説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置において、利便性を低くせずに、複数のユーザーがアクセス可能な文書ボックス内の画像データの機密性を確保する。
【解決手段】 画像形成装置1において、ログイン処理部31は、ユーザーのログイン処理を行い、機密処理部36は、ユーザーがログイン処理部31によるログインに成功したとき、ログインに成功したユーザーおよび他のユーザーがアクセス可能な文書ボックスに、上述の他のユーザーの画像データが保存されている場合、その画像データを暗号化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある複写機では、画像スキャンにより生成された画像データがハードディスクに保存され、ハードディスクからの画像データの出力が完了すると、機密保持のために、ハードディスクからその画像データが消去される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
複合機などの画像形成装置には、あるユーザーによるホスト装置からの印刷要求に基づく画像データを画像形成装置の文書ボックスに保存させた後、そのユーザーが画像形成装置にログインしているときに、そのユーザーの操作に従ってその画像データに基づく画像の出力(印刷、ファクシミリ送信など)を行うものがある。
【0004】
また、ある画像形成装置は、あるユーザーの操作に従って原稿をスキャンし、そのスキャンで得られた画像データを文書ボックスに保存させておき、ただちに、または後で、そのユーザーの操作に従ってその画像データに基づく画像の出力を行うものがある。
【0005】
他方、データの機密性を確保する技術として暗号化技術がある。例えば、使用者のICカード内の情報から生成される暗号鍵を利用してデータを暗号化してから記憶媒体に記憶させる技術がある(特許文献2参照)。
【0006】
その他、あるユーザーの入室時にそのユーザーのパーソナルコンピューターのMAC(Media Access Control)アドレスを登録し、そのユーザーの退室時にその識別情報を消去することで、そのパーソナルコンピューターとネットワークとの接続を制限する技術がある(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−223061号公報
【特許文献2】特開2008−278093号公報
【特許文献3】特開2006−127135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のような画像形成装置において、複数のユーザーがアクセス可能な文書ボックス内の画像データの機密性を確保するために、すべての画像データを一律に暗号化すると、利便性が低くなる。例えば、その画像データに基づく印刷を行うときに、その画像データの復号を行う必要があるので、画像の出力やそのプレビューを行うまでに時間を要し、ただちにその画像データに基づく画像の出力をすることが困難である。
【0009】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、利便性を低くせずに、複数のユーザーがアクセス可能な文書ボックス内の画像データの機密性を確保することができる画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、ユーザーのログイン処理を行うログイン処理部と、ユーザーがログイン処理部によるログインに成功したとき、ログインに成功したユーザーおよび他のユーザーがアクセス可能な文書ボックスに、上述の他のユーザーの画像データが保存されている場合、その画像データを暗号化または消去する機密処理部とを備える。
【0012】
これにより、画像データの保存後に他のユーザーがログインしなければ暗号化または消去が行われないため、利便性をあまり低くせずに、複数のユーザーがアクセス可能な文書ボックス内の画像データの機密性を確保することができる。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、機密処理部は、上述のユーザーがログイン処理部によるログインに成功したとき、ログインに成功したユーザーおよび他のユーザーがアクセス可能な文書ボックスに、上述の他のユーザーの画像データが保存されている場合に、その画像データに基づく画像の出力が行われたか否かおよびその画像データの機密レベルに応じて、その画像データの暗号化およびその画像データの消去のいずれかを選択する。
【0014】
これにより、機密性を確保する方法(暗号化または消去)が適切に選択される。
【0015】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、機密処理部は、画像データを暗号化した場合、暗号化した画像データを復号するための情報を、上述の他のユーザーに通知する。
【0016】
これにより、暗号化された画像データのユーザーが、その画像データを使用するときに復号することができる。
【0017】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、ホスト装置から印刷要求を受信する通信処理部と、文書ボックス内の暗号化された画像データを復号する復号部と、復号された画像データに基づく画像を出力する画像出力部とをさらに備える。そして、文書ボックスは、その印刷要求に基づく画像データを保存する。
【0018】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、文書の画像を読み取り、その画像の画像データを生成する画像読取装置と、文書ボックス内の暗号化された画像データを復号する復号部と、復号された画像データに基づく画像を出力する画像出力部とをさらに備える。そして、文書ボックスは、画像読取装置により生成された画像データを保存する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画像形成装置において、利便性を低くせずに、複数のユーザーがアクセス可能な文書ボックス内の画像データの機密性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施の形態1に係る画像形成装置の動作について説明するフローチャートである。
【図3】図3は、実施の形態2に係る画像形成装置の動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
実施の形態1.
