説明

画像形成装置

【課題】装置の大型化を抑制しつつ、複数個の感光体を同時に交換できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1カバー11は各露光手段39が一体的に変位可能に組付けられ、第1開口部91を閉鎖した場合に各露光手段39を各感光体40に対向させる一方、第1開口部91を開放した場合に各露光手段39を各感光体40から離間させ、各現像手段31を装置本体に対して第1開口部91を介して着脱可能とする。連動機構100は、第1カバー11が第1開口部91を開放した場合、又は第1カバー11が第1開口部91を開放した状態で第2カバー12が第2開口部92を開放した場合、各現像手段31を転写面50Aに対し略直交する方向に変位させて各感光体40から離間させる。感光体保持ユニット41は連動機構100が各現像手段31を各感光体40から離間させた後、第2カバー12により開放された第2開口部92を介して装置本体に対して着脱可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像形成装置の例が開示されている。この画像形成装置は、シートを搬送する搬送経路が設けられた装置本体と、装置本体内において搬送経路の途中に設けられ、略水平な転写面を有して循環する転写ベルトと、装置本体内において転写面に対して上方から対向するように設けられ、転写面の長手方向に並ぶ4個のトナー像形成部とを備える。各トナー像形成部は、感光体及び現像手段等がユニット化されたものである。特許文献1の図1等において、トナー像形成部は符号430により図示され、感光体は符号431により図示されている。
【0003】
また、この画像形成装置は、装置本体内において各感光体の上方に設けられ、各感光体に潜像を形成する4個の露光用LEDヘッドと、装置本体の上面に開口して、各トナー像形成部を装置本体から露出させる上面側開口部と、装置本体に上面側開口部を開閉可能に設けられたトップカバーとを備える。
【0004】
トップカバーには、各露光用LEDヘッドが一体的に変位可能に組み付けられている。そして、トップカバーは、上面側開口部を閉鎖した場合には、各露光用LEDヘッドを各感光体に対向させる。その一方、トップカバーは、第1開口部を開放した場合には、各露光用LEDヘッドを各感光体から離間させて、各トナー像形成部を装置本体に対して上面側開口部を介して着脱可能とするようになっている。詳細に述べると、各トナー現像部を第1開口部から着脱する場合、各トナー現像部と各露光用LEDとが干渉してしまうので、各露光用LEDヘッドを各感光体から離間させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−65125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の画像形成装置は、ユニット化されたトナー像形成部に対して、感光体を分離して交換することができないようになっている。このような上記従来の画像形成装置について、メンテナンス性向上のため、各感光体を一体的に保持する感光体保持ユニットを設けて、その感光体保持ユニットを装置本体に対して交換可能とする構成を採用することが考えられる。しかしながら、この場合、感光体保持ユニットを装置本体から取り外す際に感光体保持ユニットがトナー像形成部を構成する現像手段等と干渉しないように、現像手段等を移動させるなどの手段を採用することが考えられる。しかしながら、予め、双方の間に充分な空きスペースを確保しなければならない。その結果、装置が大型化してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、装置の大型化を抑制しつつ、複数個の感光体を同時に交換できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、シートを搬送する搬送経路が設けられた装置本体と、
前記装置本体内において前記搬送経路の途中に設けられ、搬送される前記シートの幅方向に延在する平面である転写面を有して循環する転写ベルトと、
前記装置本体内において前記転写面に対向するように設けられ、前記転写面と平行であり、かつ前記幅方向と直交する長手方向に並ぶ複数個の感光体と、
前記装置本体内に設けられ、各前記感光体を一体的に保持する感光体保持ユニットと、
前記装置本体内において各前記感光体に対応して設けられ、各前記感光体に潜像を形成する複数個の露光手段と、
前記装置本体内において各前記感光体に対応して設けられ、各前記感光体に形成された前記潜像を現像する複数個の現像手段と、
前記装置本体に形成され、前記転写面に対して略直交する方向に向かって開口して、各前記現像手段を前記装置本体から露出させる第1開口部と、
前記装置本体に前記第1開口部を開閉可能に設けられ、各前記露光手段が一体的に変位可能に組み付けられ、前記第1開口部を閉鎖した場合には各前記露光手段を各前記感光体に対向させる一方、前記第1開口部を開放した場合には各前記露光手段を各前記感光体から離間させて、各前記現像手段を前記装置本体に対して前記第1開口部を介して着脱可能とする第1カバーと、
前記装置本体に形成され、前記長手方向に向かって開口する第2開口部と、
前記装置本体に前記第2開口部を開閉可能に設けられた第2カバーと、
前記第1カバーが前記第1開口部を開放した場合、又は前記第1カバーが前記第1開口部を開放した状態で前記第2カバーが前記第2開口部を開放した場合、各前記現像手段を前記転写面に対して略直交する方向に変位させて各前記感光体から離間させる連動機構とを備え、
前記感光体保持ユニットは、前記連動機構が各前記現像手段を各前記感光体から離間させた後、前記第2カバーにより開放された前記第2開口部を介して、前記装置本体に対して着脱可能となることを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置では、第1カバーが第1開口部を開放した場合、又は、第1カバーが第1開口部を開放した状態で第2カバーが第2開口部を開放した場合、連動機構が各現像手段を転写面に対して略直交する方向に変位させて各感光体から離間させる。そして、感光体保持ユニットは、連動機構が各現像手段を各感光体から離間させた後、第2カバーにより開放された第2開口部を介して、装置本体に対して着脱可能となる。すなわち、第1カバーが第1開口部を開放することにより、各現像手段が装置本体から露出するので、各現像手段の上方に空きスペースが確保される。また、第1カバーが第1開口部を開放すること、又は第1カバーが第1開口部を開放した状態で第2カバーが第2開口部を開放することにより、各現像手段がその空きスペースに退避する。このため、第2カバーにより開放された第2開口部を介して、感光体保持ユニットを装置本体に対して着脱する際に、感光体保持ユニットが退避した現像手段に干渉し難くなり、予め、双方の間に充分な空きスペースを確保する必要がない。
