画像形成装置
【課題】第2上部筐体の開閉時に開きを規制する第2係合部材がユーザに接触し難い画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1上部筐体の上部に開閉自在に配置される第2上部筐体720と、第1上部筐体が本体側筐体に対して開いた状態において第2上部筐体720が第1上部筐体から開くことを規制する開放規制機構500とを備える。開放規制機構500は、第1上部筐体に設けられる第1係合部材と、第2上部筐体720に設けられる第2係合部材520とを有し、第1係合部材と第2係合部材520との係合により第2上部筐体720が開くことを規制する。第2係合部材520は、第1上部筐体側に向けて突出するように付勢され、第2上部筐体720側に向けて移動可能である。第2係合部材520は、回動軸を含む軸側部分523と、第1係合部材と係合する係合部を有する係合側部分524とを備え、係合側部分524は、軸側部分523に対して回動自在である。
【解決手段】第1上部筐体の上部に開閉自在に配置される第2上部筐体720と、第1上部筐体が本体側筐体に対して開いた状態において第2上部筐体720が第1上部筐体から開くことを規制する開放規制機構500とを備える。開放規制機構500は、第1上部筐体に設けられる第1係合部材と、第2上部筐体720に設けられる第2係合部材520とを有し、第1係合部材と第2係合部材520との係合により第2上部筐体720が開くことを規制する。第2係合部材520は、第1上部筐体側に向けて突出するように付勢され、第2上部筐体720側に向けて移動可能である。第2係合部材520は、回動軸を含む軸側部分523と、第1係合部材と係合する係合部を有する係合側部分524とを備え、係合側部分524は、軸側部分523に対して回動自在である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙等のシートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機等の画像形成装置として、画像情報に基づいてシートに画像を形成する画像形成部を有する本体側筐体と、原稿の画像を読み取って画像情報を得る画像読取部を有し且つ本体側筐体の上部に開閉自在に配置される上部筐体と、上部筐体の上部に開閉自在に配置され且つ閉状態において画像読取部を覆う読取部カバー部材を有する原稿搬送部と、を備える画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置は、上部筐体が本体側筐体に対して開いた状態において原稿搬送部が上部筐体に対して開くことを規制する開放規制機構を備えている。開放規制機構によれば、上部筐体が本体側筐体に対して開いた状態において、原稿搬送部が上部筐体に対して開く現象を防止することができる。
開放規制機構は、上部筐体に設けられた第1係合部材と、上部筐体側に突出して読取部カバー部材に設けられ且つ第1係合部材に係合可能な第2係合部材と、を有する。そして、開放規制機構は、第1係合部材と第2係合部材とが係合されることにより読取部カバー部材が上部筐体に対して開くことを規制する(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−242563号公報
【特許文献2】特開2009−038787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の画像形成装置においては、上部筐体が本体側筐体に対して閉じた状態において読取部カバー部材を開閉しようとした場合に、第2係合部材が上部筐体側に突出していると、突出した第2係合部材がユーザの手などに接触し、ユーザが怪我をする虞がある。
また、特許文献2に記載の画像形成装置においては、第2係合部材が上部筐体側に突出しているため、上部筐体が本体側筐体に対して閉じた状態において読取部カバー部材を開閉しようとした場合に、第2係合部材がユーザの手などに接触し、ユーザが怪我をする虞がある。
【0006】
本発明は、読取部カバー部材の開閉時に、読取部カバー部材に設けられ且つ読取部カバー部材が上部筐体に対して開くことを規制するための第2係合部材がユーザの手などに接触してユーザが怪我をする虞を低減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画像情報に基づいてシートに画像を形成する画像形成部を有する本体側筐体と、原稿の画像を読み取って画像情報を得る画像読取部を有し且つ前記本体側筐体の上部に開閉自在に配置される上部筐体と、前記上部筐体の上部に開閉自在に配置され且つ閉状態において前記画像読取部を覆う読取部カバー部材と、前記上部筐体が前記本体側筐体に対して開いた状態において前記読取部カバー部材が前記上部筐体に対して開くことを規制する開放規制機構と、を備える画像形成装置であって、前記開放規制機構は、前記上部筐体に設けられた第1係合部材と、前記上部筐体側に突出するように前記読取部カバー部材に設けられ且つ前記第1係合部材に係合可能な第2係合部材と、を有し、前記第1係合部材と前記第2係合部材とが係合されることにより前記読取部カバー部材が前記上部筐体に対して開くことを規制し、前記第2係合部材は、前記読取部カバー部材から前記上部筐体側に向けて突出するように付勢されていると共に、前記上部筐体から前記読取部カバー部材側に向けて移動可能に構成される画像形成装置に関する。
【0008】
また、前記第2係合部材は、回動することにより移動することが好ましい。
【0009】
また、前記読取部カバー部材の開閉軸と前記上部筐体の開閉軸とは平行であることが好ましい。
【0010】
また、前記読取部カバー部材の開閉方向と前記上部筐体の開閉方向とは同じであることが好ましい。
【0011】
また、前記読取部カバー部材は、原稿を前記画像読取部における画像読取位置へ搬送する原稿搬送部の一部を構成することが好ましい。
【0012】
また、前記第2係合部材は、その回動軸を含む軸側部分と、前記第1係合部材と係合する係合部を有する係合側部分と、を備え、前記係合側部分は、前記軸側部分に対して回動自在に構成されることが好ましい。
【0013】
また、前記第2係合部材は、前記第1係合部材と係合する係合部を有する係合側部分と、該係合側部分を該係合側部分の先端部側に向けて付勢する付勢部材と、前記係合側部分から延出する一対の第1延出部と、該一対の第1延出部それぞれから延出する一対の第2延出部と、該一対の第2延出部それぞれに対応して設けられ該一対の第2延出部をそれぞれ受け止めて前記付勢部材の付勢力による該一対の第2延出部の移動を規制する第2延出部移動規制部と、を備えており、前記係合側部分が押圧されると、該係合側部分の基端部側への移動又は前記一対の第2延出部のうちの一方若しくは他方を支点とする回転を行うように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、読取部カバー部材の開閉時に、読取部カバー部材に設けられ且つ読取部カバー部材が上部筐体に対して開くことを規制するための第2係合部材がユーザの手などに接触してユーザが怪我をする虞を低減することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の画像形成装置の第1実施形態に係るコピー機1の外観斜視図である。
【図2】図1に示すコピー機1において、上部筐体106が本体側筐体104に対して開いた状態の斜視図である。
【図3】図1に示すコピー機1において、上部筐体106が本体側筐体104に対して閉じた状態において原稿搬送部107が上部筐体106に対して開いた状態の右側面図である。
【図4】図1に示すコピー機1において、上部筐体106が本体側筐体104に対して開くと共に原稿搬送部107が上部筐体106に対して開いた状態の右側面図である。
【図5】図1に示すコピー機1の本体側筐体104における各構成要素の配置を説明するための左側面図である。
【図6】原稿搬送部107の模式的断面図である。
【図7】原稿搬送部107が上部筐体106に対して開いた状態を示す斜視図である。
【図8】図7における第2係合部材520の近傍の拡大図である。
【図9】原稿搬送部107が上部筐体106に対して閉じた状態における第2係合部材520の近傍を透視して示す斜視図である。
【図10】第2係合部材520が上向きに押された状態における第2係合部材520の近傍を透視して示す斜視図である。
【図11】第2係合部材520と第1係合部材510との係合動作を示す模式図で、(A)は係合した状態を示す図、(B)は係合が解除した状態を示す図である。
【図12】第2実施形態に係るコピー機1における第2係合部材520の構成を示す拡大右側面図で、(A)は自然状態を示す図、(B)は上向きに押圧された状態を示す図である。
【図13】第3実施形態に係るコピー機1における第2係合部材520の構成を示す図で、(A)は拡大斜視図、(B)は拡大右側面図である。
【図14】図13に示す第2係合部材520が上向きに押圧されたときにおける動作を示す右側面図で、(A)は直下方から力が作用した場合の動作状態を示す図、(B)は斜め左下方から力が作用した場合の動作状態を示す図、(C)は斜め右下方から力が作用した場合の動作状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の第1実施形態に係るコピー機1について説明する。まず、コピー機1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の第1実施形態に係るコピー機1の外観斜視図である。図2は、図1に示すコピー機1において、上部筐体106が本体側筐体104に対して開いた状態の斜視図である。図3は、図1に示すコピー機1において、上部筐体106が本体側筐体104に対して閉じた状態において原稿搬送部107が上部筐体106に対して開いた状態の右側面図である。図4は、図1に示すコピー機1において、上部筐体106が本体側筐体104に対して開くと共に原稿搬送部107が上部筐体106に対して開いた状態の右側面図である。図5は、図1に示すコピー機1の本体側筐体104における各構成要素の配置を説明するための左側面図である。図6は、原稿搬送部107の模式的断面図である。図7は、原稿搬送部107が上部筐体106に対して開いた状態を示す斜視図である。
【0017】
図1から図4に示すように、コピー機1は、本体側筐体104と原稿画像読取部105とを備える。原稿画像読取部105は、第1上部筐体としての上部筐体106と原稿搬送部107とを備える。
【0018】
図5に示すように、本体側筐体104は、その内部に、画像情報に基づいて用紙T(シート)に画像を形成する画像形成部GK(後述)を有する。図1から図4に示すように、本体側筐体104の上部には、本体上カバー104aが開閉可能に配置される。本体上カバー104aが開状態にされた場合には、本体側筐体104の内部に配置されるトナーカートリッジ5(後述)の交換や、画像形成部GKの整備等が可能になる。
【0019】
図1及び図2に示すように、原稿画像読取部105は、本体側筐体104の上部において、本体側筐体104に対して開閉自在に配置される。原稿画像読取部105は、上部筐体106と原稿搬送部107とから構成される。
【0020】
上部筐体106は、本体側筐体104の上部に開閉自在に配置される。上部筐体106は、原稿の画像を読み取って画像情報を得る画像読取部120(図6参照)を有する。上部筐体106は、その下側の後端部において、本体側筐体104における上側の後端部に、下側第1連結部106a(図2参照)により連結される。また、上部筐体106は、その下面において、本体上カバー104aの上面に、下側第2連結部106b(図2参照)により連結される。このため、上部筐体106が閉状態(図1参照)又は開状態(図2参照)となる場合、本体上カバー104aは、上部筐体106の開閉に連動して、それぞれ閉状態(図1参照)又は開状態(図2参照)となる。さらに、上部筐体106は、前方に張り出すようにして配置された操作パネル106dを備える。操作パネル106dは、複数のキーから構成される操作部150と、表示部151とを有する。
【0021】
図6に示すように、原稿搬送部107は、原稿Gを画像読取部120における画像読取位置Jへ搬送する。図3及び図7に示すように、原稿搬送部107は、上部筐体106の上部に開閉自在に配置され且つ閉状態において画像読取部120を覆う読取部カバー部材を有する。読取部カバー部材は、原稿集積部720(後述)からなる。
原稿搬送部107は、その下側の後端部において、上部筐体106における上側の後端部に、上側第3連結部106c(図3参照)により連結される。
【0022】
