画像形成装置
【課題】内部を空気が流れる空気流路部の保守・点検作業を容易に行うことが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100の下部に取り付けられる基台60には、空気清浄部70が実装されている。この空気清浄部70は、基台60に固定されて送風ファン64aを保持するファン保持部64と、吸気した空気を各種のフィルター81,82,83で清浄してファン保持部64に送るエアダクトを形成する引き出し部71と、を備えている。引き出し部71が基台60に対して引き出されると、エアダクトとファン保持部64とが分離し、引き出し部71が基台60に収容されて基台60に対して位置決めされると、エアダクトがファン保持部64に接続される。
【解決手段】画像形成装置100の下部に取り付けられる基台60には、空気清浄部70が実装されている。この空気清浄部70は、基台60に固定されて送風ファン64aを保持するファン保持部64と、吸気した空気を各種のフィルター81,82,83で清浄してファン保持部64に送るエアダクトを形成する引き出し部71と、を備えている。引き出し部71が基台60に対して引き出されると、エアダクトとファン保持部64とが分離し、引き出し部71が基台60に収容されて基台60に対して位置決めされると、エアダクトがファン保持部64に接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、第1の端部に吸気口を有するとともに第2の端部に排気口を有するように構成されるダクトと、ダクトの内部に配置されるイオン発生装置と、ダクトに連通する開口孔を有するとともに、筐体に取り付け可能に構成されており、かつ、筐体に取り付けられた時に筐体の一部として機能するように構成されるダクト取り付け板と、を備えるイオン発生ユニットの構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−107458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、画像形成装置に空気清浄機能を持たせる構成を採用する場合に、画像形成装置を使用するユーザが空気清浄機能の保守を行い易いように配慮する必要がある。
【0005】
本発明は、内部を空気が流れる空気流路部の保守・点検作業を容易に行うことが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、装置本体部と、前記装置本体部に対して引き出し可能に設けられた引き出し部と、前記装置本体部に設けられると共に吸入された空気又は排気される空気が内部を流れる第1の空気流路部と、前記引き出し部に設けられると共に、当該引き出し部が前記装置本体部に対して装着されることで前記第1の空気流路部と接続し、当該第1の空気流路部を通過した空気又は当該第1の空気流路部へ向かう空気が内部を流れる第2の空気流路部と、を含む画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記第1の空気流路部は、前記第2の空気流路部に対する位置決めに用いられる位置決め部を備え、前記第2の空気流路部は、当該第2の空気流路部の空気流路が前記第1の空気流路部に接続する前に当該第1の空気流路部の前記位置決め部と係合する係合部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記装置本体部は、光を用いて表示する表示部と当該装置本体部への電源供給をON/OFFする電源操作部とを備え、前記第2の空気流路部は、前記装置本体部の前記表示部および前記電源操作部を覆う部材を備え、前記第2の空気流路部の前記覆う部材は、前記表示部に対応する位置に当該表示部の光を透す透光部を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記第2の空気流路部が引き出されることに伴い、前記第1の空気流路部が備える送風機への給電を遮断する遮断手段をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記画像形成装置が備える引き出し可能な部材が引き出されることに伴い、前記第1の空気流路部が備える送風機への給電を遮断する遮断手段をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記第2の空気流路部は、給電を必要とする部品を備えておらず、前記第1の空気流路部は、空気清浄の際に用いられる給電を必要とする部品を備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、前記第2の空気流路部は、吸入した空気を清浄する清浄部材を備え、前記清浄部材は、前記第2の空気流路部が引き出された状態にて当該第2の空気流路部が引き出される方向に対して交差する方向へ引き抜き可能であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1によれば、本発明を採用しない場合に比べて、内部を空気が流れる空気流路部の保守・点検作業を容易に行うことが可能になる。
請求項2によれば、本発明を採用しない場合に比べて、第2の空気流路部を装置本体部に収容する際の操作性を向上させることが可能になる。
請求項3によれば、本発明を採用しない場合に比べて、表示部の光を視認可能に構成することが可能になる。
請求項4によれば、本発明を採用しない場合に比べて、ユーザが内部にアクセス可能な場合の安全性を向上させることが可能になる。
請求項5によれば、本発明を採用しない場合に比べて、ユーザが内部にアクセス可能な場合の安全性を向上させることが可能になる。
請求項6によれば、本発明を採用しない場合に比べて、配線材の引き回しについての設計時の負担を軽減させることが可能になる。
請求項7によれば、本発明を採用しない場合に比べて、清浄部材の交換作業を容易に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本実施の形態が適用される画像形成装置の外観を示す概略斜視図である。
【図3】画像形成装置の分解斜視図である。
【図4】基台のオプション設定例を説明する概略斜視図である。
【図5】基台に空気清浄部を実装した場合の構成を説明する斜視図である。
【図6】空気清浄部による空気の流れを説明する図である。
【図7】基台から排出された空気の流れを説明する図である。
【図8】引き出し部を引き出した状態を説明する概略平面図である。
【図9】引き出し部の後面板と基台のファン保持部との位置関係を説明する図である。
【図10】引き出し部を位置決めする構造を説明する部分拡大図である。
【図11】後面板とファン保持部とが互いに係合する部分についての変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔画像形成装置100の概略構成〕
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置100の概略構成図であり、図2は、その外観を示す概略斜視図である。
図1および図2に示す画像形成装置100は、所謂タンデム型のカラープリンタである。この画像形成装置100は、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成部(記録材処理部)10と、画像形成装置100全体の動作を制御する制御部20と、を備えている。また、画像形成装置100は、画像形成装置100の上方側に設けられ、原稿の画像を読み取るスキャナにより構成される画像読取装置(画像読取部)30を備えている。さらに、画像形成装置100は、画像形成部10に用紙Sを供給する用紙供給部40を備えている。
【0010】
ここで、画像形成装置100の各構成部材は、筺体50の内部に収容されている。また、画像読取装置30の下方であって筺体50の上部の面には、胴内積載部51が設けられている。この胴内積載部51は、画像形成部10によって画像が形成された用紙Sが積載される積載面をもつものである。
【0011】
画像形成部10には、一定の間隔をおいて並列的に配置される4つの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kが備えられている。各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、静電潜像を形成してトナー像を保持する感光体ドラム12を備えており、いわゆる電子写真方式によってトナー像を形成する。
ここで、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、現像装置に収納されるトナーを除いて、同様に構成される。そして、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。このようなことから、以下の説明においては、画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの各構成についてはそれぞれ「Y」、「M」、「C」、「K」という符号を付して区別するが、区別する必要のないときは、これらの符号は付さない。
【0012】
また、画像形成部10は、各画像形成ユニット1の感光体ドラム12上に形成された各色トナー像が転写される中間転写ベルト13を備えている。また、画像形成部10は、各画像形成ユニット1にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト13に順次転写(一次転写)する一次転写ロール17を備えている。さらに、画像形成部10は、中間転写ベルト13上に重畳して形成された各色トナー像を記録材(記録紙)である用紙Sに一括転写(二次転写)する二次転写部19と、二次転写された各色トナー像を用紙Sに定着させる定着装置21と、を備えている。
さらにまた、画像形成部10は、定着装置21によってトナー像が定着された用紙Sの通過を検知するエグジットセンサ22を備えている。さらにまた、このエグジットセンサ22を通過した用紙Sを胴内積載部51に排出する胴内排出ロール23を備えている。
【0013】
用紙供給部40は、用紙収容部(給紙カセット)41、繰り出しロール43、捌きロール45及びレジロール47を備えている。用紙収容部41は、用紙Sを収容する。繰り出しロール43は、用紙収容部41の上部に配設され、用紙収容部41に収容される用紙Sの束のうち、最上位の用紙Sを繰り出す。捌きロール45は、繰り出しロール43にて繰り出された用紙Sを1枚ずつに捌いて搬送する。また、レジロール47は、捌きロール45によって捌いて搬送された用紙Sを一旦停止させ、タイミングを合わせて回転を再開することにより二次転写部19に対して用紙Sを供給する。
本実施の形態では、用紙供給部40の一部を構成する用紙収容部41を2つ備え、これら2つの用紙収容部41は、上下に配置されている(多段構造、複数段構造)。
なお、画像形成装置100は、ユーザに通知する表示を行うと共にユーザが操作可能なUI操作部52を備えている。
画像形成部10は画像形成部の一例である。
【0014】
次に、画像形成装置100の動作について説明をする。
画像形成装置100が画像形成動作を開始すると、画像読取装置30等から入力された画像データは、予め定められた画像処理が施された後、各画像形成ユニット1に送られる。そして、例えば黒(K)色トナー像を形成する画像形成ユニット1Kでは、感光体ドラム12が回転しながら、予め定められた電位で帯電された後に走査露光される。それにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色トナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット1Y,1M,1Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像が形成される。
【0015】
