画像形成装置
【課題】タスクエラー発生時に効率的にエラーからの復旧を行う。
【解決手段】CUPU−I/F31は、他のタスクのタスクエラー状態を検出するエラー検知部31aと、タスクエラー状態が解消したか否かを判断する判断部31bと、他のタスクを初期化か否かを判定する初期化判定部31cと、初期化判定部31cが初期化実行と判定したときには、他のタスクを初期化する初期化部31dと、初期化判定部31cが初期化未実行と判定したときには、電源のオフ/オンを利用者に促すメッセージを要求する電源オフ/オン要求部31eとを有している。利用者により電源オフ/オンがなされると、イニシャル部36が起動されて必要なタスクが起動されるように構成されている。このように構成されているので、MFPにおいて、必要以上に電源再投入処理をする必要がなくなり、短時間でのタスクエラー回復が期待できる。
【解決手段】CUPU−I/F31は、他のタスクのタスクエラー状態を検出するエラー検知部31aと、タスクエラー状態が解消したか否かを判断する判断部31bと、他のタスクを初期化か否かを判定する初期化判定部31cと、初期化判定部31cが初期化実行と判定したときには、他のタスクを初期化する初期化部31dと、初期化判定部31cが初期化未実行と判定したときには、電源のオフ/オンを利用者に促すメッセージを要求する電源オフ/オン要求部31eとを有している。利用者により電源オフ/オンがなされると、イニシャル部36が起動されて必要なタスクが起動されるように構成されている。このように構成されているので、MFPにおいて、必要以上に電源再投入処理をする必要がなくなり、短時間でのタスクエラー回復が期待できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法による多機能周辺装置(MultiFunction Peripheral;以下「MFP」という。)等の画像形成装置に係り、特に、画像形成装置におけるタスクエラー状態の解除技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置でサービスコールエラーが発生すると、電源再投入をして様子を見る使い方が一般的である。これは、電源再投入によりエラーがリセットされることがあるためである。
【0003】
下記の特許文献1では、実際に利用者が電源を再投入しなくても、MFPの各機能ユニット間のタイムアウトを検出し、個々のユニットを個別にリセットさせて復旧を試みる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−49619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置では、電源再投入による復旧を行った場合、画像形成装置全体が最初から初期化処理を繰り返すため、時間がかかって非効率であるという課題があった。更に、電源再投入をすると、揮発性メモリに一時格納されている印刷ジョブが初期化により消えてしまい、利用者は、その都度印刷ジョブデータを再送信しなければならないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、画像形成に関する画像形成情報を相互に授受して画像を形成する複数の機能処理部を備えた画像形成装置であって、前記各機能処理部は、他の前記機能処理部との前記画像形成情報の授受の際に、前記他の機能処理部のタスクエラー状態を検知するエラー検知部と、前記タスクエラー状態が解消したか否かを判断する判断部と、前記他の機能処理部を初期化する時間が所定の閾値未満のときのときには、初期化実行と判定し、前記他の機能処理部を初期化する時間が所定の閾値以上のときのときには、初期化未実行と判定する初期化判定部と、前記初期化判定部が初期化実行と判定したときには、前記他の機能処理部を初期化する初期化部と、前記初期化判定部が初期化未実行と判定したときには、電源のオフ/オンの要求情報を出力する電源オフ/オン要求部とを有している。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像形成装置によれば、次のような効果がある。
即ち、画像形成装置の各タスクは、タスク処理過程で発生した他のタスクのタスクエラーを検知し、当該他のタスクを初期化してタスクエラー回復を実行するようにしている。これにより、必要以上に電源再投入処理をする必要がなくなるので、電源遮断による送信済み印刷ジョブの消去が回避できる。更に、タスク初期化に必要な時間は一般的に、電源再投入により画像形成装置が印刷可能になるまでに要する時間よりも十分に短いため、短時間でのタスクエラー回復が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明の実施例1におけるプリンタユニットを示す機能ブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施例1におけるMFPの概略を示す構成図である。
【図3】図3は図1中のCUPU−I/Fの概略を示す構成図である。
【図4】図4は図1中のタスク一覧テーブルを示す構成図である。
【図5】図5は本発明の実施例1におけるCUPU−I/Fの動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は図1中のイニシャル部の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は本発明の実施例2におけるプリンタユニットを示す機能ブロック図である。
【図8】図8は図7中のCUPU−I/Fの概略を示す構成図である。
【図9】図9は図7中のタスク一覧テーブルを示す構成図である。
【図10】図10は本発明の実施例2におけるCUPU−I/Fの動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は本発明の実施例2におけるCUPU−I/Fの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0010】
(実施例1のMPFの構成)
図2は、本発明の実施例1におけるMFPの概略を示す構成図である。
【0011】
本発明の画像形成装置は、例えば、MFPであって、図示しない上位装置から受信した印刷ジョブデータを印刷画像データに変換する等、MFP全体を制御するコントロールユニット10を有している。
【0012】
コントロールユニット10は、プログラム制御により各種処理を実行する中央処理装置(以下「CPU」という。)11と、プログラムや固定データを格納するリードオンリメモリ(以下「ROM」という。)12と、実行中のプログラムや各種データを一時的に記憶するランダムアクセスメモリ(以下「RAM」という。)13と、電源を切断しても記憶内容が消去されない不揮発性メモリ14と、時計機構15とを有している。
【0013】
コントロールユニット10には、操作パネル1と、図示しない上位装置等の外部装置と接続される外部インタフェース(以下、外部I/Fという。)2とが接続されている。操作パネル1は、利用者に各種のメッセージを通知するための液晶表示装置や各種ランプから構成される図示しない表示部と、利用者が入力を行うためのタッチパネルや各種スイッチ等から構成される図示しない操作部とを有している。
