説明

画像形成装置

【課題】複数の異なる色の現像剤を用いて被記録媒体に多色画像を形成する画像形成装置において、モータの振動に起因する色ずれの発生を良好に抑制すること。
【解決手段】図1に示すような直接転写タンデム方式の画像形成装置1において、転写搬送ベルト13の各感光体ドラム21とのニップ部の間隔を、当該ニップ部を転写搬送ベルト13が通る速度をモータ55の駆動周波数で割った値の整数倍とする。すると、モータ55の振動の影響で各色のトナー像の転写位置が左右方向にずれたとしても、そのずれ方が各色で同様となり、色ずれの発生を良好に抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の異なる色の現像剤を用いて被記録媒体に多色画像を形成する画像形成装置に関し、詳しくは、その画像形成装置の少なくとも一部を駆動するモータを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置では、前記多色画像を形成するための構成を、フレームによって支持する場合がある。ここで、前記構成の一例として、スキャナユニットで個々に露光されて異なる色の現像剤像が表面に形成される複数の感光体ドラムと、各感光体ドラムとの対向位置を通って用紙を搬送し、用紙の表面に各現像剤像を重ねて転写するベルトとを備えた構成がある。そして、その場合、前記スキャナユニットと前記各感光体ドラムと前記ベルトとを、用紙の搬送方向に直交する方向(以下、幅方向または左右方向ともいう)の両側から一対の板金フレームによって支持することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−95495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1のようにスキャナユニットと感光体ドラムとを左右方向から板金フレームによって支持した場合、画像形成装置に備えられたモータの振動等が板金フレームに伝わると、スキャナユニットと感光体ドラムとの位置関係が左右方向に変動する。すると、各感光体ドラムから転写される各色の現像剤像の用紙への転写位置も、同様に左右方向に変動する。
【0005】
このような変動の影響は、単色画像では肉眼で確認できないほど微々たるものである場合が多いが、複数の色を重ねて画像を形成した場合、色毎に前記変動の態様が異なると、色の重なり具合が各部で変化していわゆる色ずれとして肉眼でも分かるようになる。フレームの剛性を高めれば、このような現象はある程度抑制できるが、画像形成装置の小型軽量化が要請されている昨今では現実的ではない。また、感光体ドラムの偏心や用紙の搬送ムラ等によってこのような色ずれが発生することは以前から知られており、種々の提案がなされているが、モータの振動によって左右方向にも前記転写位置等が変動することに対する対策は、これまでなされていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、複数の異なる色の現像剤を用いて被記録媒体に多色画像を形成する画像形成装置において、モータの振動に起因する色ずれの発生を良好に抑制することを目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達するためになされた本発明は、露光手段に露光されることによって表面に静電潜像が形成される静電潜像担持体を複数の異なる色毎にそれぞれ備え、前記各静電潜像担持体の表面に、前記各静電潜像に対応した現像剤像を前記各静電潜像担持体に対応した色の現像剤を用いて形成する画像形成手段と、前記各静電潜像担持体との各対向位置を通って被記録媒体を搬送することにより、その被記録媒体に前記各静電潜像担持体の表面に形成された現像剤像を重ねて転写する転写搬送手段と、を備えた画像形成装置であって、前記画像形成装置の少なくとも一部を駆動するモータを、更に備え、隣接する前記各対向位置同士の前記被記録媒体の搬送方向に沿った間隔はそれぞれ等しく、かつ、その間隔は、前記転写搬送手段によって搬送される被記録媒体が前記各対向位置を通る速度を前記モータの駆動周波数で割った値の整数倍であることを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明の画像形成装置では、画像形成手段において複数の異なる色毎に備えられた静電潜像担持体の表面に静電潜像が形成されると、各静電潜像担持体の表面には、各静電潜像に対応した現像剤像が各静電潜像担持体に対応した色の現像剤を用いて形成される。すると、転写搬送手段は、各静電潜像担持体との各対向位置を通って被記録媒体を搬送することにより、その被記録媒体に各静電潜像担持体の表面に形成された現像剤像を重ねて転写することにより、当該被記録媒体に画像を形成する。