各画像形成ユニット1で形成された各色のトナー像は、回転駆動される中間転写ベルト13上に、一次転写ロール17により順次静電吸引される。これにより中間転写ベルト13には各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。そして、中間転写ベルト13上の重畳トナー像は、中間転写ベルト13の移動に伴って二次転写部19に搬送される。
一方で、用紙収容部41に積載された用紙Sは、繰り出しロール43によって繰り出され、捌きロール45によって捌かれて搬送される。さらに、捌かれた用紙Sはレジロール47によって二次転写部19へと供給される。
重畳トナー像は、二次転写部19が形成する転写電界の作用により、レジロール47を経て供給される用紙S上に一括して静電転写される。
【0016】
その後、重畳トナー像が静電転写された用紙Sは、中間転写ベルト13から剥離され、定着装置21まで搬送される。定着装置21に搬送された用紙S上のトナー像は、定着装置21によって熱及び圧力による定着処理を受けて用紙S上に定着される。定着画像が形成された用紙Sは、エグジットセンサ22によって検知された後、胴内排出ロール23によって胴内積載部51に排出され積載される。
このようにして、画像形成装置100での画像形成がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返される。
【0017】
〔基台60について〕
図3は、画像形成装置100の分解斜視図である。
図3に示す画像形成装置100は、筺体50の下側に位置し、基台本体60aが筐体50と切り離し可能な基台60を備えている。すなわち、基台60の上に筐体50が固定される構造が採用されている。より具体的には、基台60は、上方に配置される用紙供給部40を受けて着脱可能に固定するための固定部である固定孔69a、固定ピン69b、支持板69cを有する(図5の(a)参照)。
このため、画像読取装置30や胴内積載部51、用紙供給部40等の位置がより高くなり、ユーザの使い勝手が向上する。なお、画像形成装置100が備える比較的重量のある部品は、筐体50の下側に配置されていることから、重心が下方に位置する。
基台60の底面には、画像形成装置100を移動する際に用いられるキャスター(車輪)61が取り付けられている(図1または図5の(a)参照)。すなわち、基台60の底面と床面FL(図6の(b)参照)との間に空間が形成されている。このため、後述の空気清浄部(空気清浄機)70の作動に伴う床面FL(図6の(b)参照)の埃の巻き上げ等を防ぐことが可能である。
筐体50および基台60は、装置本体部の一例である。
【0018】
さらに説明すると、画像形成ユニット1、用紙供給部40および空気清浄部70を備える画像形成装置100において、空気清浄部70の上側に用紙供給部40が位置し、用紙供給部40の上側に画像形成ユニット1が位置する。
言い換えると、画像形成ユニット1と用紙供給部40とが互いに隣接し、かつ、空気清浄部70は画像形成ユニット1から遠く離れて位置する。このように、空気清浄部70を画像形成装置100の内部に配設した場合であっても、用紙供給部40から画像形成ユニット1までの用紙搬送路長が長くなることを防ぐ。これにより、プリント印刷開始ボタンを押してから最初の一枚目のコピーまたはプリントが排出されるまでの所要時間を短くすることが可能になる。
【0019】
また、画像形成装置100において、空気清浄部70を多段の用紙供給部40よりも下方に位置させることで空気清浄部70をより低く配設している。このため、空気清浄部70の作動音の周囲への影響を低減させることが可能になる。
また、一般的には、空気清浄部70が備える後述の各種のフィルター81,82,83を交換する作業等を行う頻度はあまり高くなく、それよりもむしろ用紙供給部40に用紙を補給する頻度の方が高い。したがって、画像形成装置100の長期にわたる使用に伴ってユーザがメンテナンスを行う頻度が高い用紙供給部40を、そのような頻度が低い空気清浄部70よりも上側に位置することで、ユーザの使い勝手を向上させることが可能になる。
【0020】
また、画像形成装置100において、より低い位置で空気清浄部70に空気を吸入すると共に空気清浄部70により清浄された空気をより高い位置に排出する構造を採用することにより、空気清浄部70の清浄機能をより発揮させることが可能になる。付言すると、空気清浄部70を基台60の上下二段の下段に配設する構成例の場合(図6の(b)参照)は、より効果的である。
また、空気清浄部70の上側に位置する用紙供給部40の空気を空気清浄部70に吸入する構造を採用することで、用紙供給部40にて生ずる紙粉を効率的に除去することが可能である。
【0021】
〔オプション設定について〕
本実施の形態に係る基台60は、複数段の収容部(トレイ)を有する。すなわち、基台60は、上下二段の構造になっている。基台60の上下二段の各段を任意の構成とすることが可能である。
さらに説明すると、筐体50に取り付けられる画像形成部10等の構成を変更することなく、基台60の上段および下段に装着する各々の物品をオプション設定としている。例えば、用紙収容部41や空気清浄部70、前面カバー(ダミーカバー)62、シュレッダー(不図示)等の中からユーザが基台60の上段および下段に装着する物品を事前に選択することになる。
ここにいう空気清浄部70は、吸入した空気を清浄して排出する機能を実現するための物品である。ここにいう前面カバー62は、基台60の内部を覆うための物品である。ここにいう不図示のシュレッダーは、廃棄する用紙を細断処理する物品である。
【0022】
ここで、オプションとして組み合わせできる設定例を具体的に説明する。
図4は、基台60のオプション設定例を説明する概略斜視図であり、(a)は、第1のオプション設定例であり、(b)は第2のオプション設定例であり、(c)は第3のオプション設定例である。
図4の(a)に示す第1のオプション設定例は、空気清浄部70を基台60の上段に装着してその下段に前面カバー62を装着する構成であり、上述の図3に示す構成と同じである。
【0023】
図4の(b)に示す第2のオプション設定例は、外付けの給紙トレイとしての用紙収容部41を基台60の上下段の各々に装着する構成である。なお、用紙収容部41を基台60の上段に装着してその下段に前面カバー62を装着する構成も考えられる。
【0024】
このように、図4の(a)および(b)に示すように、用紙収容部41と空気清浄部70のいずれかを選択するオプションが設定されている。空気の清浄よりも給紙容量の拡大を希望するユーザは前者を選択することになり、また、給紙容量の拡大よりも空気の清浄を希望するユーザは後者を選択することになる。
かかるオプション設定によって、ユーザの目的に応じて個々に最適な機能を提供することが可能になる。
なお、図示はしないが、基台60の上段に空気清浄部70を装着して下段に前面カバー62を装着する構成が考えられる。
【0025】
このようなオプション設定を行う場合には、用紙収容部41を取り付ける構造部材と空気清浄部70を取り付ける構造部材とを共用化することにより、コスト上昇を抑制することが可能になる。ここにいう共用化する構造部材としては、例えば、後述のレール部材63を挙げることができる。
付言すると、このレール部材63は、画像形成装置100の正面視で左側に配置されているものであり、右側に配置されている不図示のレール部材は、共用化されていない。
【0026】
図4の(c)に示す第3のオプション設定例は、基台60の上下段に前面カバー62を装着する構成である。かかる場合には、画像形成装置100を使用する際に用いる物などを収容する空間が基台60に形成される。このため、基台60に、例えば用紙供給部40に収容される用紙(消耗品)の予備を収容するという使い方が考えられる。
なお、上述の第1のオプション設定例における基台60の下段についても、同様の使い方が考えられる。
【0027】
当然ながら、基台60のオプション設定例は、上述のものには限られず、他のオプション設定例も考えられる。例えば、基台60の上段に用紙収容部41を装着して下段に空気清浄部70を装着する構成などである。なお、空気清浄部70を基台60のデッドスペースに配置する変形例も考えられる。
なお、基台60を一段の構造とすることが考えられ、また、基台60を例えば上中下三段の構造とすることも考えられる。
【0028】
〔空気清浄部70の構成〕
図5は、基台60に空気清浄部70を実装した場合の構成を説明する斜視図である。同図の(a)は、基台60から空気清浄部70を引き出してフィルターカバー84を約90度回転させて開けた状態を示し、(b)は、フィルターカバー84を閉じた状態を部分的に示す。なお、図5の(a)は、基台60の上段に空気清浄部70を実装する場合を示す一方で、同図の(b)は、基台60の下段に空気清浄部70を実装する場合を示す。
図5の(a)に示すように、空気清浄部70は、組み立てられた状態(設置状態)において基台60から分離可能な部品と、使用状態において基台60に固定された部品と、を備えている。より具体的には、空気清浄部70は、基台60から分離可能な部品として、基台60から引き出し可能な引き出し部(カセット部)71を備えている。引き出し部71の構成については後述する。
【0029】
ここにいう基台60に固定された部品としては、給電を必要としない部材である各種の機構部品と、給電を必要とする部材である各種の電気/電子部品と、に分類することができる。より具体的に説明すると、基台60に固定された各種の機構部品としては、引き出し部71を基台60に対して相対移動可能に保持するものを含む。その例としては、引き出し部71を保持するためのレール部材63を挙げることができる。
また、使用状態において基台60に固定された各種の機構部品として、空気の流れに関するものを含む。その例としては、基台60の背面に配設され、空気の流れを斜め上方に変更する排気ルーバー(外部ルーバー、リヤルーバー)67を挙げることができる(図6の(b)参照)。
【0030】
また、使用状態において基台60に固定された各種の電気/電子部品としては、例えば風を送るための送風機としての送風ファン64a(図5の(a)参照)を挙げることができる。また、かかる各種の電気/電子部品としては、画像形成装置100への電力供給をON/OFFする主電源スイッチ65(図5の(b)参照)や、空気清浄部70等の状態を発光により示すLED66(図5の(b)参照)を挙げることができる。
【0031】
より詳細に説明すると、基台60において、引き出し部71は、配線が必要となる各種の電気/電子部品を備えていない。このため、引き出し部71に電気部品を備える場合の基台60に対して移動することに伴う配線処理の対策が不要になり、設計条件を緩和させることが可能になり、また、より簡素な構造を採用することが可能になる。
【0032】
空気清浄部70は、引き出し部71の前面に位置する前開口72aを有する前面板72と、引き出し部71の内部に形成され、前面板72の前開口72aにつながる通路(フィルター用ダクト)73と、を備えている。また、空気清浄部70は、引き出し部71の後ろ側(奥側)に位置し、通路73につながる後ろ開口74aを形成する後面板(中間ダクト)74を備えている。本実施の形態では、前開口72a、通路73および後ろ開口74aは、空気清浄部70の引き出し部71に形成されている。
このように、引き出し部71の前開口72a、通路73および後ろ開口74aによって、空気清浄部70にて空気を吸入して排気するエアダクトの一部が形成される。
【0033】
ここで、引き出し部71の通路73には、空気を清浄(濾過)するための各種の空気清浄部材が配置されている。本実施の形態では、各種の空気清浄部材として、プレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83が順に配置されている。
プレフィルター81は、通路73の最も上流に位置し、吸入した空気から塵や埃を除去するためのものである。プレフィルター81は、次のフィルターである消臭フィルター82の性能を維持するために設けられるものである。