【0023】
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。図1において、画像形成装置1には、ネットワークなどを介してホスト装置2が接続されている。
【0024】
この実施の形態では、画像形成装置1は、印刷機能、画像読取機能、およびファクシミリ機能を有する複合機である。
【0025】
ホスト装置2は、画像形成装置1を用いて印刷を行うのに必要な画像形成装置1用のドライバーをインストールされたパーソナルコンピューターであって、ユーザーの操作に従って印刷要求を画像形成装置1に送信する。例えば、印刷要求は、PDL(Page Description Language )で記述される。
【0026】
画像形成装置1は、操作パネル11、通信装置21、印刷装置22、画像読取装置23、ファクシミリ装置24、記憶装置25、および演算処理装置26を備える。
【0027】
操作パネル11は、液晶ディスプレイなどの表示装置11a、およびタッチパネルなどの入力装置11bを備え、ユーザーに対する操作画面の表示およびユーザー操作の検出を行う。
【0028】
また、通信装置21は、ネットワークなどを介してホスト装置2に接続可能であって、所定の通信プロトコルでデータ通信を行う装置である。
【0029】
また、印刷装置22は、例えば電子写真方式で原稿画像を印刷用紙に印刷する内部デバイスである。
【0030】
また、画像読取装置23は、原稿から原稿画像を光学的に読み取り、原稿画像の画像データを生成する内部デバイスである。
【0031】
また、ファクシミリ装置24は、ファクシミリ信号を受信しそのファクシミリ信号を画像データに変換する受信機能と、画像データをファクシミリ信号に変換しそのファクシミリ信号を送信する送信機能とを有する内部デバイスである。
【0032】
また、記憶装置25は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリーなどの不揮発性の記憶装置であって、データ、プログラムなどを記憶する。記憶装置25には、各種文書ボックスが設けられ、文書ボックスに画像データが保存される。
【0033】
文書ボックス25aは、所定の複数のユーザーがアクセス可能な文書ボックスであって、ホスト装置2からの印刷要求に基づく画像データを保存する。つまり、その複数のユーザーは、文書ボックス25aに保存された画像データを読み出すことができる。
【0034】
文書ボックス25bは、所定の複数のユーザーがアクセス可能な文書ボックスであって、画像読取装置23により生成された画像データを保存する。つまり、その複数のユーザーは、文書ボックス25bに保存された画像データを読み出すことができる。
【0035】
また、演算処理装置26は、不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピューターであり、ROMまたは記憶装置25に記憶されているプログラムをRAMへロードし、そのプログラムをCPUで実行することにより、各種処理部を実現する。
【0036】
画像形成装置1の起動後に、各種プログラムが演算処理装置26により適宜実行される。この実施の形態では、演算処理装置26において、ログイン処理部31、通信処理部32、ジョブ管理部33、画像処理部34、コントローラー35、機密処理部36などの処理部が実現される。
【0037】
ログイン処理部31は、ユーザーのログイン処理を行う。ログイン処理では、ユーザーが入力したユーザーIDからユーザーが特定される。また、必要に応じて、ログイン処理では、ユーザーが入力したユーザーIDおよびパスワードに基づいてユーザー認証が行われる。ユーザー認証を行う場合には、ログイン処理部31は、正規ユーザーのユーザーIDなどが登録されているデータベースにアクセスし、ユーザーIDなどの照合を行う。
【0038】
通信処理部32は、通信装置21を制御して、ホスト装置2などとのデータ通信を実行する処理部である。例えば、通信処理部32は、ホスト装置2から印刷要求を受信する。
【0039】
また、ジョブ管理部33は、操作パネル11に対するユーザー操作に基づく要求や、ホスト装置2から受信される印刷要求などを受け付け、その要求に応じたジョブを実行させる。
【0040】
ホスト装置2から受信される印刷要求にはユーザーIDが含まれており、ジョブ管理部33は、その印刷要求から生成された画像データ(あるいはその印刷要求に含まれている画像データ)を、そのユーザーIDに対応する文書ボックス25aに保存する。
【0041】
また、画像処理部34は、文書ボックス25a,25b内の画像データや印刷要求に基づく画像データに対して画像処理を実行し、印刷データ(例えば色ごとに2値化された印刷画像データ)を生成する。
【0042】
