説明

画像形成装置

【課題】無駄な印刷を抑制しつつ、ユーザーにとって酷になりすぎないようにシート枚数を管理可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】実行中のコピージョブごとに、そのジョブが中断され、中断されたジョブがユーザーにより復帰可能であるのにも関わらず、そのユーザーにより破棄された場合には(S231で「YES」、S232で「YES」)、中断により廃棄されるコピー用紙が増える蓋然性が高いとして、その中断までに実行されたコピー枚数を累積カウントしてなる累積中断コピー枚数を更新する処理を行う(ステップS233)。逆に、ユーザーが復帰させることができない場合には(S232で「NO」)、ユーザー側に原因がなく、ジョブの破棄も仕方がないとして、当該処理を実行しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実行中のジョブを中断して破棄する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機などの画像形成装置では、ユーザーの指示により、実行中のコピーなどのジョブを中断して、中断したジョブを破棄する機能を有するものがある。
例えば、ユーザーが本来、1枚の用紙の片面に2ページ分を縮小コピーする2−in−1機能によるジョブを実行すべきところ、うっかり1枚の用紙の片面に1ページ分をコピーする通常のジョブの実行を指示してしまい、その誤りに気付いて、本来の2−in−1機能による新たなジョブをやり直すために、実行中の通常のジョブを中断させて破棄する操作を行う場合などに用いられる。
【0003】
誤った指示で実行されたジョブによるコピー用紙が出力され続けるのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようにユーザーが誤った指示によるジョブを中断させることができれば、そのユーザーにとっては便利であるが、コピー等の印刷(プリント)のジョブを中断して破棄する場合、無駄な印刷物ができてしまうという問題がある。
具体的には、例えば通常のジョブが10枚の用紙に対する印刷を行うジョブであった場合に、その中断時点で既に6枚の用紙への印刷が終了していれば、その6枚の用紙は、本来の2−in−1の出力形態と異なることから使用されず、使い道がなければ廃棄されることもあり、無駄になってしまう。
【0006】
このような無駄な印刷物をできるだけ出さないようにするためには、例えばユーザーごとに、ジョブの破棄により中断された印刷済みの用紙の枚数や印刷回数などを管理して、その破棄の枚数や回数が多いユーザーに対して無駄な印刷を減らすように注意を促す方法が考えられる。
しかしながら、一律に、ジョブの破棄により中断された印刷済みの用紙の枚数や印刷回数などを管理する方法をとると、ユーザーにとって酷になる場合が生じる。
【0007】
すなわち、ジョブの破棄には、上記のようにユーザーが自らの意思で実行中のジョブを中断させて破棄する操作を行う場合だけでなく、例えばジョブ実行中に装置内の部品が寿命に達したために中断し、その部品が交換されるまでジョブを再開できない状況で、急ぐユーザーが仕方なくジョブを破棄する操作を行う場合もあり得る。
この場合のジョブ中断の原因は、ユーザー側ではなくプリンター側にあり、このような場合の用紙の枚数まで管理するのは、そのユーザーにとって酷になる。
【0008】
上記の問題は、ユーザーごとに用紙の枚数や印刷回数等を管理する場合に限られず、例えば各ユーザーが所属する部門別で管理したり、ユーザーを区別せずに1つの装置単位で管理したりするような場合にも同様に生じ得る。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、無駄なプリントを抑制しつつ、ユーザーや各部門などにとって酷になりすぎないようにシート枚数やプリント回数などを管理することが可能な画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、シートに画像をプリントするジョブを実行する画像形成装置であって、実行中のジョブを中断する停止手段と、中断したジョブの破棄の指示をユーザーから受け付ける受付手段と、破棄の指示が受け付けられると、当該中断したジョブを破棄する破棄手段と、破棄されたジョブの中断原因を判断する判断手段と、ジョブの破棄ごとに、前記判断された中断原因に基づいて当該破棄ジョブの中断までに実行されたプリント枚数の指標値をそれまでの累積値に累積して更新するか否かを決め、更新を決めた場合にだけ累積値を更新する更新手段と、前記累積値を示す情報を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記中断原因には、中断後、画像形成装置を使用するユーザーが中断原因を解消して当該ジョブを再開することが可能な第1原因と、当該ユーザーでは中断原因を解消できない第2原因が含まれ、前記更新手段は、第1原因の場合には更新することを決め、第2原因の場合には更新しないことを決めることを特徴とする。
さらに、前記停止手段は、ユーザーからの中断の指示により、前記中断を行い、前記中断原因には、前記破棄されたジョブがユーザーの指示により中断するまでにプリントされたシートの枚数をP、当該破棄されたジョブが中断せずに最後まで実行されたと仮定した場合のシート枚数をP1、当該破棄されたジョブの次のジョブが中断せずに最後まで実行されたと仮定した場合のシート枚数をP2としたとき、枚数Pが枚数(P1−P2)以上となる条件で中断された場合の第1原因と、枚数Pが枚数(P1−P2)よりも小さくなる条件で中断された場合の第2原因が含まれ、前記更新手段は、第1原因の場合には更新することを決め、第2原因の場合には更新しないことを決めることを特徴とする。
【0011】
ここで、前記破棄されたジョブと次のジョブとは、一方が1枚の用紙の片面に1ページ分の画像を形成するジョブ、他方が1枚の用紙の片面にN(2以上の整数)ページ分の画像を形成するN―in―1によるジョブである、または、一方が1枚の用紙の片面に画像を形成するジョブ、他方が1枚の用紙の両面に画像を形成するジョブであることを特徴とする。
【0012】
また、ジョブの実行を要求したユーザーを識別する識別手段を備え、前記受付手段は、ユーザーごとに破棄処理の実行を受け付け、前記更新手段は、ユーザーごとにそのユーザーに対する累積値を記憶しており、ユーザーごとにその累積値を更新するか否かを決めて、当該累積値の更新を行うことを特徴とする。
さらに、前記指標値は、破棄されたジョブによりプリントされた枚数を示す値、破棄されたジョブの数を示す値または破棄されたジョブにより実行されたプリント回数を示す値であることを特徴とする。
【0013】
また、前記出力手段は、前記累積値を示す情報を表示する手段、当該情報を音声出力する手段、当該情報を自装置にネットワークを介して接続されている端末装置に送信する手段の少なくとも1つであることを特徴とする。
さらに、前記出力手段は、前記累積値が所定値以上の場合にだけ前記出力を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
このように、ジョブの中断原因に基づいて、実行されたプリント枚数の指標値をそれまでの累積値に累積して更新するか否かを決めることにより、ユーザー側に中断原因がないような場合には、更新をしないことを決めることができ、一律に更新する方法に比べて、ユーザーなどに酷になりすぎることなく、中断されたプリント済みのシート枚数やプリント回数などを管理することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】MFPの構成を示す図である。
【図2】MFPに設けられている操作部の構成を示す平面図である。
【図3】MFPに設けられている制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】制御部に設けられているジョブ管理テーブルの構成例を示す図である。
【図5】制御部に設けられている累積カウント部の構成例を示す図である。
【図6】累積カウント部に設けられている累積カウンターに保持されている累積中断コピー枚数の例を示す図である。
【図7】電源がオンされた後にコピージョブが実行される場合の処理内容を示すフローチャートである。
【図8】停止条件の有無設定のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図9】停止中画面の表示例を示す図である。
【図10】コピーモードの設定処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図11】警告表示画面の表示例を示す図である。
【図12】コピー動作のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図13】エラー判断処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図14】IU寿命判断処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図15】ストップキー停止判断処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図16】停止中処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図17】IU寿命到達停止中処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図18】ジョブ破棄フラグセット処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図19】ジャム停止中処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図20】トラブル停止中処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図21】エンプティ停止中処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図22】ストップキー停止中処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図23】ジョブ破棄判断処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図24】累積中断コピー枚数更新処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図25】モード切替判断処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラー複合機(以下、「MFP(Multiple Function Peripheral)」という。)を例にして説明する。
(1)全体構成
図1は、MFP1の構成を示す図である。
同図に示すように、MFP1は、画像読取部2、画像形成部3、給紙部4などにより構成されており、原稿を読み取って画像データを生成するスキャン機能、原稿を読み取ってカラーまたはモノクロで印刷するコピー機能、読み取って得られた画像データを外部の端末装置(不図示)にネットワークを介して送信する機能などの複数の機能を1台に集約した複合機である。
