説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置の操作部の支持に十分な剛性を得ることができるようにし、操作部に掛かる力に対する十分な剛性を得ることを可能にする。
【解決手段】本体構造体2に締結した外装材8によって操作部4の回転中心位置を保持する。外装材8は本体構造体2にネジによって締結し、操作部4の下部に位置し、外装材8に操作部4を取り付けると十分な操作部4の保持力を備え得る。外装材8の上面にはリブ9を設けて、リブ9の高さ寸法により、ブラケット6を囲うブラケット外装材10や操作部4の外装材11に一定の間隔12を空ける。ブラケット外装材10とブラケット6はブラケット6の下面側で互いに接し、想定外の力が操作部4に加わったとき、その力を操作部4からブラケット6、ブラケット外装材10、外装材8と伝え、本体構造体2で受け、ブラケット6などを変形させないようにできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの2つ以上の機能を有する複合機等の画像形成装置に関し、詳細にはそのような画像形成装置が備える操作部の保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、複写機等や複合機と称される画像形成装置には、表示及び操作を行うための操作部が備えられているが、近年の画像形成装置では、例えば車椅子に乗った使用者等にとっても操作がしやすい画像形成装置を提供すべく、操作部の角度を変更する機構を備えたものが存在する。
【0003】
例えば特許文献1には、操作部を左右方向及び上下方向に回動可能に構成することにより、操作面の角度を変更できるようにして、操作部の確認と操作をしやすくし、操作性を向上させた画像形成装置が開示されている。この特許文献1の画像形成装置は、画像読み取り部と画像形成部との間に設けられた排紙収納空間に画像形成後の用紙を排紙する構成(いわゆる胴内排紙方式)が採用されており、操作部は、画像読み取り部の前面側に配置されている。
【0004】
また特許文献2には、筐体内空間の有効活用を図りつつ、操作部の視認性と操作性とを高め得る画像形成装置を提供することを目的として、操作部の操作面を上方へ向けて画像読取部の高さ位置に配置し、操作する側の最大引き出し位置まで水平に引き出した後に、下方へ回動させ、表示/入力ユニットを垂直に起立させる構成が開示されている。そして、この構成で、正面側から表示/入力ユニットの液晶表示部を視認可能になるとともに、低い位置から表示/入力ユニットを通じた設定及び操作ができ、操作部を回動させつつスライドさせる場合に比較して、操作部の引き出し経路下に湾曲面が無い筐体を採用でき、筐体内空間における機器収納効率が高まる、としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の操作部の配置及び保持構成では、ユーザの操作時に十分な剛性を得るには、操作部の下部に本体側の構造体を持つ必要があり、それら本体側の構造体を操作部と連結する必要がある。そのため、例えば回動可能とするためのチルトヒンジを備えた操作部を保持しようとしたとき、
(1)連結部材など、必要部品点数が増加する
(2)保持部材を覆うカバー形状が複雑になり、外観性能が低下する
(3)保持部材周辺に胴内排紙部であるため、胴内部の視認性が低下する
(4)保持部材との締結を外さなければならず、メンテナンス性が悪い
などの問題がある。
【0006】
また身体不自由者のためのリハビリテーション法に対応するため、スキャナ部分を画像形成装置本体から取り外して別体として据え置きする場合などに、操作部の存在のためにスキャナ部が取り外し困難であったり、操作部とスキャナ部を連結していた部分の周辺の外観を考慮したカバーが必要になるなどの問題もある。
【0007】
なお、多くの場合、操作部は他機種にて流用できるため、操作部の保持構造は、できるだけ画像形成装置本体側の構成に変更を与えないものが望ましく、その意味からも操作部と連結部を画像形成装置本体側が持つことは避けたい、とされている。
【0008】
そこで本発明は、画像形成装置の本体構造側との連結部なしに、操作部の保持に十分な剛性を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、スキャナ構造体と本体構造体とを備え、前記スキャナ構造体にアーム状のブラケットを介して操作部を保持させて備える画像形成装置において、前記本体構造体に締結した外装材によって前記操作部の前記ブラケットの回転中心部を保持したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置の操作部の支持に、本体構造体側に取り付けた外装材を用いることで、操作部の保持に十分な剛性を得ることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用可能な画像形成装置の一例の全体構造を概念的に示す断面図
【図2】図1の画像形成装置を構成するスキャナ構造体と本体構造体を示す斜視図
【図3】図1の画像形成装置が備える操作部を示す斜視図
【図4】図2の構造でスキャナ構造体と操作部の関係を示す側面図
【図5】図2の構造でスキャナ構造体と操作部の連結構造を示す側面図
【図6】本発明の一実施形態を示す斜視図(A)と拡大側面図(B)