【0014】
コントロールユニット10には、更に、コントロールユニット10から印刷画像データを受信して、記録媒体(例えば、用紙)Pに画像を形成するプリンタユニット20と、原稿上の画像を読み取るスキャナユニット3と、スキャナユニット3で読み取った画像データを外部のファクシミリ(以下「FAX」とういう。)装置に送信し、更に、外部のFAX装置から受信するFAXユニット4とが接続されている。
【0015】
プリンタユニット20は、相互に印刷画像データや制御情報である画像形成情報の受け渡しを行って、コントロールユニット10から受信した印刷画像データに基づき、用紙Pに画像を形成する複数の機能処理部(例えば、タスク)から構成される論理層30と、論理層30のタスクからの指示により物理層を制御する各種モジュールから構成される制御層21と、図示しない各種電子回路や像担持体(例えば、感光体ドラム)から構成される物理層22とを有している。
【0016】
図1は、本発明の実施例1におけるプリンタユニット20を示す機能ブロック図である。
【0017】
図1において、コントロールユニット10は、印刷ジョブデータから印刷画像データを作成してプリンタユニット20の制御層21へ送信するように構成されている。更に、コントロールユニット10は、印刷条件として必要なパラメータを抽出し、印刷条件としてプリンタユニット20の論理層30に送信するように構成されている。
【0018】
プリンタユニット20は、前述したように、論理層30、制御層21、及び物理層22から構成されている。論理層30は、各種機能を実行する複数のタスクから構成されている。各タスクは、図示しないオペレーティングシステムの下で、並行動作するように構成されている。
【0019】
論理層30は、タスクとしてのコントロールユニット/プリンタユニットインタフェースタスク(以下「CUPU−IF」という。)31、スケジューラ32、パラメータ管理部33、消耗品管理部34、状態監視部35、イニシャル部36及びデータとしてのタスク一覧テーブル37とを有している。
【0020】
CUPU−I/F31は、コントロールユニット10とプリンタユニット20とをインタフェースする機能を有している。CUPU−I/F31は、コントロールユニット10から印刷画像データを制御層21に送信した旨を通知する画像転送通知信号を受信し、これに基づいて制御層21に画像形成のタイミングを計るように指令する機能を有している。
【0021】
更に、CUPU−I/F31は、印刷速度、解像度、用紙Pの種類等の印刷属性をスケジューラ32及びパラメータ管理部33に送信する機能を有している。又、状態監視部35からプリンタユニット20の状態を受信し、コントロールユニット10に送信する機能を有している。
【0022】
スケジューラ32は、CUPU−I/F31から受信した印刷属性を、制御層21を構成するモジュールに直接関連するパラメータ(例えば、搬送速度、定着温度)に変換して制御層21に送信する。更に、印刷属性を受信して処理したことを表す受領信号をCUPU−I/F31に送信する機能を有している。
【0023】
パラメータ管理部33は、CUPU−I/F31から印刷属性を受信し、受信した旨をCUPU−I/F31に応答すると共に、受信した印刷属性をモジュールに直接関連するパラメータに変換して管理する機能を有している。消耗品管理部34は、現像剤(例えば、トナー)や感光体ドラム等のプリンタユニット20を構成する消耗品が寿命に達するかどうかをモニタし、必要に応じて、スケジューラ32に結果を通知する機能を有している。
【0024】
状態監視部35は、プリンタユニット20にジャム等の異常が発生していないかどうかをモニタリングし、必要に応じて結果をCUPU−I/F31に通知する機能を有している。イニシャル部36は、プリンタユニット20に電源が投入された際に起動され、各種共通テーブル類を初期化し、必要な各種タスクを起動する機能を有している。
【0025】
タスク一覧テーブル37は、論理層30に含まれるタスクであるCUPU−I/F31、スケジューラ32、パラメータ管理部33、消耗品管理部34、及び状態監視部35のそれぞれについて、初期化に必要な時間を記録している。
【0026】
図3は、図1中のCUPU−I/F31の概略を示す構成図である。
CUPU−I/F31、スケジューラ32、パラメータ管理部33、消耗品管理部34、及び状態監視部35の各タスクは、画像形成情報の受け渡しを行って並行動作をしている他のタスクがタスクエラー状態になったときに、これを復旧する機能を有している。本実施例1においては、CUPU−I/F31を例に説明する。
【0027】
図3において、CUPU−I/F31は、他のタスクに対して画像形成情報の受け渡しする際に、他のタスクのタスクエラー状態を検知するエラー検知部31aと、タスクエラー状態が解消したか否かを判断する判断部31bと、他のタスクを初期化する時間が所定の閾値未満のときのときには、初期化実行と判定し、前記他のタスクを初期化する時間が所定の閾値以上のときのときには、初期化未実行と判定する初期化判定部31cとを有している。
【0028】
更に、CUPU−I/F31は、初期化判定部31cが初期化実行と判定したときには、他のタスクを初期化する初期化部31dと、初期化判定部31cが初期化未実行と判定したときには、電源を切断し、更に電源を投入する電源のオフ/オン操作を利用者に促すメッセージを操作パネル1に出力するようコントロールユニット10に要求する電源オフ/オン要求部31eとを有している。
【0029】
コントロールユニット10では、電源オフ/オンの要求情報を受信すると、操作パネル1に、利用者に対してMFPの電源オフ/オンの操作を促すメッセージを表示する。利用者により電源オフ/オンがなされると、イニシャル部36が起動されて必要なタスクが起動されるように構成されている。
【0030】
図4は、図1中のタスク一覧テーブル37を示す構成図である。
図4においては、CUPU−I/F31の初期化時間が2.0秒で、スケジューラ32の初期化時間が1.0秒で、パラメータ管理部33の初期化時間が2.5秒で、消耗品管理部34の初期化時間が1.0秒で、状態監視部35の初期化時間が3.0秒であることが示されている。
【0031】
(実施例1の動作)
図5は、本発明の実施例1におけるCUPU−I/F31の動作を示すフローチャートである。
【0032】
図5を用いて、CUPU−I/F31とスケジューラ32とが、相互に画像形成情報の受け渡しを行って、処理を実行する際に、スケジューラ32におけるタスクエラー発生時のタスクエラー解除処理について説明する。
【0033】
ステップS1において、CUPU−I/F31は、ジョブの処理の実行開始時に、エラーフラグをオフとする。ステップS2において、相手タスク、即ち、スケジューラ32に送信すべきデータを送信する。本実施例1においては、相手タスクがスケジューラ32であるので、処理すべき印刷ジョブの印刷属性(例えば、印刷速度、解像度、用紙Pの種類等)を送信する。
【0034】