【0009】
このため、本発明では、転写搬送手段によって搬送される被記録媒体上の任意の位置が各静電潜像担持体との対向位置を通るタイミングにずれがある。そして、そのタイミングのずれに応じて、被記録媒体に対する各色の現像剤像の転写位置が被記録媒体の幅方向に異なる態様でずれると、前記色ずれが生じる。なお、本発明では、隣接する前記各対向位置同士の前記被記録媒体の搬送方向に沿った間隔はそれぞれ等しい。
【0010】
そこで、本発明では、画像形成装置の少なくとも一部を駆動するモータの駆動周波数で、転写搬送手段によって搬送される被記録媒体が前記各対向位置を通る速度を割った値の整数倍に、前記間隔を設定している。このため、被記録媒体に対する前記現像剤像の転写位置が前記モータによる振動の影響が全くない場合の位置から幅方向にずれたとしても、そのずれ方が各色で同様となり、色ずれの発生を良好に抑制することができる。
【0011】
また、前記目的を達するためになされた本発明は、露光手段に露光されることによって表面に静電潜像が形成される静電潜像担持体を複数の異なる色毎にそれぞれ備え、前記各静電潜像担持体の表面に、前記各静電潜像に対応した現像剤像を前記各静電潜像担持体に対応した色の現像剤を用いて形成する画像形成手段と、前記各静電潜像担持体との各対向位置を通って回転駆動されることにより、前記各静電潜像担持体の表面に形成された現像剤像を重ねて転写され、当該重ねて転写された現像剤像を更に被記録媒体に転写する回転体と、を備えた画像形成装置であって、前記画像形成装置の少なくとも一部を駆動するモータを、更に備え、隣接する前記各対向位置同士の前記回転体の回転方向に沿った間隔はそれぞれ等しく、かつ、その間隔は、前記回転体が前記各対向位置を通る速度を前記モータの駆動周波数で割った値の整数倍であることを特徴とするものであってもよい。
【0012】
このように構成された本発明の画像形成装置では、画像形成手段において複数の異なる色毎に備えられた静電潜像担持体の表面に静電潜像が形成されると、各静電潜像担持体の表面には、各静電潜像に対応した現像剤像が各静電潜像担持体に対応した色の現像剤を用いて形成される。すると、各静電潜像担持体との各対向位置を通って回転駆動される回転体は、各静電潜像担持体の表面に形成された現像剤像を重ねて転写され、当該重ねて転写された現像剤像を更に被記録媒体に転写することによって当該被記録媒体に画像を形成する。
【0013】
このため、本発明では、回転体上の任意の位置が各静電潜像担持体との対向位置を通るタイミングにずれがある。そして、そのタイミングのずれに応じて、回転体に対する各色の現像剤像の転写位置が被記録媒体の幅方向に異なる態様でずれると、前記色ずれが生じる。なお、本発明では、隣接する前記各対向位置同士の前記回転体の回転方向に沿った間隔はそれぞれ等しい。
【0014】
そこで、本発明では、画像形成装置の少なくとも一部を駆動するモータの駆動周波数で、回転体が前記各対向位置を通る速度を割った値の整数倍に、前記間隔を設定している。このため、回転体に対する前記現像剤像の転写位置が前記モータによる振動の影響が全くない場合の位置から幅方向にずれたとしても、そのずれ方が各色で同様となり、色ずれの発生を良好に抑制することができる。
【0015】
更に、前記目的を達するためになされた本発明は、露光手段に露光されることによって、複数の異なる色に対応した静電潜像が、色毎に順次表面に形成される静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体の表面に、前記各静電潜像に対応した現像剤像を前記各静電潜像に対応した色の現像剤を用いて形成する画像形成手段と、前記静電潜像担持体との対向位置を通って少なくとも前記色の数だけ回転駆動されることにより、前記静電潜像担持体の表面に形成された前記各色に対応する現像剤像を重ねて転写され、当該重ねて転写された現像剤像を更に被記録媒体に転写する回転体と、を備えた画像形成装置であって、前記画像形成装置の少なくとも一部を駆動するモータを、更に備え、前記回転体の前記転写がなされる面の前記回転方向に沿った周長は、前記回転体の回転速度を前記モータの駆動周波数で割った値の整数倍であることを特徴とするものであってもよい。
