説明

画像形成装置

【課題】故障箇所を容易に特定することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、ローラー61,62を回転させるように入力信号に基づいて駆動すると共に、駆動に基づいた出力信号を出力するモーター63と、入力信号の周波数と出力信号の周波数とに差異があるか否かを判断する判断部92と、判断部92によって入力信号の周波数と出力信号の周波数とに差異があると判断されると、第1計数値を増加させる第1計数部93と、第1計数部93によって計数された第1計数値が予め設定された第1異常判定値を上回ると、モーター63が故障していると判定する第1判定部94と、を備える。第1計数部93は、モーター63によってローラー61,62の回転速度が変更された場合に、変更された後の回転速度である第1回転速度と、変更される前の回転速度である第2回転速度との差の絶対値が、所定の値を上回ると、第1計数値を初期値に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転部材とその回転部材を駆動させる駆動部とを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、回転部材(ローラー)と、そのローラーを駆動させる駆動部(モーター)とを備える。ローラー及びモーターは、例えば、定着部を構成する。具体的には、ローラーは、定着部において加圧ローラーに利用される。モーターは、加圧ローラーを回転させるために駆動する。また、定着部は、加圧ローラーとの摩擦力によって回転可能な無端状の定着フィルムと、定着フィルムを加熱するヒーターと、定着フィルムの回転速度を検出するセンサーと、センサーによって検出された回転速度に基づいてモーターを制御することにより、定着フィルムの回転速度を調整する制御部とを備える。このような定着部は、センサーの検出結果に基づく定着フィルムの回転速度が所定値以下の場合に、定着フィルムにスリップが生じて定着フィルムが回転停止状態にあると判断して、ヒーターへの通電を停止し、過昇温により定着フィルムが熱的に破損してしまうことを防止している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−48134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された定着部では、モーターの故障によって定着フィルムの回転が停止している場合でも、定着フィルムに異常があると判断されてしまう。このように、特許文献1に記載された定着部では、故障の原因が定着フィルムにあると判断されてしまうので、故障箇所がモーターであると特定して、その故障を修復するまでに時間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、回転部材及び駆動部のいずれが故障しているのかを特定することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、回転する回転部材と、前記回転部材を回転させるように入力信号に基づいて駆動すると共に、駆動に基づいた出力信号を出力する駆動部と、前記回転部材の回転速度を変更するために、前記駆動部に前記入力信号を供給することに基づいて前記駆動部を制御する駆動制御部と、前記入力信号の周波数と前記出力信号の周波数とに差異があるか否かを判断する判断部と、前記判断部によって前記入力信号の周波数と前記出力信号の周波数とに差異があると判断された場合に、第1計数値を増加させる第1計数部と、前記第1計数部によって計数された前記第1計数値が予め設定された第1異常判定値を上回る場合に、前記駆動部が故障していると判定する第1判定部と、を備え、前記第1計数部は、前記駆動制御部が前記駆動部を制御することに基づいて前記回転部材の回転速度が変更された場合に、変更された後の回転速度である第1回転速度と、変更される前の回転速度である第2回転速度との差の絶対値が、所定の値を上回ると、前記第1計数値を初期値に戻す、画像形成装置に関する。
【0007】
前記所定の値は、前記第2回転速度の4〜8%となる回転速度であることが好ましい。
【0008】
画像形成装置は、前記回転部材の回転を検知する検知部と、前記検知部によって前記回転部材の回転が検知されない場合に、第2計数値を増加させる第2計数部と、前記第2計数部によって計数された前記第2計数値が予め設定された第2異常判定値を上回る場合に、前記回転部材に異常があると判定する第2判定部と、をさらに備えることが好ましい。
【0009】
前記駆動制御部は、前記第1判定部によって前記駆動部が故障していると判定された場合、又は、前記第2判定部によって前記回転部材に異常があると判定された場合に、前記駆動部の駆動を停止させることが好ましい。
