説明

画像形成装置

【課題】簡易な構成で、印刷モードを円滑に切り替えることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】
各色に対応する感光ドラム5と、各色に対応する現像カートリッジ7とを備えるプリンタ1に、各現像カートリッジ7の現像カップリング雌部材23に駆動力を入力する各現像カップリング雄部材32を、現像カップリング雌部材23に対して連結または連結解除させる直動カム機構51を設け、直動カム機構51により、すべての現像カップリング雄部材32と現像カップリング雌部材23とを連結して、カラー印刷モードに切り替え、ブラックの現像カップリング雄部材32と現像カップリング雌部材23とを連結させるとともに、カラーの現像カップリング雄部材32と現像カップリング雌部材23との連結を解除して、モノクロ印刷モードに切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式が採用される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色に対応して現像ローラおよび感光ドラムが設けられた、タンデム型のカラーレーザプリンタが知られている。
【0003】
このようなタンデム型のカラーレーザプリンタでは、ブラックの現像ローラおよび感光ドラムのみを駆動させてモノクロ印刷をするモノクロモードと、すべての現像ローラおよび感光ドラムを駆動させてカラー印刷をするカラーモードとに切り替え可能なものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この提案に係る画像形成装置では、正逆回転可能なモータと、モータに連結された揺動ギヤとが備えられている。
【0005】
モータが正方向(または逆方向)に回転されると、揺動ギヤが一方側に揺動して、ブラックの現像器に設けられた現像ギヤに連結される。これにより、画像形成装置がモノクロモードに切り替えられ、モータの駆動力をブラックの現像器のみに伝達することができる。
【0006】
一方、モータが逆方向(または正方向)に回転されると、揺動ギヤが他方側に揺動して、すべての現像器に設けられた現像ギヤに連結される。これにより、画像形成装置がカラーモードに切り替えられ、モータの駆動力をすべての現像器に伝達することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−72021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかるに、上記した特許文献1に記載の現像装置では、駆動源からカラーの現像器に駆動力を伝達するためのギヤ列と、駆動源からブラックの現像器に駆動力を伝達するためのギヤ列とを別々に備えている。
【0009】
そのため、駆動源から各現像器へ駆動力を伝達するギヤ列が複雑になるという不具合がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成で、モノクロモードおよびカラーモードを切り替えることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記した目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、第1感光ドラムと、第1感光ドラムと接触する第1現像ローラと、第1現像ローラを駆動させるための駆動力が入力される第1駆動入力部と、第1駆動入力部に駆動伝達可能に連結可能な第1カップリング部材と、第2感光ドラムと、第2感光ドラムと接触する第2現像ローラと、第2現像ローラを駆動させるための駆動力が入力される第2駆動入力部と、第2駆動入力部に駆動伝達可能に連結可能な第2カップリング部材とを備えている。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、第1現像ローラの軸線方向に第1カップリング部材を進退させて、第1カップリング部材を第1駆動入力部に対して連結または連結解除させるとともに、第2現像ローラの軸線方向に第2カップリング部材を進退させて、第2カップリング部材を第2駆動入力部に対して連結または連結解除させる連結機構を備えている。
【0013】
また、連結機構は、第1カップリング部材と第1駆動入力部とを連結させるとともに、第2カップリング部材と第2駆動入力部とを連結させる第1位置と、第1カップリング部材と第1駆動入力部とを連結させるとともに、第2カップリング部材と第2駆動入力部との連結を解除する第2位置とに変位される。
【0014】
このような構成によれば、連結機構を第1位置に変位させたときには、第1現像ローラおよび第2現像ローラの両方に駆動力を伝達することができ、連結機構を第2位置に変位させたときには、第1現像ローラのみに駆動力を伝達することができる。
【0015】
そのため、連結機構によって第2カップリング部材と第2駆動入力部とを連結または連結解除するという簡易な構成で、モードを切り替えることができる。
(2)また、本発明の画像形成装置は、第2現像ローラを第2感光ドラムに対して接触または離間させる接離機構をさらに備えていてもよい。
【0016】
この場合、接離機構は、連結機構が第1位置に配置されるときに、第2現像ローラを第2感光ドラムに接触させ、連結機構が第2位置に配置されるときに、第2現像ローラを第2感光ドラムから離間させてもよい。
【0017】
このような構成によれば、第2現像ローラの駆動を停止させるとともに、第2現像ローラを第2感光ドラムから離間させることができる。
【0018】
そのため、第2感光ドラムに追従して第2現像ローラが回転しないので、第2現像ローラと第2感光ドラムとの摺擦による劣化を抑制することができる。
(3)また、連結機構は、接離機構が第2現像ローラを第2感光ドラムから離間させた後に、第2位置に配置されてもよい。
【0019】
このような構成によれば、第2現像ローラを第2感光ドラムから離間させた後に、第2現像ローラの駆動を停止させることができる。
【0020】
これにより、第2現像ローラの駆動を停止した後に第2現像ローラを第2感光ドラムから離間させる場合と比べ、第2現像ローラと第2感光ドラム5との周速差が低減されるため、第2現像ローラと第2感光ドラムとの摩擦抵抗が増大することを抑制できる。
【0021】
そのため、第2現像ローラと第2感光ドラムとの摺擦による劣化をより抑制することができる。
(4)また、第1感光ドラムおよび第2感光ドラムは、第1現像ローラの軸線方向および第2現像ローラの軸線方向と直交する直交方向に沿って並列配置され、連結機構は、直交方向にスライド移動可能に構成される移動部材を備えていてもよい。
【0022】