【0016】
このように構成された本発明の画像形成装置では、静電潜像担持体の表面には、複数の異なる色に対応した静電潜像が、色毎に順次形成される。すると、画像形成手段は、静電潜像担持体の表面に、各静電潜像に対応した現像剤像を、その静電潜像に対応した色の現像剤を用いて形成する。そして、回転体は、静電潜像担持体との対向位置を通って少なくとも前記色の数だけ回転駆動されることにより、静電潜像担持体の表面に形成された各色に対応する現像剤像を重ねて転写され、当該重ねて転写された現像剤像を更に被記録媒体に転写する。これによって、被記録媒体に画像を形成することができる。
【0017】
このため、本発明では、回転体上の任意の位置が静電潜像担持体との対向位置を通るタイミングが、各色で異なる、そして、そのタイミングのずれに応じて、回転体に対する各色の現像剤像の転写位置が被記録媒体の幅方向に異なる態様でずれると、前記色ずれが生じる。
【0018】
そこで、本発明では、画像形成装置の少なくとも一部を駆動するモータの駆動周波数で、回転体の回転速度を割った値の整数倍に、前記回転体の前記転写がなされる面の前記回転方向に沿った周長を設定している。このため、回転体に対する前記現像剤像の転写位置が前記モータによる振動の影響が全くない場合の位置から幅方向にずれたとしても、そのずれ方が各色で同様となり、色ずれの発生を良好に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態の画像形成装置の内部構成を概略的に表す説明図である。
【図2】その画像形成装置のフレーム構造を概略的に表す説明図である。
【図3】第2実施形態の画像形成装置の内部構成を概略的に表す説明図である。
【図4】第3実施形態の画像形成装置の内部構成を概略的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[画像形成装置の全体構成(第1実施形態)]
次に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。図1は、本発明が適用された第1実施形態の画像形成装置1の内部構成を概略的に表す説明図である。なお、以下の説明では、図1における左方向を前方,手前側を右側として説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、駆動ローラ11と従動ローラ12との間に転写搬送ベルト13(転写搬送手段の一例)を架設してなるベルトユニット10の上に、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の各色に対応した4つのプロセスユニット20(画像形成手段の一例)を備えている。4つのプロセスユニット20は、画像形成装置1の前面側からブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの順で前後方向に並んで配置され、直接転写タンデム方式のカラー画像形成装置を構成している。
【0022】
各プロセスユニット20は、感光体ドラム21(静電潜像担持体の一例)と、帯電器22と、現像カートリッジ24とを備えて構成されている。感光体ドラム21は、接地された金属製のドラム本体を備え、その表層を正帯電性の感光層で被覆することにより構成されている。
【0023】
帯電器22は、感光体ドラム21の後側斜め上方において、感光体ドラム21と接触しないように所定間隔を隔てて、感光体ドラム21と対向配置されている。この帯電器22は、帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させるスコロトロン型帯電器であり、感光体ドラム21の表面を一様に正極性に帯電させる。現像カートリッジ24は、内部にトナー収容室25が設けられ、その中に収容されたブラック,シアン,マゼンタ,またはイエローの正帯電性非磁性1成分トナー(現像剤の一例:以下トナーという)を正極性に摩擦帯電させた上で現像ローラ26を介して感光体ドラム21に供給する周知のものである。
