説明

画像形成装置

【課題】リーク電流による感光体ドラムの絶縁破壊を防止し、それによる印刷不良を防ぐこと。
【解決手段】制御部41は、搬送ベルト243が用紙Pを搬送していないとき、通常用いられる予め定められた第1電圧より低く、搬送ベルト243に穴等の欠損部が存在し、転写ローラー244に電圧が連続印加されたときにその欠損部においてリーク電流が流れる第2電圧を転写ローラー244に間欠印加させる制御を電源51に対して行う。そして、制御部41は、電源51が第2電圧を間欠印加している間、電流検知部52から電流の検知結果を取り込む。閾値以上の電流値が検知された場合、制御部41は転写電圧を第2電圧より低い第3電圧に変更する制御を電源51に対して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に形成されたトナー像を用紙に直接転写する直接転写方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周面にレーザー光が照射されて静電潜像が形成される感光体ドラムと、感光体ドラムの周面にトナーを供給して静電潜像をトナー像化する現像装置を有し、感光体ドラムに形成されたトナー像を直接用紙に転写させることによって用紙に画像を形成する画像形成装置が知られている。
【0003】
このような直接転写方式の転写装置は、感光体ドラムの周面に接触してニップ部を形成し、そのニップ部に向けて用紙を搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトを挟んで感光体ドラムと対向配置される転写ローラーを備える。そして、トナーの帯電極性と逆極性の電圧を転写電圧として転写ローラーに与えることで、搬送ベルトによって運ばれた用紙にトナー像を静電的に移動させて転写を行っている。
【0004】
このような装置において、搬送ベルト上に著しく電流が流れやすい部分、つまり穴などの欠損部が存在すると、転写電圧の印加時に転写ローラーから感光体ドラム等にリーク電流が流れる。リーク電流が流れる状態のまま画像形成を続けていると、感光体ドラムの周面に絶縁破壊が起こりやすい。絶縁破壊された部分はトナー像が正常に形成されず、画像抜け等の印刷不良が発生し、画像品質の低下を招いていた。
【0005】
そこで、特許文献1には、転写電圧電極部材を少なくとも2層構造にし、ベルトと接触する側にある一方の層の表面層の体積固有抵抗を他方の層の体積固有抵抗より高くすることで、転写電圧電極部材の表面層の抵抗により転写ベルトの欠陥部へ電流が集中して流れることを抑制し、異常リークが発生するのを防いだベルト転写装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−152789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の場合、転写電圧電極部材の構成が複雑になる上、大きな環境変動があったときは完全に対応しきれない懸念がある。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、リーク電流による感光体ドラムの絶縁破壊を防止し、それによる印刷不良を防ぐ画像形成装置を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による画像形成装置は、周面にトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体の周面に接触してニップ部を形成し、当該ニップ部に向けて用紙を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を挟んで前記像担持体に対向配置され、前記ニップ部に搬送された用紙に前記像担持体が担持するトナー像を転写する転写手段と、前記転写手段に電圧を印加するものであり、前記像担持体が担持するトナー像を前記ニップ部にて用紙に転写する際に予め定められた第1電圧を転写電圧として印加する印加手段と、前記印加手段から前記転写手段に流れる電流を検知する検知手段と、前記印加手段の印加電圧を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記搬送手段が用紙を搬送していないとき、前記第1電圧より低く、前記搬送手段に欠損部が存在する場合に当該欠損部を介して前記転写手段と前記像担持体の間にリーク電流が流れる第2電圧を前記印加手段に印加させ、この間、前記検知手段が予め定められた値より高い電流値を検知した場合、前記転写電圧を前記第2電圧より低い第3電圧に変更させるものである。
【0010】
