説明

画像形成装置

【課題】キャリッジの移動に連動してキャリッジ高さを調整するときの突き当てによる衝撃でヘッド内負圧が崩れて画像品質が低下する。
【解決手段】キャリッジ4には、主走査方向を回転軸心とする回転部材401が回転自在に設けられ、回転部材401は、ガイド部材3のガイド面301に移動自在に接するカム面512を有するカム部材502と、主走査方向に沿って斜めに形成された誘導面513、514を有する第1、第2回転誘導部材503、504とを有し、カム部材502のカム面512は、回転位置に応じて回転軸心とガイド部材3のガイド面301との距離が変化し、主走査方向の両端部には、第1、第2回転誘導部材503、504の誘導面513、514を突き当てる弾性変形可能な突き当て部611を有する第1、第2突き当て部材603、604が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に画像形成手段を搭載したキャリッジを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。
【0003】
このような画像形成装置においては、記録ヘッドのノズル面と被記録媒体(媒体搬送面)の間隔(ギャップ)が滴着弾位置精度に影響を与えることから、被記録媒体の厚みに応じてギャップを調整するギャップ調整機構(キャリッジ高さ調整機構などとも称される)を備えることが知られている。
【0004】
この場合、ギャップ調整機構を駆動するための駆動源を備えるもの(特許文献1)がある。また、キャリッジに設けた第1当接部と、キャリッジの走査方向に応じて収納、突出する第2当接部とを有し、フレーム側に第2当接部の収納、突出を切替える第1、第2押圧手段を備え、第1当接部又は第2当接部がフレームに対して選択的に摺接することによってキャリッジの姿勢が変わり、ギャップが調整されるようにしたもの(特許文献2)がある。さらに、カム部材に設けられた係合面を主走査方向両端部に配置されたピン部材に突き当てることによってカム部材が回転してギャップが調整されるようにしたもの(特許文献3)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−103835号公報
【特許文献2】特開2004−322515号公報
【特許文献3】米国特許第6666537号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に開示されているように、ギャップ調整手段を駆動するための独立の駆動源を備えると、構成が複雑になり、コストが高くなるという問題が生じる。この点は、特許文献2に開示されているように、キャリッジの移動走査でメカ的にキャリッジの姿勢を替える手段を備えることによって解決できるが、メカ的な構成が複雑になるという課題がある。さらに、特許文献3の構成にあってはピン部材と係合面との突き当てによってピン部材が破損するおそれがあり、また、ピン部材と係合面との突き当てによる衝撃でヘッドの負圧が崩れて滴吐出不良が発生する。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で突き当てによる衝撃を低減しつつギャップ調整を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
画像形成手段が搭載されて主走査方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジの移動を案内する支持面を有する案内部材と、を備え、
前記キャリッジには、主走査方向を回転軸心とする回転部材が設けられ、
前記回転部材には、
前記案内部材の支持面に移動可能に接するカム面を有するカム部材と、
前記回転軸の回転を誘導する誘導面を有する回転誘導部材と、が設けられ、
前記カム部材のカム面は、回転位置に応じて回転軸心と前記案内部材の支持面との距離が変化し、
前記主走査方向の端部には、前記回転部材の前記回転誘導部材の誘導面を突き当てる突き当て部を有する突き当て部材が配置され、
前記突き当て部材の突き当て部は弾性変形可能であり、
前記キャリッジを前記突き当て部材側に移動させることで、前記回転誘導部材の誘導面が前記突き当て部に突き当たって前記回転部材が回転し、前記カム部材が回転することで前記キャリッジの前記案内部材の支持面に対する高さ位置が変化する
構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る画像形成装置によれば、簡単な構成で突き当てによる衝撃を低減しつつギャップ調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す外観斜視説明図である。
【図2】同装置の機構部の要部平面説明図である。
【図3】同じく機構部の要部斜視説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態におけるキャリッジの支持構造及び高さ調整機構の説明に供するキャリッジ高さを高くした状態でのキャリッジ部分の側面説明図である。
【図5】同じくキャリッジ高さを低くした状態でのキャリッジ部分の側面説明図である。
【図6】同じくキャリッジ部分の正面斜視説明図である。
【図7】同じくキャリッジ部分の図6と反対側から見た正面斜視説明図である。
【図8】同じくキャリッジ部分の正面説明図である。
