説明

画像形成装置

【課題】自然対流を用いて装置内の熱気を装置外に排出するに際し、排気効率を犠牲にすること無く、装置の見栄えとカバー部材の温度上昇を効率よく抑制可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】装置本体100の内部で発する熱気を装置本体外へ自然対流により排出する排気口27と、装置使用時に開放位置、未使用時に収納位置を占めるように開閉自在であって、収納位置を占めたときに排気口と対面するカバー部材24を備え、カバー部材が収納位置を占めたときに、排気口より下方で、かつ、排気口が形成される装置本体面103に対して直交する、カバー部材の面24aに、カバー部材の上部側に形成された開口部30と連通する外気導入口31を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に装置内で発生する熱気を自然対流で装置外へ排出する排気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器は、機器内部で発生する熱により加熱された熱気を機外へ排出するための排気口を備えている。例えば複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置は、その本体内部に定着装置を備えている。定着装置は加熱源によって加熱される定着部材とそれに対向する対向部材(又は加圧部材)とが互いに接触して定着ニップを形成し、定着ニップへ紙やOHP等の記録媒体を通過させて、その記録媒体上のトナー画像を熱と圧力によって定着している。この種の定着装置を備えた画像形成装置においては、定着装置から発生する熱によって、現像剤収容部内の現像剤が溶融して凝集したり、定着装置の周囲に配設された部材や周辺機器の動作や特性に支障が生じることが懸念されることから、強制排気手段(例えばファン)と排気口を設け、定着装置から生じた熱気を、遮蔽部材で遮蔽しつつ排気口から装置外に排出している。しかし、強制排気手段を備えた画像形成装置においては、強制排気手段から発生する騒音や、強制排気手段の設置スペースにより装置が大型化することから、自然対流を利用し、強制排気手段を設けることなく定着装置から生じた熱気を排気口から装置外に排出する構成が、例えば特許文献1で提案されている。
【0003】
特許文献1では、装置本体正面に形成され、装置内の熱気を排気する排気口と対向した位置で閉止するカバー部材を有し、このカバー部材が閉止状態の時に、排気口と対面するカバー部材の面に、同カバー部材を貫通する複数の外気導入口を形成し、これら外気導入口から外気を導入して、装置上方に設けた開口部より排気する流路を構成し、装置内の熱気を排気口から流路を介して装置外に排出する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置における自然対流を利用した排気構成は、強制排気手段に比べて排気口の配置制限やより多く排気口を設ける必要がある。特に装置本体正面に多くの排気口が形成された装置においては、排気口により外観品質が大きく低下してしまうことから、排気口を見えにくくするためカバー部材で覆うことが想定される。しかし、カバー部材で覆ってしまうと排気効率が低下するとともに、排気口と対向するカバー部材の温度が上昇してしまうという課題がある。
【0005】
特許文献1の排気構造では、排気口との対向側に、外気導入口から上方の開口に向かって外気(空気)が流れる流路がカバー部材で構成され、この流路を介して熱気を装置外に排出するが、流路へ外気(空気)を導入する複数の外気導入口が、カバー部材が閉止状態時の排気口と対面するカバー部材の面に形成されているため、導入時の外気の流れが阻害されやすく、流路内での外気の流れが低減し、排気口から排気される熱気によるカバー部材の温度上昇を充分に低減させることが難しい。
【0006】