【0010】
前記回転部材は、被転写材及びトナーを加熱及び加圧して、被転写材にトナーを定着させる定着部に配置される定着ローラーであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、故障箇所を容易に特定することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像形成装置の一実施形態に係るコピー機の全体構成を説明するための図である。
【図2】定着部について説明するための図である。
【図3】コピー機の機能構成を示すブロック図である。
【図4】コピー機の動作について説明するための第1のフローチャートである。
【図5】コピー機の動作について説明するための第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の一実施形態に係るコピー機について説明する。まず、コピー機1の全体構成について説明する。図1は、画像形成装置の一実施形態に係るコピー機1の全体構成を説明するための図である。図2は、定着部60について説明するための図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態のコピー機1は、原稿搬送部10と、原稿読取部20と、用紙搬送部30と、画像形成部40と、転写部50と、定着部60とを備える。
原稿搬送部10は、ADF(Automatic Document Feeder)であり、原稿載置部11と、第1送りローラー12と、ガイド13と、タイミングローラー対14と、原稿排出部15とを備える。第1送りローラー12は、原稿載置部11に載置された原稿Gを1枚ずつ順にタイミングローラー対14に供給する。タイミングローラー対14は、原稿読取部20が原稿Gの画像を読み取るタイミングと、原稿Gの画像が原稿読取部20によって読み取られる位置(ガイド13が配置されている位置)に原稿Gを供給するタイミングとを合わせるために、原稿Gの搬送又は原稿Gの搬送停止を行う。ガイド13は、搬送された原稿Gを後述する第1読取面21aに導く。原稿排出部15は、原稿読取部20によって画像が読み取られた(ガイド13を通過した)原稿Gをコピー機1の外部に排出する。
原稿排出部15の外側のコピー機1の上面には、原稿集積部16が形成される。原稿集積部16には、原稿排出部15から排出された原稿Gが積層して集積される。
【0015】
原稿読取部20は、第1読取面21aと、第2読取面22aとを備える。第1読取面21aは、ガイド13に対向して配置された第1コンタクトガラス21の上面に沿って形成され、原稿搬送部10によって搬送された原稿Gの画像を読み取る面となる。第2読取面22aは、第1読取面21aに隣接して(図1に示す場合では、第1読取面21aの右側の大部分に亘って)配置される。第2読取面22aは、原稿搬送部10を用いずに原稿Gの画像を読み取る場合に用いられる。第2読取面22aは、原稿Gが載置される第2コンタクトガラス22の上面に沿って形成され、第2読取面22aに載置された原稿Gの画像を読み取る面となる。
【0016】
また、原稿読取部20は、照明部23と、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27と、撮像部28とをコピー機1の内部に備える。照明部23と第1ミラー24とは、それぞれ副走査方向Xに移動する。第2ミラー25と第3ミラー26とは、図1において照明部23及び第1ミラー24の左側に配置される。さらに、第2ミラー25及び第3ミラー26は、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27とを介した第1読取面21a又は第2読取面22aから撮像部28までの距離(光路長)を一定に保ちつつ、それぞれ副走査方向Xに移動する。
【0017】
照明部23は、原稿Gに光を照射する光源である。第1ミラー24、第2ミラー25及び第3ミラー26は、光路長を一定に保ちつつ、原稿Gによって反射された光を結像レンズ27に導くためのミラーである。結像レンズ27は、第3ミラー26から入射した光を撮像部28に結像させる。撮像部28は、入射された光を電気信号に変換することにより、結像された光像に基づいて画像データを得るための撮像素子であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサーである。
【0018】