また、上部筐体106及び原稿搬送部107は、開放規制機構500を備える。開放規制機構500は、上部筐体106が本体側筐体104に対して開いた状態において、読取部カバー部材及び第2上部筐体としての原稿集積部720が上部筐体106に対して開くこと(図2に示す状態から図4に示す状態に変化すること)を規制する。開放規制機構500は、原稿搬送部107が上部筐体106に対して閉状態となり、且つ、上部筐体106が本体側筐体104に対して閉状態となる状態(図1参照)から、上部筐体106が本体側筐体104に対して開状態(図2参照)となる場合に、上部筐体106に対して原稿搬送部107が開くことがないように機能する。開放規制機構500の詳細については後述する。
【0023】
次に、図5を参照しながら、本体側筐体104を有する装置本体Mの詳細について説明する。
図5に示すように、装置本体Mは、所定の画像情報に基づいて用紙Tに所定の画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに供給すると共に画像が形成された用紙Tを排出する給排紙部KHとを有する。
本体側筐体104は、装置本体Mの外形を形成する。本体側筐体104の内部に、画像形成部GK、給排紙部KH等が配置されている。
【0024】
図5に示すように、画像形成部GKは、感光体ドラム2と、帯電部10と、レーザスキャナユニット4と、現像器16と、トナーカートリッジ5と、トナー供給装置6と、転写ローラ8と、ドラムクリーニング装置11と、定着部としての定着部9とを備える。
【0025】
また、給排紙部KHは、供給カセット52と、手差しトレイ65と、レジストローラ対80と、用紙Tの搬送路Lとを備える。
【0026】
感光体ドラム2は、円筒形状の部材からなり、像担持体として機能する。感光体ドラム2は、図1の紙面に対して垂直な回転軸を中心に回転可能な態様で装置本体Mに配置される。感光体ドラム2の表面には、静電潜像が形成される。
【0027】
帯電部10は、感光体ドラム2の垂直方向上側(上方)に配置される。帯電部10は、感光体ドラム2の表面を一様に正(プラス極性)帯電させる。
【0028】
レーザスキャナユニット4は、感光体ドラム2の垂直方向上側(上方)に感光体ドラム2から離間して配置される。レーザスキャナユニット4は、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
【0029】
レーザスキャナユニット4は、画像読取部120から出力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4により走査露光されることによって、感光体ドラム2の表面に帯電した電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
【0030】
現像器16は、感光体ドラム2の前方(図5における右側)に配置される。現像器16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像に単色(通常はブラック)のトナー画像を現像する。現像器16は、感光体ドラム2に対向配置可能な現像ローラ17とトナー攪拌用の攪拌ローラ18とを有して構成される。
【0031】
トナーカートリッジ5は、現像器16に供給されるトナーを収容する。
トナー供給装置6は、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを、現像器16に供給する。
【0032】
ドラムクリーニング装置11は、感光体ドラム2の後方(図5における左側)に配置される。ドラムクリーニング装置11は、感光体ドラム2の表面に残留したトナーや付着物を除去する。
【0033】
転写ローラ8は、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を用紙Tに直接的に転写させる。転写ローラ8には、不図示の電圧印加手段により、感光体ドラム2に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させるための転写バイアスが印加される。
【0034】
なお、本実施形態においては、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を、中間転写ベルト等を介さずに、用紙Tに直接的に転写させているが、これに制限されない。例えば、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を、中間転写ベルト等を介して、用紙Tに間接的に転写させることができる。
【0035】
転写ローラ8は、感光体ドラム2に当接される当接位置と、感光体ドラム2から離間する離間位置とに移動可能に構成される。詳細には、転写ローラ8は、感光体ドラム2に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させる場合には当接位置に移動され、他の場合には離間位置に移動される。
ここで、用紙Tは、感光体ドラム2と転写ローラ8とによって挟み込まれ、感光体ドラム2の表面(トナー画像が現像された側)に押し当てられる。このようにして転写部としての転写ニップNが形成され、感光体ドラム2に現像されたトナー画像は、用紙Tに転写される。
【0036】
定着部9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融させて、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱ローラ9aと、加熱ローラ9aに圧接される加圧ローラ9bと、を備える。加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとは、トナー画像が転写された用紙Tを挟持するようにして搬送する。用紙Tが加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとの間に挟持されるように搬送されることによって、用紙Tに転写されたトナーは、溶融されると共に該用紙Tの表面に定着される。
【0037】
供給カセット52は、装置本体Mの下部(垂直方向における下側)に配置される。供給カセット52は、装置本体Mの前側(図5における右側)に水平方向に引き出し可能に配置される。供給カセット52は、用紙Tが載置される載置板60を備えており、供給カセット52には、載置板60に用紙Tが積層された状態で、用紙Tが収容される。カセット供給部51は、供給カセット52の用紙送り出し側端部(図5における右側端部)に配置される。カセット供給部51は、供給カセット52に収容された用紙Tを搬送路Lに送り出す。
【0038】
カセット供給部51は、載置板60に載置された用紙Tを取り出す前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すローラ対63とからなる重送防止機構を備える。
【0039】
カセット供給部51又は手差し供給部64と排紙部50との間には、用紙Tを搬送する搬送路Lが形成される。搬送路Lは、カセット供給部51から第1合流部P1までの第1搬送路L1と、第1合流部P1からレジストローラ対80までの第2搬送路L2と、レジストローラ対80から転写ローラ8までの第3搬送路L3と、転写ローラ8から定着部9までの第4搬送路L4と、定着部9から分岐部P3までの第5搬送路L5と、分岐部P3から排紙部50までの第6搬送路L6と、を有する。
【0040】
また、搬送路Lは、手差しトレイ65から第1合流部P1までの第7搬送路L7を有する。第1合流部P1は、カセット供給部51から用紙Tを搬送する第1搬送路L1と、手差しトレイ65から用紙Tを搬送する第7搬送路L7との合流部である。
【0041】
第2搬送路L2の途中には、第2合流部P2が配置される。更に、搬送路Lは、分岐部P3から第2合流部P2までの戻し搬送路Lbを有する。第2合流部P2は、第2搬送路L2と戻し搬送路Lbとの合流部である。
【0042】
ここで、転写ローラ8における用紙Tの搬送方向の上流側(図5における右側)には、レジストローラ対80が配置される。レジストローラ対80は、用紙Tのスキュー(斜め供給)補正や、トナー画像とのタイミング調整を行うためのローラ対である。
【0043】
戻し搬送路Lbは、用紙Tの両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(非印刷面)を感光体ドラム2に対向させるために設けられる搬送路である。
【0044】
戻し搬送路Lbによれば、分岐部P3から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第2搬送路L2に戻すことができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、感光体ドラム2により非印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
【0045】
装置本体Mの前面側(図5における右側)であって供給カセット52の上方には、手差し供給部64が設けられる。手差し供給部64は、手差しトレイ65と、供給コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その基端部が第7搬送路L7の入口近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。手差しトレイ65は、その閉状態において、装置本体Mの前面の一部を構成する。供給コロ66は、手差しトレイ65に載置された用紙Tを取り出し、第7搬送路L7に向けて送り出す。
【0046】
手差し供給部64は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを、第7搬送路L7及び第1合流部P1を介して、第2搬送路L2に供給する。
【0047】
第6搬送路L6における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの前方(図5における右方)に向けて開口している。排紙部50は、定着部9によりトナーが定着された用紙Tを装置本体Mの外部に排出する。
【0048】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方(垂直方向下側)に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、排紙部50から排出された、所定画像が転写された用紙Tが積層して集積される。
【0049】
画像読取部120は、光源を含む照明部と、光路を形成する複数のミラーと、結像レンズと、読取手段としてのCCDと、CCDにより読み取られた画像情報に対して所定の処理をすると共に該画像情報を装置本体M側に出力させるCCD基板とを備える。
原稿搬送部107において、画像読取位置Jに搬送された原稿Gに形成された画像は、CCDにより読み取られる。
【0050】
画像読取部120から出力された画像情報は、画像読取部120から装置本体Mに出力される。
装置本体Mにおいて、入力された画像情報は、不図示の画像形成制御部に入力される。画像形成制御部は、画像情報に基づいて、画像形成部GKを構成する像担持体としての感光体ドラム2、帯電部10、レーザスキャナユニット4や現像器16等を制御する。感光体ドラム2には、画像情報に基づいて、所定のトナー画像が形成される。
【0051】
搬送路Lを介して感光体ドラム2により形成される転写ニップNに搬送された用紙Tには、画像情報に基づいて原稿Gの画像と同じ画像が転写される。画像が形成された用紙Tは、排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
【0052】
次に、原稿搬送部107について詳述する。
図6に示すように、原稿搬送部107は、搬送機構筐体701と、原稿載置部710と、原稿集積部720と、中間トレイ730とを備える。
【0053】
搬送機構筐体701は、原稿搬送部107における搬送機構が収納された筐体である。
原稿載置部710は、画像が読み取られる前の原稿Gが載置される部分である。
原稿集積部720は、原稿載置部710の垂直方向下側に位置し、所定の画像読取位置Jを通過した原稿Gが集積される部分である。原稿集積部720は、閉状態において画像読取部120を覆う読取部カバー部材としても機能する。
【0054】
中間トレイ730は、原稿載置部710と原稿集積部720との間に配置され、原稿載置部710と原稿集積部720との間の空間Kを原稿集積部720側の第1空間K1と原稿載置部710側の第2空間K2とに仕切るトレイである。
【0055】
図1及び図6に示すように、原稿載置部710は、載置部トレイ711と、原稿押さえ部712と、トレイ支持壁715と、待機部713と、分離壁714とを備える。
【0056】
載置部トレイ711の載置面(上面)における基端側(原稿搬送部107側)には、一対の原稿押さえ部712が設けられる。一対の原稿押さえ部712は、原稿Gの幅に応じて、載置部トレイ711の幅方向(原稿搬送部107の左右方向)に相対的に接近又は離間自在にスライド可能に配置される。
