説明

画像形成装置

【課題】ユーザー認証が行われない場合であっても、記憶媒体の取り外し忘れによるデータの漏洩を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置としての複合機1は、ユーザー認証によるログインを必要とせずに使用可能な状態になるものであり、USBメモリー2が装着されるUSBポート21と、USBポート21に装着されたUSBメモリー2から読み出されるデータが格納されるデータ格納部17と、USBポート21にUSBメモリー2が装着された場合に、USBメモリー2に記憶されたデータを格納すべき格納領域をデータ格納部17に確保し、パスワードの有無により格納領域に格納されるデータの保護を行うか否かを制御するCPU11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンター、複写機、複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プリンター、複写機、複合機等の画像形成装置は、付加価値を高めるべく多機能化が図られているものが多い。近年では、USB(Universal Serial Bus)メモリー、SD(Secure Digital)カード等の着脱可能な記憶媒体との間で各種データの授受が可能な機能を備える画像形成装置も開発されている。このような画像形成装置では、記憶媒体に記憶された画像ファイル、ドキュメントファイル等の電子ファイルのプリントアウトや、画像形成装置が備えるスキャン機能によって読み取られた原稿画像等の画像ファイルを記憶媒体に記録することが可能である。
【0003】
しかしながら、このような画像形成装置では、ユーザーが画像形成装置に装着した記憶媒体を作業終了後に取り外すのを忘れてしまう事態が生ずる。とりわけ、画像形成装置に記憶媒体を装着してから長時間の作業を行った場合に、記憶媒体の取り外し忘れが生ずる可能性が高くなる。すると、画像形成装置に装着されたままの記憶媒体はユーザー以外の第三者が入手可能な状態になるため、記憶媒体に記憶された各種のデータが漏洩する虞が考えられる。
【0004】
以下の特許文献1,2には、ユーザーが記憶媒体の取り外しを忘れた場合であってもデータの漏洩を防止し得る技術が開示されている。具体的に、以下の特許文献1には、USBメモリーが挿入された場合にUSBメモリー内のデータを複合機の記憶装置に転送(移動)し、その後、ユーザー認証に成功した場合に複合機の記憶装置に記憶されたデータをUSBメモリーに戻すことを可能にすることでデータの漏洩を防止する技術が開示されている。また、以下の特許文献2には、コピー機や複合機等の情報処理装置において、外部メモリー内のデータを第三者は複号化できないが持ち主であれば復号し得るように暗号化することで、データの漏洩を防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−284286号公報
【特許文献2】特開2009−282789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の特許文献1に開示された技術は、ユーザー認証によるログイン後に使用可能な状態になる複合機を対象とするものであり、ログイン後にUSBメモリーが複合機に挿入された時点で複合機へのデータ転送を行うことによりデータの漏洩を防止するものである。しかしながら、ユーザー認証は全ての画像形成装置で行われるという訳ではなく、ユーザー認証を行わずに不特定の者に使用されることを前提とする画像形成装置も存在する。
【0007】
このような不特定の者に使用されることを前提とする画像形成装置では、上述の特許文献1のように、USBメモリーから複合機へのデータ転送が行われることはない。このため、ユーザーがUSBメモリーの取り外しを忘れてしまうと、データの漏洩を防止することができないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザー認証が行われない場合であっても、記憶媒体の取り外し忘れによるデータの漏洩を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、ユーザー認証によるログインを必要とせずに使用可能な状態になる画像形成装置において、着脱自在な記憶媒体が装着される装着部と、前記装着部に装着された記憶媒体から読み出されるデータが格納される格納部と、前記装着部に前記記憶媒体が装着された場合に、前記記憶媒体に記憶されたデータを格納すべき格納領域を前記格納部に確保し、パスワードの有無により前記格納領域に格納されるデータの保護を行うか否かを制御する制御部とを備えることを特徴としている。
また、本発明の画像形成装置は、ユーザーの指示が入力される入力部を備えており、前記制御部は、前記入力部から前記パスワードの入力があった場合に、前記格納領域に格納されるデータの保護を行うことを特徴としている。
