説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置の本体に太陽光発電装置などの発電装置を搭載するための設置スペースを新たに確保することのない、またそのための追加の費用負担を抑えた、商用電源からの電力供給がない状態から通常の電力供給状態へ復帰させる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、商用電源9が遮断された状態でRFIDリーダ/ライタ10からRFIDタグ2に電磁波が送信され充電回路4において所定の充電量に達したときに、リレー駆動制御回路7によりリレー5,6がON状態となり商用電源9が電源部8へ入力されることにより起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源からの電力供給がない状態から通常の電力供給状態へ復帰できる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成装置の市場において、TEC値(国際エネルギースタープログラムの適合基準値となる一週間の標準消費電力量)の向上を図る等の省エネルギー技術が求められている。特に、現在開発中のTitan/Vesta−P1などのハイスペック機では中低速機に比べてそのニーズが一段と高い。省エネルギー技術の一例として、Midas−P2に搭載されているライトディテクト機能のように周囲が暗くなると画像形成装置のメインスイッチをOFFにする技術はある。しかし、この機能は画像形成装置のメインスイッチをOFFの状態からONの状態に自動的に復帰させるものではない。
【0003】
商用電源の遮断状態から画像形成装置のメインスイッチをONの状態にするためには、蓄電池や発電装置などにより画像形成装置へ電力が供給されることが必要となる。一方、元々商用電源からの電力が蓄電された蓄電池等から供給された電力を用いて画像形成装置のメインスイッチをONの状態にしても、省エネルギー効果が得られたとはいえない。そこで、商用電源からの電力供給を得ることなく太陽光発電等の補助電源からの電力を用いることで画像形成装置のメインスイッチをONの状態にすることができる技術が既に知られている。
【0004】
特許文献1には、省エネルギーを実現できる画像形成装置を提供することを目的として太陽電池と蓄電池を備えた画像形成装置に係る技術が開示されている。この太陽電池及び蓄電池は、電力供給手段として制御手段を介して主電源と並列に接続される。画像形成装置は、太陽電池の電圧を監視する電源閾値検出手段を備え、この電源閾値検出手段により前記太陽電池の電圧低下が検出されたとき、前記主電源からの電力供給を受けて省エネルギーモードを保持することを特徴とする構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、今までの画像形成装置には太陽光発電装置は備えられていなかった。画像形成装置に太陽光発電装置を採用する場合、太陽光を電気エネルギーに変換するため大きな太陽光パネルを画像形成装置に新たに搭載しなければならない。そのため、太陽光パネルを搭載するための設置スペースを新たに確保しなければならず、また太陽光パネルを搭載するための追加の費用負担を強いられるいという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、画像形成装置の本体に太陽光発電装置などの発電装置を搭載するための設置スペースを新たに確保することのない、またそのための追加の費用負担を抑えた、商用電源からの電力供給がない状態から通常の電力供給状態へ復帰させる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、トナー残量や新品状態その他の情報を保持し、外部RFIDリーダ/ライタとのアクセスが可能なRFIDタグと、前記RFIDタグを内蔵するトナーユニットと、前記外部RFIDリーダ/ライタから受けた電磁波により前記RFIDタグに発生した電力を充電する充電回路と、商用電源からの電力供給を切替えるリレーと、前記リレーに切替制御信号を供給するリレー駆動制御回路と、商用電源から入力された電力を装置本体へ供給し、商用電源ONのとき前記リレー駆動をON状態に保持する電源部とを備える画像形成装置であって、商用電源が遮断された状態で前記RFIDリーダ/ライタから前記RFIDタグに電磁波が送信され前記充電回路において所定の充電量に達したときに、前記リレー駆動制御回路により前記リレーがON状態となり商用電源が前記電源部へ入力されることにより起動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置の本体に太陽光発電装置などの発電装置を搭載するための設置スペースを新たに確保することのない、またそのための追加の費用負担を抑えた、商用電源からの電力供給がない状態から通常の電力供給状態へ復帰できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態の画像形成装置の全体構成について説明する図である。