【0017】
画像読取部2は、ユーザーによって原稿トレイに置かれた複数枚の原稿を順次自動的に搬送し、その搬送される原稿を読取位置で読み取って画像データを生成する。
画像形成部3は、生成された画像データに基づいて、記録用のシートとしての用紙S上に画像を形成(印刷)するものであり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のトナー像を形成するイメージングユニット(以下、「IU」という。)11Y〜11Kと、中間転写ベルト12と、定着部13などを備えている。
【0018】
IU11Yは、矢印Aで示す方向に回転する感光体ドラム21の周囲に、その回転方向に沿って帯電部22、露光部23、現像部24などを配設した構成となっている。
帯電部22は、感光体ドラム21の表面を一様に帯電させる。
露光部23は、画像データに基づいて駆動された発光素子から出射されるレーザー光により、帯電された状態の感光体ドラム21の表面を露光走査する。これにより、感光体ドラム21の表面に、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0019】
現像部24は、現像剤が収容されており、その現像剤を用いて感光体ドラム21の静電潜像を顕像化する(現像)。ここでは、現像剤としてトナーが用いられ、現像により、感光体ドラム21上にY色のトナー像が形成される。
現像により感光体ドラム21の表面に形成されたY色のトナー像は、感光体ドラム21と中間転写ベルト12を介して対向する一次転写ローラー25により、矢印Bで示す方向に沿って周回する中間転写ベルト12上に一次転写される。なお、一次転写されずに感光体ドラム21上に残った残留トナーは、クリーニング部により清掃される。
【0020】
カラーコピージョブの場合、IU11YによるY色の作像動作と同じ動作が、他のIU11M〜IU11Kにおいても実行される。すなわち、IU11M〜IU11Kごとに、その感光体ドラム21表面に、対応する色のトナー像が形成され、その形成されたトナー像が中間転写ベルト12上に一次転写される。なお、IU11Y〜11Kの各色の作像動作は、中間転写ベルト12上の同じ位置に各色のトナー像が重ねられるように、タイミングをずらして実行される。
【0021】
中間転写ベルト12上に一次転写された各色のトナー像は、中間転写ベルト12により二次転写ローラー15の位置する方向に搬送される。
給紙部4は、用紙Sを収容する複数の給紙トレイ31を備えており、給紙トレイ31に収容されている用紙Sを1枚ずつピックアップローラーにより繰り出して、搬送路32に給送する。複数の給紙トレイ31のうち、どの給紙トレイ31から用紙Sを給送するかは、制御部14により指定される。
【0022】
コピージョブの実行中には、IU11Y〜11Kの作像動作に合わせて給紙部4から用紙Sが給送され、中間転写ベルト12上の各色トナー像は、二次転写位置33で二次転写ローラー15により、搬送路32を搬送されている用紙S上に一括して二次転写される。
二次転写位置33を通過した用紙Sは、定着部13に搬送される。
定着部13は、外部の商用電源(不図示)からの電力供給により発熱するヒーター16を有し、ヒーター16に熱せられた定着ローラーと加圧ローラーにより形成される定着ニップを用紙Sが通過する際に、用紙S上の各色トナー像を加熱、加圧して定着させる。
【0023】
定着部13を通過した用紙Sは、排出ローラー対18により機外に排出され、排出トレイ19に収容される。これにより、1枚の用紙Sへの画像形成(印刷)が終了する。複数枚の用紙Sに印刷を行う場合には、上記の動作が用紙1枚ごとに繰り返し実行される。
上記では、カラーコピージョブの場合の動作を説明したが、モノクロコピージョブの場合には、IU11Kだけが駆動され、ブラック(K)色の画像が用紙に印刷される。
【0024】
画像読取部2の装置正面側であり、ユーザーが操作し易い位置には、操作部5が設けられている。
(2)操作部5の構成
図2は、操作部5の構成を示す平面図である。
同図に示すように操作部5は、テンキー51と、スタートキー52と、ストップキー53と、リセットキー54および表示入力部55を備える。
【0025】
テンキー51は、コピー枚数などの入力に用いられ、スタートキー52は、コピージョブなどの開始の指示に用いられ、ストップキー53は、実行中のジョブを中断して停止させる場合の指示に用いられる。リセットキー54は、現に設定されているコピー枚数やコピーモードなど初期状態に戻すために用いられる。
表示入力部55は、タッチパネル式の液晶表示部56からなり、ユーザー認証のためのユーザーIDやパスワードなどの入力受付画面、コピー濃度や給紙トレイの選択などの選択入力受付画面、カラーやモノクロコピーなどの各種動作モードの設定入力画面、ジャムやトラブル(故障)などのエラー発生を示す画面、解除方法を示す画面、ジョブ破棄枚数が多いことを示す警告表示を示す画面などが表示され、ユーザーからの入力を受け付けると共に、各種情報をメッセージや絵表示などで表示出力して、ユーザーに通知する。ユーザーは、液晶表示部56を目視することにより、装置の状態を把握することができる。
【0026】
図1に戻って、IU11Y〜11Kの上方には、ホッパ26Y,26M,26C,26Kが設けられている。
ホッパ26Y〜26Kは、対応するIUの現像部24に補充用のトナーを補給するためのものであり、印刷に連れて現像部24に収容されている現像剤中のトナーが規定値よりも少なくなると、画像形成部3に設けられている制御部14の指示により、必要な量のトナーを補給する動作を行う。
【0027】
ホッパ26Y〜26Kの上方には、対応する色の補充用のトナーを収容するトナーボトル27Y,27M,27C,27Kが装置本体に対してユーザーにより着脱自在に装着されている。トナーボトル27Y〜27K内の補充用のトナーがホッパ26Y〜26Kを介して対応するIUの現像部24に供給される。
IU11Y〜11Kは、それぞれに所定の寿命が予め設定されており、寿命に到達するとサービスマンにより新たなIUに交換可能なように、MFP1の本体に対して着脱自在に装着されている。
【0028】
IUの寿命は、ここではコピー動作の累積駆動時間により制御部14により管理され、累積駆動時間が所定値に至ると寿命に達したとして、新たなIUに交換する旨が操作部5に表示され、新たなIUに交換されるまでコピージョブの実行が禁止される。
本実施の形態では、それぞれのIUに新旧を示すフラグを格納する記憶部(不図示)が設けられ、新品のときには、そのフラグが新品を示す情報になっており、寿命に達すると、制御部14により、寿命(旧品)を示す情報に書き換えられるようになっている。
【0029】
IUが交換されると、IU交換検出部6Y,6M,6C,6KによりそのIUの記憶部に格納されているフラグの情報が読み出され、読み出された情報によって、IUが新品に交換されたか否かが検出される。
また、トナーボトル27Y〜27Kの近傍には、トナーボトル内のトナーがなくなったことを検出するためのトナーエンプティセンサー7Y,7M,7C,7Kが設けられている。本実施の形態では、トナーエンプティセンサー7Y〜7Kにより、ジョブ実行中にトナーボトル内のトナーがなくなったことが検出されると、制御部14により、そのジョブが中断、停止されると共に、新たなトナーボトルに交換する旨が操作部5に表示され、新たなトナーボトルに交換されるまで、中断したジョブを再開できないようになっている。
【0030】
トナーボトルが新たなものに交換されたことの検出は、トナーボトル交換検出部8Y,8M,8C,8Kにより行われる。トナーボトル交換検出部8Y〜8Kによる交換の検出方法は、本実施の形態では上記のIUの交換の検出方法と同じであり、トナーボトルに新旧を示すフラグが格納される記憶部が設けられることにより行われる。なお、新旧の検出を行える方法であれば、他の方法を用いるとしても良く、このことは、IUの新旧の検出についても同様である。
【0031】
また、搬送路32を搬送される用紙Sの紙詰まり(ジャム)を検出するためのジャム検出センサーSE1,SE2,SE3が搬送路32に沿って配置されており、ジャム検出センサーSE1,SE2,SE3は、それぞれが搬送中の用紙Sを検出すると、その検出信号を制御部14に送る。制御部14は、ジャム検出センサーSE1,SE2,SE3からの用紙Sの検出信号を受信して、用紙Sのジャムを検出する。
【0032】
例えば、1枚の用紙Sの給紙から所定時間が経過するまでの間にジャム検出センサーSE1からの検出信号を受信しなければ、給紙トレイ31からジャム検出センサーSE1の検出位置までの搬送路で用紙Sがジャムにより停止していることを検出する。
同様に、ジャム検出センサーSE1からの検出信号を受信してから所定時間が経過するまでの間に、ジャム検出センサーSE2からの検出信号を受信しなければ、ジャム検出センサーSE1の検出位置からジャム検出センサーSE2の検出位置までの搬送路でその用紙Sがジャムにより停止していることを検出する。ジャム検出センサーSE2とSE3間についても同様である。また、1つのジャム検出センサーからの検出信号が所定時間以上出力され続けている場合にそのセンサーの検出位置で用紙Sがジャムにより停止していることを検出することもできる。ジャムが検出されると、制御部14により実行中のジョブが中断、停止される。
【0033】
発生したジャムの解除は、ユーザーによる解除操作、例えば外装カバーを開けて、詰まっている用紙を取り除くことによりジャム検出センサーによるジャム検出が解除された後、外装カバーを閉じるといった操作により行われる。
さらに、定着部13の近傍には、ヒーター16の断線を検出するための定着ヒーター断線検出センサー17が設けられている。定着ヒーター断線検出センサー17は、外部の商用電源とヒーター16とを繋ぐ回路(不図示)を流れる電流をモニターして、ヒーター16の断線により電流がゼロになったことを検出すると、その検出信号を制御部14に送る。制御部14は、定着ヒーター断線検出センサー17からの検出信号を受信して、ヒーター16の断線を検出する。ヒーター16の断線が検出されると、トラブル発生として、制御部14によりジョブ実行中であれば、そのジョブが中断、停止される。
【0034】
(3)制御部14の構成
図3は、制御部14の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、制御部14は、CPU101と、ROM102と、RAM103と、画面表示制御部104と、ユーザー認証部105と、ジョブ管理テーブル106と、ジャム発生間隔算出部107と、IU動作カウンター108と、累積カウント部109などを備え、各部はデータや情報などを相互にやりとりすることができるようになっている。
【0035】
画面表示制御部104は、操作部5の表示入力部55に各種表示画面を表示させると共に、その表示画面においてユーザーからのタッチパネルの入力を受け付ける。
ユーザー認証部105は、MFP1を利用するユーザーを認証するものである。本実施の形態では、表示入力部55に表示されるユーザー認証用画面(不図示)からユーザーが自己のID(識別番号)とパスワードを入力することができるようになっており、入力されたIDとパスワードが、ユーザーごとに予め登録されたIDとパスワードに一致すると認証が成功、不一致であれば認証が失敗と判断するようになっている。