ステップS3において、スケジューラ32からの応答を時間監視する。ステップS4において、所定時間内にスケジューラ32から応答があった場合には、ステップS5において、この応答があらかじめ取り決めてある妥当な応答であるか否かを判定する。妥当な応答であったときには、CUPU−I/F31とスケジューラ32との間で実行すべき処理は終了する。この場合、妥当な応答とは、スケジューラ32からの属性データ受領応答をいう。
【0035】
ステップS4において、所定時間以内に応答がなかった場合、或いは、ステップS5において、妥当でない応答があった場合には、CUPU−I/F31内のエラー検知部31aは、これをタスクエラーと判断し、ステップS6へ進む。
【0036】
ステップS6において、判断部31bは、エラーフラグがオフのときには、タスクエラーの発生は、1回目と判断して、ステップS7へ進む。ステップS7において、初期化判定部31cは、エラーフラッグをオンとし、ステップ8において、タスク一覧テーブル37から現在タスクエラーが発生しているスケジューラ32の初期化時間1.0秒を取得する。
【0037】
ステップS9において、初期化時間1.0秒が閾値よりも小さければ、ステップS10において、初期化部31dは、スケジューラ32を初期化し、その後、ステップS2に戻って、再度スケジューラ32に印刷ジョブ属性を送信する。初期化判定部31cが初期化時間の比較対象とする閾値は、電源オフ/オンによりMFP全体を初期化するのに要する時間を勘案して設定する。個別のタスクを初期化する時間が電源オフ/オンよりも十分に短い場合は、初期化部31dによるタスク初期化の実行によって、タスクエラーの復旧を試みるものとする。
【0038】
ステップS9において、初期化時間が閾値よりも大きいときには、ステップS11に進み、電源オフ/オン要求部31eは、電源のオフ/オンを利用者に促すメッセージを操作パネル1に出力するようコントロールユニット10に要求する。
【0039】
ステップS2において、スケジューラ32に、2度目の印刷ジョブの送信を行った場合、ステップS4において、スケジューラ32からの応答がないか、又は、ステップS5において、スケジューラ32からの応答が妥当でなかったときには、ステップS6に進む。ステップS6において、エラーフラッグがオンとなっているので、判定部31bは、タスクエラー状態が継続していると判断して、ステップS11へ進み、電源オフ/オン要求部31eは、電源のオフ/オンを利用者に促すメッセージを操作パネル1に出力するようコントロールユニット10に要求して処理を終了する。
【0040】
図6は、図1中のイニシャル部36の動作を示すフローチャートである。
コントロールユニット10は、電源オフ/オン要求部31eから電源のオフ/オンを利用者に促すメッセージを操作パネル1に出力するよう要求されると、電源のオフ/オンを利用者に促すメッセージを操作パネル1に表示する。
【0041】
図6において、利用者がMFPの電源オフ/オンの操作を行うと、イニシャル部36が起動される。ステップS21において、イニシャル部36は、論理層30の各種共通テーブルの初期化を行い、ステップS22において、必要なタスクを起動する。
【0042】
本実施例1ではCUPU−I/F31とスケジューラ32とを例に、CUPU−I/F31がスケジューラ32のタスクエラーを検出したものとして説明したが、パラメータ管理部33、消耗品管理部34、又は状態監視部35とCUPU−I/F31とが相互に行う処理や、CUPU−I/F31を含まないその他のタスク同士での処理において、それぞれのエラー検知部31aが検知したタスクエラーでも、問題となるタスクだけを初期化することが可能である。
【0043】
(実施例1の効果)
本実施例1のMFPによれば、次のような効果がある。
【0044】
MFPのCUPU−I/F31は、タスク処理過程で発生したスケジューラ32のタスクエラーを検知し、スケジューラ32を初期化してタスクエラー回復を実行するようにしている。これにより、MFPにおいて、必要以上に電源再投入処理をする必要がなくなるので、電源遮断による送信済み印刷ジョブの消去が回避できる。更に、タスク初期化に必要な時間は一般的に、電源再投入によりMFPが印刷可能になるまでに要する時間よりも十分に短いため、短時間でのタスクエラー回復が期待できる。
【実施例2】
【0045】
(実施例2の構成)
本発明の実施例2におけるMFP及びプリンタユニット20Aの構成は、実施例1とほぼ同様である。本実施例2と実施例1との相違点は、本実施例2におけるCUPU−I/F31Aの構成が実施例1と異なっている点である。
【0046】
図7は、本発明の実施例2におけるプリンタユニット20Aを示す機能ブロック図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。図8は、図7中のCUPU−I/F31Aの概略を示す構成図であり、実施例1を示す図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0047】
図7のプリンタユニット20Aにおいて、CUPU−I/F31Aの構成が実施例1のCUPU−I/F31の構成と異なっている。その他のプリンタユニット20Aの構成は、実施例1と同様である。
【0048】
図8において、本実施例2のCUPU−I/F31Aには、実施例1にはない選択部31fが追加されている。その他の構成は実施例1と同様である。
【0049】
図9は、図7中のタスク一覧テーブル37Aを示す構成図である。
タスク一覧テーブル37Aには、プリンタユニット20Aの論理層30Aを構成するすべてのタスクにつき、当該タスク以外の各タスクとの関連の有無と、各タスクが初期化に要する時間が登録されている。ここで、各タスク間の関連とは、2つのタスクが、相互に画像形成情報の受け渡しを行う場合に関連が有るとし、相互に画像形成情報の受け渡しがない場合に2つのタスクは、互いに関連がないという。
【0050】
図9のタスク一覧テーブル37Aにおいて、縦横のタスク名が交差する升目が1の場合、相互にデータ及び/又は制御情報の受け渡しがあり、2つのタスクは関連タスクであることを示している。例えば、CUPU−I/F31Aは、処理過程において、スケジューラ32、パラメータ管理部33、及び状態監視部35と互いに関連することを示している。しかし、CUPU−I/F31Aは、消耗品管理部34とは、互いに関連タスクではないことを示している。CUPU−l/F31Aを初期化するのに要する時間は2.0秒である。
【0051】
消耗品管理部34は、処理過程でスケジューラ32及びパラメータ管理部33と関連があり、CUPUーI/F31A及び状態監視部35とは関連がない。消耗品管理部34を初期化に要するのに要する時間は1.0秒である。
【0052】
(実施例2の動作)
本実施例2におけるIUPU−I/F31Aの動作は、実施例1とほぼ同様である。
【0053】
図10及び図11は、本発明の実施例2におけるCUPU−I/F31Aの動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図5中のステップと共通のステップには共通の符号が付されている。
【0054】
