説明

画像形成装置

【課題】ユーザーが所望するコントラストの再生画像を得ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像データの濃度分布を検出して最小入力濃度レベルaと最大入力濃度レベルbとを特定することで、ダイナミックレンジの幅Wを算出し、算出した画像データのダイナミックレンジの幅Wとレンジ閾値Dとを比較し、画像データのダイナミックレンジの幅Wがレンジ閾値Dよりも狭いと判定されると、最小出力濃度レベルαと最大出力濃度レベルβとの入力を受け付け、受け付けた最小出力濃度レベルαと最大出力濃度レベルβとに基づいて画像データのダイナミックレンジWを広げる階調調整処理を行うい、階調調整が行われた画像データに基づいて記録処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に画像のダイナミックレンジを変更する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置(プリンタ、コピー機、複合機等)は、原稿から読み取った画像データに基づき回転感光体の表面に潜像を形成し、形成した潜像を現像処理することで顕像化して再生画像を出力する。このような画像形成装置において、コントラストが低く、ダイナミックレンジの小さい原稿であっても、高品質の再生画像を得るために、画像データのダイナミックレンジを広げ、コントラスト補正をかけるということが行なわれている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、画像データの各濃度レベルの出現頻度を検出し、所定頻度以上の濃度レベルの範囲を全濃度レベルに引き伸ばすことにより、低コントラストの原稿から高コントラストの再生画像を得る技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−120958号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、ダイナミックレンジが一義的に全濃度レベル(0〜255階調)に引き伸ばされるため、ユーザーが必要としていないにも拘わらずコントラスト調整が行われてしまったり、ユーザーが所望する再生画像よりも高コントラストの再生画像になってしまったりするという問題点があった。
【0006】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、従来技術の問題を解決し、ユーザーが所望するコントラストの再生画像を得ることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、画像データの濃度分布を検出して最小入力濃度レベルと最大入力濃度レベルとを特定することで、ダイナミックレンジの幅を算出する濃度分布検出手段と、該濃度分布検出手段によって算出された前記画像データのダイナミックレンジの幅とレンジ閾値とを比較するダイナミックレンジ判定手段と、該ダイナミックレンジ判定手段によって前記画像データのダイナミックレンジの幅がレンジ閾値よりも狭いと判定されると、最小出力濃度レベルと最大出力濃度レベルとの入力を受け付ける制御手段と、該制御手段によって受け付けた前記最小出力濃度レベルと前記最大出力濃度レベルとに基づいて前記画像データのダイナミックレンジを広げる階調調整処理を行う画像処理手段と、該画像処理手段によって階調調整が行われた前記画像データに基づいて記録処理を行う記録手段とを具備することを特徴とする。
さらに、本発明の画像形成装置においては、前記レンジ閾値をユーザーによって設定可能にしても良い。
さらに、本発明の画像形成装置においては、タッチパネル式の表示手段を具備し、前記制御手段は、前記最小出力濃度レベルと前記最大出力濃度レベルとの入力を受け付けるレンジ調整画面を前記表示手段に表示させるようにしても良い。
さらに、本発明の画像形成装置においては、前記レンジ調整画面には、入力濃度レベルを示す一方の軸に前記濃度分布検出手段によって特定された前記最小入力濃度レベル及び前記最大入力濃度レベルが、出力濃度レベルを示す他方の軸に最小出力濃度レベル及び最大出力濃度レベルがそれぞれ表示されている階調調整指示グラフが設けられ、当該階調調整指示グラフにおいて前記最小出力濃度レベル及び前記最大出力濃度レベルが個別に入力可能にしても良い。
さらに、本発明の画像形成装置においては、前記制御手段は、ダイナミックレンジ判定手段によって前記画像データのダイナミックレンジの幅がレンジ閾値よりも狭いと判定されると、階調調整を行うか否かを受け付ける警告画面を前記表示手段に表示させるようにしても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像データのダイナミックレンジの幅がレンジ閾値よりも狭いと判定されると、最小出力濃度レベルと最大出力濃度レベルとの入力を受け付け、最小出力濃度レベルと最大出力濃度レベルとに基づいて画像データのダイナミックレンジを広げる階調調整処理を行うように構成することにより、ユーザーが所望するコントラストの再生画像を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施の形態の内部構成を示す概略模式断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す濃度分布検出部によって検出された画像データの濃度分布例を示す図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置の実施の形態における画像形成動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1に示す操作部の液晶表示部に表示される警告表示例を示す図である。