【0010】
したがって、本発明の画像形成装置は、装置の大型化を抑制しつつ、複数個の感光体を同時に交換できる。また、この画像形成装置は、シートが転写面上で詰まった場合、感光体保持ユニットを装置本体から取り外すことにより、詰まったシートを取り除き易い。
【0011】
本発明の画像形成装置において、転写面は略水平に延在し、第1開口部は装置本体の上面に開口し、第2開口部は装置本体の側面に開口していることが望ましい。このような具体的構成によれば、本発明の作用効果を確実に享受できる。
【0012】
本発明の画像形成装置において、搬送経路における転写面より下流側は、第2開口部とは反対側の側面に向かって進んだ後、上向きにUターンし、さらに第2開口部に向かって進んでシートを装置本体から排出するように構成されていることが望ましい。この構成によれば、シートの取り出しと、感光体保持ユニットの着脱とを同じ側面から行えるので、利便性が向上する。
【0013】
本発明の画像形成装置において、連動機構は、各現像手段に設けられた複数個の被案内部と、装置本体内において各被案内部に対応して設けられ、被案内部と係合する複数個の案内部と、装置本体内において長手方向に移動可能に設けられた第1直動カム機構と、第2カバーと第1直動カム機構とを連結し、第2カバーの開閉動作に連動して第1直動カム機構を長手方向に往復動させる第1連結機構とを有することが望ましい。そして、各被案内部及び各案内部は、各現像手段を上下方向に移動可能に案内し、第1カバーが第1開口部を開放した場合には被案内部が案内部に対して離間可能となることが望ましい。また、第1直動カム機構は、各現像手段に対して転写面側から摺接する複数個のカムを有し、長手方向に沿って一方側に移動すれば、各カムが各現像手段を押し上げて転写面から離間させる一方、長手方向に沿って他方側に移動すれば、各カムが各現像手段を押し上げなくなって転写面に接近させるように構成されていることが望ましい。このような具体的構成によれば、簡易な第1直動カム機構の往復動作により、複数個の現像手段を同時に転写面に対して接近又は離間させることができるので、部品点数の削減及び構成の簡略化を実現できる。
【0014】
本発明の画像形成装置において、連動機構は、第1カバーが第1開口部を開放した状態で第2カバーが第2開口部を開放した場合、第2カバーに連動して、感光体保持ユニットを上方に移動させることが望ましい。この構成によれば、感光体保持ユニットを引き出す際に、感光体保持ユニットが転写面から離間した状態となっているので、感光体と転写面との干渉を防止できる。
【0015】
本発明の画像形成装置は、装置本体内において転写ベルトの下方に設けられ、シートを収容するシート収容部を備える。そして、搬送経路における転写面より上流側は、シート収容部から第2開口部に向かって進んだ後、上向きにUターンするUターン経路を進み、さらに第2開口部とは反対側に向かって進んで転写面にシートを搬送するように構成されている。また、シート収容部から転写面に至るUターン経路の最上端部は、転写面よりも高い位置にある。このような搬送経路を有する構成によれば、Uターン経路のカーブをより緩やかにすることができ、シートの搬送能力が向上する。一方で、例えば、感光体保持ユニットをそのまま水平方向に引き出すと、感光体保持ユニットとUターン経路とが干渉してしまう。本発明は、第2カバーに連動して、感光体保持ユニットが転写面から離間する構成との組み合わせにより、引き出される感光体保持ユニットがUターン経路の最上端部に干渉し難い。本発明は、このようなUターン経路の構成を有する画像形成装置において、より適している。
【0016】
本発明の画像形成装置において、連動機構は、各現像手段に設けられた複数個の被案内部と、装置本体内において各被案内部に対応して設けられ、被案内部と係合する複数個の案内部と、装置本体内において長手方向に沿って斜め上下方向に移動可能に設けられ、感光体保持ユニットを長手方向に沿って着脱可能に保持するガイドを有する第2直動カム機構と、第2カバーと第2直動カム機構とを連結し、第2カバーの開閉動作に連動して第2直動カム機構を長手方向に沿って斜め上下方向に往復動させる第2連結機構とを有することが望ましい。そして、各被案内部及び各案内部は、各現像手段を上下方向に移動可能に案内し、第1カバーが第1開口部を開放した場合には被案内部が案内部に対して離間可能となることが望ましい。また、第2直動カム機構は、第2カバーが第2開口部を開放することにより長手方向に沿って斜め上方かつ第2開口部側に移動すれば、各現像手段及び感光体保持ユニットを上方に移動させ、感光体保持ユニットをガイドに沿って第2開口部を介して着脱可能とするように構成されていることが望ましい。この構成によれば、1つの第2直動カム機構により、複数の現像手段と、感光体保持ユニットとを同時に移動させることができるので、部品点数の削減及び構成の簡略化を実現できる。
【0017】
本発明の画像形成装置において、第2直動カム機構は、各現像手段に対して転写面側から摺接する複数個のカムを有し、長手方向に沿って斜め上方かつ第2開口部側に移動すれば、各カムが各現像手段を押し上げて転写面から離間させる一方、長手方向に沿って斜め下方かつ第2開口部とは反対側に移動すれば、各カムが各現像手段を押し上げなくなって転写面に接近させるように構成されていることが望ましい。このような具体的構成によれば、簡易な第2直動カム機構の往復動作により、複数個の現像手段を同時に転写面に対して接近又は離間させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略断面図である。
【図2】実施例1の画像形成装置に係り、第1カバーが第1開口部を開放した状態を示す概略断面図である。
【図3】実施例1の画像形成装置に係り、第1カバーが第1開口部を開放した状態において第2カバーが第2開口部を開放する途中の状態を示す概略断面図である。
【図4】実施例1の画像形成装置に係り、図2の矢視A方向から見た要部拡大上面図である。
【図5】実施例1の画像形成装置に係り、(a)及び(b)は、第1直動カム機構、案内部及び被案内部の相対位置関係を説明する模式図である。
【図6】実施例1の画像形成装置に係り、第1カバーが第1開口部を開放し、第2カバーが第2開口部を開放した状態において、感光体保持ユニットの着脱動作を示す概略断面図である。
【図7】実施例2の画像形成装置の概略断面図である。
【図8】実施例2の画像形成装置に係り、第1カバーが第1開口部を開放した状態を示す概略断面図である。
【図9】実施例2の画像形成装置に係り、図8の矢視B方向から見た要部拡大上面図である。
【図10】実施例2の画像形成装置に係り、第1カバーが第1開口部を開放し、第2カバーが第2開口部を開放した状態を示す概略断面図である。