消臭フィルター82は、プレフィルター81とバイオフィルター83との間に位置するものであり、空気の流路方向に互いに離間して2つ設けられている。また、バイオフィルター83は、消臭フィルター82の下流側に位置し、ウイルス等を除去するためのものである。
プレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83は、清浄部材の一例である。
【0034】
付言すると、空気清浄部70については、引き出し部71を引き出して各種のフィルター81,82,83の交換などのメンテナンス作業が行われる。これらフィルター81,82,83は、画像形成部10が画像形成する頻度に伴う作業を行うことになる操作部を有する筐体50に操作部を操作する者が接近(アクセス)する方向と同じ方向に接近(アクセス)して保守可能なものである。ここにいう操作部としては、交換部品や保守メンテナンスのカバー、用紙収容部41等を含む概念である。また、操作部の操作としては、交換部品の交換や保守メンテナンスのカバー開閉、用紙補給のための用紙収容部41の引き出し等を含む概念である。
すなわち、筐体50に内蔵されている画像形成部10や画像読取装置30等(図1参照)についてユーザが操作する側と同一の側にて、各種のフィルター81,82,83の交換が行われる(例えば図4参照)。言い換えると、空気清浄部70は、画像形成部10等についてユーザが操作する側と同一の側にて交換が可能な各種のフィルター81,82,83で清浄して排出するものである。このような構成によって、空気清浄部70のメンテナンス作業を容易に行うことができ、また、空気清浄部70を備えた画像形成装置100を設置する場所が制限されてしまうことを防ぐことができる。
ここにいう画像形成部10等についてユーザが操作する側とは、例えばUI操作部52を操作する際に画像形成装置100に対してユーザが位置する側(面)や、用紙収容部41を引き出して用紙Sを補充する際に画像形成装置100に対してユーザが位置する側を含む概念をいい、また、紙詰まりした用紙Sを取り除く際に画像形成装置100に対してユーザが位置する側も含まれる。
【0035】
〔空気清浄部70の空気の流れ〕
図6は、空気清浄部70による空気の流れを説明する図である。同図の(a)は、基台60の概略平面図(概略横断面図)であり、平面視での風の流れを説明するための図である。図6の(b)は、基台60の概略右側面図(概略縦断面図)であり、上下方向の風の流れを説明するための図である。なお、図6の(b)では、空気清浄部70が基台60の上下二段の下段(最下段)に実装されると共に上段に用紙収容部41が実装される構成例を示している。
図6の(a)または(b)に示すように、本実施の形態に係る空気清浄部70では、基台60の前側から吸入された空気が基台60の後ろ側から排出される構造が採用されている。すなわち、基台60の後ろ側に、2つの送風ファン64aを横並びに保持するファン保持部(ファン用ダクト)64が設けられている。そして、ファン保持部64の送風ファン64aを基台60の後ろ側に風を送るように動作させることで、基台60外の空気が基台60の前側から吸入されるという空気の流れが形成される。
【0036】
引き出し部71の前開口72aから吸入された基台60外の空気は、上述したように、引き出し部71において各種のフィルター81,82,83を通過して清浄される。そして、清浄された空気は、引き出し部71の後ろ開口74aから基台60のファン保持部64へと流れ、最後にファン保持部64から排気ルーバー67を通って基台60外に排気される。これらの空気の流れは、送風ファン64aにより実現される。
【0037】
空気清浄部70の引き出し部71は、プレフィルター81と消臭フィルター82との間に位置し、空気の流れを整える内部ルーバー85aと、消臭フィルター82とバイオフィルター83との間に位置し、空気の流れを整える内部ルーバー85bと、を備えている。
なお、引き出し部71の後面板74は、吸入された空気の下流側に行くに従って流路面積が狭くなる絞り形状に形成されている。ここにいう後面板74の絞り形状は、幅方向Wに狭くなるものであり(図6の(a)参照)、高さ方向Hに狭くなっていないが(図6の(b)参照)、高さ方向Hにも狭くする構成例も考えられ、また、高さ方向Hのみを狭くする構成例も考えられる。なお、後面板74に絞り形状を形成しない構成例も考えられる。
【0038】
また、図6の(b)に示すように、基台60の前側では、床面FLの近くに位置する空気清浄部70の引き出し部71の前開口72aから空気が取り込まれる。また、基台60の後ろ側では、床面FLと略平行に進みながら清浄された空気が上述の排気ルーバー67によって機外において斜め上方に向かう。機外に排気された空気は、画像形成装置100の背面に対向して位置する壁面WLに沿って上昇する。このため、清浄された空気を、画像形成装置100が設置されている周辺にて効率的に循環させることが可能になる。
【0039】
また、本実施の形態では、排気ルーバー67により機外において斜め上向きに向かう空気の流れを形成しているが、かかる空気の流れを、排気ルーバー67の代わりにまたは排気ルーバー67と共に、送風ファン64aを上向き配置することにより形成することも考えられる。
【0040】
なお、本実施の形態では、上述のとおり、基台60の前側から吸入された空気が基台60の後ろ側から排出される構造を採用するが、基台60の後ろ側から吸気し、基台60の前側から排気する構造を採用することも考えられる。すなわち、壁面WLに沿って降下してくる空気を吸気し、清浄した後に床面FLに沿って排気するという風の流れを形成する構造である。そのような場合には、送風ファン64aの配置を逆向きにし、かつ、プレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83の配置を画像形成装置100の奥行き方向D(図3参照)で反対に配列する。
【0041】
ここで、送風ファン64aは、基台60の後ろ側に位置する一方で、主電源スイッチ65およびLED66は、基台60の前側に位置する(図5の(b)参照)。そのため、主電源スイッチ65用のハーネス65aおよびLED66用のハーネス66aが基台60の後ろ側から前側に延びている。このように、基台60には、奥行き方向Dにハーネス65a,66aを配設するための空間K(矩形の破線参照)が設定されている。
また、主電源スイッチ65は、引き出し部71を基台60に収容すると前面板72により隠れる(例えば図2参照)。すなわち、主電源スイッチ65を操作する際には、引き出し部71を基台60から引き出して行うことになる(図5の(b)参照)。通常時の使用頻度が低い主電源スイッチ65を、通常の状態で露出させない構造を採用することで、外観デザインが向上する。
【0042】
また、LED66は、主電源スイッチ65に近接して配設されている。すなわち、本実施の形態では、引き出し部71にLED66を取り付ける構造を採用しておらず、また、引き出し部71を基台60に収容するとLED66が引き出し部71の前面板72により覆われて隠れてしまい、見ることができなくなる。このため、本実施の形態では、LED66の位置に対応して前面板72に表示窓75を形成している(図5の(a)参照)。すなわち、引き出し部71を基台60に収容した状態では、前面板72の表示窓75を通してLED66の光を見ることができる。
このように、通常の状態では隠れてしまうLED66による表示を、機外から目視できるように構成されている。
基台60のLED66は、表示部の一例であり、基台60の主電源スイッチ65は、電源操作部の一例であり、引き出し部71の表示窓75は、透光部の一例である。
【0043】
さらに説明すると、前面板72の表示窓75を、前面板72を貫通する穴により形成した上で、その穴にレンズ部材75aが埋め込まれている(図5の(b)参照)。このため、LED66による表示窓75を通じた光を機外から容易に視認することが可能になる。
なお、空気清浄部70の作動/停止の操作は、画像形成装置100のUI操作部52(図2参照)を通じて行うことになる。そして、空気清浄部70の作動時にはLED66が例えば青く光り、空気清浄部70の停止時にはLED66が例えば赤く光る。このようなLED66の光は、前面板72の表示窓75から視認される。
【0044】
図5に戻って説明を続ける。同図に示すように、引き出し部71の通路73に配置されているプレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83は、取り外し可能である。すなわち、これらプレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83は、通路73を横断する方向(引き出し部71の幅方向W)にスライド可能であり、これにより、引き出し部71から分離可能である。
【0045】
より具体的に説明すると、プレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83が引き出し部71の側面71aから引き抜く構造を採用している。すなわち、プレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83は、引き出し部71が引き出される方向に対して交差する方向に引き抜かれる。
この引き出し部71の側面71aには、引き出し部71に対して回転可能なフィルターカバー84が取り付けられている。このため、プレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83をメンテナンスする際には、引き出し部71を基台60から引き出した後に、フィルターカバー84を開けた後に行うことになる。
【0046】
図7は、基台60から排出された空気の流れを説明する図であり、画像形成装置100の概略背面図である。なお、同図では、空気清浄部70が基台60の上下二段の上段(最上段)に実装される構成例を示している。
上述したように、空気清浄部70により清浄されて排出された空気は、画像形成装置100の外にて壁面WLに沿って上昇する(図6の(b)参照)。その際に、図7に示すように、壁面WLに沿って上昇する空気が、定着装置21(図1参照)等から排気される空気を巻き込まないように、排気ルーバー67の位置を設計している。
すなわち、基台60の排気ルーバー67は、画像形成装置100の平面視で、筐体50の背面外面に形成される排気口53,54からずれて位置する。言い換えると、排気ルーバー67は、装置背面において排気口53,54とは装置幅方向(図7の左右方向)にずれて位置する。これにより、排気ルーバー67から排気された清浄済み空気を汚さずに画像形成装置100周りに循環させることが可能になる。
【0047】
付言すると、画像形成装置100の外にて壁面WLに沿って上昇する空気の流れ領域として、画像形成装置100の背面に高さ方向H(上下方向)に延びる不図示の凹部を形成することも考えられ、また、画像形成装置100の背面に高さ方向Hに延びる不図示のダクトを配設することも考えられる。
【0048】
〔空気清浄部70のエアダクト分割構造〕
図8は、引き出し部71を引き出した状態を説明する概略平面図であり、図6の(a)に対応するものである。
図8に示すように、空気清浄部70の引き出し部71を基台60に対して引き出すと、引き出し部71の後面板74は、それまで接続していたファン保持部64から離れる。そして、引き出し部71を奥まで押し入れて基台60に対して装着されると、引き出し部71の後面板74がファン保持部64に接続し、一連のダクトとして機能する。すなわち、本実施の形態では、引き出しタイプのダクト構造を採用する。
なお、引き出し部71を引き出しても、主電源スイッチ65用のハーネス65aやLED66用のハーネス66a等の配線材が動くことはない。
【0049】
さらに説明すると、上述のように、空気清浄部70にて空気を吸入して排気するエアダクトが基台60の内部に形成されるが、本実施の形態では、上述したように、送風ファン64aを引き出し部71ではなく、基台60に取り付けている構造を採用する。このため、送風ファン64aの上流側の位置で、基台60内のエアダクトを分割する必要がある。本実施の形態では、引き出し部71が基台60から引き出されると、エアダクトが各種のフィルター81,82,83と送風ファン64aとの間で分割される構造を採用している。