転写手段と像担持体の間に予め定められた値より高い電流が流れたことを検知手段が検知したとき、それは、搬送手段に存在する穴等の欠損部を介してリーク電流が流れたことを示す。つまり、上記構成によって、搬送手段の欠損部を検出することができる。
【0011】
そして、印加手段から転写手段に予め定められた値より高い電流が流れたことを検知手段が検知した場合、つまり搬送手段の欠損部が検出された場合、制御手段が欠損部を介してリーク電流が流れ始る第2電圧より低い第3電圧に転写電圧を変更することで、リーク電流の発生を抑えることができる。つまり、像担持体の絶縁破壊を防ぎ、絶縁破壊による印刷不良も防ぐことができる。
【0012】
また、上記構成において、前記制御手段は、前記第2電圧を間欠的に印加させる制御を前記印加手段に対して行うものである。
【0013】
仮に搬送手段に欠損部がある場合、リーク電流が流れ始める第2電圧を継続的に搬送手段に印加すると放電が発生して危険な状態となり、部品破損を起こしかねない。そこで、印加手段が第2電圧を間欠的に印加することによって、放電を回避、又は最小限に抑えつつ、リーク電流を検知することで欠損部の検出を行うことができる。
【0014】
また、上記構成において、前記印加手段が前記第2電圧を間欠的に印加している間に前記検知手段が前記予め定められた値より高い電流値を検知した際、その旨を報知する報知手段を更に備えることが望ましい。
【0015】
一般的に搬送手段は、例えばシリコーン等で表面がコーティングされたポリイミド樹脂等の耐熱性を有する合成樹脂材料やゴム素材等によって構成される。更に、装置内の熱等によって搬送手段は経年変化を起こしやすい。そこで、検知手段が転写手段と像担持体の間に予め定められた値より高い電流を検知した場合、つまり搬送手段の欠損部が検出された場合、報知手段がその旨を報知することによって、ユーザーは搬送手段の状態を即座に確認してメンテナンスの対処ができる。そして、像担持体の絶縁破壊が起こる前に搬送手段を交換することができるため、像担持体の破損を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、搬送手段の欠損部を検出することができる。更に、検出後、制御手段がリーク電流の流れ始める第3電圧より低い第4電圧に転写電圧を変更することで、搬送手段の欠損部に流れるリーク電流を抑えることができる。つまり、像担持体の絶縁破壊を防ぎ、絶縁破壊による印刷不良も防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】画像形成装置の内部構成を概略的に示す図。
【図2】感光体ドラムと転写搬送部の構成を簡単に示した図。
【図3】制御部によるリーク電流の検知と転写電圧の変更処理の流れを示したフローチャート。
【図4】第1電圧の波形を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。尚、本実施の形態においては、画像形成装置として直接転写方式のプリンターを例に説明するが、本発明は、複写機、ファクシミリ、各種機能を備えた複合機にも適用可能である。
【0019】
図1は、本実施の形態における画像形成装置1の内部構成を概略的に示す図である。画像形成装置1は、筐体18と、用紙に画像を印刷する本体部12と、本体部12の上方に配設され、本体部12で画像が印刷された用紙が排出される用紙排出部14で構成されている。また、画像形成装置1の前面には、液晶ディスプレイ等からなる表示部(報知手段)61が備えられている。表示部61は、後述する制御部による制御に従って、各種メッセージを表示する。
【0020】
本体部12は、筐体18内の下部に配設された給紙カセット20と、筐体18内の上部に配設された画像形成部22と、筐体18内における画像形成部22の下方に配設された転写搬送部24と、筐体18内における転写搬送部24の用紙の搬送方向下流側に配設された定着ユニット26と、給紙カセット20と転写搬送部24との間に配設された第1搬送路28と、定着ユニット26と用紙排出部14との間に配設された第2搬送路30を備えている。
【0021】
給紙カセット20は、画像がプリントされる多数枚の用紙Pを積層状態で貯留するもので、筐体18の外部に引き出すことで用紙Pの補給が可能である。給紙カセット20内の用紙Pは、図略の給紙ローラーにより1枚ずつ第1搬送路28側に繰り出される。
【0022】
画像形成部22は、時計方向に回転する感光体ドラム(像担持体)225と、感光体ドラム225の周面に対向して配設された帯電部226と、帯電部226の回転方向下流側であって感光体ドラム225の周面に対向して配設された露光部227と、露光部227の下流側であって感光体ドラム225の周面に対向して配設された現像部228と、現像部228の下流側であって感光体ドラム225の周面に対向して配設されたクリーニング部229とを備えている。また、感光体ドラム225の周面の下方位置には、転写ベルト243を挟んで転写ローラー244が対向配置され、ニップ部230が形成されている。