【0057】
トレイ支持壁715は、載置部トレイ711を支持する壁部である。トレイ支持壁715は、載置部トレイ711の基端部側(原稿搬送部107側)に設けられる。
トレイ支持壁715は、原稿搬送部107の左側(図6における手前側)の左支持壁715aと、原稿搬送部107の右側(図6における奥側)の右支持壁715bとを備える。左支持壁715a及び右支持壁715bは、垂直方向に延びる板状の部材である。
【0058】
待機部713は、搬送機構筐体701の内部に設けられており、原稿Gの搬送方向に沿ってほぼ水平方向に延びるように形成される。待機部713の上面には、原稿Gの前端部(給送方向Cにおける下流側の端部)が配置される。
分離壁714は、待機部713における給送方向Cの下流側に配置され、給送方向Cの下流側に向かうに従って垂直方向上側に向かうように傾斜した壁部である。
原稿載置部710に載置された原稿Gは、前端部が分離壁714に突き当たることにより待機部713において待機状態となる。そして、待機部713において積層した状態で待機している原稿Gは、前端部が分離壁714を乗り越えることで良好に分離される(捌かれる)。
【0059】
図6に示すように、搬送機構筐体701には、第1原稿排出部702と、第2原稿排出部703と、第1搬送手段と、第2搬送手段と、第3搬送手段とが設けられている。
【0060】
第1原稿排出部702は、第1空間K1に臨み、原稿Gを第1空間K1に向けて排出する部分である。
第2原稿排出部703は、第2空間K2に臨み、原稿Gの一部分を第2空間K2に向けて排出する部分である。
第1搬送手段は、原稿載置部710に載置された原稿Gを画像読取位置Jに搬送する手段である。
第2搬送手段は、画像読取位置Jに位置する原稿Gを第1原稿排出部702に搬送する手段である。
第3搬送手段は、画像読取位置Jに位置する原稿Gを、第2空間K2を利用してスイッチバックさせると共に表裏反転させて画像読取位置Jに再度搬送する手段である。
【0061】
第1搬送手段は、ピックアップローラ741と、給送ローラ742と、分離パッド743と、読み取り前ローラ対745を有して構成される。
【0062】
ピックアップローラ741は、原稿Gから離間したホームポジションと、原稿Gの表面に軽く当接するピックアップポジションとに移動可能に構成される。ピックアップローラ741は、回転駆動されると、ホームポジションからピックアップポジションに移動するように構成される。ピックアップローラ741は、原稿Gを給送した後、ピックアップポジションからホームポジションに戻るように構成される。
【0063】
給送ローラ742は、分離パッド743に当接可能に構成される。
【0064】
読み取り前ローラ対745は、画像読取位置Jの給送方向Cにおける上流側に配置される。読み取り前ローラ対745は、給送ローラ742により給送された原稿Gを挟持しながら画像読取位置Jに向けて搬送する。
【0065】
画像読取位置Jの垂直方向上側には、原稿ガイド746が配置される。原稿ガイド746は、画像読取位置Jにおいて、原稿Gの搬送経路を形成するため、透過部材122との間に微小間隙を介して対向配置される。
【0066】
搬送機構筐体701における画像読取位置Jに対応する部分(垂直方向下側)は開放されている。これにより、原稿G(被読取画像が形成された面)は、画像読取位置Jを通過する際に画像読取部120における読取面を構成する透過部材122に対向して配置される。
【0067】
第1原稿排出部702には第1排出ローラ対753が配置される。第1排出ローラ対753は、第1排出ローラ対753に搬送されてきた原稿Gを、第1空間K1に排出する。
【0068】
第2原稿排出部703には第2排出ローラ対754が配置される。第2排出ローラ対754は、第2排出ローラ対754に搬送されてきた原稿Gを、第2空間K2に排出する。
【0069】
第2搬送手段は、読み取り後ローラ対751と、切換部材752と、第1排出ローラ対753を含んで構成される。第2搬送手段は、画像読取位置Jに位置する原稿Gを第1原稿排出部702に搬送する。
【0070】
読み取り後ローラ対751は、画像読取位置Jから搬送される原稿Gを、給送方向Cにおける下流側(切換部材752側)に搬送する。
【0071】
切換部材752は、読み取り後ローラ対751の給送方向Cにおける下流側であって、第1排出ローラ対753又は第2排出ローラ対754より上流側に配設される。
切換部材752は、読み取り後ローラ対751から搬送された原稿Gを第1原稿排出部702(第1排出ローラ対753)側にガイドする第1位置と、第2原稿排出部703(第2排出ローラ対754)側にガイドする第2位置とに切り替え(揺動)可能に配置される。
【0072】
第3搬送手段は、読み取り後ローラ対751と、切換部材752と、第2排出ローラ対754を含んで構成される。第3搬送手段は、画像読取位置Jに位置する原稿Gを、第2空間K2を利用してスイッチバックさせると共に表裏反転させて画像読取位置Jに再度搬送する。
【0073】
次に、図7から図11により、本発明の特徴部分である開放規制機構500の詳細について説明する。
図8は、図7における第2係合部材520の近傍の拡大図である。図9は、原稿搬送部107が上部筐体106に対して閉じた状態における第2係合部材520の近傍を透視して示す斜視図である。図10は、第2係合部材520が上向きに押された状態における第2係合部材520の近傍を透視して示す斜視図である。図11は、第2係合部材520と第1係合部材510との係合動作を示す模式図で、(A)は係合した状態を示す図、(B)は係合が解除した状態を示す図である。
【0074】
原稿集積部720は、原稿搬送部107において読取部カバー部材としても機能する部位であり、図7に示すように、一対の上側第3連結部106cにより上部筐体106に対して開閉自在に連結される。一対の上側第3連結部106cは、原稿集積部720の幅方向(原稿の搬送方向)の両側部に配置される。上側第3連結部106cの開閉軸106c1は、本体側筐体104に対して上部筐体106を開閉自在に連結する下側第1連結部106aの開閉軸106a1(図2参照)と平行となっている。図2及び図3に示すように、原稿集積部720の開閉方向と上部筐体106の開閉方向とは同じ方向である。
【0075】
開放規制機構500は、上部筐体106及び原稿搬送部107の幅方向の一方の側部側における上側第3連結部106cよりも幅方向の外側に設けられる。図7から図11に示すように、開放規制機構500は、第1係合部材510と、第1係合部材510に係合可能な第2係合部材520と、を有する。開放規制機構500は、第1係合部材510と第2係合部材520とが係合されることにより、上部筐体106が本体側筐体104に対して開いた状態において、原稿集積部720が上部筐体106に対して開くことを規制する。
【0076】
第1係合部材510(図11参照)は、上部筐体106に設けられている。第1係合部材510は、上部筐体106の上面部に形成された貫通穴501(図7及び図8参照)の下方側(内側)に位置する。図11に示すように、第1係合部材510は、可動側部511と係合爪部512とを有する。可動側部511は、その下端部側を支点にして、上部筐体106に対して揺動(回動)可能な部位である。係合爪部512は、可動側部511の上端部に一体的に形成されている。係合爪部512は、可動側部511の揺動により、第2係合部材520の係合部521に対して係合及び係合解除が可能なフック状の部位である。
【0077】
第2係合部材520は、上部筐体106側に突出するように原稿集積部720に設けられる。図9及び図10に示すように、第2係合部材520は、原稿集積部720に固定されているマウント522に、回動自在に連結されている。マウント522は、底板部522aと、底板部522aの両側で折り曲がって上方へ立ち上がる一対の側板部522bと、からなる。
【0078】
第2係合部材520は、回動軸525を介して回動可能に支持されている。回動軸525は、マウント522の一対の側板部522bの間に亘って掛け渡されている。第2係合部材520は、軸側部分523と係合側部分524とを有する。軸側部分523は、自然状態において底板部522aに沿って延びている。係合側部分524は、軸側部分523に略直交しており、マウント522の底板部522aに形成された貫通孔522cを通して、下方の上部筐体106側に突出するように延びている。
【0079】
第2係合部材520の係合側部分524は、第1係合部材510の係合爪部512に係合する係合部521を有する。係合部521は、図11に示すように、係合側部分524の一側面側から他側面側に向けて凹んだ凹部からなる。
なお、係合部521は、凹部に制限されず、例えば、係合側部分524の一側面側から他側面側に貫通した貫通孔から形成することができる。
【0080】
回動軸525は、第2係合部材520の軸側部分523を回動可能に支持する軸である。回動軸525には、つる巻きばね526が巻き付けられている。つる巻きばね526の一端部526aは、原稿集積部720側の定位置に係止されて固定される。また、つる巻きばね526の他端部526bは、第2係合部材520の軸側部分523に当接される。これによって、第2係合部材520は、係合部521を含む係合側部分524が原稿集積部720から上部筐体106側に向けて突出するように、つる巻きばね526により付勢されている。また、第2係合部材520は、回動軸525の回りに回動することにより、上部筐体106から原稿集積部720側に向けて移動可能に構成されている。
【0081】
次に、開放規制機構500の動作について説明する。
原稿搬送部107が上部筐体106に対して閉状態となり、且つ、上部筐体106が本体側筐体104に対して閉状態となる図1に示す状態においては、開放規制機構500における第2係合部材520の係合側部分524は、つる巻きばね526の付勢力により、回動軸525の回りに回動され、図9に示すように、原稿集積部720から上部筐体106側に向けて突出している。
【0082】
そして、上部筐体106側に向けて突出する係合側部分524における係合部521は、図11(A)に示すように、上部筐体106に設けられる第1係合部材510の係合爪部512に係合される。このように第2係合部材520と第1係合部材510とが係合されることにより、図1に示す状態から、図2に示すように、上部筐体106を本体側筐体104に対して開く途中及び開いた状態において、原稿搬送部107の原稿集積部720が上部筐体106に対して開くことを規制(防止)することが可能である。
【0083】
また、図11(B)に示すように、開放規制機構500における第1係合部材510の可動側部511を外方へ回動(揺動)させて、第1係合部材510の係合爪部512と第2係合部材520の係合部521との係合を解除することができる。これにより、上部筐体106が本体側筐体104に対して閉じた状態の図1に示す状態において、原稿搬送部107の原稿集積部720を上部筐体106に対して開閉することが可能である。
【0084】
原稿搬送部107の原稿集積部720を上部筐体106に対して開閉するときには、第2係合部材520の係合側部分524は上部筐体106側に突出している。そのため、突出した第2係合部材520の係合側部分524がユーザの手に接触したり、係合側部分524の突出側の端部と上部筐体106の上面部との間にユーザの指を挟んだりする虞がある。しかし、このようなことが仮に起こったとしても、図10に示すように、第2係合部材520は、つる巻きばね526の付勢力に抗して回動軸525の回りに回動し、原稿集積部720側に向けて移動して、マウント522の内側に収納される。したがって、第2係合部材520によってユーザが手や指を怪我する虞を低減することができる。
【0085】
第1実施形態のコピー機1によれば、例えば、次の効果が奏される。
第1実施形態のコピー機1においては、上部筐体106が本体側筐体104に対して開いた状態において原稿集積部720が上部筐体106に対して開くことを規制する開放規制機構500は、上部筐体106に設けられた第1係合部材510と、上部筐体106側に突出するように原稿集積部720に設けられ且つ第1係合部材510に係合可能な第2係合部材520と、を有する。第2係合部材520は、原稿集積部720から上部筐体106側に向けて突出するように付勢されていると共に、上部筐体106から原稿集積部720側に向けて移動可能に構成される。
【0086】
そのため、上部筐体106に対して原稿集積部720を開閉する場合において、原稿集積部720から上部筐体106側に突出している第2係合部材520にユーザの手や指が接触したとしても、第2係合部材520は、その突出に寄与する付勢力に抗して回動軸525の回りに回動して原稿集積部720側に移動する。これにより、接触に関わる力は、吸収されて緩和されることになる。従って、ユーザが手や指に怪我を負う虞を十分に低減することができる。
