説明

画像形成装置

【課題】装置が省電力モードとなった状態でも、地震時に装置の可動部位を定位置から動けないロック状態に保持すること。
【解決手段】通常モードでも省電力モードでも、ソレノイド21には基本的に通電されない。よって、ロック機構17がコイルばね19の付勢力によって定位置の給紙トレイ11をロック状態に保持する。画像形成装置1が通常モードである間は、消耗品の交換(補充を含む)を必要とする状況やジャムの発生した状況が発生するか、あるいは、メンテナンス作業等のためにロック解除操作が行われると、ソレノイド21に通電されて定位置の開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13のロック状態が解除される。また、基準以上の規模(震度規定値以上)による地震の発生(発生予想を含む)が検知されると、ソレノイド21が通電OFFの状態にロックされ、定位置の開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13がロック状態に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙トレイや開閉扉等の筐体の外部に突出可能な可動部位を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタや複写機等の記録紙に原稿画像を形成する画像形成装置に関し、地震等の災害発生時に装置の動作を緊急停止したり熱源部への通電を停止する技術が提案されている。これらの技術によれば、動作の継続により装置に二次的な障害が発生することや、通電の継続により装置に起因する二次災害が発生することを、未然に防ぐことができる。あるいは、データや印刷物等に関するセキュリティーの保護を図ることができる(例えば、特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3416426号公報
【特許文献2】特開2009−72922号公報
【特許文献3】特開2009−171199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像形成装置は、記録紙を収容する用紙トレイやメンテナンス用の開閉扉等、装置の筐体の外部に突出可能な可動部位を有している。このような画像形成装置の可動部位は、開閉扉の内側に配置された画像形成プロセスに関与する各部にも、メンテナンスを容易にするために設けられることがある。例えば、記録紙の搬送系を部分的に引き出して状態を確認できるようにする機構等が、その代表的な一例である。さらに、版胴の交換機能を有する孔版印刷装置の場合は、版胴を定位置から引き出して交換作業を容易にする機構を有するものもある。このような機構も可動部位の一例である。
【0005】
これらの可動部位が、例えば地震の振動で勝手に開いたり定位置から移動して筐体の外部に突出すると、図らずも周辺の人や物と接触することがあるので、地震の際には可動部位をロックすることが望ましい。
【0006】
ところで、画像形成装置では、例えば一定時間連続して装置が動作しない場合に、スリープモード等の省電力モードに入って、装置内の待機動作に必要ない機能部分への給電を停止することで、待機時の消費電力を抑えるようにすることが行われている。
【0007】
背景技術の欄で説明した技術はいずれも、装置の動作中に災害が発生した場合に対応するものであるから、省電力モードでない給電中であることを前提としている。省電力モードでなければ、制御系や駆動系に給電されている状態であるので、災害の発生に対応して制御系や駆動系を動作させて災害防止対策を講じることができる。しかし、装置が省電力モードであるときには、待機動作に必要ない制御系や駆動系への給電が停止されるので、地震が発生してもそれらを動作させて災害防止対策を講じることが難しい。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、装置が省電力モードとなった状態でも、地震時に装置の可動部位を定位置から動けないロック状態に保持することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明の画像形成装置は、
定位置から移動して装置筐体の外部に突出可能な可動部位を備え、省電力条件が成立すると通常モードから省電力モードに移行して待機動作に不必要な機能部分への給電が停止される画像形成装置において、
基準以上の規模の地震を検知する地震検知手段と、
前記定位置の可動部位に対して係合離脱可能なロック機構と、
前記定位置の可動部位に係合した前記ロック機構を該可動部位から離脱させるロック解除手段と、
前記通常モードにおいて前記定位置の可動部位のロック解除条件が成立したときに、前記地震検知手段が前記基準以上の規模の地震を検知していない場合に限って、前記ロック解除手段に対するロック解除を許可する許可手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載した本発明の画像形成装置によれば、待機動作に不必要な機能部分への給電が停止される省電力モードであっても、給電が実行される通常モードであっても、原則的に、ロック機構が定位置の可動部位に係合しており、定位置の可動部位は定位置から移動不能なロック状態にある。