本発明は、自然対流を用いて装置内の熱気を装置外に排出するに際し、排気効率を犠牲にすること無く、装置の見栄えとカバー部材の温度上昇を効率よく抑制する画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、装置本体の内部で発する熱気を装置本体外へ自然対流により排出する排気口と、装置使用時に開放位置、未使用時に収納位置を占めるように開閉自在であって、収納位置を占めたときに排気口と対面するカバー部材を備えた画像形成装置であって、カバー部材が収納位置を占めたときに、排気口より下方で、かつ、排気口が形成される装置本体面に対して直交する、カバー部材の面に、カバー部材の上部側に形成された開口部と連通する外気導入口を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カバー部材が収納位置を占めたときに、排気口より下方で、かつ、排気口が形成される装置本体面に対して直交する、カバー部材の面に、カバー部材の上部側に形成された開口部と連通する外気導入口を備えているので、カバー部材によって排気口を覆いつつも、開口部と外気導入口とをつなぐ流路が形成され、カバー部材と装置本体面の間で上昇気流が発生し、このカバー部材と装置本体面の間に外気導入口から外気が導入され、カバー部材と装置本体面の間の流路を上方の開口部に向かって流れる。この際、外気導入口は、従来のように排気口と対面するカバー部材の面には形成されていないので、導入時の流れがスムーズになるため、排気効率を犠牲にすること無く、装置の見栄えとカバー部材の温度上昇を効率よく抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】画像形成装置内の熱排気構成を示す側面視図。
【図3】本発明の主要部となる側面視図の構成と、その機能を説明した側面視図。
【図4】カバー部材を排紙トレイとした画像形成装置の概略構成図。
【図5】排紙トレイが収納位置にあるときの機能を説明する側面視図。
【図6】排紙トレイの構成と装置本体側に形成した排気口との関係を説明する一部破断正面図。
【図7】排紙トレイに形成したリブ部材の構成と導入した外気の流れを示す部分破断斜視図。
【図8】リブ部材と装置本体側に形成した補強リブ部材と排気口の位置関係と外気の流れを説明する正面図。
【図9】リブ部材の端面と装置本体面との間隔を説明する拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態を説明する。本発明の特徴は、自然対流を利用し、装置内部の発熱源となる例えば定着手段から排出される熱で加熱された装置内の熱気を装置外に排出する排気口を備えた機器の一例である画像形成装置において、排気口と対向する位置に、装置使用時に開放、未使用時に閉止する開閉可能なカバー部材を配置すると共に、このカバー部材の収納状態において、排気口より下方でかつ、同排気口が形成される装置本体面と直交するカバー部材の面に、カバー部材の上面に形成した開口部と連通する外気導入口を形成し、いわゆる煙突効果を利用して排気口とカバー部材の間に上昇気流が発生する構成とした。
【0011】
以下、図を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。最初に画像形成装置の全体構成と動作を説明し、そのあとに本発明の特徴部材の構成について説明する。各実施の形態において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すに留め、先の説明との重複説明は省略する。
【0012】
図1は、本発明に係る画像形成装置の一形態であるレーザプリンタの全体構成を側面視した概略図である。レーザプリンタ1(以下、単に「プリンタ1」という)は、記録媒体となる用紙Pを装置本体となるプリンタ本体100の内部に給送する給紙装置2がプリンタ本体100の一端(図1では左側)に配置され、プリンタ本体100の中央に現像剤となるトナーを用いたトナー像を形成する像形成ユニットとしてのプロセスユニット3が配置されている。プロセスユニット3の下方には、トナー像を用紙Pに転写する転写手段としての転写ローラ4と、用紙Pを支持し、所望の搬送方向に促す搬送ガイド5が配置されている。搬送ガイド5は、用紙Pの水平方向へ移動を促し、用紙搬送機能にかかわる、給紙装置2、転写ローラ4を保持する機能も備えている。プロセスユニット3の上方には、プロセスユニット3に対してレーザ光Lを発し、静電潜像を形成する露光装置6が配置されている。
【0013】
プリンタ本体100の他端(図1では右側)にはトナー像を用紙P上に定着させる定着装置7が配置されている。プリンタ1は給紙装置2より用紙Pを一点鎖線で示す経路A上で搬送し、画像形成を行うように構成されている。
【0014】