【0087】
次に、図12により、本発明の第2実施形態について説明する。図12は、第2実施形態に係るコピー機1における第2係合部材520の構成を示す拡大右側面図で、(A)は自然状態を示す図、(B)は上向きに押圧された状態を示す図である。
【0088】
第2実施形態の開放規制機構500は、第1実施形態の開放規制機構500に比べて、第2係合部材520の構成が主に異なる。第2実施形態については、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。第2実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用又は採用される。
【0089】
図12に示すように、第2実施形態における第2係合部材520は、回動軸525を含む軸側部分523と、係合部521を有する係合側部分524と、を備える。係合部521は、第1係合部材510におけるフック状の係合爪部512と係合する。係合側部分524は、軸側部分523の先端寄りの位置において、軸側部分523に対して別の回動軸530の回りに回動可能に支持されている。
【0090】
第1実施形態と同様に、回動軸525に巻き付けられたつる巻きばね526により、係合部521を含む係合側部分524は、原稿集積部720から上部筐体106側に向けて突出するように付勢されている。
【0091】
また、軸側部分523の先端寄りに位置する別の回動軸530には、別のつる巻きばね531が巻き付けられている。別のつる巻きばね531は、つる巻きばね526の付勢力よりも小さい付勢力が生じるように設定されている。別のつる巻きばね531の一端部531aは、原稿集積部720側の定位置に係止されて固定される。別のつる巻きばね531の他端部531bは係合側部分524に当接される。これによって、係合側部分524は、図12(A)に示すように、軸側部分523に対して略直交する姿勢で原稿集積部720から上部筐体106側に向けて突出するように付勢されている。係合側部分524は、回動軸530の回りに回動することにより、図12(B)に示すように、軸側部分523に対して略一直線状の姿勢になるように回動自在に構成されている。
【0092】
第2実施形態の開放規制機構500によれば、例えば、次のような効果が奏される。
第2実施形態の開放規制機構500においては、第2係合部材520の係合側部分524は、軸側部分523に対して回動自在に構成されている。
そのため、第2実施形態の開放規制機構500によれば、上部筐体106に対して原稿集積部720を開閉する場合において、原稿集積部720から上部筐体106側に突出している第2係合部材520にユーザの手や指が接触したときには、第2係合部材520の係合側部分524のみが、軸側部分523に対して付勢力の小さいつる巻きばね531の付勢力に抗して回動軸530の回りに回動して、接触に関わる力を吸収して緩和することになる。つまり、ユーザの手や指が係合側部分524に軽い力で接触しただけで、係合側部分524は、マウント522の内側に収納される。従って、ユーザが手や指に怪我を負う虞を一層効果的に低減することができる。
【0093】
続いて、図13及び図14により、本発明の第3実施形態について説明する。図13は、第3実施形態に係るコピー機1における第2係合部材520の構成を示す図で、(A)は拡大斜視図、(B)は拡大右側面図である。図14は、図13に示す第2係合部材520が上向きに押圧されたときにおける動作を示す右側面図で、(A)は直下方から力が作用した場合の動作状態を示す図、(B)は斜め左下方から力が作用した場合の動作状態を示す図、(C)は斜め右下方から力が作用した場合の動作状態を示す図である。
【0094】
第3実施形態の開放規制機構500は、第1実施形態の開放規制機構500に比べて、第2係合部材520の構成が異なる。第3実施形態については、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。第3実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用又は採用される。
【0095】
図13(A)及び(B)に示すように、第3実施形態における第2係合部材520は、係合側部分524と、付勢部材としてのコイルスプリング540と、一対の第1延出部541と、一対の第2延出部542と、第2延出部移動規制部543と、を備える。係合側部分524は、第1係合部材510におけるフック状の係合爪部512と係合する係合部521を有する。
【0096】
コイルスプリング540は、係合側部分524をその先端部524a側に向けて直線的に付勢する。一対の第1延出部541は、係合側部分524の基端部524bから左右に延出している。一対の第2延出部542は、一対の第1延出部541それぞれの延出側の端部近傍から第1延出部541に直交する方向に向けて延出している。第2延出部移動規制部543は、一対の第2延出部542それぞれに対応して設けられている。第2延出部移動規制部543は、上方側に開放しており、また、第1延出部541と接触しないように欠けた形状を有する。第2延出部移動規制部543は、一対の第2延出部542をそれぞれ受け止めて、コイルスプリング540の付勢力による一対の第2延出部542の移動を規制するように構成されている。
【0097】
上述のような構成の開放規制機構500においては、上部筐体106に対して原稿集積部720を開閉する場合において、原稿集積部720から上部筐体106側に突出している係合側部分524における先端部524aにユーザの手や指が接触して、係合側部分524が直上方に向けて押圧されたときには、図14(A)に示すように、係合側部分524は、コイルスプリング540の付勢力に抗して基端部524bの側へ直線的に移動する。これにより、係合側部分524は、原稿集積部720の側に退避(収納)された状態になる。
【0098】
また、係合側部分524の先端部にユーザの手や指が接触して係合側部分524が斜め左下方から押圧された場合には、図14(B)に示すように、係合側部分524は、一方(右側)の第2延出部542を支点として時計回りに回転されて、原稿集積部720の側に退避(収納)された状態になる。
また、係合側部分524の先端部にユーザの手や指が接触して係合側部分524が斜め右下方から押圧された場合は、図14(C)に示すように、係合側部分524は、一方(左側)の第2延出部542を支点として反時計回りに回転されて、原稿集積部720の側に退避(収納)された状態になる。
【0099】
第3実施形態の開放規制機構500によれば、例えば、次のような効果が奏される。
第3実施形態の開放規制機構500においては、第2係合部材520は、第1係合部材510と係合する係合部521を有する係合側部分524と、係合側部分524を係合側部分524の先端部524a側に向けて付勢するコイルスプリング540と、係合側部分524から延出する一対の第1延出部541と、一対の第1延出部541それぞれから延出する一対の第2延出部542と、一対の第2延出部542それぞれに対応して設けられ一対の第2延出部542をそれぞれ受け止めてコイルスプリング540の付勢力による一対の第2延出部542の移動を規制する第2延出部移動規制部543と、を備えており、係合側部分524が押圧されると、係合側部分524の基端部524b側への移動又は一対の第2延出部542のうちの一方若しくは他方を支点とする回転を行うように構成されている。
【0100】
そのため、第3実施形態の開放規制機構500によれば、上部筐体106に対して原稿集積部720を開閉する場合において、原稿集積部720から上部筐体106の側に突出している第2係合部材520にユーザの手や指が接触して、第2係合部材520の係合側部分524が下方から押圧されたときに、第2係合部材520は、係合側部分524の基端部524b側へ移動する。同様に、第2係合部材520の係合側部分524が斜め左下方又は斜め右下方から押圧されたときに、第2係合部材520は、一対の第2延出部542の一方又は他方を支点として回転する。このようにして、係合側部分524に作用する押圧力、つまり、ユーザの手や指に働く力を吸収して緩和することが可能である。従って、ユーザが手や指が第2係合部材520に様々な方向から接触したとしても、手や指に怪我を負う虞を効果的に低減することができる。
【0101】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した各実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
例えば、各実施形態においては、読取部カバー部材は、原稿Gを画像読取部120における画像読取位置Jへ搬送する原稿搬送部107の一部を構成する原稿集積部720から構成されているが、これに制限されない。例えば、読取部カバー部材は、原稿搬送部107を構成しない単なるカバー部材から構成することができる。
【0102】
第1及び第2実施形態においては、第2係合部材520は、回動することにより、上部筐体106から原稿集積部720側に向けて移動可能に構成されているが、これに制限されない。例えば、第2係合部材520は、上部筐体106から原稿集積部720側に向けて直線的に移動可能に構成されていてもよい。
画像形成装置としてモノクロのコピー機1について説明しているが、これに限定されず、カラーコピー機、プリンタ、ファクシミリ又はこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0103】
1……コピー機(画像形成装置)、104……本体側筐体、106……上部筐体(第1上部筐体)、106a1……開閉軸、106c1……開閉軸、107……原稿搬送部、120……画像読取部、500……開放規制機構、510……第1係合部材、520……第2係合部材、521……係合部、523……軸側部分、524……係合側部分、524a……先端部、524b……基端部、525……回動軸、526……つる巻きばね、540……コイルスプリング(付勢部材)、541……第1延出部、542……第2延出部、543……第2延出部移動規制部、720……原稿集積部(読取部カバー部材、第2上部筐体)、G……原稿、GK……画像形成部、J……画像読取位置、T……用紙(シート)
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙等のシートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機等の画像形成装置として、画像情報に基づいてシートに画像を形成する画像形成部を有する本体側筐体と、原稿の画像を読み取って画像情報を得る画像読取部を有し且つ本体側筐体の上部に開閉自在に配置される上部筐体と、上部筐体の上部に開閉自在に配置され且つ閉状態において画像読取部を覆う読取部カバー部材を有する原稿搬送部と、を備える画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置は、上部筐体が本体側筐体に対して開いた状態において原稿搬送部が上部筐体に対して開くことを規制する開放規制機構を備えている。開放規制機構によれば、上部筐体が本体側筐体に対して開いた状態において、原稿搬送部が上部筐体に対して開く現象を防止することができる。
開放規制機構は、上部筐体に設けられた第1係合部材と、上部筐体側に突出して読取部カバー部材に設けられ且つ第1係合部材に係合可能な第2係合部材と、を有する。そして、開放規制機構は、第1係合部材と第2係合部材とが係合されることにより読取部カバー部材が上部筐体に対して開くことを規制する(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−242563号公報
【特許文献2】特開2009−038787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の画像形成装置においては、上部筐体が本体側筐体に対して閉じた状態において読取部カバー部材を開閉しようとした場合に、第2係合部材が上部筐体側に突出していると、突出した第2係合部材がユーザの手などに接触し、ユーザが怪我をする虞がある。
また、特許文献2に記載の画像形成装置においては、第2係合部材が上部筐体側に突出しているため、上部筐体が本体側筐体に対して閉じた状態において読取部カバー部材を開閉しようとした場合に、第2係合部材がユーザの手などに接触し、ユーザが怪我をする虞がある。
【0006】