【図11】実施例2の画像形成装置に係り、感光体保持ユニットの着脱動作を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0020】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の画像形成装置1は、電子写真方式により、用紙やOHPシート等であるシート99に複数色の画像を形成するカラーレーザプリンタである。図1では、紙面左側を装置の前側と規定し、装置を前側から見た場合に右手に来る側である紙面手前側を右側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降の各図に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、画像形成装置1が備える各構成要素について説明する。
【0021】
<全体構成>
図1に示すように、画像形成装置1は、略箱状体であるハウジング90と、ハウジング90の内側に設けられた図示しないフレーム部材とを備えている。ハウジング90及びフレーム部材により、本発明の装置本体が構成されている。
【0022】
図1及び図2に示すように、ハウジング90の上面側には、下方から上方に向かって開口する第1開口部91と、第1開口部91を閉鎖する第1カバー11とが設けられている。第1カバー11は、ハウジング90の後面側の上端縁に設けられた第1軸心X1周りに揺動可能にハウジング90に支持されている。そして、第1カバー11が第1軸心X1周りに揺動して、図2に示すように、第1カバー11の前端縁側が上方かつ後方に変位することにより、第1カバー11が第1開口部91を開放するようになっている。第1カバー11の上面には、後方に向かって下り傾斜するように凹む排出トレイ90Cが設けられている。
【0023】
図2に示す第1カバー11の揺動姿勢は一例である。図示は省略するが、第1カバー11は、図2に示す揺動姿勢からさらに大きく揺動可能となっており、この場合には、第1開口部91を図2に示す状態よりもさらに大きく開放できる。第1開口部91が開口する方向である上下方向は、本発明の「転写面に対して略直交する方向」の一例である。
【0024】
図1及び図3に示すように、ハウジング90の前面側には、後方から前方に向かって開口する第2開口部92と、第2開口部92を閉鎖する第2カバー12とが設けられている。第2カバー12は、ハウジング90の前面側の下端縁に設けられた第2軸心X2周りに揺動可能にハウジング90に支持されている。そして、第2カバー12が第2軸心X2周りに揺動して、図2に示すように、第2カバー12の上端縁側が前方かつ下方に変位することにより、第2カバー12が第2開口部92を開放するようになっている。第2開口部92が開口する方向である前後方向は、本発明の「転写面と平行であり、かつ幅方向と直交する長手方向」の一例である。
【0025】
ハウジング90内の下方には、シートカセット21が着脱可能に設けられている。シートカセット21は、上方が開放されて、その内部に複数枚のシート99を積層状態で収容する略箱状体である。
【0026】
ハウジング90内には、Uターン経路P1、略水平経路P2及び排出経路P3からなる搬送経路が設けられている。Uターン経路P1は、シートカセット21の前端部から前方の第2開口部92に向かって進んだ後、上向きにUターンして後方に向きを変える経路である。略水平経路P2は、Uターン経路P1に連続し、ハウジング90の後面側に向かって略水平に進む経路である。排出経路P3は、略水平経路P2に連続し、ハウジング90の後面に向かって進んだ後、上向きにUターンし、さらに前方に向かって進んで排出トレイ90Cまで至る経路である。
【0027】
ハウジング90内において、シートカセット21の上方には、給紙部20、画像形成部30及び排出ローラ対29A、29B等が設けられている。給紙部20、画像形成部30及び排出ローラ対29A、29B等は、図示しないフレーム部材に組み付けられている。
【0028】
給紙部20は、シートカセット21に収容されたシート99を給紙ローラ22、分離ローラ23及び分離パッド23Aにより1枚ずつUターン経路P1に送り出す。そして、Uターン経路P1の途中に配設された搬送ローラ対24A、24B及びレジストローラ対25A、25Bにより、シート99を画像形成部30に向けて搬送する。
【0029】
画像形成部30は、いわゆるダイレクトタンデム方式のものである。画像形成部30は、略水平経路P2の下方に設けられた転写ベルト50と、略水平経路P2を挟んで転写ベルト50の上方に位置する4組の感光ドラム40、プロセスカートリッジ31及び露光用LEDヘッド39と、排出経路P3の最上流側に位置する定着器55等とを有する。感光ドラム40は、本発明の「感光体」の一例である。プロセスカートリッジ31は、本発明の「現像手段」の一例である。露光用LEDヘッド39は、本発明の「露光手段」の一例である。
【0030】
転写ベルト50は、ハウジング90内の後方において左右方向を向く回転軸周りに回転する駆動ローラ51と、ハウジング90内の前方において駆動ローラ51と平行な回転軸周りに回転する従動ローラ52とに巻き掛けられて循環する無限ベルトである。転写ベルト50において、駆動ローラ51と従動ローラ52と間で略水平経路P2に沿って、左右方向及び前後方向に延在する平面は、転写面50Aとされている。Uターン経路P1に沿って搬送されて略水平経路P2に進入するシート99は、転写面50Aに吸着された状態で循環する転写ベルト50に搬送されることにより、4組の感光ドラム40、プロセスカートリッジ31及び露光用LEDヘッド39の下方を通過する。本実施例では、搬送されるシート99の幅方向は、左右方向である。
【0031】
4組の感光ドラム40、プロセスカートリッジ31及び露光用LEDヘッド39は、ブラック、イエロー、マゼンダ、シアンの4色のトナーにそれぞれ対応している。また、各露光用LEDヘッド39は、上下方向に延設された支持体39aによって保持され、さらに、支持体39aを保持するための保持部材39bが配置されている。この保持部材39bには、例えば、各露光用LEDヘッド39を制御するための制御基板等を配置しても良い。
【0032】
各感光ドラム40は、左右方向に延びる円筒体であり、略水平経路P2を挟んで転写面50Aに対して上方から対向するように設けられている。各感光ドラム40は、略水平経路P2に沿って前後方向に並んでいる。
【0033】
ハウジング90内には、各感光ドラム40を一体的に保持する感光体保持ユニット41が設けられている。感光体保持ユニット41は、各感光ドラム40を前後左右から枠状に囲んで、各感光ドラム40を回転可能に保持する。感光体保持ユニット41は、図示しないフレーム部材に着脱可能に支持されている。感光体保持ユニット41のハウジング90に対する着脱構成については、後で詳しく説明する。
【0034】