また、本発明の画像形成装置は、前記制御部が、前記入力部から前記パスワードが入力されてから予め設定された第1時間が経過した場合、或いは、前記入力部から特定操作指示が入力されてから予め設定された第2時間が経過した場合に、前記装着部に装着されている記憶媒体に記憶されているデータを前記格納領域に格納する制御を行うことを特徴としている。
また、本発明の画像形成装置は、前記制御部が、前記記憶媒体に記憶されているデータを前記格納領域に格納する制御を行った後に、前記入力部から前記パスワードが入力された場合には、前記パスワードによって保護されている格納領域のデータを前記記憶媒体に転送すべきか否かを確認するメッセージを表示部に表示する制御を行うことを特徴としている。
また、本発明の画像形成装置は、前記制御部が、前記入力部からデータ転送指示が入力された場合に、前記パスワードによって保護されている格納領域のデータを前記記憶媒体に転送する制御を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、記憶媒体が装着部に装着された場合に、記憶媒体に記憶されたデータを格納すべき格納領域を格納部に確保し、パスワードの有無により格納領域に格納されるデータの保護を行うか否かを制御するようにしているため、ユーザー認証が行われない場合であっても、記憶媒体の取り外し忘れによるデータの漏洩を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による画像形成装置としての複合機の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による画像形成装置としての複合機の要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態における複合機で行われる動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態における複合機で行われる動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による画像形成装置について詳細に説明する。尚、以下では、画像形成装置が複合機である場合を例に挙げて説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による画像形成装置としての複合機の斜視図である。図1に示す通り、複合機1は、本体部1a、スキャナー部1b、及び操作表示パネル1c等を備えており、コピー機能、プリント機能、ファクシミリ送信/受信機能を併せ持っている。この複合機1は、ユーザー認証によるログインを必要とせずに以上の各機能の使用が可能な状態になるものである。
【0014】
また、複合機1は、不揮発性メモリーの一種であるUSBメモリー2(記憶媒体)が装着されてUSBメモリー2に対する各種データの授受が可能に構成されている。このUSBメモリー2には、例えばスキャナー部1bで読み取りを行った原稿画像等の画像ファイル、本体部1aで印刷しようとする画像の画像ファイル、或いは、複合機1で用いられる各種プログラムを更新するための更新プログラム等が記憶される。尚、複合機1に対するUSBメモリー2の着脱は、複合機1を使用するユーザーや複合機1のメンテナンスを行う作業者によって行われる。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態による画像形成装置としての複合機の要部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、複合機1は、CPU(Central Processing Unit)11(制御部)、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、各種センサー群14、用紙搬送部15、画像読取部16、データ格納部17(格納部)、画像形成部18、通信I/F部19、操作表示部20(入力部、表示部)、及びUSBポート21(装着部)を備える。
【0016】
CPU11は、ROM12に記憶されている制御プログラムに基づき、各種センサー群14から出力される各種検出信号を参照しつつ、操作表示部20から入力される操作指示、又は通信I/F部19を介して入力されるクライアントコンピュータ(図示省略)等からの各種指示に応じて複合機1の動作を制御する。例えば、画像読取部16による画像データの読み取り制御、或いは、データ格納部17に記憶されている原稿画像データ、プリント画像データ、及びファクシミリ画像データ等の各種画像データのプリント制御や送信制御を行う。
【0017】
また、CPU11は、パスワードの有無に応じてUBSポート21に装着されたUSBメモリー2に記憶されたデータを保護するか否かの制御を行う。具体的には、USBメモリー2がUSBポート21に装着された場合に、USBメモリー2に格納されたデータを格納すべき格納領域(データボックスR1又はR2)をデータ格納部17に確保し、パスワードの有無により格納領域に格納されるデータの保護を行うか否かを制御する
【0018】