【0036】
CPU101は、認証が成功されるとそのユーザーに対してコピー等のジョブの実行を許可するが、失敗の場合には一切のジョブの実行を禁止する制御を行う。
ジョブ管理テーブル106は、受け付けたジョブをジョブ単位で管理するための管理情報を示すテーブルであり、図4に示すように管理情報としてジョブ番号、原稿サイズ、用紙サイズ、設定枚数、モード、結果、中断までのコピー枚数を示す欄が設けられている。
【0037】
ジョブ番号は、受け付けた順に付与されるジョブの管理番号を示し、原稿サイズは、コピーやスキャンジョブにおける読取対象の原稿のサイズを示し、用紙サイズは、コピージョブにおいて使用される用紙のサイズを示し、設定枚数は、コピージョブにおいてユーザーが指定したコピー枚数を示している。
モードは、カラーコピーとモノクロコピーの区別、2−in−1の設定などを含むジョブのモードを示し、結果は、ジョブの結果であり、ジョブが通常に終了した場合(中断後、再開して終了した場合も含む。)を良好、中断している場合を中断中、中断して破棄された場合を破棄として示している。
【0038】
中断までのコピー枚数は、コピージョブが中断して破棄された場合の当該中断までに実行されたコピー枚数を示している。
新たなジョブが発行されるごとに、そのジョブに対する管理情報がCPU101によりジョブ管理テーブル106に書き込まれ、書き込まれた順に未処理のジョブが実行されるようになっている。
【0039】
図3に戻って、ジャム発生間隔算出部107は、ジャムが発生したときに前回のジャム発生から今回のジャム発生までのコピー枚数を算出する。この算出は、前回のジャムが解除されてからのコピー枚数を累積管理することにより行われる。
また、ジャムが頻繁に発生する状態にある場合にこのことを判断するために、前々回(2回前)のジャム発生から前回(1回前)のジャム発生までのコピー枚数、3回前のジャム発生から2回前のジャム発生までのコピー枚数といった、過去のジャム発生間隔を記憶しており、過去のジャム発生間隔と今回のジャム発生間隔とを平均したジャム発生間隔(平均値)も算出する。
【0040】
例えば、ジャム発生間隔(平均値)が極めて小さい値、具体的には5枚程度などの場合、発生したジャムを解除しても直ぐに新たなジャムが発生するという故障に近い状態であることが判る。このようなジャムの頻発は、例えば用紙を給紙トレイ31から繰り出すためのピックアップローラの表面が磨耗により用紙面を滑り易くなっており、用紙の数枚ごとに用紙Sの繰り出しを適正に行えずにジャムになるような場合に生じ易い。
【0041】
ジャム発生間隔(平均値)は、ジョブを中断、破棄した場合におけるコピー枚数を累積カウント部109により累積カウントするか否かを決めるための閾値として用いられる。詳細は、後述する。
IU動作カウンター108は、IU11Y〜11Kごとにコピージョブで使用された累積動作時間をカウントする。累積動作時間は、IU劣化の進行度合いの目安になり、本実施の形態では、IUごとに累積動作時間が予め決められた閾値Aを超えると、そのIUが寿命に達したことが判断される。IUが寿命に達したことが判断されると、実行中のコピージョブがCPU101により中断、停止される。
【0042】
累積カウント部109は、図5に示すように更新決定実行部110と、累積カウンター111などを備える。
累積カウンター111は、コピー枚数を累積してカウントし、その累積値を保持するものであり、ユーザー単位で個別に設けられており、例えば累積カウンターAがユーザーAに対するもの、累積カウンターBがユーザーBに対するものという具合になっている。
【0043】
更新決定実行部110は、実行中のコピージョブが中断して破棄された場合に、破棄されたジョブごとに、その中断原因に基づいて、中断までに実際にコピーされた用紙の枚数を、そのジョブを実行したユーザー用の累積カウンターで累積カウントして更新するか否かを決め、更新することが決まった場合にだけ、その累積カウンターに対し、その用紙の枚数を現在の累積値に加算させて、累積値を更新させるものである。この累積値を以下、累積中断コピー枚数という。
【0044】
図6は、累積カウンター111に保持されている累積中断コピー枚数を示す図であり、ユーザー単位で累積中断コピー枚数が対応付けられており、ユーザーごとにその累積カウンターA、B・・を参照することにより、全ユーザーのうち、累積中断コピー枚数が多いユーザーを判別することができる。
累積中断コピー枚数の更新は、実行中のジョブの中断原因により決まり、ジョブの中断原因は、上記のようにジョブ実行中にジャム、トラブル、IU寿命、トナーエンプティの発生、ユーザーによるストップキー53の操作が含まれる。中断までのコピー枚数が累積されてもユーザーにとって酷にならないように、中断原因ごとに、累積カウント値を更新する場合と更新しない場合とが予め決められている。詳細については、後述する。
【0045】
図3に戻り、CPU101は、画像読取部2、画像形成部3、給紙部4などを統括的に制御して、コピーなどの各種ジョブを円滑に実行させる。また、ジョブ実行中に、ジャム検出、トラブル検出、IU寿命検出、トナーエンプティ検出、ユーザーによるストップキー53の操作の検出などを行い、これらの検出を行うと、実行中のジョブを中断させる。さらに、後述のようにジョブを中断すると、中断原因ごとにその原因により中断していることを示すフラグをセットして、その中断原因が解消されると、当該フラグをリセットする処理を行う。このフラグは、予め決められた記憶領域にセットされる。
【0046】
また、ジョブが中断しているときに、ユーザーによる当該ジョブの破棄指示があると、その指示に従って、当該ジョブを破棄する。ジョブの破棄は、当該ジョブにかかる画像データなどが削除されると共に、ジョブ管理テーブル106の「結果」欄に当該ジョブの結果として「破棄」が書き込まれ、また「中断までのコピー枚数欄」に中断までに実行されたコピー枚数が書き込まれる(図4参照)。
【0047】
ROM102には、各種ジョブを実行するためのプログラムなどが格納されており、格納されているプログラムは、CPU101により読み出されてジョブの実行に供される。
RAM103は、CPU101のワークエリアとなる。
(4)制御部による処理内容
図7は、電源がオンされた後にコピージョブ(以下、単に「ジョブ」という。)が実行される場合の処理内容を示すフローチャートであり、当該処理は、制御部14により実行される。
【0048】
同図に示すように、初期動作を実行する(ステップS1)。初期動作とは、装置をコピー等のジョブが実行可能な状態にするためのウォームアップなどを含む動作である。
そして、停止条件の有無設定を行う(ステップS2)。
<停止条件の有無設定>
図8は、停止条件の有無設定のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0049】
同図に示すようにジャム停止中フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS21)。ジャム停止中フラグは、後述の図13のステップS104においてジョブ実行中にジャム発生により当該ジョブが中断されたときにセットされるフラグである。
ジャム停止中フラグがセットされていることを判断すると(ステップS21で「YES」)、第1停止中画面を操作部5の液晶表示部56に表示させて(ステップS28)、停止条件フラグをセットした後(ステップS30)、リターンする。
【0050】
図9(a)は、第1停止中画面201の表示例を示す図である。
同図に示すように、第1停止中画面201は、中断したことを示すメッセージが表示されるメッセージ表示部211と、中断解除の方法をイラストで示す解除方法表示部212と、中断しているジョブを破棄することができる旨のメッセージが表示されるメッセージ表示部213からなる。
【0051】
ユーザーは、メッセージ表示部211と解除方法表示部212を目視することにより、中断の原因とその原因の解消の方法を知ることができ、解除操作を行うことができる。
また、メッセージ表示部213には、ユーザーからのジョブ破棄の指示を受け付けるジョブ破棄ボタン214が表示されている。ユーザーは、このジョブ破棄ボタン214をタッチ入力(押下)することにより、当該中断しているジョブを破棄することができる。ジョブ破棄ボタン214がユーザーにより押下されると、後述するように当該ジョブが破棄される(図23のステップS240)。また、ジョブ破棄により、その中断原因に基づいて累積中断コピー枚数の更新が実行される(図23のS233など)。
【0052】
図8に戻り、ジャム停止中フラグがセットされていないことを判断すると(ステップS21で「NO」)、トラブル停止中フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS22)。トラブル停止中フラグは、後述の図13のステップS106においてジョブ実行中にトラブル発生により当該ジョブが中断されたときにセットされるフラグである。
トラブル停止中フラグがセットされていることを判断すると(ステップS22で「YES」)、第1停止中画面201を表示させ(ステップS28)、停止条件フラグをセットした後(ステップS30)、リターンする。なお、この場合の第1停止中画面201には、図9(a)においてジャムの箇所に代えてトラブルが発生している箇所が表示される。
【0053】
トラブル停止中フラグがセットされていないことを判断すると(ステップS22で「NO」)、寿命到達停止中フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS23)。寿命到達停止中フラグは、後述の図14のステップS124において、ジョブ実行中にIU11Y〜11Kのうち、いずれかのIUが寿命に到達したことにより当該ジョブが中断されたときにセットされるフラグである。
【0054】
寿命到達停止中フラグがセットされていることを判断すると(ステップS23で「YES」)、第1停止中画面201を表示させ(ステップS28)、停止条件フラグをセットした後(ステップS30)、リターンする。なお、この場合の第1停止中画面201には、図9(a)においてジャムの箇所に代えて寿命に到達したIUを特定するための画面が表示される。
【0055】
寿命到達停止中フラグがセットされていないことを判断すると(ステップS23で「NO」)、エンプティ停止中フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS24)。エンプティ停止中フラグは、後述の図14のステップS127において、ジョブ実行中に各色のうち、いずれかの色のトナーボトルが空になったことにより当該ジョブが中断されたときにセットされるフラグである。
【0056】
エンプティ停止中フラグがセットされていることを判断すると(ステップS24で「YES」)、第1停止中画面201を表示させ(ステップS28)、停止条件フラグをセットした後(ステップS30)、リターンする。なお、この場合の第1停止中画面201には、図9(a)においてジャムの箇所に代えて、各色のトナーボトルのうち、エンプティになったトナーボトルを特定するための画面が表示される。