本発明は、読取部カバー部材の開閉時に、読取部カバー部材に設けられ且つ読取部カバー部材が上部筐体に対して開くことを規制するための第2係合部材がユーザの手などに接触してユーザが怪我をする虞を低減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画像情報に基づいてシートに画像を形成する画像形成部を有する本体側筐体と、原稿の画像を読み取って画像情報を得る画像読取部を有し且つ前記本体側筐体の上部に開閉自在に配置される上部筐体と、前記上部筐体の上部に開閉自在に配置され且つ閉状態において前記画像読取部を覆う読取部カバー部材と、前記上部筐体が前記本体側筐体に対して開いた状態において前記読取部カバー部材が前記上部筐体に対して開くことを規制する開放規制機構と、を備える画像形成装置であって、前記開放規制機構は、前記上部筐体に設けられた第1係合部材と、前記上部筐体側に突出するように前記読取部カバー部材に設けられ且つ前記第1係合部材に係合可能な第2係合部材と、を有し、前記第1係合部材と前記第2係合部材とが係合されることにより前記読取部カバー部材が前記上部筐体に対して開くことを規制し、前記第2係合部材は、前記読取部カバー部材から前記上部筐体側に向けて突出するように付勢されていると共に、前記上部筐体から前記読取部カバー部材側に向けて移動可能に構成される画像形成装置に関する。
【0008】
また、前記第2係合部材は、回動することにより移動することが好ましい。
【0009】
また、前記読取部カバー部材の開閉軸と前記上部筐体の開閉軸とは平行であることが好ましい。
【0010】
また、前記読取部カバー部材の開閉方向と前記上部筐体の開閉方向とは同じであることが好ましい。
【0011】
また、前記読取部カバー部材は、原稿を前記画像読取部における画像読取位置へ搬送する原稿搬送部の一部を構成することが好ましい。
【0012】
また、前記第2係合部材は、その回動軸を含む軸側部分と、前記第1係合部材と係合する係合部を有する係合側部分と、を備え、前記係合側部分は、前記軸側部分に対して回動自在に構成されることが好ましい。
【0013】
また、前記第2係合部材は、前記第1係合部材と係合する係合部を有する係合側部分と、該係合側部分を該係合側部分の先端部側に向けて付勢する付勢部材と、前記係合側部分から延出する一対の第1延出部と、該一対の第1延出部それぞれから延出する一対の第2延出部と、該一対の第2延出部それぞれに対応して設けられ該一対の第2延出部をそれぞれ受け止めて前記付勢部材の付勢力による該一対の第2延出部の移動を規制する第2延出部移動規制部と、を備えており、前記係合側部分が押圧されると、該係合側部分の基端部側への移動又は前記一対の第2延出部のうちの一方若しくは他方を支点とする回転を行うように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、読取部カバー部材の開閉時に、読取部カバー部材に設けられ且つ読取部カバー部材が上部筐体に対して開くことを規制するための第2係合部材がユーザの手などに接触してユーザが怪我をする虞を低減することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の画像形成装置の第1実施形態に係るコピー機1の外観斜視図である。
【図2】図1に示すコピー機1において、上部筐体106が本体側筐体104に対して開いた状態の斜視図である。
【図3】図1に示すコピー機1において、上部筐体106が本体側筐体104に対して閉じた状態において原稿搬送部107が上部筐体106に対して開いた状態の右側面図である。
【図4】図1に示すコピー機1において、上部筐体106が本体側筐体104に対して開くと共に原稿搬送部107が上部筐体106に対して開いた状態の右側面図である。
【図5】図1に示すコピー機1の本体側筐体104における各構成要素の配置を説明するための左側面図である。
【図6】原稿搬送部107の模式的断面図である。
【図7】原稿搬送部107が上部筐体106に対して開いた状態を示す斜視図である。
【図8】図7における第2係合部材520の近傍の拡大図である。
【図9】原稿搬送部107が上部筐体106に対して閉じた状態における第2係合部材520の近傍を透視して示す斜視図である。
【図10】第2係合部材520が上向きに押された状態における第2係合部材520の近傍を透視して示す斜視図である。
【図11】第2係合部材520と第1係合部材510との係合動作を示す模式図で、(A)は係合した状態を示す図、(B)は係合が解除した状態を示す図である。
【図12】第2実施形態に係るコピー機1における第2係合部材520の構成を示す拡大右側面図で、(A)は自然状態を示す図、(B)は上向きに押圧された状態を示す図である。
【図13】第3実施形態に係るコピー機1における第2係合部材520の構成を示す図で、(A)は拡大斜視図、(B)は拡大右側面図である。
【図14】図13に示す第2係合部材520が上向きに押圧されたときにおける動作を示す右側面図で、(A)は直下方から力が作用した場合の動作状態を示す図、(B)は斜め左下方から力が作用した場合の動作状態を示す図、(C)は斜め右下方から力が作用した場合の動作状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の第1実施形態に係るコピー機1について説明する。まず、コピー機1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の第1実施形態に係るコピー機1の外観斜視図である。図2は、図1に示すコピー機1において、上部筐体106が本体側筐体104に対して開いた状態の斜視図である。図3は、図1に示すコピー機1において、上部筐体106が本体側筐体104に対して閉じた状態において原稿搬送部107が上部筐体106に対して開いた状態の右側面図である。図4は、図1に示すコピー機1において、上部筐体106が本体側筐体104に対して開くと共に原稿搬送部107が上部筐体106に対して開いた状態の右側面図である。図5は、図1に示すコピー機1の本体側筐体104における各構成要素の配置を説明するための左側面図である。図6は、原稿搬送部107の模式的断面図である。図7は、原稿搬送部107が上部筐体106に対して開いた状態を示す斜視図である。
【0017】
図1から図4に示すように、コピー機1は、本体側筐体104と原稿画像読取部105とを備える。原稿画像読取部105は、第1上部筐体としての上部筐体106と原稿搬送部107とを備える。
【0018】
図5に示すように、本体側筐体104は、その内部に、画像情報に基づいて用紙T(シート)に画像を形成する画像形成部GK(後述)を有する。図1から図4に示すように、本体側筐体104の上部には、本体上カバー104aが開閉可能に配置される。本体上カバー104aが開状態にされた場合には、本体側筐体104の内部に配置されるトナーカートリッジ5(後述)の交換や、画像形成部GKの整備等が可能になる。
【0019】
図1及び図2に示すように、原稿画像読取部105は、本体側筐体104の上部において、本体側筐体104に対して開閉自在に配置される。原稿画像読取部105は、上部筐体106と原稿搬送部107とから構成される。
【0020】
上部筐体106は、本体側筐体104の上部に開閉自在に配置される。上部筐体106は、原稿の画像を読み取って画像情報を得る画像読取部120(図6参照)を有する。上部筐体106は、その下側の後端部において、本体側筐体104における上側の後端部に、下側第1連結部106a(図2参照)により連結される。また、上部筐体106は、その下面において、本体上カバー104aの上面に、下側第2連結部106b(図2参照)により連結される。このため、上部筐体106が閉状態(図1参照)又は開状態(図2参照)となる場合、本体上カバー104aは、上部筐体106の開閉に連動して、それぞれ閉状態(図1参照)又は開状態(図2参照)となる。さらに、上部筐体106は、前方に張り出すようにして配置された操作パネル106dを備える。操作パネル106dは、複数のキーから構成される操作部150と、表示部151とを有する。
【0021】
図6に示すように、原稿搬送部107は、原稿Gを画像読取部120における画像読取位置Jへ搬送する。図3及び図7に示すように、原稿搬送部107は、上部筐体106の上部に開閉自在に配置され且つ閉状態において画像読取部120を覆う読取部カバー部材を有する。読取部カバー部材は、原稿集積部720(後述)からなる。
原稿搬送部107は、その下側の後端部において、上部筐体106における上側の後端部に、上側第3連結部106c(図3参照)により連結される。
【0022】
また、上部筐体106及び原稿搬送部107は、開放規制機構500を備える。開放規制機構500は、上部筐体106が本体側筐体104に対して開いた状態において、読取部カバー部材及び第2上部筐体としての原稿集積部720が上部筐体106に対して開くこと(図2に示す状態から図4に示す状態に変化すること)を規制する。開放規制機構500は、原稿搬送部107が上部筐体106に対して閉状態となり、且つ、上部筐体106が本体側筐体104に対して閉状態となる状態(図1参照)から、上部筐体106が本体側筐体104に対して開状態(図2参照)となる場合に、上部筐体106に対して原稿搬送部107が開くことがないように機能する。開放規制機構500の詳細については後述する。
【0023】
次に、図5を参照しながら、本体側筐体104を有する装置本体Mの詳細について説明する。
図5に示すように、装置本体Mは、所定の画像情報に基づいて用紙Tに所定の画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに供給すると共に画像が形成された用紙Tを排出する給排紙部KHとを有する。
本体側筐体104は、装置本体Mの外形を形成する。本体側筐体104の内部に、画像形成部GK、給排紙部KH等が配置されている。
【0024】
図5に示すように、画像形成部GKは、感光体ドラム2と、帯電部10と、レーザスキャナユニット4と、現像器16と、トナーカートリッジ5と、トナー供給装置6と、転写ローラ8と、ドラムクリーニング装置11と、定着部としての定着部9とを備える。
【0025】
また、給排紙部KHは、供給カセット52と、手差しトレイ65と、レジストローラ対80と、用紙Tの搬送路Lとを備える。
【0026】
感光体ドラム2は、円筒形状の部材からなり、像担持体として機能する。感光体ドラム2は、図1の紙面に対して垂直な回転軸を中心に回転可能な態様で装置本体Mに配置される。感光体ドラム2の表面には、静電潜像が形成される。
【0027】
帯電部10は、感光体ドラム2の垂直方向上側(上方)に配置される。帯電部10は、感光体ドラム2の表面を一様に正(プラス極性)帯電させる。
【0028】
レーザスキャナユニット4は、感光体ドラム2の垂直方向上側(上方)に感光体ドラム2から離間して配置される。レーザスキャナユニット4は、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
【0029】
レーザスキャナユニット4は、画像読取部120から出力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4により走査露光されることによって、感光体ドラム2の表面に帯電した電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
【0030】
現像器16は、感光体ドラム2の前方(図5における右側)に配置される。現像器16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像に単色(通常はブラック)のトナー画像を現像する。現像器16は、感光体ドラム2に対向配置可能な現像ローラ17とトナー攪拌用の攪拌ローラ18とを有して構成される。
【0031】
トナーカートリッジ5は、現像器16に供給されるトナーを収容する。
トナー供給装置6は、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを、現像器16に供給する。
【0032】
ドラムクリーニング装置11は、感光体ドラム2の後方(図5における左側)に配置される。ドラムクリーニング装置11は、感光体ドラム2の表面に残留したトナーや付着物を除去する。
【0033】
転写ローラ8は、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を用紙Tに直接的に転写させる。転写ローラ8には、不図示の電圧印加手段により、感光体ドラム2に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させるための転写バイアスが印加される。
【0034】