用紙搬送部30は、第2送りローラー31と、第3送りローラー32と、レジストローラー対33と、用紙排出部34とを備える。第2送りローラー31は、給紙カセット36に収容される用紙T(被転写材)をレジストローラー対33に供給する。第3送りローラー32は、手差しトレイ37に載置される用紙T(被転写材)をレジストローラー対33に供給する。レジストローラー対33は、転写部50にトナー画像が到達するタイミングと、転写部50に用紙Tを供給するタイミングとを合わせるために、用紙Tの搬送又は用紙Tの搬送停止を行う。また、レジストローラー対33は、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正を行う。用紙排出部34は、後述の転写部50でトナー画像が転写され、さらに後述する定着部60でトナー画像が定着された用紙Tをコピー機1の外部に排出する。
用紙排出部34の外側には、排紙集積部35が形成される。排紙集積部35には、用紙排出部34から排出された用紙Tが積層して集積される。
【0019】
画像形成部40は、トナー画像を形成するためのものであり、感光体ドラム41と、帯電部42と、レーザースキャナーユニット43と、現像器44と、クリーニング部45と、トナーカートリッジ46と、1次転写ローラー47と、中間転写ベルト48と、対向ローラー49とを備える。
感光体ドラム41(41a,41b,41c及び41d)は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローそれぞれのトナー画像を形成するために、感光体又は像担持体として機能する。各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの周囲には、感光体ドラム41の回転方向に沿って上流側から下流側へ順に、帯電部42と、レーザースキャナーユニット43と、現像器44と、クリーニング部45とが配置される。帯電部42は、感光体ドラム41の表面を帯電させる。レーザースキャナーユニット43は、感光体ドラム41の表面から離れて配置され、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gに関する画像データに基づいて感光体ドラム41の表面を走査露光する。これにより、感光体ドラム41の表面には、露光された部分の電荷が除去されることによって静電潜像が形成される。現像器44は、感光体ドラム41の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する。クリーニング部45は、後述する1次転写ローラー47によって感光体ドラム41の表面に形成されたトナー画像が1次転写された後に、除電器(図示せず)によって感光体ドラム41の表面が除電された後の感光体ドラム41の表面に残るトナー等を除去する。
トナーカートリッジ46は、現像器44に供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ46と現像器44とは、トナー供給路(図示せず)により接続されている。
【0020】
1次転写ローラー47(47a,47b,47c及び47d)は、中間転写ベルト48における各感光体ドラム41a,41b,41c及び41dそれぞれとは反対側に配置される。中間転写ベルト48は、画像形成部40及び転写部50を通過するベルトである。中間転写ベルト48の一部分は、各感光体ドラム41a,41b,41c及び41dそれぞれと各1次転写ローラー47a,47b,47c及び47dそれぞれとの間に挟み込まれ、各感光体ドラム41a,41b,41c及び41dそれぞれの表面に形成されたトナー画像が1次転写される。対向ローラー49は、環状形状の中間転写ベルト48の内側に配置され、中間転写ベルト48を図1に示す矢印A方向に進行させるための駆動ローラーである。
【0021】
転写部50は、2次転写ローラー51を備える。2次転写ローラー51は、中間転写ベルト48に関して対向ローラー49とは反対側に配置され、中間転写ベルト48の一部分を対向ローラー49との間に挟みこむ。さらに、2次転写ローラー51は、中間転写ベルト48に1次転写されたトナー画像を用紙Tに2次転写させる。
【0022】
図1及び図2に示すように、定着部60は、回転部材として回転するローラー(回転体)を備える。具体的には、定着部60は、加熱ローラー(加熱回転体)61と、加圧ローラー(加圧回転体)62とを備える。加熱ローラー61と加圧ローラー62とは、用紙T及びトナーを加熱及び加圧して、用紙Tにトナーを定着させる定着ローラー60Aである。すなわち、加熱ローラー61と加圧ローラー62とは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで、トナーを溶融及び加圧し、そのトナーを用紙Tに定着させる。
【0023】