なお、各種のフィルター81,82,83は引き出し部71が備え、送風ファン64aは基台60が備える。
【0050】
なお、引き出し部71を基台60から引き出す際に引き出し部71が基台60から引き抜かれてしまうことを防止するために、引き出し部71は、基台60と係合することでユーザによる引き出し動作を停止するストッパ76を備えている。
【0051】
図9は、引き出し部71の後面板74と基台60のファン保持部64との位置関係を説明する図である。同図の(a)は、引き出し部71の後面板74が基台60のファン保持部64から離れている状態を示し、(b)は、引き出し部71の後面板74が基台60のファン保持部64に係合している状態を示す。また、同図の(c)は、ファン保持部64を説明する斜視図である。
図9の(a)および(b)に示すように、基台60のファン保持部64は、引き出し部71の後面板74と係合する側に、スポンジ部材64bが取り付けられている。より具体的に説明すると、基台60のファン保持部64における吸気側の開口部の内周面に全周にわたってスポンジ部材64bが貼り付けられている。このように、本実施の形態では、引き出し部71の後面板74と基台60のファン保持部64との連結部にスポンジシーリングを採用している。
【0052】
そして、引き出し部71が引き出されている状態では、図9の(a)に示すように、引き出し部71の後面板74はスポンジ部材64bから離間する。また、引き出し部71が収容されている状態では、図9の(b)に示すように、引き出し部71の後面板74はスポンジ部材64bを押圧する。
【0053】
このように、引き出し部71の後面板74が基台60のファン保持部64に入り込むようにスポンジ部材64bと係合する構造を採用する。このため、本実施の形態では、圧力損失の問題が生じるものの、後面板74を小型にすることが可能になり、基台60内の省スペースが可能になる。
ファン保持部64は、第1の空気流路部の一例である。また、前面板72、通路73および後面板74は、第2の空気流路部の一例である。
【0054】
図9の(c)に示すように、ファン保持部64は、内周面に形成されている複数のリブ64cを有する。このリブ64cは、空気の流れの方向に沿って延びている。そして、このリブ64cは、スポンジ部材64bを貼り付ける領域を確保するためのものである。すなわち、ファン保持部64の流路面積がより広くなるようにファン保持部64の板厚を薄くするとスポンジ部材64bを貼り付けるために必要な領域を確保できないという事情に鑑み、リブ64cを形成する構成を採用している。このように、本実施の形態では、ファン保持部64の内周面にリブ64cを形成することにより、ファン保持部64の流路面積を確保しつつスポンジ部材64bを貼り付ける領域をも確保している。
【0055】
〔空気清浄部70における引き出し部71の位置決め等〕
次に、空気清浄部70の引き出し部71を基台60に対して位置決めする構造について説明する。
図10は、引き出し部71を位置決めする構造を説明する部分拡大図である。同図の(a)は、基台60のファン保持部64が引き出し部71の後面板74と離間している状態を示し、(b)は、基台60のファン保持部64が引き出し部71の後面板74と係合している状態を示す。
引き出された引き出し部71が基台60に挿入されると、図10の(a)に示すように、引き出し部71の後ろ側に配設された第1位置決めピン91(例えば図8参照)は、基台60に取り付けられた板状の第1受け部92に受け入れられる。
より具体的に説明すると、第1受け部92は、基台60の前側に開口する切欠き部92aが形成されており、この切欠き部92aに第1位置決めピン91が進入することにより、引き出し部71が基台60に対して位置決めされる。
引き出し部71の第1位置決めピン91は、係合部の一例であり、また、基台60の第1受け部92は、位置決め部の一例である。
【0056】
付言すると、図10の(a)の状態では、引き出し部71の後面板74はスポンジ部材64bに接触していない。また、同図の(a)の状態では、引き出し部71の前側に配設された第2位置決めピン93(例えば図8参照)は、基台60に取り付けられた第2受け部94と係合していない。
なお、第1受け部92は、レール部材63の後方部分に形成されている。また、第2受け部94は、レール部材63の前方部分に形成されている。第2受け部94は、第2位置決めピン93の外径よりも小さい寸法の形状の部分を持っている(図10の(a)参照)。
【0057】
第1位置決めピン91および第2位置決めピン93は、引き出し部71の幅方向Wの片側のみに配設されている。より具体的には、本実施の形態では、第1位置決めピン91および第2位置決めピン93は、引き出し部71を正面視した場合(例えば図6において左側から見た場合)に左側だけに配設されている。
また、第1位置決めピン91および第2位置決めピン93は、引き出し部71の幅方向Wの位置が互いに異なるように配設されている。
【0058】
図10の(a)の状態からさらに引き出し部71が基台60に挿入されると、同図の(b)に示すように、引き出し部71の第1位置決めピン91は、基台60の第1受け部92の切欠き部92aに案内されながら奥に進むと共に、引き出し部71の第2位置決めピン93は、基台60の第2受け部94と嵌合して係合する。これにより、引き出し部71は、基台60の奥まで押し入れられて、基台60に収容される位置にセットされる。
図10の(b)の状態では、引き出し部71の後面板74はファン保持部64のスポンジ部材64bに係合し、後面板74とファン保持部64とが一連のダクトとして機能する。
【0059】
このような空気清浄部70における位置決めによって、レンズ部材75aが埋め込まれている引き出し部71の表示窓75と基台60のLED66との間の位置決めが行われることになる。このため、ユーザによるLED66の光の表示窓75を通じた視認がより確実に行われ得る。
【0060】
ここで、基台60は、引き出し部71の奥側に位置する被検出片77を検出するための検出センサ68を備えている。この検出センサ68は、基台60から引き出されていた引き出し部71が基台60に収容されると、被検出片77を検出する。
本実施の形態では、ボタン式の検出センサ68を採用している。検出センサ68のボタンが引き出し部71の被検出片77により押されなくなると(図10の(a)参照)、ファン保持部64の送風ファン64aへの給電を強制的に遮断する構成(ハード的な構成)を採用する。これにより送風ファン64aが停止し、引き出し部71が引き出された状態でのユーザに対する安全性が確保される。
なお、検出センサ68のボタンが引き出し部71の被検出片77により押されると(図10の(b)参照)、ファン保持部64の送風ファン64aへの給電が可能な状態に戻る。
【0061】
かかる被検出片77および検出センサ68を採用する構成を、空気清浄部70以外の例えば用紙収容部41に適用することが考えられる。そのような場合には、用紙収容部41を引き出したときに引き出し部71の送風ファン64aが停止するので、ユーザに対する安全性が確保される。なお、用紙収容部41が基台60にセットされることで、ファン保持部64の送風ファン64aへの給電が可能な状態に戻る。
【0062】
また、検出センサ68は、ボタンが押されていることを示す信号を制御部20に出力し、ボタンが押されていないときには、その信号を制御部20に出力しない。このため、制御部20は、検出センサ68からの信号出力の有無により、引き出し部71の抜き差し状態を検出することができる(ソフト的な検出)。したがって、制御部20は、検出センサ68からの信号出力がないときには、引き出し部71が基台60から引き出されていると判定し、例えば、UI操作部52(図2参照)にその旨を表示する。
【0063】
ここで、本実施の形態について種々の変形例が考えられる。すでに既述したもののほかに、次のような変形例も考えられる。
図11は、後面板74とファン保持部64とが互いに係合する部分についての変形例を説明する図であり、図9に対応する図である。すなわち、図11に示す変形例は、引き出し部71の後面板74と基台60のファン保持部64との位置関係を説明する図である。そして、図11の(a)は、基台60のファン保持部64が引き出し部71の後面板74と離間している状態を示し、(b)は、基台60のファン保持部64が引き出し部71の後面板74と係合している状態を示す。
図11に示す変形例では、引き出し部71の後面板74は、後ろ開口74aに形成されたフランジ部74bを備え、また、ファン保持部64は、空気の流れ方向の上流端(同図の左側の端部)に形成されたフランジ部64dを備えている。そして、上述のスポンジ部材64bは、ファン保持部64のフランジ部64dに貼り付けられている。
図11に示す一変形例の場合には、空気清浄部70を設置する際のスペースをより広く必要とするものの、図9の場合に生じる圧力損失の問題を解消することができ、より多くの風量を確保することが可能になる。
【0064】
このように、本実施の形態では、内部を空気が流れる空気流路部の保守・点検作業を容易に行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0065】
10…画像形成部、41…用紙収容部、50…筺体、60…基台、60a…基台本体、64…ファン保持部、64a…送風ファン、65…主電源スイッチ、66…LED、68…検出センサ、69a…固定孔、69b…固定ピン、69c…支持板、71…引き出し部、72…前面板、72a…前開口、73…通路、74…後面板、75…表示窓、77…被検出片、81…プレフィルター、82…消臭フィルター、83…バイオフィルター、91…第1位置決めピン、92…第1受け部、100…画像形成装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、第1の端部に吸気口を有するとともに第2の端部に排気口を有するように構成されるダクトと、ダクトの内部に配置されるイオン発生装置と、ダクトに連通する開口孔を有するとともに、筐体に取り付け可能に構成されており、かつ、筐体に取り付けられた時に筐体の一部として機能するように構成されるダクト取り付け板と、を備えるイオン発生ユニットの構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−107458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、画像形成装置に空気清浄機能を持たせる構成を採用する場合に、画像形成装置を使用するユーザが空気清浄機能の保守を行い易いように配慮する必要がある。
【0005】