【図7】本体構造体に締結する外装材の上面部分を示す斜視図
【図8】本発明の一実施形態における操作部とブラケットの構成を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る画像形成装置では、画像形成装置本体側に保持された外装材によって操作部の保持ブラケットを保持することで、画像形成装置の本体構造側に連結部を設けずに操作部の保持に十分な剛性を得るとともに、簡易な構成で操作部の外観性能や周辺の視認性、メンテナンス性を向上させ得る。
【0013】
図1は、本発明を適用可能な画像形成装置の一例の全体構造を概念的に示す断面図である。本例の画像形成装置は、主な構成として、原稿を読み取る読み取りユニット111、画像を形成する画像形成部112、自動原稿搬送装置(ADF)113、ADF113から送り出される原稿をスタックする原稿排紙トレイ114、給紙カセット115〜118を備える給紙部119、記録用紙をスタックする排紙部(排紙トレイ120)を備えている。
【0014】
この装置では、ADF113の原稿台121上に原稿Dをセットして図示せぬ操作部での操作、例えばプリントキーの押下操作をすると、最上位の原稿Dがピックアップローラ122の回転により矢印B1方向へ送り出され、原稿搬送ベルト123の回転により、画像読み取りユニット111に固定されたコンタクトガラス124上へ給送され、そこで停止する。コンタクトガラス124上に載置された原稿Dの画像は、画像形成部112とコンタクトガラス124の間に位置する読み取り装置125によって読み取る。読み取り装置125は、コンタクトガラス124上の原稿Dを照明する光源126、原稿画像を結像する光学系127、原稿画像を結像させるCCD等からなる光電変換素子128等を有している。画像読み取り終了後、原稿Dを原稿搬送ベルト123の回転により矢印B2方向へ搬送して原稿排紙トレイ114上へ排出する。このように、原稿Dを1枚ずつコンタクトガラス124上へ給送して原稿画像を画像読み取りユニット111によって読み取る。
【0015】
一方、画像形成部112の内部には、像担持体である感光体130が配置してある。感光体130は、図において時計方向に回転駆動し、帯電装置131によって表面を所定の電位に帯電させる。また、書込ユニット132からは、読み取り装置125によって読み取った画像情報に応じて光変調したレーザ光Lを照射し、帯電させた感光体130の表面をこのレーザ光Lで露光し、これによって感光体130の表面に静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像装置133を通るとき、対向する転写装置134によって感光体130と転写装置134の間に給送された記録材Pに転写する。トナー像転写後の感光体130の表面は、クリーニング装置135によって清掃する。
【0016】
画像形成部112の下部に配置した複数の給紙カセット115〜118には、紙等の記録材Pを収容してあり、いずれかの給紙カセット115〜118から記録材Pを矢印B3方向へ送り出し、その記録材Pの表面に、上述のように感光体130の表面に形成したトナー像を転写する。次に、記録材Pを矢印B4で示すように画像形成部112内の定着装置140を通し、熱と圧力の作用によって記録材Pの表面に転写されたトナー像を定着させる。136を通った記録材Pを排出ローラ対137によって搬送し、矢印B5で示すように排紙トレイ120へ排出し、スタックする。
【0017】
前記のような画像形成装置において、図2に示すようなスキャナ構造体1と本体構造体2を備える構成であるとき、ユーザが操作する操作部は、一般的には図3に示すように機械前側、すなわちスキャナ構造体1の前面部分3に取り付ける。このような構成において操作部4が回動可能でかつ表示面4aを備えるとき、操作部4を回動可能とするためには、図4に示すようにスキャナ構造体1と操作部4の間に適切な距離の間隔(隙間)5が必要となる。この距離をブラケット6によって橋渡しすることが必要になる。
【0018】
ただし間隔5が大きければ大きいほど、操作部4の保持剛性は小さくなり、それによってユーザの操作感も低下する。そのため、例えば図5に示すように、操作部4と本体構造体2の操作部4の近傍部位7とをブラケット6を介して連結し、それによって保持剛性を高くする構造が考えられるが、
(1)連結部材など、必要部品点数が増加する
(2)保持部材を覆うカバー形状が複雑になり、外観性能が低下する
(3)保持部材周辺に胴内排紙部であるため、胴内部(スキャナ構造体の下側)の視認性が低下する
(4)保持部材との締結を外さなければならず、メンテナンス性が悪くなる
(5)スキャナ分離用に、カバーを用意しなくてはならなくなる
(6)操作部単体を他機種に流用するのが難しくなる
などの理由により、ブラケット6を操作部4の近傍部位7と連結するのはあまり有効とは言えない。
【0019】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
そこで本発明の実施形態では、図6(A)に示すように、本体構造体2と操作部4とを直接に連結するのではなく、本体構造体2に締結した外装材8によって操作部4の回転中心位置を保持する構成としている。なお図示の実施形態では、外装材8は、スキャナ構造体1と本体構造体2の連結部位を覆うように設けてあるが、この形態に限定されず、操作部4の回転中心位置を保持することができるように本体構造体2に取り付け得るものであれば、種々の構造を採用可能である。