【0011】
定位置の可動部位のロック状態は、ロック解除手段に対するロック解除を許可手段が許可すると、ロック解除手段により解除される。そして、許可手段は、通常モードにおいてロック解除条件が成立するとロック解除を許可する。但し、ロック解除は、地震検知手段が基準以上の規模による地震を検知していない場合に限って許可される。
【0012】
したがって、地震検知手段が基準以上の規模による地震を検知していない状況では、通常モードにおいてロック解除条件が成立することで可動部位のロック状態が解除されるので、可動部位を定位置から装置筐体の外部に移動させて必要な作業を行える状態になる。一方、地震検知手段が基準以上の規模による地震を検知している状況では、通常モードであるか省電力モードであるかに拘わらず、ロック解除条件が成立しても可動部位のロック状態が解除されない。このため、装置が省電力モードとなった状態でも、地震の際に装置の可動部位を定位置から動けないロック状態に保持することができる。
【0013】
なお、地震検知手段による基準以上の規模の地震検知は、基準以上の規模で実際に発生した地震の検知であってもよく、基準以上の規模で発生することが予想される地震の検知であってもよい。
【0014】
また、請求項2に記載した本発明の画像形成装置は、請求項1に記載した本発明の画像形成装置において、前記定位置の可動部位の前記ロック機構によるロック状態の解除を要求する際に操作される解除操作部をさらに備えており、該解除操作部の操作により前記ロック解除条件が成立することを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載した本発明の画像形成装置によれば、請求項1に記載した本発明の画像形成装置において、可動部位を定位置から移動させる必要性が、例えば定期的なメンテナンス作業のように、装置の状態と何ら関係なく発生する場合に、解除操作部の操作をトリガとしてロック解除条件を成立させ、定位置の可動部位のロック状態を解除させることができる。
【0016】
さらに、請求項3に記載した本発明の画像形成装置は、請求項1又は2に記載した本発明の画像形成装置において、画像形成に用いる機構の障害状態と、画像形成に用いる消耗品の補充又は交換要求状態とのうち、少なくとも一方の状態の発生を検出する検出手段をさらに備えており、該検出手段による前記状態の発生検出により前記ロック解除条件が成立することを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載した本発明の画像形成装置によれば、請求項1又は2に記載した本発明の画像形成装置において、可動部位を定位置から移動させる必要性が、例えば、画像形成に用いる機構に障害が発生してその復旧作業が必要になったときや、画像形成に用いる消耗品を補充又は交換する作業が必要になったときに発生する場合に、それらの状態の発生をトリガとしてロック解除条件を成立させ、定位置の可動部位のロック状態を解除させることができる。
【0018】
また、請求項4に記載した本発明の画像形成装置は、請求項1、2又は3に記載した本発明の画像形成装置において、前記地震検知手段が前記基準以上の規模の地震を検知しているときに、前記定位置の可動部位の前記ロック機構によるロック状態を報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載した本発明の画像形成装置によれば、請求項1、2又は3に記載した本発明の画像形成装置において、定常時は地震が発生していないので、通常モードにあるときにロック解除条件が成立していれば、可動部位を定位置から移動させることができる。一方、基準以上の規模の地震を地震検知手段が検知しているときには、定常時と外見上は何ら変わりがないにも拘わらず、可動部位はロック状態に保持されている。したがって、装置筐体を単に視認するだけでは、可動部位がロック状態にあるのか否かを容易に見分けることができない。
【0020】
そこで、定位置の可動部位のロック状態を報知手段により報知することで、外見上では見分けが付かないロック状態をユーザに容易に認識させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、装置が省電力モードとなった状態でも、地震の際に装置の可動部位を定位置から動けないロック状態に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の正面図である。
【図2】図1の筐体内に設けられるロック機構の概略構成を示す説明図である。
【図3】図1の画像形成装置の電気的な概略構成を示すブロック図である。