【図6】図1に示す操作部の液晶表示部に表示されるレンジ調整画面例を示す図である。
【図7】図2に示す画像処理部によって階調処理が行われた画像データの濃度分布例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
本実施の形態の画像形成装置1は、複写機であり、図1を参照すると、原稿読取部2と、原稿給送部3と、本体部4と、スタックトレイ5と、操作部6とを備えている。原稿読取部2は、本体部5の上部に配設され、原稿給送部3は、原稿読取部2の上部に配設されている。スタックトレイ5は、本体部4の形成された記録紙の排出口41側に配設され、また、操作部6は、画像形成装置1の手前側に配設されている。
【0011】
操作部6には、液晶表示部61、テンキー62が設けられている。ユーザーは操作部6を操作して指示を入力することで、画像形成装置1の各種の設定をし、画像形成等の各種機能を実行させる。液晶表示部61は、画像形成装置1の状態を示したり、画像形成状況や印刷部数を表示したり、タッチパネルとして、両面印刷や白黒反転等の機能や倍率設定、濃度設定など各種設定を行えるようになっている。その他、操作部6には、画像形成を開始するようにユーザーが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、画像形成装置1の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
【0012】
原稿読取部2は、スキャナー21と、プラテンガラス22と、原稿読取スリット23とを備える。スキャナー21は、露光ランプ及びCCD(Charge Coupled Device)センサ等から構成され、原稿給送部3による原稿の搬送方向に移動可能に構成されている。プラテンガラス22は、ガラス等の透明部材により構成された原稿台である。原稿読取スリット23は、原稿給送部3による原稿の搬送方向と直交する方向に形成されたスリットを有する。
【0013】
プラテンガラス22に載置された原稿を読み取る場合には、スキャナー21は、プラテンガラス22に対向する位置に移動され、プラテンガラス22に載置された原稿を走査しながら原稿を読み取って画像データを取得し、取得した画像データを本体部4に出力する。また、原稿給送部3により搬送された原稿を読み取る場合には、スキャナー21は、原稿読取スリット23と対向する位置に移動され、原稿読取スリット23を介し、原稿給送部3による原稿の搬送動作と同期して原稿を読み取って画像データを取得し、取得した画像データを本体部4に出力する。
【0014】
原稿給送部3は、原稿載置部31と、原稿排出部32と、原稿搬送機構33とを備えている。原稿載置部31に載置された原稿は、原稿搬送機構33によって、1枚ずつ順に繰り出されて原稿読取スリット23に対向する位置へ搬送され、その後、原稿排出部32に排出される。なお、原稿給送部3は、可倒式に構成され、原稿給送部3を上方に持ち上げることで、プラテンガラス22の上面を開放させることができる。
【0015】
本体部4は、記録部7を備えると共に、給紙部42と、用紙搬送路43と、搬送ローラー44と、排出ローラー45とを備えている。給紙部42は、複数の給紙カセット42a1〜42anと、給紙カセット42a1〜42anから記録紙を1枚ずつ用紙搬送路43に繰り出す給紙ローラー42b1〜42bnとを備えている。給紙ローラー42b1〜42bn、搬送ローラー44及び排出ローラー45が搬送部として機能し、記録紙が搬送される。給紙ローラー42b1〜42bnによって用紙搬送路43に繰り出された記録紙は、搬送ローラー44によって記録部7に搬送される。そして、記録部7によって記録が施された記録紙は、排出ローラー45によってスタックトレイ5に排出される。
【0016】
記録部7は、感光体ドラム71と、露光部72と、画像形成部73と、転写部74と、定着部75とを備えている。露光部72は、レーザー装置やミラー等を備えた光学ユニットであり、画像データに基づいてレーザー光を出力して感光体ドラム71を露光し、感光体ドラム71の表面に静電潜像を形成する。画像形成部73は、トナーを用いて感光体ドラム71に形成された静電潜像を現像する現像ユニットであり、静電潜像に基づいたトナー像を感光体ドラム71上に形成させる。転写部74は、画像形成部73によって感光体ドラム71上に形成されたトナー像を記録紙に転写させる。定着部75は、転写部74によってトナー像が転写された記録紙を加熱してトナー像を記録紙に定着させる。