なお、本実施形態においては、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を、中間転写ベルト等を介さずに、用紙Tに直接的に転写させているが、これに制限されない。例えば、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を、中間転写ベルト等を介して、用紙Tに間接的に転写させることができる。
【0035】
転写ローラ8は、感光体ドラム2に当接される当接位置と、感光体ドラム2から離間する離間位置とに移動可能に構成される。詳細には、転写ローラ8は、感光体ドラム2に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させる場合には当接位置に移動され、他の場合には離間位置に移動される。
ここで、用紙Tは、感光体ドラム2と転写ローラ8とによって挟み込まれ、感光体ドラム2の表面(トナー画像が現像された側)に押し当てられる。このようにして転写部としての転写ニップNが形成され、感光体ドラム2に現像されたトナー画像は、用紙Tに転写される。
【0036】
定着部9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融させて、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱ローラ9aと、加熱ローラ9aに圧接される加圧ローラ9bと、を備える。加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとは、トナー画像が転写された用紙Tを挟持するようにして搬送する。用紙Tが加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとの間に挟持されるように搬送されることによって、用紙Tに転写されたトナーは、溶融されると共に該用紙Tの表面に定着される。
【0037】
供給カセット52は、装置本体Mの下部(垂直方向における下側)に配置される。供給カセット52は、装置本体Mの前側(図5における右側)に水平方向に引き出し可能に配置される。供給カセット52は、用紙Tが載置される載置板60を備えており、供給カセット52には、載置板60に用紙Tが積層された状態で、用紙Tが収容される。カセット供給部51は、供給カセット52の用紙送り出し側端部(図5における右側端部)に配置される。カセット供給部51は、供給カセット52に収容された用紙Tを搬送路Lに送り出す。
【0038】
カセット供給部51は、載置板60に載置された用紙Tを取り出す前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すローラ対63とからなる重送防止機構を備える。
【0039】
カセット供給部51又は手差し供給部64と排紙部50との間には、用紙Tを搬送する搬送路Lが形成される。搬送路Lは、カセット供給部51から第1合流部P1までの第1搬送路L1と、第1合流部P1からレジストローラ対80までの第2搬送路L2と、レジストローラ対80から転写ローラ8までの第3搬送路L3と、転写ローラ8から定着部9までの第4搬送路L4と、定着部9から分岐部P3までの第5搬送路L5と、分岐部P3から排紙部50までの第6搬送路L6と、を有する。
【0040】
また、搬送路Lは、手差しトレイ65から第1合流部P1までの第7搬送路L7を有する。第1合流部P1は、カセット供給部51から用紙Tを搬送する第1搬送路L1と、手差しトレイ65から用紙Tを搬送する第7搬送路L7との合流部である。
【0041】
第2搬送路L2の途中には、第2合流部P2が配置される。更に、搬送路Lは、分岐部P3から第2合流部P2までの戻し搬送路Lbを有する。第2合流部P2は、第2搬送路L2と戻し搬送路Lbとの合流部である。
【0042】
ここで、転写ローラ8における用紙Tの搬送方向の上流側(図5における右側)には、レジストローラ対80が配置される。レジストローラ対80は、用紙Tのスキュー(斜め供給)補正や、トナー画像とのタイミング調整を行うためのローラ対である。
【0043】
戻し搬送路Lbは、用紙Tの両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(非印刷面)を感光体ドラム2に対向させるために設けられる搬送路である。
【0044】
戻し搬送路Lbによれば、分岐部P3から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第2搬送路L2に戻すことができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、感光体ドラム2により非印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
【0045】
装置本体Mの前面側(図5における右側)であって供給カセット52の上方には、手差し供給部64が設けられる。手差し供給部64は、手差しトレイ65と、供給コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その基端部が第7搬送路L7の入口近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。手差しトレイ65は、その閉状態において、装置本体Mの前面の一部を構成する。供給コロ66は、手差しトレイ65に載置された用紙Tを取り出し、第7搬送路L7に向けて送り出す。
【0046】
手差し供給部64は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを、第7搬送路L7及び第1合流部P1を介して、第2搬送路L2に供給する。
【0047】
第6搬送路L6における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの前方(図5における右方)に向けて開口している。排紙部50は、定着部9によりトナーが定着された用紙Tを装置本体Mの外部に排出する。
【0048】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方(垂直方向下側)に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、排紙部50から排出された、所定画像が転写された用紙Tが積層して集積される。
【0049】
画像読取部120は、光源を含む照明部と、光路を形成する複数のミラーと、結像レンズと、読取手段としてのCCDと、CCDにより読み取られた画像情報に対して所定の処理をすると共に該画像情報を装置本体M側に出力させるCCD基板とを備える。
原稿搬送部107において、画像読取位置Jに搬送された原稿Gに形成された画像は、CCDにより読み取られる。
【0050】
画像読取部120から出力された画像情報は、画像読取部120から装置本体Mに出力される。
装置本体Mにおいて、入力された画像情報は、不図示の画像形成制御部に入力される。画像形成制御部は、画像情報に基づいて、画像形成部GKを構成する像担持体としての感光体ドラム2、帯電部10、レーザスキャナユニット4や現像器16等を制御する。感光体ドラム2には、画像情報に基づいて、所定のトナー画像が形成される。
【0051】
搬送路Lを介して感光体ドラム2により形成される転写ニップNに搬送された用紙Tには、画像情報に基づいて原稿Gの画像と同じ画像が転写される。画像が形成された用紙Tは、排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
【0052】
次に、原稿搬送部107について詳述する。
図6に示すように、原稿搬送部107は、搬送機構筐体701と、原稿載置部710と、原稿集積部720と、中間トレイ730とを備える。
【0053】
搬送機構筐体701は、原稿搬送部107における搬送機構が収納された筐体である。
原稿載置部710は、画像が読み取られる前の原稿Gが載置される部分である。
原稿集積部720は、原稿載置部710の垂直方向下側に位置し、所定の画像読取位置Jを通過した原稿Gが集積される部分である。原稿集積部720は、閉状態において画像読取部120を覆う読取部カバー部材としても機能する。
【0054】
中間トレイ730は、原稿載置部710と原稿集積部720との間に配置され、原稿載置部710と原稿集積部720との間の空間Kを原稿集積部720側の第1空間K1と原稿載置部710側の第2空間K2とに仕切るトレイである。
【0055】
図1及び図6に示すように、原稿載置部710は、載置部トレイ711と、原稿押さえ部712と、トレイ支持壁715と、待機部713と、分離壁714とを備える。
【0056】
載置部トレイ711の載置面(上面)における基端側(原稿搬送部107側)には、一対の原稿押さえ部712が設けられる。一対の原稿押さえ部712は、原稿Gの幅に応じて、載置部トレイ711の幅方向(原稿搬送部107の左右方向)に相対的に接近又は離間自在にスライド可能に配置される。
【0057】
トレイ支持壁715は、載置部トレイ711を支持する壁部である。トレイ支持壁715は、載置部トレイ711の基端部側(原稿搬送部107側)に設けられる。
トレイ支持壁715は、原稿搬送部107の左側(図6における手前側)の左支持壁715aと、原稿搬送部107の右側(図6における奥側)の右支持壁715bとを備える。左支持壁715a及び右支持壁715bは、垂直方向に延びる板状の部材である。
【0058】
待機部713は、搬送機構筐体701の内部に設けられており、原稿Gの搬送方向に沿ってほぼ水平方向に延びるように形成される。待機部713の上面には、原稿Gの前端部(給送方向Cにおける下流側の端部)が配置される。
分離壁714は、待機部713における給送方向Cの下流側に配置され、給送方向Cの下流側に向かうに従って垂直方向上側に向かうように傾斜した壁部である。
原稿載置部710に載置された原稿Gは、前端部が分離壁714に突き当たることにより待機部713において待機状態となる。そして、待機部713において積層した状態で待機している原稿Gは、前端部が分離壁714を乗り越えることで良好に分離される(捌かれる)。
【0059】
図6に示すように、搬送機構筐体701には、第1原稿排出部702と、第2原稿排出部703と、第1搬送手段と、第2搬送手段と、第3搬送手段とが設けられている。
【0060】
第1原稿排出部702は、第1空間K1に臨み、原稿Gを第1空間K1に向けて排出する部分である。
第2原稿排出部703は、第2空間K2に臨み、原稿Gの一部分を第2空間K2に向けて排出する部分である。
第1搬送手段は、原稿載置部710に載置された原稿Gを画像読取位置Jに搬送する手段である。
第2搬送手段は、画像読取位置Jに位置する原稿Gを第1原稿排出部702に搬送する手段である。
第3搬送手段は、画像読取位置Jに位置する原稿Gを、第2空間K2を利用してスイッチバックさせると共に表裏反転させて画像読取位置Jに再度搬送する手段である。
【0061】
第1搬送手段は、ピックアップローラ741と、給送ローラ742と、分離パッド743と、読み取り前ローラ対745を有して構成される。
【0062】
ピックアップローラ741は、原稿Gから離間したホームポジションと、原稿Gの表面に軽く当接するピックアップポジションとに移動可能に構成される。ピックアップローラ741は、回転駆動されると、ホームポジションからピックアップポジションに移動するように構成される。ピックアップローラ741は、原稿Gを給送した後、ピックアップポジションからホームポジションに戻るように構成される。
【0063】
給送ローラ742は、分離パッド743に当接可能に構成される。
【0064】
読み取り前ローラ対745は、画像読取位置Jの給送方向Cにおける上流側に配置される。読み取り前ローラ対745は、給送ローラ742により給送された原稿Gを挟持しながら画像読取位置Jに向けて搬送する。
【0065】
画像読取位置Jの垂直方向上側には、原稿ガイド746が配置される。原稿ガイド746は、画像読取位置Jにおいて、原稿Gの搬送経路を形成するため、透過部材122との間に微小間隙を介して対向配置される。
【0066】
搬送機構筐体701における画像読取位置Jに対応する部分(垂直方向下側)は開放されている。これにより、原稿G(被読取画像が形成された面)は、画像読取位置Jを通過する際に画像読取部120における読取面を構成する透過部材122に対向して配置される。
【0067】
第1原稿排出部702には第1排出ローラ対753が配置される。第1排出ローラ対753は、第1排出ローラ対753に搬送されてきた原稿Gを、第1空間K1に排出する。
【0068】
第2原稿排出部703には第2排出ローラ対754が配置される。第2排出ローラ対754は、第2排出ローラ対754に搬送されてきた原稿Gを、第2空間K2に排出する。
【0069】
第2搬送手段は、読み取り後ローラ対751と、切換部材752と、第1排出ローラ対753を含んで構成される。第2搬送手段は、画像読取位置Jに位置する原稿Gを第1原稿排出部702に搬送する。