この場合、移動部材は、直交方向一方にスライド移動されることにより、連結機構を第1位置から第2位置に変位させ、直交方向他方にスライド移動されることにより、連結機構を第2位置から第1位置に変位させてもよい。
【0023】
このような構成によれば、移動部材を直交方向にスライド移動させることにより、第1カップリング部を第1駆動入力部に対して連結または連結解除させるとともに、第2カップリング部材を第2駆動入力部に対して連結または連結解除させることができる。
【0024】
そのため、簡易な構成で、第1カップリング部および第2カップリング部を進退させるための機構を個別に設ける場合と比べて、簡易な構成で、モードを切り替えることができる。
(5)また、移動部材は、接離機構を兼ねてもよい。
【0025】
このような構成によれば、連結機構および接離機構の部品点数を低減することができる。
(6)また、連結機構は、第1カップリング部材と第1駆動入力部との連結を解除するとともに、第2カップリング部材と第2駆動入力部との連結を解除する第3位置に、さらに変位されてもよい。
【0026】
この場合、接離機構は、第1現像ローラを第1感光ドラムに対して接触または離間させるように構成され、連結機構が第3位置に配置されるときに、第1現像ローラを第1感光ドラムから離間させるとともに、第2現像ローラを第2感光ドラムから離間させてもよい。
【0027】
このような構成によれば、さらに、第1現像ローラおよび第2現像ローラの両方の駆動を停止させるモードに切り替えることができる。
【0028】
また、第1感光ドラムおよび第2感光ドラムが駆動に追従して第1現像ローラおよび第2現像ローラが回転しないので、第1現像ローラと第1感光ドラムとの摺擦、および、第2現像ローラと第2感光ドラムとの摺擦による劣化を抑制することができる。
(7)また、接離機構が、第1現像ローラを第1感光ドラムから離間させ、第2現像ローラを第2感光ドラムから離間させた後に、連結機構が第3位置に配置されてもよい。
【0029】
このような構成によれば、第1現像ローラを第1感光ドラムから離間させ、第2現像ローラを第2感光ドラムから離間させた後に、第1現像ローラおよび第2現像ローラの駆動を停止させることができる。
【0030】
そのため、第1現像ローラおよび第2現像ローラの駆動が停止された後において、第1現像ローラと第1感光ドラムとの摺擦、および、第2現像ローラと第2感光ドラムとの摺擦を確実に防止することができる。
(8)また、第1カップリング部材は、第1駆動入力部に対して、第1現像ローラの第1感光ドラムに対する接離方向に揺動可能であり、第2カップリング部材は、第2駆動入力部に対して、第2現像ローラの第2感光ドラムに対する接離方向に揺動可能であってもよい。
【0031】
このような構成によれば、第1カップリング部材と第1駆動入力部とが連結された状態で、第1現像ローラを第1感光ドラムから離間させることができる。
【0032】
また、第2カップリング部材と第2駆動入力部とが連結された状態で、第2現像ローラを第2感光ドラムから離間させることができる。
(9)また、本発明の画像形成装置は、第1カップリング部材および第2カップリング部材を駆動する1つの駆動源を、さらに備えてもよい。
【0033】
このような構成によれば、第1カップリング部材および第2カップリング部材を、共通の駆動源で駆動させることができる。
【0034】
そのため、画像形成装置の構成を簡略化することができる。
(10)また、駆動源は、第1感光ドラムおよび第2感光ドラムを駆動してもよい。
【0035】
このような構成によれば、第1感光ドラムおよび第2感光ドラムを、共通の駆動源で駆動させることができる。
【0036】
そのため、画像形成装置の構成を、より簡略化することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の画像形成装置によれば、連結機構によって第2カップリング部材と第2駆動入力部とを連結または連結解除するという簡易な構成で、モードを切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタを示す中央断面図である。
【図2】図2は、図1に示す各現像カートリッジに駆動力を伝達する駆動入力ユニットの斜視図である。
【図3】図3は、図2に示す駆動入力ユニットの平面図であって、全離間モードの状態を示す。
【図4】図4は、図2に示す駆動入力ユニットの側断面図であって、全離間モードの状態を示す。
【図5】図5は、図2に示す駆動入力ユニットの平面図であって、全離間モードからモノクロ印刷モードへの切り替え途中の状態を示す。
【図6】図6は、図2に示す駆動入力ユニットの側断面図であって、全離間モードからモノクロ印刷モードへの切り替え途中の状態を示す。
【図7】図7は、図2に示す駆動入力ユニットの平面図であって、モノクロ印刷モードの状態を示す。
【図8】図8は、図2に示す駆動入力ユニットの側断面図であって、モノクロ印刷モードの状態を示す。
【図9】図9は、図2に示す駆動入力ユニットの平面図であって、モノクロ印刷モードからカラー印刷モードへの切り替え途中の状態を示す。
【図10】図10は、図2に示す駆動入力ユニットの側断面図であって、モノクロ印刷モードからカラー印刷モードへの切り替え途中の状態を示す。
【図11】図11は、図2に示す駆動入力ユニットの平面図であって、カラー印刷モードの状態を示す。
【図12】図12は、図2に示す駆動入力ユニットの側断面図であって、カラー印刷モードの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
1.プリンタの全体構成
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのプリンタ1は、横置きタイプのダイレクトタンデム型カラープリンタである。
【0040】
なお、以下の説明において、方向について言及する場合には、プリンタ1を水平に載置した状態を基準として、図1における紙面左側を後側とし、図1における紙面右側を前側とする。また、プリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。すなわち、図1の紙面手前側が左側であり、紙面奥側が右側である。
【0041】
プリンタ1は、略ボックス形状の本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2の上端部には、トップカバー4が開閉可能に設けられている。プリンタ1は、各色に対応する4つのプロセスカートリッジ3を備えている。
【0042】
各プロセスカートリッジ3は、本体ケーシング2内に着脱可能に設けられ、互いに前後方向(直交方向)に沿って間隔を隔てて並列配置されている。各プロセスカートリッジ3は、前側から後側に向かって、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色に対応するように、順次、並列配置されている。各プロセスカートリッジ3は、ドラムカートリッジ17と、ドラムカートリッジ17に着脱可能に装着される現像カートリッジ7とを備えている。