プロセスユニット3は、露光装置6で静電潜像を形成される像担持体としての感光体ドラム10と、これを中心にして、その周囲に、帯電装置11、現像装置12、クリーニング装置13、図示しない除電装置が配置されており、これらが一体化されて1つのユニットとして構成されている。プロセスユニット3はプリンタ本体100に対して着脱自在に装着されていて、寿命に応じて交換可能とされている。
【0015】
定着装置7は、定着部材としての定着ローラ15と、定着ローラ15に対向する対向部材として加圧ローラ16を有している。定着ローラ15の内部には発熱部材となるヒータ17が配置されている。定着ローラ15と加圧ローラ16は定着装置7の外装を構成する定着カバー18に内包されている。定着カバー18には、用紙Pが搬入される入口部19と、用紙Pが排出される出口部20とが形成されている。入口部19には、定着ローラ15と加圧ローラ16間に形成された定着ニップに用紙Pを案内する入口ガイド21が設けられている。この入口ガイド21の表面にはフッ素コートを施してあり、これにより用紙Pの搬送抵抗を低減するとともに、未定着トナーの飛散によってトナーが付着しても容易にふき取れるように構成されている。出口部20には、用紙Pをプリンタ本体100外に排出すべく案内する排紙ガイド22と、用紙Pを搬送する排紙ローラ23が設けられている。図1において、右方側はプリンタ1の正面側となり、この正面側には、カバー部材24が配置されている。カバー部材24は、その下方に備える支点105により排出口25よりも下方に位置するプリンタ本体100の正面側の下部に開閉自在に支持されており、装置使用時においては実線で示す開放位置におかれ、装置不使用時には2点鎖線で示す収納位置に閉止状態で保持できるように構成されている。
【0016】
本実施形態において、定着ローラ15は、パイプ状の芯金表面にPFA(四弗化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製の離型層を被覆して構成されている。加圧ローラ16は、芯金と、その表面被覆するシリコーンゴム層と、さらにその表面を被覆するPFA(四弗化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製の離型層から成る弾性ローラで構成されている。定着ローラ15と加圧ローラ16は、図示しない付勢手段によって所定の圧力で互いに押圧状態とされていて、各ローラ15,16の圧接部において幅約4mm程度の定着ニップが形成されている。定着ローラ15の表面には、温度検知手段として図示しないサーミスタが接触して配設されており、この検知温度に基づいて定着ローラ15の表面温度が155〜165℃の温度になるようヒータ17の発熱を図示しない制御手段によって制御している。
【0017】
なお、定着装置7は上記構成に限定されるものではない。例えば、定着部材と対向部材の少なくとも一方を無端状ベルトとし、そのベルトをローラ又はパッド等によって相手側に圧接させる構成としてもよい。また、定着部材と対向部材は、互いに圧接する場合に限らず、加圧を行わず、単に接触させるだけの構成とすることも可能である。
【0018】
次に図1を参照して、画像形成動作について説明する。感光体ドラム10の同軸上には図示しない駆動伝達機構が配置されていて、プリンタ本体100に備えられた図示しない駆動装置より感光体ドラム10が動力を得て図1において反時計回りに回転する。帯電装置11は感光体ドラム10につれ回りする帯電ローラであり、図示しない高圧電源より印加される帯電電圧をもって感光体ドラム10の表面を一様に帯電する。表面を一様に帯電された感光体ドラム10は、プロセスユニット3の上方に配置された露光装置6より発せられるレーザ光Lによって露光走査され、静電潜像を担持する。感光体ドラム10上に形成された静電潜像は、現像装置12からトナーが供給されてトナー像化される。感光体ドラム10上に形成されたトナー像は、転写ローラ4との対向位置で給紙装置2によって給送された用紙Pに転写される。詳しくは、感光体ドラム10上のトナー像は、転写ローラ4に図示しない高圧電源から転写バイアスが印加されることによって形成された転写電界の作用により用紙P上に静電的に転写される。
【0019】
トナー像が転写材Pに転写された後、感光体ドラム10上に残留したトナーはクリーニング装置13により除去、収容される。クリーニング後の感光体ドラム10の表面は、図示しない除電装置によって残留電荷が除電される。この除電により、感光体ドラム10の表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0020】