また、コントローラー35は、印刷装置22、画像読取装置23、ファクシミリ装置24などの内部デバイスを監視および制御する処理部である。例えば、コントローラー35は、印刷装置22を制御して、その印刷データに基づく画像を印刷用紙に印刷させたり、ファクシミリ装置24を制御して、上述の画像データに対応するファクシミリ画像データを生成させ、ファクシミリ画像データに基づく画像を送信させる。
【0043】
機密処理部36は、ユーザーがログイン処理部によるログインに成功したとき、ログインに成功したユーザーおよび他のユーザーがアクセス可能な文書ボックス25a,25bに、上述の他のユーザーの画像データが保存されている場合、その画像データを暗号化する。
【0044】
また、機密処理部36は、画像データを暗号化した場合、暗号化した画像データを復号するための情報(暗号鍵やパスワードなど)を、その画像データを生成したユーザーに、電子メールなどの所定の通知方法で通知する。なお、機密処理部36は、ホスト装置2のドライバーに、その情報を通知し、ドライバーに、ホスト装置2の表示装置などにその情報を表示させるようにしてもよい。また、その通知内容をユーザーから不可視な状態で画像形成装置1に保存しておき、そのユーザーがログインしたときに、操作パネル11に表示するようにしてもよい。
【0045】
また、機密処理部36は、あるユーザーにより上述の復号するための情報が入力されると、文書ボックス25a,25b内の、そのユーザーについての、暗号化された画像データを復号する。
【0046】
次に、実施の形態1に係る画像形成装置の動作について説明する。図2は、実施の形態1に係る画像形成装置の動作について説明するフローチャートである。
【0047】
あるユーザーが機密文書を印刷する場合、そのユーザーは、まず、ホスト装置2を操作する。ホスト装置2は、そのユーザーの操作に従って、印刷要求を画像形成装置1へ送信し、その時点では印刷せずに印刷要求を画像形成装置1に保存させ、次に、そのユーザーが画像形成装置1(の操作パネル11)を直接操作して画像形成装置1にログインしたときにその印刷要求に基づく印刷を、印刷装置22を用いて実行させる。
【0048】
その印刷要求には、ユーザーIDおよび機密文書の印刷要求であることを示す情報が含まれており、画像形成装置1では、通信処理部32が、通信装置21を使用してその印刷要求を受信すると、ジョブ管理部33は、その印刷要求から生成された画像データ(あるいはその印刷要求に含まれている画像データ)を、そのユーザーIDに対応する文書ボックス25aに保存する。また、ユーザーIDおよび機密文書であることを示す情報は、その画像データに関連付けて保存される。
【0049】
このようにして、ホスト装置2からの印刷要求に基づく画像データが文書ボックス25aに保存される。
【0050】
一方、画像形成装置1では、操作パネル11によりログイン要求のユーザー操作(ユーザーIDなどの入力)が検出されると、ログイン処理部31がそのユーザーのログイン処理を行う(ステップS1)。
【0051】
そのユーザーのログインに成功すると、画像形成装置1は、そのユーザー(以下、ログインユーザーという)が利用可能な状態に移行する前に、機密処理部36で以下の処理を行う。
【0052】
機密処理部36は、文書ボックス25a内の画像データを検索し、文書ボックス25a内に、機密文書の画像データが、暗号化されていない状態で保存されているか否かを判定する(ステップS2)。
【0053】
文書ボックス25a内に、機密文書の画像データが、暗号化されていない状態で保存されている場合、機密処理部36は、その機密文書の画像データの元である印刷要求を発行したユーザーがログインユーザーであるか否かを判定する(ステップS3)。
【0054】
その機密文書の画像データの元である印刷要求を発行したユーザーがログインユーザーではない場合、機密処理部36は、その画像データを暗号化し、その文書ボックス25a内の暗号化前の画像データを暗号化後の画像データで置き換える(ステップS4)。このとき、機密処理部36は、印刷要求において設定されている機密レベルに応じた暗号化方法で、その画像データを暗号化する。例えば、暗号鍵の長さを機密レベルに応じた長さにしたり、機密レベルに応じた暗号化アルゴリズムを使用する。
【0055】
そして、暗号化が完了すると、機密処理部36は、その画像データを暗号化した旨、およびその画像データの復号に必要な情報(暗号鍵など)を、その機密文書の画像データの元である印刷要求を発行したユーザーに通知する(ステップS5)。
【0056】
その後、当該画像形成装置1は、ログインユーザーが利用可能な状態になる(つまり、ログインユーザーによる操作パネル11の操作に従って、文書ボックス25a,25b内の画像データの閲覧、印刷などが可能となる)。また、ステップS2において、文書ボックス25aに、暗号化されていない状態の機密文書の画像データが保存されていない場合には、当該画像形成装置1は、ログインユーザーが利用可能な状態にただちになる。