【0070】
読み取り後ローラ対751は、画像読取位置Jから搬送される原稿Gを、給送方向Cにおける下流側(切換部材752側)に搬送する。
【0071】
切換部材752は、読み取り後ローラ対751の給送方向Cにおける下流側であって、第1排出ローラ対753又は第2排出ローラ対754より上流側に配設される。
切換部材752は、読み取り後ローラ対751から搬送された原稿Gを第1原稿排出部702(第1排出ローラ対753)側にガイドする第1位置と、第2原稿排出部703(第2排出ローラ対754)側にガイドする第2位置とに切り替え(揺動)可能に配置される。
【0072】
第3搬送手段は、読み取り後ローラ対751と、切換部材752と、第2排出ローラ対754を含んで構成される。第3搬送手段は、画像読取位置Jに位置する原稿Gを、第2空間K2を利用してスイッチバックさせると共に表裏反転させて画像読取位置Jに再度搬送する。
【0073】
次に、図7から図11により、本発明の特徴部分である開放規制機構500の詳細について説明する。
図8は、図7における第2係合部材520の近傍の拡大図である。図9は、原稿搬送部107が上部筐体106に対して閉じた状態における第2係合部材520の近傍を透視して示す斜視図である。図10は、第2係合部材520が上向きに押された状態における第2係合部材520の近傍を透視して示す斜視図である。図11は、第2係合部材520と第1係合部材510との係合動作を示す模式図で、(A)は係合した状態を示す図、(B)は係合が解除した状態を示す図である。
【0074】
原稿集積部720は、原稿搬送部107において読取部カバー部材としても機能する部位であり、図7に示すように、一対の上側第3連結部106cにより上部筐体106に対して開閉自在に連結される。一対の上側第3連結部106cは、原稿集積部720の幅方向(原稿の搬送方向)の両側部に配置される。上側第3連結部106cの開閉軸106c1は、本体側筐体104に対して上部筐体106を開閉自在に連結する下側第1連結部106aの開閉軸106a1(図2参照)と平行となっている。図2及び図3に示すように、原稿集積部720の開閉方向と上部筐体106の開閉方向とは同じ方向である。
【0075】
開放規制機構500は、上部筐体106及び原稿搬送部107の幅方向の一方の側部側における上側第3連結部106cよりも幅方向の外側に設けられる。図7から図11に示すように、開放規制機構500は、第1係合部材510と、第1係合部材510に係合可能な第2係合部材520と、を有する。開放規制機構500は、第1係合部材510と第2係合部材520とが係合されることにより、上部筐体106が本体側筐体104に対して開いた状態において、原稿集積部720が上部筐体106に対して開くことを規制する。
【0076】
第1係合部材510(図11参照)は、上部筐体106に設けられている。第1係合部材510は、上部筐体106の上面部に形成された貫通穴501(図7及び図8参照)の下方側(内側)に位置する。図11に示すように、第1係合部材510は、可動側部511と係合爪部512とを有する。可動側部511は、その下端部側を支点にして、上部筐体106に対して揺動(回動)可能な部位である。係合爪部512は、可動側部511の上端部に一体的に形成されている。係合爪部512は、可動側部511の揺動により、第2係合部材520の係合部521に対して係合及び係合解除が可能なフック状の部位である。
【0077】
第2係合部材520は、上部筐体106側に突出するように原稿集積部720に設けられる。図9及び図10に示すように、第2係合部材520は、原稿集積部720に固定されているマウント522に、回動自在に連結されている。マウント522は、底板部522aと、底板部522aの両側で折り曲がって上方へ立ち上がる一対の側板部522bと、からなる。
【0078】
第2係合部材520は、回動軸525を介して回動可能に支持されている。回動軸525は、マウント522の一対の側板部522bの間に亘って掛け渡されている。第2係合部材520は、軸側部分523と係合側部分524とを有する。軸側部分523は、自然状態において底板部522aに沿って延びている。係合側部分524は、軸側部分523に略直交しており、マウント522の底板部522aに形成された貫通孔522cを通して、下方の上部筐体106側に突出するように延びている。
【0079】
第2係合部材520の係合側部分524は、第1係合部材510の係合爪部512に係合する係合部521を有する。係合部521は、図11に示すように、係合側部分524の一側面側から他側面側に向けて凹んだ凹部からなる。
なお、係合部521は、凹部に制限されず、例えば、係合側部分524の一側面側から他側面側に貫通した貫通孔から形成することができる。
【0080】
回動軸525は、第2係合部材520の軸側部分523を回動可能に支持する軸である。回動軸525には、つる巻きばね526が巻き付けられている。つる巻きばね526の一端部526aは、原稿集積部720側の定位置に係止されて固定される。また、つる巻きばね526の他端部526bは、第2係合部材520の軸側部分523に当接される。これによって、第2係合部材520は、係合部521を含む係合側部分524が原稿集積部720から上部筐体106側に向けて突出するように、つる巻きばね526により付勢されている。また、第2係合部材520は、回動軸525の回りに回動することにより、上部筐体106から原稿集積部720側に向けて移動可能に構成されている。
【0081】
次に、開放規制機構500の動作について説明する。
原稿搬送部107が上部筐体106に対して閉状態となり、且つ、上部筐体106が本体側筐体104に対して閉状態となる図1に示す状態においては、開放規制機構500における第2係合部材520の係合側部分524は、つる巻きばね526の付勢力により、回動軸525の回りに回動され、図9に示すように、原稿集積部720から上部筐体106側に向けて突出している。
【0082】
そして、上部筐体106側に向けて突出する係合側部分524における係合部521は、図11(A)に示すように、上部筐体106に設けられる第1係合部材510の係合爪部512に係合される。このように第2係合部材520と第1係合部材510とが係合されることにより、図1に示す状態から、図2に示すように、上部筐体106を本体側筐体104に対して開く途中及び開いた状態において、原稿搬送部107の原稿集積部720が上部筐体106に対して開くことを規制(防止)することが可能である。
【0083】
また、図11(B)に示すように、開放規制機構500における第1係合部材510の可動側部511を外方へ回動(揺動)させて、第1係合部材510の係合爪部512と第2係合部材520の係合部521との係合を解除することができる。これにより、上部筐体106が本体側筐体104に対して閉じた状態の図1に示す状態において、原稿搬送部107の原稿集積部720を上部筐体106に対して開閉することが可能である。
【0084】
原稿搬送部107の原稿集積部720を上部筐体106に対して開閉するときには、第2係合部材520の係合側部分524は上部筐体106側に突出している。そのため、突出した第2係合部材520の係合側部分524がユーザの手に接触したり、係合側部分524の突出側の端部と上部筐体106の上面部との間にユーザの指を挟んだりする虞がある。しかし、このようなことが仮に起こったとしても、図10に示すように、第2係合部材520は、つる巻きばね526の付勢力に抗して回動軸525の回りに回動し、原稿集積部720側に向けて移動して、マウント522の内側に収納される。したがって、第2係合部材520によってユーザが手や指を怪我する虞を低減することができる。
【0085】
第1実施形態のコピー機1によれば、例えば、次の効果が奏される。
第1実施形態のコピー機1においては、上部筐体106が本体側筐体104に対して開いた状態において原稿集積部720が上部筐体106に対して開くことを規制する開放規制機構500は、上部筐体106に設けられた第1係合部材510と、上部筐体106側に突出するように原稿集積部720に設けられ且つ第1係合部材510に係合可能な第2係合部材520と、を有する。第2係合部材520は、原稿集積部720から上部筐体106側に向けて突出するように付勢されていると共に、上部筐体106から原稿集積部720側に向けて移動可能に構成される。
【0086】
そのため、上部筐体106に対して原稿集積部720を開閉する場合において、原稿集積部720から上部筐体106側に突出している第2係合部材520にユーザの手や指が接触したとしても、第2係合部材520は、その突出に寄与する付勢力に抗して回動軸525の回りに回動して原稿集積部720側に移動する。これにより、接触に関わる力は、吸収されて緩和されることになる。従って、ユーザが手や指に怪我を負う虞を十分に低減することができる。
【0087】
次に、図12により、本発明の第2実施形態について説明する。図12は、第2実施形態に係るコピー機1における第2係合部材520の構成を示す拡大右側面図で、(A)は自然状態を示す図、(B)は上向きに押圧された状態を示す図である。
【0088】
第2実施形態の開放規制機構500は、第1実施形態の開放規制機構500に比べて、第2係合部材520の構成が主に異なる。第2実施形態については、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。第2実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用又は採用される。
【0089】
図12に示すように、第2実施形態における第2係合部材520は、回動軸525を含む軸側部分523と、係合部521を有する係合側部分524と、を備える。係合部521は、第1係合部材510におけるフック状の係合爪部512と係合する。係合側部分524は、軸側部分523の先端寄りの位置において、軸側部分523に対して別の回動軸530の回りに回動可能に支持されている。
【0090】
第1実施形態と同様に、回動軸525に巻き付けられたつる巻きばね526により、係合部521を含む係合側部分524は、原稿集積部720から上部筐体106側に向けて突出するように付勢されている。
【0091】
また、軸側部分523の先端寄りに位置する別の回動軸530には、別のつる巻きばね531が巻き付けられている。別のつる巻きばね531は、つる巻きばね526の付勢力よりも小さい付勢力が生じるように設定されている。別のつる巻きばね531の一端部531aは、原稿集積部720側の定位置に係止されて固定される。別のつる巻きばね531の他端部531bは係合側部分524に当接される。これによって、係合側部分524は、図12(A)に示すように、軸側部分523に対して略直交する姿勢で原稿集積部720から上部筐体106側に向けて突出するように付勢されている。係合側部分524は、回動軸530の回りに回動することにより、図12(B)に示すように、軸側部分523に対して略一直線状の姿勢になるように回動自在に構成されている。
【0092】
第2実施形態の開放規制機構500によれば、例えば、次のような効果が奏される。
第2実施形態の開放規制機構500においては、第2係合部材520の係合側部分524は、軸側部分523に対して回動自在に構成されている。
そのため、第2実施形態の開放規制機構500によれば、上部筐体106に対して原稿集積部720を開閉する場合において、原稿集積部720から上部筐体106側に突出している第2係合部材520にユーザの手や指が接触したときには、第2係合部材520の係合側部分524のみが、軸側部分523に対して付勢力の小さいつる巻きばね531の付勢力に抗して回動軸530の回りに回動して、接触に関わる力を吸収して緩和することになる。つまり、ユーザの手や指が係合側部分524に軽い力で接触しただけで、係合側部分524は、マウント522の内側に収納される。従って、ユーザが手や指に怪我を負う虞を一層効果的に低減することができる。
【0093】
続いて、図13及び図14により、本発明の第3実施形態について説明する。図13は、第3実施形態に係るコピー機1における第2係合部材520の構成を示す図で、(A)は拡大斜視図、(B)は拡大右側面図である。図14は、図13に示す第2係合部材520が上向きに押圧されたときにおける動作を示す右側面図で、(A)は直下方から力が作用した場合の動作状態を示す図、(B)は斜め左下方から力が作用した場合の動作状態を示す図、(C)は斜め右下方から力が作用した場合の動作状態を示す図である。
【0094】
第3実施形態の開放規制機構500は、第1実施形態の開放規制機構500に比べて、第2係合部材520の構成が異なる。第3実施形態については、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。第3実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用又は採用される。