【図9】同じくカム部材の説明に供する側面説明図である。
【図10】同じく回転誘導部材の説明に供する正面説明図である。
【図11】第2突き当て部材の斜視説明図である。
【図12】同第2突き当て部材を図11と反対側から見た説明図である。
【図13】同第2突き当て部材を取り付け方向後方側から見た説明図である。
【図14】同第2突き当て部材を取り付け方向前方側から見た説明図である。
【図15】同第2突き当て部材を図11より上方から見た斜視説明図である。
【図16】ガイド部材の第2突き当て部材取り付け部分の斜視説明図である。
【図17】同じくガイド部材に第2突き当て部材を取り付けた状態の斜視説明図である。
【図18】第2突き当て部材をガイド部材の端部に取り付ける手順の説明に供する説明図である。
【図19】第2回転誘導部材と第2突き当て部材の突き当ての説明に供する要部断面説明図である。
【図20】本発明の第2実施形態の説明に供するキャリッジ部分の正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像形成装置の一例の概要について図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の外観斜視説明図、図2は同装置の機構部の平面説明図、図3は同装置のキャリッジ部分の斜視説明図である。
【0012】
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、装置本体100の上面側に開閉可能にカバー101が設けられ、このカバー101を開くことで内部の機構部にアクセスすることができる。
【0013】
機構部は、図2に示すように、左右のメイン側板1A、1Bに架け渡した案内部材である板状部材からなるガイド部材3にてキャリッジ4を主走査方向に移動可能に支持し、主走査モータ5によって駆動プーリ6と従動プーリ7との間に張った状態で掛け回されたタイミングベルト8を介してキャリッジ4を主走査方向に移動走査する。
【0014】
このキャリッジ4には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液滴を吐出する画像形成手段としての液体吐出ヘッド及びこの液体吐出ヘッドにインクを供給するヘッドタンクを含む記録ヘッドユニット(以下、単に「記録ヘッド」ともいう。)11を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を下方に向けて装着している。これらの複数の記録ヘッド11は図示しないヘッドホルダに保持されることでユニット化されてキャリッジ4に搭載されている。
【0015】
また、キャリッジ4の主走査方向に沿ってエンコーダスケール15を配置し、キャリッジ4側にはエンコーダスケール15の目盛り(スケール:位置識別部)を読み取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ16を取り付け、これらのエンコーダスケール15とエンコーダセンサ16とで位置検出装置としてのリニアエンコーダを構成している。
【0016】
一方、キャリッジ4の下方側には、図示しない用紙を副走査方向に搬送する搬送手段としての搬送ベルト21を配置している。この搬送ベルト21は、無端状ベルトであり、搬送ローラ22とテンションローラ23との間に掛け回されて、副走査モータ31によってタイミングベルト32及びタイミングプーリ33を介して搬送ローラ22が回転駆動されることによって副走査方向に周回移動される。
【0017】
さらに、キャリッジ4の主走査方向の一方側には搬送ベルト21の側方に記録ヘッド11の維持回復を行う維持回復機構41が配置されている。なお、維持回復機構41は、例えば記録ヘッド11のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材、ノズル面を払拭するワイパ部材、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出受けなどで構成されている。
【0018】
また、図1に示すように、用紙を搬送ベルト21に給紙する給紙手段や、画像形成手段としての記録ヘッド11から吐出された液体が付着して画像が形成された用紙を排紙する排紙手段などを構成する給排紙トレイ103が装置本体100に対して着脱自在に装着される。
【0019】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙された用紙を搬送ベルト21で間歇的に搬送し、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド11を駆動することにより、停止している用紙に液滴を吐出して1行分を記録し、用紙を所定量搬送後、次の行の記録を行なう動作を繰り返して用紙上に画像を形成し、画像形成後用紙を排紙する。
【0020】
次に、本発明の第1実施形態におけるキャリッジの支持構造及び高さ調整機構について図4ないし図8を参照して説明する。図4はキャリッジ高さを高くした状態でのキャリッジ部分の側面説明図、図5はキャリッジ高さを低くした状態でのキャリッジ部分の側面説明図、図6は同じくキャリッジ部分の正面斜視説明図、図7は同じくキャリッジ部分の図6と反対側から見た正面斜視説明図、図8は同じくキャリッジ部分の正面説明図である。
【0021】
