説明

画像形成装置

【課題】転写ローラと感光体とが圧接し、転写ローラが発泡弾性体からなる画像形成装置において、転写ローラ表面の発泡孔に入り込んだトナーを確実に除去できるようにする。
【解決手段】転写ローラ7の感光体1への圧接力を可変とする。そして、転写動作時は、転写ローラ7に転写バイアス電圧を印加して、転写ローラ7と感光体1とのニップ部を通過する用紙Pに感光体1の表面に担持されたトナー画像を転写させる。一方、転写ローラ7のクリーニング動作時は、転写ローラ7にクリーニングバイアス電圧を印加するとともに、転写ローラ7の感光体1への圧接力を転写動作時よりも高くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、より詳細には、転写ローラが像担持体に圧接し、転写ローラと像担持体とのニップ部を通過する被転写材に像担持体表面のトナー画像を転写する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
転写ローラが像担持体に圧接した転写方式の画像形成装置では、像担持体上のトナーが転写ローラに移動して付着し転写ローラの表面が汚れる問題がある。転写ローラが汚れると、転写ローラと像担持体とのニップ部を通過する被転写材の裏面を汚すことになる。このため、非画像形成時にクリーニングバイアス電圧を転写ローラに印加し、転写ローラの表面に付着したトナーを像担持体に移動させて転写ローラをクリーニングしていた。
【0003】
ところが、転写ローラが発泡弾性体からなる場合、前記のクリーニングバイアス電圧を印加するクリーニング方法では、転写ローラ表面の発泡孔に入り込んだトナーを充分に除去することができなかった。
【0004】
そこで、例えば特許文献1では、クリーニング動作時の転写ローラ及び像担持体の周速を転写動作時よりも遅くして転写ローラ表面の発泡孔に入り込んだトナーを除去する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-272233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記提案技術によっても、転写ローラ表面の発泡孔に入り込んだトナーを未だ充分には除去できなかった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、転写ローラと像担持体とが圧接し、転写ローラが発泡弾性体からなる画像形成装置において、転写ローラ表面の発泡孔に入り込んだトナーを確実に除去できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成する本発明に係る画像形成装置は、回転自在の像担持体と、像担持体に圧接し、少なくとも表面が発泡弾性体からなる転写ローラと、転写ローラの像担持体への圧接力を可変させる圧接力可変手段とを備え、転写動作時は、転写ローラに転写バイアス電圧を印加して、転写ローラと像担持体とのニップ部を通過する被転写材に像担持体の表面に担持されたトナー画像を転写させる一方、転写ローラのクリーニング動作時は、転写ローラにクリーニングバイアス電圧を印加するとともに、転写ローラの像担持体への圧接力を転写動作時よりも高くすることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記クリーニングバイアス電圧は、プラス極性電圧とマイナス極性電圧とを交互に印加するものであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る画像形成装置では、転写ローラのクリーニング動作時は、転写ローラにクリーニングバイアス電圧を印加するとともに、転写ローラの像担持体への圧接力を転写動作時よりも高くして、転写ローラ表面の弾性変形量を大きくするので、転写ローラ表面の発泡孔に入り込んだトナーを確実に除去できるようになる。これにより、被転写材の裏面汚れが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】転写動作時の転写領域の状態図である。
【図3】クリーニング動作時の転写領域の状態図である。
【図4】クリーニングバイアス電圧の一例を示す図である。