【0017】
図2には、画像形成装置1の概略構成を示すブロック図が示されている。上述の原稿読取部2、原稿給送部3、搬送部(給紙ローラー42b1〜42bn、搬送ローラー44、排出ローラー45)、操作部6及び記録部7は、制御部8に接続され、制御部8によって動作制御される。また、制御部8には、記憶部9と、濃度分布検出部10と、ダイナミックレンジ判定部11と、画像処理部12とが接続されている。
【0018】
制御部8は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の情報処理部である。ROMには画像形成装置1の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部8は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、操作部6から入力された所定の指示情報に応じて装置全体の制御を行う。
【0019】
記憶部9は、半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段であり、原稿読取部2によって原稿を読み取ることで取得された画像データや、画像データのダイナミックレンジの狭さの限界値を指定するレンジ閾値D等が記憶される。なお、レンジ閾値Dは、予め設定しておいても良いが、ユーザーが操作部6から入力設定できるように構成するとより好適である。
【0020】
濃度分布検出部10は、図3に示すように、記憶部9に記憶された画像データの各入力濃度レベル(255階調)の出現頻度を検出し、ダイナミックレンジの幅Wを算出する。具体的には、検出した各入力濃度レベルの出現頻度が所定の閾値を超える最小入力濃度レベルaと、最大入力濃度レベルbとを特定し、最大入力濃度レベルbから最小入力濃度レベルaを減算してダイナミックレンジの幅Wを算出する。
【0021】
ダイナミックレンジ判定部11は、濃度分布検出部10によって算出されたダイナミックレンジの幅Wと記憶部9に記憶されているレンジ閾値Dとを比較し、比較判定結果を制御部8に通知する。
【0022】
画像処理部12は、画像データに対して所定の画像処理を行う手段であり、例えば、拡大縮小処理や、濃度調整等の画像改善処理や、操作部6から入力された最小出力濃度レベルαと、最大出力濃度レベルβとに基づいてダイナミックレンジを広げる階調調整処理が行われる。
【0023】
次に、本実施の形態の画像形成装置1における画像形成動作について図4乃至図7を参照して仕様際に説明する。
【0024】
本体部4に画像データが入力され(ステップS1)、記憶部9に記憶されると、濃度分布検出部10は、記憶部9に記憶された画像データの各入力濃度レベル(255階調)の出現頻度を検出する(ステップS2)。次に、濃度分布検出部10は、検出した各入力濃度レベルの出現頻度が所定の閾値を超える最小入力濃度レベルaと、最大入力濃度レベルbとを特定し、最大入力濃度レベルbから最小入力濃度レベルaを減算してダイナミックレンジの幅Wを算出する(ステップS3)。
【0025】
次に、ダイナミックレンジ判定部11は、濃度分布検出部10によって算出されたダイナミックレンジの幅Wと記憶部9に記憶されているレンジ閾値Dとを比較し、ダイナミックレンジの幅Wがレンジ閾値Dよりも狭いか否かを判断し(ステップS4)、比較判定結果を制御部8に通知する。
【0026】
図3(b)に示すような濃度分布で、ステップS4においてダイナミックレンジの幅Wがレンジ閾値Dよりも狭くない場合、制御部8は、階調調整処理が行われていない画像データに基づく記録処理を実行する(ステップS5)。
【0027】
図3(a)に示すような濃度分布で、ステップS4においてダイナミックレンジの幅Wがレンジ閾値Dよりも狭い場合、制御部8は、図5に示すような警告画面64を操作部6の液晶表示部61に表示させ、画像データのダイナミックレンジの幅Wがレンジ閾値Dよりも狭いことを知らせる警告報知を行う(ステップS6)。
【0028】
警告画面64には、階調調整を指示しない続行指示ボタン641と、階調調整を指示する階調調整指示ボタン642とが設けられており、制御部8は、いずれかのボタンの入力を監視、すなわち階調調整指示か否かを受け付ける(ステップS7)。なお、警告画面64において、記録イメージを示すプレビュー画面(例えば画像データの一部を拡大させた記録イメージ)を液晶表示部61に表示させることもできる。この場合には、階調調整が必要か否かのユーザー判断を容易に行うことができる。また、なお、警告画面64において、操作部6からの入力によってレンジ閾値Dの修正を行うことができるようにしても良い。この場合には、ユーザーが実際の画像を参照しながらレンジ閾値Dの修正を行うことが可能になる。
【0029】
ステップS7で、続行指示ボタン641が入力され、階調調整が指示されない場合、制御部8は、階調調整処理が行われていない画像データに基づく記録処理を実行する(ステップS5)。
【0030】
