説明

画像形成装置

【課題】記録媒体個々についての精度の高い抵抗検知を迅速に行うことができ、生産性の低下を来たすことなく良好な転写性を得ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】抵抗検知手段70は、複数の電極部材を備えた検知部72を有しており、検知部72は給紙カセットに収容された用紙Sの上面に適正な圧力で接触している。電圧印加により抵抗検知手段70に流れる電流を電流計76により検知し、電圧と電流から用紙抵抗を求める。求められた用紙抵抗から、1次転写電流/電圧、2次転写電流/電圧の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいはこれらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置では、画像データに基づいて感光体等の像担持体に露光手段により潜像を形成し、該潜像を現像装置によりトナー像として可視像化し、該トナー像を直接にあるいは中間転写体を介して間接的に記録媒体に転写し、該記録媒体を定着装置に通して定着するようになっている。
【0003】
近年、カラー複写機やレーザープリンタなどの画像形成装置では、様々な記録媒体(以下、「用紙」又は「紙」ともいう)に対して高品質な画像が得られることが要求されている。転写されて得られる画像品質は紙の特性、特に抵抗の影響を受けやすい。
用紙の抵抗は扱われ方により大きく変化し、裸状態で放置されることで外気環境によって含有水分量が変化し(以下、「調湿」という)、抵抗は高くなったり低くなったりする。
重ねられた用紙の、表面の紙は調湿の影響を最も受けやすく、下層になるほど調湿速度が遅くなる。つまり、放置された用紙で連続印刷すると、1枚ごと抵抗が変化した用紙に画像を形成することになる。
用紙の抵抗の変化は、トナー像の用紙への転写性に影響を及ぼすことが知られている。転写性の変化は画像濃度の変化、ひいては画像品質の低下につながる。
【0004】
特許文献1には、画像形成前に紙を通紙して転写ローラと感光体間の抵抗を測定して転写電流を制御することが提案されている。
しかしながら、抵抗測定のために画像形成を伴わない通紙を行うため、抵抗を測定する時間が余計に必要となりコピー速度が遅くなる。更に、長時間放置により1枚ごと抵抗が変化している用紙に対しては、用紙毎に測定することになり実用的ではない。また、抵抗測定のために通紙した用紙を保管するトレイが必要なことも問題となる。
【0005】
特許文献2には、中間転写体と2次転写部に用紙を介在させた状態で合成抵抗を複数枚について測定し、2次転写バイアスの補正を行うことが提案されている。
画像への影響を小さくするためには極めて短時間で抵抗を測定する必要がある。しかし、近年プロセス速度は高速化し、抵抗測定系の立ち上がり時間の早さ等から検知精度が劣ることになる。
特許文献2の方法に基づけば、紙の先端で合成抵抗を測定し、2次転写電圧、電流を制御することも考えられるが、極めて短時間での抵抗測定では検知精度が劣り、抵抗測定から2次転写電流、又は電圧補正が完了する間の画像が劣化することになる。また、2次転写部で合成抵抗の測定を行うときは、1次転写がほぼ完了されているため1次転写電流、電圧を制御することはできない。
給紙カセットとレジストローラ対との間に、用紙抵抗を測定するローラ電極対を設けることも可能であるが、搬送への影響が生じやすく、レイアウトの制約を受けコストアップとなる問題を有している。
【0006】
特許文献3には、用紙の水分含有量を測定し転写バイアスを制御することが提案されている。同一用紙に対して水分含有量と抵抗とは相関するが、同一の水分含有量であっても材料特性の異なる別の用紙では抵抗が異なるため、多種多様な用紙に対して、水分含有量では正しい抵抗測定は困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような現状に鑑みてなされたもので、記録媒体個々についての精度の高い抵抗検知を迅速に行うことができ、生産性の低下を来たすことなく良好な転写性を得ることができる画像形成装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、像担持体と、該像担持体を帯電させる帯電手段と、前記像担持体を画像情報に応じて露光する露光手段と、前記像担持体上に形成された潜像をトナー像として可視像化する現像手段と、前記トナー像を転写手段により最終的に記録媒体に転写する画像形成装置において、前記記録媒体の表面の抵抗を検知する抵抗検知手段を有し、前記抵抗検知手段は、トナー像を形成する前の前記記録媒体の表面に対して接触と離間が可能な少なくとも2つの電極部材を備え、且つ、少なくとも一つの電極部材に電圧を印加し、前記電圧を印加しない他の電極部材との間に流れる電流を検知する構成を有し、前記抵抗検知手段の検知結果に基づき、転写電流又は電圧のうち少なくとも一つを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、長期放置により記録媒体間で抵抗のバラツキが大きくなった場合や、急激な環境変化により積載された記録媒体の上面近傍の抵抗が変化した場合でも、記録媒体1枚毎にその抵抗を高精度に測定することができる。