【0043】
ドラムカートリッジ17は、感光ドラム5を備えている。
【0044】
感光ドラム5は、左右方向に長手の円筒形状に形成されており、ドラムカートリッジ17に回転可能に設けられている。なお、ブラックの感光ドラム5が第1感光ドラムの一例であり、イエローの感光ドラム5、マゼンタの感光ドラム5、および、シアンの感光ドラム5(以下、カラーの各感光ドラム5とする。)が第2感光ドラムの一例である。
【0045】
現像カートリッジ7は、現像ローラ9を備えている。
【0046】
現像ローラ9は、左右方向(軸線方向)に延び、現像カートリッジ7の後端部において後側から露出されるように設けられ、感光ドラム5に対して前上側から接触されている。なお、ブラックの感光ドラム5に接触される現像ローラ9が第1現像ローラの一例であり、カラーの各感光ドラム5に接触される現像ローラ9が第2現像ローラの一例である。
【0047】
また、現像カートリッジ7は、現像ローラ9にトナーを供給する供給ローラ16、現像ローラ9に供給されたトナーの厚みを規制する層厚規制ブレード18を備え、それらの上側には、現像剤の一例としてのトナーが収容されている。
【0048】
現像カートリッジ7内のトナーは、供給ローラ16と現像ローラ9との間で正極性に摩擦帯電され、一定厚さの薄層として現像ローラ9の表面に担持される。
【0049】
一方、各感光ドラム5の表面には、スコロトロン型帯電器6によって一様に帯電された後、LEDユニット10によって所定の画像データに基づいて露光されることにより、画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、現像ローラ9に担持されるトナーが各感光ドラム5の表面上の静電潜像に供給されることにより、感光ドラム5の表面上にトナー像(現像剤像)が担持される。
【0050】
用紙Sは、本体ケーシング2の底部に設けられる給紙トレイ11内に収容されており、各種ローラによって、後上側へUターンするように搬送されて、所定のタイミングで1枚ずつ、感光ドラム5と搬送ベルト12との間に給紙され、搬送ベルト12によって、各感光ドラム5と各転写ローラ13との間を前側から後側に向かって搬送される。このとき、用紙Sに、各色のトナー像が順次転写され、カラー画像が形成される。
【0051】
そして、用紙Sは、加熱ローラ14と加圧ローラ19との間を通過するときに加熱および加圧される。このとき、用紙Sには、カラー画像が熱定着される。
【0052】
その後、用紙Sは、前上側へUターンするように搬送されて、トップカバー4に設けられる排紙トレイ15に排紙される。
2.現像カートリッジ
現像カートリッジ7は、図2および図4に示すように、現像フレーム8の左端部において、供給ローラ16および現像ローラ9に本体ケーシング2からの駆動力を入力するための現像カップリング部21を備えている。
【0053】
現像カップリング部21は、現像カップリングカバー22と、現像カップリングカバー22内に回転可能に支持される現像カップリング雌部材23とを備えている。
【0054】
現像カップリングカバー22は、現像フレーム8の左端面から左方に向かって突出する略円筒形状に形成されている。また、現像カップリングカバー22は、離間係合部27(図4参照)を備えている。
【0055】
離間係合部27は、現像カップリングカバー22の下側外周面から、後下側へ向かって突出し、左右方向に延びる突条として形成されている。
【0056】
現像カップリング雌部材23は、左右方向に延びる略円柱形状に形成されている。現像カップリング雌部材23の右端部には、ギヤ歯(図示せず)が形成されており、供給ローラ16および現像ローラ9に駆動力を伝達するギヤ列(図示せず)に、駆動伝達可能に噛合されている。なお、ブラックの現像カートリッジ7に設けられる現像カップリング雌部材23が第1駆動入力部の一例であり、カラーの各現像カートリッジ7に設けられる現像カップリング雌部材23が第2駆動入力部の一例である。
【0057】
また、現像カップリング雌部材23の左端部には、現像カップリング雄部材32(後述)の嵌合凸部39(後述)が嵌合される2つの嵌合凹部24(図4参照)が形成されている。
【0058】
各嵌合凹部24は、現像カップリング雌部材23の左面から右側へ凹むように、約90°の中心角を有する側面視略扇形状に形成され、互いにその中心角部分において連続されている。嵌合凹部24の左側面視時計回り方向下流側の端面25は、左右方向に沿って延びる平坦面として形成されている。また、嵌合凹部24の左側面視時計回り方向上流側の端面26は、左側面視時計回り方向上流側へ向かうに従って左側へ傾斜される傾斜面として形成されている。
【0059】
また、現像カートリッジ7は、図3に示すように、現像フレーム8の右端部において、離間ボス28を備えている。
【0060】
離間ボス28は、現像カップリングカバー22と同径の略円筒形状に形成され、現像カップリングカバー22と中心軸線を共有するように配置されている。また、離間ボス28にも、現像カップリングカバー22の離間係合部27と同形状の離間係合部(図示せず)が、左右方向に投影したときに現像カップリングカバー22の離間係合部27と一致するように設けられている。
3.ドラムカートリッジ
ドラムカートリッジ17は、現像カートリッジ7を収容可能な左右方向に長手の略枠形状に形成されており、その左右方向両側壁において、現像カップリング部21および離間ボス28を露出する露出溝(図示せず)が形成されている。
【0061】
また、ドラムカートリッジ17は、図4に示すように、現像カートリッジ7を感光ドラム5から離間させるための第1離間部材81を備えている。
【0062】
第1離間部材81は、現像カートリッジ7の現像カップリングカバー22および離間ボス28の下側に1つずつ設けられている。第1離間部材81は、回動軸83と、被当接部84と、押圧部85とを一体的に備えている。
【0063】
回動軸83は、左右方向に延びる略円柱形状に形成され、ドラムカートリッジ17の側壁に支持されている。
【0064】
被当接部84は、回動軸83の下側部分から下側へ延びる略平板形状に形成され、その下側部分が前側へ向かって屈曲するように形成されている。
【0065】
押圧部85は、回動軸83の上側部分から上側へ延びる略平板形状に形成され、その上側部分が前方へ向かって屈曲するように形成されている。
【0066】
そして、第1離間部材81は、回動軸83において、ドラムカートリッジ17に回動可能に支持されている。
【0067】