ガイド部材3は板状部材からなり、キャリッジ4を移動自在に案内するための支持面となるガイド面301とガイド面302、303とを有している。
【0022】
そして、キャリッジ4には、ガイド部材3のガイド面301に移動自在に支持される高さ調整部401と、ガイド面302に移動自在に接触する接触部402と、ガイド面303に移動自在に接触する接触部403とを有している。
【0023】
この場合、ガイド部材3のガイド面301は、キャリッジ4の高さを決める面となり、ガイド面302はキャリッジ4の自重によるモーメントを受ける面(回転止め部)となり、ガイド面303はキャリッジ4の副走査方向位置を決める面となる。
【0024】
ここで、キャリッジ4の高さ調整部401は、主走査方向を回転軸心とする回転部材501がキャリッジ4に固定された保持部材404にて回転自在に保持されている。
【0025】
この回転部材501は、ガイド部材3の支持面であるガイド面301に移動自在に接するカム面512を有する2つのカム部材502と、主走査方向に沿って斜めに湾曲して形成された回転誘導面(ガイド面)513を有する第1回転誘導部材503と、同じく主走査方向に沿って斜めに形成された回転誘導面(ガイド面)514を有する第2回転誘導部材504とが設けられている。
【0026】
カム部材502は、図9に示すように、回転位置に応じて回転軸心511とガイド部材3のガイド面301との距離が距離aと距離bとの間で変化するカム面512を有している。
【0027】
この場合、図8(a)に示すようにカム部材502のカム面512の距離aとなる部分(これを「第2カム部」という。)512aがガイド面301に接しているときには、キャリッジ4は高さが低い位置となり、図8(b)に示すようにカム部材502のカム面512の距離bとなる部分(これを「第1カム部」という。)512bがガイド面301に接しているときには、キャリッジ4は高さが高い位置となる。
【0028】
第1回転誘導部材503は、カム部材502を図9(a)の位置から図9(b)の位置に回転させる、つまり、キャリッジ4をガイド面301に対して上昇させる(ギャップが広くなる)方向に回転部材501の回転を誘導する部材である。第2回転誘導部材504は、カム部材502を図9(b)の位置から図9(a)の位置に回転させる、つまり、キャリッジ4をガイド面301に対して下降させる(ギャップが狭くなる)方向に回転部材501の回転を誘導する部材である。
【0029】
また、図10(a)、(b)に示すように、第1回転誘導部材503の誘導面513と、第2回転誘導部材504の誘導面514とは、第1回転誘導部材503の誘導面513の傾斜を第2回転誘導部材504の誘導面514の傾斜よりも緩やかにしている。つまり、回転部材501が同じ角度回転するために、第1回転誘導部材503では距離Lbの移動が必要であるのに対し、第2回転誘導部材504では距離La(La<Lb)の移動が必要である。
【0030】
これにより、キャリッジ4の移動速度を同じとしたとき、キャリッジ4を上昇させるときにはキャリッジ4を下降させるときよりも長い時間をかけて調整動作が行なわれる。これは、キャリッジ4を上昇させるときにはキャリッジ4の自重に抗してキャリッジ4を持ち上げることからゆっくり上昇させるためである。
【0031】
一方、図8に示すように、装置本体1の側板1A(キャリッジ主走査方向一端部)には、第1回転誘導部材503の誘導面513を突き当てる第1突き当て部材603が配置されている。また、装置本体1の側板1B(キャリッジ主走査方向他端部)には、第2回転誘導部材504の誘導面514を突き当てる第2突き当て部材604が配置されている。
【0032】
この場合、維持回復機構41を配設した側、すなわち、キャリッジ4のホーム位置側に第2回転誘導部材504と第2突き当て部材604が配置されているので、キャリッジ4をホーム位置に移動させたときには、キャリッジ4は低い高さに戻され、維持回復機構41の図示しないキャップ部材によるキャッピングを確実に行なうことができる。
【0033】
このように構成したので、図8において、キャリッジ4を矢印A方向に移動させて、第1突き当て部材603に第1回転誘導部材503の誘導面513を突き当てて押し付けることによって、回転部材501、すなわちカム部材502は、図9(b)の状態に回転して、カム面512の距離bとなる第2カム部512bがガイド部材3のガイド面301に接触する位置まで移動し、キャリッジ4が上昇して高さが高くなり、ギャップ(記録ヘッド11のノズル面と搬送ベルト21による用紙搬送面との間の距離)が広がる。
【0034】
一方、図8において、キャリッジ4を矢印B方向に移動させて、第2突き当て部材604に第2回転誘導部材504の誘導面514を突き当てて押し付けることによって、回転部材501、すなわちカム部材502は図9(a)の状態に回転して、カム面512の距離aとなる第1ガイド部512aがガイド部材3のガイド面301に接触する位置まで移動し、キャリッジ4が下降して高さが低くなり、ギャップが狭くなる。
【0035】
このようにして、キャリッジ4の移動のみによってキャリッジ4が昇降してギャップが変化する(ギャップが調整される)。
【0036】