転写ローラ4と感光体ドラム10の間に形成される転写部で用紙Pに転写されたトナー像は、転写ローラ4の(用紙搬送方向)下流側に配置された定着装置7へ搬送される。トナー像を転写された用紙Pは、定着装置7の入口ガイド21によって定着ニップ部に案内され、定着ローラ15、加圧ローラ16によって用紙Pが加圧・加熱されることによりトナー像が定着される。定着された用紙Pは、排紙ガイド22によってプリンタ本体100内部と外部を連通する排紙口25に案内され、排紙口25の手前に配置された排紙ローラ23によってプリンタ本体100外へ排出される。
【0021】
図2を参照して、プリンタ本体100内の熱排気構成について説明する。図2に示すように、プリンタ本体100の底面101には、本体外部から外気(空気)を吸入するための吸気口26が形成されている。プリンタ本体100の正面側に位置する装置本体面となる外装カバー103(図2の右側の面)には、本体内の熱気を外部に排出するための排気口27が形成されている。吸気口26は、定着装置7の入口部19の下方に形成されて配置されていて、プリンタ本体100の下方から外気を吸入する。吸気口26の上方には、吸気口26と連通し、吸気口26から吸入された外気(空気)を定着装置7の入口部19まで案内する流路28Aが形成されている。搬送ガイド5は、定着装置7から離れて配置されており、吸気口26から吸入された外気が搬送ガイド5で遮断されずに搬送ガイド5と定着装置7の間の空隙に形成された流路28Aを通過するように配置されている。
【0022】
排気口27は、定着装置7の上方に位置する外装カバー103に形成されている。プリンタ本体内における定着装置7の上方には、一方が排気口27と連通し、他方が流路28Aと連通する流路28Bに形成されている。
定着装置7とプロセスユニット3との間には、両者の間の空間を遮蔽する熱遮蔽部材29が配置されている(図1も参照)。熱遮蔽部材29は、その途中で屈曲した屈曲部29aを有する板状の部材で構成されている。屈曲部29aは弧状又は円弧状等の滑らかな曲面状に形成されている。熱遮蔽部材29は、定着装置7の入口部19の上方空間を少なくとも覆うように一端29bが配設形成されており、定着装置7の定着カバー18と熱遮蔽部材29との間に、流路28Bを形成している。
【0023】
以下、プリンタ本体内の気流について説明する。図中符号Rを付した矢印はプリンタ1内で発生する気流を示している。定着装置7では、定着ローラ15の温度が155〜165℃で維持されており、その熱によって、プリンタ本体100内、特に定着装置7の周囲に配設されたプロセスユニット3や露光装置6の温度上昇が問題となる。定着ローラ15から生じた熱気は、定着装置7の上方に向かって流れるため、定着装置7の周囲には、熱気の上昇気流によって負圧が生じる。この負圧の発生により、プリンタ1の底面101に設けた吸気口26から外気がプリンタ本体内に吸入される。吸気口26から吸入された外気は、搬送ガイド5と定着装置7との間の流路28Aを通って定着装置7の入口部19まで案内される。
【0024】
この外部からの外気の流入作用により、入口部19から放出される熱気は、熱遮蔽部材29と定着カバー18の間に形成された流路28Bを通って排気口27からプリンタ本体外部へと排出される。詳しくは、定着装置7の入口部19から放出された熱気は、外気と混ざって上昇して熱遮蔽部材29に接触し、熱遮蔽部材29に沿ってその上端部29c側へと案内される。このとき、熱気は熱遮蔽部材29の屈曲部29aによって案内される方向が水平方向に変えられて排気口27へと向かうことになる。
【0025】
上記のように、定着装置7の加熱時の上昇気流によって生じた負圧により、吸気口26から外気を吸入することができるので、排気ファンや冷却ファンなどの強制排気手段を設けなくても、流路28A、28B内の気流Rの流れを良くすることができ、定着装置7の入口部19から放出される熱気を排気口27から排出することができる。
【0026】
次に本発明の特徴的な部分となる排気口27付近の構成およびカバー部材24の構成について図3を参照して説明する。