また、定着部60は、駆動部としてのモーター63と、検知部64とを備える。モーター63は、加熱ローラー61又は加圧ローラー62を回転させるように入力信号に基づいて駆動する。例えば、モーター63は、入力信号の周波数に応じた回転数で駆動する。入力信号は、後述する制御部90の駆動制御部91から供給される。また、モーター63は、駆動に基づいた出力信号を出力する。例えば、モーター63は、駆動しているときの回転数に応じた周波数の出力信号を出力する。出力信号は、後述する制御部90の判断部92に供給される。なお、出力信号は、モーター63の外部に配置された回転数測定部(図示せず)から出力されてもよい。その回転点数測定部は、モーター63が駆動しているときの回転数を測定して、その回転数に応じた周波数の出力信号を出力する。
【0024】
ここで、モーター63は、加熱ローラー61及び加圧ローラー62のそれぞれを回転させるように駆動してもよく、加熱ローラー61及び加圧ローラー62のいずれか一方のみを回転させるように駆動してもよい。加熱ローラー61及び加圧ローラー62のうち一方のローラーのみを回転させるようモーター63が駆動する場合には、他方のローラーは、一方のローラーに接触することに基づいて従動回転する。
【0025】
検知部64は、加熱ローラー61又は加圧ローラー62が回転しているか否かを検知する。検知部64は、例えば、パルス板(図示せず)と、光センサー(図示せず)とを備える。パルス板は、例えば、円形であり、円周方向に複数の孔部(図示せず)を備える。そのパルス板は、加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転軸に配置され、各ローラー61,62の回転に伴って回転する。また、光センサーは、発光部(図示せず)と受光部(図示せず)とを備える。発光部と受光部とは、パルス板(孔部が設けられている領域)を介して対向するように配置される。すなわち、パルス板が回転する場合には、発光部から出射された光は、孔部を介してパルス板を通過し、及び、パルス板によって遮断される。よって、受光部は、発光部から出射された光の受光と、非受光とを繰り返す。検知部64は、受光部によって光の受光と非受光とが繰り返し検知される場合に、加熱ローラー61又は加圧ローラー62が回転していることを検知する。
【0026】
次に、コピー機1の機能構成について説明する。図3は、コピー機1の機能構成を示すブロック図である。
コピー機1は、上述した構成要素(原稿搬送部10、原稿読取部20、用紙搬送部30、画像形成部40、転写部50及び定着部60)を備える。用紙搬送部30、画像形成部40、転写部50及び定着部60によりエンジン部3が構成される。なお、図1を用いて説明した構成要素については、その説明を省略する。
さらに、コピー機1は、上述した機能構成に加えて、操作部70と、記憶部80と、制御部90とを備える。
【0027】
操作部70は、テンキー(図示せず)、タッチパネル(図示せず)及びスタートキー(図示せず)等を備える。テンキーは、印刷部数等の数字を入力するために操作される。タッチパネルは、種々の機能(一例として、印刷倍率の設定機能や、複数のページを1枚の用紙Tに割り付ける機能(2in1等))が割り当てられた複数のキー等を表示する。タッチパネルに表示されたキーは、種々の機能のうちのいずれかをコピー機1に実行させるために操作される。スタートキーは、印刷を実行させるために操作される。操作部70は、いずれかのキーが操作されることにより、このキーが操作されたことを表す信号を制御部90に供給する。
【0028】
記憶部80は、ハードディスクや半導体メモリー等から構成される。記憶部80は、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gの画像データを記憶する。また、記憶部80は、コピー機1において利用される制御プログラム、及びこの制御プログラムによって利用されるデータ等を記憶する。
【0029】
制御部90は、原稿搬送部10、原稿読取部20、エンジン部3、操作部70等を制御する。
また、制御部90は、駆動制御部91と、判断部92と、第1計数部93と、第1判定部94と、第2計数部95と、第2判定部96とを備える。
【0030】
駆動制御部91は、加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転を制御するために、モーター63に入力信号を供給することに基づいてモーター63を制御する。また、駆動制御部91は、モーター63の回転数を変更するよう制御することに基づいて、加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転速度(回転数)を変更する。なお、駆動制御部91がモーター63を一定の回転数で回転させるために、その一定の回転数に応じた周波数の入力信号をモーター63に供給する。また、モーター63は実際に回転している回転数に応じた周波数の出力信号を判断部92に出力する。