【0020】
また本実施形態では、操作部4の下部に位置することになる外装材8は、本体構造体2にネジによって締結してある。そのため外装材8に操作部4を取り付けると十分な操作部4の保持力を備えることになる。
【0021】
また図7に詳細に示すように、外装材8の上面にはリブ9を設けてある。このリブ9は、図示の例ではL字状の平面形状を有するが、操作部4の下面を支えることができる形状であれば、もちろんその他の形状であってもよい。
【0022】
このリブ9の高さ寸法により、ブラケット6を囲うブラケット外装材10や操作部4の外装材11に一定の間隔(あるいは隙間)12を空けて設ける(図6(B)参照)。この間隔10の距離寸法は0であってもよいが、0ではないほうが好ましい。
【0023】
また図8に示すように、ブラケット外装材10とブラケット6はブラケット6の下面側で互いに接するように設けてあり、想定外の力が操作部4に対し下向きに加わったときに、その力を操作部4からブラケット6、ブラケット外装材10、外装材8と伝え、本体構造体2で受ける構成とし、ブラケット6などが変形しないようにしてある。
【0024】
さらに、簡易な構成で操作部4を保持するので、操作部4やその周囲の部分の外観性能や周辺部分の視認性、メンテナンス性を向上させ得る構造となる。
【0025】
なお図示の実施形態では、操作部4の下方向の力のみを受ける構成になっているが、ブラケット外装材10と外装材8とを適宜の掛け止め、すなわち互いに掛かり合うように組み合わせて両者を固定する構成とし、操作部4に上下方向の力が掛かっても、その力によってブラケット6などが変形しないように操作部4を保持する構成としてよい。
【0026】
なお、操作部4を支持する外装材8は、本実施形態のように機種依存形状である本体構造体2に直接取り付けるのではなく、本体構造体2に取り付ける機器に設けることもできる。
【0027】
また本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 :スキャナ構造体
2 :本体構造体
3 :前面部分
4 :操作部
4a :表示面
6 :ブラケット
7 :近傍部位
8 :外装材
9 :リブ
10 :ブラケット外装材
11 :外装材
111 :読み取りユニット
112 :画像形成部
114 :原稿排紙トレイ
115 :給紙カセット
119 :給紙部
120 :排紙トレイ
121 :原稿台
122 :ピックアップローラ
123 :原稿搬送ベルト
124 :コンタクトガラス
125 :読み取り装置
126 :光源
127 :光学系
128 :光電変換素子
130 :感光体
131 :帯電装置
132 :書込ユニット
133 :現像装置
134 :転写装置
135 :クリーニング装置
140 :定着装置
D :原稿
L :レーザ光
P :記録材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開2008−135918号公報
【特許文献2】特開2010−102143号公報
【特許文献3】特開2010−109458号公報
【特許文献4】特開2010−102143号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナ構造体と本体構造体とを備え、前記スキャナ構造体にアーム状のブラケットを介して操作部を保持させて備える画像形成装置において、
前記本体構造体に締結した外装材によって前記操作部の前記ブラケットの回転中心部を保持したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記ブラケットを囲う外装材と、前記本体構造体に締結した外装材とを所定の距離を保って配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記本体構造体に締結した外装材の上面に突部を設け、
該突部上に接するように前記ブラケットを囲う外装材を配して前記所定の距離を保つことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の画像形成装置において、
前記ブラケットを囲う外装材と、前記本体構造体に締結した外装材とが互いに接して前記操作部に掛かる下方向の力を受けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の画像形成装置において、
前記ブラケットを囲う外装材を前記本体構造体に締結した外装材に掛け止めして組み合わせ、前記操作部に掛かる上下方向の力を受けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記突部がリブ状のものまたはボス状のものであることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−83787(P2013−83787A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223541(P2011−223541)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】