【0024】
更に、ベルトユニット10は、転写搬送ベルト13を挟んで各感光体ドラム21と対向する位置にそれぞれ設けられた4つの転写ローラ14を備えている。転写搬送ベルト13は、駆動ローラ11の図1における時計方向の回転によって、同方向に回転駆動される。転写搬送ベルト13の表面には、画像形成装置1の下部に挿入される給紙トレイ(図示省略)から、被記録媒体の一例としての用紙Pが給紙ローラ等の各種ローラ(図示省略)によって供給され、その用紙Pは各感光体ドラム21との対向部を通って画像形成装置1の後方へ搬送される。
【0025】
また、各プロセスユニット20の上方には、スキャナユニット30(露光手段の一例)が設けられている。スキャナユニット30は、各色の画像データに対応するレーザ光Lk,Ly,Lm,Lcを発生する半導体レーザやそのレーザ光Lを偏向するポリゴンミラー(いずれも図示省略)を備え、各感光体ドラム21を走査露光する周知のものである。
【0026】
このため、各感光体ドラム21の表面は、その回転時、先ず帯電器22により一様に正帯電される。その後、スキャナユニット30からのレーザ光Lの高速走査により露光されて、用紙Pに形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。次いで、現像ローラ26の回転により、現像ローラ26上に担持され正帯電されているトナーが、感光体ドラム21に対向して接触するときに、感光体ドラム21の表面上に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光体ドラム21の静電潜像は可視像化され、感光体ドラム21の表面には、露光部分にのみトナーが付着したトナー像(現像剤像)が担持される。
【0027】
その後、各感光体ドラム21の表面上に担持されたトナー像は、転写搬送ベルト13によって搬送される用紙Pが感光体ドラム21と転写ローラ14との間を通るときに、転写ローラ14に定電流制御で印加される負極性の転写バイアスによって、用紙Pに順次転写される。こうして各色のトナー像が重ねて転写された用紙Pは、次いで、ベルトユニット10の後方に配設された定着器40に搬送される。なお、各感光体ドラム21の半径は等しく、スキャナユニット30によるレーザ光Lの露光位置から用紙Pへのトナー像の転写位置までの回転角も、各感光体ドラム21で等しい。
【0028】
定着器40は、ハロゲンランプ等の熱源を備えて回転駆動される加熱ローラ41と、加熱ローラ41の下方において、加熱ローラ41を押圧するように対向配置され従動回転される加圧ローラ42とを備えている。この定着器40では、4色のトナー像を担持した用紙Pを、加熱ローラ41と加圧ローラ42とによって狭持搬送しながら加熱することにより、トナー像を用紙Pに熱定着させる。そして、トナー像が熱定着された用紙Pは、図示省略した各種ローラにより、画像形成装置1の上面に設けられた排紙トレイ(図示省略)に排出される。
【0029】
また、図2に示すように、画像形成装置1は、前述のベルトユニット10,各プロセスユニット20,スキャナユニット30,定着器40を左右両側から支持する一対の板金フレーム50を備えている。また、左側の板金フレーム50の後部上方外側には、モータ55が設けられている。このモータ55は、例えば特開2011−90040号公報等に記載のように、前述の現像ローラ26と加熱ローラ41とを駆動するものである。
【0030】
[画像形成装置の詳細な設計例及びその効果]
モータ55は、画像形成装置1に設けられた各種モータの中でも最も大きく、しかも、板金フレーム50の上方に設けられていることから、そのモータ55が発生する振動の影響も大きい。ここで、1分間当たりの印刷枚数(ppm:Page Per Minute)を28ppmとしたい場合、画像形成装置1では、モータ55の駆動周波数(回転周期の逆数)を42Hzとし、転写搬送ベルト13の紙送り速度を168mm/sとする必要がある。このモータ55が発生する振動が、画像形成装置1の設置状態が悪いなどの理由によって板金フレーム50に伝わると、スキャナユニット30と感光体ドラム21との位置関係が左右方向に変動する。すると、各感光体ドラム21から用紙Pに転写される各色のトナー像の転写位置も、同様に左右方向に変動する。
【0031】