【図5】転写ローラのクリーニング動作の制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像形成装置について図に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置Dは、トナー画像を担持し、反時計回りに回転駆動する円筒状の感光体(像担持体)1の周囲に、感光体1の表面を一様に帯電させる帯電装置2と、感光体1表面に光を照射して静電潜像を形成する露光装置3と、感光体1にトナーtを供給し感光体1上の静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置5と、現像装置5によって形成された感光体1上のトナー画像を用紙(被転写材)Pに転写する転写ローラ7と、用紙Pに転写されずに感光体1上に残留したトナーを除去するクリーニング装置9と、感光体1表面の電位を初期状態にする除電装置10とを備えている。
【0014】
画像形成動作について説明すると、まず、所定の周速度で回転する感光体1の外周面が帯電装置2によって一様に帯電される。次に、帯電された感光体1の表面に、例えばパソコンなどの外部装置から入力される画像データに基づいて露光装置3から光が照射されて、感光体1に静電潜像が形成される。続いて、この静電潜像は、現像装置5から供給される現像剤としてのトナーにより顕在化される。このようにして感光体1の表面に形成されたトナー画像は感光体1の回転によって、感光体1と転写ローラ7とのニップ部(転写領域)に搬送される。転写ローラ7は、不図示の駆動モータによって回転すると共に、圧縮コイルばね(圧接力可変手段)42によって感光体1に圧接している。圧縮コイルばね42の一方端は転写ローラ7の回転軸に当接し、他方端は偏心カム(圧接力可変手段)41の外周面に当接している。偏心カム41が回転することによって圧縮コイルばね42が伸縮し、感光体1に対する転写ローラの圧接力が変化する。また、転写ローラ7には、電圧印加手段43によって、転写バイアス電圧及びクリーニングバイアス電圧が印加される。
【0015】
一方、給紙カセット61に積載された用紙Pは、給紙ローラ62によって最上用紙から順に搬送路に引き出され、感光体1の回転タイミングに合わせて転写領域に搬送される。そして、感光体1と転写ローラ7とのニップ部を用紙Pが通過する際に、転写ローラ7に転写バイアス電圧が印加され、感光体1に形成されたトナー画像が用紙Pに転写される。トナー画像が転写された用紙Pは定着装置8に搬送される。定着装置8において用紙Pは、定着ローラ81と加圧ローラ82とのニップ部を通過し、この間に用紙Pは加熱・加圧されて用紙P上のトナー画像は用紙Pに溶融定着する。トナー画像が定着した用紙Pは不図示の排紙トレイに排出される。
【0016】
転写領域を通過した感光体1表面に残留する未転写トナーは、クリーニング装置9に備えられたクリーニングブレード91によって感光体1から除去される。
【0017】
図2及び図3に、転写領域の拡大図を示す。図2は転写動作時の状態図であり、図3はクリーニング動作時の状態図である。転写ローラ7は、芯金とその外周に形成された発泡弾性層とからなる。発泡弾性層は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)やNBR(ニトリルゴム)、ウレタン、シリコンなどに、必要によりイオン導電性物質を添加して発泡させたものであり、100μm〜300μm程度の発泡孔71を有する。
【0018】
図2に示す転写動作時は、圧縮コイルばね42が、偏心カム41の半径の短い外周部分に当接するようにして、感光体1に対する転写ローラ7の圧接力を低くし、感光体1に対する転写ローラ7の食い込み量L(図3に図示)を0.3mm以下とする。そして、電圧印加手段43から転写ローラ7に、トナーの帯電極性と逆極性の転写バイアス電圧を印加する。これにより、感光体1に担持されたトナー画像が電気的引力で用紙Pに転写する。このとき、転写ローラ表面の発泡孔71は通常の形状を維持し、発泡孔71内に入り込んだトナーtが発泡孔71から外に出ることはなく、ニップ部を通過する用紙Pの裏面がトナーで汚れることはない。
【0019】
次に、図3に示す転写ローラ7のクリーニング動作時は、偏心カム41を回転させて、圧縮コイルばね42が、偏心カム41の半径の長い外周部分に当接するようにして、感光体1に対する転写ローラ7の圧接力を転写動作時よりも高くし、感光体1に対する食い込み量L(図3に図示)を0.3mm超、好ましくは0.4mm〜0.5mmの範囲とする。そして、電圧印加手段43から転写ローラ7にクリーニングバイアス電圧を印加する。クリーニングバイアス電圧は、トナーtの帯電極性と同極性の電圧である。これにより、電気的斥力で転写ローラ7から感光体1にトナーtが移動する。なお、転写ローラ7に付着しているトナーtの中には逆帯電トナーも存在することがあるので、クリーニングバイアス電圧として、図4に示すような、トナーtの帯電極性と同極性の電圧と逆極性の電圧とを交互に印加するのがより好ましい。