プリンタ本体100の正面側で開放位置と収納位置へと開閉自在に支持されたカバー部材24は、収納位置で閉止状態とされると、外装カバー103に形成された排紙口25と排気口27を外側から視認不可能とし、プリンタ1の外観品質を向上させている。このとき、排気口27から排出された熱気は、カバー部材24の上方に設けた開口部30より外部に排出していたが、流路28Bが屈曲していることによる排気効率の低下や、排気される熱気によりカバー部材24および外装カバー103の温度上昇が懸念される。
【0027】
そこで、図3に示すように、排気口27に対してカバー部材24の下方で、かつ、排気口27が形成された外装カバー103に隣接して直交するカバー部材24の面(図3では下面)24aに外気導入口31を形成して配置した。排気口27から排出された熱気は上方に流れるため、排気口27近傍には上昇気流によって負圧が生じる。これにより、カバー部材24の下部24aに設けた外気導入口31から外気R1がカバー部材24と外装カバー103の間に導入される。外気導入口31から吸入された外気R1は、カバー部材24の内側面24bと外装カバー103との間でプリンタ本体100の上下方向Hに延在し、上下方向Hに位置する端部が外部に開放された流路280内を通って排気口27まで案内される。そして、この外部からの外気R1の流入作用により、排気口27から放出される熱気は、カバー部材24の上方の開口部30から外部へと排出される。
【0028】
このように、排気口27から排出(放出)される熱気の上昇気流によって生じた負圧により、外気導入口31から空気を吸入することができるので、排気口27近傍での気流の流れを、従来のように例えばカバー部材24の内側面24bを貫通して外気導入口を形成する場合比べて良くすることができ、排気口27から排気される熱気を開口部30から効率良く排気することができる。また、カバー部材24における、排気口27が形成された外装カバー103の面に対して隣接し、直交する面となるカバー部材24の下面24aた外気導入口部31を設けたことから、外装カバー103の外側面に沿って外気R1が流れるため、外装カバー103自体の温度上昇を抑制することができる。
【0029】
すなわち、従来構成を、カバー部材24に適用した場合、流路280と外部とに内側面24bを貫通させて外気導入口部31を形成することになる。この場合でも外気導入口部から外気が吸引されて流路280に導入されるが、流路280に対して直交する方向からの外気の導入になるので、流入方向が略90度変更されることになり、外気導入時の気流の流れが阻害されやすく、流路280内での外気の流れが低減する。このため、排気口27から放出された熱気が開口部30から排気され難くなり、熱が流路280の上部で籠もり易く、熱気によるカバー部材24の温度上昇を充分に低減させることは難しい。
【0030】
しかし、本形態の場合、外気導入口部31と排気部となる開口部30とを両端に有する流路280がプリンタ本体100の正面側で上下方向Hに開口して形成されるので、流路280に導入される外気R1の導入が流路280の延在する方向からになるので、気流の流れが従来のように変更されることがなく、外気導入時の外気の流れに対する阻害要素が低減する。このため、流路280内での気流の流れをスムーズにすることができ、排気口27から排気される熱気によるカバー部材24の温度上昇だけでなく、外装カバー103の温度も充分に低減することができる。
【0031】
次に、カバー部材24を排紙トレイ32とした画像形成装置100Aの形態について図4を用いて説明する。図4に示す画像形成装置100Aは、排紙トレイ32以外は図1の画像形成装置100と同一構成である。
【0032】
図4に示す排紙トレイ32は、その下方に備える支点105により排出口25よりも下方に位置するプリンタ本体100の正面側の下部に開閉自在に支持されており、装置使用時においては実線で示す開放位置におかれ、装置不使用時には2点差線で示す収納位置に閉止状態で保持できるように構成されている。排紙トレイ32は、閉止状態となると、不使用時の装置設置面積を限し、かつ装置正面側に位置する外装カバー103に形成した排紙口25、排気口27を視認不可能とし、装置の外観品質を向上させている。
【0033】