【図2】本発明の第2実施形態の画像形成装置の全体構成について説明する図である。
【図3】本発明の実施形態の画像形成装置へのトナーユニットの実装形態について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、画像形成装置について商用電源からの電力供給がない状態から通常の電力供給状態へ復帰する手段に際して以下の特徴を有する。
【0011】
本発明は、トナー残量管理や新品状態の検知などを目的として画像形成装置のトナーユニットにしばしば搭載されるRFIDタグを利用したものである。RFID(Radio Frequency IDentification)とは、電波を使って物品や人物を自動的に識別するための技術全般をいう。RFIDタグそれ自体は電力を持たないが、外部RFIDリーダ/ライタから受けた電磁波を電力に変換し作動する電子媒体である。
【0012】
本発明においては、画像形成装置外部に設けられた任意のRFIDリーダ/ライタから画像形成装置内部のトナーユニット内蔵のRFIDタグへアクセス可能な状態とする。このRFIDタグにより、RFIDリーダ/ライタから受けた電磁波が電力に変換される。画像形成装置には、その電力を充電可能な回路と、充電量が所定量を超えると本装置のメインスイッチをONにする回路が設けられる。
【0013】
本来的には、RFIDタグは非接触でトナー残量管理や新品状態等の情報を読み書きするための電子媒体である。本発明においては、このRFIDタグと外部RFIDリーダ/ライタとのやり取りの際に発生する誘起起電力を蓄電及び利用することで、商用電源を用いずに画像形成装置のメインスイッチをOFFの状態からONの状態へ復帰させることが特徴となっている。以下、本発明の実施形態の画像形成装置について図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態の画像形成装置1の全体構成について図1を用いて以下に説明する。本実施形態の画像形成装置1は、RFIDタグ2、トナーユニット3、充電回路4、リレー5及び6、リレー駆動制御回路7並びに電源部8で構成される。
【0015】
トナーユニット3に内蔵されるRFIDタグ2には、トナー残量や新品状態の情報などのデータが保持される。加えてRFIDタグ2には、外部RFIDリーダ/ライタ10との無線通信によるアクセスを可能とする機能が備わる。また充電回路4は、前記アクセスの際に電磁誘導によりRFIDタグ2に発生した起電力を充電するためのものである。リレー5及び6は、画像形成装置1のメインスイッチのON/OFFを切り替えるために設けられる。リレー駆動制御回路7は、リレー5及び6を駆動制御するためのものである。電源部8は、商用電源9から入力されたAC電力をDC電力へ変換し、リレー駆動制御回路7へ信号を送出する機能を有するものである。
【0016】
本実施形態の画像形成装置1の動作について説明する。商用電源9からの電力が画像形成装置1に供給されていない状態において、外部RFIDリーダ/ライタ10からRFIDタグ2へ電磁波が送信された際に電磁誘導によりRFIDタグ2に誘起起電力が発生する。充電回路4にその誘起起電力が充電され所定の充電量すなわちリレー駆動制御回路7を起動させる充電量に達したとき、リレー駆動制御回路7からリレー5及び6に画像形成装置1のメインスイッチをON/OFFさせる制御信号が送出される。該制御信号を受けたリレー5及び6がON状態となると、商用電源9から入力された電力が電源部8を介して画像形成装置1へ供給される。さらに商用電源9から画像形成装置1に電力が供給されているときリレーON状態を保持するリレー保持制御信号が電源部8からリレー駆動制御回路7へ送出される。
【0017】
以上の動作により、商用電源9から画像形成装置1に電力が供給されていない状態、つまりメインスイッチがOFFの状態から画像形成装置1を起動することができる。
【0018】
本発明の実施形態の画像形成装置1に係る利用例について具体的に説明する。例えば、外部RFIDリーダ/ライタ10としては壁面に取り付けられた入退室用のセキュリティリーダ等が考えられる。このセキュリティリーダはユーザの端末装置等とLAN接続されているものとする。画像形成装置1は、RFIDタグ2の該装置への搭載位置がセキュリティリーダの近傍となるように設置されるものとする。また、セキュリティリーダが送信する電波の強さは任意に設定変更が可能であるものとする。