前記の場合、紙送り速度(すなわち、転写搬送ベルト13が各感光体ドラム21とのニップ部を通る速度)が168mm/sでモータ55の駆動周波数が42Hzであることから、168/42=4で、4mm周期で前記転写位置の変動が起こることになる。このような変動の影響は、単色画像では肉眼で確認できないほど微々たるものである場合が多いが、複数の色を重ねてカラー画像を形成した場合、色毎に前記変動の態様が異なると、色の重なり具合が各部で変化していわゆる色ずれとして肉眼でも分かるようになる。
【0032】
例えば、各感光体ドラム21と転写搬送ベルト13とのニップ部(対向位置)の間隔が65mmであるとすると、画像形成装置1における各色のトナー像の転写位置が用紙Pの搬送方向に65mmずつずれ、そのトナー像が用紙Pに転写されるタイミングもずれる。この場合、ブラックのトナー像の転写位置とイエローのトナー像の転写位置との間隔は65mm、すなわち、(4×16+1)mmとなる。同様に、ブラックのトナー像の転写位置とマゼンタのトナー像の転写位置との間隔は(4×32+2)mm、ブラックのトナー像の転写位置とシアンのトナー像の転写位置との間隔は(4×48+3)mmとなる。従って、ブラックのトナー像とマゼンタのトナー像とでは前記振動に起因するずれ方が逆位相となり、イエローのトナー像とシアンのトナー像とでも逆位相となる。その場合、色の重なり具合が各部で変化していわゆる色ずれとして肉眼でも分かる場合がある。
【0033】
そこで、本実施形態では、前記ニップ部の間隔をそれぞれ64mmとしている。このため、ブラックのトナー像の転写位置とイエローのトナー像の転写位置との間隔は(4×16)mm、ブラックのトナー像の転写位置とマゼンタのトナー像の転写位置との間隔は(4×32)mm、ブラックのトナー像の転写位置とシアンのトナー像の転写位置との間隔は(4×48)mmとなる。従って、前述のようにモータ55の振動の影響で各色のトナー像の転写位置が左右方向にずれたとしても、そのずれ方が各色で同様となり、色ずれの発生を良好に抑制することができる。
【0034】
なお、本実施形態において、板金フレーム50の固有振動数とモータ55の駆動周波数とが近い値の場合(例えば、一方の値が他方の値の±5%以内の場合)、振動の影響が大きくなって前述のような色ずれが起こりやすい。それに対して、本実施形態では、前述のようにトナー像の左右方向のずれ方を各色で同様として色ずれの発生を抑制しているので、前述のように板金フレーム50の固有振動数とモータ55の駆動周波数とが近い値の場合は発明の効果が一層顕著に表れる。
【0035】
[本発明の他の実施形態]
なお、本発明は前記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。例えば、転写搬送手段は必ずしもベルトである必要はなく、用紙Pが巻き付けられるドラムであってもよく、複数のローラ対であってもよい。また、前記ニップ部の間隔を設定するための基準となるモータは、前述のモータ55に限らず、画像形成装置1に設けられた他のモータであってもよく、複数のモータの駆動周波数の最小公倍数に対して前記ニップ部の間隔が設定されてもよい。更に、本発明は、直接転写タンデム方式の画像形成装置に限らず、中間転写方式の画像形成装置や4サイクル方式の画像形成装置にも同様に適用することができる。
【0036】
図3は、第2実施形態の画像形成装置100の内部構成を概略的に表す説明図である。なお、図3において、画像形成装置1と同様に構成された箇所には図1と同様の符号を付して、構成の詳細な説明を省略する。
【0037】
図3に示すように、この画像形成装置100は、画像形成装置1と同様のプロセスユニット20とスキャナユニット30とを備えている。但し、それらの向きは画像形成装置1とは前後が逆になっており、図3では右方向が前方である。回転体の一例としての中間転写ベルト113は、画像形成装置1と同様の駆動ローラ11,従動ローラ12と、それらの中間下方に設けられたバックアップローラ115との間に架設されている。中間転写ベルト113は図3における時計方向に回転駆動される。その際、各感光体ドラム21に形成されたトナー像は、中間転写ベルト113を挟んで各感光体ドラム21と対向する位置にそれぞれ設けられた転写ローラ14によって、中間転写ベルト113に重ねて転写される。
【0038】