実施例1と異なるステップS1Aにおいて、初期化カウンタをクリアする。初期カウンタは、タスクエラーの復旧処理を何回行ったかを数えるカウンタである。実施例1と同様のステップS2の印刷ジョブ属性の送信処理、ステップS3の所定時間監視処理、ステップS4の応答の有無判定処理がエラー検知部31aにより実行される。
【0055】
実施例1と異なるステップS6Aにおいて、判断部31bにより、初期化カウンタと閾値とが比較される。初期化カウンタが閾値を越えているときには、実施例1と同様のステップS11に進む。初期化カウンタが閾値未満のときには、実施例1と異なるステップS7Aへ進み、初期化カウンタが加算される。
【0056】
ステップS8Aにおいて、選択部31fは、タスク一覧テーブル37Aからスケジューラ32に関連するタスクを選択し、このうちのCUPUI/F31A以外のタスクについて、初期化に必要な時間を取得する。スケジューラ32の関連タスクは、CUPU−I/F31Aの他に、パラメータ管理部33、消耗品管理部34、状態監視部35であり、それぞれが初期化に要する時間は、順に2.5秒、1.0秒、3.0秒である。スケジューラ32が初期化に要する時間は、1.0秒である。
【0057】
実施例1と同様のステップS9において、初期化判定部31cにより、CUPU−I/F31Aが現在直接通信している相手であるスケジューラ32の初期化時間が、予め定めた閾値と比較される。スケジューラ32の初期化時間が、閾値よりも短ければ、実施例1と同様のステップS10へ進み、スケジューラ32の初期化が実行され、ステップS12へ進む。スケジューラ32の初期化時間が閾値以上の場合には、実施例1と同様のステップS11の電源オフ/オン要求処理に進み、処理を終了する。
【0058】
ステップS12〜S15は、実施例2において、新たに追加された処理である。
【0059】
ステップS12において、ステップ8Aで抽出した関連タスクの1つが選択される。ステップS13において、選択された関連タスクの初期化時間と閾値とが比較される。初期化時間が闘値よりも小さいときには、ステップS14へ進み、CUPU−I/F31Aは、その関連タスクの初期化を実行してステップS15へ進む。ステップS13において、初期化時間が閾値以上のときには、単にステップS15へ進む。
【0060】
ステップS15において、すべての関連タスクを処理したか否かが判定され、まだ、処理されない関連タスクがあるときには、ステップS12へ戻り、すべての関連タスクが処理されたときには、ステップS2へ戻る。
【0061】
その後、CUPU−I/F31Aは、ステップS2において、再度スケジューラ32に印刷ジョブ属性を送信する。
【0062】
(実施例2の効果)
本実施例2のMFPによれば、実施例1の効果に加え、タスク処理の過程においてタスクエラーが発生したスケジューラ32及びこのスケジューラ32に関連する関連タスクを初期化してエラー回復をしているので、実施例1よりも確実なエラー回復効果が期待できる。
【0063】
更に、MFPの電源再投入から印刷可能になるまでの時間に比べて、十分短いと判断できる所定の時間を目安に定めた最大回数まで、タスク初期化によるエラー回復処理を試行するので、エラー回復効果をさらに向上できる。
【0064】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
【0065】
(a) 画像形成装置として、MFPを用いて説明したが、例えば、複写機、FAX装置、電子写真法によるプリンタ等であっても適用可能である。
【0066】
(b) プリンタユニット20,20Aの論理層30におけるタスク処理を例に説明したが、複数のタスクがコンカレントに処理を行うマルチタスキングであれば、コントロールユニット10、スキャナユニット3、FAXユニット4におけるタスク処理にも適用できる。更に、パーソナルコンピュータ等の一般の情報処理装置にも適用ができる。
【0067】
(c) プリンタユニット20,20Aの論理層30における、タスク処理を例に説明したが、制御層21、物理層22の各層を構成する要素間のエラー検知にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 操作パネル
10 コントロールユニット
20 プリンタユニット
21 制御層
30 論理層
31,31A CUPU−I/F
31a エラー検知部
31b 判断部
31c 初期化判定部
31d 初期化部
31e 電源オフ/オン要求部
31f 選択部
32 スケジューラ
33 パラメータ管理部
34 消耗品管理部
35 状態監視部
36 イニシャル部
37,37A タスク一覧テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法による多機能周辺装置(MultiFunction Peripheral;以下「MFP」という。)等の画像形成装置に係り、特に、画像形成装置におけるタスクエラー状態の解除技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置でサービスコールエラーが発生すると、電源再投入をして様子を見る使い方が一般的である。これは、電源再投入によりエラーがリセットされることがあるためである。
【0003】
下記の特許文献1では、実際に利用者が電源を再投入しなくても、MFPの各機能ユニット間のタイムアウトを検出し、個々のユニットを個別にリセットさせて復旧を試みる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−49619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置では、電源再投入による復旧を行った場合、画像形成装置全体が最初から初期化処理を繰り返すため、時間がかかって非効率であるという課題があった。更に、電源再投入をすると、揮発性メモリに一時格納されている印刷ジョブが初期化により消えてしまい、利用者は、その都度印刷ジョブデータを再送信しなければならないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、画像形成に関する画像形成情報を相互に授受して画像を形成する複数の機能処理部を備えた画像形成装置であって、前記各機能処理部は、他の前記機能処理部との前記画像形成情報の授受の際に、前記他の機能処理部のタスクエラー状態を検知するエラー検知部と、前記タスクエラー状態が解消したか否かを判断する判断部と、前記他の機能処理部を初期化する時間が所定の閾値未満のときのときには、初期化実行と判定し、前記他の機能処理部を初期化する時間が所定の閾値以上のときのときには、初期化未実行と判定する初期化判定部と、前記初期化判定部が初期化実行と判定したときには、前記他の機能処理部を初期化する初期化部と、前記初期化判定部が初期化未実行と判定したときには、電源のオフ/オンの要求情報を出力する電源オフ/オン要求部とを有している。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像形成装置によれば、次のような効果がある。