【0095】
図13(A)及び(B)に示すように、第3実施形態における第2係合部材520は、係合側部分524と、付勢部材としてのコイルスプリング540と、一対の第1延出部541と、一対の第2延出部542と、第2延出部移動規制部543と、を備える。係合側部分524は、第1係合部材510におけるフック状の係合爪部512と係合する係合部521を有する。
【0096】
コイルスプリング540は、係合側部分524をその先端部524a側に向けて直線的に付勢する。一対の第1延出部541は、係合側部分524の基端部524bから左右に延出している。一対の第2延出部542は、一対の第1延出部541それぞれの延出側の端部近傍から第1延出部541に直交する方向に向けて延出している。第2延出部移動規制部543は、一対の第2延出部542それぞれに対応して設けられている。第2延出部移動規制部543は、上方側に開放しており、また、第1延出部541と接触しないように欠けた形状を有する。第2延出部移動規制部543は、一対の第2延出部542をそれぞれ受け止めて、コイルスプリング540の付勢力による一対の第2延出部542の移動を規制するように構成されている。
【0097】
上述のような構成の開放規制機構500においては、上部筐体106に対して原稿集積部720を開閉する場合において、原稿集積部720から上部筐体106側に突出している係合側部分524における先端部524aにユーザの手や指が接触して、係合側部分524が直上方に向けて押圧されたときには、図14(A)に示すように、係合側部分524は、コイルスプリング540の付勢力に抗して基端部524bの側へ直線的に移動する。これにより、係合側部分524は、原稿集積部720の側に退避(収納)された状態になる。
【0098】
また、係合側部分524の先端部にユーザの手や指が接触して係合側部分524が斜め左下方から押圧された場合には、図14(B)に示すように、係合側部分524は、一方(右側)の第2延出部542を支点として時計回りに回転されて、原稿集積部720の側に退避(収納)された状態になる。
また、係合側部分524の先端部にユーザの手や指が接触して係合側部分524が斜め右下方から押圧された場合は、図14(C)に示すように、係合側部分524は、一方(左側)の第2延出部542を支点として反時計回りに回転されて、原稿集積部720の側に退避(収納)された状態になる。
【0099】
第3実施形態の開放規制機構500によれば、例えば、次のような効果が奏される。
第3実施形態の開放規制機構500においては、第2係合部材520は、第1係合部材510と係合する係合部521を有する係合側部分524と、係合側部分524を係合側部分524の先端部524a側に向けて付勢するコイルスプリング540と、係合側部分524から延出する一対の第1延出部541と、一対の第1延出部541それぞれから延出する一対の第2延出部542と、一対の第2延出部542それぞれに対応して設けられ一対の第2延出部542をそれぞれ受け止めてコイルスプリング540の付勢力による一対の第2延出部542の移動を規制する第2延出部移動規制部543と、を備えており、係合側部分524が押圧されると、係合側部分524の基端部524b側への移動又は一対の第2延出部542のうちの一方若しくは他方を支点とする回転を行うように構成されている。
【0100】
そのため、第3実施形態の開放規制機構500によれば、上部筐体106に対して原稿集積部720を開閉する場合において、原稿集積部720から上部筐体106の側に突出している第2係合部材520にユーザの手や指が接触して、第2係合部材520の係合側部分524が下方から押圧されたときに、第2係合部材520は、係合側部分524の基端部524b側へ移動する。同様に、第2係合部材520の係合側部分524が斜め左下方又は斜め右下方から押圧されたときに、第2係合部材520は、一対の第2延出部542の一方又は他方を支点として回転する。このようにして、係合側部分524に作用する押圧力、つまり、ユーザの手や指に働く力を吸収して緩和することが可能である。従って、ユーザが手や指が第2係合部材520に様々な方向から接触したとしても、手や指に怪我を負う虞を効果的に低減することができる。
【0101】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した各実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
例えば、各実施形態においては、読取部カバー部材は、原稿Gを画像読取部120における画像読取位置Jへ搬送する原稿搬送部107の一部を構成する原稿集積部720から構成されているが、これに制限されない。例えば、読取部カバー部材は、原稿搬送部107を構成しない単なるカバー部材から構成することができる。
【0102】
第1及び第2実施形態においては、第2係合部材520は、回動することにより、上部筐体106から原稿集積部720側に向けて移動可能に構成されているが、これに制限されない。例えば、第2係合部材520は、上部筐体106から原稿集積部720側に向けて直線的に移動可能に構成されていてもよい。
画像形成装置としてモノクロのコピー機1について説明しているが、これに限定されず、カラーコピー機、プリンタ、ファクシミリ又はこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0103】
1……コピー機(画像形成装置)、104……本体側筐体、106……上部筐体(第1上部筐体)、106a1……開閉軸、106c1……開閉軸、107……原稿搬送部、120……画像読取部、500……開放規制機構、510……第1係合部材、520……第2係合部材、521……係合部、523……軸側部分、524……係合側部分、524a……先端部、524b……基端部、525……回動軸、526……つる巻きばね、540……コイルスプリング(付勢部材)、541……第1延出部、542……第2延出部、543……第2延出部移動規制部、720……原稿集積部(読取部カバー部材、第2上部筐体)、G……原稿、GK……画像形成部、J……画像読取位置、T……用紙(シート)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部を有する本体側筐体と、
前記本体側筐体の上部に開閉自在に配置される第1上部筐体と、
前記第1上部筐体の上部に開閉自在に配置される第2上部筐体と、
前記第1上部筐体が前記本体側筐体に対して開いた状態において前記第2上部筐体が前記第1上部筐体に対して開くことを規制する開放規制機構と、を備える画像形成装置であって、
前記開放規制機構は、前記第1上部筐体に設けられた第1係合部材と、前記第1上部筐体側に突出するように前記第2上部筐体に設けられ且つ前記第1係合部材に係合可能な第2係合部材と、を有し、前記第1係合部材と前記第2係合部材とが係合されることにより前記第2上部筐体が前記第1上部筐体に対して開くことを規制し、
前記第2係合部材は、前記第2上部筐体から前記第1上部筐体側に向けて突出するように付勢されていると共に、前記第1上部筐体から前記第2上部筐体側に向けて移動可能に構成され、
前記第2係合部材は、その回動軸を含む軸側部分と、前記第1係合部材と係合する係合部を有する係合側部分と、を備え、
前記係合側部分は、前記軸側部分に対して回動自在に構成される
画像形成装置。
【請求項2】
前記第2係合部材は、回動することにより移動する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2上部筐体の開閉軸と前記第1上部筐体の開閉軸とは平行である
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2上部筐体の開閉方向と前記第1上部筐体の開閉方向とは同じである
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2上部筐体を前記第1上部筐体に対して開閉自在に連結する連結部を更に備え、
前記開放規制機構は、前記第1上部筐体及び前記第2上部筐体における、前記第1上部筐体及び前記第2上部筐体における一端部と、前記連結部との間に配置される
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2係合部材は、前記第1係合部材と係合する係合部を有する係合側部分と、該係合側部分を該係合側部分の先端部側に向けて付勢する付勢部材と、前記係合側部分から延出する一対の第1延出部と、該一対の第1延出部それぞれから延出する一対の第2延出部と、該一対の第2延出部それぞれに対応して設けられ該一対の第2延出部をそれぞれ受け止めて前記付勢部材の付勢力による該一対の第2延出部の移動を規制する第2延出部移動規制部と、を備えており、前記係合側部分が押圧されると、該係合側部分の基端部側への移動又は前記一対の第2延出部のうちの一方若しくは他方を支点とする回転を行うように構成される
請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部を有する本体側筐体と、
前記本体側筐体の上部に開閉自在に配置される第1上部筐体と、
前記第1上部筐体の上部に開閉自在に配置される第2上部筐体と、
前記第1上部筐体が前記本体側筐体に対して開いた状態において前記第2上部筐体が前記第1上部筐体に対して開くことを規制する開放規制機構と、を備える画像形成装置であって、
前記開放規制機構は、前記第1上部筐体に設けられた第1係合部材と、前記第1上部筐体側に突出するように前記第2上部筐体に設けられ且つ前記第1係合部材に係合可能な第2係合部材と、を有し、前記第1係合部材と前記第2係合部材とが係合されることにより前記第2上部筐体が前記第1上部筐体に対して開くことを規制し、
前記第2係合部材は、前記第2上部筐体から前記第1上部筐体側に向けて突出するように付勢されていると共に、前記第1上部筐体から前記第2上部筐体側に向けて移動可能に構成され、
前記第2係合部材は、その回動軸を含む軸側部分と、前記第1係合部材と係合する係合部を有する係合側部分と、を備え、
前記係合側部分は、前記軸側部分に対して回動自在に構成される
画像形成装置。
【請求項2】
前記第2係合部材は、回動することにより移動する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2上部筐体の開閉軸と前記第1上部筐体の開閉軸とは平行である
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2上部筐体の開閉方向と前記第1上部筐体の開閉方向とは同じである
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2上部筐体を前記第1上部筐体に対して開閉自在に連結する連結部を更に備え、
前記開放規制機構は、前記第1上部筐体及び前記第2上部筐体における、前記第1上部筐体及び前記第2上部筐体における一端部と、前記連結部との間に配置される
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2係合部材は、前記第1係合部材と係合する係合部を有する係合側部分と、該係合側部分を該係合側部分の先端部側に向けて付勢する付勢部材と、前記係合側部分から延出する一対の第1延出部と、該一対の第1延出部それぞれから延出する一対の第2延出部と、該一対の第2延出部それぞれに対応して設けられ該一対の第2延出部をそれぞれ受け止めて前記付勢部材の付勢力による該一対の第2延出部の移動を規制する第2延出部移動規制部と、を備えており、前記係合側部分が押圧されると、該係合側部分の基端部側への移動又は前記一対の第2延出部のうちの一方若しくは他方を支点とする回転を行うように構成される
請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−77040(P2013−77040A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−18538(P2013−18538)
【出願日】平成25年2月1日(2013.2.1)
【分割の表示】特願2010−162140(P2010−162140)の分割
【原出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年2月1日(2013.2.1)
【分割の表示】特願2010−162140(P2010−162140)の分割
【原出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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