本発明は、内部を空気が流れる空気流路部の保守・点検作業を容易に行うことが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、装置本体部と、前記装置本体部に対して引き出し可能に設けられた引き出し部と、前記装置本体部に設けられると共に吸入された空気又は排気される空気が内部を流れる第1の空気流路部と、前記引き出し部に設けられると共に、当該引き出し部が前記装置本体部に対して装着されることで前記第1の空気流路部と接続し、当該第1の空気流路部を通過した空気又は当該第1の空気流路部へ向かう空気が内部を流れる第2の空気流路部と、を含む画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記第1の空気流路部は、前記第2の空気流路部に対する位置決めに用いられる位置決め部を備え、前記第2の空気流路部は、当該第2の空気流路部の空気流路が前記第1の空気流路部に接続する前に当該第1の空気流路部の前記位置決め部と係合する係合部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記装置本体部は、光を用いて表示する表示部と当該装置本体部への電源供給をON/OFFする電源操作部とを備え、前記第2の空気流路部は、前記装置本体部の前記表示部および前記電源操作部を覆う部材を備え、前記第2の空気流路部の前記覆う部材は、前記表示部に対応する位置に当該表示部の光を透す透光部を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記第2の空気流路部が引き出されることに伴い、前記第1の空気流路部が備える送風機への給電を遮断する遮断手段をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記画像形成装置が備える引き出し可能な部材が引き出されることに伴い、前記第1の空気流路部が備える送風機への給電を遮断する遮断手段をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記第2の空気流路部は、給電を必要とする部品を備えておらず、前記第1の空気流路部は、空気清浄の際に用いられる給電を必要とする部品を備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、前記第2の空気流路部は、吸入した空気を清浄する清浄部材を備え、前記清浄部材は、前記第2の空気流路部が引き出された状態にて当該第2の空気流路部が引き出される方向に対して交差する方向へ引き抜き可能であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1によれば、本発明を採用しない場合に比べて、内部を空気が流れる空気流路部の保守・点検作業を容易に行うことが可能になる。
請求項2によれば、本発明を採用しない場合に比べて、第2の空気流路部を装置本体部に収容する際の操作性を向上させることが可能になる。
請求項3によれば、本発明を採用しない場合に比べて、表示部の光を視認可能に構成することが可能になる。
請求項4によれば、本発明を採用しない場合に比べて、ユーザが内部にアクセス可能な場合の安全性を向上させることが可能になる。
請求項5によれば、本発明を採用しない場合に比べて、ユーザが内部にアクセス可能な場合の安全性を向上させることが可能になる。
請求項6によれば、本発明を採用しない場合に比べて、配線材の引き回しについての設計時の負担を軽減させることが可能になる。
請求項7によれば、本発明を採用しない場合に比べて、清浄部材の交換作業を容易に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本実施の形態が適用される画像形成装置の外観を示す概略斜視図である。
【図3】画像形成装置の分解斜視図である。
【図4】基台のオプション設定例を説明する概略斜視図である。
【図5】基台に空気清浄部を実装した場合の構成を説明する斜視図である。
【図6】空気清浄部による空気の流れを説明する図である。
【図7】基台から排出された空気の流れを説明する図である。
【図8】引き出し部を引き出した状態を説明する概略平面図である。
【図9】引き出し部の後面板と基台のファン保持部との位置関係を説明する図である。
【図10】引き出し部を位置決めする構造を説明する部分拡大図である。
【図11】後面板とファン保持部とが互いに係合する部分についての変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔画像形成装置100の概略構成〕
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置100の概略構成図であり、図2は、その外観を示す概略斜視図である。
図1および図2に示す画像形成装置100は、所謂タンデム型のカラープリンタである。この画像形成装置100は、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成部(記録材処理部)10と、画像形成装置100全体の動作を制御する制御部20と、を備えている。また、画像形成装置100は、画像形成装置100の上方側に設けられ、原稿の画像を読み取るスキャナにより構成される画像読取装置(画像読取部)30を備えている。さらに、画像形成装置100は、画像形成部10に用紙Sを供給する用紙供給部40を備えている。
【0010】
ここで、画像形成装置100の各構成部材は、筺体50の内部に収容されている。また、画像読取装置30の下方であって筺体50の上部の面には、胴内積載部51が設けられている。この胴内積載部51は、画像形成部10によって画像が形成された用紙Sが積載される積載面をもつものである。
【0011】
画像形成部10には、一定の間隔をおいて並列的に配置される4つの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kが備えられている。各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、静電潜像を形成してトナー像を保持する感光体ドラム12を備えており、いわゆる電子写真方式によってトナー像を形成する。
ここで、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、現像装置に収納されるトナーを除いて、同様に構成される。そして、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。このようなことから、以下の説明においては、画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの各構成についてはそれぞれ「Y」、「M」、「C」、「K」という符号を付して区別するが、区別する必要のないときは、これらの符号は付さない。
【0012】
また、画像形成部10は、各画像形成ユニット1の感光体ドラム12上に形成された各色トナー像が転写される中間転写ベルト13を備えている。また、画像形成部10は、各画像形成ユニット1にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト13に順次転写(一次転写)する一次転写ロール17を備えている。さらに、画像形成部10は、中間転写ベルト13上に重畳して形成された各色トナー像を記録材(記録紙)である用紙Sに一括転写(二次転写)する二次転写部19と、二次転写された各色トナー像を用紙Sに定着させる定着装置21と、を備えている。
さらにまた、画像形成部10は、定着装置21によってトナー像が定着された用紙Sの通過を検知するエグジットセンサ22を備えている。さらにまた、このエグジットセンサ22を通過した用紙Sを胴内積載部51に排出する胴内排出ロール23を備えている。
【0013】
用紙供給部40は、用紙収容部(給紙カセット)41、繰り出しロール43、捌きロール45及びレジロール47を備えている。用紙収容部41は、用紙Sを収容する。繰り出しロール43は、用紙収容部41の上部に配設され、用紙収容部41に収容される用紙Sの束のうち、最上位の用紙Sを繰り出す。捌きロール45は、繰り出しロール43にて繰り出された用紙Sを1枚ずつに捌いて搬送する。また、レジロール47は、捌きロール45によって捌いて搬送された用紙Sを一旦停止させ、タイミングを合わせて回転を再開することにより二次転写部19に対して用紙Sを供給する。
本実施の形態では、用紙供給部40の一部を構成する用紙収容部41を2つ備え、これら2つの用紙収容部41は、上下に配置されている(多段構造、複数段構造)。
なお、画像形成装置100は、ユーザに通知する表示を行うと共にユーザが操作可能なUI操作部52を備えている。
画像形成部10は画像形成部の一例である。
【0014】
次に、画像形成装置100の動作について説明をする。
画像形成装置100が画像形成動作を開始すると、画像読取装置30等から入力された画像データは、予め定められた画像処理が施された後、各画像形成ユニット1に送られる。そして、例えば黒(K)色トナー像を形成する画像形成ユニット1Kでは、感光体ドラム12が回転しながら、予め定められた電位で帯電された後に走査露光される。それにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色トナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット1Y,1M,1Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像が形成される。
【0015】
各画像形成ユニット1で形成された各色のトナー像は、回転駆動される中間転写ベルト13上に、一次転写ロール17により順次静電吸引される。これにより中間転写ベルト13には各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。そして、中間転写ベルト13上の重畳トナー像は、中間転写ベルト13の移動に伴って二次転写部19に搬送される。
一方で、用紙収容部41に積載された用紙Sは、繰り出しロール43によって繰り出され、捌きロール45によって捌かれて搬送される。さらに、捌かれた用紙Sはレジロール47によって二次転写部19へと供給される。
重畳トナー像は、二次転写部19が形成する転写電界の作用により、レジロール47を経て供給される用紙S上に一括して静電転写される。
【0016】
その後、重畳トナー像が静電転写された用紙Sは、中間転写ベルト13から剥離され、定着装置21まで搬送される。定着装置21に搬送された用紙S上のトナー像は、定着装置21によって熱及び圧力による定着処理を受けて用紙S上に定着される。定着画像が形成された用紙Sは、エグジットセンサ22によって検知された後、胴内排出ロール23によって胴内積載部51に排出され積載される。
このようにして、画像形成装置100での画像形成がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返される。
【0017】
〔基台60について〕
図3は、画像形成装置100の分解斜視図である。
図3に示す画像形成装置100は、筺体50の下側に位置し、基台本体60aが筐体50と切り離し可能な基台60を備えている。すなわち、基台60の上に筐体50が固定される構造が採用されている。より具体的には、基台60は、上方に配置される用紙供給部40を受けて着脱可能に固定するための固定部である固定孔69a、固定ピン69b、支持板69cを有する(図5の(a)参照)。
このため、画像読取装置30や胴内積載部51、用紙供給部40等の位置がより高くなり、ユーザの使い勝手が向上する。なお、画像形成装置100が備える比較的重量のある部品は、筐体50の下側に配置されていることから、重心が下方に位置する。
基台60の底面には、画像形成装置100を移動する際に用いられるキャスター(車輪)61が取り付けられている(図1または図5の(a)参照)。すなわち、基台60の底面と床面FL(図6の(b)参照)との間に空間が形成されている。このため、後述の空気清浄部(空気清浄機)70の作動に伴う床面FL(図6の(b)参照)の埃の巻き上げ等を防ぐことが可能である。
筐体50および基台60は、装置本体部の一例である。
【0018】
さらに説明すると、画像形成ユニット1、用紙供給部40および空気清浄部70を備える画像形成装置100において、空気清浄部70の上側に用紙供給部40が位置し、用紙供給部40の上側に画像形成ユニット1が位置する。
言い換えると、画像形成ユニット1と用紙供給部40とが互いに隣接し、かつ、空気清浄部70は画像形成ユニット1から遠く離れて位置する。このように、空気清浄部70を画像形成装置100の内部に配設した場合であっても、用紙供給部40から画像形成ユニット1までの用紙搬送路長が長くなることを防ぐ。これにより、プリント印刷開始ボタンを押してから最初の一枚目のコピーまたはプリントが排出されるまでの所要時間を短くすることが可能になる。
【0019】