【0023】
転写搬送部24は、従動ローラー241、駆動ローラー242、従動ローラー241と駆動ローラー242とに跨って配設された無端状の転写ベルト(搬送手段)243、感光体ドラム225の下方位置において転写ベルト243を挟んで感光体ドラム225に圧接可能に配設された転写ローラー(転写手段)244、ニップ部230より転写ベルト243の回転方向(矢印A方向)下流側に配置されたブレード246を備えている。
【0024】
転写搬送部24は、第1搬送路28から搬送されてきた用紙Pを、図略の駆動モータにより矢印A方向に回転する転写ベルト243上に静電吸着して下流側に搬送する。このとき、ニップ部230の位置において、用紙Pに感光体ドラム225が担持するトナー像が転写される。転写ベルト243は、例えばシリコーン等で表面がコーティングされたポリイミド樹脂等の耐熱性を有する合成樹脂材料やゴム素材等により構成されている。
【0025】
ブレード246は、転写ベルト243上の残トナー等の付着物を掻き取るためのもので、転写ベルト243の幅方向寸法と略同等の長さであって、その先端部が常に転写ベルト243表面に当接した状態で配設されている。
【0026】
定着ユニット26は、トナー像が転写された用紙Pを加熱することにより該トナー像を用紙Pに定着させる処理を行う。定着ユニット26は、ヒーターが内蔵された定着ローラー262と、定着ローラー262に圧接して配設された加圧ローラー263を備えている。
【0027】
第1搬送路28は、給紙カセット20から繰り出されてきた用紙Pを転写搬送部24側に搬送するものであり、所定位置に配設された複数の搬送ローラー対281と、転写搬送部24の手前に配設され、画像形成部22の画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取るためのレジストローラー対282とを備えている。これらの複数の搬送ローラー対281とレジストローラー対282とは、図略の駆動モータによりそれぞれ回転駆動される。
【0028】
第2搬送路30は、定着ユニット26で定着処理された用紙を用紙排出部14に搬送するものであり、所定位置に複数の搬送ローラー対301が配設されると共に、出口側に排出ローラー対302が配設されている。これらの搬送ローラー対301及び排出ローラー対302は、図略の駆動モータによりそれぞれ回転駆動される。用紙排出部14は、筐体18の上面に凹所を設けて形成されたもので、第2搬送路30から搬送されてきた定着処理後の用紙Pが順次排出される。
【0029】
このように構成された画像形成装置1は、外部接続されたパーソナルコンピュータ等の外部装置から用紙サイズ情報、プリント部数情報等の種々のプリント情報を含むプリント指示信号とプリントすべき画像を示すジョブデータとが送信されてくると、次のように動作する。
【0030】
まず、帯電部226が感光体ドラム225の周面に静電領域を形成し、この静電領域が露光部227から出射されるレーザー光により露光されることでジョブデータに基づく静電潜像が形成される。そして、現像部228がトナーを供給することで静電潜像が現像され、トナー像が形成される。また、定着ローラー262には、図略の電圧供給回路により内蔵ヒーターに電圧が印加されて通電し、定着ローラー262の表面が定着可能温度になるように加熱制御される。
【0031】
一方、給紙カセット20から指定サイズの用紙Pが繰り出され、第1搬送路28によりレジストローラー対282の手前にまで搬送され、一旦停止される。そして、用紙Pは、画像形成部22の画像形成動作とのタイミングが図られたうえで転写搬送部24に搬送され、画像形成部22が用紙Pにトナー像を転写する。
【0032】
トナー像が転写された用紙Pは、定着ユニット26内に搬送され、定着ローラー262により加熱されつつ定着ローラー262と加圧ローラー263とで挟持されて下流側に搬送され、第2搬送路30により用紙排出部14に排出される。トナー像を用紙Pに転写した感光体ドラム225は、クリーニング部229で表面に残留したトナーが除去される。この動作が順次繰り返されて、所定枚数の用紙Pに対するプリントが実行される。
【0033】
図2は、感光体ドラム225と転写搬送部24の構成を簡単に示した図である。上記したように、転写ローラー244は、転写ベルト243が感光体ドラム225に押圧された状態になるように、転写ベルト243に接触している。そして、転写ローラー244は、転写ベルト243に接触したまま、転写ベルト243の無端回転に従属して回転する。