バックアップローラ115には、中間転写ベルト113を挟んで二次転写ローラ116が対向配置されており、用紙Pは、中間転写ベルト113と二次転写ローラ116との間を前方から搬送される際に、中間転写ベルト113に転写されたトナー像を再転写される。トナー像を転写された用紙Pは、加熱ローラ41と加圧ローラ42とを備えた定着器40によってトナー像が熱定着され、画像形成装置100の上面に設けられた排紙トレイ(図示省略)に排出される。また、本実施形態でも、図示省略した板金フレームにおける定着器40の上方の位置に、モータ55が設けられている。
【0039】
本実施形態でも、各感光体ドラム21と中間転写ベルト113とのニップ部(対向位置)の間隔を、前記ニップ部を通る中間転写ベルト113の速度をモータ55の駆動周波数で割った値の整数倍とすることで、第1実施形態と同様の作用・効果が生じる。すなわち、モータ55の振動の影響で中間転写ベルト113に対する各色のトナー像の転写位置が左右方向にずれたとしても、そのずれ方が各色で同様となり、色ずれの発生を良好に抑制することができる。なお、本実施形態において、中間転写ベルト113の代わりに中間転写ドラムを使用してもよい。
【0040】
図4は、第3実施形態の画像形成装置200の内部構成を概略的に表す説明図である。なお、図4において、画像形成装置1と同様に構成された箇所には図1と同様の符号を付して、構成の詳細な説明を省略する。
【0041】
図4に示すように、この画像形成装置200は、単一の感光体ドラム21とそれに対向配置された帯電器22とを備え、スキャナユニット30もその感光体ドラム21のみを露光する。回転体の一例としての中間転写ベルト213は、感光体ドラム21に接するように駆動ローラ212と従動ローラ211との間に架設され、従動ローラ211には中間転写ベルト213を挟んで二次転写ローラ216が対向配置されている。また、本実施形態でも、中間転写ベルト213を挟んで転写ローラ14が感光体ドラム21と対向しており、スキャナユニット30との対向位置から転写ローラ14との対向位置に至る感光体ドラム21の表面には、現像ユニット227(画像形成手段の一例)が対向している。
【0042】
現像ユニット227は、図示省略したステッピングモータにより90°ずつ回転可能に構成され、その回転に応じて、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の各色に対応した4つの現像器224の何れか1つを感光体ドラム21に対向させる。更に、画像形成装置200は、転写ローラ14との対向位置から帯電器22との対向位置に至る感光体ドラム21の表面に、その感光体ドラム21の表面に残留したトナーを除去するクリーナ228を備えている。なお、感光体ドラム21は、図4における反時計方向に回転駆動される。
【0043】
このため、感光体ドラム21は、クリーナ228によりトナーが除去された後に、帯電器22,スキャナユニット30によって何れか1色に対応した静電潜像が形成され、その色に応じたトナー像が対応する現像器224によって形成される。そのトナー像は、中間転写ベルト213との接触部で当該中間転写ベルト213に転写される。中間転写ベルト213が4回回転駆動され、この工程が各色に応じて4回繰り返されることにより、中間転写ベルト213の表面には各色のトナー像が重ねて転写される。
【0044】
用紙Pは、中間転写ベルト213と二次転写ローラ216との間を前方から搬送される際に、中間転写ベルト213に転写されたトナー像を再転写される。トナー像を転写された用紙Pは、加熱ローラ41と加圧ローラ42とを備えた定着器40によってトナー像が熱定着され、画像形成装置200の上面に設けられた排紙トレイ(図示省略)に排出される。また、本実施形態でも、図示省略した板金フレームにおける定着器40の上方の位置に、モータ55が設けられている。
【0045】
本実施形態では、中間転写ベルト213の任意の所定位置にトナー像が転写されるタイミングが、各色で中間転写ベルト213の1周分のタイミングだけずれる。そこで、本実施形態では、中間転写ベルト213の前記転写がなされる面の前記回転方向に沿った周長を、その中間転写ベルト213の回転速度をモータ55の駆動周波数で割った値の整数倍とすることで、第1実施形態と同様の作用・効果が生じる。すなわち、モータ55の振動の影響で中間転写ベルト213に対する各色のトナー像の転写位置が左右方向にずれたとしても、そのずれ方が各色で同様となり、色ずれの発生を良好に抑制することができる。
