説明

画像形成装置

【課題】電源がオフされている間に、印刷媒体の補充や交換が行われていない場合に、電源がオンされてから1枚目の印刷を開始するまでに要する時間を短縮する。
【解決手段】本体部からの媒体収納部の離脱を検知する離脱検知部SN5と、搬送の途中で媒体の特徴点を特定する媒体特徴特定部SN1と、媒体の特徴点の情報を記憶する媒体特徴記憶部122と、媒体の特徴点の情報に基づいて各部の動作を制御する制御部110とを有し、制御部は、電源オフ状態から電源オン状態になった場合で、かつ、離脱検知部によって本体部からの媒体収納部の離脱が検知されたときに、媒体特徴特定部SN1に媒体の特徴点を特定させて、媒体特徴記憶部に記憶された媒体の特徴点の情報を更新させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体に画像を形成する画像形成装置に関し、特に、印刷媒体の特徴点(例えば、印刷媒体の厚さや印刷媒体の種類等)の情報に基づいて、その動作を制御する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の中には、画像品位の向上を目的として、使用する印刷媒体の特徴点(例えば、印刷媒体の厚さや印刷媒体の種類等)を検知する機能を有する装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された画像形成装置(以下、「従来の画像形成装置」と称する)は、印刷媒体の特徴点を検知して、その検知結果に基づいて、画像形成プロセスの条件を適切な条件に設定する制御を行う。
【0004】
例えば、画像形成装置は、電源がオフされている間に、媒体収納部に収納された印刷媒体の補充や交換が行われる場合がある。この場合に、画像形成装置は、電源が一旦オフにされた後に、媒体収納部が画像形成装置の本体部から離脱される。そして、画像形成装置は、その媒体収納部に対して、印刷媒体の補充や交換が行われ、その後に、媒体収納部が装着されて、電源がオンされる。従来の画像形成装置は、電源がオンされると、印刷媒体の特徴点を検知して、その検知結果に基づいて、定着部の温度調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−242020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の画像形成装置は、電源がオフされている間に、印刷媒体の補充や交換が行われていない場合があるにもかかわらず、電源がオンされる度に、毎回、印刷媒体の特徴点の検知処理及びその検知結果に基づく定着部の温度調整処理を行う。そのため、従来の画像形成装置は、電源がオンされてから1枚目の印刷を開始するまでに要する時間が長期化する、という課題があった。
【0007】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、電源がオフされている間に、媒体収納部が本体部から離脱されていない場合に、電源がオンされてから1枚目の印刷を開始するまでに要する時間を短縮する画像形成装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、媒体に画像を形成する画像形成部と、当該画像形成部を内蔵する本体部と、当該本体部に対して着脱自在で、かつ、当該媒体を内部に収納する媒体収納部とを有する画像形成装置であって、前記本体部からの前記媒体収納部の離脱を検知する離脱検知部と、搬送の途中で前記媒体の特徴点を特定する媒体特徴特定部と、前記媒体の特徴点の情報を記憶する媒体特徴記憶部と、前記媒体の特徴点の情報に基づいて、各部の動作を制御する制御部とを有し、前記制御部は、電源オフ状態から電源オン状態になった場合で、かつ、前記離脱検知部によって前記本体部からの前記媒体収納部の離脱が検知されたときに、前記媒体特徴特定部に前記媒体の特徴点を特定させて、前記媒体特徴記憶部に記憶された前記特徴点の情報を更新させる構成とする。
【0009】
この画像形成装置は、電源オフ状態から電源オン状態になった場合で、かつ、離脱検知部によって本体部からの媒体収納部の離脱が検知されたときに、媒体特徴特定部に媒体の特徴点を特定させて、媒体特徴記憶部に記憶された媒体の特徴点を更新させる。したがって、この画像形成装置は、電源オフ状態から電源オン状態になった場合で、かつ、離脱検知部によって本体部からの媒体収納部の離脱が検知されないときに、電源オフ状態以前の媒体の特徴点の情報を媒体特徴記憶部に記憶させ続ける。
【0010】
そのため、この画像形成装置は、電源がオフされている間に、例えば、印刷媒体の補充や交換が行われていない場合のように、媒体収納部が本体部から離脱されていない場合に、制御部が、媒体特徴記憶部に記憶された、電源オフ状態以前の媒体の特徴点の情報に基づいて、各部の動作を制御する。その結果、この画像形成装置は、電源がオフされている間に、媒体収納部が本体部から離脱されていない場合に、印刷媒体の特徴点の検知処理及びその検知結果に基づく定着部の温度調整処理が不要になるため、電源がオンされてから1枚目の印刷を開始するまでに要する時間を短縮することができる。
【0011】
なお、この画像形成装置は、電源がオフされている間に、例えば、印刷媒体の補充や交換が行われた場合のように、媒体収納部が本体部から離脱された場合に、媒体特徴記憶部に記憶された媒体の特徴点が更新される。その結果、この画像形成装置は、この場合に、制御部が、更新された媒体の特徴点に基づいて、各部の動作を制御する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、媒体収納部が本体部から離脱されていない場合に、電源がオンされてから1枚目の印刷を開始するまでに要する時間を短縮する画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】実施形態1に係る画像形成装置の媒体収納部及びその周囲の構成を示す図(1)である。
【図3】実施形態1に係る画像形成装置の媒体収納部及びその周囲の構成を示す図(2)である。
【図4】実施形態1に係る画像形成装置の媒体収納部及びその周囲の構成を示す図(3)である。
【図5】実施形態1に係る画像形成装置の媒体収納部及びその周囲の構成を示す図(4)である。
【図6】実施形態1に係る画像形成装置の媒体収納部及びその周囲の動作を示す図(1)である。
【図7】実施形態1に係る画像形成装置の媒体収納部及びその周囲の動作を示す図(2)である。
【図8】実施形態1に係る画像形成装置の機能構成を示す図である。
【図9】印刷媒体の厚さと定着部の設定温度との関係の一例を示す図である。
【図10】実施形態1で用いる媒体厚センサの動作原理を示す図である。
【図11】実施形態1で用いる媒体厚センサの出力周波数と印刷媒体の厚さとの関係の一例を示す図である。
【図12】実施形態1に係る画像形成装置の動作を示すフローチャート(1)である。
【図13】実施形態1に係る画像形成装置の動作を示すフローチャート(2)である。
【図14】実施形態1に係る画像形成装置の動作を示すフローチャート(3)である。
【図15】実施形態1に係る画像形成装置の動作を示すフローチャート(4)である。
【図16】実施形態1に係る画像形成装置の動作を示すフローチャート(5)である。
【図17】実施形態2に係る画像形成装置の動作を示すフローチャート(1)である。
【図18】実施形態2に係る画像形成装置の動作を示すフローチャート(2)である。
【図19】実施形態2に係る画像形成装置の動作を示すフローチャート(3)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0015】
[実施形態1]
<画像形成装置の構成>
以下、図1を参照して、本実施形態1に係る画像形成装置1の構成につき説明する。図1は、実施形態1に係る画像形成装置の構成を示す図である。ここでは、画像形成装置1が電子写真方式のプリンタとして構成されている場合を想定して説明する。
【0016】
図1に示すように、画像形成装置1は、本体部(筐体)2、媒体カセット3、給紙ローラ4、媒体ステージ5、搬送ローラ6(図示例では、搬送ローラ6A〜搬送ローラ6E)、搬送経路7、制御基板10、画像形成部11、印刷ヘッド部12、転写部13、定着部14、オペレータパネル19、媒体厚センサSN1、搬送センサSN2(図示例では、搬送センサSN2A〜搬送センサSN2C)を有している。
【0017】
本体部2は、画像形成装置1の主要な構成要素を収容する筐体である。
媒体カセット3は、印刷に使用する印刷媒体99を内部に収納する媒体収納部である。媒体カセット3は、本体部2に対して着脱自在に構成されている。例えば、印刷媒体99の補充や交換時に、矢印A方向に引き出されることにより、本体部2から離脱し、補充や交換が終了すると、矢印Aとは逆方向に押し込まれることにより、装着される。
