した画像情報がCPU404から入力される。
【0030】
S604で、CPU404は、トナーパッチ64の反射濃度を測定しパッチ測定データとしてRAM418に保存する。また、CPU404は、トナーパッチ64の近傍における中間転写体27の下地の反射濃度も測定し、パッチ近傍測定データとしてRAM418に保持する。パッチ測定データとパッチ近傍測定データの取得は、中間転写体27の二周目に実行される。このように、濃度センサ41は、中間転写体27の二周目に、下地の上に形成されたトナーパッチ64からの反射光と、トナーパッチ64の周囲にあるトナーパッチ64を形成されていない下地からの反射光とを検出する検出手段として機能する。
【0031】
S605で、CPU404は、濃度センサ41の発光光量の変動成分を補正するために、一周目に取得したパッチ形成位置の下地測定データと、二周目に取得したパッチ近傍測定データとから二周目のパッチ下地データを推定する。二周目ではトナーパッチ64が形成されるため、その位置での下地測定データを直接的に取得できない。そこで、CPU404は、一周目に取得したその位置の下地測定データと、その位置の近傍のパッチ近傍測定データとから二周目のパッチ下地データを推定する。
【0032】
S606で、CPU404は、パッチ下地データ(推定値)とパッチ測定データ(実測値)からパッチ濃度を算出する。この算出方法は公知であるため、詳細には説明しないこととする。このように、CPU404は、二周目に検出されたトナー像からの反射光量を、推定された対応する反射光量で補正して濃度値を算出する濃度値算出手段として機能する。なお、ここでの濃度値とは、パッチ濃度に換算することができる又は相関性のある補正後の反射光量のことを指す。また、具体的な濃度値の算出方法として、例えば以下の式を例示することができる。勿論、下記の式の算出方法に限定されることはなく、様々な周知の濃度値の算出方法を適用することが可能である。
【0033】
濃度値(補正後反射光量)=Pr/Br−α×Pd ・・・ [式0]
なお、数式中に用いられている各変数や定数は以下の通りである。
Pr:パッチ測定データのうち、受光素子53による検知結果
Br:パッチ下地測定データのうち、受光素子53による検知結果
α:係数
Pd:パッチ測定データのうち、受光素子52による検知結果
S607で、CPU404は、算出したパッチ濃度(補正後の反射光量)を画像形成条件にフィードバックする。パッチ濃度が目標濃度に近づくように、CPU404は、画像処理の条件(ルックアップテーブル)を変更したり、注入帯電器23の帯電電圧や転写バイアスなどを変更したりして画像形成条件を調整制御する。このように、CPU404は、算出された濃度値を、トナー像の濃度に係る画像形成条件にフィードバックするフィードバック手段及び画像形成条件を調整する制御手段として機能する。
【0034】
<下地データの推定処理>
図1に、下地データ推定処理の概要を示す。図1(a)は、一周目の下地測定と二周目のパッチ測定の時間と濃度センサ41の値の概要を示している。TMは、マーカーセンサ43がマーカーを検出したタイミングを示している。T11〜T12は一周目の測定タイミングを示しており、T21〜T22は二周目の測定タイミングを示している。なお、T11〜T12とT21〜T22はTMを基準としたタイミングであるため、T11〜T12とT21〜T22は中間転写体27の周面の同じ位置に対応している。つまり、T11に取得されたデータと、T21に取得されたデータは、周面の同じ位置から取得されたデータである。このように、Tijは、i周目の位置jを示す情報である。 濃度センサ41は発光素子51の発光光量が発光開始から時間経過によって変化する特性を有している。本実施例では、濃度制御の測定時間短縮のために、発光開始からすぐに測定が開始される。そのため、発光素子51の発光光量は測定中も時間経過によって変化する。
【0035】
一周目の下地測定時と二周目のパッチ測定時では、時間経過によって変化する発光光量の違いがある。そのため、パッチを形成していない中間転写体27上の位置を測定しても、一周目と二周目とでは濃度センサ41
の測定値が異なる。一周目の測定時と二周目の測定時の発光光量の差は、トナーパッチ64の下地データの誤差をもたらす。本実施例では、一周目に取得した下地測定データと、トナーパッチ64の近傍の下地からのパッチ近傍測定データとから二周目のパッチ下地データを推定する。これにより、一周目と二周目とにおける発光素子51の発光光量の差によるパッチ濃度演算への影響を低減している。
【0036】
図1(b)は、図1(a)における中間転写体27上の同じ位置の測定タイミングとなるT11〜T12とT21〜T22を同じ時間軸に重ねた図である。また、図7はパッチ下地データの推定およびパッチ測定データの補正処理のフローチャートである。なお、S701ないしS705は図6のS605に対応している。図1(b)と図7を用いて、測定中に時間経過で変化する発光光量の変化を補正する処理について以下に示す。
【0037】
S701で、CPU404は、一周目の下地測定データからパッチ形成位置付近のデータを線形に置き換える。具体的に、CPU404は、
y1 = α×T1 + m ・・・ [式1]