また、駆動制御部91は、後述する第1判定部94によってモーター63が故障していると判定された場合、又は、後述する第2判定部96によって加熱ローラー61又は加圧ローラー62に異常があると判定された場合に、モーター63の駆動を停止させる。
【0031】
判断部92は、駆動制御部91からモーター63への入力信号の周波数と、モーター63から判断部92への出力信号の周波数とに差異があるか否かを判断する。ここで、駆動制御部91がモーター63を一定の回転数で回転させるために、その一定の回転数に応じた周波数の入力信号をモーター63に供給するときに、モーター63が入力信号に基づいて実際にその一定の回転数で回転して、その一定の回転数に応じた周波数の出力信号を出力する場合には、判断部92は、入力信号の周波数と出力信号の周波数とに差異がないと判断する。
【0032】
一方、モーター63は、入力信号に基づいて回転数を変更している際には、連続的に変化する回転数に応じて連続的に変化する周波数の出力信号を出力する。このため、駆動制御部91がモーター63の回転数を変更するために、変更後の回転数に応じた周波数の入力信号をモーター63に供給したことに基づいて、モーター63が回転数を連続的に変えて、その回転数に応じて連続的に変化する周波数の出力信号を判断部92に出力している場合には、判断部92は、入力信号の周波数と出力信号の周波数とに差異があると判断する。
【0033】
また、モーター63は、故障により駆動しない場合には、一定(例えば、「0」)の出力信号を出力する。このため、駆動制御部91がモーター63を所定の回転数で回転させるために、その所定の回転数に応じた周波数の入力信号をモーター63に供給したときに、モーター63が故障により駆動せず一定の出力信号を出力する場合には、判断部92は、入力信号の周波数と出力信号の周波数とに差異があると判断する。
【0034】
第1計数部93は、判断部92によって入力信号の周波数と出力信号の周波数とに差異があると判断された場合に、第1計数値を増加させる。すなわち、第1計数部93は、判断部92によって入力信号の周波数と出力信号の周波数とに差異があると判断される毎に、第1計数値を1ずつ増加させる。
【0035】
また、第1計数部93は、駆動制御部91がモーター63を制御することに基づいて加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転速度が変更された場合に、変更された後の回転速度である第1回転速度と、変更される前の回転速度である第2回転速度との差の絶対値が、所定の値(閾値)を上回ると、第1計数値を初期値に戻す。
【0036】
なお、加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転速度を変更する場合には、駆動制御部91によってモーター63が制御されることにより、そのモーター63の回転数、すなわち、モーター63の駆動速度が変更される。したがって、第1計数部93によって行われる、第1回転速度と第2回転速度との差の絶対値が所定の値を上回った場合に第1計測値を初期値に戻すことは、加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転速度を変更するよう駆動制御部91がモーター63を制御した場合に、加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転速度を変更した後に対応するモーター63の回転数である第1回転数と、加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転速度を変更する前に対応するモーター63の回転数である第2回転数との差の絶対値が、閾値を上回ると、第1計数値を初期値に戻すことと同様なものである。
【0037】
ここで、加熱ローラー61及び加圧ローラー62は、熱によって膨張又は収縮する。加熱ローラー61及び加圧ローラー62が膨張又は収縮した場合、それらのローラー61,62の回転速度が一定だと用紙Tの搬送速度が変化する。このため、加熱ローラー61及び加圧ローラー62が膨張又は収縮した場合でも用紙Tの搬送速度を一定にするために、駆動制御部91は、モーター63の回転数を相対的に僅かに変更している。
【0038】
したがって、第1計数部93は、駆動制御部91がモーター63の回転数を相対的に僅かに変更することに基づいて加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転速度を相対的に僅かに変更するとき(用紙Tの搬送速度を一定に保つために加圧ローラー62又は加圧ローラー62の回転速度を変更するとき)に、その回転速度の変更の範囲が閾値の範囲内である場合には、第1計測値を初期値に戻さない。これにより、モーター63の故障を判定するための計数は継続される。一方、第1計数部93は、その回転速度の変更の範囲(第1回転数と第2回転数との差)が閾値を上回る場合には、第1計測値を初期値に戻す。これにより、モーター63の故障を判定するための計数は、初めからやり直される。