第1離間部材81は、押圧部85が現像カップリングカバー22または離間ボス28に向かって前上側へ進出する押圧位置(図4参照)と、押圧部85が現像カップリングカバー22または離間ボス28から後下側に退避される押圧解除位置(図12参照)とに、回動軸83を支点として回動される。
4.本体ケーシング
本体ケーシング2は、図2および図3に示すように、各現像カートリッジ7の現像カップリング部21に駆動力を入力する駆動入力ユニット31と、各感光ドラム5に駆動力を入力するドラムカップリング雄部材33と、直動カム機構51とを備えている。
(1)駆動入力ユニット
駆動入力ユニット31は、現像カップリング雄部材32と、アイドルギヤ40とを備えている。
【0068】
現像カップリング雄部材32は、本体ケーシング2内において、各現像カートリッジ7の左側に1つずつ(合計4つ)配置されるように、前側から後側へ向かって互いに間隔を隔てて並列配置されている。なお、ブラックの現像カートリッジ7の左側に配置される現像カップリング雄部材32が第1カップリング部材の一例であり、カラー(イエロー、マゼンタ、シアン)の各現像カートリッジ7の左側に配置される現像カップリング雄部材32が第2カップリング部材の一例である。
【0069】
また、現像カップリング雄部材32は、本体ケーシング2内に位置固定される固定シャフト36(図11参照)と、固定シャフト36に対してスライド可能な移動シャフト37とを備えている。
【0070】
固定シャフト36は、左右方向に延びる略円柱形状に形成されている。固定シャフト36の左端部には、ギヤ歯38が形成されている。
【0071】
移動シャフト37は、左右方向に延び、右端部が閉鎖された略円筒形状に形成されている。移動シャフト37の内径は、固定シャフト36の外径よりも大径である。移動シャフト37の右端部には、2つの嵌合凸部39が形成されている。また、移動シャフト37の左右方向中央には、鍔部35が形成されている。
【0072】
嵌合凸部39は、移動シャフト37の径方向両端部において、右面から右側へ延びる略柱形状に形成されている。なお、移動シャフト37の周方向における嵌合凸部39の長さは、現像カップリング雌部材23の嵌合凹部24の周方向長さよりも短い。
【0073】
鍔部35は、移動シャフト37の外周面から径方向外側へ突出するように、移動シャフト37と中心軸線を共有する側面視略円形状に形成されている。
【0074】
そして、移動シャフト37は、固定シャフト36の右端部に対して、相対回転不能、かつ、左右方向にスライド可能に、わずかに遊びを有して嵌合(径方向外側から嵌合)されている。
【0075】
これにより、移動シャフト37は、右側へ進出されて、現像カップリング雌部材23に連結される進出位置(図11参照)と、進出位置から左側へ退避されて、現像カップリング雌部材23との連結が解除される退避位置(図3参照)とにスライド可能である。また、移動シャフト37は、固定シャフト36に対する遊びの分、その径方向にわずかに揺動可能である。
【0076】
また、移動シャフト37は、付勢部材(図示せず)により、常には、進出位置に配置されるように、右側へ付勢されている。
【0077】
アイドルギヤ40は、各現像カップリング雄部材32のギヤ歯38の間に1つずつ(合計3つ)設けられ、前後方向に間隔を隔てて並列配置されている。各アイドルギヤ40は、各現像カップリング雄部材32のギヤ歯38を前後方向に直列に連結している。
【0078】
前後方向中央のアイドルギヤ40には、本体ケーシング2内に設けられる駆動源の一例としてのモータ100からの駆動力が入力される。これにより、各現像カップリング雄部材32には、各アイドルギヤ40を介して、モータ100からの駆動力が入力される。
(2)ドラムカップリング雄部材
ドラムカップリング雄部材33は、本体ケーシング2内において、各感光ドラム5の左側に1つずつ(合計4つ)設けられ、前後方向に互いに間隔を隔てて並列配置されている。
【0079】
また、ドラムカップリング雄部材33は、左右方向に延びる略円柱形状に形成されている。ドラムカップリング雄部材33の左端部には、ギヤ歯41が形成されている。また、ドラムカップリング雄部材33は、その右端部において、感光ドラム5のドラムカップリング雌部材(図示せず)に相対回転不能に嵌合されている。なお、ドラムカップリング雄部材33は、トップカバー4の開放に連動して、ドラムカップリング雌部材(図示せず)との連結が解除され、トップカバー4の閉鎖に連動して、ドラムカップリング雌部材(図示せず)に連結されるように構成されている。
【0080】
各ドラムカップリング雄部材33のギヤ歯41には、モータ100からの駆動力が入力される。
(3)直動カム機構
直動カム機構51は、前後方向にスライド移動可能な左右1対の直動カム52と、ドラムカートリッジ17の第1離間部材81と協働して現像カートリッジ7を感光ドラム5から離間させる第2離間部材82と、両直動カム52に同時に駆動力を伝達する駆動伝達シャフト53とを備えている。
【0081】
移動部材の一例としての左側の直動カム52(以下、左側直動カム52Lとする。)は、本体ケーシング2内において、各現像カートリッジ7の左側に対向配置され、前後方向に延びる側面視略矩形の平板形状に形成されている。左側直動カム52Lは、現像カップリング雄部材32と現像カップリング雌部材23とを連結または連結解除するための連結機構部50と、現像カートリッジ7を感光ドラム5に対して接触または離間させるための接離機構部61とを備えている。
【0082】
連結機構部50は、左側直動カム52Lの上側の大部分(薄手の平板部分)であり、現像カップリング挿通穴54、カム部56、ドラムカップリング挿通穴55を有している。
【0083】
現像カップリング挿通穴54は、左側直動カム52Lの上端部において、前後方向に互いに間隔を隔てて4つ並列配置されている。現像カップリング挿通穴54は、前後方向に長手の側面視略長穴形状に貫通形成されている。また、現像カップリング挿通穴54の上下方向長さは、現像カップリング雄部材32の移動シャフト37(鍔部35よりも右側の部分)の外径よりも長く、鍔部35の外径よりも短い。
【0084】
カム部56は、左側直動カム52Lの左面において、現像カップリング挿通穴54の周縁部の後側半分から左側へ突出するように、前側が開放された左側面視略U字形状に形成されている。なお、最後方のカム部56は、それ以外のカム部56よりも前後方向に短く形成されている。
【0085】
カム部56は、現像カップリング雄部材32の移動シャフト37を進出位置から退避位置へ変位させる変位部57と、現像カップリング雄部材32の移動シャフト37を退避位置に保持する保持部58とを備えている。
【0086】
変位部57は、カム部56の前端部に設けられ、前側から後側へ向かうに従って次第に突出長さが長くなるように形成されている。つまり、変位部57の前端面59は、前側から後側へ向かうに従って左側へ傾斜されている。