ここで、CPU11は、USBメモリー2に記憶されたデータを保護する場合(操作表示部20からパスワードが入力された場合)には、所定の時間が経過したときに、USBメモリー2に記憶されているデータをデータ格納部17に確保した格納領域(データボックスR2)に格納してUSBメモリー2から消去する制御を行う。ここで、上記の所定の時間が経過した場合とは、操作表示部20からパスワードが入力されてから(仮ログインが行われてから)予め設定されたログオフ時間(第1時間)が経過した場合、或いは、操作表示部20から特定操作指示(例えば、仮ログインの解除を指示するリセットキーの押下)が入力されてから予め設定されたUSBメモリー2の取り外し待ち時間(第2時間)が経過した場合である。尚、上記のログオフ時間は、例えば5分程度の時間に設定され、上記のUSBメモリー2の取り外し待ち時間は、例えば数分程度の時間に設定される。
【0019】
また、CPU11は、USBメモリー2に記憶されたデータをデータ格納部17に確保した格納領域に格納する制御を行った後に、先に入力されたパスワードと同じパスワードが入力された場合には、そのパスワードによって保護されている格納領域にデータが格納されているか否かを確認する。そして、データが格納されているときには、その格納領域に格納されたデータをUSBメモリー2に転送して格納領域から消去する制御を行う。以上の制御を行うのは、ユーザー認証が行われない場合であっても、ユーザーがUSBメモリー2の取り外し忘れによるデータの漏洩を防止するためである。
【0020】
ROM12は、CPU11で実行される制御プログラム及びその他のデータを記憶するEEPROM等の不揮発性メモリーである。RAM13は、CPU11が制御プログラムを実行して各種動作を行う際に、データの一時保存先となるワーキングエリアとして用いられる揮発性メモリーである。各種センサー群14は、用紙切れ検出センサー、用紙詰まり検出センサー、用紙位置検出センサー、温度センサー等の画像形成動作に必要な各種センサーであり、それぞれのセンサーで検出した各種の情報を検出信号としてCPU11に出力する。
【0021】
用紙搬送部15は、搬送ローラー、搬送ローラー駆動用のモーター等を備えており、用紙トレイに収納されている印刷用紙を画像形成部18に搬送するとともに、画像形成部18で画像形成処理後が行われた印刷用紙を図示しない排紙トレイに搬送する。画像読取部16は、ADF(自動原稿送り装置)及びCCD(Charge Coupled Device)センサー等を備えており、ADFによって順次給紙される原稿の画像をCCDセンサーに読み取らせ、原稿画像に基づく原稿画像データを出力する。尚、画像読取部16から出力された原稿画像データはCPU11を介してデータ格納部17に記憶される。
【0022】
データ格納部17は、例えばハードディスクドライブによって実現され、CPU11の制御の下で各種データを格納する。このデータ格納部17には、2種類のデータボックスR1,R2(格納領域)が設けられる。データボックスR1は、パスワードによる保護が行われないデータボックスであり、データボックスR2は、パスワードによる保護が行われるデータボックスである。このため、データボックスR1に格納されたデータは何人も参照可能であるが、データボックスR2に格納されたデータは基本的にパスワードを設定したユーザーのみが参照可能である。また、データボックスR2は複数設けることも可能である。
【0023】
データボックスR1には、原稿画像データ、通信I/F部19がクライアントコンピュータ(図示省略)から受信するプリント画像データ、及び通信I/F部19が公衆網(図示省略)から受信するファクシミリ画像データ、USBメモリー2から読み出された像データ等の各種データが格納される。これに対し、データボックスR2には、USBメモリー2から読み出されてパスワードによって保護されるべきデータが格納される。
【0024】
画像形成部18は、CPU11の制御の下で、データ格納部17のデータボックスR1,R2に記憶されている原稿画像データ、プリント画像データ、又はファクシミリ画像データを用いて画像形成処理を行う。具体的には、上記の各種画像データに応じた画像形成画像を用紙搬送部15から搬送される印刷用紙にトナーを用いて転写し、定着ローラーによってその画像形成画像の定着処理を行う。通信I/F部19は、クライアントコンピュータ(図示省略)や公衆網(図示省略)に接続され、このクライアントコンピュータや公衆網との間で各種信号の送受信を行う。
【0025】
操作表示部20は、操作表示パネル1cとしてのタッチパネル20a及び各種操作キーを備えており、操作キーの操作内容をCPU11に出力するとともに、CPU11の制御の下でタッチパネル20aへ種々の情報を表示する。操作表示部20が備える各種操作キーは、例えばコピー機能切替キー、プリント機能切替キー、スキャン機能切替キー、ファクシミリ機能切替キー、スタートキー、ストップ/クリアキー、電源キー、テンキー(数値入力キー)が挙げられる。尚、コピー機能切替キー、プリント機能切替キー、スキャン機能切替キー、及びファクシミリ機能切替キーは、それぞれの機能をユーザーが使用する場合に、各機能の動作モードへ複合機1を切り替える為のキーである。また、タッチパネル20aに各種ボタンを表示することによって、以上の各種キー以外のソフトキーの利用も可能である。