各プロセスカートリッジ31は、各感光ドラム40及び感光体保持ユニット41の上方に位置して、略水平経路P2に沿って前後方向に並んでいる。各プロセスカートリッジ31は、左右方向に延びる略箱状体であり、その内部に現像ローラ31A、トナー収容部31B及び図示しない帯電器等を有する。プロセスカートリッジ31はそれぞれ、対応する感光ドラム40に対して前方かつ斜め上方に位置して、現像ローラ31Aを感光ドラム40に当接させている。
【0035】
図4及び図5(a)等に示すように、各プロセスカートリッジ31の左右の側壁31Aには、互いに離間する方向に円柱状に突出する左右一対の被案内部31Gが設けられている。その一方、各プロセスカートリッジ31を左右方向から挟むハウジング90の左右の内壁90Aには、互いに離間する方向に凹む左右一対の案内部90Gが設けられている。案内部90Gは、第1開口部91から下方に向けて溝状に延びている。
【0036】
図4及び図5(a)等に図示された左側の被案内部31G及び案内部90Gに対して、右側の被案内部31G及び案内部90Gは、勝手違いの同一構成である。このため、右側の被案内部31G及び案内部90Gについては、図示を省略する。
【0037】
図1等に示すように、被案内部31Gは、略水平経路P2の上方に位置して、前後方向に4個並んでいる。案内部90Gは、略水平経路P2の上方で被案内部31Gに対応するように位置して、前後方向に4個並んでいる。
【0038】
図5(a)及び(b)に示すように、被案内部31Gと案内部90Gとが係合する場合、被案内部31Gは、案内部90Gに摺接して上下方向に案内される。そして、図5(a)に示すように、現像ローラ31Aが感光ドラム40に当接することにより、各プロセスカートリッジ31は、画像形成動作を実施可能な姿勢に保持される。図5(a)に示す各プロセスカートリッジ31の位置を動作位置とする。
【0039】
各露光用LEDヘッド39は、各感光ドラム40の直上に位置して、略水平経路P2に沿って前後方向に並んでいる。露光用LEDヘッド39は、画像データに基づく露光パターンを有するライン状の光を感光ドラム40の表面に照射する。
【0040】
各露光用LEDヘッド39は、第1カバー11に一体的に変位可能に組み付けられている。ここで、「一体的に変位可能」とは、第1カバー11に対して各露光用LEDヘッド39が単純に固定されている場合だけでなく、第1カバー11の揺動時、第1カバー11に対して各露光用LEDヘッド39が相対変位しながら、第1カバー11とともに変位する場合を含むことを意味している。本実施例では、図1及び図2に示すように、第1カバー11の揺動時、第1カバー11に対する各露光用LEDヘッド39の相対変位が生じない組み付け構成となっている。
【0041】
図1に示すように、第1カバー11が第1開口部91を閉鎖した場合には、各露光用LEDヘッド39は、各感光ドラム40に対して上方から対向する。その一方、図2に示すように、第1カバー11が第1開口部91を開放した場合には、各露光用LEDヘッド39が各感光ドラム40に対して上方に離間する。
【0042】
定着器55は、排出経路P3を挟んで互いに対向する加熱ローラ55A及び加圧ローラ55Bを有する
【0043】
画像形成部30は、以下のようにして、略水平経路P2に沿って搬送されるシート99に画像を形成する。すなわち、各感光ドラム40の表面は、その回転に伴って、帯電器により一様に正帯電された後、各露光用LEDヘッド39が照射するライン状の光により露光される。これにより、各露光用LEDヘッド39は、各感光ドラム40の表面に、シート99に形成すべき画像に対応した静電潜像を形成する。次に、各プロセスカートリッジ31の現像ローラ31Aにより、トナー収容部31Bから各感光ドラム40の表面の静電潜像に対応する色のトナーを供給して、トナー像を形成する。そのトナー像は、略水平経路P2に沿って搬送されるシート99に感光ドラム40が当接しつつ回転し、転写面50Aに印加された負の電圧が作用することにより、シート99に転写される。
【0044】
そして、定着器55は、各プロセスカートリッジ31の下方を通過して、排出経路P3に進入するシート99を加熱ローラ55A及び加圧ローラ55Bにより加熱加圧して、シート99に転写されたトナー像を定着させる。その後、シート99は、排出ローラ対29A、29Bにより、排出トレイ90Cに排出される。こうして、画像形成装置1は、シート99に対する画像形成動作を終了する。
【0045】
<プロセスカートリッジの着脱動作>
図2に示すように、第1カバー11が第1開口部91を開放した場合、第1開口部91は、各プロセスカートリッジ31をハウジング90から露出させる。詳しく述べると、各プロセスカートリッジ31の上端部は、ハウジング90の上端よりも露出している。また、この場合、各露光用LEDヘッド39が第1カバー11と一体的に上方かつ後方に変位するので、各プロセスカートリッジ31の上方に大きな空きスペースが確保される。
【0046】
図4及び図5(a)に示すように、案内部90Gの上端は、内壁90Aの上端面に開口している。このため、図2に示すように、プロセスカートリッジ31のいずれか1個を上方から把持して、上方に持ち上げると、被案内部31Gが案内部90Gに沿って上方に摺動し、案内部90Gから外れて上方に離間する。これにより、図2に二点鎖線で示すように、プロセスカートリッジ31をハウジング90から取り外すことができる。また、逆の動作により、プロセスカートリッジ31をハウジング90に装着することもできる。
【0047】
<感光体保持ユニットの着脱構成>
図3等に示すように、画像形成装置1は、第1カバー11が第1開口部91を開放した状態で第2カバー12が第2開口部92を開放した場合、各プロセスカートリッジ31を上方に変位させて各感光ドラム40から離間させる連動機構100を備える。
【0048】
連動機構100は、上述した4個の被案内部31Gと、上述した4個の案内部90Gと、左右一対の第1直動カム機構110と、左右一対の第1連結機構120とを有する。
【0049】
図1〜図6に図示された左側の第1直動カム機構110及び第1連結機構120に対して、右側の第1直動カム機構110及び第1連結機構120は、勝手違いの同一構成である。このため、右側の第1直動カム機構110及び第1連結機構120については、図示を省略する。
【0050】
図1等に示すように、両第1直動カム機構110は、各プロセスカートリッジ31の被案内部31Gよりも下側に位置して、前後方向に細長く延びる棒状体である。また、両第1直動カム機構110は、ハウジング90内において、図4に示すように、ハウジング90の左右の内壁90Aと、各プロセスカートリッジ31の左右の側壁31Aとの間に位置している。
【0051】
両第1直動カム機構110は、図示しない内部フレームにより、図1及び図2に示す第1位置と、図3及び図6に示すように、第1位置から前方に変位した第2位置とに往復動可能に支持されている。両第1直動カム機構110の前端側の下面には、ラック歯110Hが形成されている。
【0052】