【0057】
エンプティ停止中フラグがセットされていないことを判断すると(ステップS24で「NO」)、ストップキー停止中フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS25)。ストップキー停止中フラグは、後述の図15のステップS133において、ジョブ実行中にユーザーがストップキー53を操作(押下)したことにより当該ジョブが中断したときにセットされるフラグである。
【0058】
ストップキー停止中フラグがセットされていることを判断すると(ステップS25で「YES」)、第2停止中画面を液晶表示部56に表示させて(ステップS29)、停止条件フラグをセットした後(ステップS30)、リターンする。
図9(b)は、第2停止中画面202の表示例を示す図である。
同図に示すように、第2停止中画面202は、ストップキー53の操作により中断したことを示すメッセージが表示されると共に、中断したジョブを再開させるための再スタートボタン221と、中断しているジョブを破棄するためのジョブ破棄ボタン214が表示される。ユーザーは、再スタートボタン221とジョブ破棄ボタン214を選択的に操作することができる。ユーザーにより再スタートボタン221が押下されると、後述のように中断したジョブが再開される。なお、ジョブ破棄ボタン214は、図9(a)の第1停止中画面201に示すジョブ破棄ボタン214と同じものである。
【0059】
図8に戻り、ストップキー停止中フラグがセットされていないことを判断すると(ステップS25で「NO」)、停止中画面が表示されている場合にはこれを消去した後(ステップS26)、停止条件フラグをリセットして(ステップS27)、リターンする。
図7に戻り、ステップS3で停止条件が設定、すなわちジャムなどによりジョブが中断されたために停止条件フラグがセットされていることを判断すると(ステップS3で「YES」)、停止中処理(ステップS11)に移る。停止中処理については、後述する。
【0060】
停止条件が設定されていない、すなわち停止条件フラグがリセットされていることを判断すると(ステップS3で「NO」)、実行すべき未処理のジョブが存在するか否かを判断する(ステップS4)。未処理のジョブには、中断されたジョブも含まれる。未処理のジョブが存在するか否かは、ジョブ管理テーブル106を参照することにより行われる。なお、未処理のジョブだけを例えば他のテーブルで管理するようにしても良い。
【0061】
未処理のジョブが存在する場合には(ステップS4で「YES」)、ジョブを実行すべくステップS10に移る。一方、未処理のジョブが存在しない場合には(ステップS4で「NO」)、上記のユーザー認証用画面を操作部5の液晶表示部56に表示させて、ユーザーからのIDとパスワードの入力を受け付ける(ステップS5)。
入力されたIDとパスワードに基づきユーザー認証を行い、認証が失敗に終わると(ステップS6で「NO」)、ステップS2に戻る。この場合には、コピー等のジョブが実行されない。一方、認証が成功すると(ステップS6で「YES」)、ステップS7のコピーモードの設定に移る。
【0062】
<コピーモードの設定>
図10は、コピーモードの設定処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。同図に示すように、認証されたユーザー(認証ユーザー)からのコピーモードの設定の入力を受け付けるための設定入力受付画面を操作部5の液晶表示部56に表示させ(ステップS41)、設定入力を受け付ける(ステップS42)。コピーモードには、カラーとモノクロ、2−in−1などが含まれる。
【0063】
そして、認証ユーザー用に設けられた累積カウンター111による現在の累積中断コピー枚数が、所定値M以上であるか否かを判断する(ステップS43)。
累積中断コピー枚数が所定値M以上であれば(ステップS43で「YES」)、累積中断コピー枚数が多い旨の警告表示を操作部5の液晶表示部56に表示させる(ステップS44)。一方で、累積中断コピー枚数が所定値Mよりも少なければ(ステップS43で「NO」)、そのままリターンする。この場合、警告表示は表示されない。このように累積中断コピー枚数の多さによって警告表示の要否を切り替えるのは、次の理由による。
【0064】
すなわち、累積中断コピー枚数が多いということは、過去に中断した1以上のジョブにおいてその中断までにコピーされた累積のコピー枚数が多いことを示す。
ジョブが中断された場合に、その中断までにコピー出力された用紙が必ずしも使用されず、破棄される場合もあることからすると、累積中断コピー枚数が多いということは、破棄された用紙が多い蓋然性がそれだけ高いといえる。
【0065】
このような累積中断コピー枚数が多いユーザーは、用紙を破棄する原因となるジョブの中断をあまり気にせずに繰り返している可能性があるので、これの注意を促す旨の警告を当該ユーザーに対して発することが望ましい。
そこで、累積中断コピー枚数が、その警告を発するための閾値としての所定値M以上に達しているか否かを判断し、達していなければその警告を発せず、達していれば、現にMFP1を操作している認証ユーザーに対してその警告を発するものである。
【0066】
図11(a)は、警告表示画面203を示す図であり、MFP1を操作している認証ユーザーは、この警告表示画面203を目視することにより、自身の累積中断コピー枚数が多いことに気付き、今後、ジョブの設定をうっかり間違えることなどによりジョブを中断させるといったことがなくなるように注意することができる。
なお、所定値Mは、予めMFP1を管理する管理者などにより適した値が決められて操作部5からの設定入力により記憶される構成や、記憶された値が管理者などにより書き換え可能な構成、ROM102などに予め記憶されている構成などとしても良い。
【0067】
図10に戻って、ステップS45では、警告表示画面203に代えて、設定確認画面を操作部5の液晶表示部56に表示させる。ここでは、警告表示画面203が所定時間、例えば5秒間だけ表示され、その時間経過後に設定確認画面に切り替えられる。
図11(b)は、設定確認画面204の表示例を示す図である。
同図に示すように、設定確認画面204には、MFP1を操作している認証ユーザー(上記の警告を受けたユーザー)が自身で設定した原稿サイズ、用紙サイズ、コピーモードなどの各種項目の内容が一覧表示される。当該ユーザーは、設定確認画面204を目視することにより設定内容を再確認することができ、設定内容に間違いがなければOKボタン231を、再設定する場合には再設定ボタン232を選択して押下することができる。
【0068】
図10に戻り、ユーザーによりOKボタン231が押下された場合には(ステップS46で「YES」)、設定確認画面204を消去して(ステップS48)、リターンする。
再設定ボタン232が押下された場合には(ステップS46で「NO」、S47で「YES」)、ステップS41に戻り、ユーザーからの再度の設定入力を受け付けて、ステップS41以降の処理を再度、実行する。
【0069】
図7に戻り、ステップS8では、ユーザーからのジョブ開始指示があったか否かを判断する。ジョブ開始指示があったことは、スタートキー52の押下により判断される。
ジョブ開始指示があると(ステップS8で「YES」)、モード切替判断処理を行う(ステップS9)。モード切替判断処理(図25)は、当該ジョブ(今回のジョブ)が、前回(1回前)に中断により破棄されたジョブの次のジョブであり、前回のジョブとでコピーモードが変わっている場合に、前回と今回のジョブにおけるコピー枚数の大小関係に基づいて累積コピー枚数の更新を行うか否かを切り替える処理である。この処理の詳細については、後述する。
【0070】
続いて、コピー動作を実行する(ステップS10)。
<コピー動作>
図12は、コピー動作のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、コピー枚数を示す変数Nを1に設定する(ステップS81)。そして、N枚目、ここでは1枚目の用紙Sに対するコピー処理を上記のコピーモードの設定処理で設定された内容に基づき実行する(ステップS82)。続いて、エラー判断処理を実行する(ステップS83)。
【0071】
<エラー判断処理>
図13は、エラー判断処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、ジョブ実行中にジャムが発生したか否かを判断する(ステップS101)。ジャムが発生しないことを判断すると(ステップS101で「NO」)、ジョブ実行中にトラブル(故障)が発生したか否かを判断する(ステップS102)。トラブルとしては、例えば定着部13のヒーター16の断線があり、ヒーター16の断線は、定着ヒーター断線検出センサー17により検出される。なお、トラブルがこれに限られず、他の部品の故障などを検出するようにして、これをトラブル発生と判断するとしても良い。
【0072】
トラブルが発生しないことを判断すると(ステップS102で「NO」)、リターンする。一方、ジャムが発生したことを判断すると(ステップS101で「YES」)、実行中のジョブのコピー動作を中断して停止し(ステップS103)、ジャム停止中フラグをセットして(ステップS104)、ステップS107に移る。
トラブルが発生したことを判断すると(ステップS102で「YES」)、実行中のジョブのコピー動作を中断して停止し(ステップS105)、トラブル停止中フラグをセットして(ステップS106)、ステップS107に移る。
【0073】
ステップS107では、ジョブの中断原因であるジャムまたはトラブルをユーザーにより解消が可能か否かを判断する。ここでは、ジャムの場合には解消が可能と判断され、トラブルの場合には不可と判断される。
ユーザーにより解消が不可と判断されると(ステップS107で「NO」)、リターンする。一方、ユーザーにより解消が可能と判断されると(ステップS107で「YES」)、ジャム発生間隔が所定値R以上であるか否かを判断する(ステップS108)。ジャム発生間隔は、過去のジャム発生間隔を平均したジャム発生間隔(平均値)であり、ジャム発生間隔算出部107により算出される。
【0074】
ジャム発生間隔が所定値R以上であることを判断すると(ステップS108で「YES」)、ユーザー復帰可能フラグをセットして(ステップS109)、リターンする。一方で、ジャム発生間隔が所定値Rよりも小さいことを判断すると(ステップS108で「NO」)、リターンする。
すなわち、ユーザー復帰可能フラグは、(a)ジャムが発生し、かつジャム発生間隔が所定値R以上であればセットされるが、(b)ジャムが発生してもジャム発生間隔が所定値Rよりも小さければセットされず、また(c)トラブルが発生した場合もセットされないことになる。このように(a)〜(c)の条件により、ユーザー復帰可能フラグのセットの要否を分けているのは、次の理由による。
【0075】
すなわち、上記のようにジャム発生間隔(平均値)が極めて小さい値であれば、ユーザーがジャムを解除しても直ぐにジャムが再発するという故障に近い状態であるので、ユーザーにより解除できないトラブルと同様に扱うべく、ユーザー復帰可能フラグをセットしないようにしたものである。所定値Rは、故障とみなされても止むを得ないと想定されるジャム発生間隔(平均値)の大きさとして予め設定される。