給紙ローラ4は、印刷媒体99を画像形成部11に給紙するために、媒体カセット3に収納された印刷媒体99を搬送経路7に向けて繰り出す媒体繰出部材である。
【0018】
媒体ステージ5は、印刷媒体99を支持する支持部材である。媒体ステージ5は、上に、印刷媒体99が載置される。媒体ステージ5は、媒体カセット3が本体部2に装着されると、その先端(ここでは、媒体ステージ5の給紙ローラ4と対向する側の端部)が後記するモータM1(図6(a)参照)からの駆動力によって押し上げられて上昇(傾斜)する。これにより、媒体ステージ5は、印刷媒体99の先端を媒体繰出部材としての給紙ローラ4に当接させて、印刷媒体99の先端を給紙ローラ4に押圧する。また、媒体ステージ5は、媒体カセット3が本体部2から取り外される(離脱する)と、その先端が下降し、印刷媒体99に対する押圧を解除して、印刷媒体99の先端を給紙ローラ4から離間させる。
【0019】
搬送ローラ6(図示例では、搬送ローラ6A〜搬送ローラ6E)は、搬送経路7に沿って、印刷媒体99を搬送する搬送部材である。搬送ローラ6は、図示せぬモータによって、回転駆動される。
搬送経路7は、印刷媒体99が搬送される通路である。
制御基板10は、画像形成装置1の各部の動作を制御する制御部110、及び、動作の制御に必要な制御プログラムやデータが記憶される記憶部120が搭載された基板である。
【0020】
画像形成部11は、電子写真プロセスによって、内蔵された感光ドラム11aの表面にトナー像を形成する構成要素である。
印刷ヘッド部12は、印刷ジョブデータに基づいて、感光ドラム11aの表面を部分的に露光することによって、感光ドラム11aの表面に静電潜像を形成する露光手段である。感光ドラム11aは、印刷ヘッド部12によって表面に静電潜像が形成された後に、現像剤としてのトナーが供給されることによって、表面にトナー像が形成される。
【0021】
転写部13は、感光ドラム11aの表面に形成されたトナー像を印刷媒体99に転写するローラである。
定着部14は、印刷媒体99に転写されたトナー像を加熱及び加圧して溶融させ、トナー像を印刷媒体99に定着させる構成要素である。
【0022】
オペレータパネル19は、画像形成装置1のユーザによって操作される構成要素である。オペレータパネル19は、画像形成装置1の状態等の各種情報を表示する表示部19aと、印刷に必要な各種情報が入力される、入力部としての操作部19bとを備えている(図8参照)。
【0023】
媒体厚センサSN1は、印刷媒体99の厚さを検知する検知手段である。
搬送センサSN2(図示例では、搬送センサSN2A〜搬送センサSN2C)は、印刷媒体99の搬送状態を監視する検知手段である。
【0024】
以下、図2〜図5を参照して、媒体カセット3及びその周囲の構成につき説明する。図2〜図5は、それぞれ、実施形態1に係る画像形成装置の媒体収納部及びその周囲の構成を示す図である。図2及び図4は、媒体ステージ5の先端を上昇(アップ)させる前の状態を示している。一方、図3及び図5は、媒体ステージ5の先端を上昇(アップ)させた後の状態を示している。
【0025】
図2及び図3に示すように、媒体カセット3は、内部に、前記した媒体ステージ5、媒体ステージ移動シャフト51、及び、シャフト52を備えている。
【0026】
媒体ステージ移動シャフト51は、媒体ステージ5の先端を上下方向に移動させる部材である。媒体ステージ移動シャフト51は、媒体ステージ5の先端付近の下面に当接している。媒体ステージ移動シャフト51は、後記するモータM1(図6(a)参照)が回転駆動することによって、上昇(アップ)し、これに伴って、媒体ステージ5の先端を上昇させる。その結果、媒体ステージ5及び媒体ステージ5の上に載置された印刷媒体99は、図2に示す状態から図3に示す状態に変わる。
【0027】
シャフト52は、媒体ステージ5の回転軸である。シャフト52は、媒体カセット3の筐体に取り付けられており、媒体ステージ5の後端を回転自在に支持している。媒体ステージ5は、媒体ステージ移動シャフト51が上昇することによって、シャフト52を回転軸にして、その先端が上昇する。
【0028】
画像形成装置1は、媒体ステージ5の先端付近の上方に、給紙機構が設けられている。給紙機構は、前記した給紙ローラ4、給紙ローラ4の支持部41、支持部41に設けられた突起部43、及び、離脱検知部としてのステージアップセンサSN5によって構成されている。
【0029】
支持部41は、給紙ローラ4を支持する部材である。支持部41は、例えば、平板状の形状になっている。支持部41は、一方の端部が給紙ローラ4を回転自在に支持しており、また、他方の端部がシャフト42によって画像形成装置1の本体部2(図1参照)に連結されている。そのため、支持部41は、シャフト42を回転軸にして、図2に示す矢印方向に回動する。したがって、支持部41は、一方の端部が自由端となり、また、他方の端部が固定端となる。支持部41は、給紙ローラ4の回転軸が一方の端部の側面に取り付けられており、この回転軸によって、給紙ローラ4を回転自在に支持する。
【0030】
突起部43は、支持部41の、ステージアップセンサSN5と対向する位置に、突起状に形成された部位である。突起部43は、例えば、平板状の支持部41の主表面の略中央に設けられている。
【0031】
画像形成装置1は、媒体カセット3が本体部2に装着されて、後記するモータM1(図6(a)参照)が回転駆動することによって、媒体ステージ5の先端が上昇する。すると、媒体ステージ5の上に載置された印刷媒体99の先端が、下から上方向に押圧されて、給紙ローラ4と当接して、給紙ローラ4を上昇させる。このとき、給紙ローラ4の支持部41が、シャフト42を回転軸にして、回動する。その結果、支持部41に設けられた突起部43が、ステージアップセンサSN5の図示せぬセンサ部に入り込み、ステージアップセンサSN5を遮光状態にする。これによって、ステージアップセンサSN5が、オン状態になり、媒体ステージ5の先端及び媒体ステージ5の上に載置された印刷媒体99の先端の上昇を検知する。
【0032】
ステージアップセンサSN5は、媒体ステージ5の先端及び媒体ステージ5の上に載置された印刷媒体99の先端の上昇(傾斜)を検知する検知手段である。ステージアップセンサSN5は、例えば、給紙ローラ4又はそれに連結された支持部41を検知対象とし、検知対象の接近や離間を検知することによって、媒体ステージ5の先端及び媒体ステージ5の上に載置された印刷媒体99の先端の上昇や下降を検知する。なお、本実施形態1では、検知対象が支持部41に設けられた突起部43であるものとして説明する。ステージアップセンサSN5は、突起部43によってセンサ部が遮光されることにより、オン状態になる。
【0033】
本実施形態1では、画像形成装置1は、電源オン状態で媒体カセット3が本体部2に一旦装着されると、電源オフ状態に移行しても、媒体カセット3が本体部2から離脱されない限り、媒体ステージ5の位置が後記するストッパ71(図6(b)参照)によって電源オフされる前の位置に保持される構成となっている。そのため、ステージアップセンサSN5は、媒体カセット3が本体部2に一旦装着されると、媒体カセット3が本体部2から離脱されるまで、オン状態になり、媒体カセット3が本体部2から離脱されると、オフ状態になる。したがって、ステージアップセンサSN5は、本体部2からの媒体カセット3の離脱を検知する離脱検知部として機能する。
【0034】
ここで、図4及び図5を参照して、媒体ステージ5の周囲の詳細な構成につき説明する。
図4及び図5に示すように、媒体カセット3は、右側面の、媒体ステージ5の先端付近の位置に、第1ギヤ61、第2ギヤ62、及び、ギヤ歯63を備えている。
第1ギヤ61は、モータM1に連結された駆動ギヤ69(図6(a)参照)と噛み合うギヤである。第1ギヤ61は、中心軸が媒体カセット3の筐体に回転自在に支持されている。
第2ギヤ62は、第1ギヤ61の周囲を移動する遊星ギヤである。第2ギヤ62は、第1ギヤ61及びギヤ歯63と噛み合っている。
ギヤ歯63は、第1ギヤ61に対向して配置された円弧状のギヤ歯である。ギヤ歯63は、媒体カセット3の筐体に固定されて設けられている。
【0035】
また、媒体カセット3は、左側面の、媒体ステージ5の先端付近の位置に、第3ギヤ64、第4ギヤ65、及び、ギヤ歯66を備えている。
第3ギヤ64は、媒体カセット3の左側面の、第1ギヤ61と対向する位置に設けられたギヤである。第3ギヤ64は、中心軸が媒体カセット3の筐体に回転自在に支持されている。
第4ギヤ65は、第3ギヤ64の周囲を移動する遊星ギヤである。第4ギヤ65は、第3ギヤ64及びギヤ歯66と噛み合うとともに、媒体ステージ移動シャフト51によって第2ギヤ62と連結されている。