図1及び図4に示すように、両第1直動カム機構110の上面には、前後方向に並ぶ4個のカム115が一体に設けられている。各カム115の前後方向に並ぶ間隔は、各被案内部31G及び各案内部90Gの前後方向に並ぶ間隔と等しくされている。
【0053】
図5(a)に示すように、各カム115は、左右方向から見た場合、前方から後方に向かって上り傾斜する傾斜面と、傾斜面の上端から真下に延びる垂直面とを有する三角形状とされている。両第1直動カム機構110が図1及び図2に示す第1位置にある場合、図5(a)に示すように、各カム115は、各被案内部31G及び各案内部90Gに対して後方に離間している。
【0054】
図1等に示すように、両第1連結機構120は、リンク部材121と、伝達ギヤ122、123とを有する。リンク部材121は、第2カバー12の左右の側端縁から第2軸心X2を中心として円弧状に延びている。リンク部材121の上方を向く円弧面には、ラック歯121Hが形成されている。伝達ギヤ122、123は、両第1直動カム機構110の前端側と、リンク部材121との間に位置して、図示しないフレーム部材に回転可能に支持されている。
【0055】
リンク部材121のラック歯121Hは、伝達ギヤ122と噛み合い、伝達ギヤ122は、伝達ギヤ123と噛み合い、伝達ギヤ123は、両第1直動カム機構110のラック歯110Hと噛み合っている。
【0056】
図1に示すように、第2カバー12の上端部は、後方に向かって上り傾斜するように屈曲している。第1カバー11の前端部は、前方に向かって下り傾斜するように屈曲して、第2カバー12の傾斜する上端部に対して上方から覆い被さっている。これにより、図2及び図3に示すように、第1カバー11が第1開口部91を開放した後でないと、第2カバー12が第2開口部92を開放できないようになっている。
【0057】
<感光体保持ユニットの着脱動作>
上記構成である左右一対の第1直動カム機構110及び第1連結機構120を備える画像形成装置1では、以下のようにして、感光体保持ユニット41の着脱を行うことができる。まず、図2に示すように、第1カバー11を第1軸心X1周りに揺動させて、第1開口部91を開放させる。次に、図3に示すように、第2カバー12を第2軸心X2周りに揺動させて、第2開口部92を開放させる。第2カバー12の揺動に伴って、リンク部材121のラック歯121Hが第2軸心X2周りに円弧を描くように前方に変位する。
【0058】
そうすると、伝達ギヤ122、123によりその変位が両第1直動カム機構110のラック歯110Hに伝達されて、両第1直動カム機構110を前方(一方側)に変位させる。これにより、両第1直動カム機構110が第2位置に変位し、各被案内部31Gと各カム115との相対位置関係が図5(a)に示す状態から図5(b)に示す状態に変化する。この際、各カム115の傾斜面が各被案内部31Gに下方から当接して押し上げるので、各被案内部31Gは各案内部90Gに沿って上方に変位する。その結果、各被案内部31Gが設けられた各プロセスカートリッジ31も押し上げられて転写面50A及び各感光体ドラム40に対して上方に離間する。図3及び図5(b)に示す各プロセスカートリッジ31の位置を離間位置とする。
【0059】
図3に示すように、離間位置にある各プロセスカートリッジ31と各感光体ドラム40との上下方向の間隔H1は、転写面50AとUターン経路P1の最上端部との上下方向の間隔H0に対して大きくなっている。
【0060】
リンク部材121のラック歯121Hの歯数は、両第1直動カム機構110を第1位置から第2位置に変位させるのに必要な数だけ設けられている。このため、図6に示すよい、両第1直動カム機構110が第2位置に変位した後は、ラック歯121Hと伝達ギヤ122とが噛み合わなくなって、第2カバー12を両第1直動カム機構110とは無関係にさらに開放することができる。なお、伝達ギヤ122、123には、ラック歯121Hと伝達ギヤ122とが噛み合わなくなった場合の空転を防止して、両第1直動カム機構110を第2位置に維持する制動機構が設けられている。
【0061】
図6に示すように、第2カバー12が第2開口部92を開放した状態では、離間位置にある各プロセスカートリッジ31が、各感光ドラム40に対して上方に退避している。これにより、感光体保持ユニット41の前端部を把持して前方に引き出すことにより、第2カバー12により開放された第2開口部92を介して、感光体保持ユニット41をハウジング90から取り外すことができる。この際、上述した間隔H1が間隔H0より大きいことにより、各感光ドラム4がUターン経路P1の最上端部に干渉し難い。また、逆の動作により、感光体保持ユニット41をハウジング90に装着することもできる。
【0062】
こうして、感光体保持ユニット41を着脱した後、第2カバー12を閉じると、リンク部材121のラック歯121Hが第2軸心X2周りに円弧を描くように後方(他方側)に変位して、伝達ギヤ122と噛み合う。
【0063】
そうすると、ラック歯121Hの変位が伝達ギヤ122、123により両第1直動カム機構110のラック歯110Hに伝達されて、両第1直動カム機構110を後方に変位させる。これにより、両第1直動カム機構110が第1位置に復帰し、各被案内部31Gと各カム115との相対位置関係が図5(b)に示す状態から図5(a)に示す状態に戻る。この際、各カム115の傾斜面が各被案内部31Gに対して後方に退避して、各被案内部31Gを下方から押し上げなくなるので、各被案内部31Gは各案内部90Gに沿って下方に変位する。その結果、各被案内部31Gが設けられた各プロセスカートリッジ31も押し上げられなくなって転写面50Aに接近し、動作位置に復帰する。
【0064】
<作用効果>
実施例1の画像形成装置1では、第1カバー11が第1開口部91を開放した状態で第2カバー12が第2開口部92を開放した場合、連動機構100が各プロセスカートリッジ31を転写面50Aに対して略直交する方向、すなわち、下方から上方に向けて変位させて各感光ドラム40から離間させる。そして、感光体保持ユニット41は、連動機構100が各プロセスカートリッジ31を各感光ドラム40から離間させた後、第2カバー12により開放された第2開口部92を介して、ハウジング90に対して着脱可能となる。すなわち、第1カバー11が第1開口部91を開放することにより、各プロセスカートリッジ31の上方に空きスペースが確保される。つまり、第1カバー11が閉じられた状態では、プロセスカートリッジ31の上方には、露光手段としての露光用LEDヘッド39と、露光用LEDヘッド39を保持する支持体39a及び保持部材39bと、第1カバー11とが配置されているため、プロセスカートリッジ31は、それ以上上方に移動することはできない。そこで、第1カバー11を開放することによって、露光用LEDヘッド39と、露光用LEDヘッド39を保持する支持体39a及び保持部材39bとが第1カバー11とともに移動し、その露光用LEDヘッド39、支持体39a及び保持部材39bが配置されていた場所に、各プロセスカートリッジ31を移動し、配置することができる。また、第1カバー11が第1開口部91を開放した状態で第2カバー12が第2開口部92を開放することにより、各プロセスカートリッジ31がその空きスペースに退避する。このため、第2カバー12により開放された第2開口部92を介して、感光体保持ユニット41をハウジング90に対して着脱する際に、感光体保持ユニット41が退避したプロセスカートリッジ31の現像ローラ31A等に干渉し難くなり、予め、双方の間に充分な空きスペースを確保する必要がない。