これにより、記録媒体間での抵抗のバラツキに拘らず均一な転写性を維持することができ、良好な画像品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。
【図2】抵抗検知手段による用紙抵抗測定方法を示す図である。
【図3】抵抗検知手段の電極部材の形状及び配置構成を示す図で、(a)は電極部材のみの平面図、(b)は側面図である。
【図4】用紙が環境に放置された場合の調湿時間と抵抗の変化との関係を示す特性図である。
【図5】給紙カセットの構成を示す斜視図で、(a)は従来用いられている給紙カセットの図、(b)は本実施形態に係る給紙カセットの図である。
【図6】制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
図1は本実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。同図において、符号100は装置本体、200は該装置本体を載せる給紙テーブル、300は装置本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)をそれぞれ示している。添え字Y、M、C、Kは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の各色をそれぞれ示す。
装置本体100には、中央付近に、中間転写体としての無端ベルト状の中間転写ベルト10が設けられている。中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ14、15、16に掛け回されて図中時計回り方向に回転搬送可能となっている。
【0012】
第2の支持ローラ15の左には、中間転写ベルト用のクリーニング装置17が設けられている。クリーニング装置17は画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する。
第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写ベルト10上には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18Y、18M、18C、18Kが横に並べて配置され、タンデム型の画像形成部20が構成されている。
画像形成部20の上には、露光装置21が設けられている。
画像形成部20の各画像形成手段18は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色トナー像を担持する像担持体としての感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kを有している。
感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kから中間転写ベルト10にトナー像を転写する一次転写位置には、中間転写ベルト10を間に挟んで各感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kに対向するように一次転写手段の構成要素としての一次転写ローラ62Y、62M、62C、62Kが転写ニップ下流側位置に設けられている。
【0013】
第1の支持ローラ14は中間転写ベルトを回転駆動する駆動ローラである。ブラック単色画像を中間転写ベルト上に形成する場合には、駆動ローラ以外の支持ローラ15、16を移動させて、イエロー、シアン、マゼンタの感光体40Y、40M、40Cを中間転写ベルトから離間させることも可能となっている。
本実施形態のようなタンデム型ではなく、感光体が一つしかない装置においても本発明は実施可能である。
【0014】
中間転写ベルト10を挟んで画像形成部20と反対の側には、2次転写装置22が備えられている。2次転写装置22は、2次転写対向ローラ16に2次転写ローラ16’を押し当て転写電界を印加する構成を有しており、これにより中間転写体10上の画像が記録媒体としての図示しないシートに転写される。
2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25が設けられている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てる構成を有している。
搬送ベルト24により、画像転写後のシートが定着装置25へと搬送される。画像転写後のシート搬送は、搬送ベルト24に代えて固定されたガイド部材で行っても良い。
2次転写装置22および定着装置25の下には、画像形成部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転させるシート反転装置28が備えられている。
【0015】
上記画像形成装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300が駆動され、第1走行体33および第2走行体34が走行する。
第1走行体33で光源からの光を発射するとともに原稿面からの反射光を反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0016】