【0026】
USBポート21は、USB規格に対応したシリアルインターフェイスであり、USBメモリー2が装着されることによってUSBメモリー2と電気的に接続される。このUSBポート21は、USBメモリー2と接続されている場合に、CPU11の制御の下で、USBメモリー2との間で各種データを授受する。尚、USBポート21は、USBメモリー2が装着されたか否か、及びUSBメモリー2が取り外されたか否かの検出が共に可能であり、その検出結果をCPU11に出力する。
【0027】
次に、上記構成における複合機1の動作について詳細に説明する。図3,図4は、本発明の一実施形態における複合機で行われる動作を示すフローチャートである。尚、図3は、主にUSBメモリー2から複合機1にデータが転送される場合の動作を示すフローチャートである。これに対し、図4は、主に複合機1からUSBメモリー2にデータが転送される場合の動作を示すフローチャートである。以下、これらの図を参照して複合機1の動作を説明する。
【0028】
〈USBメモリー2から複合機1へのデータ転送時の動作〉
図3に示す処理が開始されると、まず、USBメモリー2がUSBポート21に装着されているか否かがCPU11によって判断される(ステップS11)。USBメモリー2が装着されていないと判断した場合(ステップS11の判断結果が「NO」の場合)には、ユーザーの操作に応じた印刷、読み取り等が行われる(ステップS12)。つまり、複合機1を使用するにはユーザー認証によるログインが必要ではないため、複合機1を操作するユーザーの指示に応じた印刷等が行われる。尚、ステップS12の処理を終えると、図3に示す一連の処理が終了する。
【0029】
これに対し、USBメモリー2が装着されていると判断した場合(ステップS11の判断結果が「YES」の場合)には、CPU11は、操作表示部20からパスワードが入力されたか否かを判断する(ステップS13)。パスワードの入力が行われていないと判断した場合(ステップS13の判断結果が「NO」の場合)には、ユーザーの操作に応じた印刷、読み取り等が行われ(ステップS12)、図3に示す一連の処理が終了する。
【0030】
他方、パスワードの入力が行われたと判断した場合(ステップS13の判断結果が「YES」の場合)には、CPU11は、仮ログイン処理(パスワードの入力を行ったユーザーに対するログインを一時的に許可する処理)を行い、USBメモリー2に記憶されているデータを格納するためのデータボックスR2を入力されたパスワードに関連付けてデータ格納部17に確保する(ステップS14)。そして、CPU11は、予め設定されたログオフ時間(仮ログインが行われた時点からログオフすべき時点までの時間)を計時するタイマー(図示省略)を起動させる(ステップS15)。
【0031】
以上の仮ログイン処理が終了すると、パスワードの入力を行ったユーザーは複合機1を使用することが可能になる。このため、そのユーザーは、例えば操作表示部20を操作して指示を行うことにより、USBメモリー2に格納されたプリント画像データに応じた原稿を複合機1で印刷することができ、或いは、複合機1の画像読取部16で読み取られた原稿画像データをUSBメモリー2に格納することができる(ステップS16)。
【0032】
以上の処理が行われている間に、CPU11は、ユーザーによるログオフ指示(仮ログインの解除指示)がなされたか否かを判断する(ステップS17)。ユーザーによるログオフ指示がなされたと判断した場合(ステップS17の判断結果が「YES」の場合)には、CPU11は、USBメモリー2の取り外しを促すメッセージを操作表示部20に表示する(ステップS18)。例えば、「ログオフします。USBメモリーを取り外して下さい。」等のメッセージを表示する。
【0033】
次いで、CPU11は、USBポート21から出力される検出結果を参照して、USBメモリー2がUSBポート21から取り外されたか否かを判断する(ステップS19)。USBメモリー2がUSBポート21から取り外されたと判断した場合(ステップS19の判断結果が「YES」の場合には、CPU11によるログオフ処理(仮ログインの解除処理)が行われ(ステップS20)、図3に示す一連の処理は終了する。
【0034】
これに対し、USBメモリー2がUSBポート21から取り外されていないと判断した場合(ステップS19の判断結果が「NO」の場合には、CPU11は、ステップS17においてログオフ指示がなされたと判断してからUSBメモリー2の取り外し待ち時間が経過したか否かを判断する(ステップS21)。USBメモリー2の取り外し待ち時間が経過していないと判断した場合(ステップS21の判断結果が「NO」の場合)には、再びUSBメモリー2がUSBポート21から取り外されたか否かが判断される(ステップS19)。