【0087】
保持部58は、変位部57の後側に連続されている。保持部58の左端面60は、変位部57の前端面に連続して、前後方向に延びる平面視略直線形状に形成されている。
【0088】
ドラムカップリング挿通穴55は、左側直動カム52Lの上下方向略中央において、各現像カップリング挿通穴54の下側に配置され、前後方向に沿って延びる側面視略長穴形状に貫通形成されている。なお、ドラムカップリング挿通穴55は、すべてのドラムカップリング雄部材33が一括して挿通されるような前後方向長さに形成されている。
【0089】
接離機構部61は、ドラムカートリッジ17の左端部の下側に配置されるように、左側直動カム52Lの下端部に連続して設けられ、前後方向に延びる略角柱形状に形成されている。また、接離機構部61は、連結機構部50の左右方向長さ(厚み)よりも長い左右方向長さを有し、その右端部が連結機構部50の右面よりも右側に突出されている。
【0090】
接離機構部61には、ラック部62(図2参照)と、係合溝63(図3参照)とが形成されている。
【0091】
ラック部62は、接離機構部61の前端部の下面において、前後方向に延びるように形成されている。
【0092】
係合溝63は、各現像カップリング挿通穴54の前側に1つずつ(合計4つ)設けられ、接離機構部61の右端部の上端縁から下側へ向かって切り欠かれるように、上側が開放された側面視略U字形状に形成されている。なお、係合溝63の上端部は、わずかに後上側に傾斜されている。係合溝63の溝幅は、第2離間部材82の係合突起90(後述)の外径よりも長い。
【0093】
右側の直動カム52(以下、右側直動カム52Rとする。)は、図4に示すように、本体ケーシング2内において、ドラムカートリッジ17の右端部の下側に配置され、左側直動カム52Lの接離機構部61と略同じ形状に形成されている。詳しくは、右側直動カム52Rは、前後方向に延びる略角柱形状に形成されている。また、右側直動カム52Rには、ラック部71と、係合溝72とが形成されている。
【0094】
ラック部71は、左側直動カム52Lのラック部62と同様に、右側直動カム52Rの前端部の下面において、前後方向に延びるように形成されている。
【0095】
係合溝72は、左側直動カム52Lの係合溝63と同様に、右側直動カム52Rの左端部の上端縁から下側へ向かって切り欠かれるように、上側が開放された側面視略U字形状に形成されている。係合溝72は、左右方向に投影したときに、左側直動カム52Lの各係合溝63と一致するように、前後方向に互いに間隔を隔てて4つ並列配置されている。
【0096】
なお、右側直動カム52Rの最後方の係合溝72、および、接離機構部61の最後方の係合溝63には、屈曲溝64が設けられている。
【0097】
屈曲溝64は、最後方の係合溝(係合溝63および係合溝72)の上下方向途中から後側へ延び、後端部において上側へ屈曲されている。屈曲溝64の後端部は、上側へ向かって開放されている。屈曲溝64の溝幅は、第2離間部材82の係合突起90(後述)の外径よりも長い。
【0098】
第2離間部材82は、第1離間部材81の前下側に設けられている。第2離間部材82は、支持部86と、係合部87と、押圧部88とを一体的に備えている。
【0099】
支持部86は、左右方向に厚みを有する略円板形状に形成されている。支持部86は、回動軸89を備えている。
【0100】
回動軸89は、支持部86と中心軸線を共有するように、支持部86の左右方向内面から左右方向内側へ延びる略円柱形状に形成されている。
【0101】
係合部87は、支持部86の下側部分から下方へ延びる略杆形状に形成されている。係合部87は、係合突起90を備えている。
【0102】
係合突起90は、係合部87の下端部に設けられ、係合部87の左右方向外面から左右方向外側へ延びる略円柱形状に形成されている。
【0103】
押圧部88は、回動軸83の上側部分から上方へ延びる略形状に形成されている。
【0104】
そして、第2離間部材82は、係合部87の下端部が、左側直動カム52Lの接離機構部61、および、右側直動カム52Rの上側に対向され、押圧部88の上端部が、第1離間部材81の被当接部84の前上側に対向されるように、回動軸89において、本体ケーシング2内に回動可能に支持されている。
【0105】
第2離間部材82は、押圧部88が第1離間部材81の被当接部84に向かって後下側へ進出する押圧位置(図4参照)と、押圧部88が第1離間部材81の被当接部84から前上側に退避される押圧解除位置(図12参照)とに、回動軸89を支点として回動される。第2離間部材82は、常には、押圧解除位置に配置されるように、図示しない付勢部材(コイルばねなど)によって、左側面視時計回り方向に付勢されている。
【0106】
駆動伝達シャフト53は、図2に示すように、両直動カム52の前端部の下側に位置固定されている。駆動伝達シャフト53は、シャフト76と、2つのピニオンギヤ77とを備えている。
【0107】
シャフト76は、左右方向に延びる略円柱形状に形成されている。また、シャフト76の左端部は、左側直動カム52Lのラック部62の下側に対向配置されており、シャフト76の右端部は、右側直動カム52Rのラック部71の下側に対向配置されている。
【0108】
ピニオンギヤ77は、シャフト76の左右方向両端部に1つずつ相対回転不能に支持されている。左側のピニオンギヤ77は、左側直動カム52Lのラック部62に噛合され、右側のピニオンギヤ77は、右側直動カム52Rのラック部71に噛合されている。
【0109】
なお、左側直動カム52Lは、連結機構を構成する。また、ドラムカートリッジ17の第1離間部材81、第2離間部材82、左側直動カム52Lの接離機構部61、右側直動カム52Rおよび駆動伝達シャフト53は、接離機構を構成する。また、左側直動カム52Lは、接離機構部61において、接離機構を兼ねる。
【0110】
そして、直動カム機構51は、両直動カム52のラック部(ラック部62およびラック部71)の前端部にピニオンギヤ77が噛合される第1位置(図12参照)と、両直動カム52のラック部(ラック部62およびラック部71)の前後方向中央にピニオンギヤ77が噛合される第2位置(図8参照)と、両直動カム52のラック部(ラック部62およびラック部71)の後端部にピニオンギヤ77が噛合される第3位置(図4参照)とに変位される。
5.モード切り替え動作
図3〜図12を参照しながら、プリンタ1のモード切り替え動作を説明する。
【0111】
プリンタ1は、画像を印刷しない全離間モードと、モノクロ画像を印刷するモノクロ印刷モードと、カラー画像を印刷するカラー印刷モードとに切り替えられる。
(1)全離間モード
図3および図4に示すように、プリンタ1が全離間モードのときには、直動カム機構51は、第3位置に変位されている。