を満たす傾きαと切片mを、時間T11における測定値Y11と、時間T12における測定値Y12から求める。式1は、中間転写体27の一周目に検出された複数位置(T11、T12)での反射光量(Y11、Y12)から導出された、位置と反射光量との関係を表す第1の式である。つまり、CPU404は、第1の式を導出する第1導出手段として機能する。
【0038】
S702で、CPU404は、式1から下地のバラツキを求める。まず、CPU404は、式1に、パッチ形成位置となる時間T1a、T1b、T1cを代入し、値y1a、y1b、y1cを求める。尚、y1aなどの小文字のyを用いた表記は[式1]による演算により求められた論理値を意味する。CPU404は、値y1a、y1b、y1cと、実際の測定値Y1a、Y1b、Y1cから、下地の材質むらや経時変化などによるバラツキ値Δを算出する。この算出には、以下の式が使用される。
【0039】
Δ = y − Y ・・・ [式2]
これにより、Δa、Δb、Δcが求められる。このように、CPU404は、下地の複数位置(T1a、T1b、T1c)において第1の式から反射光量(y1a、y1b、y1c)を算出する。さらに、CPU404は、これらの反射光量(y1a、y1b、y1c)と、中間転写体27の一周目に検出された複数位置での反射光量(Y1a、Y1b、Y1c)との差分をバラツキ値(Δa、Δb、Δc)として算出するバラツキ値算出手段として機能する。
【0040】
S703で、CPU404は、2周目に測定したパッチ非形成位置での下地測定データからパッチ形成位置付近のデータを線形に置き換える。具体的に、CPU404は、
y2 = β×T2 + n ・・・ [式3]
を満たす傾きβと切片nを、時間T21における測定値Y21と、時間T22における測定値Y22から求める。つまり、CPU404は、二周目に検出されたトナー像を形成されていない複数位置(T21、T22)からの反射光量(Y21、Y22)から、位置と反射光量との関係を示す第2の式(式3)を導出する第2導出手段として機能する。
【0041】
S704で、CPU404は、下地のバラツキ値を修正する。CPU404は、式3にパッチ形成位置に対応した時間T2a、T2b、T2cを代入し、値y2a、y2b、y2cを求める。
【0042】
また、CPU404は、二周目においてトナーパッチ64を形成される下地の複数位置のそれぞれについて式1から算出された反射光量と、式3から算出された反射光量とから、一周目と二周目との間における反射光量の変化比率を算出する。つまり、CPU404は、変化比率算出手段として機能する。ここでは、下地測定時とパッチ測定時の光量差による変化比率は、y2a/y1a、y2b/y1b、y2c/y1cである。
【0043】
Δ’= Δ ×(y2/y1) ・・・ [式4]
式4に変化比率とバラツキ値Δa、Δb、Δcを代入することで、CPU404は、変化比率で修正したバラツキ値Δa’、Δb’、Δc’を求める。このように、CPU404は、一周目における下地の複数位置のそれぞれでのバラツキ値を対応する変化比率で修正して二周目における下地の複数位置のそれぞれでのバラツキ値を求めるバラツキ値修正手段として機能する。
【0044】
S705で、CPU404は、パッチ形成位置におけるパッチ下地データを推定する。CPU404は、式3から求めた値y2a、y2b、y2cを下地のバラツキ値Δa’、Δb’、Δc’で補正することで、パッチ下地データBa、Bb、Bcを推定する。この推定式は、以下の式5である。
【0045】
B = y2 − Δ’ ・・・ [式5]
このように、CPU404は、二周目においてトナーパッチを形成される下地の複数位置についての式3から反射光量を求める。さらに、CPU404は、この反射光量を対応する修正後のバラツキ値で補正して、二周目においてトナーパッチを形成される下地の複数位置のそれぞれでの反射光量を推定する。その後、上述したS606で、CPU404は、このパッチ下地データBa、Bb、Bcとパッチ測定値からパッチ濃度を算出する。
【0046】
なお、[式2]にy1(y1a、y1b・・・)、Y1(Y1a、Y1b・・・)を代入すると、Δ = y1 − Y1となる。これを式4に代入すると、以下のようになる。Δ’=(y1−Y1)×(y2/y1)となり、さらにこれを式5に代入すると、以下のようになる。
【0047】
B = y2 − (y1−Y1)×(y2/y1)
B = Y1×(y2/y1) ・・・ [式6]
すなわち、実際の中間転写体27の表面測定値Y1に、1周目と2周目とにおける同一/略同一下地位置の演算論理値の比を乗算することでも、式5と同様の下地データBを得ることができる。
【0048】
以上のように、本実施例においては、一周目に検出された複数位置での反射光量と、二周目に検出されたトナー像を形成されていない複数位置からの反射光量とから、二周目におけるトナー像を形成された下地の各位置での反射光量が推定される。つまり、CPU404は、下地反射光量推定手段として機能する。本実施例では、濃度センサ41の発光光量が安定するまで待たずに濃度測定を実行できるため、濃度測定に要する時間を従来よりも短くできる。
【0049】
また、CPU404は、一周目に検出された複数位置での反射光量と、二周目に検出されたトナー像を形成されていない複数位置からの反射光量と、から回転体の一周目と二周目との間における反射光量の変化比率を求める。さらに、CPU404は、この変化比率で一周目における各位置の下地の反射光量のバラツキ値を修正して、二周目における下地の各位置での反射光量を求める。或いは、CPU404は、この変化比率を用い、一周目における各位置の下地における反射光量を補正する。このように、本実施例では、トナーパッチ64を形成された下地の位置からの反射光量の推定に、発光光量の変化比率を用いており、これにより濃度測定に要する時間の短縮及び精度向上を達成することができる。