不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14、15、16の1つ(ここでは支持ローラ14)が回転駆動され、他の2つの支持ローラが従動回転して中間転写ベルト10が回転搬送される。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40が回転して各感光体40上にそれぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの単色画像が形成される。中間転写ベルト10の搬送とともに、それらの単色画像が一次転写部で一次転写ローラ62により順次転写されて中間転写体10上に合成カラー画像が形成される。
不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つが選択されて回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44のうちの1つから用紙が繰り出され、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて給紙路46に入れられる。
用紙は搬送ローラ対47で搬送されて装置本体100内の給紙路48に導かれ、レジストローラ対49に突き当てて止められる。
【0017】
あるいは、給紙ローラ50が回転して手差しトレイ51上の用紙が繰り出され、分離ローラ52で1枚ずつ分離されて手差し給紙路53に入れられ、同じくレジストローラ対49に突き当てて止められる。
中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ対49が回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間に用紙が送り込まれ、2次転写装置22で転写されて用紙上にカラー画像が記録される。
画像転写後の用紙は、搬送ベルト24で搬送されて定着装置25へと送り込まれ、定着装置25で熱と圧力とを加えられて転写画像を定着される。その後、切換爪55で切り換えられて排出ローラ対56で排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。または、切換爪55で切り換えられてシート反転装置28に入れられ、そこで反転されて再び転写位置へと導かれ、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ対56で排紙トレイ57上に排出される。
【0018】
画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルト用のクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去され、画像形成部20による再度の画像形成に備える。
レジストローラ対49は一般的には接地されて使用されることが多いが、用紙の紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
中間転写体は、単層構造、積層構造に関わりなく使用することができる。中間転写体の製造方法は限定するものではなく、ディッピング法、遠心成型法、押出成型法、インフレーション法、塗工法等全ての製法で製造できるものである。
材料としてはポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等単独、又は複数使用できる。強度からポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が好ましく、導電性カーボンブラック等を添加することで抵抗をコントロールする。
【0019】
転写ローラは、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム、ニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ノルボルネンゴム、等のイオン導電性を有するゴムの他、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ブチルゴム、シリコンゴム、等各種使用することができる。
【0020】
表1に用紙の各環境における測定電圧と表面抵抗を示す。表中、「2.44E+13」は「2.44×1013」を意味する。他の測定値についても同様である。
【0021】
【表1】

【0022】
表1から明らかなように、測定環境で用紙抵抗は極めて大きいことが判る。
標準環境である23℃50%RHでは100〜1000Vで測定可能であるが、10℃15%RHでは抵抗が上限を超えて(表中「over」と表示)、500V印加で電流不足となり抵抗測定が行えない用紙もある。逆に27℃80%RHでは抵抗が下限を超えて(表中「under」と表示)、500V印加で電流過多となり測定不可の用紙もある。単純にこの実験に用いた用紙だけで判断すると、低湿環境では1000V測定、高湿環境では100V測定となる。
検知される環境条件から測定電圧を決定するが、決定された電圧で測定を行い検知される電圧、電流から更に測定電圧を変化させることも可能である。