【0065】
したがって、実施例1の画像形成装置1は、装置の大型化を抑制しつつ、4個の感光ドラム40を同時に交換できる。また、この画像形成装置1は、シート99が転写面50A上で詰まった場合、感光体保持ユニット41を装置本体から取り外すことにより、詰まったシート99を取り除き易い。
【0066】
また、この画像形成装置1において、転写面50Aは略水平に延在し、第1開口部91は装置本体の上面に開口し、第2開口部92は装置本体の前面に開口している。このような具体的構成により、本発明の作用効果を確実に享受できる。
【0067】
さらに、この画像形成装置1において、排出経路P3は、ハウジング90の後面に向かって進んだ後、上向きにUターンし、さらに前方に向かって進んでシート99を排出トレイ90Cに排出するように構成されている。この構成により、シート99の取り出しと、感光体保持ユニット41の着脱とをハウジング90の前面から行えるので、利便性が向上する。
【0068】
また、この画像形成装置1では、連動機構100を構成する4個の被案内部31Gと、4個の案内部90Gと、左右一対の第1直動カム機構110と、左右一対の第1連結機構120とが上述したように連携動作し、簡易な第1直動カム機構110を往復動作させることにより、4個のプロセスカートリッジ31を同時に転写面50Aに対して接近又は離間させることができるので、部品点数の削減及び構成の簡略化を実現できる。
【0069】
(実施例2)
図7〜図9等に示すように、実施例2の画像形成装置2は、実施例1の画像形成装置1における連動機構100及び感光体保持ユニット41の代わりに、連動機構200及び感光体保持ユニット241を採用している。実施例2の画像形成装置2のその他の構成は、実施例1の画像形成装置1と同様である。このため、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0070】
図7〜図9に示すように、実施例2の画像形成装置2において、連動機構200は、各プロセスカートリッジ31に設けられた4個の被案内部31Gと、ハウジング90に設けられた4個の案内部90Gとを有する。各被案内部31Gと各案内部90とは、実施例1のものと同一構成である。これにより、図8に示すように、第1カバー11が第1開口部91を開放した場合、図8に二点鎖線で示すように、プロセスカートリッジ31をハウジング90から取り外すことができる。また、逆の動作により、プロセスカートリッジ31をハウジング90に装着することもできる。
【0071】
また、連動機構200は、左右一対の第2直動カム機構210と、左右一対の第2連結機構220とを有する。
【0072】
図7〜図11に図示された左側の第2直動カム機構210及び第2連結機構220に対して、右側の第2直動カム機構210及び第2連結機構220は、勝手違いの同一構成である。このため、右側の第2直動カム機構210及び第2連結機構220については、図示を省略する。
【0073】
図7等に示すように、両第2直動カム機構210は、各プロセスカートリッジ31の被案内部31Gよりも下側に位置して、前後方向に長く延び、かつ上下方向に短く延びる板状体である。また、両第2直動カム機構210は、ハウジング90内において、図9に示すように、ハウジング90の左右の内壁90Aと、各プロセスカートリッジ31の左右の側壁31Aとの間に位置している。
【0074】
図7及び図9に示すように、両第2直動カム機構210において、左右方向で互いに反対側を向く側面の前端側と後端側とには、互いに離間する方向に突出する左右一対の軸部217が設けられている。その一方、ハウジング90の左右の内壁90Aにおける軸部217と左右方向から対向する位置には、互いに離間する方向に凹む左右一対の長穴97が設けられている。
【0075】
図9に示すように、各軸部217は、各長穴97内に突出している。図7等に示すように、長穴97は後方から前方に向かって上り傾斜している。各軸部217が長穴97に沿って摺動することにより、両第2直動カム機構210は、図7及び図8に示す第1位置と、図10及び図11に示すように、第1位置から斜め上方かつ前方に変位した第2位置とに往復動可能に支持されている。両第2直動カム機構210の前端側の上側角部には、前方に細長く突出する連結部210Hが形成されている。
【0076】
図7及び図9に示すように、両第2直動カム機構210の上面には、前後方向に並ぶ4個のカム215が一体に設けられている。各カム215の前後方向に並ぶ間隔、及び各カム215を左右方向から見た場合の形状は、実施例1のものと同一である。
【0077】
両第2直動カム機構210において、左右方向で互いに対向する側面には、前後方向に並ぶ感光ドラム40に沿って溝状に凹むガイド210Gが形成されている。図7に示すように、ガイド210Gの前端は、両第2直動カム機構210の前端縁に開口している。
【0078】
図7及び図9に示すように、ハウジング90内には、各感光ドラム40を一体的に保持する感光体保持ユニット241が設けられている。感光体保持ユニット241は、各感光ドラム40を前後左右から枠状に囲んで、感光体保持ユニット241を回転可能に保持する。図9に示すように、感光体保持ユニット241において、前方及び後方の左右角部には、互いに離間する方向に向けて円柱状に突出する左右一対の軸部241Gが設けられている。各軸部241Gは、各ガイド210G内に突出し、各ガイド210Gに沿って摺動可能とされている。これにより、各ガイド210Gは、感光体保持ユニット241を前後方向に沿って着脱可能に保持している。
【0079】
図7等に示すように、両第2連結機構220は、リンク部材221、222を有する。リンク部材221の一端は、第2カバー12の左右の側端縁に回動可能に連結されている。リンク部材221の他端は、リンク部材222の一端と連結されている。リンク部材222の他端は、両第2直動カム機構210の連結部210Hと連結されている。
【0080】
<感光体保持ユニットの着脱動作>
上記構成である左右一対の第2直動カム機構210及び第2連結機構220を備える画像形成装置2では、以下のようにして、感光体保持ユニット241の着脱を行うことができる。まず、図8に示すように、第1カバー11を第1軸心X1周りに揺動させて、第1開口部91を開放させる。次に、図10に示すように、第2カバー12を第2軸心X2周りに揺動させて、第2開口部92を開放させる。
【0081】