【0050】
以下では、発明を分かりやすくするために、一周目に下地を測定し、二周目にパッチとその近傍を測定するものと仮定する。しかし、図12が示すように、一周目にパッチとその近傍を測定し、二周目に下地を測定してもよい。このように、ある位置の下地の測定と、その位置に形成されたパッチとその近傍の下地の測定とは、それぞれ異なる周に実行されれば十分である。
【0051】
図12を用いて、他の制御方法について説明する。なお、S601、S606およびS607については、図6と共通するステップであるため、説明を省略する。S601の次にS1202に進む。
【0052】
S1202で、CPU404は、ステーションを制御して、各色の濃度測定用のトナーパッチ64を中間転写体27上の所定位置に形成する。CPU404は、マーカーセンサ43で特定した基準位置を基準としたタイミングで光学部24の発光を開始させることで、トナーパッチ64を中間転写体27上の所定位置に形成する。光学部24には、トナーパッチ64に対応した画像情報がCPU404から入力される。
【0053】
S1203で、CPU404は、トナーパッチ64の反射濃度を測定し、パッチ測定データとしてRAM418に保存する。また、CPU404は、トナーパッチ64の近傍における中間転写体27の下地の反射濃度も測定し、パッチ近傍測定データとしてRAM418に保持する。パッチ測定データとパッチ近傍測定データの取得は、中間転写体27の一周目に実行される。このように、濃度センサ41は、中間転写体27の一周目に、下地の上に形成されたトナーパッチ64からの反射光と、トナーパッチ64の周囲にあるトナーパッチ64を形成されていない下地からの反射光とを検出する検出手段として機能する。
【0054】
S1204で、CPU404は、マーカーセンサ43で特定した中間転写体27上の基準位置から中間転写体27の下地の反射濃度を測定する。CPU404は、濃度センサ41を用いて測定した下地の反射濃度(反射光量)を下地測定データとしてRAM418に保持する。下地の反射濃度の測定は、中間転写体27の二周目に実行される。このように、濃度センサ41は、中間転写体27の二周目に、中間転写体27の周面の下地からの反射光を検出する検出手段として機能する。
【0055】
S1205で、CPU404は、濃度センサ41の発光光量の変動成分を補正するために、二周目に取得したパッチ形成位置の下地測定データと、一周目に取得したパッチ近傍測定データとから一周目のパッチ下地データを推定する。一周目ではトナーパッチ64が形成されるため、その位置での下地測定データを直接的に取得できない。そこで、CPU404は、二周目に取得したその位置の下地測定データと、その位置の近傍のパッチ近傍測定データとから一周目のパッチ下地データを推定する。具体的な計算方法についてはすでに図7を用いて説明したとおりである。
【0056】
その後、CPU404は、S606およびS607を実行する。
【0057】
このように、パッチ形成位置の実際の下地測定データを取得する工程と、パッチ近傍測定データを取得する工程とはどちらが先であってもよい。また、必ずしも連続した周回において2つの工程が実行されなくてもよい。これを一般化すると、次のようになる。検出手段は、回転体のh周目に、回転体の周面の下地からの反射光を検出し、回転体のi周目に、回転体の下地の上に形成されたトナー像からの反射光と、該トナー像の周囲にあるトナー像を形成されていない下地からの反射光とを検出する。下地反射光量推定手段は、回転体のh周目に検出された複数位置での反射光量と、回転体のi周目に検出されたトナー像が形成されていない複数位置からの反射光量とから、回転体のi周目におけるトナー像が形成された下地の各位置での反射光量を推定する(hとiは異なる自然数)。補正手段は、回転体のi周目に検出されたトナー像からの反射光量を、下地反射光量推定手段により推定された対応する反射光量で補正する。
【0058】
このように、h>iまたはh<iのいずれであってもよいし、|h−i|は必ずしも1でなくてもよい。ただし、|h−i|=1の場合、推定精度が高いと考えられる。すなわち、連続した2周においてこれらの工程を実行すると、パッチ下地データの推定精度が高まると考えられる。これは、2つの工程間の時間差が短いからである。
【0059】
上記の実施例では、下地データと、パッチ近傍における中間転写体上の同じ位置の測定データと、をもとに、パッチ下地データを推定した。本実施例では、数点の測定データの平均値からパッチ下地データを推定する方法について説明する。平均値を用いるため、測定タイミングの誤差に起因した中間転写体27上の測定位置のずれの影響を低減できる。本実施例における画像形成装置の概略構成の説明から、濃度制御の制御フローまでは、上記の実施例と同様であるため、説明は省略する。
【0060】
図8は上記の実施例と同様に、中間転写体上の同じ位置の測定タイミングとなるT11〜T12とT21〜T22を同じ時間軸に重ねた図である。また、図9は、本実施例におけるパッチ下地データ推定処理を示すフローチャートである。図8と図9を用いて、本実施例の下地データ補正処理を説明する。なお、S901ないしS908は図6のS605に対応し、S909およびS910は図6のS606に対応している。