排紙トレイ32には、実線で示す開放位置において、支点105側から排紙方向Bに延在するリブ部材となる搬送リブ33が設けられている。搬送リブ33は、排紙トレイ32が収納位置をしめたときに排気口27との対向面となる内側面32bに、内側面32bから突出して形成されている。この搬送リブ33を設けることにより、排紙口25から排出されて排紙トレイ32上で搬送される用紙Pの接触抵抗を低減することが可能となるため、排紙をスムーズに行うことができる。また排紙トレイ32と排出された用紙Pとの間に搬送リブ33の高さh分の空間を構成できるので、用紙Pのハンドリング性も向上する。
【0034】
次に、図4で説明した排紙トレイ32の閉止状態における気流の流れについて図5を参照して説明する。図中符号Rで印す矢印はプリンタ本体100内で発生する気流を示している。
先のカバー部24同様、排紙トレイ32には、排気口27、本体側に位置する外装カバー103に形成した排紙口25に対して下方、かつ、排気口27が構成される外装カバー103の面に対して隣接し、直交する面となる下面32aに外気導入口31を設けている。これにより排気口27の正面に、排紙トレイ32の内側面32bと外装カバー103の間でプリンタ本体100の上下方向Hに延在し、上下方向Hに位置する端部が外部に開放された流路280が構成されるので、排気口27から排出された熱気により流路280内に上昇気流が発生する。この上昇気流により排気口27から排出された熱気は効率よく外部に排出することができる。
【0035】
このように、排気口27から排出(放出)される熱気の上昇気流によって生じた負圧により、外気導入口31から空気を吸入することができるので、排気口27近傍での気流の流れを、従来のように例えば排紙トレイ32の内側面32bを貫通して外気導入口を形成する場合比べて良くすることができ、排気口27から排気される熱気を開口部30から効率良く排気することができる。また、排紙トレイ32における、排気口27が形成された外装カバー103の面に対して隣接し、直交する面となる排紙トレイ32の下面32aに開口を形成して外気導入口部31を設けたことから、外装カバー103の外側面に沿って外気R1が流れるため、外装カバー103自体の温度上昇を抑制することができる。加えて、定着装置7によって熱せされた用紙Pに接触することで温度が上昇した排紙ローラ22や図示しないその近傍に備えた部材の近傍においても、外気導入口部31から導入された外気R1が流れるので、これら部材の温度上昇も抑制することができる。
【0036】
ところで、排気口27は、図6に示すように、プリンタ本体100の上下方向Hに複数個を一列にしたものが、装置幅方向となるプリンタ本体100の幅方向Cに複数列配置されて構成されている。また、排紙トレイ32に設けた搬送リブ33は、支点105側から排紙方向Bに延在するので、排紙トレイ32の閉止状態においては、プリンタ本体100の上下方向Hに延在する。また、搬送リブ33はプリンタ本体100の幅方向Cに間隔Wをもって複数並列に配置されているので、排紙トレイ32を閉止状態とすると、外気導入口部31と開口部30を連通する流路280が幅方向Cに区画されることとなる。このため、図7に示すように、外気導入口部31から導入される外気R1が搬送リブ33の間を通過して排気口27の前を通って開口部30へと流れる。このため、搬送リブ33のないものに比べて整流作用を得られて気流の流れがスムーズになり、より効率的に排気口27からの熱気を外部に排出することができる。よって、排紙トレイ32や外装カバー103および、排紙ローラ22周辺の部材の温度上昇を効果的に低下することができる。また、搬送リブ33は、並列配置されて隣接する排気口27と排気口27の間の非開口部103aと対向するように配置している。このため、上昇気流を排気口27に効率よく発生させることができ、かつ排気口27の開口上に搬送リブ33が位置しなくなるので、排気効率を低下させることが少ない。
【0037】
また、図5、図6において各搬送リブ33は、上下方向Hへの長さを同一とするとともに、上下方向Hの同一の範囲内に配置したが、このような形態に限定されるものではない。たとえば、図8に示すように、縦に列設された排気口27と排気口27の間の非開口部103aと対向する部分に搬送リブ33よりも上下方向Hへの長さが短いリブ部材となる搬送リブ34を搬送リブ33と交互に配置する。
【0038】