【図4】図3の制御部が内蔵するROMに格納されたプログラムにしたがって行う、ロック機構による開閉扉や給紙トレイのロックに関する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の正面図である。本実施形態の画像形成装置1は、矩形の筐体3の左右に給紙用の手差しトレイ5と排紙トレイ7を有している。また、筐体3の前面には、画像形成ユニット(図示せず)が収容された開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13を有している。開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13はいずれも図中に示す定位置から手前に引くことで開き、筐体3の前方(外側)に突出する。これらの開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13は、請求項中の可動部位に相当する。
【0024】
筐体3の内部には、上述した不図示の画像形成ユニットの構成要素として、全体制御用に制御部15が収容されている。また、筐体3の内部には、開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13のロック機構17が収容されている。
【0025】
ロック機構17は、図2の説明図に示すように、支軸17aによって枢支されたロック片17bを有している。ロック片17bの支軸17aを挟んで一方側の先端には鉤形の係合片17cが形成されている。なお、図2中では、給紙トレイ11をロック対象物とするロック機構17を示しているが、開閉扉9a,9bや給紙トレイ13についてもそれぞれロック機構17が設けられる。ロック機構17は、ロック片17bが支軸17aを中心に揺動することで、係合片17cが図2中に示すロック箇所とその上方に移動するロック解除箇所との間で移動するように構成されている。
【0026】
係合片17cのロック箇所では、係合片17cが定位置のロック対象物である給紙トレイ11と係合して、給紙トレイ11を筐体3(図1参照)に収容した定位置から移動不能なロック状態に保持する。一方、係合片17cのロック解除箇所では、定位置の給紙トレイ11との係合が解除される上方位置に係合片17cが退避して、給紙トレイ11を筐体3(図1参照)の前方に引き出し可能なロック解除状態とする。
【0027】
上述したロック片17bの支軸17aと係合片17cとの間には、一端を固定したコイルばね19の他端が係止されている。このコイルばね19は、ロック片17bを、支軸17aを中心に図中時計回り方向に揺動するよう付勢する。したがって、係合片17cはコイルばね19の付勢力によりロック箇所に位置し、定位置の給紙トレイ11と係合している。
【0028】
また、ロック片17bの、支軸17aを挟んで他方側(係合片17cとは反対側)の先端17dには、ソレノイド21のロッド21aが連結されている。このソレノイド21は、非通電時にはシリンダ21bからロッド21aを進出させて係合片17cをロック箇所に位置させる。一方、ソレノイド21は、通電時にはシリンダ21b内にロッド21aを退避させ、コイルばね19の付勢力に抗して係合片17cをロック解除箇所に位置させる。即ち、ソレノイド21は請求項中のロック解除手段に相当している。
【0029】
このソレノイド21は、上述した制御部15によって制御される。図3のブロック図に示すように、制御部15には、ソレノイド21の他、筐体3の上部に設けられた操作パネル23が接続されている。この操作パネル23は、タッチパネル式のディスプレイ23aや各種の操作ボタン23bを有している。
【0030】
ディスプレイ23aには、画像形成装置1の動作状態や各種のメニュー等の報知するための画面が表示される。また、ディスプレイ23aに表示された画面上の適宜な部分をタッチ操作することで、各種の入力操作を行うこともできる。各種の入力操作は、操作ボタン23bの操作によっても行うことができる。この各種の入力操作には、ロック機構17により定位置から移動不能な状態にある開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13のロック状態を解除させる際に行うロック解除操作も含まれる。したがって、本実施形態では、操作パネル23が請求項中の解除操作部に相当している。
【0031】
制御部15には、入出力インタフェース25を介して、地震検知器27や緊急地震速報受信機29が接続されている。地震検知器27は、画像形成装置1の近傍又は筐体3内に設置され、画像形成装置1の設置場所において基準以上の規模の地震が発生した場合に、地震検知信号を制御部15に出力する。緊急地震速報受信機29は、テレビ又はラジオの電波による緊急地震速報を受信する受信機でもよいが、本実施形態では携帯電話回線で配信される緊急地震速報を受信する端末を用いている。緊急地震速報受信機29は、基準以上の規模(推定最大震度が所定値以上)で地震が発生することが予測される場合に発表される緊急地震速報を受信し、その内容を示す速報信号を制御部15に出力する。
【0032】
したがって、制御部15は、地震検知器27からの地震検知信号と緊急地震速報受信機29からの速報信号とのどちらかによって、基準以上の規模の地震が発生したこと、あるいは、発生が予想されることを、認識することができる。なお、地震検知器27及び緊急地震速報受信機29のうちどちらか一方を省略してもよい。
【0033】