【0061】
S901で、CPU404は、パッチ形成位置の前後の位置における一周目の下地測定データの平均値を求める。図8に示すように、CPU404は、時間T11の前後5点の平均値Y11を求めるとともに、時間T12の前後5点の平均値Y12を求める。また平均値の求め方について、単純平均(相加平均)のみに限定されず、加重平均(重み付き平均)を適用してもよい。
【0062】
S902で、CPU404は、パッチ形成位置付近の一周目データを線形に置き換えるため、式1を満たす傾きαと切片mを、時間T11、T12、平均値Y11、Y12から求める。このように、CPU404は、中間転写体27の一周目に検出された複数位置での反射光量の平均値を求め、複数の平均値Y11、Y12から式1を導出する第1導出手段として機能する。
【0063】
S903で、CPU404は、二周目の5点のパッチ形成位置と同一の位置における一周目の下地測定データの平均値Y1pを求める。また、平均値Y1pに対応した時間をT1pとする。T1pは5点の各時間の平均になる。また5点の時間の真ん中ともいえる。
【0064】
S904で、CPU404は、下地のバラツキ値Δを求めるため、S902で導出した式1に時間T1pを代入し、値y1pを求める。さらに、CPU404は、式2にy1pとY1pを代入して下地のバラツキ値Δpを求める。
【0065】
S905で、CPU404は、パッチ形成位置の前後の位置における二周目のパッチ近傍測定データの平均値を求める。時間T21の前後5点の平均値Y21を求めるとともに、時間T22の前後5点の平均値Y22を求める。
【0066】
S906で、CPU404は、パッチ近傍測定データを線形に置き換えるため、式3を満たす傾きβと切片nを、平均値Y21、Y22から求める。このように、CPU404は、中間転写体27の二周目に検出されたトナーパッチ64を形成されていない複数位置からの反射光量の平均値を求め、複数の平均値Y21、Y22から式3を導出する第2導出手段として機能する。
【0067】
S907で、CPU404は、下地のバラツキ値を修正する。まず、CPU404は、S906で求めた式3に時間T1pを代入し、値y2pを求める。さらに、CPU404は、y1pとy2pから変化比率を求め、変化比率とバラツキ値Δpを式4に代入し、修正されたバラツキ値Δp’を求める。
【0068】
S908で、CPU404は、y2pと修正されたバラツキ値Δp’を式5に代入し、パッチ下地データBp(=y2p−Δp’)を求める。
【0069】
S909で、CPU404は、パッチ形成位置で取得された5点のパッチ測定データの平均値Y2pを求める。
【0070】
S910で、CPU404は、パッチ測定データの平均値Y2pとパッチ下地データBpからパッチ濃度を求める。このように、CPU404は、二周目に検出されたトナーパッチ64からの反射光量の平均値Y2pを求め、平均値Y2pを、対応するパッチ下地データBpで補正して濃度値を算出する濃度値算出手段として機能する。なお、二周目に検出されたトナーパッチ64からの反射光量の平均値Y2pをパッチ下地データで補正する処理は、上記の実施例のS606において実行してもよい。
【0071】
このように、本実施例では、数点の測定データの平均値からパッチ下地データを推定するため、測定タイミングの誤差に起因した中間転写体27上の測定位置のずれの影響を低減できる。
【0072】
なお、上記の実施例では、一周目の測定データと二周目の測定データを全てRAM418で保持しておきパッチ濃度補正処理を行うため、大きなRAM容量が必要となっていた。一方、本実施例では、平均化した値のみをRAM418で保持するため、RAM容量を節約できる。
【0073】
本実施例では、平均値を求めるための測定点を5点としたが、測定点の数を限定するものではなく、中間転写体27の周長やトナーパッチ64の大きさ、RAM容量などにより変更してもよい。
【0074】
なお、上記の実施例で説明した[式6]を用いて、Bp = Y1p×(y2p/y1p)としてBpをCPU404に演算させてもよい。すなわち、一周目の下地測定データの平均値Y1pに、中間転写体27の一周目と二周目の間における同一/略同一位置での演算論理値(反射光量)の比(変化率y2p/y1p)を乗じて、補正後のパッチ下地データを求めるようにしてもよい。
【0075】
以上説明したように、測定タイミングの誤差により中間転写体上の測定位置がずれてしまう場合に、測定データ数点の平均値からパッチ下地補正を行うことが可能となるとともに、RAM容量を節約することができる。
【0076】
本実施例は、測定データのプロファイルから位置情報を算出して、プロファイルから同じ位置の測定データを特定し、パッチ下地データを推定する発明である。これにより、本実施例では、上記の実施例よりも濃度測定の精度が向上するであろう。本実施例における画像形成装置の概略構成の説明から、濃度制御の制御フローまでは、上記の実施例と同様であるため、説明は省略する。
【0077】
ここでは、各サンプル位置を示す変数をjとする。一周目における測定データをA(j)とし、二周目における測定データをB(j)とする。たとえば、一周目の測定開始時の測定データはA(0)であり、二周目の測定開始時の測定データはB(0)である。