ギヤ歯66は、第3ギヤ64に対向して配置された円弧状のギヤ歯である。ギヤ歯66は、媒体カセット3の筐体に固定されて設けられている。
【0036】
係る構成において、駆動ギヤ69(図6(a)参照)がモータM1によって回転駆動されると、駆動ギヤ69と噛み合う第1ギヤ61が図4及び図5に示す矢印方向に回転する。第2ギヤ62は、その第1ギヤ61と噛み合っており、第1ギヤ61が回転することにより、第1ギヤ61の周囲をギヤ歯63に沿って回転しながら移動する。その結果、第2ギヤ62は、第1ギヤ61とギヤ歯63との間を上方に移動(上昇)する。
【0037】
第2ギヤ62は、媒体ステージ移動シャフト51によって第4ギヤ65と連結されている。そのため、第4ギヤ65は、第2ギヤ62が移動することにより、これに伴って、第3ギヤ64の周囲をギヤ歯66に沿って回転しながら移動する。その結果、第4ギヤ65は、第2ギヤ62の移動と同期して、第3ギヤ64とギヤ歯66との間を上方に移動(上昇)する。
【0038】
第2ギヤ62及び第4ギヤ65が上昇すると、これに伴って、媒体ステージ移動シャフト51が、第2ギヤ62及び第4ギヤ65と一緒に上昇する。媒体ステージ移動シャフト51は、媒体ステージ5の先端付近の下面に当接している。そのため、媒体ステージ5の先端も、媒体ステージ移動シャフト51と一緒に上昇する。
【0039】
なお、モータM1によって駆動されるのは、第1ギヤ61のみである。第3ギヤ64は、中心軸のみが媒体カセット3の筐体に回転自在に支持されている。
このような画像形成装置1は、媒体ステージ5、第1ギヤ61、第2ギヤ62、ギヤ歯63、及び、駆動ギヤ69が、印刷媒体99の先端を上昇させるリフト機構を構成している。
【0040】
係る構成において、画像形成装置1は、媒体ステージ5がシャフト52を回転軸にして回動する構成になっている。媒体ステージ5は、媒体ステージ移動シャフト51によって、先端が上昇されると、媒体ステージ5の上に載置された印刷媒体99の先端を下から上方向に押圧する。これにより、印刷媒体99の先端が給紙ローラ4に当接する。
【0041】
そして、媒体ステージ5は、その状態から、さらに、媒体ステージ移動シャフト51によって、先端が上昇されると、印刷媒体99を介して給紙ローラ4を下から上方向に押圧して、給紙ローラ4を上昇させる。このとき、画像形成装置1は、ステージアップセンサSN5が突起部43によって遮光されてオン状態になるまで、媒体ステージ5の先端を媒体ステージ移動シャフト51によって上昇させる。
【0042】
また、画像形成装置1は、図示せぬスプリング等によって、下方向へのテンションを給紙ローラ4の支持部41にかけている。これにより、画像形成装置1は、ステージアップセンサSN5が突起部43によってオン状態になると、媒体ステージ5の先端の上昇を停止し、その状態で、印刷媒体99の繰り出しに最適な押圧が印刷媒体99にかかるようにしている。
【0043】
ここで、図6及び図7を参照して、媒体カセット3及びその周囲の動作につき説明する。図6及び図7は、それぞれ、実施形態1に係る画像形成装置の媒体収納部及びその周囲の動作を示す図である。図6は、媒体カセット3が本体部2に装着されている状態を示している。一方、図7は、媒体カセット3が本体部2から離脱されている状態を示している。なお、図6(a)は、上方向から見た、媒体カセット3及びその周囲の全体の概略構成を示しており、図6(b)は、横方向から見た、媒体カセット3及びその周囲の主要部の構成を拡大して示している。
【0044】
図6(a)及び図7に示すように、画像形成装置1は、モータM1を有している。モータM1は、第1ギヤ61を回転駆動する駆動手段である。モータM1は、モータM1に連結された駆動ギヤ69を介して、第1ギヤ61を回転駆動する。
【0045】
モータM1及び駆動ギヤ69は、画像形成装置1の本体部2に取り付けられている。図6(a)に示すように、媒体カセット3が本体部2に装着されている状態では、第1ギヤ61と駆動ギヤ69とが噛み合った状態になる。そのため、画像形成装置1は、モータM1によって、第1ギヤ61を回転駆動させることができる。
【0046】
画像形成装置1は、第1ギヤ61が回転駆動することにより、媒体ステージ移動シャフト51が上昇し、これに伴って、媒体ステージ5の先端及び媒体ステージ5の上に載置された印刷媒体99の先端を上昇させる。したがって、モータM1は、印刷媒体99を移動させる媒体移動手段として機能する。
【0047】
印刷媒体99は、先端が上昇すると、やがて、先端が給紙ローラ4に当接して、給紙ローラ4を押し上げる。その結果、給紙ローラ4の支持部41に設けられた突起部43が、上昇して、ステージアップセンサSN5の図示せぬセンサ部に入り込み、ステージアップセンサSN5を遮光状態にする。これによって、ステージアップセンサSN5が、媒体ステージ5の先端及び媒体ステージ5の上に載置された印刷媒体99の先端の上昇を検知する。
【0048】
また、図6(a)及び図6(b)に示すように、画像形成装置1は、ストッパ71を有している。ストッパ71は、電源オフ時であっても、媒体ステージ5の先端の位置を電源オフされる前の位置に保持する保持部材である。ストッパ71は、例えば、板バネ材によって構成される。ストッパ71は、突起部71aが自由端側の先端部に設けられている。ストッパ71は、突起部71aが駆動ギヤ69と係合することによって、媒体ステージ5の先端の位置を、ひいては、媒体ステージ5の移動に伴って移動する、ステージアップセンサSN5の検知対象(ここでは、給紙ローラ4に連結された支持部41に設けられた突起部43)の位置を保持する。
【0049】
ストッパ71は、第1ギヤ61及び駆動ギヤ69がモータM1によって図6(b)に示す矢印方向に回転する場合に、駆動ギヤ69から離間する方向に逃げる。そのため、ストッパ71は、この場合に、駆動ギヤ69の回転を抑制しない。
【0050】
しかしながら、ストッパ71は、第1ギヤ61及び駆動ギヤ69が図6(b)に示す矢印方向とは逆方向に回転しようとする場合に、駆動ギヤ69から離間する方向に逃げない。そのため、ストッパ71は、この場合に、駆動ギヤ69の回転を抑制する。
【0051】
例えば、ストッパ71は、電源がオフされて、モータM1が無通電状態になり、媒体ステージ5及び媒体ステージ移動シャフト51等の重量によって、第1ギヤ61及び駆動ギヤ69が図6(b)に示す矢印に対して反対方向に回転しようとする場合に、突起部71aが駆動ギヤ69と噛み合う。そのため、ストッパ71は、この場合に、駆動ギヤ69の回転を抑制する。
【0052】
したがって、画像形成装置1は、電源オフ状態であっても、ストッパ71によって、図3に示すように、媒体ステージ5の先端の位置がアップされた状態に保持される。
【0053】
その画像形成装置1は、媒体カセット3が本体部2から離脱されると、図7に示すように、第1ギヤ61と駆動ギヤ69とが離間された状態になる。このとき、第1ギヤ61が無負荷の状態となる。そのため、媒体ステージ5及び媒体ステージ移動シャフト51は、機械的に無負荷又は負荷が軽くなり、それらの自重により降下する。これにより、媒体ステージ5及び媒体ステージ移動シャフト51が、図2に示す状態となる。
【0054】
このとき、画像形成装置1は、媒体ステージ5が、印刷媒体99をステージアップセンサSN5から離間する方向にリリースして、モータM1によって行われた印刷媒体99に対する押圧を解除するリリース手段として機能する。これにより、印刷媒体99の先端が下降し、さらに、給紙ローラ4が、印刷媒体99からの押圧がなくなるため、下降する。
【0055】
その結果、給紙ローラ4は、支持部材41に設けられた突起部43がステージアップセンサSN5から離間する方向に移動する。これにより、ステージアップセンサSN5は、突起部43による遮光状態が解除されて、オフ状態になる。
【0056】
したがって、媒体ステージ制御部115(図8参照)は、電源がオフされている間に、媒体カセット3の離脱が行われた場合に、ステージアップセンサSN5がオフ状態になるため、それを検知することができる。
【0057】
また、図6(a)及び図7に示すように、画像形成装置1は、カセットスイッチ81を有している。カセットスイッチ81は、画像形成装置1側に設けられているスイッチである。カセットスイッチ81は、媒体カセット3が本体部2に装着されていることを検知する装着検知部として機能する。
【0058】
カセットスイッチ81は、図6(a)に示すように、媒体カセット3が本体部2に装着された状態では、媒体カセット3側に設けられた突起部82と係合することによって、オン状態となる。これによって、画像形成装置1は、媒体カセット3が本体部2に装着されていることを検出する。
【0059】