【0112】
このとき、すべての現像カップリング雄部材32の移動シャフト37は、鍔部35が、左側直動カム52Lのカム部56の保持部58に左側から当接されて、付勢部材(図示せず)の付勢力に抗して、退避位置に配置されている。
【0113】
また、すべての現像カップリング雌部材23は、対応する現像カップリング雄部材32の右側に対向配置されている。つまり、すべての現像カップリング雄部材32と現像カップリング雌部材23との連結は、解除されている。
【0114】
また、すべての第2離間部材82は、係合突起90が、各係合溝(係合溝63および係合溝72)および屈曲溝64の後側において、接離機構部61または右側直動カム52Rの上面に当接されることにより、付勢部材(図示せず)の付勢力に抗して押圧位置に配置されている。
【0115】
また、すべての第1離間部材81は、それらの被当接部84が第2離間部材82の押圧部88によって後下側へ押圧されることにより、押圧位置に配置されている。
【0116】
そして、すべての現像カートリッジ7は、それらの離間係合部27が第1離間部材81の押圧部85によって前上側へ押圧されることにより、対応する感光ドラム5から前上側へ離間されている。
【0117】
そして、モータ100(図2参照)が駆動されると、各ドラムカップリング雄部材33が左側面視時計回りに回転されるとともに、各現像カップリング雄部材32が左側面視時計回りに回転される。
【0118】
すると、各ドラムカップリング雄部材33から、対応するドラムカップリング雌部材(図示せず)を介して各感光ドラム5に駆動力が入力されることにより、すべての感光ドラム5が回転される。
【0119】
一方、上記したように、各現像カップリング雄部材32と各現像カップリング雌部材23との連結が解除されているため、現像カップリング雌部材23には、モータ100の駆動が入力されず、すべての現像ローラ9は回転されない。
【0120】
その結果、現像ローラ9から感光ドラム5へトナーが供給されず、感光ドラム5の表面に画像が形成されない。つまり、全離間モードでは、画像が印刷されない。
(2)モノクロ印刷モード
プリンタ1を全離間モードからモノクロ印刷モードに切り替えるには、駆動伝達シャフト53を左側面視反時計回りに回転させて、両直動カム52を後側(直交方向他方)へ移動させる。
【0121】
すると、図5に示すように、最後方(ブラック)の現像カップリング雄部材32の鍔部35がカム部56の変位部57に対向され、ブラックの現像カップリング雄部材32の移動シャフト37が、付勢部材(図示せず)の付勢力により、変位部57の前端面59の傾斜に沿って退避位置から進出位置へ移動され始める。
【0122】
すると、ブラックの現像カップリング雄部材32がブラックの現像カップリング雌部材23にわずかに連結(嵌合凸部39の先端(右端部)のみが嵌合凹部24内に嵌合された状態)される。
【0123】
このとき、モータ100が駆動されていると、嵌合凸部39の先端が嵌合凹部の左側面視時計回り方向下流側の端面25に当接されて、現像カップリング雄部材32から現像カップリング雌部材23に駆動力が伝達され、ブラックの現像カートリッジ7の現像ローラ9が回転される。
【0124】
また、このとき、図6に示すように、すべての第2離間部材82は、付勢部材(図示せず)の付勢力に抗して、押圧位置に配置されている。
【0125】
これにより、すべての第1離間部材81は、押圧位置に配置され、すべての現像カートリッジ7は、対応する感光ドラムから前上側へ離間されている。
【0126】
つまり、ブラックの現像ローラ9は、回転しながら、ブラックの感光ドラム5の前上側に間隔を隔てて対向されている。なお、このとき、ブラックの現像カップリング雄部材32の移動シャフト37は、その右端部がわずかに前上側に揺動された状態で、ブラックの現像カップリング雌部材23に連結されている。
【0127】
そして、さらに駆動伝達シャフト53を左側面視反時計回りに回転させて、両直動カム52を後側へ移動させると、図7に示すように、直動カム機構51が第2位置に変位され、ブラックの現像カップリング雄部材32の鍔部35がカム部56の変位部57の前側に対向配置される。
【0128】
すると、ブラックの現像カップリング雄部材32の移動シャフト37が、進出位置に配置される。これにより、ブラックの現像カップリング雄部材32がブラックの現像カップリング雌部材23に完全に連結(嵌合凸部39のほぼすべてが嵌合凹部24内に嵌合された状態)される。
【0129】
なお、カラーの現像カップリング雄部材32の移動シャフト37は、上記した全離間モードと同様に、退避位置に配置されている。つまり、カラーの現像カップリング雄部材32と、カラーの現像カップリング雌部材23との連結は、解除されている。
【0130】
このとき、図8に示すように、ブラックの現像カートリッジ7に対応する第2離間部材82は、付勢部材(図示せず)の付勢力により、屈曲溝64の後端部内に嵌合されるように左側面視時計回りに回動され、押圧解除位置に配置される。
【0131】
すると、ブラックの現像カートリッジ7に対応する第1離間部材81は、その被当接部84に対する第2離間部材82からの押圧が解除されることにより、押圧解除位置に配置される。
【0132】
そして、ブラックの現像カートリッジ7は、その離間係合部27に対する第1離間部材81からの押圧が解除されることにより、対応する感光ドラム5に前上側から接触される。一方、カラーの現像カートリッジ7は、上記した全離間モードと同様に、対応する感光ドラム5から前上側へ離間されている。
【0133】
これにより、ブラックの現像ローラ9からブラックの感光ドラム5へトナーが供給され、ブラックの感光ドラム5の表面に画像が形成される。また、上記した全離間モードと同様に、カラーの現像ローラ9からカラーの感光ドラム5へトナーが供給されず、カラーの感光ドラム5の表面に画像が形成されない。
【0134】
その結果、モノクロ印刷モードでは、モノクロ画像が印刷される。
(3)カラー印刷モード
プリンタ1をモノクロ印刷モードからカラー印刷モードに切り替えるには、駆動伝達シャフト53を左側面視反時計回りに回転させて、両直動カム52をさらに後側へ移動させる。
【0135】
すると、図9に示すように、カラーの現像カップリング雄部材32の鍔部35がカム部56の変位部57に対向され、カラーの現像カップリング雄部材32の移動シャフト37が、付勢部材(図示せず)の付勢力により、変位部57の前端面59の傾斜に沿って退避位置から進出位置へ移動され始める。
【0136】
すると、カラーの現像カップリング雄部材32がカラーの現像カップリング雌部材23にわずかに連結(嵌合凸部39の先端(右端部)のみが嵌合凹部24内に嵌合された状態)される。
【0137】