そうすると、第2カバー12の揺動に伴って、屈曲された状態で連結されていたリンク部材221、222が延びるように変位して、両第2直動カム機構210の連結部210Hを前方に引き、両第2直動カム機構210を斜め上方かつ前方に変位させる。これにより、両第2直動カム機構210が第2位置に変位する。これにより、両第2直動カム機構210のガイド210Gに保持された感光体保持ユニット241も上方に移動し、転写面50Aから離間する。また、各カム215の傾斜面が各被案内部31Gに下方から当接して押し上げるので、各プロセスカートリッジ31も押し上げられて転写面50A及び各感光体ドラム40に対して上方に離間する。
【0082】
図10に示すように、転写面50Aと、上方に離間した各感光体ドラム40との上下方向の間隔H2は、転写面50AとUターン経路P1の最上端部との上下方向の間隔H0に対して大きくなっている。また、各感光体ドラム40と各プロセスカートリッジ31の下端部との上下方向の間隔をH3とするとき、転写面50Aから見て、感光ドラム40は、H2とH3とを足した間隔だけ上下することになる。また、転写面50Aから見て、各感光体ドラム40は、H2の間隔だけ上下することになる。つまり、本実施形態では、第1カバー11及び第2カバー12を開放するときに、転写面50Aと各感光体ドラム40との間隔よりも、転写面50Aと各プロセスカートリッジ31との間隔の方が大きくなるように、上下方向に移動することになる。
【0083】
図11に示すように、第2カバー12が第2開口部92を開放した状態では、転写面50Aに対して各感光体ドラム40が上方に離間し、各プロセスカートリッジ31が各感光ドラム40に対して上方に退避している。これにより、感光体保持ユニット241の前端部を把持して前方に引き出すことにより、第2カバー12により開放された第2開口部92を介して、感光体保持ユニット241をハウジング90から取り外すことができる。また、逆の動作により、感光体保持ユニット241をハウジング90に装着することもできる。
【0084】
こうして、感光体保持ユニット241を着脱した後、第2カバー12を閉じると、リンク部材221、222が屈曲するように変位して、両第2直動カム機構210の連結部210Hを前方に引かなくなるので、両第2直動カム機構210及び感光体保持ユニット241の重量により、軸部217が長穴97に沿って斜め下方かつ後方に滑り下ちる。その結果、両第2直動カム機構210が第1位置に復帰し、転写面50Aに対して各感光体ドラム40が当接する。また、各カム215の傾斜面が各被案内部31Gに対して後方に退避して、各被案内部31Gを下方から押し上げなくなるので、各プロセスカートリッジ31が押し上げられなくなって転写面50Aに接近し、動作位置に復帰する。
【0085】
したがって、実施例2の画像形成装置2は、実施例1の画像形成装置1と同様に、装置の大型化を抑制しつつ、4個の感光ドラム40を同時に交換できる。また、この画像形成装置2も、シート99が転写面50A上で詰まった場合、感光体保持ユニット241を装置本体から取り外すことにより、詰まったシート99を取り除き易い。
【0086】
また、この画像形成装置2において、連動機構200は、第1カバー11が第1開口部91を開放した状態で第2カバー12が第2開口部92を開放した場合、第2カバー12に連動して、感光体保持ユニット241を上方に移動させる。この構成により、感光体保持ユニット241を引き出す際に、感光体保持ユニット241が転写面50Aから離間した状態となっているので、各感光ドラム40と転写面50Aとの干渉を防止できる。
【0087】
さらに、この画像形成装置2において、Uターン経路P1の最上端部は、転写面50Aよりも間隔H0の分だけ高い位置にある。このような搬送経路P1〜P3を有する構成により、Uターン経路P1のカーブをより緩やかにすることができ、シート99の搬送能力が向上する。また、第2カバー12に連動して、感光体保持ユニット241が転写面50Aから間隔H0より大きな間隔H2の分だけ離間する構成との組み合わせにより、引き出される感光体保持ユニット241がUターン経路P1の最上端部に干渉し難い。
【0088】
また、この画像形成装置2は、連動機構200を構成する4個の被案内部31Gと、4個の案内部90Gと、左右一対の第2直動カム機構210と、左右一対の第2連結機構220とが上述したように連携動作し、簡易な第2直動カム機構210を斜め上下方向に往復動作させることにより、4個のプロセスカートリッジ31と、感光体保持ユニット241とを同時に移動させることができるので、部品点数の削減及び構成の簡略化を実現できる。
【0089】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0090】
例えば、実施例では、第1カバー11が第1開口部91を開放した状態で第2カバー12が第2開口部92を開放した場合に、連動機構100、200が各プロセスカートリッジ31を転写面50Aに対して略直交する方向に変位させて各感光ドラム40から離間させる構成であったが、この構成に限定されない。具体的には、第1カバー11が第1開口部91を開放した場合に、連動機構が各プロセスカートリッジ31を転写面50Aに対して略直交する方向に変位させて各感光ドラム40から離間させる構成であってもよい。
【0091】
また、露光手段としては、実施例における露光用LEDヘッド39、支持体39a及び保持部材39bの代わりに、レーザビームの高速走査により感光体を露光するスキャナを採用してもよい。また、実施例では、支持体39aが保持部材39bによって保持されているが、これに限らず、例えば支持体39aが第1カバー11に直接設けられていてもよい。
【0092】
また、実施形態では、プロセスカートリッジ31を上下方向において着脱可能とし、感光体保持ユニットを前後方向から移動可能としているが、本発明はこれに限らず、例えば、プロセスカートリッジ31を前後方向において着脱可能とし、感光体保持ユニットを上下方向から移動可能としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は画像形成装置や複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1、2…画像形成装置、99…シート、50…転写ベルト、50A…転写面
P1、P2、P3…搬送経路(P1…Uターン経路、P2…略水平経路、P3…排出経路)
40…感光体(感光ドラム)、31…現像手段
41、241…感光体保持ユニット
39…露光手段(露光用LEDヘッド)、21…シート収容部(シートカセット)
91…第1開口部、11…第1カバー、92…第2開口部、12…第2カバー
100、200…連動機構、31G…被案内部、90G…案内部
110…第1直動カム機構、120…第1連結機構、115、215…カム