これに対して、カセットスイッチ81は、図7に示すように、媒体カセット3が本体部2から離脱された状態では、突起部82との係合が解除されることによって、オフ状態になる。これによって、画像形成装置1は、媒体カセット3が本体部2から取り外されたこと(すなわち、本体部2からの媒体カセット3の離脱)を検出することができる。
【0060】
以下、図8を参照して、画像形成装置1の機能構成につき説明する。図8は、実施形態1に係る画像形成装置の機能構成を示す図である。
図8に示すように、画像形成装置1は、制御部110、記憶部120、及び、通信部130を有している。
【0061】
制御部110は、記憶部120の後記するプログラム記憶部121に予め格納された制御プログラムを実行することにより、画像形成制御部111、定着制御部114、媒体ステージ制御部115、搬送制御部116、媒体厚監視部117、オペレータパネル制御部119として機能する。
【0062】
画像形成制御部111は、画像形成部11、印刷ヘッド部12、転写部13を制御して、搬送経路7に沿って搬送される印刷媒体99上に、印刷画像としてのトナー像を形成する。
【0063】
定着制御部114は、定着部14を制御して、印刷媒体99上に形成されたトナー像を、加熱及び加圧して溶融させて、印刷媒体99上に定着させる。
【0064】
媒体ステージ制御部115は、媒体カセット3が本体部2に装着されたことをカセットスイッチ81によって検知すると、モータM1を駆動させて媒体ステージ5をアップさせる。これにより、画像形成装置1は、印刷媒体99が給紙ローラ4に当接されて、給紙が可能となる。なお、給紙ローラ4への印刷媒体99の当接は、ステージアップセンサSN5によって検知される。
【0065】
搬送制御部116は、図示せぬモータを駆動させて、給紙ローラ4及び搬送ローラ6A〜搬送ローラ6Eによって印刷媒体99の搬送を行い、搬送センサSN2A〜搬送センサSN2Cによって得られる情報を基に印刷媒体99の搬送を制御する。また、搬送制御部116は、印刷媒体99の搬送中に媒体厚センサSN1によって印刷媒体99の厚さの検知を行う。
【0066】
媒体厚監視部117は、印刷媒体99の特徴点(ここでは、厚さ)を監視する媒体特徴監視部である。媒体厚監視部117は、印刷媒体99の特徴点の情報として、搬送制御部116によって検知された印刷媒体99の厚さを表す情報(以下、「厚さ情報」と称する)を、記憶部120の後記する設定値記憶部122に書き込む。
【0067】
オペレータパネル制御部119は、オペレータパネル19の動作を制御する機能手段である。オペレータパネル制御部119は、表示部19aに所定の画像を表示させたり、操作部19bからのユーザによる入力操作を検知したりする。
【0068】
記憶部120は、不揮発性メモリとして構成されている。記憶部120は、プログラム記憶部121、及び、設定値記憶部122を備えている。
プログラム記憶部121は、制御プログラムが予め格納される記憶領域である。
設定値記憶部122は、印刷媒体99の厚さ情報が格納される記憶領域である。設定値記憶部122は、画像形成装置1の動作制御に用いる印刷媒体99の特徴点の情報(ここでは、厚さ情報)が格納される媒体特徴記憶部である。
【0069】
通信部130は、通信回線を介して、上位装置であるホストコンピュータ1000から印刷ジョブデータを受信して、制御部110に転送する。
【0070】
画像形成装置1は、図9に一例として示すように、印刷媒体99の厚さに応じて、定着部14の定着目標温度を設定する。図9は、印刷媒体の厚さと定着部の設定温度との関係の一例を示す図である。
【0071】
なお、印刷媒体99の厚さは、図10に示す動作原理を用いて、検知(測定)される。図10は、実施形態1で用いる媒体厚センサの動作原理を示す図である。
図10に示すように、媒体厚センサSN1は、センサ部SN1a、可動部SN1b、台座SN1cを備えている。
【0072】
センサ部SN1aは、可動部SN1bとセンサ部SN1aとの間の距離に応じて、所定の周波数の検知信号を出力する変位センサである。印刷媒体99は、台座SN1cと可動部SN1bとの間を通過する。
【0073】
ここでは、印刷媒体99が台座SN1cと可動部SN1bとの間にないときの、可動部SN1bとセンサ部SN1aとの間の空間を、「無媒体時の空間」と称する。また、ここでは、印刷媒体99が台座SN1cと可動部SN1bとの間にあるときの、可動部SN1bとセンサ部SN1aとの間の空間を、「有媒体時の空間」と称する。
【0074】
媒体厚センサSN1は、図10の左欄に示すように、印刷媒体99が台座SN1cと可動部SN1bとの間にない場合に、可動部SN1bと台座SN1cとが接触する。この場合に、媒体厚センサSN1のセンサ部SN1aが、無媒体時の空間の静電容量に対応した規定の周波数を制御部110に出力する。
【0075】
一方、媒体厚センサSN1は、図10の右欄に示すように、印刷媒体99が台座SN1cと可動部SN1bとの間にある場合に、可動部SN1bがセンサ部SN1a方向に移動する。媒体厚センサSN1は、「有媒体時の空間」が印刷媒体99の厚みだけ「無媒体時の空間」よりも狭くなる。すなわち、媒体厚センサSN1は、可動部SN1bとセンサ部SN1aとの間の距離が、有媒体時に、印刷媒体99の厚みだけ近くなる。これにより、可動部SN1bとセンサ部SN1aとの間の空間の静電容量が変化する。その結果、媒体厚センサSN1は、センサ部SN1aから出力される検知信号の周波数(以下、「出力周波数」と称する)が変化する。そのため、画像形成装置1の制御部110(具体的には、搬送制御部116)は、例えば、図11に示すように、出力周波数から印刷媒体99の厚さを求めることができる。図11は、実施形態1で用いる媒体厚センサの出力周波数と印刷媒体の厚さとの関係の一例を示す図である。
【0076】
<画像形成装置の動作>
係る構成において、画像形成装置1の制御部110は、電源オフ状態から電源オン状態になった場合で、かつ、ステージアップセンサSN5によって本体部2からの媒体カセット3の離脱が検知されないときに、設定値記憶部122に、電源オフ状態以前の印刷媒体99の特徴点の情報(ここでは、厚さ情報)を記憶させ続ける。また、制御部110は、電源オフ状態から電源オン状態になった場合で、かつ、ステージアップセンサSN5によって本体部2からの媒体カセット3の離脱が検知されたときに、媒体厚センサSN1に印刷媒体99の特徴点を特定させて、設定値記憶部122に記憶された特徴点の情報を更新させる。
【0077】
以下、図12〜図16を参照して、画像形成装置1の動作につき説明する。図12〜図16は、それぞれ、実施形態1に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。図12は実施形態1のメイン処理のフローを示している。図13〜図15は、メイン処理からコールされるサブルーチンのフローを示している。
【0078】
なお、画像形成装置1は、図示せぬタイマによって計測された時間に基づいて動作する。また、画像形成装置1の動作は、プログラム記憶部121に読み出し自在に予め格納された制御プログラムによって規定されており、制御部110によって実行される。以下、これらの点については、情報処理では常套手段であるので、その詳細な説明を省略する。
【0079】
(メイン処理)
画像形成装置1は、ユーザによって電源がオンされることにより、動作を開始する。図12に示すように、画像形成装置1は、まず、制御部110が、制御ステップ値に「0」を設定する(S101)。
【0080】
次に、制御部110は、制御ステップ値がいくつかを判定し(S102)、制御ステップ値の値に応じて、分岐処理を行う。
【0081】
S102の判定で、まず、制御ステップ値が「0」であるので、制御部110は、「初期化処理」を行う(S103)。S103の「初期化処理」の詳細は、図13に示すフローのようになっている。
【0082】
(初期化処理)
図13に示すように、S103の「初期化処理」では、まず、制御部110の媒体ステージ制御部115(図8参照)は、ステージアップセンサSN5(図2及び図3参照)の状態検知を行い、電源オン時に、ステージアップセンサSN5がオン状態であるか否かを判定し(S201)、その判定結果を媒体厚監視部117(図8参照)に通知する。
【0083】
画像形成装置1は、媒体カセット3が本体部2に装着されると、媒体ステージ5の先端が上昇(アップ)して、ステージアップセンサSN5がオン状態になる。このとき、画像形成装置1は、ストッパ71の突起部71a(図6(b)参照)が駆動ギヤ69と係合し、これによって、媒体ステージ5の先端の位置が保持される。そのため、ステージアップセンサSN5は、一旦、オン状態になると、オン状態のままで保持される。
【0084】