また、制御部15には、筐体3内に設けた消耗品センサ31及びジャムセンサ33が接続されている。消耗品センサ31は、給紙トレイ11,13の記録紙切れや筐体3内のインクのインク切れ等の消耗品切れを検出する。ジャムセンサ33は、筐体3内の記録紙の搬送経路上における紙詰まり(ジャム)を検出する。これらの消耗品センサ31及びジャムセンサ33はいずれも、便宜上1つのブロックでそれぞれ示しているが、実際には、消耗品の消耗を検出する各箇所や記録紙が紙詰まりを起こし得る各箇所にそれぞれ配置される複数のセンサによって構成される。なお、本実施形態では、消耗品センサ31及びジャムセンサ33が、請求項中の検出手段に相当している。
【0034】
さらに、制御部15には、筐体3内に設けた開閉センサ35が接続されている。開閉センサ35は、開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13が定位置にあるか(クローズ)、それとも、定位置から筐体3の前方に開いて移動した位置にあるか(オープン)を検出する。この開閉センサ35も、便宜上1つのブロックで示しているが、実際には、開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13にそれぞれ対応する複数のセンサで構成されている。なお、開閉センサ35は、透過形又は反射型の非接触式光センサでもよく、マイクロスイッチ等の機械式接触センサでもよい。
【0035】
次に、制御部15が内蔵するROMに格納されたプログラムにしたがって行う画像形成装置1の動作モードの切替に関する処理の手順を、図4のフローチャートを参照して説明する。なお、画像形成装置1の動作モードには、待機動作に不必要な機能部分(記録紙搬送系、画像形成系、全体制御系等)への給電を停止する省電力モードと、全ての機能部分に給電する通常モードとがある。
【0036】
省電力モードは、画像形成装置1の消費電力を抑えるためのモードであり、所定の省電力モード条件が成立すると、通常モードから省電力モードに動作モードが切り替わる。省電力モード条件は、例えば一定時間連続して画像形成装置が動作しないと成立するような条件である。省電力モード中に画像形成動作(印刷ジョブによるプリント、原稿画像の複写等)の要求が発生すると、省電力モードから通常モードに動作モードが復帰する。
【0037】
上述したロック機構17のロック状態の解除(ロック解除状態)は、ソレノイド21への通電が可能な通常モードにおいて実行することができる。また、省電力モード中に操作パネル23の操作による各種入力操作を行うと、これをトリガとして画像形成装置の動作モードが、通常モードに復帰する。
【0038】
次に、制御部15が内蔵するROMに格納されたプログラムにしたがって行う、ロック機構17による開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13のロックに関する処理の手順を、図4のフローチャートを参照して説明する。図4のフローチャートに示す処理は、制御部15や制御対象のソレノイド21に給電される通常モードにおいて実行される。
【0039】
制御部15は、まず、ソレノイド21の通電をOFFして、各ロック機構17の係合片17cをロック箇所に位置させ、対応する定位置の開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13と係合させる(ステップS11)。次に、制御部15は、地震検知器27からの地震検知信号か緊急地震速報受信機29からの速報信号に基づいて、基準以上の規模(震度規定値以上)による地震の発生(発生予想を含む)の有無を確認する(ステップS13)。
【0040】
基準以上の規模(震度規定値以上)による地震の発生(発生予想を含む)がある場合は(ステップS13でYES)、制御部15は、操作パネル23のディスプレイ23aに地震発生を報知するメッセージを表示させた後(ステップS15)、ステップS13にリターンする。基準以上の規模(震度規定値以上)による地震の発生(発生予想を含む)がない場合は(ステップS13でNO)、制御部15は、操作パネル23のディスプレイ23aや操作ボタン23bにおいてロック解除操作が行われたか否かを確認する(ステップS17)。
【0041】
ロック解除操作が行われた場合は(ステップS17でYES)、後述するステップS21に移行し、ロック解除操作が行われていない場合は(ステップS17でNO)、制御部15は、消耗品センサ31やジャムセンサ33の出力に基づいて、消耗品の交換(補充を含む)を必要とする状況やジャムの発生した状況であるか否かを確認する(ステップS19)。
【0042】
いずれの状況でもない場合は(ステップS19でNO)、ステップS13にリターンし、どちらかの状況である場合は(ステップS19でYES)、ステップS21に移行する。ステップS21では、制御部15は、ソレノイド21の通電をONさせて、各ロック機構17の係合片17cをロック解除箇所に位置させ、対応する定位置の開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13との係合を解除させる。
【0043】