【0078】
図10において、T11とT21はj=1での一周目と二周目の同一のタイミングを示し、本来これらは、中間転写体27上の同じ位置に対応しているはずである。ここで、パッチを形成されない位置での一周目の測定データA(j)、二周目の測定データB(j)に着目する。A(j)は、中間転写体27の一周目に検出された複数位置での反射光量から導出された第1のプロファイルである。B(j)は、中間転写体27の二周目に検出された複数位置での反射光量から導出された第2のプロファイルである。CPU404は、プロファイル導出手段として機能する。
【0079】
図10(a)が示すように、CPU404は、中間転写体27上の同じ位置の測定データとなるはずである、5点の一周目の測定データA(j)および二周目の測定データB(j)を比較し、その差分の積算値Xを式7により求める。
【0080】
【数7】
【0081】
式7で、kは位置のずらし量である。
【0082】
図10(b)は、ずらし量kを1とした例を示している。CPU404は、ずらし量kを変えながら10回の積算値Xを求める。求めた積算値Xが最小になるときのずらし量kが、位置データjの修正量となる。たとえば、A(j)とB(j+k)は、中間転写体27上の同じ位置の測定データである。CPU404は、ずらし量kで二周目の測定データB(j)をB(j+k)と修正し、修正後の測定データB(j+k)を使用して、上記の実施例の方法を実行する。このように、CPU404は、第1のプロファイルと第2のプロファイルとを比較して、一周目に反射光量を検出した位置に対応する二周目に反射光量を検出した位置を特定し、二周目に反射光量を検出した位置のデータを修正する位置データ修正手段として機能する。
【0083】
図11が示す例では、ずらし量を1とすることで、一周目の測定データと二周目の測定データとの各測定位置が整合することになる。
【0084】
このように、本実施例では、CPU404が、測定データのプロファイルから同じ位置の測定データを特定し、パッチ下地データを推定する。これにより、本実施例では、上記の実施例よりも濃度測定の精度が向上するであろう。
【0085】
なお、本発明では、中間転写体27にトナーパッチ64を形成するものとして説明したが、中間転写体27に代えて転写材11を吸着して搬送する静電吸着搬送ベルトが採用されても良い。本発明は、静電吸着搬送ベルトを回転体として採用しても、トナーパッチ64の濃度と、静電吸着搬送ベルトの下地の濃度を検出できるからである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上にトナー像を形成する画像形成手段と、
前記像担持体上に前記トナー像が形成されていない状態における前記像担持体の下地からの第1の反射光と、前記像担持体に前記トナー像が形成されている状態における前記像担持体の下地の上に形成されたトナー像からの第2の反射光と、該トナー像の周囲にあるトナー像を形成されていない下地からの第3の反射光とを検出する検出手段と、
前記検出手段に検出された複数位置での前記第1の反射光の反射光量と、複数位置での前記第3の反射光の反射光量とから、前記トナー像が形成された前記下地の各位置での反射光量を推定する下地反射光量推定手段と、
前記第2の反射光の反射光量を、前記下地反射光量推定手段により推定された対応する反射光量で補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された補正後の反射光量に基づき、前記画像形成手段の画像形成条件を調整する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記第1の反射光の反射光量を検出した後で、前記第2の反射光の反射光量および前記第3の反射光の反射光量を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記第1の反射光の反射光量を検出した周の次の周で前記第2の反射光の反射光量および前記第3の反射光の反射光量を検出することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記第2の反射光の反射光量および前記第3の反射光の反射光量を検出した後で、前記第1の反射光の反射光量を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記第2の反射光の反射光量および前記第3の反射光の反射光量を検出した周の次の周で、前記第1の反射光の反射光量を検出することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の反射光を検出した前記像担持体上の範囲は、少なくとも前記第2の反射光を検出した前記像担持体上の範囲を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記画像形成手段の画像形成条件を調整することにより、前記画像形成手段により形成されるトナー像の濃度を調整することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記下地反射光量推定手段は、前記像担持体の一周目に検出された複数位置での前記第1の反射光の反射光量と、前記像担持体の二周目に検出された前記トナー像を形成されていない複数位置からの前記第3の反射光の反射光量とから前記像担持体の一周目と二周目との間における反射光量の変化比率を求め、前記変化比率で前記像担持体の一周目における前記下地の各位置での前記第1の反射光の反射光量のバラツキ値を修正して、前記像担持体の二周目における前記下地の各位置での反射光量を求めることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記下地反射光量推定手段は、