【0035】
これに対し、USBメモリー2の取り外し待ち時間が経過したと判断した場合(ステップS21の判断結果が「YES」の場合)には、USBポート21に装着されたUSBメモリー2に記憶されたデータがCPU11によって読み出され、データ格納部17の入力されたパスワードに関連付けられたデータボックスR2に格納される(ステップS21)。尚、USBメモリー2からはデータが消去される。これにより、USBメモリー2から読み出されたデータは保護されることになる。データ転送が完了すると、CPU11によるログオフ処理が行われ(ステップS20)、図3に示す一連の処理は終了する。
【0036】
また、ステップS17において、ユーザーによるログオフ指示が無いと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、CPU11は、ステップS15で起動したタイマーを参照してログオフ時間が経過したか否かを判断する(ステップS23)。ログオフ時間が経過していないと判断した場合(ステップS23の判断結果が「NO」の場合)には、ステップS16の処理が繰り返される。
【0037】
これに対し、ログオフ時間が経過したと判断した場合(ステップS23の判断結果が「YES」の場合)には、USBポート21に装着されたUSBメモリー2からデータ格納部17のデータボックスR2へのデータ転送が行われ、USBメモリー2からデータが消去される(ステップS22)。データ転送が完了すると、CPU11によるログオフ処理が行われ(ステップS20)、図3に示す一連の処理は終了する。
【0038】
〈複合機1からUSBメモリー2へのデータ転送時の動作〉
図4に示す処理は、図3に示すステップS22の処理によってUSBメモリー2に記憶されたデータが複合機1のデータボックスR2に転送された後に、ユーザーが操作表示部20に設けられたタッチパネル20aを操作することにより開始される。処理が開始されると、まずCPU11は操作表示部20からパスワードが入力されたか否かを判断する(ステップS31)。パスワードの入力が行われていないと判断した場合(ステップS31の判断結果が「NO」の場合)には、図4に示す一連の処理が終了する。
【0039】
これに対し、パスワードの入力が行われたと判断した場合(ステップS31の判断結果が「YES」の場合)には、CPU11は、データ格納部17を検索して、入力されたパスワードで保護されているデータボックスR2を確認し(ステップS32)、データが格納されているか否かを判断する(ステップS33)。データが格納されていないと判断した場合(ステップS33の判断結果が「NO」の場合)には、図4に示す一連の処理は終了する。
【0040】
他方、データが格納されていると判断した場合(ステップS33の判断結果が「YES」の場合)には、CPU11は、データボックスR2からUSBメモリー2へのデータ転送を確認するメッセージを操作表示部20に表示する(ステップS34)。例えば、「データボックスにデータが見つかりました。USBメモリーへ転送しますか?」等のメッセージを表示する。
【0041】
次いで、CPU11は、ユーザーによる転送指示がなされたか否かを判断する(ステップS35)。ユーザーによる転送指示がなされないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、図4に示す一連の処理が終了する。これに対し、ユーザーによる転送指示がなされたと判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、CPU11は、USBポート21から出力される検出結果を参照して、USBメモリー2がUSBポート21に装着されているか否かを判断する(ステップS36)。
【0042】
USBメモリー2が装着されていないと判断した場合(ステップS36の判断結果が「NO」の場合)には、CPU11は、USBメモリー2の装着を促すメッセージを操作表示部20に表示する(ステップS37)。例えば、「USBメモリーへのデータ転送を行います。USBメモリーを装着して下さい。」等のメッセージを表示する。かかるメッセージを表示した後は、再びUSBメモリー2が装着されているか否かを判断する(ステップS36)。
【0043】
USBメモリー2が装着されていると判断した場合(ステップS36の判断結果が「YES」の場合)には、CPU11は、ステップS32で確認したデータボックスR2に格納されているデータを読み出してUSBメモリー2に転送する(ステップS38)。尚、データボックスR2から読み出されたデータは、転送後にデータボックスR2から消去される。以上の処理によって、複合機1に転送されてしまったデータがUSBメモリー2に戻される。
【0044】