【0019】
通常のセキュリティ通信の際には、セキュリティリーダには、RFIDタグ2に誘起起電力を発生させるだけの強い電波を送信させない設定とするため、充電回路4は作動することなく画像形成装置1が起動することはない。ユーザの端末装置等から画像形成装置1に画像データ等が転送されたとき、端末装置等とLAN接続されたセキュリティリーダには、その近傍に設置された画像形成装置1に画像データが転送処理されたことが認識される。その際には、セキュリティリーダには通常のセキュリティ通信の際より強い電波を送信させる設定とする。これにより、RFIDタグ2に誘起起電力を発生させることができるため、上記に説明した動作により画像形成装置1を起動させることができる。これにより、例えば画像形成装置1に省エネルギーモードが働き該装置に商用電源が供給されていない場合、ユーザはわざわざ画像形成装置1の設置位置まで行きメインスイッチをONしなくとも、端末装置等からの画像データ転送により端末装置等が設置されたデスク等に居ながらにして画像形成装置1を起動させることができる。
【0020】
また、上記とは別に、外部RFIDリーダ/ライタ10として携帯電話やスマートフォン等にRFIDリーダ/ライタ機能を内蔵させたものが考えられる。例えば、画像形成装置1に省エネルギーモードが働き商用電源が遮断されている場合にユーザが画像形成装置1を利用したいときに、RFIDタグ2に携帯電話やスマートフォン等を接近させる。このとき、外部RFIDリーダ/ライタ10としての携帯電話等から送信された電波をRFIDタグ2が受信する。その際、RFIDタグ2に誘起起電力が発生し、上記に説明した動作により画像形成装置1を起動させることが可能となる。上記により、例えば画像形成装置1のメインスイッチの位置を把握していないユーザがそのメインスイッチを探す手間を要することなく簡単に画像形成装置1を起動させることができる。
【0021】
[第2実施形態]
トナーの残量や新品状態を検知するための情報通信時における画像形成装置100の充電制御について図2を用いて以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。本実施形態の画像形成装置100は、第1実施形態の画像形成装置1に切替回路11をさらに追加した構成をとる。また、本実施形態の電源部8は切替回路11へ信号を送出する機能を有する。
【0022】
切替回路11はRFIDタグ2と充電回路4との間に介在し、この切替回路11においてRFIDタグ2から充電回路4への電路の接続・遮断状態の切替が行われる。本実施形態は、トナーの残量や新品状態を検知するための情報通信時、つまり商用電源9からの電力供給がある場合には、RFIDタグ2に発生した誘起起電力が充電回路4へ充電されないように、RFIDタグ2から充電回路4への電路を切替回路11により遮断制御することを目的とする。これにより本実施形態においては、充電回路4は画像形成装置100へ商用電源9が遮断された場合にのみ作動することになる。
【0023】
本実施形態の画像形成装置100の動作について説明する。リレー5及び6がON状態のとき、画像形成装置100は商用電源9からの電力供給を受けて作動している。この場合、RFIDタグ2から充電回路4への電路を商用電源9から充電回路4への電路に切り替えるための切替制御信号が電源部8から切替回路11へ送出される。この信号を受けた切替回路11によりRFIDタグ2から充電回路4への電路が遮断制御される。このとき、電源部8からの信号を受けたリレー駆動回路7によりメインスイッチのON状態が保持され、引き続き画像形成装置100において商用電源9による作動状態が維持される。
【0024】
一方、リレー5及び6がOFF状態のとき、画像形成装置100には商用電源9からの電力供給されていないため画像形成装置100は作動していない。よって電源部8からの切替制御信号が送出されないため、切替回路11においては、RFIDタグ2から充電回路4への電路が接続された状態となる。このとき外部RFIDリーダ/ライタ10からRFIDタグ2へのアクセスがあった場合には、充電回路4は作動可能な状態であり第1実施形態と同様に画像形成装置100を起動させることができる。
【0025】