即ち、画像形成装置の各タスクは、タスク処理過程で発生した他のタスクのタスクエラーを検知し、当該他のタスクを初期化してタスクエラー回復を実行するようにしている。これにより、必要以上に電源再投入処理をする必要がなくなるので、電源遮断による送信済み印刷ジョブの消去が回避できる。更に、タスク初期化に必要な時間は一般的に、電源再投入により画像形成装置が印刷可能になるまでに要する時間よりも十分に短いため、短時間でのタスクエラー回復が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明の実施例1におけるプリンタユニットを示す機能ブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施例1におけるMFPの概略を示す構成図である。
【図3】図3は図1中のCUPU−I/Fの概略を示す構成図である。
【図4】図4は図1中のタスク一覧テーブルを示す構成図である。
【図5】図5は本発明の実施例1におけるCUPU−I/Fの動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は図1中のイニシャル部の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は本発明の実施例2におけるプリンタユニットを示す機能ブロック図である。
【図8】図8は図7中のCUPU−I/Fの概略を示す構成図である。
【図9】図9は図7中のタスク一覧テーブルを示す構成図である。
【図10】図10は本発明の実施例2におけるCUPU−I/Fの動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は本発明の実施例2におけるCUPU−I/Fの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0010】
(実施例1のMPFの構成)
図2は、本発明の実施例1におけるMFPの概略を示す構成図である。
【0011】
本発明の画像形成装置は、例えば、MFPであって、図示しない上位装置から受信した印刷ジョブデータを印刷画像データに変換する等、MFP全体を制御するコントロールユニット10を有している。
【0012】
コントロールユニット10は、プログラム制御により各種処理を実行する中央処理装置(以下「CPU」という。)11と、プログラムや固定データを格納するリードオンリメモリ(以下「ROM」という。)12と、実行中のプログラムや各種データを一時的に記憶するランダムアクセスメモリ(以下「RAM」という。)13と、電源を切断しても記憶内容が消去されない不揮発性メモリ14と、時計機構15とを有している。
【0013】
コントロールユニット10には、操作パネル1と、図示しない上位装置等の外部装置と接続される外部インタフェース(以下、外部I/Fという。)2とが接続されている。操作パネル1は、利用者に各種のメッセージを通知するための液晶表示装置や各種ランプから構成される図示しない表示部と、利用者が入力を行うためのタッチパネルや各種スイッチ等から構成される図示しない操作部とを有している。
【0014】
コントロールユニット10には、更に、コントロールユニット10から印刷画像データを受信して、記録媒体(例えば、用紙)Pに画像を形成するプリンタユニット20と、原稿上の画像を読み取るスキャナユニット3と、スキャナユニット3で読み取った画像データを外部のファクシミリ(以下「FAX」とういう。)装置に送信し、更に、外部のFAX装置から受信するFAXユニット4とが接続されている。
【0015】
プリンタユニット20は、相互に印刷画像データや制御情報である画像形成情報の受け渡しを行って、コントロールユニット10から受信した印刷画像データに基づき、用紙Pに画像を形成する複数の機能処理部(例えば、タスク)から構成される論理層30と、論理層30のタスクからの指示により物理層を制御する各種モジュールから構成される制御層21と、図示しない各種電子回路や像担持体(例えば、感光体ドラム)から構成される物理層22とを有している。
【0016】
図1は、本発明の実施例1におけるプリンタユニット20を示す機能ブロック図である。
【0017】
図1において、コントロールユニット10は、印刷ジョブデータから印刷画像データを作成してプリンタユニット20の制御層21へ送信するように構成されている。更に、コントロールユニット10は、印刷条件として必要なパラメータを抽出し、印刷条件としてプリンタユニット20の論理層30に送信するように構成されている。
【0018】
プリンタユニット20は、前述したように、論理層30、制御層21、及び物理層22から構成されている。論理層30は、各種機能を実行する複数のタスクから構成されている。各タスクは、図示しないオペレーティングシステムの下で、並行動作するように構成されている。
【0019】
論理層30は、タスクとしてのコントロールユニット/プリンタユニットインタフェースタスク(以下「CUPU−IF」という。)31、スケジューラ32、パラメータ管理部33、消耗品管理部34、状態監視部35、イニシャル部36及びデータとしてのタスク一覧テーブル37とを有している。
【0020】
CUPU−I/F31は、コントロールユニット10とプリンタユニット20とをインタフェースする機能を有している。CUPU−I/F31は、コントロールユニット10から印刷画像データを制御層21に送信した旨を通知する画像転送通知信号を受信し、これに基づいて制御層21に画像形成のタイミングを計るように指令する機能を有している。
【0021】
更に、CUPU−I/F31は、印刷速度、解像度、用紙Pの種類等の印刷属性をスケジューラ32及びパラメータ管理部33に送信する機能を有している。又、状態監視部35からプリンタユニット20の状態を受信し、コントロールユニット10に送信する機能を有している。
【0022】
スケジューラ32は、CUPU−I/F31から受信した印刷属性を、制御層21を構成するモジュールに直接関連するパラメータ(例えば、搬送速度、定着温度)に変換して制御層21に送信する。更に、印刷属性を受信して処理したことを表す受領信号をCUPU−I/F31に送信する機能を有している。
【0023】
パラメータ管理部33は、CUPU−I/F31から印刷属性を受信し、受信した旨をCUPU−I/F31に応答すると共に、受信した印刷属性をモジュールに直接関連するパラメータに変換して管理する機能を有している。消耗品管理部34は、現像剤(例えば、トナー)や感光体ドラム等のプリンタユニット20を構成する消耗品が寿命に達するかどうかをモニタし、必要に応じて、スケジューラ32に結果を通知する機能を有している。
【0024】
状態監視部35は、プリンタユニット20にジャム等の異常が発生していないかどうかをモニタリングし、必要に応じて結果をCUPU−I/F31に通知する機能を有している。イニシャル部36は、プリンタユニット20に電源が投入された際に起動され、各種共通テーブル類を初期化し、必要な各種タスクを起動する機能を有している。
【0025】
タスク一覧テーブル37は、論理層30に含まれるタスクであるCUPU−I/F31、スケジューラ32、パラメータ管理部33、消耗品管理部34、及び状態監視部35のそれぞれについて、初期化に必要な時間を記録している。
【0026】
図3は、図1中のCUPU−I/F31の概略を示す構成図である。