このように、キャリッジには、主走査方向を回転軸心とする回転部材が設けられ、回転部材には、案内部材の支持面に移動可能に接するカム面を有するカム部材と、回転軸の回転を誘導する誘導面を有する回転誘導部材と、が設けられ、カム部材のカム面は、回転位置に応じて回転軸心と案内部材の支持面との距離が変化し、主走査方向の端部には、回転部材の回転誘導部材の誘導面を突き当てる突き当て部を有する突き当て部材が配置され、キャリッジを突き当て部材側に移動させることで、回転誘導部材の誘導面が突き当て部にて突き当たって回転部材が回転し、カム部材が回転することでキャリッジの案内部材の支持面に対する高さ位置が変化する構成とすることで、簡単な構成でギャップを調整することができる。
【0037】
次に、第2突き当て部材604について図11ないし図17を参照して説明する。図11は第2突き当て部材の斜視説明図、図12は同じく図11と反対側から見た説明図、図13は同じく取り付け方向後方側から見た説明図、図14は同じく取り付け方向前方側から見た説明図、図15は図11より上方から見た斜視説明図、図16はガイド部材の第2突き当て部材取り付け部分の斜視説明図、図17は同じくガイド部材に第2突き当て部材を取り付けた状態の斜視説明図である。
【0038】
第2突き当て部材604は、樹脂部材からなり、第2回転誘導部材504の誘導面514を突き当てる突き当て部611と、突き当て部611と間でガイド部材3を挟み込んでガイド部材3に第2突き当て部材604を保持する保持部612と、突き当て部611と保持部612とを連結している連結部613とが、一体に形成されている。
【0039】
第2突き当て部材604を形成する樹脂部材としては、例えばポリアセタールなどのすべり易い材質の樹脂を用いている。これにより、磨耗や繰り返し荷重(繰り返しの突き当てによって掛かる荷重)に対して耐久性を確保することができる。
【0040】
ここで、突き当て部611は、ガイド部材3の支持面(ガイド面)301の長手方向(主走査方向)に延びて形成されている。これは、第2突き当て部材604の突き当て部611を樹脂で形成した場合、突き当て部611をピン形状とすると、第2回転誘導部材504の誘導面514を突き当てたときに折れてしまうおそれがあるためである。
【0041】
この突き当て部611の接触部611aに点接触で第2回転誘導部材504の誘導面514が突き当てられる。
【0042】
また、この突き当て部611の支持面301側には、図16及び図17に示すようにガイド部材3に設けられた2つの穴部(ないし凹部でもよい。以下同じ)711に嵌め込まれる凸部621が形成されている。凸部621の挿入側の面は傾斜面622としている。
【0043】
保持部612は、枠体状をなし、ガイド部材3に設けられた穴部713に嵌め込まれる凸部623が設けられている。
【0044】
このように構成した第2突き当て部材604をガイド部材3のガイド面301の端部に取り付け手順について図18を参照して説明する。図18は同説明に供する説明図である。
【0045】
まず、図18(a)に示す状態から同図(b)に示すように、第2突き当て部材604をガイド部材3の端部から突き当て部611と保持部612との間にガイド部材3を挟み込むように差し込むと、ガイド部材3の端部が突き当て部611の傾斜面622に当たって突き当て部611と保持部612との間が広がりながら差し込まれる。
【0046】
その後、図18(c)に示すように、突き当て部611の凸部621がガイド部材3の支持面301の穴部711に嵌り込むとともに、保持部612の凸部623がガイド部材3の支持面301の穴部713に嵌り込む(図17参照)。
【0047】
これにより、第2突き当て部材604をガイド部材3の支持面301の端部に装着することができる。
【0048】
次に、第2回転誘導部材504と第2突き当て部材604の突き当てについて図19を参照して説明する。図19は同説明に供する要部断面説明図である。
【0049】
まず、キャリッジ4を図19(a)で矢印B方向に移動させると、図19(b)に示すように、第2回転誘導部材504の誘導面514が第2突き当て部材604の突き当て部611の接触部611aに接触する。
【0050】
このとき、図19(b)に示すように、第2回転誘導部材504の誘導面514が第2突き当て部材604で押されて、回転部材501の回転軸心を中心にして矢印C方向に回転し始める。このとき、一瞬であるが、第2突き当て部材604の突き当て部611は破線で示すように上昇した後(撓んだ後)実線で示す元の状態に戻る。
【0051】
このように、第2突き当て部材604の突き当て部611が撓むことによって、第2回転誘導部材504の誘導面514が第2突き当て部材604の突き当て部611に衝突したときの衝撃を軽減することができる。
【0052】
つまり、第2突き当て部材604の突き当て部611が弾性変形可能である構成とすることで第2突き当て部材604が撓んで衝撃を軽減できる。
【0053】
そして、第2突き当て部材604の突き当て部611と保持部612とによってガイド部材3のガイド面301を挟み持つ構成とすることで、第2突き当て部材604が撓んでもガイド部材3から外れることなく、上記の作用効果を得ることができる。
【0054】
なお、突き当て部611をガイド面301から浮かし、保持部612だけでガイド部材3に保持した構成のものを作製して評価したところ、第2回転誘導部材504の誘導面514が突き当て部611の接触部611aに接触したときに、第2突き当て部材604がガイド部材3から外れることが確認された。
【0055】