前記像担持体の一周目に検出された複数位置での前記第1の反射光の反射光量から位置と反射光量との関係を表す第1の式を導出し、
前記下地の複数位置において前記第1の式から算出された反射光量と、前記像担持体の一周目に検出された複数位置での前記第1の反射光の反射光量との差分をバラツキ値として算出し、
前記像担持体の二周目に検出された前記トナー像を形成されていない複数位置からの前記第3の反射光の反射光量から位置と反射光量との関係を表す第2の式を導出し、
前記像担持体の二周目においてトナー像を形成される前記下地の複数位置のそれぞれについて前記第1の式から算出された反射光量と、前記第2の式から算出された反射光量とから、前記像担持体の一周目と二周目との間における反射光量の変化比率を算出し、
前記像担持体の一周目における前記下地の複数位置のそれぞれでのバラツキ値を対応する前記変化比率で修正して前記像担持体の二周目における前記下地の複数位置のそれぞれでのバラツキ値を求め、
さらに、前記下地反射光量推定手段は、前記像担持体の二周目においてトナー像を形成される前記下地の複数位置について前記第2の式から反射光量を求め、該反射光量を対応する修正後の前記バラツキ値で補正して、前記像担持体の二周目においてトナー像を形成される前記下地の複数位置のそれぞれでの反射光量を求めることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記下地反射光量推定手段は、前記像担持体の一周目に検出された複数位置での前記第1の反射光の反射光量の平均値を求め、複数の平均値から前記第1の式を導出することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記下地反射光量推定手段は、前記像担持体の二周目に検出された前記トナー像を形成されていない複数位置からの前記第3の反射光の反射光量の平均値を求め、複数の平均値から前記第2の式を導出することを特徴とする請求項9又は10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記下地反射光量推定手段は、前記像担持体の二周目に検出された前記トナー像を形成されていない複数位置からの前記第3の反射光の反射光量の平均値を求め、複数の平均値から前記第2の式を導出することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記下地反射光量推定手段は、前記像担持体の一周目に検出された複数位置での前記第1の反射光の反射光量と、前記像担持体の二周目に検出された前記トナー像が形成されていない複数位置からの前記第3の反射光の反射光量とから、前記像担持体の各位置での前記像担持体の一周目と二周目とにおける反射光量の変化比率を求め、さらに、前記像担持体の一周目で検出された各位置での前記第1の反射光の反射光量を、前記変化比率で補正することで、前記像担持体の二周目における前記トナー像が形成された前記下地の各位置での反射光量を推定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記補正手段は、前記像担持体の二周目に検出された前記トナー像からの前記第2の反射光の反射光量の平均値を求め、該平均値を、前記下地反射光量推定手段により求められた反射光量で補正することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記像担持体の一周目に検出された複数位置での反射光量から第1のプロファイルを求め、前記像担持体の二周目に検出された複数位置での反射光量から第2のプロファイルを求めるプロファイル導出手段と、
前記第1のプロファイルと前記第2のプロファイルとを比較して、前記像担持体の一周目に反射光量を検出した位置に対応する前記像担持体の二周目に反射光量を検出した位置を特定し、前記像担持体の二周目に反射光量を検出した位置のデータを修正する位置データ修正手段と、をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項16】
回転体のh周目に、該回転体の周面の下地からの反射光を検出し、該回転体のi周目に、該回転体の下地の上に形成されたトナー像からの反射光と、該トナー像の周囲にあるトナー像を形成されていない下地からの反射光とを検出する検出手段(hとiは異なる自然数)と、
前記回転体のh周目に検出された複数位置での反射光量と、前記回転体のi周目に検出された前記トナー像が形成されていない複数位置からの反射光量とから、前記回転体のi周目における前記トナー像が形成された前記下地の各位置での反射光量を推定する下地反射光量推定手段と、