CUPU−I/F31、スケジューラ32、パラメータ管理部33、消耗品管理部34、及び状態監視部35の各タスクは、画像形成情報の受け渡しを行って並行動作をしている他のタスクがタスクエラー状態になったときに、これを復旧する機能を有している。本実施例1においては、CUPU−I/F31を例に説明する。
【0027】
図3において、CUPU−I/F31は、他のタスクに対して画像形成情報の受け渡しする際に、他のタスクのタスクエラー状態を検知するエラー検知部31aと、タスクエラー状態が解消したか否かを判断する判断部31bと、他のタスクを初期化する時間が所定の閾値未満のときのときには、初期化実行と判定し、前記他のタスクを初期化する時間が所定の閾値以上のときのときには、初期化未実行と判定する初期化判定部31cとを有している。
【0028】
更に、CUPU−I/F31は、初期化判定部31cが初期化実行と判定したときには、他のタスクを初期化する初期化部31dと、初期化判定部31cが初期化未実行と判定したときには、電源を切断し、更に電源を投入する電源のオフ/オン操作を利用者に促すメッセージを操作パネル1に出力するようコントロールユニット10に要求する電源オフ/オン要求部31eとを有している。
【0029】
コントロールユニット10では、電源オフ/オンの要求情報を受信すると、操作パネル1に、利用者に対してMFPの電源オフ/オンの操作を促すメッセージを表示する。利用者により電源オフ/オンがなされると、イニシャル部36が起動されて必要なタスクが起動されるように構成されている。
【0030】
図4は、図1中のタスク一覧テーブル37を示す構成図である。
図4においては、CUPU−I/F31の初期化時間が2.0秒で、スケジューラ32の初期化時間が1.0秒で、パラメータ管理部33の初期化時間が2.5秒で、消耗品管理部34の初期化時間が1.0秒で、状態監視部35の初期化時間が3.0秒であることが示されている。
【0031】
(実施例1の動作)
図5は、本発明の実施例1におけるCUPU−I/F31の動作を示すフローチャートである。
【0032】
図5を用いて、CUPU−I/F31とスケジューラ32とが、相互に画像形成情報の受け渡しを行って、処理を実行する際に、スケジューラ32におけるタスクエラー発生時のタスクエラー解除処理について説明する。
【0033】
ステップS1において、CUPU−I/F31は、ジョブの処理の実行開始時に、エラーフラグをオフとする。ステップS2において、相手タスク、即ち、スケジューラ32に送信すべきデータを送信する。本実施例1においては、相手タスクがスケジューラ32であるので、処理すべき印刷ジョブの印刷属性(例えば、印刷速度、解像度、用紙Pの種類等)を送信する。
【0034】
ステップS3において、スケジューラ32からの応答を時間監視する。ステップS4において、所定時間内にスケジューラ32から応答があった場合には、ステップS5において、この応答があらかじめ取り決めてある妥当な応答であるか否かを判定する。妥当な応答であったときには、CUPU−I/F31とスケジューラ32との間で実行すべき処理は終了する。この場合、妥当な応答とは、スケジューラ32からの属性データ受領応答をいう。
【0035】
ステップS4において、所定時間以内に応答がなかった場合、或いは、ステップS5において、妥当でない応答があった場合には、CUPU−I/F31内のエラー検知部31aは、これをタスクエラーと判断し、ステップS6へ進む。
【0036】
ステップS6において、判断部31bは、エラーフラグがオフのときには、タスクエラーの発生は、1回目と判断して、ステップS7へ進む。ステップS7において、初期化判定部31cは、エラーフラッグをオンとし、ステップ8において、タスク一覧テーブル37から現在タスクエラーが発生しているスケジューラ32の初期化時間1.0秒を取得する。
【0037】
ステップS9において、初期化時間1.0秒が閾値よりも小さければ、ステップS10において、初期化部31dは、スケジューラ32を初期化し、その後、ステップS2に戻って、再度スケジューラ32に印刷ジョブ属性を送信する。初期化判定部31cが初期化時間の比較対象とする閾値は、電源オフ/オンによりMFP全体を初期化するのに要する時間を勘案して設定する。個別のタスクを初期化する時間が電源オフ/オンよりも十分に短い場合は、初期化部31dによるタスク初期化の実行によって、タスクエラーの復旧を試みるものとする。
【0038】
ステップS9において、初期化時間が閾値よりも大きいときには、ステップS11に進み、電源オフ/オン要求部31eは、電源のオフ/オンを利用者に促すメッセージを操作パネル1に出力するようコントロールユニット10に要求する。
【0039】
ステップS2において、スケジューラ32に、2度目の印刷ジョブの送信を行った場合、ステップS4において、スケジューラ32からの応答がないか、又は、ステップS5において、スケジューラ32からの応答が妥当でなかったときには、ステップS6に進む。ステップS6において、エラーフラッグがオンとなっているので、判定部31bは、タスクエラー状態が継続していると判断して、ステップS11へ進み、電源オフ/オン要求部31eは、電源のオフ/オンを利用者に促すメッセージを操作パネル1に出力するようコントロールユニット10に要求して処理を終了する。
【0040】
図6は、図1中のイニシャル部36の動作を示すフローチャートである。
コントロールユニット10は、電源オフ/オン要求部31eから電源のオフ/オンを利用者に促すメッセージを操作パネル1に出力するよう要求されると、電源のオフ/オンを利用者に促すメッセージを操作パネル1に表示する。
【0041】
図6において、利用者がMFPの電源オフ/オンの操作を行うと、イニシャル部36が起動される。ステップS21において、イニシャル部36は、論理層30の各種共通テーブルの初期化を行い、ステップS22において、必要なタスクを起動する。
【0042】
本実施例1ではCUPU−I/F31とスケジューラ32とを例に、CUPU−I/F31がスケジューラ32のタスクエラーを検出したものとして説明したが、パラメータ管理部33、消耗品管理部34、又は状態監視部35とCUPU−I/F31とが相互に行う処理や、CUPU−I/F31を含まないその他のタスク同士での処理において、それぞれのエラー検知部31aが検知したタスクエラーでも、問題となるタスクだけを初期化することが可能である。
【0043】
(実施例1の効果)
本実施例1のMFPによれば、次のような効果がある。
【0044】
MFPのCUPU−I/F31は、タスク処理過程で発生したスケジューラ32のタスクエラーを検知し、スケジューラ32を初期化してタスクエラー回復を実行するようにしている。これにより、MFPにおいて、必要以上に電源再投入処理をする必要がなくなるので、電源遮断による送信済み印刷ジョブの消去が回避できる。更に、タスク初期化に必要な時間は一般的に、電源再投入によりMFPが印刷可能になるまでに要する時間よりも十分に短いため、短時間でのタスクエラー回復が期待できる。
【実施例2】
【0045】
(実施例2の構成)