本発明の各実施形態のトナーユニット3の実装形態について図3を用いて説明する。本図のうち、図3(a)はトナーユニット3の概略形状と装置本体内での実装例を示したものである。なお、図3(a)中のトナーユニット31、32および33は、トナーユニット3以外の他色のトナーユニットを示したものである。また、図3(b)はトナーユニット3の実装形態として図3(a)に示した矢印A方向からみた断面図である。なお、図3(b)中の左側に外部RFIDリーダ/ライタ10が設置された壁面12を示し、図3(b)中の下方には画像形成装置1を据え置く専用台13を示す。
【0026】
上記の各実施形態の画像形成装置1及び100においては、RFIDタグ2の実装位置が新たな課題となる。一般的に、トナーユニット3に内蔵されるRFIDタグ2は画像形成装置本体とのトナー残量管理や新品状態等の情報のやり取りが主な用途であるため、その情報を読み取るためのトナー情報読み取り部21が画像形成装置本体の奥に配置されることが多い。本発明の各実施形態においては、トナー残量管理や新品検知等の情報の読み書きというRFIDタグ2本来の機能とは別に、RFIDタグ2に誘起起電力を発生させるべく画像形成装置本体外部のRFIDリーダ/ライタ10からアクセスしやすい極めて近い距離に近づける必要がある。そのため、RFIDタグ2が画像形成装置本体表面近くに実装されるようにトナーユニット3の特定の部位にRFIDタグ2を内蔵させる必要がある。なお、これに伴いRFIDタグ2から発生された誘起起電力の受電部22も図3(b)に示すようにトナー情報読み取り部21付近に実装させることとなる。
【0027】
上記を満たすため、例えば図3(b)に示すようにトナーユニット3の特定の部位としてその一角(本図に記載のトナーユニット3の左上部)を斜めに形成し、形成された傾斜部分にRFIDタグ2を搭載させることにより、トナー情報読み取り部21との情報のやり取りの用途を満たすことはもとより、外部RFIDリーダ/ライタ10からのアクセスも容易となる。トナーユニット3の一角を斜めに形成するのは、直角のままでは外部RFIDリーダ/ライタ10とのアクセスが物理的に困難になるからである。なお、トナーユニット3は図中に示す矢印B方向へ画像形成装置本体へ潜り込ませるように挿入することにより画像形成装置本体への実装が可能となる。
【0028】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0029】
1、100 画像形成装置
2 RFIDタグ
3、31、32、33 トナーユニット
4 充電回路
5、6 リレー
7 リレー駆動制御回路
8 電源部
9 商用電源
10 外部RFIDリーダ/ライタ
11 切替回路
12 壁面
13 専用台
21 トナー情報読み取り部
22 受電部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開2003−029579号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー残量や新品状態その他の情報を保持し、外部RFIDリーダ/ライタとのアクセスが可能なRFIDタグと、
前記RFIDタグを内蔵するトナーユニットと、
前記外部RFIDリーダ/ライタから受けた電磁波により前記RFIDタグに発生した電力を充電する充電回路と、
商用電源からの電力供給を切替えるリレーと、
前記リレーに切替制御信号を供給するリレー駆動制御回路と、
商用電源から入力された電力を装置本体へ供給し、商用電源ONのとき前記リレー駆動をON状態に保持する電源部とを備える画像形成装置であって、
商用電源が遮断された状態で前記RFIDリーダ/ライタから前記RFIDタグに電磁波が送信され前記充電回路において所定の充電量に達したときに、前記リレー駆動制御回路により前記リレーがON状態となり商用電源が前記電源部へ入力されることにより起動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記充電回路と前記RFIDタグとの間に介在し、商用電源からの電力供給があるときは前記RFIDタグから前記充電回路への電路を遮断し、商用電源からの電力供給がないときは前記RFIDタグから前記充電回路への電路を接続する切替回路を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記RFIDタグが、装置内部及び外部の両方からアクセス可能となるような位置に搭載されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−88701(P2013−88701A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230561(P2011−230561)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】