【0034】
電源(印加手段)51は、トナーTの帯電極性とは逆極性である転写電圧を転写ローラー244に印加する。これにより、感光体ドラム225の周面のトナーTが、感光体ドラム225と転写ローラー244との間のニップ部230で用紙Pに静電的に移動する。つまり、感光体ドラム225に形成されたトナー像は、矢印A方向に周回する転写ベルト243によって搬送される用紙Pに転写される。
【0035】
電流検知部(検知手段)52は、電源51と転写ローラー244の間に電源51と直列接続され、電源51から転写ローラー244に電圧が印加されたときに転写ローラー244と感光体ドラム225の間に流れる電流を検知する。また、電流検知部52は、検知結果を後述する制御部41へ出力する。
【0036】
制御部(制御手段)41は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等によって構成され、画像形成装置1を構成する各機能部への指示信号の出力、データ転送等を行って画像形成装置1を統括的に制御するものである。また、制御部41は、電流検知部52から検知結果を取り込み、検知結果に応じて転写電圧を変更する制御を電源51に対して行う。また、表示部61に対して、所定のメッセージ等を表示させる等の表示制御を行う。
【0037】
搬送ベルト243に経年変化や放電等によって穴等の欠損部が形成されると、その欠損部を介して搬送ローラー224と感光体ドラム225との間にリーク電流が流れる。この状態のまま画像形成を続けていると、感光体ドラム225の周面に絶縁破壊が起こる可能性がある。絶縁破壊された部分はトナー像が正常に形成されず、画像抜け等の印刷不良が発生し、画像品質の低下を招いていた。
【0038】
そこで、画像形成前等の搬送ベルト243が用紙Pを搬送していないときに、搬送ベルト243に欠損部のない正常時に電源51が転写ローラー244に印加される予め定められた第1電圧より低い第2電圧を間欠的に印加する。そして、このときに転写ローラー244と感光体ドラム225の間に流れる電流を電流検知部52が検知する。電流検知部52が予め定められた値以上の電流値を検知した場合、リーク電流が流れていると判断し、制御部41は画像形成時の転写電圧を可変させる制御を電源51に対して行う。
【0039】
図3は、制御部41によるリーク電流の検知と転写電圧の変更処理の流れを示したフローチャートである。まず、制御部41は、搬送ベルト243が用紙Pを搬送していないとき(画像形成前後、電源投入時等)、通常用いられる予め定められた第1電圧より低く、転写ローラー244に連続印加されたときに搬送ベルト243の欠損部においてリーク電流が流れる第2電圧を間欠的に印加させる(ステップS11)。第2電圧は転写ローラー244から感光体ドラム225の周面にリークが発生しても、感光体ドラム225の周面に絶縁破壊が発生しない電圧である。
【0040】
図4は、第2電圧V1の波形を示した図であり、縦軸は電圧、横軸は時間となっている。一般的には、第1電圧VTC=3kV、第2電圧V1=2.5kV前後、リーク電圧V2=2.1kV前後となる。制御部41は、電源51にパルス間隔1msの電圧V1を間欠的に発生させる。電圧V1を連続印加すると、搬送ベルト243に欠損部が存在した場合に放電が発生し、感光体ドラム225等の周辺部品の破壊を招く恐れがある。この放電を回避、又は最小限に抑えるために、制御部41は第2電圧V1を間欠的に印加させる。
【0041】
尚、画像形成装置1の設置環境(温度、湿度及び気圧)によって、搬送ベルト243の欠損部にリーク電流が流れ始めるリーク電圧V2は変化する。従って、リーク電圧V2の変化に伴って、第2電圧V1も変化させることが好ましい。例えば、制御部41は異なる複数の環境条件に対応付けて第2電圧V1及びリーク電圧V2の組み合わせを複数記憶しており、サービスマンが画像形成装置1の設置時に何れの第2電圧V1及びリーク電圧V2を採用するかを設定するようにしてもよい。
【0042】
図3に戻る。制御部41は、電源51が第2電圧V1を間欠印加している間、電流検知部52から電流の検知結果を取り込み、閾値以上の電流が流れたか否かを判断する(ステップS12)。閾値以上の電流値が検知された場合(ステップS12;YES)、制御部41は用紙Pへのトナー像転写に用いる転写電圧を第2電圧V1より低い第3電圧に変更する制御を電源51に対して行う(ステップS13)。搬送ベルト243の欠損部においてリーク電流が流れる第2電圧V1以下の電圧に転写電圧を変更することで、欠損部においてリーク電流が流れることを防ぐことができる。