本発明の実施例2におけるMFP及びプリンタユニット20Aの構成は、実施例1とほぼ同様である。本実施例2と実施例1との相違点は、本実施例2におけるCUPU−I/F31Aの構成が実施例1と異なっている点である。
【0046】
図7は、本発明の実施例2におけるプリンタユニット20Aを示す機能ブロック図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。図8は、図7中のCUPU−I/F31Aの概略を示す構成図であり、実施例1を示す図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0047】
図7のプリンタユニット20Aにおいて、CUPU−I/F31Aの構成が実施例1のCUPU−I/F31の構成と異なっている。その他のプリンタユニット20Aの構成は、実施例1と同様である。
【0048】
図8において、本実施例2のCUPU−I/F31Aには、実施例1にはない選択部31fが追加されている。その他の構成は実施例1と同様である。
【0049】
図9は、図7中のタスク一覧テーブル37Aを示す構成図である。
タスク一覧テーブル37Aには、プリンタユニット20Aの論理層30Aを構成するすべてのタスクにつき、当該タスク以外の各タスクとの関連の有無と、各タスクが初期化に要する時間が登録されている。ここで、各タスク間の関連とは、2つのタスクが、相互に画像形成情報の受け渡しを行う場合に関連が有るとし、相互に画像形成情報の受け渡しがない場合に2つのタスクは、互いに関連がないという。
【0050】
図9のタスク一覧テーブル37Aにおいて、縦横のタスク名が交差する升目が1の場合、相互にデータ及び/又は制御情報の受け渡しがあり、2つのタスクは関連タスクであることを示している。例えば、CUPU−I/F31Aは、処理過程において、スケジューラ32、パラメータ管理部33、及び状態監視部35と互いに関連することを示している。しかし、CUPU−I/F31Aは、消耗品管理部34とは、互いに関連タスクではないことを示している。CUPU−l/F31Aを初期化するのに要する時間は2.0秒である。
【0051】
消耗品管理部34は、処理過程でスケジューラ32及びパラメータ管理部33と関連があり、CUPUーI/F31A及び状態監視部35とは関連がない。消耗品管理部34を初期化に要するのに要する時間は1.0秒である。
【0052】
(実施例2の動作)
本実施例2におけるIUPU−I/F31Aの動作は、実施例1とほぼ同様である。
【0053】
図10及び図11は、本発明の実施例2におけるCUPU−I/F31Aの動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図5中のステップと共通のステップには共通の符号が付されている。
【0054】
実施例1と異なるステップS1Aにおいて、初期化カウンタをクリアする。初期カウンタは、タスクエラーの復旧処理を何回行ったかを数えるカウンタである。実施例1と同様のステップS2の印刷ジョブ属性の送信処理、ステップS3の所定時間監視処理、ステップS4の応答の有無判定処理がエラー検知部31aにより実行される。
【0055】
実施例1と異なるステップS6Aにおいて、判断部31bにより、初期化カウンタと閾値とが比較される。初期化カウンタが閾値を越えているときには、実施例1と同様のステップS11に進む。初期化カウンタが閾値未満のときには、実施例1と異なるステップS7Aへ進み、初期化カウンタが加算される。
【0056】
ステップS8Aにおいて、選択部31fは、タスク一覧テーブル37Aからスケジューラ32に関連するタスクを選択し、このうちのCUPUI/F31A以外のタスクについて、初期化に必要な時間を取得する。スケジューラ32の関連タスクは、CUPU−I/F31Aの他に、パラメータ管理部33、消耗品管理部34、状態監視部35であり、それぞれが初期化に要する時間は、順に2.5秒、1.0秒、3.0秒である。スケジューラ32が初期化に要する時間は、1.0秒である。
【0057】
実施例1と同様のステップS9において、初期化判定部31cにより、CUPU−I/F31Aが現在直接通信している相手であるスケジューラ32の初期化時間が、予め定めた閾値と比較される。スケジューラ32の初期化時間が、閾値よりも短ければ、実施例1と同様のステップS10へ進み、スケジューラ32の初期化が実行され、ステップS12へ進む。スケジューラ32の初期化時間が閾値以上の場合には、実施例1と同様のステップS11の電源オフ/オン要求処理に進み、処理を終了する。
【0058】
ステップS12〜S15は、実施例2において、新たに追加された処理である。
【0059】
ステップS12において、ステップ8Aで抽出した関連タスクの1つが選択される。ステップS13において、選択された関連タスクの初期化時間と閾値とが比較される。初期化時間が闘値よりも小さいときには、ステップS14へ進み、CUPU−I/F31Aは、その関連タスクの初期化を実行してステップS15へ進む。ステップS13において、初期化時間が閾値以上のときには、単にステップS15へ進む。
【0060】
ステップS15において、すべての関連タスクを処理したか否かが判定され、まだ、処理されない関連タスクがあるときには、ステップS12へ戻り、すべての関連タスクが処理されたときには、ステップS2へ戻る。
【0061】
その後、CUPU−I/F31Aは、ステップS2において、再度スケジューラ32に印刷ジョブ属性を送信する。
【0062】
(実施例2の効果)
本実施例2のMFPによれば、実施例1の効果に加え、タスク処理の過程においてタスクエラーが発生したスケジューラ32及びこのスケジューラ32に関連する関連タスクを初期化してエラー回復をしているので、実施例1よりも確実なエラー回復効果が期待できる。
【0063】
更に、MFPの電源再投入から印刷可能になるまでの時間に比べて、十分短いと判断できる所定の時間を目安に定めた最大回数まで、タスク初期化によるエラー回復処理を試行するので、エラー回復効果をさらに向上できる。
【0064】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
【0065】
(a) 画像形成装置として、MFPを用いて説明したが、例えば、複写機、FAX装置、電子写真法によるプリンタ等であっても適用可能である。
【0066】
(b) プリンタユニット20,20Aの論理層30におけるタスク処理を例に説明したが、複数のタスクがコンカレントに処理を行うマルチタスキングであれば、コントロールユニット10、スキャナユニット3、FAXユニット4におけるタスク処理にも適用できる。更に、パーソナルコンピュータ等の一般の情報処理装置にも適用ができる。
【0067】
(c) プリンタユニット20,20Aの論理層30における、タスク処理を例に説明したが、制御層21、物理層22の各層を構成する要素間のエラー検知にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 操作パネル
10 コントロールユニット
20 プリンタユニット
21 制御層
30 論理層
31,31A CUPU−I/F
31a エラー検知部
31b 判断部
31c 初期化判定部
31d 初期化部
31e 電源オフ/オン要求部