この後、画像形成装置1は、媒体カセット3が本体部2から一旦離脱されると、第1ギヤ61と駆動ギヤ69とが離間された状態になる。そのため、媒体ステージ5及び媒体ステージ移動シャフト51が、それらの自重により降下する。これにより、印刷媒体99の先端が下降し、さらに、給紙ローラ4が、下降する。その結果、給紙ローラ4の支持部材41に設けられた突起部43が、ステージアップセンサSN5から離間する。これにより、ステージアップセンサSN5が、オフ状態になる。
【0085】
したがって、媒体ステージ制御部115は、電源がオフされている間に、媒体カセット3の離脱が行われた場合に、ステージアップセンサSN5がオフ状態になるため、それを検知することができる。
【0086】
S201の判定で、電源オン時に、ステージアップセンサSN5がオン状態であると判定された場合(“Yes”の場合)に、媒体厚監視部117は、電源がオフされている間に、印刷媒体99の補充又は交換のための、本体部2からの媒体カセット3の離脱が行われなかったものと判定する。
【0087】
この場合に、媒体厚監視部117は、電源オフ状態以前の印刷媒体99の厚さ情報を記憶部120の設定値記憶部122に記憶させ続ける。そして、媒体厚監視部117は、設定値記憶部122から電源オフ状態以前の印刷媒体99の厚さ情報を読み出し、読み出された電源オフ状態以前の印刷媒体99の厚さ情報の値(以下、「読出値」と称する)を、画像形成装置1の動作制御に用いる印刷媒体99の特徴点(ここでは、厚さ)の設定値に設定し(S202)、「給紙可(給紙が可能であること)」を搬送制御部116に通知する(S203)。
【0088】
この後、定着制御部114(図8参照)は、印刷媒体99の厚さの設定値に応じて、例えば、図9に一例として示す定着部14の定着目標温度を設定する(S204)。
【0089】
一方、S201の判定で、電源オン時に、ステージアップセンサSN5がオン状態でない(すなわち、オフ状態である)と判定された場合(“No”の場合)に、媒体厚監視部117は、電源がオフされている間に、印刷媒体99の補充又は交換のための、本体部2からの媒体カセット3の離脱が行われたものと判定する。
【0090】
この場合に、媒体厚監視部117は、印刷媒体99の厚さの検知を行うために、印刷媒体99の厚さの設定値を「未検知」を表す値に設定する(S205)。そして、定着制御部114は、定着部14の定着目標温度として、例えば、図9に一例として示す定着部14の設定可能な定着目標温度のうち、最も低い温度を、定着目標温度に設定する(S206)。これは、一般的な定着部14の特性として、単位温度あたりの温度変化時間を見た場合に、加熱時は温度制御されており、加熱時よりも冷却時の方が遥かに時間を要するため、印刷媒体99の厚さの測定後に、印刷媒体99の厚さの設定値に対応する定着目標温度が設定された場合に、設定可能な定着目標温度よりも低い温度が設定されて、冷却による待ち時間が長期化することを防ぐためである。
【0091】
S204又はS206の後、制御部110は、図16に示す、本体部2からの媒体カセット3の離脱を検知するための「カセット検知処理」の実行を開始し(S207)、制御ステップ値に「1」を設定する(S208)。これにより、S103の「初期化処理」が終了する。この後、処理は、図12に示すS102に戻る。その結果、これ以降は、図12に示す「メイン処理」のウォームアップ処理又は印刷処理と、図16に示す「カセット検知処理」とが、電源オフされるまで並行して行われる。
【0092】
処理がS102に戻ると、S102の判定で、制御ステップ値が「1」に設定されているので、制御部110は、「ウォームアップ処理」を行う(S104)。S104の「ウォームアップ処理」の詳細は、図14に示すフローのようになっている。
【0093】
(ウォームアップ処理)
図14に示すように、S104の「ウォームアップ処理」では、まず、制御部110の定着制御部114は、定着部14の温度を定着目標温度に上昇させる制御を開始する(S301)。そして、定着制御部114は、定着部14の温度が定着目標温度に到達するまで、定着部14の温度が定着目標温度に到達したか否かを繰り返し判定する(S302)。
【0094】
S302の判定で、定着部14の温度が定着目標温度に到達していないと判定された場合(“No”の場合)に、制御部110は、定着部14の温度が定着目標温度に到達するのを待つ。
【0095】
一方、S302の判定で、定着部14の温度が定着目標温度に到達したと判定された場合(“Yes”の場合)に、定着部14の温度調整が終了となる。この場合に、制御部110は、制御ステップ値に「2」を設定する(S303)。これにより、S104の「ウォームアップ処理」が終了する。以降、定着部14の温度は、定着制御部114によって定着目標温度に保持される。この後、処理は、図12に示すS102に戻る。
【0096】
処理がS102に戻ると、S102の判定で、制御ステップ値が「2」に設定されているので、制御部110は、「印刷処理」を行う(S105)。S105の「印刷処理」の詳細は、図15に示すフローのようになっている。
【0097】
(印刷処理)
図15に示すように、S105の「印刷処理」では、まず、制御部110の画像形成制御部111(図8参照)は、印刷ジョブデータがあると判定されるまで、上位装置であるホストコンピュータ1000から受信された印刷ジョブデータがあるか否かを繰り返し判定する(S401)。
【0098】
S401の判定で、印刷ジョブデータがないと判定された場合(“No”の場合)に、制御部110は、印刷ジョブデータが通信部130(図8参照)によって受信されるのを待つ。
【0099】
一方、S401の判定で、印刷ジョブデータがあると判定された場合(“Yes”の場合)に、制御部110の搬送制御部116(図8参照)は、給紙ローラ4、搬送ローラ6(図1に示す例では、搬送ローラ6A及び搬送ローラ6B)を駆動させて、媒体カセット3から印刷媒体99を給紙し(S402)、印刷媒体99の搬送を開始する。そして、搬送制御部116は、印刷媒体99の厚さの設定値が「未検知」を表す値であるか否かを判定する(S403)。
【0100】
S403の判定で、印刷媒体99の厚さの設定値が「未検知」を表す値であると判定された場合(“Yes”の場合)に、搬送制御部116は、印刷媒体99が媒体厚センサSN1に到達した時点で、印刷媒体99の搬送を一旦停止させて、媒体厚センサSN1によって印刷媒体99の厚さを検知(測定)する。そして、媒体厚監視部117(図8参照)が、検知(測定)された印刷媒体99の厚さ(以下、「測定値」と称する)を印刷媒体99の厚さの設定値に設定するとともに(S404)、測定値を記憶部120の設定値記憶部122(図8参照)に記憶する(S405)。このとき、記憶された値は、記憶部120が例えばEEPROMやFROM(フラッシュROM)等の不揮発性メモリであるため、電源オフされても消えない。
【0101】
なお、印刷媒体99の厚さを検知する際に、印刷媒体99の搬送を一旦停止するのは、印刷媒体99が走行している状態では、媒体厚センサSN1の出力が不安定になり、正確な検知が行えないからである。
【0102】
S405の後、制御部110の定着制御部114(図8参照)は、印刷媒体99の厚さの設定値に応じて、定着部14の定着目標温度を設定し(S406)、定着部14の温度調整を開始する。そして、定着制御部114は、定着部14の温度が定着目標温度に到達するまで、定着部14の温度が定着目標温度に到達したか否かを繰り返し判定する(S407)。
【0103】
S407の判定で、定着部14の温度が定着目標温度に到達していないと判定された場合(“No”の場合)に、制御部110は、定着部14の温度が定着目標温度に到達するのを待つ。
【0104】
一方、S407の判定で、定着部14の温度が定着目標温度に到達したと判定された場合(“Yes”の場合)に、制御部110の搬送制御部116(図8参照)は、搬送ローラ6(図1に示す例では、搬送ローラ6C〜搬送ローラ6E)を駆動させて、印刷媒体99の搬送を再開する(S408)。
【0105】
そして、制御部110の画像形成制御部111(図8参照)及び定着制御部114(図8参照)が、画像形成部11、印刷ヘッド部12、転写部13、及び、定着部14を駆動させて、印刷を実行する(S409)。その結果、印刷ジョブデータに基づくトナー像が、感光ドラム11a上に形成された後、印刷媒体99に転写される。そして、印刷媒体99に転写されたトナー像が、定着部14によって加熱及び加圧されて溶融され、これによって印刷媒体99に定着する。この後、処理は、S401に戻り、例えば、電源がオフされるか、本体部2から媒体カセット3が離脱されるか、又は、割り込みにより、図示せぬ処理の実行が指示されるまで、S401〜S409の処理を繰り返し実行する。
【0106】