【0023】
用紙抵抗を検知して転写条件にフィードバック制御する技術の開発にとって、調湿時間と抵抗変動の認識は重要である。
積載された用紙の最表面用紙の調湿による抵抗変化を想定して、1枚の用紙を机の上に平置きして、経過時間により抵抗を測定した結果を図4に示す。
横軸は、常温環境に放置した用紙の、防湿袋から取り出してからの経過時間を示しており、分(min)を対数表示させている。また、調湿時間0.1minは常温環境で測定した抵抗であり、抵抗のスタートとしている。
調湿時間10〜100minで抵抗はほぼ飽和している。これから判るように、積載された用紙の最表面用紙は極めて短時間で調湿による抵抗変化が生じることがわかる。
【0024】
抵抗測定は、絶縁部材の上に用紙を載せて図2で示す方法で測定を行った。10℃15%RHは1000V、常温と27℃80%RHは100V印加を行ってから10sec後の値抵抗である。
用紙Sの表面抵抗の測定は、図2に示すように、積載された用紙表面(最上面に位置する用紙の表面)に抵抗検知手段70の検知部を置いて行った。
抵抗検知手段70は、検知部72と、電圧印加手段としての高圧電源86(図6参照)と、電圧計74と、電流計76とを備えている。一定電圧を印加して流れる電流値から抵抗を求める構成である。
【0025】
図3に基づいて、検知部72の構成を詳細に説明する。
検知部72は、ベース78と、ベース78の下面に固定された3つの電極部材としての電極80a、80b、80cとを有している。
中央電極としての電極80bに高圧電源86より電圧を印加し、中央電極の両端に設けた接地された対向電極としての電極80a、80cに流れる電流を測定する。
中央電極の両端に対向電極を設けることで電流は2倍となり、紙抵抗が高くなっても安定して抵抗が測定可能となる。勿論、中央電極と1つの対向電極との2本で測定することも可能である。
【0026】
本実施形態で使用した電極部材は2mm×20mm、電極間距離dは5mmの形状とした。ベース78は図示しないバネ状部材で上下方向に移動可能であり、用紙との密着追従性を高めている。
詳細に説明すると、用紙搬送方向に対して直交する用紙幅方向の電極部材の接触幅Wを2mmとしている。従って、用紙表面に対する3本の電極部材の接触幅は3×Wで合計6mmとなり、電極部材の長辺長さL=20mmより小さく、用紙との摺り合い抵抗も少なくなっている。
【0027】
用紙に電極部材を接触させると、電極部材と用紙間の摩擦によりスキュー等用紙の搬送に不具合を来たす可能性がある。
摩擦抵抗を低減させるために、電極部材の接触面積をできるだけ小さくすることが考えられる。
しかしながら、単純に電極部材の面積を小さくすると検知される電流値も小さくなり、比較的低い用紙抵抗から測定不可となりやすい。
用紙の表面抵抗を測定する電極部材形状として、円盤状形状や、円柱形状も考えられる。このような形状の電極部材を回転させることで摩擦抵抗は少なくなるメリットがあるが、少ない電流を計測するため軸受との導通性の耐久品質が課題となる。
電流値を増やすためには電圧を印加する電極部材と、電流が流れる対向電極の電極長さを長くする必要がある。電極形状を長方形とし、長辺を用紙搬送方向と直角に配置した場合は、摩擦抵抗が大きくなる。
図3に示すような電極部材の形状、配置構成とすることにより、抵抗検知手段70の存在により用紙の給紙動作が阻害されることがなく、用紙の安定した搬送を行うことができるとともに給紙不良の発生を防止することができる。
【0028】
図5に本実施形態における給紙カセット44の構造を示す。
図中左側に装置本体があり、給紙カセット44は装置本体に対して矢印で示す方向に着脱される。
通常、装置本体側のサイドフェンス高さは、図5(a)に示すように、ほぼ左右均等な構成となっているが、本実施形態の給紙カセット44は図5(b)に示すように、少なくとも装置本体側のサイドフェンスの一部に、抵抗検知手段70と干渉しないように、他より低い凹部44a、44bを有している。
図1に示すように、各給紙カセット44に対応して抵抗検知手段70が設けられている。
抵抗検知手段70は、図示しない取り付け部材、接離手段により、給紙カセット44の引き出し操作に応じて用紙表面から離間し、給紙カセット44の挿入に応じて適切な圧で用紙表面に接触するようになっている。これにより電極と用紙との摺り合いによる電極の破損や用紙の破損を防止できる。
給紙カセット44内の用紙高さは用紙の枚数によって異なってくるが、抵抗検知手段70の検知部72は用紙高さの変化に追従して接触圧が一定になるように設けられている。
抵抗検知手段70と給紙カセット44間の動作が互いにより一層干渉することなく円滑になされるように上記凹部44a、44bが設けられている。
【0029】
給紙カセット、または給紙トレイの高さは、用紙セット枚数に最適化されるため、給紙カセット、または給紙トレイ間距離が短くなっている。従って、抵抗検知手段を接離するための空間を十分に設けることはできない。少ない離間状態で給紙カセット、または給紙トレイを着脱させると、給紙カセット、または給紙トレイの本体側サイドフェンスに抵抗検知手段が干渉しやすく、抵抗検知手段の破損を生じやすくなる。