【0039】
より具体的には、第1計測値を初期値に戻すか否かの基準となる値(上述した閾値)は、第2回転速度の±4〜±8%となる回転速度である。すなわち、所定の値は、第2回転速度よりも±4〜±8%の回転速度である。より好ましくは、所定の値は、第2回転速度よりも±6%の回転速度である。したがって、上述した閾値は、第2回転数の±4〜±8%の回転数である。より好ましくは、閾値は、第2回転数の±6%の回転数である。また、初期値は、「0」である。
【0040】
第1判定部94は、第1計数部93によって計数された第1計数値が予め設定された第1異常判定値を上回る場合に、モーター63が故障していると判定する。第1異常判定値は、モーター63が故障しているか否かを判定するための基準値(閾値)である。
【0041】
第2計数部95は、検知部64によって加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転が検知されない場合に、第2計数値を増加させる。すなわち、第2計数部95は、検知部64によって加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転が検知されない度に、第2計数値を1ずつ増加させる。
【0042】
第2判定部96は、第2計数部95によって計数された第2計数値が予め設定された第2異常判定値を上回る場合に、加熱ローラー61又は加圧ローラー62に異常があると判定する。第2異常判定値は、加熱ローラー61又は加圧ローラー62に異常があるか否かを判定するための基準値(閾値)である。
【0043】
次に、本実施形態におけるコピー機1の動作について説明する。図4は、コピー機1の動作について説明するための第1のフローチャートである。図5は、コピー機1の動作について説明するための第2のフローチャートである。
【0044】
図4に示すステップST1において、第1計数部93は、駆動制御部91がモーター63の駆動速度を変更したか否かを判断する。すなわち、第1計数部93は、駆動制御部91がモーター63の駆動速度(回転数)を制御することに基づいて、加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転速度を変更したか否かを判断する。駆動制御部91がモーター63の駆動速度を変更した場合(Yes)には、処理は、ステップST2に進む。駆動制御部91がモーター63の駆動速度を変更していない場合(No)には、処理は、ステップST3に進む。
【0045】
ステップST2において、第1計数部93は、新速度と旧速度との差の絶対値が旧速度の6%となる速度を上回るか否かを判断する。すなわち、第1計数部93は、第1回転数と第2回転数との差の絶対値が所定の値(閾値)を上回るか否かを判断する。新速度と旧速度との差の絶対値が旧速度の6%となる速度を上回る場合(ステップST2においてYes)には、処理は、ステップST3に進む。新速度と旧速度との差が旧速度の6%となる速度を上回らない場合(ステップST2においてNo)には、処理は、ステップST5に進む。
【0046】
ステップST3において、第1計数部93は、第1計数値を初期値に設定する。そして、処理は、ステップST4に進む。
【0047】
ステップST4において、第2計数部95は、第2計数値を初期値に設定する。ステップST4の後は、処理は、図5に示すステップST5に進む。
【0048】
ステップST5において、判断部92は、モーター63に入力される入力信号の周波数と、モーター63から出力される出力信号の周波数とに差異があるか否かを判断する。入力周波数と出力周波数とに差異がある場合(Yes)には、処理は、ステップST6に進む。入力周波数と出力周波数とに差異がない場合(No)には、処理は、ステップST9に進む。
【0049】
ステップST6において、第1計数部93は、第1計数値を1増加させる。
【0050】
ステップST7において、第1判定部94は、第1計数部93によって計数された第1計数値が第1異常判定値を上回るか否かを判断する。第1計数値が第1異常判定値を上回る場合(Yes)には、処理は、ステップST8に進む。第1計数値が第1異常判定値を上回らない場合(No)には、処理は、ステップST10に進む。
【0051】
ステップST8において、第1判定部94は、モーター63が故障していると判定する。ステップST8の後、処理は、ステップST17に進む。
【0052】