【0076】
図12に戻り、ステップS84では、実行中のジョブがステップS83のエラー判断処理において、中断されたか否かを判断する。中断されたことが判断されると(ステップS84で「YES」)、リターンする。
中断されていないことが判断されると(ステップS84で「NO」)、IU寿命判断処理に移る(ステップS85)。
【0077】
<IU寿命判断処理>
図14は、IU寿命判断処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、IU寿命カウント処理を実行する(ステップS121)。IU寿命カウント処理は、IU動作カウンター108に保持されているIU11Y〜11Kごとの累積動作時間を読み出す処理である。
【0078】
ジョブ実行中に寿命に達したIUが存在するか否かを判断する(ステップS122)。IUが寿命に達したことの判断は、IUの累積動作時間が所定値を超えている場合に行われる。所定値は、累積動作時間がこの値に達すればIUが寿命に到達したであろうと予想される時間として予め実験などから求められるものである。ここでは、各IUに同じ所定値が設定される。
【0079】
どのIUも寿命に達していないことを判断すると(ステップS122で「NO」)、ジョブ実行中にトナーボトル27Y〜27Kのいずれかがエンプティになっているか否かを判断する(ステップS125)。この判断は、トナーエンプティセンサー7Y〜7Kの検出信号に基づき行われる。
どのトナーボトルもエンプティになっていないことを判断すると(ステップS125で「NO」)、リターンする。
【0080】
一方、いずれかのIUが寿命に達したことを判断すると(ステップS122で「YES」)、実行中のジョブのコピー動作を中断して停止し(ステップS123)、寿命到達停止中フラグをセットして(ステップS124)、ステップS128に移る。
また、いずれかのトナーボトルがエンプティになっていることを判断すると(ステップS125で「YES」)、実行中のジョブのコピー動作を中断して停止し(ステップS126)、エンプティ停止中フラグをセットして(ステップS127)、ステップS128に移る。
【0081】
ステップS128では、ユーザーによりIUまたはトナーボトルの交換が可能か否かを判断する。ここでは、トナーボトルについては交換可能、サービスマンにより交換されるIUについてはユーザーによる交換が不可と判断される。なお、IUについてもユーザー交換可能な構成であれば、両方とも交換可能と判断される。
ユーザーにより交換可能と判断されると(ステップS128で「YES」)、ユーザー復帰可能フラグをセットして(ステップS129)、リターンする。一方、ユーザーにより交換不可と判断されると(ステップS128で「NO」)、ユーザー復帰可能フラグをセットすることなく、リターンする。
【0082】
図12に戻り、ステップS86では、実行中のジョブがステップS85のIU寿命判断処理において中断されたか否かを判断する。中断されたことが判断されると(ステップS86で「YES」)、リターンする。
中断されていないことが判断されると(ステップS86で「NO」)、ストップキー停止判断処理に移る(ステップS87)。
【0083】
<ストップキー停止判断処理>
図15は、ストップキー停止判断処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。同図に示すように、ジョブ実行中にユーザーによりストップキー53が押下されたか否かを判断する(ステップS131)。
ユーザーによりストップキー53が押下されたことを判断すると(ステップS131で「YES」)、実行中のジョブのコピー動作を中断して停止し(ステップS132)、ストップキー停止中フラグをセットして(ステップS133)、リターンする。
【0084】
ユーザーによりストップキー53が押下されていないことを判断すると(ステップS131で「NO」)、エンプティ停止中フラグをセットすることなく、リターンする。
図12に戻り、ステップS88では、実行中のジョブがステップS87のストップキー停止判断処理において中断されたか否かを判断する。中断されたことが判断されると(ステップS88で「YES」)、リターンする。
【0085】
中断されていないことが判断されると(ステップS88で「NO」)、N枚目、ここでは1枚目の用紙Sに対するコピー動作が終了したか否かを判断する(ステップS89)。コピー動作の終了の判断は、例えばN枚目の用紙SがMFP1から排出されたことにより行われる。
1枚目の用紙Sに対するコピー動作が終了していないことを判断すると(ステップS89で「NO」)、ステップS83に戻って、ステップS83〜S89の処理を実行する。1枚目の用紙Sに対するコピー動作の終了が判断されるまで、またはジョブ中断が判断されるまで、ステップS83〜S89の処理が繰り返し実行される。
【0086】
1枚目の用紙Sに対するコピー動作の終了を判断すると(ステップS89で「YES」)、現在の変数Nの値、ここでは1に「1」をインクリメントする(ステップS90)。そして、変数N、ここでは「2」が当該ジョブの最後にコピーすべき用紙の枚数の値に一致するか否か(Nが最終であるか否か)を判断する(ステップS91)。
変数Nの値が最終ではないことを判断すると(ステップS91で「NO」)、ステップS82に戻って、N枚目、ここでは2枚目の用紙Sに対するコピー動作を実行する。ステップS82〜91までの処理を、Nの値が最終であると判断されるまで、N枚目の用紙ごとに繰り返し実行する。Nの値が最終であることを判断すると(ステップS91で「YES」)、リターンする。この場合、当該ジョブ実行中にエラー等による中断が行われなかったことになる。
【0087】
ジョブ実行中にそのジョブが中断された場合には、上記のジャム停止中フラグ〜ストップキー停止中フラグのいずれかが停止条件フラグとしてセットされていることになるので、図7のステップS3で「YES」と判断されて、そのジョブが中断している状態で停止中処理(ステップS11)、ジョブ破棄判断処理(ステップS12)が実行される。
<停止中処理>
図16は、停止中処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0088】
同図に示すように、停止中処理は、IU寿命到達停止中処理(ステップS141)、ジャム停止中処理(ステップS142)、トラブル停止中処理(ステップS143)、エンプティ停止中処理(ステップS144)、ストップキー停止中処理(ステップS145)を順次、実行して、リターンする。なお、停止中処理は、ジョブが中断している状態で実行されるので、停止中処理が開始されるときには、操作部5の液晶表示部56に、第1停止中画面201または第2停止中画面202が表示されているものとする。
【0089】
図17は、IU寿命到達停止中処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。同図に示すように、寿命到達停止中フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS161)。当該フラグがセットされていないことを判断すると(ステップS161で「NO」)、リターンする。
当該フラグがセットされていることを判断すると(ステップS161で「YES」)、寿命に到達したと判断されたIUが新品のものに交換されたか否かを判断する(ステップS162)。新品のIUに交換されたことの検出は、IU交換検出部6Y〜6Kにより行われ、IU交換検出部6Y〜6Kにより交換されたことが検出されると、新品のIUに交換されたことが判断される。
【0090】
新品のIUに交換されたことを判断すると(ステップS162で「YES」)、IU寿命による中断原因が解消されたとして、交換されたIUに対する累積動作時間を0にリセットして(ステップS163)、所定の初期化処理を行い(ステップS164)、寿命停止中フラグをリセットして(ステップS165)、リターンする。
この場合、第1停止中画面201または第2停止中画面202においてジョブ破棄ボタン214がユーザーにより押下されていないので、中断しているジョブが破棄されることはなく、他の中断原因がなければ、図7のステップS4において未処理のジョブがあるとして、ステップS10で中断しているジョブが再開されることになる。
【0091】
一方、IUがまだ交換されていないことを判断すると(ステップS162で「NO」)、ジョブ破棄フラグセット処理を実行して(ステップS166)、リターンする。
図18は、ジョブ破棄フラグセット処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。同図に示すように、ユーザーによりジョブ破棄ボタン214が押下されたか否かを判断する(ステップS181)。
【0092】
ジョブ破棄ボタン214が押下されたことを判断すると(ステップS181で「YES」)、ジョブ破棄フラグをセットして(ステップS182)、液晶表示部56に表示されている停止中画面、ここでは第1停止中画面201を消去して(ステップS183)、リターンする。この場合、ジョブ破棄ボタン214が押下されたので、後述のジョブ破棄判断処理において、中断しているジョブが破棄されることになる。
【0093】
一方、ジョブ破棄ボタン214が押下されていないことを判断すると(ステップS181で「NO」)、リターンする。この場合、IUの交換もされず、ジョブ破棄ボタン214も押下されていないことになるので、ジョブが中断している状態が継続される。
<ジャム停止中処理>
図19は、ジャム停止中処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0094】
同図に示すように、ジャム停止中フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS191)。当該フラグがセットされていないことを判断すると(ステップS191で「NO」)、リターンする。
当該フラグがセットされていることを判断すると(ステップS191で「YES」)、ユーザーの操作によりジャムが解除されたか否かを判断する(ステップS192)。ジャムが解除されたことを判断すると(ステップS192で「YES」)、ジャムからの復帰処理、例えばウォームアップなどを行って(ステップS193)、中断原因が解消されたとしてジャム停止中フラグをリセットして(ステップS194)、リターンする。
【0095】
この場合、ジョブ破棄ボタン214がユーザーにより押下されていないので、中断しているジョブが破棄されることはなく、他の中断原因がなければジョブが再開される。
一方、ジャムが解除されていないことを判断すると(ステップS192で「NO」)、ジョブ破棄フラグセット処理を実行して(ステップS195)、リターンする。このジョブ破棄フラグセット処理は、図18に示すジョブ破棄フラグセット処理と同じであるので、説明は省略するが、ジョブ破棄ボタン214の押下が判断されなければ、ジョブが中断している状態が継続される。
【0096】
<トラブル停止中処理>