【0046】
なお、本実施形態において、中間転写ベルト213の代わりに中間転写ドラムを使用してもよい。また、前記各実施形態において、感光体ドラム21の代わりに感光体ベルトを使用してもよい。更に、前記各実施形態では、現像剤として正帯電性非磁性1成分トナーを使用したが、現像剤としては、他の正帯電性トナー,負帯電性トナー,磁性トナー等、各種現像剤を使用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1,100,200…画像形成装置 13…転写搬送ベルト
20…プロセスユニット 21…感光体ドラム
22…帯電器 24…現像カートリッジ
30…スキャナユニット 40…定着器
41…加熱ローラ 42…加圧ローラ
50…板金フレーム 55…モータ
113…中間転写ベルト 213…中間転写ベルト
227…現像ユニット P…用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光手段に露光されることによって表面に静電潜像が形成される静電潜像担持体を複数の異なる色毎にそれぞれ備え、前記各静電潜像担持体の表面に、前記各静電潜像に対応した現像剤像を前記各静電潜像担持体に対応した色の現像剤を用いて形成する画像形成手段と、
前記各静電潜像担持体との各対向位置を通って被記録媒体を搬送することにより、その被記録媒体に前記各静電潜像担持体の表面に形成された現像剤像を重ねて転写する転写搬送手段と、
を備えた画像形成装置であって、
前記画像形成装置の少なくとも一部を駆動するモータを、
更に備え、
隣接する前記各対向位置同士の前記被記録媒体の搬送方向に沿った間隔はそれぞれ等しく、かつ、その間隔は、前記転写搬送手段によって搬送される被記録媒体が前記各対向位置を通る速度を前記モータの駆動周波数で割った値の整数倍であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
露光手段に露光されることによって表面に静電潜像が形成される静電潜像担持体を複数の異なる色毎にそれぞれ備え、前記各静電潜像担持体の表面に、前記各静電潜像に対応した現像剤像を前記各静電潜像担持体に対応した色の現像剤を用いて形成する画像形成手段と、
前記各静電潜像担持体との各対向位置を通って回転駆動されることにより、前記各静電潜像担持体の表面に形成された現像剤像を重ねて転写され、当該重ねて転写された現像剤像を更に被記録媒体に転写する回転体と、
を備えた画像形成装置であって、
前記画像形成装置の少なくとも一部を駆動するモータを、
更に備え、
隣接する前記各対向位置同士の前記回転体の回転方向に沿った間隔はそれぞれ等しく、かつ、その間隔は、前記回転体が前記各対向位置を通る速度を前記モータの駆動周波数で割った値の整数倍であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
露光手段に露光されることによって、複数の異なる色に対応した静電潜像が、色毎に順次表面に形成される静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体の表面に、前記各静電潜像に対応した現像剤像を前記各静電潜像に対応した色の現像剤を用いて形成する画像形成手段と、
前記静電潜像担持体との対向位置を通って少なくとも前記色の数だけ回転駆動されることにより、前記静電潜像担持体の表面に形成された前記各色に対応する現像剤像を重ねて転写され、当該重ねて転写された現像剤像を更に被記録媒体に転写する回転体と、
を備えた画像形成装置であって、
前記画像形成装置の少なくとも一部を駆動するモータを、
更に備え、
前記回転体の前記転写がなされる面の前記回転方向に沿った周長は、前記回転体の回転速度を前記モータの駆動周波数で割った値の整数倍であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−97043(P2013−97043A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237262(P2011−237262)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】