ステップST5にて「No」と判断された場合、ステップST9において、第1計数部93は、第1計数値を初期値に設定する。
【0053】
ステップST10において、検知部64は、加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転を検知できたか否かを判断する。加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転を検知できない場合(No)には、処理は、ステップST11に進む。加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転を検知できた場合(Yes)には、処理は、ステップST14に進む。
【0054】
ステップST11において、第2計数部95は、第2計数値を1増加させる。
【0055】
ステップST12において、第2判定部96は、第2計数部95によって計数された第2計数値が第2異常判定値を上回るか否かを判断する。第2計数値が第2異常判定値を上回る場合(Yes)には、処理は、ステップST13に進む。第2計数値が第2異常判定値を上回らない場合(No)には、処理は、ステップST15に進む。
【0056】
ステップST13において、第2判定部96は、加熱ローラー61又は加圧ローラー62に異常があると判定する。
【0057】
ステップST10にて「No」と判断された場合、ステップST14において、第2計数部95は、第2計数値を初期値に設定する。
【0058】
ステップST12にて「No」と判断された場合及びステップST14の後、ステップST15において、判断部92は、所定の時間(例えば、10ms)待機する。
【0059】
ステップST16において、制御部90は、所定枚数の印刷が終了したか否かを判断する。所定枚数の印刷が終了していない場合(No)には、処理は、ステップST5に戻る。所定枚数の印刷が終了した場合(Yes)には、処理は、終了する。
【0060】
ステップST8及びステップST13の後の処理であるステップST17において、制御部90(具体的には、定着部60を制御する定着制御部(図示せず))は、定着部60を停止させる。また、定着制御部は、ステップST8においてモーター63が故障と判定された場合には、モーター63が故障している旨をタッチパネルに表示させる。さらに、制御部90(定着制御部)は、ステップST13において加熱ローラー61又は加圧ローラー62が異常と判定された場合には、加熱ローラー61又は加圧ローラー62が異常である旨をタッチパネルに表示させる。
ステップST17の後、処理は、終了する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のコピー機1によれば、以下の効果が奏される。
すなわち、本実施形態のコピー機1では、第1判定部94が、第1計数部93によって計数された第1計数値が予め設定された第1異常判定値を上回る場合に、モーター63が故障していると判定する一方、第2判定部96が、第2計数部95によって計数された第2計数値が予め設定された第2異常判定値を上回る場合に、加熱ローラー61又は加圧ローラー62に異常があると判定する。これにより、コピー機1は、モーター63が故障しているのか、又は、加熱ローラー61若しくは加圧ローラー62が異常であるのかを判定することができる。すなわち、コピー機1は、故障(異常)箇所を容易に特定することができる。
【0062】
また、コピー機1では、第1計数部93が、駆動制御部91がモーター63を制御することに基づいて加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転速度が変更された場合に、変更された後の回転速度である第1回転速度と、変更される前の回転速度である第2回転速度との差の絶対値が、所定の値を上回ると、第1計数値を初期値に戻す。
【0063】
すなわち、コピー機1は、第1回転速度と第2回転速度との差の絶対値が所定の値を上回らない場合には、モーター63の故障監視を継続して行い、第1回転速度と第2回転速度との差の絶対値が所定の値を上回る場合には、モーター63の故障監視を再度開始する。これにより、コピー機1は、モーター63の回転数(駆動速度)が相対的に僅かに変更されることに基づいて、加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転速度が相対的に僅かに変更される場合には、継続してモーター63が故障しているか否かを判定することができる。すなわち、コピー機1は、モーター63の回転数を変更している際にも、モーター63が故障していると判定することができる。一方、コピー機1は、モーター63の回転数が相対的に大きく変更されることに基づいて、加熱ローラー61又は加圧ローラー62の回転速度が相対的に大きく変更される場合には、モーター63が故障しているか否かの判断を始めからやり直すので、モーター63が故障していると誤判定することを防止できる。