図5(b)に示すような構成とすることで、給紙トレイや給紙カセットとの間隔を広くすることなく、抵抗検知手段とサイドフェンスとの干渉を防止することができる。
【0030】
図6に示すように、本実施形態に係る画像形成装置は、少なくとも湿度を検知する環境条件検知手段82を備えている。制御手段84は環境検知手段82から環境情報(温湿度)を取得し、プリント開始信号により、検知された環境情報に基づいて用紙抵抗測定電圧を決定し、決定された電圧を抵抗検知手段70に印加する。
電圧印加により抵抗検知手段70に流れる電流を電流検知手段としての電流計76により検知し、電圧と電流から用紙抵抗を求める。求められた用紙抵抗と環境情報とから、1次転写電流/電圧、2次転写電流/電圧の制御が行われる。これらのデータ間の関係は、予め求められて制御テーブルとして記憶されている。
【0031】
用紙の抵抗は環境により大きく変化する。抵抗は一定な電圧で測定を行うことが一般的であるが、全環境において同一電圧で抵抗を測定すると以下の不具合がある。
すなわち、低湿環境で抵抗が高くなると、計測される電流値小さくなり検知不可となる。逆に高湿環境で抵抗が低くなると、電流が増え、電源の電圧を維持できなくなり、測定不可となることがある。
一方、電流値を一定にして測定する方法もあるが、抵抗が高くなると規定電流を流すための電圧が高くなり、電源の電圧出力上限をオーバーして測定不可となる。
本実施形態の構成によれば、画像形成装置の使用環境が大きく変化した場合でも、最適な測定条件で用紙の抵抗を検知することができる。
【0032】
給紙カセット44の、引き出し時に抵抗検知手段70が干渉する部分のサイドフェンス高さを短くすることで抵抗検知手段との干渉を完全に防止しでき、抵抗検知手段70と用紙表面との離間距離を更に少なくすることができる。また、抵抗検知手段70と給紙カセット間の距離を短くすることで、給紙容量を下げることなく用紙抵抗を測定することができる。
【符号の説明】
【0033】
16’ 2次転写手段としての2次転写ローラ
21 露光手段
40 像担持体としての感光体ドラム
44 給紙カセット
62 1次転写手段としての1次転写ローラ
70 抵抗検知手段
80 電極部材としての電極
S 記録媒体としての用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特開平6−161295号公報
【特許文献2】特開2002−72717号公報
【特許文献3】特開2009−258473号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、該像担持体を帯電させる帯電手段と、前記像担持体を画像情報に応じて露光する露光手段と、前記像担持体上に形成された潜像をトナー像として可視像化する現像手段と、前記トナー像を転写手段により最終的に記録媒体に転写する画像形成装置において、
前記記録媒体の表面の抵抗を検知する抵抗検知手段を有し、
前記抵抗検知手段は、トナー像を形成する前の前記記録媒体の表面に対して接触と離間が可能な少なくとも2つの電極部材を備え、且つ、少なくとも一つの電極部材に電圧を印加し、前記電圧を印加しない他の電極部材との間に流れる電流を検知する構成を有し、
前記抵抗検知手段の検知結果に基づき、転写電流又は電圧のうち少なくとも一つを制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記トナー像を1次転写手段により中間転写体に転写し、2次転写手段により前記中間転写体上のトナー像を前記記録媒体に転写する構成を有し、検知結果に基づき、1次転写電流又は電圧、2次転写電流又は電圧のうち少なくとも一つを制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記電極部材は、前記記録媒体を収容した給紙トレイ又は給紙カセットの着脱動作に連動して、接触と接離を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記給紙トレイ又は給紙カセットの、着脱方向における前記抵抗検知手段に交差する側のサイドフェンス高さが、前記抵抗検知手段が相対的に移動する部分について低くなっていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
少なくとも湿度を検知する環境条件検知手段を有し、該環境条件検知手段による検知結果に応じて前記電極部材に印加する電圧を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記記録媒体の搬送方向に対して、直交する前記記録媒体の幅方向における前記電極部材の長さは、前記記録媒体の搬送方向における長さより短いことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−97146(P2013−97146A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239249(P2011−239249)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】