また、画像形成装置100において、空気清浄部70を多段の用紙供給部40よりも下方に位置させることで空気清浄部70をより低く配設している。このため、空気清浄部70の作動音の周囲への影響を低減させることが可能になる。
また、一般的には、空気清浄部70が備える後述の各種のフィルター81,82,83を交換する作業等を行う頻度はあまり高くなく、それよりもむしろ用紙供給部40に用紙を補給する頻度の方が高い。したがって、画像形成装置100の長期にわたる使用に伴ってユーザがメンテナンスを行う頻度が高い用紙供給部40を、そのような頻度が低い空気清浄部70よりも上側に位置することで、ユーザの使い勝手を向上させることが可能になる。
【0020】
また、画像形成装置100において、より低い位置で空気清浄部70に空気を吸入すると共に空気清浄部70により清浄された空気をより高い位置に排出する構造を採用することにより、空気清浄部70の清浄機能をより発揮させることが可能になる。付言すると、空気清浄部70を基台60の上下二段の下段に配設する構成例の場合(図6の(b)参照)は、より効果的である。
また、空気清浄部70の上側に位置する用紙供給部40の空気を空気清浄部70に吸入する構造を採用することで、用紙供給部40にて生ずる紙粉を効率的に除去することが可能である。
【0021】
〔オプション設定について〕
本実施の形態に係る基台60は、複数段の収容部(トレイ)を有する。すなわち、基台60は、上下二段の構造になっている。基台60の上下二段の各段を任意の構成とすることが可能である。
さらに説明すると、筐体50に取り付けられる画像形成部10等の構成を変更することなく、基台60の上段および下段に装着する各々の物品をオプション設定としている。例えば、用紙収容部41や空気清浄部70、前面カバー(ダミーカバー)62、シュレッダー(不図示)等の中からユーザが基台60の上段および下段に装着する物品を事前に選択することになる。
ここにいう空気清浄部70は、吸入した空気を清浄して排出する機能を実現するための物品である。ここにいう前面カバー62は、基台60の内部を覆うための物品である。ここにいう不図示のシュレッダーは、廃棄する用紙を細断処理する物品である。
【0022】
ここで、オプションとして組み合わせできる設定例を具体的に説明する。
図4は、基台60のオプション設定例を説明する概略斜視図であり、(a)は、第1のオプション設定例であり、(b)は第2のオプション設定例であり、(c)は第3のオプション設定例である。
図4の(a)に示す第1のオプション設定例は、空気清浄部70を基台60の上段に装着してその下段に前面カバー62を装着する構成であり、上述の図3に示す構成と同じである。
【0023】
図4の(b)に示す第2のオプション設定例は、外付けの給紙トレイとしての用紙収容部41を基台60の上下段の各々に装着する構成である。なお、用紙収容部41を基台60の上段に装着してその下段に前面カバー62を装着する構成も考えられる。
【0024】
このように、図4の(a)および(b)に示すように、用紙収容部41と空気清浄部70のいずれかを選択するオプションが設定されている。空気の清浄よりも給紙容量の拡大を希望するユーザは前者を選択することになり、また、給紙容量の拡大よりも空気の清浄を希望するユーザは後者を選択することになる。
かかるオプション設定によって、ユーザの目的に応じて個々に最適な機能を提供することが可能になる。
なお、図示はしないが、基台60の上段に空気清浄部70を装着して下段に前面カバー62を装着する構成が考えられる。
【0025】
このようなオプション設定を行う場合には、用紙収容部41を取り付ける構造部材と空気清浄部70を取り付ける構造部材とを共用化することにより、コスト上昇を抑制することが可能になる。ここにいう共用化する構造部材としては、例えば、後述のレール部材63を挙げることができる。
付言すると、このレール部材63は、画像形成装置100の正面視で左側に配置されているものであり、右側に配置されている不図示のレール部材は、共用化されていない。
【0026】
図4の(c)に示す第3のオプション設定例は、基台60の上下段に前面カバー62を装着する構成である。かかる場合には、画像形成装置100を使用する際に用いる物などを収容する空間が基台60に形成される。このため、基台60に、例えば用紙供給部40に収容される用紙(消耗品)の予備を収容するという使い方が考えられる。
なお、上述の第1のオプション設定例における基台60の下段についても、同様の使い方が考えられる。
【0027】
当然ながら、基台60のオプション設定例は、上述のものには限られず、他のオプション設定例も考えられる。例えば、基台60の上段に用紙収容部41を装着して下段に空気清浄部70を装着する構成などである。なお、空気清浄部70を基台60のデッドスペースに配置する変形例も考えられる。
なお、基台60を一段の構造とすることが考えられ、また、基台60を例えば上中下三段の構造とすることも考えられる。
【0028】
〔空気清浄部70の構成〕
図5は、基台60に空気清浄部70を実装した場合の構成を説明する斜視図である。同図の(a)は、基台60から空気清浄部70を引き出してフィルターカバー84を約90度回転させて開けた状態を示し、(b)は、フィルターカバー84を閉じた状態を部分的に示す。なお、図5の(a)は、基台60の上段に空気清浄部70を実装する場合を示す一方で、同図の(b)は、基台60の下段に空気清浄部70を実装する場合を示す。
図5の(a)に示すように、空気清浄部70は、組み立てられた状態(設置状態)において基台60から分離可能な部品と、使用状態において基台60に固定された部品と、を備えている。より具体的には、空気清浄部70は、基台60から分離可能な部品として、基台60から引き出し可能な引き出し部(カセット部)71を備えている。引き出し部71の構成については後述する。
【0029】
ここにいう基台60に固定された部品としては、給電を必要としない部材である各種の機構部品と、給電を必要とする部材である各種の電気/電子部品と、に分類することができる。より具体的に説明すると、基台60に固定された各種の機構部品としては、引き出し部71を基台60に対して相対移動可能に保持するものを含む。その例としては、引き出し部71を保持するためのレール部材63を挙げることができる。
また、使用状態において基台60に固定された各種の機構部品として、空気の流れに関するものを含む。その例としては、基台60の背面に配設され、空気の流れを斜め上方に変更する排気ルーバー(外部ルーバー、リヤルーバー)67を挙げることができる(図6の(b)参照)。
【0030】
また、使用状態において基台60に固定された各種の電気/電子部品としては、例えば風を送るための送風機としての送風ファン64a(図5の(a)参照)を挙げることができる。また、かかる各種の電気/電子部品としては、画像形成装置100への電力供給をON/OFFする主電源スイッチ65(図5の(b)参照)や、空気清浄部70等の状態を発光により示すLED66(図5の(b)参照)を挙げることができる。
【0031】
より詳細に説明すると、基台60において、引き出し部71は、配線が必要となる各種の電気/電子部品を備えていない。このため、引き出し部71に電気部品を備える場合の基台60に対して移動することに伴う配線処理の対策が不要になり、設計条件を緩和させることが可能になり、また、より簡素な構造を採用することが可能になる。
【0032】
空気清浄部70は、引き出し部71の前面に位置する前開口72aを有する前面板72と、引き出し部71の内部に形成され、前面板72の前開口72aにつながる通路(フィルター用ダクト)73と、を備えている。また、空気清浄部70は、引き出し部71の後ろ側(奥側)に位置し、通路73につながる後ろ開口74aを形成する後面板(中間ダクト)74を備えている。本実施の形態では、前開口72a、通路73および後ろ開口74aは、空気清浄部70の引き出し部71に形成されている。
このように、引き出し部71の前開口72a、通路73および後ろ開口74aによって、空気清浄部70にて空気を吸入して排気するエアダクトの一部が形成される。
【0033】
ここで、引き出し部71の通路73には、空気を清浄(濾過)するための各種の空気清浄部材が配置されている。本実施の形態では、各種の空気清浄部材として、プレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83が順に配置されている。
プレフィルター81は、通路73の最も上流に位置し、吸入した空気から塵や埃を除去するためのものである。プレフィルター81は、次のフィルターである消臭フィルター82の性能を維持するために設けられるものである。
消臭フィルター82は、プレフィルター81とバイオフィルター83との間に位置するものであり、空気の流路方向に互いに離間して2つ設けられている。また、バイオフィルター83は、消臭フィルター82の下流側に位置し、ウイルス等を除去するためのものである。
プレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83は、清浄部材の一例である。
【0034】
付言すると、空気清浄部70については、引き出し部71を引き出して各種のフィルター81,82,83の交換などのメンテナンス作業が行われる。これらフィルター81,82,83は、画像形成部10が画像形成する頻度に伴う作業を行うことになる操作部を有する筐体50に操作部を操作する者が接近(アクセス)する方向と同じ方向に接近(アクセス)して保守可能なものである。ここにいう操作部としては、交換部品や保守メンテナンスのカバー、用紙収容部41等を含む概念である。また、操作部の操作としては、交換部品の交換や保守メンテナンスのカバー開閉、用紙補給のための用紙収容部41の引き出し等を含む概念である。
すなわち、筐体50に内蔵されている画像形成部10や画像読取装置30等(図1参照)についてユーザが操作する側と同一の側にて、各種のフィルター81,82,83の交換が行われる(例えば図4参照)。言い換えると、空気清浄部70は、画像形成部10等についてユーザが操作する側と同一の側にて交換が可能な各種のフィルター81,82,83で清浄して排出するものである。このような構成によって、空気清浄部70のメンテナンス作業を容易に行うことができ、また、空気清浄部70を備えた画像形成装置100を設置する場所が制限されてしまうことを防ぐことができる。
ここにいう画像形成部10等についてユーザが操作する側とは、例えばUI操作部52を操作する際に画像形成装置100に対してユーザが位置する側(面)や、用紙収容部41を引き出して用紙Sを補充する際に画像形成装置100に対してユーザが位置する側を含む概念をいい、また、紙詰まりした用紙Sを取り除く際に画像形成装置100に対してユーザが位置する側も含まれる。
【0035】
〔空気清浄部70の空気の流れ〕
図6は、空気清浄部70による空気の流れを説明する図である。同図の(a)は、基台60の概略平面図(概略横断面図)であり、平面視での風の流れを説明するための図である。図6の(b)は、基台60の概略右側面図(概略縦断面図)であり、上下方向の風の流れを説明するための図である。なお、図6の(b)では、空気清浄部70が基台60の上下二段の下段(最下段)に実装されると共に上段に用紙収容部41が実装される構成例を示している。
図6の(a)または(b)に示すように、本実施の形態に係る空気清浄部70では、基台60の前側から吸入された空気が基台60の後ろ側から排出される構造が採用されている。すなわち、基台60の後ろ側に、2つの送風ファン64aを横並びに保持するファン保持部(ファン用ダクト)64が設けられている。そして、ファン保持部64の送風ファン64aを基台60の後ろ側に風を送るように動作させることで、基台60外の空気が基台60の前側から吸入されるという空気の流れが形成される。
【0036】
引き出し部71の前開口72aから吸入された基台60外の空気は、上述したように、引き出し部71において各種のフィルター81,82,83を通過して清浄される。そして、清浄された空気は、引き出し部71の後ろ開口74aから基台60のファン保持部64へと流れ、最後にファン保持部64から排気ルーバー67を通って基台60外に排気される。これらの空気の流れは、送風ファン64aにより実現される。