以上説明した通り、本実施形態では、USBポート21にUSBメモリー2が装着された場合に、パスワードの入力の有無を確認し、パスワードが入力された場合には、データの保護が行われるデータボックスR2をデータ格納部17に確保している。そして、パスワード入力による仮ログインが行われてから予め設定されたログオフ時間が経過した場合、或いは、仮ログインの解除を指示するリセットキーの押下等の特定操作指示が入力されてから予め設定されたUSBメモリー2の取り外し待ち時間が経過した場合に、USBメモリー2に記憶されたデータを、データ格納部17に確保したデータボックスR2に格納してUSBメモリー2から消去する制御を行っている。このため、本来のユーザー認証が行われない場合であっても、ユーザーがUSBメモリー2の取り外し忘れによるデータの漏洩を防止することができる。
【0045】
以上、本発明の一実施形態による画像形成装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ユーザーが操作表示部20を操作してパスワードを入力する例について説明したが、パスワードが記録された特別なファイルをUSBメモリー2に格納しておき、このファイルをCPU11が読み込むことによってパスワードの入力を行うようにしても良い。
【0046】
また、上記実施形態では、図3に示す通り、USBポート21にUSBメモリー2が装着されてパスワードの入力が行われた後でデータ格納部17にデータボックスR2を確保する例について説明した。しかしながら、USBポート21にUSBメモリー2が装着された時点でデータ格納部17にデータの格納領域を確保し、パスワードの入力の有無に応じて、確保した格納領域をデータボックスR1にするのか或いはデータボックスR2にするのかを制御しても良い。
【0047】
また、上記実施形態では、着脱自在な記憶媒体としてUSBメモリー2を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明で使用可能な媒体はUSBメモリー2に限定されることはなく、SDメモリーカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)、メモリースティック(登録商標)、スマートメディア、フレキシブルディスク、CD‐R、CD‐RW、DVD(登録商標)‐R、DVD‐RW、MOディスク等の各種の媒体であってもよい。また、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置が複合機である場合を例に挙げて説明したが、本発明は、プリンター、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 複合機
2 USBメモリー
11 CPU
17 データ格納部
20 操作表示部
21 USBポート
R2 データボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザー認証によるログインを必要とせずに使用可能な状態になる画像形成装置において、
着脱自在な記憶媒体が装着される装着部と、
前記装着部に装着された記憶媒体から読み出されるデータが格納される格納部と、
前記装着部に前記記憶媒体が装着された場合に、前記記憶媒体に記憶されたデータを格納すべき格納領域を前記格納部に確保し、パスワードの有無により前記格納領域に格納されるデータの保護を行うか否かを制御する制御部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ユーザーの指示が入力される入力部を備えており、
前記制御部は、前記入力部から前記パスワードの入力があった場合に、前記格納領域に格納されるデータの保護を行う
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記入力部から前記パスワードが入力されてから予め設定された第1時間が経過した場合、或いは、前記入力部から特定操作指示が入力されてから予め設定された第2時間が経過した場合に、前記装着部に装着されている記憶媒体に記憶されているデータを前記格納領域に格納する制御を行うことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記記憶媒体に記憶されているデータを前記格納領域に格納する制御を行った後に、前記入力部から前記パスワードが入力された場合には、前記パスワードによって保護されている格納領域のデータを前記記憶媒体に転送すべきか否かを確認するメッセージを表示部に表示する制御を行うことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記入力部からデータ転送指示が入力された場合に、前記パスワードによって保護されている格納領域のデータを前記記憶媒体に転送する制御を行うことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−77941(P2013−77941A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216093(P2011−216093)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】