ステップS7で、階調調整指示ボタン642が入力され、階調調整が指示された場合、制御部8は、図6に示すようなレンジ調整画面65を操作部6の液晶表示部61に表示させる(ステップS8)。
【0031】
レンジ調整画面65は、最小出力濃度レベルα及び最大出力濃度レベルβを受け付けるための画面であり、最小出力濃度レベルα及び最大出力濃度レベルβを入力する階調調整指示グラフ651と、最小出力濃度レベルαが表示される最小出力濃度レベル表示欄652と、最大出力濃度レベルβが表示される最大出力濃度レベル表示欄653と、実行指示ボタン654と、キャンセルボタン655とが設けられている。
【0032】
階調調整指示グラフ651は、図6に示すように、X軸が入力濃度レベルに、Y軸が出力濃度レベルにそれぞれ設定されたグラフであり、X軸に濃度分布検出部10によって特定された最小入力濃度レベルa及び最大入力濃度レベルbが、Y軸に最小出力濃度レベルα及び最大出力濃度レベルβがそれぞれ表示されている。Y軸の最小出力濃度レベルαの周辺領域656にタッチして上下に移動させることで、最小出力濃度レベルαが設定される。また、Y軸の最大出力濃度レベルβの周辺領域657にタッチして上下に移動させることで、最大出力濃度レベルβが設定される。これにより、濃度分布検出部10によって特定された最小入力濃度レベルa及び最大入力濃度レベルbと視覚的に対比しながら最小出力濃度レベルα及び最大出力濃度レベルβを入力することが可能になる。なお、最小出力濃度レベル表示欄652及び最大出力濃度レベル表示欄653に、テンキー62を用いて濃度レベルを直接入力できるようにしても良い。
【0033】
レンジ調整画面65において、実行指示ボタン654が入力されると、制御部8は、レンジ調整画面65で入力された最小出力濃度レベルα及び最大出力濃度レベルβを受け付け(ステップS8)、受け付けた最小出力濃度レベルα及び最大出力濃度レベルβに基づく階調調整を画像処理部12に指示する。
【0034】
画像処理部12は、最小出力濃度レベルαと、最大出力濃度レベルβとに基づいてダイナミックレンジを広げる階調調整処理を行う(ステップS9)。例えば画像データの入力濃度レベルxとすると、出力濃度レベルf(x)は、f(x)=α+(x−a)*(β−α)/(b−a)で求めることができる。また、階調調整用のLUTを生成することで階調調整処理を行っても良い。
【0035】
次に、制御部8は、画像処理部12によって階調調整処理が行われた画像データに基づく記録処理を実行する(ステップS5)。これにより、ユーザーが所望するコントラストの出力を得ることができる。なお、階調調整処理が行われた画像データに基づく記録イメージや、図7に示すような、階調調整処理が行われた画像データの濃度分布を、レンジ調整画面65において、プレビューとして表示させるようにしても良い。この場合には、出力される記録イメージを確認しながら、階調調整が必要か否かのユーザー判断を容易に行うことができる。また、なお、警告画面64において、操作部6からの入力によってレンジ閾値Dの修正を行うことができるようにしても良い。この場合には、ユーザーが実際の画像を参照しながらレンジ閾値Dの修正を行うことが可能になる。ダイナミックレンジの幅Wがレンジ閾値Dよりも狭い場合には、最小出力濃度レベルα及び最大出力濃度レベルβを入力することが可能になる。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態によれば、画像データの濃度分布を検出して最小入力濃度レベルaと最大入力濃度レベルbとを特定することで、ダイナミックレンジの幅Wを算出する濃度分布検出部10と、濃度分布検出部10によって算出された画像データのダイナミックレンジの幅Wとレンジ閾値Dとを比較するダイナミックレンジ判定部11と、ダイナミックレンジ判定部11によって画像データのダイナミックレンジの幅Wがレンジ閾値Dよりも狭いと判定されると、最小出力濃度レベルαと最大出力濃度レベルβとの入力を受け付ける制御部8と、制御部8によって受け付けた最小出力濃度レベルαと最大出力濃度レベルβとに基づいて画像データのダイナミックレンジWを広げる階調調整処理を行う画像処理部12と、画像処理部12によって階調調整が行われた画像データに基づいて記録処理を行う記録部7とを設けることにより、ユーザーが所望するコントラストの再生画像を得ることができるという効果を奏する。
【0037】
さらに、本実施の形態によれば、操作部6から入力することで、ユーザーがレンジ閾値Dを設定可能に構成されている。これにより、ユーザーが限度とする低コントラストの画像を設定することができ、ユーザーが所望しないコントラストの再生画像が出力されることを防止することができる。
【0038】
さらに、本実施の形態によれば、タッチパネル式の液晶表示部61を設け、制御部8は、最小出力濃度レベルαと最大出力濃度レベルβとの入力を受け付けるレンジ調整画面65を液晶表示部61に表示させるように構成されている。また、レンジ調整画面65には、入力濃度レベルを示すX軸に濃度分布検出部10によって特定された最小入力濃度レベルa及び最大入力濃度レベルbが、出力濃度レベルを示すY軸に最小出力濃度レベルα及び最大出力濃度レベルβがそれぞれ表示されている階調調整指示グラフ651が設けられ、階調調整指示グラフ651において最小出力濃度レベルα及び最大出力濃度レベルβが個別に入力可能になっている。これにより、ユーザーは、濃度分布検出部10によって特定された最小入力濃度レベルa及び最大入力濃度レベルbと視覚的に対比しながら最小出力濃度レベルα及び最大出力濃度レベルβを入力することが可能になる。