210…第2直動カム機構、220…第2連結機構、210G…ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送経路が設けられた装置本体と、
前記装置本体内において前記搬送経路の途中に設けられ、搬送される前記シートの幅方向に延在する平面である転写面を有して循環する転写ベルトと、
前記装置本体内において前記転写面に対向するように設けられ、前記転写面と平行であり、かつ前記幅方向と直交する長手方向に並ぶ複数個の感光体と、
前記装置本体内に設けられ、各前記感光体を一体的に保持する感光体保持ユニットと、
前記装置本体内において各前記感光体に対応して設けられ、各前記感光体に潜像を形成する複数個の露光手段と、
前記装置本体内において各前記感光体に対応して設けられ、各前記感光体に形成された前記潜像を現像する複数個の現像手段と、
前記装置本体に形成され、前記転写面に対して略直交する方向に向かって開口して、各前記現像手段を前記装置本体から露出させる第1開口部と、
前記装置本体に前記第1開口部を開閉可能に設けられ、各前記露光手段が一体的に変位可能に組み付けられ、前記第1開口部を閉鎖した場合には各前記露光手段を各前記感光体に対向させる一方、前記第1開口部を開放した場合には各前記露光手段を各前記感光体から離間させて、各前記現像手段を前記装置本体に対して前記第1開口部を介して着脱可能とする第1カバーと、
前記装置本体に形成され、前記長手方向に向かって開口する第2開口部と、
前記装置本体に前記第2開口部を開閉可能に設けられた第2カバーと、
前記第1カバーが前記第1開口部を開放した場合、又は前記第1カバーが前記第1開口部を開放した状態で前記第2カバーが前記第2開口部を開放した場合、各前記現像手段を前記転写面に対して略直交する方向に変位させて各前記感光体から離間させる連動機構とを備え、
前記感光体保持ユニットは、前記連動機構が各前記現像手段を各前記感光体から離間させた後、前記第2カバーにより開放された前記第2開口部を介して、前記装置本体に対して着脱可能となることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写面は略水平に延在し、
前記第1開口部は前記装置本体の上面に開口し、
前記第2開口部は前記装置本体の側面に開口している請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送経路における前記転写面より下流側は、前記第2開口部とは反対側の側面に向かって進んだ後、上向きにUターンし、さらに前記第2開口部に向かって進んで前記シートを前記装置本体から排出するように構成されている請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記連動機構は、各前記現像手段に設けられた複数個の被案内部と、
前記装置本体内において各前記被案内部に対応して設けられ、前記被案内部と係合する複数個の案内部と、
前記装置本体内において前記長手方向に移動可能に設けられた第1直動カム機構と、
前記第2カバーと前記第1直動カム機構とを連結し、前記第2カバーの開閉動作に連動して前記第1直動カム機構を前記長手方向に往復動させる第1連結機構とを有し、
各前記被案内部及び各前記案内部は、各前記現像手段を上下方向に移動可能に案内し、前記第1カバーが前記第1開口部を開放した場合には前記被案内部が前記案内部に対して離間可能となり、
前記第1直動カム機構は、各前記現像手段に対して前記転写面側から摺接する複数個のカムを有し、前記長手方向に沿って一方側に移動すれば、各前記カムが各前記現像手段を押し上げて前記転写面から離間させる一方、前記長手方向に沿って他方側に移動すれば、各前記カムが各前記現像手段を押し上げなくなって前記転写面に接近させるように構成されている請求項2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記連動機構は、前記第1カバーが前記第1開口部を開放した状態で前記第2カバーが前記第2開口部を開放した場合、前記第2カバーに連動して、前記感光体保持ユニットを上方に移動させる請求項2又は3記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記装置本体内において前記転写ベルトの下方に設けられ、前記シートを収容するシート収容部を備え、
前記搬送経路における前記転写面より上流側は、前記シート収容部から前記第2開口部に向かって進んだ後、上向きにUターンするUターン経路を進み、さらに前記第2開口部とは反対側に向かって進んで前記転写面に前記シートを搬送するように構成され、
前記シート収容部から前記転写面に至る前記Uターン経路の最上端部は、前記転写面よりも高い位置にある請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記連動機構は、各前記現像手段に設けられた複数個の被案内部と、
前記装置本体内において各前記被案内部に対応して設けられ、前記被案内部と係合する複数個の案内部と、
前記装置本体内において前記長手方向に沿って斜め上下方向に移動可能に設けられ、前記感光体保持ユニットを前記長手方向に沿って着脱可能に保持するガイドを有する第2直動カム機構と、
前記第2カバーと前記第2直動カム機構とを連結し、前記第2カバーの開閉動作に連動して前記第2直動カム機構を前記長手方向に沿って斜め上下方向に往復動させる第2連結機構とを有し、
各前記被案内部及び各前記案内部は、各前記現像手段を上下方向に移動可能に案内し、前記第1カバーが前記第1開口部を開放した場合には前記被案内部が前記案内部に対して離間可能となり、
前記第2直動カム機構は、前記第2カバーが前記第2開口部を開放することにより前記長手方向に沿って斜め上方かつ前記第2開口部側に移動すれば、各前記現像手段及び前記感光体保持ユニットを上方に移動させ、前記感光体保持ユニットを前記ガイドに沿って前記第2開口部を介して着脱可能とするように構成されている請求項5又は6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2直動カム機構は、各前記現像手段に対して前記転写面側から摺接する複数個のカムを有し、前記長手方向に沿って斜め上方かつ前記第2開口部側に移動すれば、各前記カムが各前記現像手段を押し上げて前記転写面から離間させる一方、前記長手方向に沿って斜め下方かつ前記第2開口部とは反対側に移動すれば、各前記カムが各前記現像手段を押し上げなくなって前記転写面に接近させるように構成されている請求項7記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−97125(P2013−97125A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238868(P2011−238868)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】