前記回転体のi周目に検出された前記トナー像からの反射光量を、前記下地反射光量推定手段により推定された対応する反射光量で補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された補正後の反射光量に基づき濃度に係る画像形成条件を調整する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
回転体のh周目に、該回転体の周面の下地からの反射光を検出し、該回転体のi周目に、該回転体の下地の上に形成されたトナー像からの反射光と、該トナー像の周囲にあるトナー像を形成されていない下地からの反射光とを検出し(hとiは異なる自然数)、
前記回転体のh周目に検出された複数位置での反射光量と、前記回転体のi周目に検出された前記トナー像が形成されていない複数位置からの反射光量とから、前記回転体のi周目における前記トナー像が形成された前記下地の各位置での反射光量を推定し、
前記回転体のi周目に検出された前記トナー像からの反射光量を、前記推定された対応する反射光量で補正し、
前記補正された補正後の反射光量に基づき濃度に係る画像形成条件を調整することを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
像担持体上にトナー像を形成する画像形成手段と、
前記像担持体上に前記トナー像が形成されていない状態における前記像担持体の下地からの第1の反射光と、前記像担持体に前記トナー像が形成されている状態における前記像担持体の下地の上に形成されたトナー像からの第2の反射光と、該トナー像の周囲にあるトナー像を形成されていない下地からの第3の反射光とを検出する検出手段と、
前記検出手段に検出された複数位置での前記第1の反射光の反射光量と、複数位置での前記第3の反射光の反射光量とから、前記トナー像が形成された前記下地の各位置での反射光量を推定する下地反射光量推定手段と、
前記第2の反射光の反射光量を、前記下地反射光量推定手段により推定された対応する反射光量で補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された補正後の反射光量に基づき、前記画像形成手段の画像形成条件を調整する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記第1の反射光の反射光量を検出した後で、前記第2の反射光の反射光量および前記第3の反射光の反射光量を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記第1の反射光の反射光量を検出した周の次の周で前記第2の反射光の反射光量および前記第3の反射光の反射光量を検出することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記第2の反射光の反射光量および前記第3の反射光の反射光量を検出した後で、前記第1の反射光の反射光量を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記第2の反射光の反射光量および前記第3の反射光の反射光量を検出した周の次の周で、前記第1の反射光の反射光量を検出することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の反射光を検出した前記像担持体上の範囲は、少なくとも前記第2の反射光を検出した前記像担持体上の範囲を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記画像形成手段の画像形成条件を調整することにより、前記画像形成手段により形成されるトナー像の濃度を調整することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記下地反射光量推定手段は、前記像担持体の一周目に検出された複数位置での前記第1の反射光の反射光量と、前記像担持体の二周目に検出された前記トナー像を形成されていない複数位置からの前記第3の反射光の反射光量とから前記像担持体の一周目と二周目との間における反射光量の変化比率を求め、前記変化比率で前記像担持体の一周目における前記下地の各位置での前記第1の反射光の反射光量のバラツキ値を修正して、前記像担持体の二周目における前記下地の各位置での反射光量を求めることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記下地反射光量推定手段は、
前記像担持体の一周目に検出された複数位置での前記第1の反射光の反射光量から位置と反射光量との関係を表す第1の式を導出し、
前記下地の複数位置において前記第1の式から算出された反射光量と、前記像担持体の一周目に検出された複数位置での前記第1の反射光の反射光量との差分をバラツキ値として算出し、
前記像担持体の二周目に検出された前記トナー像を形成されていない複数位置からの前記第3の反射光の反射光量から位置と反射光量との関係を表す第2の式を導出し、
前記像担持体の二周目においてトナー像を形成される前記下地の複数位置のそれぞれについて前記第1の式から算出された反射光量と、前記第2の式から算出された反射光量とから、前記像担持体の一周目と二周目との間における反射光量の変化比率を算出し、
前記像担持体の一周目における前記下地の複数位置のそれぞれでのバラツキ値を対応する前記変化比率で修正して前記像担持体の二周目における前記下地の複数位置のそれぞれでのバラツキ値を求め、