図20は、トラブル停止中処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、トラブル停止中フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS201)。当該フラグがセットされていないことを判断すると(ステップS201で「NO」)、リターンする。
【0097】
当該フラグがセットされていることを判断すると(ステップS201で「YES」)、トラブルが解除されたか否かを判断する(ステップS202)。例えば、トラブルが定着部13のヒーター16の断線により発生している場合、サービスマンにより新たなヒーター16に交換されることによりトラブルが解除(中断原因が解消)される。
トラブルが解除されたことを判断すると(ステップS202で「YES」)、トラブルからの復帰処理、例えばウォームアップなどを行い(ステップS203)、中断原因が解消されたとしてトラブル停止中フラグをリセットして(ステップS204)、リターンする。この場合、ジョブ破棄ボタン214がユーザーにより押下されていないので、中断しているジョブが破棄されることはなく、他の中断原因がなければジョブが再開される。
【0098】
一方、トラブルが解除されていないことを判断すると(ステップS202で「NO」)、ジョブ破棄フラグセット処理を実行して(ステップS205)、リターンする。このジョブ破棄フラグセット処理は、図18に示すジョブ破棄フラグセット処理と同じであるので、説明は省略するが、ジョブ破棄ボタン214の押下が判断されなければ、ジョブが中断している状態が継続される。
【0099】
<エンプティ停止中処理>
図21は、エンプティ停止中処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、エンプティ停止中フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS211)。当該フラグがセットされていないことを判断すると(ステップS211で「NO」)、リターンする。
【0100】
当該フラグがセットされていることを判断すると(ステップS211で「YES」)、エンプティになっているトナーボトルが新たなものに交換されたか否かを判断する(ステップS212)。トナーボトルが新たなものに交換されたことの検出は、トナーボトル交換検出部8Y〜8Kにより行われる。
新たなトナーボトルに交換されたことを判断すると(ステップS212で「YES」)、エンプティからの復帰処理、例えばトナーの現像部への補給などを行い(ステップS213)、中断原因が解消されたとしてエンプティ停止中フラグをリセットして(ステップS214)、リターンする。
【0101】
この場合、ジョブ破棄ボタン214がユーザーにより押下されていないので、中断しているジョブが破棄されることはなく、他の中断原因がなければジョブが再開される。
一方、トナーボトルが交換されていないことを判断すると(ステップS212で「NO」)、ジョブ破棄フラグセット処理を実行して(ステップS215)、リターンする。このジョブ破棄フラグセット処理は、図18に示すジョブ破棄フラグセット処理と同じであるので、説明は省略するが、ジョブ破棄ボタン214の押下が判断されなければ、ジョブが中断している状態が継続される。
【0102】
<ストップキー停止中処理>
図22は、ストップキー停止中処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。同図に示すように、ストップキー停止中フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS221)。当該フラグがセットされていないことを判断すると(ステップS221で「NO」)、リターンする。
【0103】
当該フラグがセットされていることを判断すると(ステップS221で「YES」)、再スタートボタン221(図9(b))がユーザーにより押下されたか否かを判断する(ステップS222)。
再スタートボタン221が押下されたことを判断すると(ステップS222で「YES」)、中断原因が解消されたとしてストップキー停止中フラグをリセットして(ステップS223)、リターンする。この場合、中断原因が解消されてジョブが再開される。
【0104】
一方、再スタートボタン221が押下されていないことを判断すると(ステップS222で「NO」)、ジョブ破棄フラグセット処理を実行して(ステップS224)、リターンする。このジョブ破棄フラグセット処理は、図18に示すジョブ破棄フラグセット処理と同じであるので、説明は省略するが、ジョブ破棄ボタン214の押下が判断されなければ、ジョブが中断している状態が継続される。
【0105】
<ジョブ破棄判断処理>
図23は、ジョブ破棄判断処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、ジョブ破棄フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS231)。当該フラグは、図18に示すジョブ破棄フラグセット処理においてジョブ破棄ボタン214がユーザーにより押下されたことを契機にセットされるフラグである。
【0106】
当該フラグがセットされていないことを判断すると(ステップS231で「NO」)、リターンする。この場合、中断しているジョブの破棄をユーザーが指示していないことになるので、当該ジョブが破棄されることはない。
当該フラグがセットされていることを判断すると(ステップS231で「YES」)、ユーザー復帰可能フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS232)。当該フラグは、図13に示すエラー判断処理のステップS109および図14に示すIU寿命判断処理のステップS129においてセットされるフラグであり、ジョブの中断原因をユーザーの操作により解除可能であることを示すものである。
【0107】
当該フラグのセットを判断すると(ステップS232で「YES」)、累積中断コピー枚数更新処理を実行して(ステップS233)、ステップS234に移る。
図24は、累積中断コピー枚数更新処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。同図に示すように、当該ジョブ中断時における変数Nの値を読み出す(ステップS251)。変数Nは、ジョブごとに、1枚の用紙にコピーが実行されるごとに1が加算される累積値を示すので、ジョブ中断時の変数Nの値は、当該ジョブ開始から中断までに実際にコピーされた用紙枚数を示すものになる。
【0108】
続いて、更新する累積カウンターを特定する(ステップS252)。この特定は、当該ジョブを発行した認証ユーザーに対して予め設けられている累積カウンターを特定することにより行われる。例えば、当該ジョブを発行したユーザーがユーザーAであれば累積カウンターAが特定され、ユーザーBであれば累積カウンターBが特定される。
そして、特定した累積カウンターに対して、現在の累積値(累積中断コピー枚数)に、読み出した変数Nの値を加算させて、累積中断コピー枚数を更新して(ステップS253)、リターンする。
【0109】
図23に戻り、ユーザー復帰可能フラグがセットされていないことを判断すると(ステップS232で「NO」)、累積中断コピー枚数の更新を実行せずに、ステップS234に移る。このように累積中断コピー枚数の更新は、ユーザー自身の操作により復帰可能なものとして予め決められた中断原因(ジャム、エンプティなど)により中断したジョブが破棄された場合に実行されるが、復帰不可の中断原因(トラブルなど)により中断したジョブが破棄された場合には実行されない。このように切り替えるのは、次の理由による。
【0110】
すなわち、(a)復帰不可の中断の場合、基本的にユーザーが解除することができず、ユーザーがどうすることもできない状況で、装置側の原因で中断したジョブをユーザーが破棄したからといって、これを累積中断コピー枚数にカウントするのは、ユーザーにとって酷となる。
(b)これに対して、復帰可能な中断の場合、ユーザーの操作により解除できるはずであり、解除できるのに、その解除操作が面倒または急ぐなどの理由により解除操作をせずに、中断したジョブを破棄することは、破棄により使い道がなくなった、中断までのコピー済みの用紙が廃棄される蓋然性を考慮すれば、ユーザーに酷とはいえず、累積中断コピー枚数にカウントすることが望ましいと考えられるからである。
【0111】
ステップS234では、ストップ停止中フラグがセットされているか否かを判断する。
当該フラグがセットされていることを判断すると(ステップS234で「YES」)、前回ジョブ確認要求フラグをセットして(ステップS235)、ステップS236に移る。ユーザーによるストップキー53の操作によりジョブが中断されている状態でジョブ破棄ボタン214が押下された場合であり(図22のステップS221、S224、図18のS181で「YES」、S182)、この場合にだけ前回ジョブ確認要求フラグがセットされることになる。
【0112】
この前回ジョブ確認要求フラグがセットされると、破棄されたジョブの次のジョブが実行される場合に、図25に示すモード切替判断処理において累積中断コピー枚数を更新するか否かが切り替えられる。
ストップ停止中フラグがセットされていないことを判断すると(ステップS234で「NO」)、ステップS236に移る。
【0113】
ステップS236でユーザー復帰可能フラグをリセットし、ステップS237でストップ停止中フラグをリセットし、ステップS238でジョブ破棄フラグをリセットする。
続いて、現在の変数Nの値(当該中断しているジョブの中断までに実行されたコピー枚数に相当)を、ジョブ管理テーブル106における当該ジョブのジョブ番号に対応する「中断までのコピー枚数」欄に書き込む(ステップS239)。図4の例では、ジョブ番号100のジョブが破棄されたジョブであり、「中断までのコピー枚数」欄に、Nの値として30枚が書き込まれている例が示されている。
【0114】
そして、当該中断しているジョブを破棄して(ステップS240)、リターンする。ルーチンが一巡し、図7に示すステップS2に戻ったときには、当該ジョブが破棄されており、これらのフラグがリセットされた状態でステップS2以降の処理が行われる。
なお、ジョブが破棄されてもジャムなどの中断原因が解消されていなければ、ジョブが中断している状態が継続され、中断原因が解消されると、ジャム停止中フラグなどの停止条件フラグがリセットされて、図7において停止条件が未設定と判断されると(ステップS3で「NO」)、次のジョブの受け付けなどが行われる(ステップS4〜S10)。
【0115】
破棄されたジョブの次に新たなジョブが受け付けられ、そのジョブの開始指示があり(ステップS4〜S8)、続いてモード切替判断処理(ステップS9)が実行される場合の動作を以下に説明する。なお、破棄されたジョブを前回ジョブ、これの次の新たなジョブを今回ジョブとして区別する。
図25は、モード切替判断処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【0116】