このとき、モータ100が駆動されていると、嵌合凸部39の先端が嵌合凹部の左側面視時計回り方向下流側の端面25に当接されて、現像カップリング雄部材32から現像カップリング雌部材23に駆動力が伝達され、カラーの現像カートリッジ7の現像ローラ9が回転される。
【0138】
また、このとき、図10に示すように、カラーの現像カートリッジ7に対応する第2離間部材82は、付勢部材(図示せず)の付勢力に抗して、押圧位置に配置されている。
【0139】
これにより、カラーの現像カートリッジ7に対応する第1離間部材81は、押圧位置に配置され、カラーの現像カートリッジ7は、対応する感光ドラム5から前上側へ離間されている。
【0140】
つまり、カラーの現像ローラ9は、回転しながら、カラーの感光ドラム5の前上側に間隔を隔てて対向されている。このとき、カラーの現像カップリング雄部材32の移動シャフト37は、その右端部がわずかに前上側に揺動された状態で、カラーの現像カップリング雌部材23に連結されている。
【0141】
そして、さらに駆動伝達シャフト53を左側面視反時計回りに回転させて、両直動カム52を後側へ移動させると、図11に示すように、直動カム機構51が第1位置に変位され、カラーの現像カップリング雄部材32の鍔部35がカム部56の変位部57の前側に対向配置される。
【0142】
すると、カラーの現像カップリング雄部材32の移動シャフト37が、進出位置に配置される。
【0143】
これにより、すべての現像カップリング雄部材32が対応する現像カップリング雌部材23に完全に連結(嵌合凸部39のほぼすべてが嵌合凹部24内に嵌合された状態)される。
【0144】
このとき、図12に示すように、カラーの現像カートリッジ7に対応する第2離間部材82は、付勢部材(図示せず)の付勢力により、係合溝63内に嵌合されるように左側面視時計回りに回動され、押圧解除位置に配置される。
【0145】
すると、カラーの現像カートリッジ7に対応する第1離間部材81は、その被当接部84に対する第2離間部材82からの押圧が解除されることにより、押圧解除位置に配置される。
【0146】
そして、カラーの現像カートリッジ7は、その離間係合部27に対する第1離間部材81からの押圧が解除されることにより、対応する感光ドラム5に前上側から接触される。
【0147】
これにより、すべての現像カートリッジ7が対応する感光ドラム5に前上側から接触されて、すべての現像ローラ9から対応する感光ドラム5へトナーが供給され、すべての感光ドラム5の表面に画像が形成される。
【0148】
その結果、カラー印刷モードでは、カラー画像が印刷される。
(4)カラー印刷モードからのモード切り替え動作
また、カラー印刷モードからモノクロ印刷モードまたは全離間モードに切り替えるときには、上記したモード切り替え動作とは逆に、両直動カム52を移動させる。
【0149】
具体的には、駆動伝達シャフト53を左側面視時計回りに回転させて、両直動カム52をさらに前側(直交方向一方)へ移動させる。
【0150】
すると、図9および図10に示すように、カラー印刷モードからモノクロ印刷モードへの切り替え途中において、カラーの現像ローラ9が回転されている状態で、カラーの現像カートリッジ7が対応する感光ドラム5に前上側へ離間される。
【0151】
その後、図7および図8に示すように、カラーの現像カートリッジ7に対する駆動伝達が解除される。つまり、接離機構がカラーの現像ローラ9をカラーの感光ドラム5から離間させた後に、直動カム機構51が第2位置に配置される。
【0152】
また、図5および図6に示すように、モノクロ印刷モードから全離間モードへの切り替え途中において、ブラックの現像ローラ9が回転されている状態で、ブラックの現像カートリッジ7が対応する感光ドラム5に前上側へ離間される。
【0153】
その後、図3および図4に示すように、ブラックの現像カートリッジ7に対する駆動伝達が解除される。つまり、接離機構がブラックの現像ローラ9をブラックの感光ドラム5から離間させた後に、直動カム機構51が第3位置に変位される。
6.作用効果
(1)このプリンタ1によれば、図11に示すように、直動カム機構51を第1位置に変位させたときには、すべての現像ローラ9に駆動力を伝達することができ、図7に示すように、直動カム機構51を第2位置に変位させたときには、ブラックの現像ローラ9のみに駆動力を伝達することができる。
【0154】
そのため、直動カム機構51によって、カラーの現像カップリング雄部材32と、カラーの現像カップリング雌部材23とを連結または連結解除して、カラー印刷モードとモノクロ印刷モードとを切り替えることができる。
(2)また、このプリンタ1によれば、図8に示すように、カラーの現像ローラ9の駆動を停止させるとともに、カラーの現像ローラ9をカラーの感光ドラム5から離間させることができる。
【0155】
そのため、カラーの感光ドラム5の駆動に追従してカラーの現像ローラ9が回転しないので、カラーの現像ローラ9とカラーの感光ドラム5との摺擦による劣化を抑制することができる。
(3)また、このプリンタ1によれば、カラー印刷モードからモノクロ印刷モードに切り替えるときに、図9および図10に示すように、カラーの現像ローラ9をカラーの感光ドラム5から離間させた後に、図7および図8に示すように、カラーの現像ローラ9の駆動を停止させることができる。
【0156】
このような構成により、カラーの現像ローラ9の駆動を停止した後にカラーの現像ローラ9を感光ドラム5から離間させる場合と比べ、互いの(現像ローラ9と感光ドラム5との)周速差が低減されるため、カラーの現像ローラ9とカラーの感光ドラム5との摩擦抵抗が増大することを抑制できる。
【0157】
そのため、カラーの現像ローラ9とカラーの感光ドラム5との摺擦による劣化をより抑制することができる。
(4)また、このプリンタ1によれば、図3、図7および図11に示すように、左側直動カム52Lを前後方向にスライド移動させることにより、各現像カップリング雄部材32を各現像カップリング雌部材23に対して連結または連結解除させることができる。
【0158】
そのため、簡易な構成で、各モード(全離間モード、モノクロ印刷モードおよびカラー印刷モード)を切り替えることができる。
(5)また、このプリンタ1によれば、図2に示すように、左側直動カム52Lは、接離機構部61において、接離機構を兼ねる。
【0159】
そのため、直動カム機構51の部品点数を低減することができる。
(6)また、このプリンタ1によれば、図3および図4に示すように、すべての現像ローラ9の駆動を停止させる全離間モードに切り替えることができる。
【0160】
また、各感光ドラム5が駆動に追従して各現像ローラ9が回転しないので、各現像ローラ9と各感光ドラム5との摺擦による劣化を抑制することができる。