【0039】
さらに、本実施の形態によれば、制御部8は、ダイナミックレンジ判定部11によって画像データのダイナミックレンジの幅Wがレンジ閾値Dよりも狭いと判定されると、階調調整を行うか否かを受け付ける警告画面64を液晶表示部61に表示させるよう構成されている。これにより、ユーザーは、画像データのダイナミックレンジの幅Wが狭いことを認識できると共に、階調調整の是非を判断することができる。
【0040】
なお、本実施の形態では、本発明に係る画像形成装置の例として、複写機を示したが、本発明に係る画像形成装置はこれに限定されるものではなく、原稿の読み取り機能や画像データ出力機能を有する機器、例えば、ファクシミリ装置、プリンタ、複合機(コピー、ファクシミリ装置、プリンタ等の機能を兼ね備えた画像形成装置)等であってもよい。
【0041】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0042】
1 画像形成装置
2 原稿読取部
3 原稿給送部
4 本体部
5 スタックトレイ
6 操作部
7 記録部
8 制御部
9 記憶部
10 濃度分布検出部
11 ダイナミックレンジ判定部
12 画像処理部
21 スキャナー
22 プラテンガラス
23 原稿読取スリット
31 原稿載置部
32 原稿排出部
33 原稿搬送機構
41 排出口
42 給紙部
43 用紙搬送路
44 搬送ローラー
45 排出ローラー
61 液晶表示部
62 テンキー
64 警告画面
641 続行指示ボタン
642 階調調整指示ボタン
65 レンジ調整画面
651 階調調整指示グラフ
652 最小出力濃度レベル表示欄
653 最大出力濃度レベル表示欄
654 実行指示ボタン
655 キャンセルボタン
71 感光体ドラム
72 露光部
73 画像形成部
74 転写部
75 定着部
42a1〜42an 給紙カセット
42b1〜42bn 給紙ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの濃度分布を検出して最小入力濃度レベルと最大入力濃度レベルとを特定することで、ダイナミックレンジの幅を算出する濃度分布検出手段と、
該濃度分布検出手段によって算出された前記画像データのダイナミックレンジの幅とレンジ閾値とを比較するダイナミックレンジ判定手段と、
該ダイナミックレンジ判定手段によって前記画像データのダイナミックレンジの幅がレンジ閾値よりも狭いと判定されると、最小出力濃度レベルと最大出力濃度レベルとの入力を受け付ける制御手段と、
該制御手段によって受け付けた前記最小出力濃度レベルと前記最大出力濃度レベルとに基づいて前記画像データのダイナミックレンジを広げる階調調整処理を行う画像処理手段と、
該画像処理手段によって階調調整が行われた前記画像データに基づいて記録処理を行う記録手段とを具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記レンジ閾値は、ユーザーによって設定可能であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
タッチパネル式の表示手段を具備し、
前記制御手段は、前記最小出力濃度レベルと前記最大出力濃度レベルとの入力を受け付けるレンジ調整画面を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記レンジ調整画面には、入力濃度レベルを示す一方の軸に前記濃度分布検出手段によって特定された前記最小入力濃度レベル及び前記最大入力濃度レベルが、出力濃度レベルを示す他方の軸に最小出力濃度レベル及び最大出力濃度レベルがそれぞれ表示されている階調調整指示グラフが設けられ、当該階調調整指示グラフにおいて前記最小出力濃度レベル及び前記最大出力濃度レベルが個別に入力可能であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、ダイナミックレンジ判定手段によって前記画像データのダイナミックレンジの幅がレンジ閾値よりも狭いと判定されると、階調調整を行うか否かを受け付ける警告画面を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項3又は4記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−74586(P2013−74586A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214105(P2011−214105)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】