なお、S403の判定で、印刷媒体99の厚さの設定値が「未検知」を表す値でないと判定された場合(“No”の場合)に、印刷媒体99の厚さの検知を行わずに、制御部110の画像形成制御部111(図8参照)及び定着制御部114(図8参照)が、画像形成部11、印刷ヘッド部12、転写部13、及び、定着部14を駆動させて、印刷を実行する(S409)。
【0107】
画像形成装置1は、例えば、電源がオフされるか、本体部2から媒体カセット3が離脱されるか、又は、割り込みにより、図示せぬ処理の実行が指示されるまで、図15に示すフローの処理を実行する。なお、画像形成装置1の処理は、電源がオフされると、電源がオンされたときに、図12に示すS101から再スタートとなる。
【0108】
ところで、前記した通り、画像形成装置1では、媒体ステージ制御部115(図8参照)は、電源オン時に、ステージアップセンサSN5がオン状態であるか否かを判定し(図13のS201参照)、その判定結果を媒体厚監視部117に通知する。媒体厚監視部117は、通知された判定結果(すなわち、ステージアップセンサSN5のオン状態又はオフ状態)に基づいて、電源がオフされている間に、本体部2からの媒体カセット3の離脱が行われたか否かを判定する。
【0109】
電源オフ状態で、本体部2からの媒体カセット3の離脱が行われなかった場合(すなわち、電源がオフされている間に、印刷媒体99の補充や交換が行われていない場合)に、媒体厚監視部117は、記憶部120の設定値記憶部122から読み出された、電源オフ状態以前の印刷媒体99の厚さ情報の値(読出値)を印刷媒体99の厚さの設定値に設定する。その結果、定着制御部114(図8参照)が、印刷媒体99の厚さの設定値として設定された読出値に基づいて、定着部14の定着目標温度を設定する。
【0110】
したがって、画像形成装置1は、電源がオフされている間に、印刷媒体の補充や交換が行われていない場合に、印刷媒体99の厚さの検知処理及びその検知結果に基づく定着部14の温度調整処理が不要になる。そのため、画像形成装置1は、この場合に、電源がオンされてから1枚目の印刷を開始するまでに要する時間を短縮することができる。
【0111】
(カセット検知処理)
以下、図16を参照して、「カセット検知処理(図13のS207参照)」の詳細につき説明する。図16は、本体部2からの媒体カセット3の離脱を検知するための「カセット検知処理」のフローを示している。
【0112】
「カセット検知処理」は、前記した通り、図12に示す「メイン処理」のウォームアップ処理又は印刷処理と並行して行われる。画像形成装置1は、初期化処理終了以降に、常に、本体部2からの媒体カセット3の離脱を監視する。
【0113】
その際に、図16に示すように、画像形成装置1は、図13に示すS207で、「カセット検知処理」の実行を開始すると、媒体ステージ制御部115(図8参照)が、カセットスイッチ81の状態を監視する。このとき、媒体ステージ制御部115は、カセットスイッチ81が突起部82の離脱によってオフ状態になるまで、カセットスイッチ81がオフ状態であるか否かを繰り返し判定する(S501)。なお、「カセットスイッチ81がオフ状態になる」場合とは、図7に示すように、媒体カセット3が本体部2から離脱された状態になったことを意味している。
【0114】
S501の判定で、カセットスイッチ81がオフ状態になっていないと判定された場合(“No”の場合)に、媒体ステージ制御部115は、カセットスイッチ81がオフ状態になるのを待つ。
【0115】
一方、S501の判定で、カセットスイッチ81がオフ状態になった(すなわち、媒体カセット3が本体部2から離脱された状態になった)と判定された場合(“Yes”の場合)に、媒体ステージ制御部115がその旨を媒体厚監視部117に通知する。この場合に、媒体厚監視部117は、印刷媒体99の厚さの設定値を「未検知」を表す値に設定する(S502)。これによって、画像形成装置1は、次回の印刷処理時に、印刷媒体99の厚さの再検知を行う(図15に示すS404参照)。
【0116】
次に、媒体ステージ制御部115(図8参照)は、カセットスイッチ81がオン状態になるまで、カセットスイッチ81がオン状態であるか否かを繰り返し判定する(S503)。なお、「カセットスイッチ81がオン状態になる」場合とは、媒体カセット3が本体部2に装着された状態になったことを意味している。
【0117】
S503の判定で、カセットスイッチ81がオン状態になっていないと判定された場合(“No”の場合)に、媒体ステージ制御部115は、カセットスイッチ81がオン状態になるのを待つ。
【0118】
一方、S503の判定で、カセットスイッチ81がオン状態になった(すなわち、媒体カセット3が本体部2に装着された状態になった)と判定された場合(“Yes”の場合)に、媒体ステージ制御部115は、モータM1を駆動させて、媒体ステージ5のリフトアップを開始し(S504)、ステージアップセンサSN5の状態を監視する。
【0119】
このとき、媒体ステージ制御部115は、ステージアップセンサSN5が突起部43によって遮光されてオン状態になるまで、ステージアップセンサSN5がオン状態であるか否かを繰り返し判定する(S505)。なお、「ステージアップセンサSN5がオン状態になる」場合とは、図3に示すように、印刷媒体99が給紙ローラ4と当接する状態になったことを意味している。
【0120】
S505の判定で、ステージアップセンサSN5がオン状態になった(すなわち、印刷媒体99が給紙ローラ4と当接する状態になった)と判定された場合(“Yes”の場合)に、媒体ステージ制御部115は、モータM1の駆動を停止させて、媒体ステージ5のリフトアップを終了し(S506)、「給紙可(給紙が可能であること)」を搬送制御部116に通知する(S507)。この後、処理は、S501に戻る。
【0121】
一方、S505の判定で、ステージアップセンサSN5がオン状態になっていない(すなわち、印刷媒体99が給紙ローラ4と当接する状態になっていない)と判定された場合(“No”の場合)に、媒体ステージ制御部115は、カセットスイッチ81がオフ状態であるか否かを判定しながら(S508)、ステージアップセンサSN5がオン状態になるのを待つ。
【0122】
S508の判定で、カセットスイッチ81がオフ状態になった(すなわち、媒体カセット3が本体部2から離脱された状態になった)と判定された場合(“Yes”の場合)に、媒体ステージ制御部115は、媒体ステージ5のリフトアップ中に、媒体カセット3が本体部2から離脱したと判定する。そのため、この場合に、媒体ステージ制御部115は、モータM1の駆動を停止させて、媒体ステージ5のリフトアップを終了する(S509)。この後、処理は、S503に戻る。そして、画像形成装置1は、ユーザによって媒体カセット3が本体部2に装着されるのを待つ。
【0123】
一方、S508の判定で、カセットスイッチ81がオフ状態になっていない(すなわち、媒体カセット3が本体部2から離脱された状態になっていない)と判定された場合(“No”の場合)に、処理は、S505に戻る。この場合に、媒体ステージ制御部115は、S505の判定とS508の判定とを繰り返し行う。
【0124】
<動作制御に用いる印刷媒体の特徴点の設定値>
係る構成において、画像形成装置1は、動作制御に用いる印刷媒体99の特徴点(ここでは、厚さ)の設定値が、以下のように変遷する。
【0125】
図13に示すように、画像形成装置1の媒体ステージ制御部115(図8参照)は、S201で、電源オン時に、ステージアップセンサSN5(図2及び図3参照)がオン状態であるか否かを判定する。
【0126】
S201の判定で、“Yes”の場合に、S202で、媒体厚監視部117(図8参照)が、設定値記憶部122から電源オフ状態以前の印刷媒体99の厚さ情報の値(読出値)を読み出し、読出値を印刷媒体99の厚さの設定値に設定する。この後、画像形成装置1は、「メイン処理(図12参照)」と並行して、S207で、「カセット検知処理」の実行を開始する。
【0127】
以降、印刷媒体99の厚さの設定値は、本体部2からの媒体カセット3の離脱が検知されるまで(すなわち、図16に示すS501で、カセットスイッチ81がオフ状態になるまで)、読出値が設定されたままの状態となる。
【0128】
一方、S201の判定で、“No”の場合に、S205で、媒体厚監視部117が、印刷媒体99の厚さの設定値を「未検知」を表す値に設定する。この後、画像形成装置1は、「メイン処理(図12参照)」と並行して、S207で、「カセット検知処理」の実行を開始する。
【0129】
そして、画像形成装置1は、「印刷処理(図12に示すS105参照)」時に、図15に示すS404で、印刷媒体99の厚さを検知(測定)する。その際に、媒体厚監視部117が、検知(測定)された印刷媒体99の厚さ(測定値)を印刷媒体99の厚さの設定値に設定する。
【0130】