【0064】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、種々の形態で実施することができる。
上述した実施形態では、本発明が定着部60に適用される場合について説明した。しかしながら、本発明は、定着部60のみに適用されるばかりでなく、コピー機1における他の回転部材を駆動させる構成要素にも適用されることが可能である。
【0065】
また、本実施形態のコピー機1は、カラーコピー機であるが、この形態に限定されることはなく、モノクロコピー機であってもよい。
また、本実施形態のコピー機1は、中間転写ベルト48を介して用紙Tにトナー画像を転写している(間接転写方式)が、この形態に限定されることはなく、感光体ドラムに形成されたトナー画像を直接に用紙Tに転写してもよい(直接転写方式)。
また、本実施形態のコピー機1は、用紙Tの片面を印刷する構成であるが、これに限定されることはなく、用紙の両面を印刷する構成であってもよい。
【0066】
また、本発明の画像形成装置は、上述したコピー機1に限定されることはない。すなわち、本発明の画像形成装置は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンター機能及びスキャナー機能を備える複合機であってもよく、ファクシミリやプリンターであってもよい。
また、本発明の画像形成装置によってトナー画像が定着される被転写材は用紙Tに限定されることはなく、例えば、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)シート等のフィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…コピー機(画像形成装置)、60…定着部、61…加熱ローラー(回転部材)、62…加圧ローラー(回転部材)、63…モーター(駆動部)、64…検知部、90…制御部、91…駆動制御部、92…判断部、93…第1計数部、94…第1判定部、95…第2計数部、96…第2判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する回転部材と、
前記回転部材を回転させるように入力信号に基づいて駆動すると共に、駆動に基づいた出力信号を出力する駆動部と、
前記回転部材の回転速度を変更するために、前記駆動部に前記入力信号を供給することに基づいて前記駆動部を制御する駆動制御部と、
前記入力信号の周波数と前記出力信号の周波数とに差異があるか否かを判断する判断部と、
前記判断部によって前記入力信号の周波数と前記出力信号の周波数とに差異があると判断された場合に、第1計数値を増加させる第1計数部と、
前記第1計数部によって計数された前記第1計数値が予め設定された第1異常判定値を上回る場合に、前記駆動部が故障していると判定する第1判定部と、を備え、
前記第1計数部は、前記駆動制御部が前記駆動部を制御することに基づいて前記回転部材の回転速度が変更された場合に、変更された後の回転速度である第1回転速度と、変更される前の回転速度である第2回転速度との差の絶対値が、所定の値を上回ると、前記第1計数値を初期値に戻す、
画像形成装置。
【請求項2】
前記所定の値は、前記第2回転速度の4〜8%となる回転速度である
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回転部材の回転を検知する検知部と、
前記検知部によって前記回転部材の回転が検知されない場合に、第2計数値を増加させる第2計数部と、
前記第2計数部によって計数された前記第2計数値が予め設定された第2異常判定値を上回る場合に、前記回転部材に異常があると判定する第2判定部と、をさらに備える
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記駆動制御部は、前記第1判定部によって前記駆動部が故障していると判定された場合、又は、前記第2判定部によって前記回転部材に異常があると判定された場合に、前記駆動部の駆動を停止させる
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回転部材は、被転写材及びトナーを加熱及び加圧して、被転写材にトナーを定着させる定着部に配置される定着ローラーである
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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