さらに、前記下地反射光量推定手段は、前記像担持体の二周目においてトナー像を形成される前記下地の複数位置について前記第2の式から反射光量を求め、該反射光量を対応する修正後の前記バラツキ値で補正して、前記像担持体の二周目においてトナー像を形成される前記下地の複数位置のそれぞれでの反射光量を求めることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記下地反射光量推定手段は、前記像担持体の一周目に検出された複数位置での前記第1の反射光の反射光量の平均値を求め、複数の平均値から前記第1の式を導出することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記下地反射光量推定手段は、前記像担持体の二周目に検出された前記トナー像を形成されていない複数位置からの前記第3の反射光の反射光量の平均値を求め、複数の平均値から前記第2の式を導出することを特徴とする請求項9又は10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記下地反射光量推定手段は、前記像担持体の二周目に検出された前記トナー像を形成されていない複数位置からの前記第3の反射光の反射光量の平均値を求め、複数の平均値から前記第2の式を導出することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記下地反射光量推定手段は、前記像担持体の一周目に検出された複数位置での前記第1の反射光の反射光量と、前記像担持体の二周目に検出された前記トナー像が形成されていない複数位置からの前記第3の反射光の反射光量とから、前記像担持体の各位置での前記像担持体の一周目と二周目とにおける反射光量の変化比率を求め、さらに、前記像担持体の一周目で検出された各位置での前記第1の反射光の反射光量を、前記変化比率で補正することで、前記像担持体の二周目における前記トナー像が形成された前記下地の各位置での反射光量を推定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記補正手段は、前記像担持体の二周目に検出された前記トナー像からの前記第2の反射光の反射光量の平均値を求め、該平均値を、前記下地反射光量推定手段により求められた反射光量で補正することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記像担持体の一周目に検出された複数位置での反射光量から第1のプロファイルを求め、前記像担持体の二周目に検出された複数位置での反射光量から第2のプロファイルを求めるプロファイル導出手段と、
前記第1のプロファイルと前記第2のプロファイルとを比較して、前記像担持体の一周目に反射光量を検出した位置に対応する前記像担持体の二周目に反射光量を検出した位置を特定し、前記像担持体の二周目に反射光量を検出した位置のデータを修正する位置データ修正手段と、をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項16】
回転体のh周目に、該回転体の周面の下地からの反射光を検出し、該回転体のi周目に、該回転体の下地の上に形成されたトナー像からの反射光と、該トナー像の周囲にあるトナー像を形成されていない下地からの反射光とを検出する検出手段(hとiは異なる自然数)と、
前記回転体のh周目に検出された複数位置での反射光量と、前記回転体のi周目に検出された前記トナー像が形成されていない複数位置からの反射光量とから、前記回転体のi周目における前記トナー像が形成された前記下地の各位置での反射光量を推定する下地反射光量推定手段と、
前記回転体のi周目に検出された前記トナー像からの反射光量を、前記下地反射光量推定手段により推定された対応する反射光量で補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された補正後の反射光量に基づき濃度に係る画像形成条件を調整する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
回転体のh周目に、該回転体の周面の下地からの反射光を検出し、該回転体のi周目に、該回転体の下地の上に形成されたトナー像からの反射光と、該トナー像の周囲にあるトナー像を形成されていない下地からの反射光とを検出し(hとiは異なる自然数)、
前記回転体のh周目に検出された複数位置での反射光量と、前記回転体のi周目に検出された前記トナー像が形成されていない複数位置からの反射光量とから、前記回転体のi周目における前記トナー像が形成された前記下地の各位置での反射光量を推定し、
前記回転体のi周目に検出された前記トナー像からの反射光量を、前記推定された対応する反射光量で補正し、
前記補正された補正後の反射光量に基づき濃度に係る画像形成条件を調整することを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図5】
【公開番号】特開2013−64987(P2013−64987A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−174368(P2012−174368)
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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