次に、制御部15は、開閉センサ35の出力に基づいて、開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13が定位置から移動してオープン状態にあるか否かを確認する(ステップS23)。開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13が全てオープン状態でなく定位置にある場合は(ステップS23でNO)、制御部15は、ステップS13と同様に、基準以上の規模(震度規定値以上)による地震の発生(発生予想を含む)の有無を確認する(ステップS25)。
【0044】
基準以上の規模(震度規定値以上)による地震の発生(発生予想を含む)がない場合は(ステップS25でNO)、ステップS23にリターンし、基準以上の規模(震度規定値以上)による地震の発生(発生予想を含む)がある場合は(ステップS25でYES)、制御部15は、操作パネル23のディスプレイ23aに地震発生を報知するメッセージを表示させた後(ステップS27)、ステップS13にリターンする。
【0045】
また、ステップS23において、開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13のうち少なくとも1つがオープン状態である場合は(ステップS23でYES)、制御部15は、開閉センサ35の出力に基づいて、開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13が全て定位置にあるクローズ状態に復帰したか否かを確認する(ステップS29)。
【0046】
開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13のうち少なくとも1つがオープン状態のままである場合は(ステップS29でNO)、ステップS29をリピートし、開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13が全て定位置にあるクローズ状態に復帰した場合は(ステップS29でYES)、制御部15は、消耗品センサ31やジャムセンサ33の出力に基づいて、消耗品の交換(補充を含む)を必要とする状況やジャムの発生した状況が解消した状態(消耗品交換ジャム解消済み状態)であるか否かを確認する(ステップS31)。
【0047】
消耗品交換ジャム解消済み状態である場合は(ステップS31でYES)、ステップS11にリターンし、消耗品交換ジャム解消済み状態でない場合は(ステップS31でNO)、制御部15は、ステップS13やステップS25と同様に、基準以上の規模(震度規定値以上)による地震の発生(発生予想を含む)の有無を確認する(ステップS33)。
【0048】
基準以上の規模(震度規定値以上)による地震の発生(発生予想を含む)がない場合は(ステップS33でNO)、ステップS31にリターンし、基準以上の規模(震度規定値以上)による地震の発生(発生予想を含む)がある場合は(ステップS31でYES)、制御部15は、操作パネル23のディスプレイ23aに地震発生を報知するメッセージを表示させた後(ステップS35)、ステップS13にリターンする。
【0049】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、図4のフローチャートにおけるステップS13、ステップS17、ステップS19、及び、ステップS21が、請求項中の許可手段に対応する処理となっている。
【0050】
このように構成された本実施形態の画像形成装置1では、ソレノイド21が通電されていない状態では、各ロック機構17がコイルばね19の付勢力によって対応する定位置の開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13をロック状態に保持する。したがって、通常モードでも省電力モードでも、開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13は基本的に、定位置において移動不能にロックされた状態にある。
【0051】
そして、画像形成装置1が通常モードである間は、消耗品の交換(補充を含む)を必要とする状況やジャムの発生した状況が発生するか、あるいは、メンテナンス作業等のためにロック解除操作が行われると、ロック解除条件が成立する。通常モード中にロック解除条件が成立すると、ソレノイド21に通電されて定位置の開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13のロック状態が解除される。そのため、開閉扉9a,9bを開いたり給紙トレイ11,13を引き出したりすることができる状態となる。
【0052】
また、基準以上の規模(震度規定値以上)による地震の発生(発生予想を含む)が検知されると、ソレノイド21が通電OFFの状態にロックされ、定位置の開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13がロック状態に保持される。このため、画像形成装置1が省電力モードとなった状態でも、地震の際に開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13を定位置から動けないロック状態に保持することができる。
【0053】