同図に示すように前回ジョブ確認要求フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS61)。当該フラグは、図23のステップS235でセットされたものであり、当該フラグがセットされているということは、ストップキー53の操作で中断したジョブ(前回ジョブ)がジョブ破棄ボタン214により破棄された場合を示している。
当該フラグがセットされていないことを判断すると(ステップS61で「NO」)、リターンする。一方、当該フラグがセットされていることを判断すると(ステップS61で「YES」)、前回ジョブと今回ジョブのコピーモードを比較する(ステップS62)。
【0117】
コピーモードの比較は、ジョブ管理テーブル106のモード欄において、前回ジョブと今回ジョブに対する2−in−1の設定の有無を参照することにより行われる。
例えば、前回ジョブと今回ジョブの両方が2−in−1を設定または未設定であれば、モードが同じであり、前回ジョブでは未設定であったが今回ジョブで設定されている場合には、モードが異なっていると判断することができる。
【0118】
コピーモードが前回ジョブと今回ジョブとで異なっていることを判断すると(ステップS63で「YES」)、以下の(式1)を満たすか否かを判断する(ステップS64)。
P≧(P1−P2)・・・(式1)
ここで、Pは、前回ジョブにおける中断までに実行されたコピー枚数を示し、P1は、前回ジョブのコピー設定枚数(中断せずに最後までコピーしたと仮定した場合の枚数)を示し、P2は、今回ジョブのコピー設定枚数(中断せずに最後までコピーした場合の枚数)を示している。
【0119】
今回ジョブを前回ジョブのやり直しとすると、(P1−P2)は、2―in―1モードを用いることによるジョブのやり直しにより節約されるコピー枚数(節約効果枚数)となる。P,P1,P2の値は、ジョブ管理テーブル106から取得することができる。
具体的には、図4に示すジョブ管理テーブル106において、例えば前回ジョブをジョブ番号100番のジョブ、今回ジョブを101番のジョブとすれば、Pは30枚、P1は100枚、P2は50枚になり、節約効果枚数は50枚になる。これらのP,P1,P2の値を上記の(式1)に代入すると、(式1)を満たさないことになる。
【0120】
この(式1)は、無駄なコピーであるか否かを判断するために用いられる式であり、(式1)を満たす場合に無駄なコピーが行われていると判断され、満たさない場合には無駄なコピーではないと判断されるようになっている。
すなわち、前回ジョブを、ユーザーがうっかりしてコピーモードを2−in−1に設定することを忘れてしまったジョブ、今回ジョブを、前回ジョブのやり直しのジョブとした場合に、前回ジョブをできるだけ早く中断させて今回ジョブに切り替えた方が用紙の使用枚数を少なくすることができる。
【0121】
具体的には、上記の例であれば、前回ジョブは2−in−1ではない通常のジョブ(1枚の用紙の片面に1ページ分をコピーするジョブ)なので、前回ジョブだけを実行すれば100枚(P1)の用紙を使うことになるが、前回ジョブを例えば1枚目の用紙で中断して、今回ジョブに切り替えれば、今回ジョブで使用される用紙が50枚(P2)、前回ジョブの中断までのコピー枚数が1枚(P)で合計51枚になり、前回ジョブだけの場合の100枚を大きく下回っており、1枚の用紙を廃棄するだけで済む。
【0122】
ところが、中断時期が遅れて、例えば60枚目で中断すれば、前回ジョブと今回ジョブとで合計110枚の用紙が必要になり、前回ジョブだけの100枚を超えてしまう。
このような中断を行えば、前回ジョブの60枚の用紙が廃棄される可能性があり、前回ジョブを60枚目で中断せずに、そのまま継続した方が用紙の合計の使用枚数が増えることを防止できる。
【0123】
このことから、(式1)を満たす場合、上記例では枚数Pが50枚(節約効果枚数)以上であれば、合計枚数が前回ジョブだけのコピー設定枚数P1以上になることから、無駄なコピーが行われており、枚数Pが50枚(節約効果枚数)よりも少なければ、P1よりも少なくなることから、無駄なコピーではないと判断するものである。
実行中のジョブをユーザーがストップキー53の操作により中断させる行為は、ユーザーがコピーモードの設定をうっかり誤ったことが原因になることが多く、そうとすればユーザー側に原因があることになるので、無駄なコピーが行われていると判断した場合には、累積中断コピー枚数が更新されてもユーザーにとっては酷になるとはいえない。
【0124】
そこで、(式1)を満たすことを判断すると(ステップS64で「YES」)、累積中断コピー枚数更新処理を実行し(ステップS65)、(式1)を満たさないことを判断すると(ステップS64で「NO」)、累積中断コピー枚数更新処理を実行せずに、リターンするようになっている。ステップS65の累積中断コピー枚数更新処理は、図24に示す累積中断コピー枚数更新処理と同じ処理である。
【0125】
累積中断コピー枚数更新処理を実行すると(ステップS65)、前回ジョブ確認要求フラグをリセットして(ステップS66)、リターンする。この場合、次に前回ジョブ確認要求フラグがセットされるまで(図23のS235)、すなわち次に、ストップキー53により中断されたジョブが破棄されることが発生するまで、モード切替判断処理は実行されないことになる。
【0126】
なお、前回ジョブが2−in−1、今回ジョブが通常(2−in−1ではない)ジョブである場合には、(式1)を満たすことになる。この場合、本来であれば前回ジョブの方が今回ジョブよりも用紙枚数が少なくなるところ、前回ジョブを中断してまで今回ジョブをやり直すことは、前回ジョブの2−in−1による中断までにコピーされた用紙が廃棄される可能性が高くなるとして、累積中断コピー枚数を更新するものである。
【0127】
また、ステップS63においてコピーモードが前回ジョブと今回ジョブとで同じ場合には、コピーモードの設定の誤りによるジョブのやり直しではない蓋然性が高いので、累積中断コピー枚数更新処理を実行せずにリターンする(ステップS63で「NO」)。
(5)中断原因の違いにより累積中断コピー枚数を更新するケースと更新しないケースの具体例
・ケースA
ユーザーの操作やコピーモードの設定に関係なく、MFP1側の事情によりジョブが中断され、ユーザーが復帰操作を行える場合。
【0128】
例えば、上記のジャムやトナーエンプティの発生がある。MFP1は、通常、ジャム発生やトナーエンプティ発生時にユーザーが容易にジャム解除やトナーボトルの交換などの操作を行うことができるように構成されており、ジャムやトナーエンプティが発生すれば、ユーザーがその解除操作を行うことが本来である。
この解除操作が容易であるにも関わらず、面倒などの理由によりユーザーがこれを行うことなく、中断されたジョブを破棄することは、本来の操作から外れており、ユーザーが別のMFPでジョブを一からやり直すことがあれば、中断までにコピーされた用紙が使用されずに廃棄されて無駄になる蓋然性が高くなる。
【0129】
そこで、ケースAの状況でジョブが破棄された場合は、これを削減すべきジョブ破棄として、累積中断コピー枚数を更新する(図23のステップS232で「YES」、S233)。
累積中断コピー枚数の更新により、累積中断コピー枚数が増えて所定値Mを超えると警告が表示されるので(図10のステップS43で「YES」、S44)、ユーザーは、その表示を見て、無駄なコピーが多いことを気付くことができる。
【0130】
一方で、管理者側にとっては、累積中断コピー枚数の管理により、無駄なコピーが多いユーザーを特定して、そのユーザーに警告、指導等を行うことができる。
ケースAは、ジャムやトナーエンプティに限られず、例えば給紙トレイ31に収容されていた用紙Sがジョブ実行中になくなったためにジョブが中断したような場合にも適用できる。ユーザーは、給紙トレイ31に用紙Sを補充する操作を行えば済むところ、その操作を行わずにジョブを破棄した場合に、累積中断コピー枚数の更新が実行される。
【0131】
・ケースB
ユーザーの操作やコピーモードの設定に関係なく、MFP1側の事情によりジョブが中断され、ユーザーが復帰操作を行えない場合。
例えば、上記のトラブルの発生がある。ユーザーにより復帰操作が行えなければ、中断したジョブを破棄して、別のMFP1で一からジョブをやり直すことも止むを得ないことから、ケースBの状況でジョブが破棄された場合は、これを削減すべきジョブ破棄ではないとして、累積中断コピー枚数を更新しない(図23のステップS232で「NO」)。
【0132】
上記では、トラブルを定着部13のヒーター16の断線としたが、これに限られず、ユーザーでは交換できない部材、例えば中間転写ベルト12などが寿命に達した場合、感光体ドラムなどを回転駆動するモーターやジャム検出センサーなどのセンサー類などが故障した場合などとしても良い。
・ケースC
ユーザーの操作やコピーモードの設定に関係なく、MFP1側の事情によりジョブが中断され、ユーザーが復帰操作を行えるが、改善しない場合。
【0133】
例えば、ジャムの頻発がある。ジャムの頻発は、上記のように用紙を給紙トレイ31から繰り出すピックアップローラの表面の磨耗が進んだ場合に生じ易いが、ピックアップローラは、IU11Y〜11Kなどのように駆動時間や用紙枚数などにより寿命管理されていないので、磨耗が進んで寿命に近づいていることは、ジャム頻発という形で現れる。
1回ずつのジャムについてはユーザーが解除できるが、直ぐにジャムが再発して、改善することがなく故障に近い状態といえる。
【0134】
このようなジャム頻発の状況でジョブが破棄された場合は、ケースBのトラブルと同様に、これを削減すべきジョブ破棄ではないとして、累積中断コピー枚数を更新しない(図13のステップS108で「NO」、図23のステップS232で「NO」)。
ケースCは、ジャムの頻発に限られず、例えばトラブルのうち、一時的に解除されても直ぐに再発するものなどに適用可能である。
【0135】
・ケースD
ジョブ実行中にユーザーがコピーモードの設定の誤りに気付いて、ストップキー53によりジョブを中断させる場合。
この場合、中断後、ジョブを再開させればジョブにより実行された合計のコピー枚数が増えることがないが、中断後、ジョブが破棄されると、中断までにコピーされた用紙が使用されずに廃棄されて無駄になることがある。
【0136】
ジョブの中断は、ユーザーの意思によるものであり、ユーザー側に原因があるので、ジョブが破棄されれば累積中断コピー枚数を更新する方法をとることができるが、これを一律に適用すると、ユーザーに酷になる場合があり得る。
この場合とは、上記の図25のモード切替判断処理において、(式1)を満たさない場合である(ステップS64で「NO」)。(式1)を満たさない場合は、少なくとも前回ジョブと今回ジョブとで使用される合計のコピー枚数(P+P2)が、前回ジョブを中断せずに実行したと仮定した場合のコピー枚数(P1)よりも増えることがないので、用紙枚数の削減を期待することができ、このような場合にも累積中断コピー枚数を更新するのは、ユーザーにとって酷になるからである。
【0137】
なお、図25のモード切替判断処理では、前回ジョブと今回ジョブとでコピーモードが同じであれば(ステップS63で「NO」)、累積中断コピー枚数を更新しないとしたが、これに限られない。