【0043】
また、リーク電圧V2より低く、画像濃度が極端に低下しない程度の第4電圧を制御部41が有する記憶部(不図示)に予め記憶しておき、ステップS13において、電圧V1を第4電圧に変更してもよい。また、電圧V1及びリーク電圧V2と同様に、制御部41は異なる複数の第4電圧を記憶し、サービスマンが画像形成装置1の設置時に何れの第4電圧を採用するかを設定するようにしてもよい。これにより、搬送ベルト243の欠損部において転写ローラー244からリーク電流が流れることをより確実に防ぐことができる。
【0044】
更に、制御部41は、搬送ベルト243に欠損部が検出された旨を知らせるエラーメッセージを表示部61に表示させる(ステップS14)。尚、制御部41は、表示部61にエラーメッセージを表示させる他に、警告音や発光ダイオード等の発光素子による点灯によってユーザーに搬送ベルト243の異常を報知するようにしてもよい。
【0045】
以上、説明したように、搬送ベルト243が用紙Pを搬送していないとき、制御部41は、転写ローラー244に連続印加されたときに搬送ベルト243の欠損部においてリーク電流が流れ始めるリーク電圧V2より高い電圧であって、正常状態の搬送ベルト243にはほとんどリーク電流が流れない電圧V1を電源51に間欠印加させ、この間に感光体ドラム225に向けて流れる電流を電流検知部52が検知することにより、搬送ベルト243の欠損部を検出することができる。
【0046】
そして、電源51が電圧V1を間欠印加している間に電流検知部52が閾値以上の電流を検知した(搬送ベルト243に欠損部が存在する)場合、制御部51は転写電圧をリーク電圧V2より低い第3電圧(又は第4電圧)とすることで、画像濃度は低下するが欠損部に流れるリーク電流を抑えることができ、感光体ドラム225の絶縁破壊を防ぐことができる。
【0047】
更に、制御部51が表示部61に対して搬送ベルト243に欠損部が存在する旨のエラーメッセージを表示させることにより、ユーザーは搬送ベルト243の状態を即座に確認してメンテナンスの対処が連絡でき、感光体ドラム225の絶縁破壊が起こる前に搬送ベルト243を交換することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 画像形成装置
225 感光体ドラム
243 搬送ベルト
244 転写ローラー
41 制御部
51 電源
52 電流検知部
61 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面にトナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体の周面に接触してニップ部を形成し、当該ニップ部に向けて用紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段を挟んで前記像担持体に対向配置され、前記ニップ部に搬送された用紙に前記像担持体が担持するトナー像を転写する転写手段と、
前記転写手段に電圧を印加するものであり、前記像担持体が担持するトナー像を前記ニップ部にて用紙に転写する際に予め定められた第1電圧を転写電圧として印加する印加手段と、
前記印加手段から前記転写手段に流れる電流を検知する検知手段と、
前記印加手段の印加電圧を制御する制御手段と、
を備え、前記制御手段は、前記搬送手段が用紙を搬送していないとき、前記第1電圧より低く、前記搬送手段に欠損部が存在する場合に当該欠損部を介して前記転写手段と前記像担持体の間にリーク電流が流れる第2電圧を前記印加手段に印加させ、この間、前記検知手段が予め定められた値より高い電流値を検知した場合、前記転写電圧を前記第2電圧より低い第3電圧に変更させる制御手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第2電圧を間欠的に印加させる制御を前記印加手段に対して行うものである請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印加手段が前記第2電圧を間欠的に印加している間に前記検知手段が前記予め定められた値より高い電流値を検知した際、その旨を報知する報知手段を更に備える請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−97085(P2013−97085A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238230(P2011−238230)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】