【0020】
また、感光体1に対する転写ローラ7の圧接力を転写動作時よりも高くすることにより、転写ローラ7表面の発泡孔71が大きく潰れて、発泡孔71の内底面と感光体1との距離が短くなり、クリーニングバイアス電圧の印加によって、発泡孔71に入り込んだトナーtも感光体1へ移動するようになる。
【0021】
転写ローラ7から感光体1に移動したトナーtは、感光体1の回転によってクリーニング装置9(図1に図示)へ搬送されクリーニングブレード91(図1に図示)によって感光体1から除去される。
【0022】
転写ローラ7のクリーニング動作を行う時期としては特に限定はないが、例えば、画像形成枚数や駆動時間、別途設けた汚れセンサーからの汚れ信号などを指標として行うようにすればよい。
【0023】
図5に、以上説明した転写ローラ7のクリーニング動作の制御例を示すフローチャートを示す。まず、転写ローラのクリーニング時期かどうかが判断される(ステップS101)。クリーニング時期であれば、次に偏心カムが回転し、圧縮コイルばねの反発力が強められて転写ローラの圧接力が高くされる(ステップS102)。そして、クリーニングバイアス電圧が電圧印加手段から印加される(ステップS103)。そして、転写ローラのクリーニングが所定時間行われたかどうかが判断され(ステップS104)、所定時間経過すると、クリーニングバイアス電圧の印加が停止され(ステップS105)、偏心カムが再び回転して圧縮コイルばねの反発力が弱められて転写ローラの圧縮力が通常圧に戻され(ステップS106)、制御が終了する。
【0024】
以上説明した実施形態では、像担持体として感光体を用いていたが、これに限定されるものではなく、例えば、中間転写ベルトなどの無端状ベルトであってももちろん構わない。また、感光体に対する転写ローラ7の圧接力は、2段階の切り換えに限定されるものではなく、多段階に切り換え可能としてもよく、この場合、転写ローラ7の圧接力を段階的に高くする、あるいは高くした後に低くする等種々のパターンを取り得る。また、切り換え時期としては転写ローラ7の回転数や回転時間などを指標とすればよい。
【0025】
また、封筒などの厚紙に画像形成を行う場合、転写ローラ7の圧接力を通常よりも高くして転写性を向上させる装置がある。このような装置において、厚紙を通紙する前に転写ローラ7のクリーニングを行うときには、クリーニング時の転写ローラ7の圧接力は、厚紙を通紙する際の圧接力よりも高く設定する。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係る画像形成装置では、転写ローラのクリーニング動作時は、転写ローラにクリーニングバイアス電圧を印加するとともに、転写ローラの像担持体への圧接力を転写動作時よりも高くして、転写ローラ表面の弾性変形量を大きくするので、転写ローラ表面の発泡孔に入り込んだトナーを確実に除去できるようになり、被転写材の裏面汚れが防止される。
【符号の説明】
【0027】
1 感光体(像担持体)
7 転写ローラ
P 用紙(被転写材)
t トナー
41 偏心カム(圧接力可変手段)
42 圧縮コイルばね(圧接力可変手段)
71 発泡孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在の像担持体と、像担持体に圧接し、少なくとも表面が発泡弾性体からなる転写ローラと、転写ローラの像担持体への圧接力を可変させる圧接力可変手段とを備え、
転写動作時は、転写ローラに転写バイアス電圧を印加して、転写ローラと像担持体とのニップ部を通過する被転写材に像担持体の表面に担持されたトナー画像を転写させる一方、転写ローラのクリーニング動作時は、転写ローラにクリーニングバイアス電圧を印加するとともに、転写ローラの像担持体への圧接力を転写動作時よりも高くすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記クリーニングバイアス電圧がプラス極性電圧とマイナス極性電圧とを交互に印加するものである請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−92638(P2013−92638A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234405(P2011−234405)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】