(7)また、このプリンタ1によれば、モノクロ印刷モードから全離間モードに切り替えるときに、図4および図6に示すように、ブラックの現像ローラ9をブラックの感光ドラム5から離間させた後に、図3および図5に示すように、ブラックの現像ローラ9の駆動を停止させることができる。
【0161】
そのため、上記したカラーの現像ローラ9の駆動を停止させる場合と同様に、ブラック現像ローラとブラックの感光ドラム5との摺擦による劣化をより抑制することができる。
(8)また、このプリンタ1によれば、図5に示すように、ブラックの現像カップリング雄部材32と現像カップリング雌部材23とが連結された状態で、図6に示すように、ブラックの現像ローラ9をブラックの感光ドラム5から離間させることができる。
【0162】
また、図9に示すように、カラーの現像カップリング雄部材32と現像カップリング雌部材23とが連結された状態で、図10に示すように、カラーの現像ローラ9をカラーの感光ドラム5から離間させることができる。
(9)また、このプリンタ1によれば、図2に示すように、すべての現像カップリング雄部材32を、共通のモータ100で駆動させることができる。
【0163】
そのため、プリンタ1の構成を簡略化することができる。
(10)また、このプリンタ1によれば、図2に示すように、すべての感光ドラム5を、共通のモータ100で駆動させることができる。
【0164】
そのため、プリンタ1の構成を、より簡略化することができる。
【符号の説明】
【0165】
1 プリンタ
5 感光ドラム
9 現像ローラ
23 現像カップリング雌部材
32 現像カップリング雄部材
51 直動カム機構
52L 左側直動カム
52R 右側直動カム
53 駆動伝達シャフト
81 第1離間部材
82 第2離間部材
100 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1感光ドラムと、
前記第1感光ドラムと接触する第1現像ローラと、
前記第1現像ローラを駆動させるための駆動力が入力される第1駆動入力部と、
前記第1駆動入力部に駆動伝達可能に連結可能な第1カップリング部材と、
第2感光ドラムと、
前記第2感光ドラムと接触する第2現像ローラと、
前記第2現像ローラを駆動させるための駆動力が入力される第2駆動入力部と、
前記第2駆動入力部に駆動伝達可能に連結可能な第2カップリング部材と、
前記第1現像ローラの軸線方向に前記第1カップリング部材を進退させて、前記第1カップリング部材を前記第1駆動入力部に対して連結または連結解除させるとともに、前記第2現像ローラの軸線方向に前記第2カップリング部材を進退させて、前記第2カップリング部材を前記第2駆動入力部に対して連結または連結解除させる連結機構と
を備え、
前記連結機構は、
前記第1カップリング部材と前記第1駆動入力部とを連結させるとともに、前記第2カップリング部材と前記第2駆動入力部とを連結させる第1位置と、
前記第1カップリング部材と前記第1駆動入力部とを連結させるとともに、前記第2カップリング部材と前記第2駆動入力部との連結を解除する第2位置とに変位されることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記第2現像ローラを前記第2感光ドラムに対して接触または離間させる接離機構をさらに備え、
前記接離機構は、
前記連結機構が前記第1位置に配置されるときに、前記第2現像ローラを前記第2感光ドラムに接触させ、
前記連結機構が前記第2位置に配置されるときに、前記第2現像ローラを前記第2感光ドラムから離間させることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記接離機構が前記第2現像ローラを前記第2感光ドラムから離間させた後に、前記連結機構が前記第2位置に配置されることを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1感光ドラムおよび前記第2感光ドラムは、前記第1現像ローラの前記軸線方向および前記第2現像ローラの前記軸線方向と直交する直交方向に沿って並列配置され、
前記連結機構は、前記直交方向にスライド移動可能に構成される移動部材を備え、
前記移動部材は、
前記直交方向一方にスライド移動されることにより、前記連結機構を前記第1位置から前記第2位置に変位させ、
前記直交方向他方にスライド移動されることにより、前記連結機構を前記第2位置から前記第1位置に変位させることを特徴とする、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記移動部材は、前記接離機構を兼ねることを特徴とする、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記連結機構は、前記第1カップリング部材と前記第1駆動入力部との連結を解除するとともに、前記第2カップリング部材と前記第2駆動入力部との連結を解除する第3位置に、さらに変位され、
前記接離機構は、前記第1現像ローラを前記第1感光ドラムに対して接触または離間させるように構成され、前記連結機構が前記第3位置に配置されるときに、前記第1現像ローラを前記第1感光ドラムから離間させるとともに、前記第2現像ローラを前記第2感光ドラムから離間させることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記接離機構が、前記第1現像ローラを前記第1感光ドラムから離間させ、前記第2現像ローラを前記第2感光ドラムから離間させた後に、前記連結機構が前記第3位置に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1カップリング部材は、前記第1駆動入力部に対して、前記第1現像ローラの前記第1感光ドラムに対する接離方向に揺動可能であり、
前記第2カップリング部材は、前記第2駆動入力部に対して、前記第2現像ローラの前記第2感光ドラムに対する接離方向に揺動可能でることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1カップリング部材および前記第2カップリング部材を駆動する1つの駆動源を、さらに備えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記駆動源は、前記第1感光ドラムおよび前記第2感光ドラムを駆動することを特徴とする、請求項9に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−73221(P2013−73221A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214650(P2011−214650)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】