以降、印刷媒体99の厚さの設定値は、本体部2からの媒体カセット3の離脱が検知されるまで(すなわち、図16に示すS501で、カセットスイッチ81がオフ状態になるまで)、測定値が設定されたままの状態となる。
【0131】
なお、印刷媒体99の厚さの設定値は、本体部2からの媒体カセット3の離脱が検知されると(すなわち、図16に示すS501で、カセットスイッチ81がオフ状態になると)、図16に示すS502で、媒体厚監視部117が、「未検知」を表す値に設定する。
【0132】
係る構成において、画像形成装置1は、電源オフ状態で、本体部2からの媒体カセット3の離脱が行われなかった場合(すなわち、電源がオフされている間に、印刷媒体99の補充や交換が行われていない場合)に、制御部110が、媒体特徴記憶部(設定値記憶部122)から読み出された、電源オフ状態以前の印刷媒体99の特徴点の情報(ここでは、厚さ情報)に基づいて、各部(特に、定着部14)の動作を制御する。
【0133】
その結果、画像形成装置1は、電源がオフされている間に、印刷媒体99の補充や交換が行われていない場合に、印刷媒体99の特徴点の検知処理及びその検知結果に基づく定着部14の温度調整処理が不要になるため、電源がオンされてから1枚目の印刷を開始するまでに要する時間を短縮することができる。
【0134】
以上の通り、実施形態1に係る画像形成装置1によれば、電源がオフされている間に、印刷媒体99の補充や交換が行われていない場合に、印刷媒体99の特徴点(ここでは、厚さ)の検知処理及びその検知結果に基づく定着部14の温度調整処理が不要になるため、電源がオンされてから1枚目の印刷を開始するまでに要する時間を短縮することができる。
【0135】
[実施形態2]
本実施形態2は、媒体カセット3に収納された印刷媒体99が変更された場合に、印刷媒体99の変更に対する注意をユーザに喚起する機能を、画像形成装置1に付加するものである。以下、この機能が付加された画像形成装置1を「画像形成装置1B(図示せず)と称する。
【0136】
本実施形態2に係る画像形成装置1B(図示せず)は、実施形態1に係る画像形成装置1と比較すると、構成(図8参照)が同じで、一部の動作が相違している。
【0137】
以下、本実施形態2に係る画像形成装置1Bの動作について、実施形態1に係る画像形成装置1と相違する動作を重点的に説明し、実施形態1に係る画像形成装置1と同様の動作(図12〜図16参照)については、前記した実施形態1に係る画像形成装置1の動作を本実施形態2に係る画像形成装置1Bの動作に読み替えるものとして、詳細な説明を省略する。
【0138】
ここでは、印刷媒体99の変更に対する注意をユーザに喚起する機能として、画像形成装置1Bが、印刷媒体99の変更に対する注意をユーザに喚起する画面(以下、「媒体変更注意喚起画面」と称する)を表示部19a(図8参照)に表示する場合を想定して説明する。また、媒体変更注意喚起画面を表示部19aに表示する処理を、「媒体変更注意喚起処理」と称する。
【0139】
図17〜図19は、それぞれ、実施形態2に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。本実施形態2に係る画像形成装置1Bは、「初期化処理」時に、図13に示す実施形態1のS103の初期化処理の代わりに、図17に示すS103aの初期化処理を実行する。また、本実施形態2に係る画像形成装置1Bは、「ウォームアップ処理」時に、図14に示す実施形態1のS104のウォームアップ処理の代わりに、図18に示すS104aのウォームアップ処理を実行する。また、本実施形態2に係る画像形成装置1Bは、前記した「媒体変更注意喚起処理」時に、図19に示すS701の媒体変更注意喚起処理を実行する。
【0140】
(初期化処理)
図17は、本実施形態2に係る画像形成装置1Bの「初期化処理」時の動作フローを示している。図17に示すS103aの初期化処理は、図13に示すS103の初期化処理と比較すると、S207とS208との間で、S701の処理を行う点で相違している。
【0141】
すなわち、画像形成装置1Bは、S207で、図16に示す「カセット検知処理」の実行を開始する。すると、画像形成装置1Bの制御部10は、「媒体変更注意喚起処理」の実行を開始する(S701)。なお、媒体変更注意喚起処理の詳細については、図19を参照して後記する。その後に、制御部110が、S208で、制御ステップ値に「1」を設定する。これにより、S103aの「初期化処理」が終了する。
【0142】
(ウォームアップ処理)
図18は、本実施形態2に係る画像形成装置1Bの「ウォームアップ処理」時の動作フローを示している。図18に示すS104aのウォームアップ処理は、図14に示すS104のウォームアップ処理と比較すると、S302とS303との間で、S801の処理を行う点で相違している。
【0143】
すなわち、画像形成装置1Bは、S302で、定着部14の温度が定着目標温度に到達したか否かを繰り返し判定する。S302の判定で、定着部14の温度が定着目標温度に到達したと判定された場合(“Yes”の場合)に、前記した「媒体変更注意喚起処理」が終了するまで、「媒体変更注意喚起処理」が終了しているか否かを繰り返し判定する(S801)。
【0144】
S801の判定で、「媒体変更注意喚起処理」が終了していないと判定された場合(“No”の場合)に、制御部110は、媒体変更注意喚起処理の終了を待つ。一方、S801の判定で、「媒体変更注意喚起処理」が終了したと判定された場合(“Yes”の場合)に、制御部110は、制御ステップ値に「2」を設定する(S303)。これにより、S104aの「ウォームアップ処理」が終了する。
【0145】
(媒体変更注意喚起処理)
画像形成装置1Bは、「初期化処理」時に、図17に示すS701で、「媒体変更注意喚起処理」の実行を開始する。媒体変更注意喚起処理は、図18に示すS104aの「ウォームアップ処理」と並行して行われる。
【0146】
まず、画像形成装置1Bの搬送制御部116(図8参照)は、印刷媒体99の厚さの設定値が「未検知」を表す値であるか否かを判定する(S901)。このとき、搬送制御部116は、図17に示すS202又はS205で設定された印刷媒体99の厚さの設定値を参照する。
【0147】
S901の判定で、印刷媒体99の厚さの設定値が「未検知」を表す値であると判定された場合(“Yes”の場合)に、画像形成装置1Bの媒体ステージ制御部115(図8参照)は、カセットスイッチ81がオン状態であるか否かを判定する(S902)。
【0148】
なお、カセットスイッチ81がオン状態になった場合(すなわち、媒体カセット3が本体部2に装着された状態になった場合)とは、電源がオフされている間に、媒体カセット3中の印刷媒体99が入れ替えられた可能性があることを意味している。
【0149】
S902の判定で、カセットスイッチ81がオン状態になった(すなわち、媒体カセット3が本体部2に装着された状態になった)と判定された場合(“Yes”の場合)に、画像形成装置1Bのオペレータパネル制御部119(図8参照)は、電源がオフされている間に、媒体カセット3中の印刷媒体99が入れ替えられた可能性があることをユーザに知らせるために、前記した「媒体変更注意喚起画面」を表示部19aに表示させる(S903)。
【0150】
S903の後、オペレータパネル制御部119は、ユーザが媒体変更注意喚起画面の表示に確実に気付くように、操作部19b(図8参照)に対するユーザの入力操作が検知されるまで、操作部19bからのユーザによる入力があるか否かを繰り返し判定する(S904)。したがって、画像形成装置1Bは、ユーザが媒体変更注意喚起画面の表示に確実に気付くまで、媒体変更注意喚起画面の表示を継続する。
【0151】
S904の判定で、操作部19bからのユーザによる入力があると判定された場合(“Yes”の場合)に、オペレータパネル制御部119は、表示部19aに、媒体変更注意喚起画面を消去させる(S905)。また、この場合に、オペレータパネル制御部119は、媒体変更注意喚起処理の終了を媒体厚監視部117(図8参照)に通知する(S906)。これにより、「媒体変更注意喚起処理」が終了する。
【0152】
なお、S901の判定で、印刷媒体99の厚さの設定値が「未検知」を表す値でないと判定された場合(“No”の場合)、又は、S902の判定で、カセットスイッチ81がオン状態になっていない(すなわち、媒体カセット3が本体部2に装着された状態になっていない)と判定された場合(“No”の場合)にも、処理は、S906に進む。
【0153】
このようにして、画像形成装置1Bは、電源がオフされている間に、媒体カセット3中の印刷媒体99が入れ替えられた可能性があることをユーザに通知する。ユーザは、媒体カセット3中の印刷媒体99を確認し、印刷媒体99のサイズ等が適正なサイズと異なる場合に、印刷媒体99を再度媒体カセット3に入れ替える、又は、プリンタドライバ等により印刷媒体99のサイズの再設定等を行う。