前回ジョブと今回ジョブとでコピーモードが同じということは、ユーザーが前回ジョブ実行中にモードの設定の誤りに気付いてストップキー53により前回ジョブを中断させたわけではなく、別の何らかの理由、例えば用紙を厚紙にすべきところ普通紙を設定してしまった場合などが想定されるが、中断が行われたということは、前回ジョブにおいてその中断までにコピーされた用紙が廃棄されている蓋然性が高いと想定することもできる。
【0138】
そこで、コピーモードが同じであれば、累積中断コピー枚数を更新しない構成を止めて、(式1)を満たすか否かに関わらず更新する構成をとるようにして、ユーザーに対し警告を発する機会をより増やすようにすることもできる。
また、コピーモードが同じか否かを2―in―1の設定の有無により判断するとしたが、これに限られない。1枚の用紙に複数ページの画像を並べて形成する節約モード、例えばN―in―1(1枚の用紙の片面にN(2以上の整数)ページ分の画像を形成するモード)などでも良い。例えば、前回ジョブが2―in―1、今回ジョブが4―in―1など、前回よりも今回の方がより節約になる場合、またはこれとは逆の場合などにも(式1)を適用して、累積中断コピー枚数の更新の要否を判断することもできる。
【0139】
また、両面コピー機能を有していれば、1枚の用紙の表面と裏面のそれぞれに1ページ分の画像を形成することができ、片面コピーに比べてコピーに使用する用紙を節約することができることから、両面コピーを節約モードとして、片面コピージョブを中断後に破棄して、その次に両面コピージョブを実行する場合に(式1)を適用する構成をとることもできる。両面コピーとN―in―1を組み合わせるとしても良い。
【0140】
また、両面コピーが、1枚の用紙ごとに、用紙の一方の面に画像を転写した後、定着して、その用紙をスイッチバック、循環搬送して再度、転写位置に戻し、他方の面に画像を転写した後、定着して排出する動作を行うものである場合、ジョブの中断は、用紙1枚ごとに一方の面への画像が転写されてから他方の面への画像の転写までの間にも生じ得る。
この中断により、一方の面への画像形成が終わった用紙が排出される構成であれば、排出された用紙が片面にだけコピーされたものになり、廃棄対象になり易いので、上記同様に中断原因により累積中断コピー枚数を更新し、または更新しないようにすることにより、ユーザーに酷になりすぎることなく廃棄コピーの削減を図ることに繋がる。
【0141】
以上、説明したように本実施の形態では、ジョブごとに、当該ジョブが中断後、破棄された場合に、その中断原因に基づいて累積中断コピー枚数を更新するか否かを決め、更新が決められた場合にだけ更新を行うとしたので、中断後、破棄されたジョブのその中断までのコピー枚数を、ユーザーに起因しない中断の場合に累積中断コピー枚数に加算しないようにすることができ、一律に加算される構成に比べて、ユーザーにとって酷になりすぎず、累積中断コピー枚数を管理することにより無駄なコピーの削減を図ることができる。
【0142】
本発明は、画像形成装置に限られず、累積中断コピー(プリント)枚数を管理する管理方法であるとしてもよい。また、この方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
【0143】
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、ユーザー認証を行い、ユーザー単位で累積中断コピー枚数を管理するとしたが、これに限られない。累積中断コピー枚数を、例えばユーザーが所属する部門別に管理するとしたり、MFP(装置)単位で管理するとしたりすることもできる。部門別で管理する場合、各ユーザーがどの部門に属するかを識別する構成をとれば良い。また、MFP単位で管理する場合、ユーザーを識別することなく、当該MFPを利用する全ユーザーにより実行されるジョブを対象にすれば良い。
【0144】
例えば、部門別で管理する場合には、その部門に属するユーザーがMFPを利用するときに警告メッセージを表示することができ、またMFP単位で管理する場合には、各ユーザーが当該MFPを利用するごとに警告メッセージを表示することもできる。
(2)上記実施の形態では、累積中断コピー枚数が所定値M以上の場合にユーザーに対して注意を促す旨の警告メッセージを液晶表示部56に表示するとしたが、警告の出力がこの方法に限られることはない。例えば、メッセージ表示に代えて、注意を促す旨の記号の表示、音声出力などとすることもできる。また、その情報を、MFP1とLANなどのネットワークを介して接続されている外部の端末装置(ユーザーや管理者が利用しているパーソナルコンピューターなど)に送信により出力するとしても良い。端末装置は、ネットワークアドレスなどから特定される。
【0145】
さらに、累積中断コピー枚数が所定値M以上であるか否かに関わらず、累積中断コピー枚数を示す情報を表示、音声、送信などで出力することにより、ユーザーに対して注意を促す構成をとることもできる。上記の表示、音声、送信などの少なくとも1つを出力手段として備えるとしても良い。出力先は、MFPの操作部、管理対象である各ユーザーやその管理者などが利用する端末装置などとすることができる。
【0146】
(3)上記実施の形態では、ジョブの破棄ごとに、その中断原因に基づいて破棄ジョブの中断までに実行されたコピー(プリント)枚数をそれまで(前回の破棄まで)の累積値に累積するか否かを決め(ステップS232、S64)、累積を決めた場合にだけ累積値を更新する累積中断コピー枚数更新処理(ステップS233、S65)を行うとしたが、プリント枚数を累積する場合に限られない。
【0147】
累積中断コピー枚数を指標する指標値であれば良く、プリント枚数に代えて、例えば中断、破棄されたジョブの数を累積カウントする対象とすることもできる。ジョブごとに中断までのプリント枚数に違いがある場合が生じるが、中断したジョブを破棄した回数が多ければ、それだけ中断までのプリント済みの用紙が廃棄されている蓋然性が高いといえるので、破棄ジョブの数を管理することも、廃棄される用紙の削減に繋がることになる。
【0148】
また、プリント枚数に代えて、破棄されたジョブにより実行されたプリント回数としても良い。両面コピーの場合には、シートの第1面(表面)と第2面(裏面)のそれぞれにプリントされるので、シート1枚に対して2回のプリントが行われるとして、これらを計数して管理することもできる。
(4)上記実施の形態では、本発明に係る画像形成装置をタンデム型カラー複合機に適用した場合の例を説明したが、これに限られない。カラーやモノクロの画像形成を実行可能か否かに関わらず、シートに画像を印刷(プリント)するジョブを実行する画像形成装置であり、中断したジョブを破棄する機能を有するものであれば、例えば複写機、プリンター、ファクシミリ装置等に適用できる。
【0149】
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、シートに画像を印刷(プリント)するジョブを実行する画像形成装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0151】
1 MFP
3 画像形成部
5 操作部
14 制御部
53 ストップキー
105 ユーザー認証部
106 ジョブ管理テーブル
109 累積カウント部
110 更新決定部
111 累積カウンター
214 ジョブ破棄ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像をプリントするジョブを実行する画像形成装置であって、
実行中のジョブを中断する停止手段と、
中断したジョブの破棄の指示をユーザーから受け付ける受付手段と、
破棄の指示が受け付けられると、当該中断したジョブを破棄する破棄手段と、
破棄されたジョブの中断原因を判断する判断手段と、
ジョブの破棄ごとに、前記判断された中断原因に基づいて当該破棄ジョブの中断までに実行されたプリント枚数の指標値をそれまでの累積値に累積して更新するか否かを決め、更新を決めた場合にだけ累積値を更新する更新手段と、
前記累積値を示す情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記中断原因には、
中断後、画像形成装置を使用するユーザーが中断原因を解消して当該ジョブを再開することが可能な第1原因と、当該ユーザーでは中断原因を解消できない第2原因が含まれ、
前記更新手段は、
第1原因の場合には更新することを決め、第2原因の場合には更新しないことを決めることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記停止手段は、
ユーザーからの中断の指示により、前記中断を行い、
前記中断原因には、
前記破棄されたジョブがユーザーの指示により中断するまでにプリントされたシートの枚数をP、当該破棄されたジョブが中断せずに最後まで実行されたと仮定した場合のシート枚数をP1、当該破棄されたジョブの次のジョブが中断せずに最後まで実行されたと仮定した場合のシート枚数をP2としたとき、枚数Pが枚数(P1−P2)以上となる条件で中断された場合の第1原因と、枚数Pが枚数(P1−P2)よりも小さくなる条件で中断された場合の第2原因が含まれ、
前記更新手段は、
第1原因の場合には更新することを決め、第2原因の場合には更新しないことを決めることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記破棄されたジョブと次のジョブとは、
一方が1枚の用紙の片面に1ページ分の画像を形成するジョブ、他方が1枚の用紙の片面にN(2以上の整数)ページ分の画像を形成するN―in―1によるジョブである、または、一方が1枚の用紙の片面に画像を形成するジョブ、他方が1枚の用紙の両面に画像を形成するジョブであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ジョブの実行を要求したユーザーを識別する識別手段を備え、
前記受付手段は、
ユーザーごとに破棄処理の実行を受け付け、
前記更新手段は、
ユーザーごとにそのユーザーに対する累積値を記憶しており、ユーザーごとにその累積値を更新するか否かを決めて、当該累積値の更新を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記指標値は、
破棄されたジョブによりプリントされた枚数を示す値、破棄されたジョブの数を示す値または破棄されたジョブにより実行されたプリント回数を示す値であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記出力手段は、
前記累積値を示す情報を表示する手段、当該情報を音声出力する手段、当該情報を自装置にネットワークを介して接続されている端末装置に送信する手段の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記出力手段は、
前記累積値が所定値以上の場合にだけ前記出力を実行することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−92566(P2013−92566A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233038(P2011−233038)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】