このようにして元の状態に戻った第2突き当て部材604の突き当て部611に向けて第2回転誘導部材504が移動されて誘導面514が突き当て部611で押されることによって、第2回転誘導部材504が回転を続ける。
【0056】
そして、図19(c)に示すように、カム部材502のカム面512の第1カム部512aが支持面301にて支持される位置までカム部材502が回転したときにキャリッジ4の移動が停止されて、第2回転誘導部材504の回転が停止する。
【0057】
なお、ここでは第2回転誘導部材504及び第2突き当て部材604について説明したが、第1回転誘導部材503及び第1突き当て部材603の構成及び作用についても同様であるので、説明を省略する。
【0058】
このように、回転誘導部材の誘導面を突き当てる突き当て部材の突き当て部を弾性変形可能とすることにより、突き当て時の衝撃を低減することができ、安定して高い画像品質を確保することができる。
【0059】
つまり、キャリッジを左右に動作させ、カム部材を回転させることにより、キャリッジを昇降させ、ヘッドと用紙のギャップを調整する機構にあっては、キャリッジを左右に動作させ、突き当てることにより発生する衝撃で、ヘッドのノズルに形成されている負圧が崩れ、ノズルから液滴を吐出できなくなり、画像の中に白スジが発生するなど安定して高い画像品質での画像形成を行うことができなくなる。
【0060】
本実施形態のように回転誘導部材の誘導面を突き当てる突き当て部材の突き当て部を弾性変形可能とすることにより、突き当て時の衝撃を低減することで、ヘッドの負圧崩れを防止することができる。
【0061】
次に、本発明の第2実施形態について図20を参照して説明する。図20は同実勢形態の説明に供するキャリッジ部分の正面説明図である。
【0062】
本実施形態では、第1突き当て部材603は、保持部612を維持回復機構41のフレーム部材181に取り付け、突き当て部611をガイド部材3の支持面301に配置している。
【0063】
このように構成しても、前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0064】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0065】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0066】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0067】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【符号の説明】
【0068】
3 ガイド部材(案内部材)
4 キャリッジ
11 記録ヘッド
301 ガイド面(支持面)
302、303 ガイド面
401 高さ調整部
402、403 接触部
501 回転部材
502 カム部材
503 第1回転誘導部材
504 第2回転誘導部材
512 カム面
513、514 誘導面
603 第1突き当て部材
604 第2突き当て部材
611 突き当て部
612 保持部
613 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成手段が搭載されて主走査方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジの移動を案内する支持面を有する案内部材と、を備え、
前記キャリッジには、主走査方向を回転軸心とする回転部材が設けられ、
前記回転部材には、
前記案内部材の支持面に移動可能に接するカム面を有するカム部材と、
前記回転軸の回転を誘導する誘導面を有する回転誘導部材と、が設けられ、
前記カム部材のカム面は、回転位置に応じて回転軸心と前記案内部材の支持面との距離が変化し、
前記主走査方向の端部には、前記回転部材の前記回転誘導部材の誘導面を突き当てる突き当て部を有する突き当て部材が配置され、
前記突き当て部材の突き当て部は弾性変形可能であり、
前記キャリッジを前記突き当て部材側に移動させることで、前記回転誘導部材の誘導面が前記突き当て部に突き当たって前記回転部材が回転し、前記カム部材が回転することで前記キャリッジの前記案内部材の支持面に対する高さ位置が変化する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記突き当て部材は、前記案内部材の長手方向に延びる前記突き当て部を有していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記突き当て部材の突き当て部は、前記回転誘導部材の誘導面が突き当たる突き当て面と、前記案内部材の支持面に接触する面とを有していることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記案内部材は板状部材であり、前記突き当て部材は前記案内部材を挟んで前記案内部材に取付けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−86317(P2013−86317A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227520(P2011−227520)
【出願日】平成23年10月16日(2011.10.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】