【0154】
画像形成装置1Bは、図18に示すS104aの「ウォームアップ処理」で、定着部14の温度調整の終了と媒体変更注意喚起処理の終了とが確認される(図18に示すS302及びS801参照)と、S303で、制御部110が制御ステップ値に「2」を設定する。これにより、S104aの「ウォームアップ処理」が終了する。
【0155】
以上の通り、実施形態2に係る画像形成装置1Bによれば、実施形態1に係る画像形成装置1と同様の効果に加え、電源がオフされている間に、媒体カセット3中の印刷媒体99が入れ替えられた可能性があることをユーザに通知することができる。そのため、ユーザは、媒体カセット3中の印刷媒体99を確認し、印刷媒体99のサイズ等が適正なサイズと異なる場合に、印刷媒体99を再度媒体カセット3に入れ替える、又は、プリンタドライバ等により印刷媒体99のサイズの再設定等を行うことができる。これにより、ユーザは、意図しない印刷媒体99に、印刷が行われてしまうのを防止することができる。
【0156】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
【0157】
実施形態1及び実施形態2では、画像形成装置がプリンタである場合を例にして説明した。しかしながら、本発明は、プリンタに限らず、例えば、ファクシミリ装置、複写機、MFP等の画像形成装置に用いることができる。なお、「MFP」とは、Multi Function Printerの略称で、プリンタにファクシミリ機能やスキャナ機能、コピー機能等を付加した装置である。
【0158】
また、実施形態1及び実施形態2では、印刷媒体99の特徴点を特定する媒体特徴特定部として、印刷媒体99の厚さを検知する媒体厚センサSN1を例にして説明した。しかしながら、本発明は、媒体特徴特定部として、例えば、OHPシート等の、印刷媒体99の種類を検知する媒体種類検知センサを用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0159】
1 画像形成装置(プリンタ)
2 本体部(筐体)
3 媒体カセット(媒体収納部)
4 給紙ローラ(媒体繰出部材)
5 媒体ステージ(リリース手段)
6(6A〜6D) 搬送ローラ
7 搬送経路
10 制御基板
11 画像形成部
11a 感光ドラム
12 印刷ヘッド部
13 転写部
14 定着部
19 オペレータパネル
19a 表示部
19b 操作部(入力部)
41 支持部
42 シャフト
43 突起部
51 媒体ステージ移動シャフト
52 シャフト
61、62、64、65 ギヤ(第1ギヤ、第2ギヤ(遊星ギヤ)、第3ギヤ、第4ギヤ(遊星ギヤ))
63、66 ギヤ歯
69 駆動ギヤ
71 ストッパ(保持部材)
81 カセットスイッチ(装着検知部)
82 突起部
99 印刷媒体
110 制御部
111 画像形成制御部
114 定着制御部
115 媒体ステージ制御部
116 搬送制御部
117 媒体厚監視部(媒体特徴監視部)
119 オペレータパネル制御部
120 記憶部
121 プログラム記憶部
122 設定値記憶部(媒体特徴記憶部)
130 通信部
1000 ホストコンピュータ
M1 モータ(媒体移動手段)
SN1 媒体厚センサ(媒体特徴特定部)
SN1a センサ部
SN1b 可動部
SN1c 台座
SN2(SN2A〜SN2C) 搬送センサ
SN5 ステージアップセンサ(離脱検知部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に画像を形成する画像形成部と、当該画像形成部を内蔵する本体部と、当該本体部に対して着脱自在で、かつ、当該媒体を内部に収納する媒体収納部とを有する画像形成装置において、
前記本体部からの前記媒体収納部の離脱を検知する離脱検知部と、
搬送の途中で前記媒体の特徴点を特定する媒体特徴特定部と、
前記媒体の特徴点の情報を記憶する媒体特徴記憶部と、
前記媒体の特徴点の情報に基づいて、各部の動作を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、
電源オフ状態から電源オン状態になった場合で、かつ、前記離脱検知部によって前記本体部からの前記媒体収納部の離脱が検知されたときに、前記媒体特徴特定部に前記媒体の特徴点を特定させて、前記媒体特徴記憶部に記憶された前記特徴点の情報を更新させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
さらに、電源オン状態で、前記媒体を前記媒体繰出部材に向けて押圧することにより、前記媒体とともに、前記媒体繰出部材を前記離脱検知部方向に移動させる媒体移動手段と、
前記本体部からの前記媒体収納部の離脱時に、前記媒体移動手段によって行われた前記媒体に対する押圧を解除することにより、前記離脱検知部方向に移動された前記媒体を、前記離脱検知部から離間する方向にリリースするリリース手段とを有し、
前記離脱検知部は、前記媒体繰出部材又はそれに連結された部材を検知対象とし、当該離脱検知部からの前記媒体の離間を検知する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記リリース手段は、前記本体部からの前記媒体収納部の離脱時に、当該リリース手段の自重で落下することにより、前記媒体をリリースする
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記媒体移動手段は、前記媒体収納部に収納された前記媒体を、前記媒体繰出部材に当接させるリフト機構の駆動源として構成されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記リフト機構は、前記媒体移動手段によって駆動されて、前記媒体収納部に収納された前記媒体を前記媒体繰出部材に当接させることにより、前記媒体収納部から前記画像形成部への前記媒体の繰り出しを可能にするとともに、前記媒体と前記媒体繰出部材とを当接させた状態で、前記媒体繰出部材の位置を前記離脱検知部方向に移動させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記リフト機構は、前記媒体移動手段によって回転駆動される第1ギヤと、当該第1ギヤと噛み合い、当該第1ギヤの周囲を移動する第2ギヤと、当該第2ギヤと噛み合うギヤ歯と、当該第2ギヤの移動に伴って、先端の位置が移動する前記リリース手段としてのステージとを備えており、
前記ステージは、電源オン状態で、前記媒体移動手段が作動することによって、先端の位置が移動し、
前記媒体繰出部材は、前記ステージの先端の位置の移動に伴って、前記媒体が当接されて、位置が移動する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記媒体の特徴点は、前記媒体の厚さであり、
前記媒体特徴特定部は、前記媒体の厚さを特定する媒体厚センサとして構成されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記媒体の特徴点は、前記媒体の種類であり、
前記媒体特徴特定部は、前記媒体の種類を特定する媒体種類センサとして構成されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
さらに、前記媒体を加熱及び加圧して、前記画像形成部よって形成された前記画像を前記媒体に定着させる定着部を有し、
前記制御部は、前記媒体特徴記憶部に記憶された前記媒体の特徴点の情報に基づいて、前記定着部の目標温度を設定する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、
電源オフ状態から電源オン状態になった場合で、かつ、前記離脱検知部によって前記本体部からの前記媒体収納部の離脱が検知されないときに、前記媒体特徴記憶部に、電源オフ状態以前の前記媒体の特徴点の情報を記憶させ続ける
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
さらに、電源オフ時であっても、前記媒体収納部が前記本体部から離脱されない限り、前記離脱検知部の検知対象の位置を電源オフされる前の位置に保持する保持部材を有する
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−96999(P2013−96999A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236363(P2011−236363)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】