【0037】
空気清浄部70の引き出し部71は、プレフィルター81と消臭フィルター82との間に位置し、空気の流れを整える内部ルーバー85aと、消臭フィルター82とバイオフィルター83との間に位置し、空気の流れを整える内部ルーバー85bと、を備えている。
なお、引き出し部71の後面板74は、吸入された空気の下流側に行くに従って流路面積が狭くなる絞り形状に形成されている。ここにいう後面板74の絞り形状は、幅方向Wに狭くなるものであり(図6の(a)参照)、高さ方向Hに狭くなっていないが(図6の(b)参照)、高さ方向Hにも狭くする構成例も考えられ、また、高さ方向Hのみを狭くする構成例も考えられる。なお、後面板74に絞り形状を形成しない構成例も考えられる。
【0038】
また、図6の(b)に示すように、基台60の前側では、床面FLの近くに位置する空気清浄部70の引き出し部71の前開口72aから空気が取り込まれる。また、基台60の後ろ側では、床面FLと略平行に進みながら清浄された空気が上述の排気ルーバー67によって機外において斜め上方に向かう。機外に排気された空気は、画像形成装置100の背面に対向して位置する壁面WLに沿って上昇する。このため、清浄された空気を、画像形成装置100が設置されている周辺にて効率的に循環させることが可能になる。
【0039】
また、本実施の形態では、排気ルーバー67により機外において斜め上向きに向かう空気の流れを形成しているが、かかる空気の流れを、排気ルーバー67の代わりにまたは排気ルーバー67と共に、送風ファン64aを上向き配置することにより形成することも考えられる。
【0040】
なお、本実施の形態では、上述のとおり、基台60の前側から吸入された空気が基台60の後ろ側から排出される構造を採用するが、基台60の後ろ側から吸気し、基台60の前側から排気する構造を採用することも考えられる。すなわち、壁面WLに沿って降下してくる空気を吸気し、清浄した後に床面FLに沿って排気するという風の流れを形成する構造である。そのような場合には、送風ファン64aの配置を逆向きにし、かつ、プレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83の配置を画像形成装置100の奥行き方向D(図3参照)で反対に配列する。
【0041】
ここで、送風ファン64aは、基台60の後ろ側に位置する一方で、主電源スイッチ65およびLED66は、基台60の前側に位置する(図5の(b)参照)。そのため、主電源スイッチ65用のハーネス65aおよびLED66用のハーネス66aが基台60の後ろ側から前側に延びている。このように、基台60には、奥行き方向Dにハーネス65a,66aを配設するための空間K(矩形の破線参照)が設定されている。
また、主電源スイッチ65は、引き出し部71を基台60に収容すると前面板72により隠れる(例えば図2参照)。すなわち、主電源スイッチ65を操作する際には、引き出し部71を基台60から引き出して行うことになる(図5の(b)参照)。通常時の使用頻度が低い主電源スイッチ65を、通常の状態で露出させない構造を採用することで、外観デザインが向上する。
【0042】
また、LED66は、主電源スイッチ65に近接して配設されている。すなわち、本実施の形態では、引き出し部71にLED66を取り付ける構造を採用しておらず、また、引き出し部71を基台60に収容するとLED66が引き出し部71の前面板72により覆われて隠れてしまい、見ることができなくなる。このため、本実施の形態では、LED66の位置に対応して前面板72に表示窓75を形成している(図5の(a)参照)。すなわち、引き出し部71を基台60に収容した状態では、前面板72の表示窓75を通してLED66の光を見ることができる。
このように、通常の状態では隠れてしまうLED66による表示を、機外から目視できるように構成されている。
基台60のLED66は、表示部の一例であり、基台60の主電源スイッチ65は、電源操作部の一例であり、引き出し部71の表示窓75は、透光部の一例である。
【0043】
さらに説明すると、前面板72の表示窓75を、前面板72を貫通する穴により形成した上で、その穴にレンズ部材75aが埋め込まれている(図5の(b)参照)。このため、LED66による表示窓75を通じた光を機外から容易に視認することが可能になる。
なお、空気清浄部70の作動/停止の操作は、画像形成装置100のUI操作部52(図2参照)を通じて行うことになる。そして、空気清浄部70の作動時にはLED66が例えば青く光り、空気清浄部70の停止時にはLED66が例えば赤く光る。このようなLED66の光は、前面板72の表示窓75から視認される。
【0044】
図5に戻って説明を続ける。同図に示すように、引き出し部71の通路73に配置されているプレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83は、取り外し可能である。すなわち、これらプレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83は、通路73を横断する方向(引き出し部71の幅方向W)にスライド可能であり、これにより、引き出し部71から分離可能である。
【0045】
より具体的に説明すると、プレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83が引き出し部71の側面71aから引き抜く構造を採用している。すなわち、プレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83は、引き出し部71が引き出される方向に対して交差する方向に引き抜かれる。
この引き出し部71の側面71aには、引き出し部71に対して回転可能なフィルターカバー84が取り付けられている。このため、プレフィルター81、消臭フィルター82およびバイオフィルター83をメンテナンスする際には、引き出し部71を基台60から引き出した後に、フィルターカバー84を開けた後に行うことになる。
【0046】
図7は、基台60から排出された空気の流れを説明する図であり、画像形成装置100の概略背面図である。なお、同図では、空気清浄部70が基台60の上下二段の上段(最上段)に実装される構成例を示している。
上述したように、空気清浄部70により清浄されて排出された空気は、画像形成装置100の外にて壁面WLに沿って上昇する(図6の(b)参照)。その際に、図7に示すように、壁面WLに沿って上昇する空気が、定着装置21(図1参照)等から排気される空気を巻き込まないように、排気ルーバー67の位置を設計している。
すなわち、基台60の排気ルーバー67は、画像形成装置100の平面視で、筐体50の背面外面に形成される排気口53,54からずれて位置する。言い換えると、排気ルーバー67は、装置背面において排気口53,54とは装置幅方向(図7の左右方向)にずれて位置する。これにより、排気ルーバー67から排気された清浄済み空気を汚さずに画像形成装置100周りに循環させることが可能になる。
【0047】
付言すると、画像形成装置100の外にて壁面WLに沿って上昇する空気の流れ領域として、画像形成装置100の背面に高さ方向H(上下方向)に延びる不図示の凹部を形成することも考えられ、また、画像形成装置100の背面に高さ方向Hに延びる不図示のダクトを配設することも考えられる。
【0048】
〔空気清浄部70のエアダクト分割構造〕
図8は、引き出し部71を引き出した状態を説明する概略平面図であり、図6の(a)に対応するものである。
図8に示すように、空気清浄部70の引き出し部71を基台60に対して引き出すと、引き出し部71の後面板74は、それまで接続していたファン保持部64から離れる。そして、引き出し部71を奥まで押し入れて基台60に対して装着されると、引き出し部71の後面板74がファン保持部64に接続し、一連のダクトとして機能する。すなわち、本実施の形態では、引き出しタイプのダクト構造を採用する。
なお、引き出し部71を引き出しても、主電源スイッチ65用のハーネス65aやLED66用のハーネス66a等の配線材が動くことはない。
【0049】
さらに説明すると、上述のように、空気清浄部70にて空気を吸入して排気するエアダクトが基台60の内部に形成されるが、本実施の形態では、上述したように、送風ファン64aを引き出し部71ではなく、基台60に取り付けている構造を採用する。このため、送風ファン64aの上流側の位置で、基台60内のエアダクトを分割する必要がある。本実施の形態では、引き出し部71が基台60から引き出されると、エアダクトが各種のフィルター81,82,83と送風ファン64aとの間で分割される構造を採用している。
なお、各種のフィルター81,82,83は引き出し部71が備え、送風ファン64aは基台60が備える。
【0050】
なお、引き出し部71を基台60から引き出す際に引き出し部71が基台60から引き抜かれてしまうことを防止するために、引き出し部71は、基台60と係合することでユーザによる引き出し動作を停止するストッパ76を備えている。
【0051】
図9は、引き出し部71の後面板74と基台60のファン保持部64との位置関係を説明する図である。同図の(a)は、引き出し部71の後面板74が基台60のファン保持部64から離れている状態を示し、(b)は、引き出し部71の後面板74が基台60のファン保持部64に係合している状態を示す。また、同図の(c)は、ファン保持部64を説明する斜視図である。
図9の(a)および(b)に示すように、基台60のファン保持部64は、引き出し部71の後面板74と係合する側に、スポンジ部材64bが取り付けられている。より具体的に説明すると、基台60のファン保持部64における吸気側の開口部の内周面に全周にわたってスポンジ部材64bが貼り付けられている。このように、本実施の形態では、引き出し部71の後面板74と基台60のファン保持部64との連結部にスポンジシーリングを採用している。
【0052】
そして、引き出し部71が引き出されている状態では、図9の(a)に示すように、引き出し部71の後面板74はスポンジ部材64bから離間する。また、引き出し部71が収容されている状態では、図9の(b)に示すように、引き出し部71の後面板74はスポンジ部材64bを押圧する。
【0053】
このように、引き出し部71の後面板74が基台60のファン保持部64に入り込むようにスポンジ部材64bと係合する構造を採用する。このため、本実施の形態では、圧力損失の問題が生じるものの、後面板74を小型にすることが可能になり、基台60内の省スペースが可能になる。
ファン保持部64は、第1の空気流路部の一例である。また、前面板72、通路73および後面板74は、第2の空気流路部の一例である。
【0054】
図9の(c)に示すように、ファン保持部64は、内周面に形成されている複数のリブ64cを有する。このリブ64cは、空気の流れの方向に沿って延びている。そして、このリブ64cは、スポンジ部材64bを貼り付ける領域を確保するためのものである。すなわち、ファン保持部64の流路面積がより広くなるようにファン保持部64の板厚を薄くするとスポンジ部材64bを貼り付けるために必要な領域を確保できないという事情に鑑み、リブ64cを形成する構成を採用している。このように、本実施の形態では、ファン保持部64の内周面にリブ64cを形成することにより、ファン保持部64の流路面積を確保しつつスポンジ部材64bを貼り付ける領域をも確保している。
【0055】
〔空気清浄部70における引き出し部71の位置決め等〕
次に、空気清浄部70の引き出し部71を基台60に対して位置決めする構造について説明する。
図10は、引き出し部71を位置決めする構造を説明する部分拡大図である。同図の(a)は、基台60のファン保持部64が引き出し部71の後面板74と離間している状態を示し、(b)は、基台60のファン保持部64が引き出し部71の後面板74と係合している状態を示す。