31f 選択部
32 スケジューラ
33 パラメータ管理部
34 消耗品管理部
35 状態監視部
36 イニシャル部
37,37A タスク一覧テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成に関する画像形成情報を相互に授受して画像を形成する複数の機能処理部を備えた画像形成装置であって、
前記各機能処理部は、
他の前記機能処理部との前記画像形成情報の授受の際に、前記他の機能処理部のタスクエラー状態を検知するエラー検知部と、
前記タスクエラー状態が解消したか否かを判断する判断部と、
前記他の機能処理部を初期化する時間が所定の閾値未満のときのときには、初期化実行と判定し、前記他の機能処理部を初期化する時間が所定の閾値以上のときのときには、初期化未実行と判定する初期化判定部と、
前記初期化判定部が初期化実行と判定したときには、前記他の機能処理部を初期化する初期化部と、
前記初期化判定部が初期化未実行と判定したときには、電源のオフ/オンの要求情報を出力する電源オフ/オン要求部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記各機能処理部は、更に、
前記各機能処理部及び前記他の機能処理部以外の複数の前記機能処理部の内から、前記他の機能処理部と関連のある関連機能処理部を選択する選択部を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記選択部は、
前記他の機能処理部と相互に前記画像形成情報の授受を行う機能処理部を前記関連機能処理部として選択することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記初期化判定部は、
前記関連機能処理部を初期化する時間が所定の閾値未満のときのときには、初期化実行と判定し、前記関連機能部を初期化する時間が所定の閾値以上のときのときには、初期化未実行と判定することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電源オフ.オン要求部は、
前記判断部が、前記異常が解消しないと判断したときには、前記電源のオフ/オンの要求情報を出力することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、
前記複数の機能処理部を有する論理層と、
前記機能処理部からの指示により物理層を制御する各種モジュールを有する制御層と、
前記制御層の前記各種モジュールからの指示により画像形成を行う物理層と、 を有するプリンタユニットを備えた画像形成装置であって、
前記複数の機能処理部は、
前記コントロールユニットから前記印刷画像データを前記制御層に送信した旨の通知を受信し、前記制御層に画像形成のタイミングを計るように指令するコントロールユニット/プリンタユニットインタフェースタスクと、
前記コントロールユニット/プリンタユニットインタフェースタスクから受信した印刷速度、解像度、前記印刷媒体の種類を含む印刷属性を、前記制御層を構成する前記モジュールに関連するパラメータに変換して送信するスケジューラと、
前記印刷属性を受信し、前記モジュールに関連するパラメータに変換して管理するパラメータ管理部と、
現像剤、像担持体を含む消耗品の寿命を管理する消耗品管理部と、
前記物理層の異常状態を監視する状態監視部と、
を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
画像形成に関する画像形成情報を相互に授受して画像を形成する複数の機能処理部を備えた画像形成装置であって、
前記各機能処理部は、
他の前記機能処理部との前記画像形成情報の授受の際に、前記他の機能処理部のタスクエラー状態を検知するエラー検知部と、
前記タスクエラー状態が解消したか否かを判断する判断部と、
前記他の機能処理部を初期化する時間が所定の閾値未満のときのときには、初期化実行と判定し、前記他の機能処理部を初期化する時間が所定の閾値以上のときのときには、初期化未実行と判定する初期化判定部と、
前記初期化判定部が初期化実行と判定したときには、前記他の機能処理部を初期化する初期化部と、
前記初期化判定部が初期化未実行と判定したときには、電源のオフ/オンの要求情報を出力する電源オフ/オン要求部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記各機能処理部は、更に、
前記各機能処理部及び前記他の機能処理部以外の複数の前記機能処理部の内から、前記他の機能処理部と関連のある関連機能処理部を選択する選択部を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記選択部は、
前記他の機能処理部と相互に前記画像形成情報の授受を行う機能処理部を前記関連機能処理部として選択することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記初期化判定部は、
前記関連機能処理部を初期化する時間が所定の閾値未満のときのときには、初期化実行と判定し、前記関連機能部を初期化する時間が所定の閾値以上のときのときには、初期化未実行と判定することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電源オフ.オン要求部は、
前記判断部が、前記異常が解消しないと判断したときには、前記電源のオフ/オンの要求情報を出力することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、
前記複数の機能処理部を有する論理層と、
前記機能処理部からの指示により物理層を制御する各種モジュールを有する制御層と、
前記制御層の前記各種モジュールからの指示により画像形成を行う物理層と、 を有するプリンタユニットを備えた画像形成装置であって、
前記複数の機能処理部は、
前記コントロールユニットから前記印刷画像データを前記制御層に送信した旨の通知を受信し、前記制御層に画像形成のタイミングを計るように指令するコントロールユニット/プリンタユニットインタフェースタスクと、
前記コントロールユニット/プリンタユニットインタフェースタスクから受信した印刷速度、解像度、前記印刷媒体の種類を含む印刷属性を、前記制御層を構成する前記モジュールに関連するパラメータに変換して送信するスケジューラと、
前記印刷属性を受信し、前記モジュールに関連するパラメータに変換して管理するパラメータ管理部と、
現像剤、像担持体を含む消耗品の寿命を管理する消耗品管理部と、
前記物理層の異常状態を監視する状態監視部と、
を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−71291(P2013−71291A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210834(P2011−210834)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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