なお、操作パネル23のロック解除操作によりロック機構17による定位置の開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13のロック状態を解除させるための構成は、省略してもよい。あるいは、この構成を設ける代わりに、消耗品センサ31やジャムセンサ33が消耗品の交換(補充を含む)を必要とする状況やジャムの発生した状況であることを検出したときに、ロック機構17による定位置の開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13のロック状態を解除させるための構成を、省略してもよい。
【0054】
また、基準以上の規模(震度規定値以上)による地震の発生(発生予想を含む)が検知されて、定位置の開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13がロック状態に保持された際に、操作パネル23のディスプレイ23aに地震発生を報知するメッセージを表示させるための構成は、省略してもよい。
【0055】
但し、基準以上の規模(震度規定値以上)による地震の発生(発生予想を含む)が検知されているかどうかが分からない場合は、画像形成装置1を単に視認するだけでは、定位置の開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13がロック状態に保持されているかどうかを見分けることが困難である。
【0056】
そこで、本実施形態の画像形成装置1のように、基準以上の規模(震度規定値以上)による地震の発生(発生予想を含む)時に、操作パネル23のディスプレイ23aに地震発生を報知するメッセージを表示させれば、定位置の開閉扉9a,9bや給紙トレイ11,13がロック状態に保持されていることを、ユーザに容易に認識させることができる。
【0057】
なお、本発明は、例えば、版胴を定位置から引き出して交換作業を容易にする機構を有する版胴の交換が可能な孔版印刷装置にも適用可能である。この場合、ロック機構17により定位置でロック状態に保持する対象には、版胴の引き出し機構を含めることができる。そして、ロック機構17によるロック状態においては、引き出し機構は、版胴を印刷可能な状態となる筐体3内の位置に収容した定位置に保持されることになる。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置
3 筐体
5 手差しトレイ
7 排紙トレイ
9a,9b 開閉扉
11,13 給紙トレイ
15 制御部
17 ロック機構
17a 支軸
17b ロック片
17c 係合片
17d 先端
21 ソレノイド
21a ロッド
21b シリンダ
23 操作パネル
23a ディスプレイ
23b 操作ボタン
25 入出力インタフェース
27 地震検知器
29 緊急地震速報受信機
31 消耗品センサ
33 ジャムセンサ
35 開閉センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定位置から移動して装置筐体の外部に突出可能な可動部位を備え、省電力条件が成立すると通常モードから省電力モードに移行して待機動作に不必要な機能部分への給電が停止される画像形成装置において、
基準以上の規模の地震を検知する地震検知手段と、
前記定位置の可動部位に対して係合離脱可能なロック機構と、
前記定位置の可動部位に係合した前記ロック機構を該可動部位から離脱させるロック解除手段と、
前記通常モードにおいて前記定位置の可動部位のロック解除条件が成立したときに、前記地震検知手段が前記基準以上の規模の地震を検知していない場合に限って、前記ロック解除手段に対するロック解除を許可する許可手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記定位置の可動部位の前記ロック機構によるロック状態の解除を要求する際に操作される解除操作部をさらに備えており、該解除操作部の操作により前記ロック解除条件が成立することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像形成に用いる機構の障害状態と、画像形成に用いる消耗品の補充又は交換要求状態とのうち、少なくとも一方の状態の発生を検出する検出手段をさらに備えており、該検出手段による前記状態の発生検出により前記ロック解除条件が成立することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記地震検知手段が前記基準以上の規模の地震を検知しているときに、前記定位置の可動部位の前記ロック機構によるロック状態を報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1、2又は3記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−95085(P2013−95085A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240952(P2011−240952)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】