引き出された引き出し部71が基台60に挿入されると、図10の(a)に示すように、引き出し部71の後ろ側に配設された第1位置決めピン91(例えば図8参照)は、基台60に取り付けられた板状の第1受け部92に受け入れられる。
より具体的に説明すると、第1受け部92は、基台60の前側に開口する切欠き部92aが形成されており、この切欠き部92aに第1位置決めピン91が進入することにより、引き出し部71が基台60に対して位置決めされる。
引き出し部71の第1位置決めピン91は、係合部の一例であり、また、基台60の第1受け部92は、位置決め部の一例である。
【0056】
付言すると、図10の(a)の状態では、引き出し部71の後面板74はスポンジ部材64bに接触していない。また、同図の(a)の状態では、引き出し部71の前側に配設された第2位置決めピン93(例えば図8参照)は、基台60に取り付けられた第2受け部94と係合していない。
なお、第1受け部92は、レール部材63の後方部分に形成されている。また、第2受け部94は、レール部材63の前方部分に形成されている。第2受け部94は、第2位置決めピン93の外径よりも小さい寸法の形状の部分を持っている(図10の(a)参照)。
【0057】
第1位置決めピン91および第2位置決めピン93は、引き出し部71の幅方向Wの片側のみに配設されている。より具体的には、本実施の形態では、第1位置決めピン91および第2位置決めピン93は、引き出し部71を正面視した場合(例えば図6において左側から見た場合)に左側だけに配設されている。
また、第1位置決めピン91および第2位置決めピン93は、引き出し部71の幅方向Wの位置が互いに異なるように配設されている。
【0058】
図10の(a)の状態からさらに引き出し部71が基台60に挿入されると、同図の(b)に示すように、引き出し部71の第1位置決めピン91は、基台60の第1受け部92の切欠き部92aに案内されながら奥に進むと共に、引き出し部71の第2位置決めピン93は、基台60の第2受け部94と嵌合して係合する。これにより、引き出し部71は、基台60の奥まで押し入れられて、基台60に収容される位置にセットされる。
図10の(b)の状態では、引き出し部71の後面板74はファン保持部64のスポンジ部材64bに係合し、後面板74とファン保持部64とが一連のダクトとして機能する。
【0059】
このような空気清浄部70における位置決めによって、レンズ部材75aが埋め込まれている引き出し部71の表示窓75と基台60のLED66との間の位置決めが行われることになる。このため、ユーザによるLED66の光の表示窓75を通じた視認がより確実に行われ得る。
【0060】
ここで、基台60は、引き出し部71の奥側に位置する被検出片77を検出するための検出センサ68を備えている。この検出センサ68は、基台60から引き出されていた引き出し部71が基台60に収容されると、被検出片77を検出する。
本実施の形態では、ボタン式の検出センサ68を採用している。検出センサ68のボタンが引き出し部71の被検出片77により押されなくなると(図10の(a)参照)、ファン保持部64の送風ファン64aへの給電を強制的に遮断する構成(ハード的な構成)を採用する。これにより送風ファン64aが停止し、引き出し部71が引き出された状態でのユーザに対する安全性が確保される。
なお、検出センサ68のボタンが引き出し部71の被検出片77により押されると(図10の(b)参照)、ファン保持部64の送風ファン64aへの給電が可能な状態に戻る。
【0061】
かかる被検出片77および検出センサ68を採用する構成を、空気清浄部70以外の例えば用紙収容部41に適用することが考えられる。そのような場合には、用紙収容部41を引き出したときに引き出し部71の送風ファン64aが停止するので、ユーザに対する安全性が確保される。なお、用紙収容部41が基台60にセットされることで、ファン保持部64の送風ファン64aへの給電が可能な状態に戻る。
【0062】
また、検出センサ68は、ボタンが押されていることを示す信号を制御部20に出力し、ボタンが押されていないときには、その信号を制御部20に出力しない。このため、制御部20は、検出センサ68からの信号出力の有無により、引き出し部71の抜き差し状態を検出することができる(ソフト的な検出)。したがって、制御部20は、検出センサ68からの信号出力がないときには、引き出し部71が基台60から引き出されていると判定し、例えば、UI操作部52(図2参照)にその旨を表示する。
【0063】
ここで、本実施の形態について種々の変形例が考えられる。すでに既述したもののほかに、次のような変形例も考えられる。
図11は、後面板74とファン保持部64とが互いに係合する部分についての変形例を説明する図であり、図9に対応する図である。すなわち、図11に示す変形例は、引き出し部71の後面板74と基台60のファン保持部64との位置関係を説明する図である。そして、図11の(a)は、基台60のファン保持部64が引き出し部71の後面板74と離間している状態を示し、(b)は、基台60のファン保持部64が引き出し部71の後面板74と係合している状態を示す。
図11に示す変形例では、引き出し部71の後面板74は、後ろ開口74aに形成されたフランジ部74bを備え、また、ファン保持部64は、空気の流れ方向の上流端(同図の左側の端部)に形成されたフランジ部64dを備えている。そして、上述のスポンジ部材64bは、ファン保持部64のフランジ部64dに貼り付けられている。
図11に示す一変形例の場合には、空気清浄部70を設置する際のスペースをより広く必要とするものの、図9の場合に生じる圧力損失の問題を解消することができ、より多くの風量を確保することが可能になる。
【0064】
このように、本実施の形態では、内部を空気が流れる空気流路部の保守・点検作業を容易に行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0065】
10…画像形成部、41…用紙収容部、50…筺体、60…基台、60a…基台本体、64…ファン保持部、64a…送風ファン、65…主電源スイッチ、66…LED、68…検出センサ、69a…固定孔、69b…固定ピン、69c…支持板、71…引き出し部、72…前面板、72a…前開口、73…通路、74…後面板、75…表示窓、77…被検出片、81…プレフィルター、82…消臭フィルター、83…バイオフィルター、91…第1位置決めピン、92…第1受け部、100…画像形成装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体部と、
前記装置本体部に対して引き出し可能に設けられた引き出し部と、
前記装置本体部に設けられると共に吸入された空気又は排気される空気が内部を流れる第1の空気流路部と、
前記引き出し部に設けられると共に、当該引き出し部が前記装置本体部に対して装着されることで前記第1の空気流路部と接続し、当該第1の空気流路部を通過した空気又は当該第1の空気流路部へ向かう空気が内部を流れる第2の空気流路部と、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の空気流路部は、前記第2の空気流路部に対する位置決めに用いられる位置決め部を備え、
前記第2の空気流路部は、当該第2の空気流路部の空気流路が前記第1の空気流路部に接続する前に当該第1の空気流路部の前記位置決め部と係合する係合部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装置本体部は、光を用いて表示する表示部と当該装置本体部への電源供給をON/OFFする電源操作部とを備え、
前記第2の空気流路部は、前記装置本体部の前記表示部および前記電源操作部を覆う部材を備え、
前記第2の空気流路部の前記覆う部材は、前記表示部に対応する位置に当該表示部の光を透す透光部を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の空気流路部が引き出されることに伴い、前記第1の空気流路部が備える送風機への給電を遮断する遮断手段をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置が備える引き出し可能な部材が引き出されることに伴い、前記第1の空気流路部が備える送風機への給電を遮断する遮断手段をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の空気流路部は、給電を必要とする部品を備えておらず、
前記第1の空気流路部は、空気清浄の際に用いられる給電を必要とする部品を備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2の空気流路部は、吸入した空気を清浄する清浄部材を備え、
前記清浄部材は、前記第2の空気流路部が引き出された状態にて当該第2の空気流路部が引き出される方向に対して交差する方向へ引き抜き可能であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
装置本体部と、
前記装置本体部に対して引き出し可能に設けられた引き出し部と、
前記装置本体部に設けられると共に吸入された空気又は排気される空気が内部を流れる第1の空気流路部と、
前記引き出し部に設けられると共に、当該引き出し部が前記装置本体部に対して装着されることで前記第1の空気流路部と接続し、当該第1の空気流路部を通過した空気又は当該第1の空気流路部へ向かう空気が内部を流れる第2の空気流路部と、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の空気流路部は、前記第2の空気流路部に対する位置決めに用いられる位置決め部を備え、
前記第2の空気流路部は、当該第2の空気流路部の空気流路が前記第1の空気流路部に接続する前に当該第1の空気流路部の前記位置決め部と係合する係合部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装置本体部は、光を用いて表示する表示部と当該装置本体部への電源供給をON/OFFする電源操作部とを備え、
前記第2の空気流路部は、前記装置本体部の前記表示部および前記電源操作部を覆う部材を備え、
前記第2の空気流路部の前記覆う部材は、前記表示部に対応する位置に当該表示部の光を透す透光部を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の空気流路部が引き出されることに伴い、前記第1の空気流路部が備える送風機への給電を遮断する遮断手段をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置が備える引き出し可能な部材が引き出されることに伴い、前記第1の空気流路部が備える送風機への給電を遮断する遮断手段をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の空気流路部は、給電を必要とする部品を備えておらず、
前記第1の空気流路部は、空気清浄の際に用いられる給電を必要とする部品を備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2の空気流路部は、吸入した空気を清浄する清浄部材を備え、
前記清浄部材は、前記第2の空気流路部が引き出された状態にて当該第2の空気流路部が引き出される方向に対して交差する方向へ引き抜き可能であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−88774(P2013−88774A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232077(P2011−232077)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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