このような構成とすると、排気口27近傍において搬送リブの総数が増えて、流路280が排気口27近傍において細分化されるので、排気口27近傍での流速を増大することができ、さらに排気効率を高めることができる。また、搬送リブ34を追加することは、リブ形状および排紙トレイ32で構成される流路280の断面積が一定条件とすると、隣接するリブ形状の間隔Wが狭化されるので、幅方向Cにおいて隣接する排気口27と排気口27に対向する排紙トレイ32の内側面32bとを離間することできるので、排気効率を低下させることなく、排紙トレイ32の温度上昇をより効率的に抑制することができる。
【0039】
本形態では、長さ(全長)の異なる搬送リブ33,34を幅方向Cに並列に配置したが、隣接するリブ形状の間隔Wの狭化という点においては、同一の長さの搬送リブ33を幅方向Cに並列に配置しても実現することができる。この場合、同一形状の部材となるので、排紙トレイ32と搬送リブ33とを一体成型する場合には加工性がよくなる。また、排紙トレイ32と搬送リブ33とを個別に形成した後に一体化する場合では異形の搬送リブの数の低減につながるので加工性が向上する。
【0040】
図8では、排出口27と対面する排紙トレイ32の内側面32bに搬送リブ34を形成したが、外装カバー103における排出口27と排出口27との間の非開口部103aに搬送リブ34を、排出口27近傍の外装カバー103の補強リブ部材として形成してもよい。
【0041】
なお、搬送リブ33、34の構成は、排紙トレイ32に限定されるものではなく、カバー部材24に適用しても、排紙トレイ32の場合と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 画像形成装置
24 カバー部材
24a、32b カバー部材の直交する面
24b、32b 排気口と対向する面
25 排紙口
27 排気口
32 排紙トレイ(カバー部材)
30 開口部
31 外気導入口
33 複数のリブ部材
34 補強リブ部材
100 装置本体
103 装置本体面
103a 排気口と排気口の間
C 装置幅方向
H 装置上下方向
P 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】特開平8−129280号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の内部で発する熱気を装置本体外へ自然対流により排出する排気口と、装置使用時に開放位置、未使用時に収納位置を占めるように開閉自在であって、前記収納位置を占めたときに前記排気口と対面するカバー部材を備えた画像形成装置であって、
前記カバー部材が収納位置を占めたときに、前記排気口より下方で、かつ、前記排気口が形成される装置本体面に対して直交する、前記カバー部材の面に、前記カバー部材の上部側に形成された開口部と連通する外気導入口を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記カバー部材は、収納位置において前記排気口と対向する面に、装置上下方向に延在する複数のリブ部材を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記排気口は、装置幅方向に並列するように前記装置本体面に形成されていて、
前記リブ部材は、並列配置されて隣接する前記排気口と排気口の間に配置するように前記カバー部材に形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記排気口は、装置幅方向に並列するように前記装置本体面に複数形成されていて、
前記装置本体面は、隣接する前記排気口と排気口の間には補強リブ部材を有し
前記リブ部材は、前記カバー部材が収納位置を占めたときに、前記補強リブ部材の間に位置するように前記カバー部材に形成されていることを特徴する画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1項に記載の画像形成装置において、
前記排出口よりも下方には、記録媒体を装置本体外へ排紙する排紙口を有し、
前記カバー部材は、同カバー部材を開閉自在に支持する支点が前記排紙口よりも下方に配置されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−97061(P2013−97061A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237661(P2011−237661)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】