【0057】
一方、ステップS3において、その機密文書の画像データの元である印刷要求を発行したユーザーがログインユーザーである場合、当該画像形成装置1は、ログインユーザーが利用可能な状態にただちになる。その後、ログインユーザーは、文書ボックス25a内の画像データに基づく画像の出力(印刷、ファクシミリ送信など)を当該画像形成装置1に行わせることができる。そして、ユーザーによるログアウト操作が操作パネル11により検出されると(ステップS6)、機密処理部36は、ログイン中に、ログインユーザーが発行した印刷要求に基づく機密文書の画像データについて印刷が実行されたか否かを判定する(ステップS7)。
【0058】
ログイン中に、ログインユーザーが発行した印刷要求に基づく機密文書の画像データについて印刷が実行された場合には、機密処理部36は、その画像データを文書ボックス25aから消去する(ステップS8)。その後、当該画像形成装置1は、ログアウトを完了させる。一方、ログイン中に、ログインユーザーが発行した印刷要求に基づく機密文書の画像データについて印刷が実行されなかった場合には、機密処理部36は、ステップS4およびステップS5の処理を行った後、ログアウトを完了させる。
【0059】
以上のように、上記実施の形態1によれば、機密処理部36は、ユーザーがログイン処理部31によるログインに成功したとき、ログインに成功したユーザーおよび他のユーザーがアクセス可能な文書ボックスに、上述の他のユーザーの画像データが保存されている場合、その画像データを暗号化する。
【0060】
これにより、機密文書の画像データの保存後に他のユーザーがログインしなければ、暗号化が行われないため、利便性をあまり低くせずに、複数のユーザーがアクセス可能な文書ボックス内の画像データの機密性を確保することができる。
【0061】
実施の形態2.
【0062】
本発明の実施の形態2に係る画像形成装置1は、機密文書の画像データに基づく画像の出力が行われたか否かおよび画像データの機密レベルに応じて、暗号化および消去のいずれかを選択する。
【0063】
なお、実施の形態2に係る画像形成装置1の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。ただし、実施の形態2では、機密処理部36は、以下のように動作する。
【0064】
次に、実施の形態2に係る画像形成装置の動作について説明する。図3は、実施の形態2に係る画像形成装置の動作について説明するフローチャートである。
【0065】
実施の形態2では、機密文書を画像スキャンする場合、ユーザーは、機密文書モードで、機密文書を画像読取装置23でスキャンさせて、機密文書の画像データを文書ボックス25bに保存させ、その後、その画像データに基づく画像を、印刷装置22を用いて出力させることができる。スキャン時には、ユーザーにより設定される機密レベル、そのユーザーのユーザーIDおよび機密文書であることを示す情報が、その画像データに関連付けて保存される。なお、機密レベルは、所定の複数の段階(例えば3段階)のいずれかに設定される。
【0066】
このようにして、ユーザー操作に従って画像形成装置1による画像スキャンで生成された画像データが文書ボックス25bに保存される。なお、文書ボックス25bへの保存からログアウトまでの期間、ユーザーは、その画像データに基づく画像の出力を実行させ、また、その画像データを文書ボックス25bから消去させることができる。
【0067】
その後、画像形成装置1では、操作パネル11によりログイン要求のユーザー操作(ユーザーIDなどの入力)が検出されると、ログイン処理部31がそのユーザーのログイン処理を行う(ステップS21)。
【0068】
そのユーザーのログインに成功すると、画像形成装置1は、そのログインユーザーが利用可能な状態に移行する前に、機密処理部36で以下の処理を行う。
【0069】
機密処理部36は、文書ボックス25b内の画像データを検索し、文書ボックス25b内に、機密文書の画像データが、暗号化されていない状態で保存されているか否かを判定する(ステップS22)。
【0070】
文書ボックス25b内に、機密文書の画像データが、暗号化されていない状態で保存されている場合、機密処理部36は、その機密文書の画像データの元である印刷要求を発行したユーザーがログインユーザーであるか否かを判定する(ステップS23)。
【0071】
その機密文書の画像データの元である印刷要求を発行したユーザーがログインユーザーではない場合、機密処理部36は、その画像データについて、印刷要求を発行したユーザーにより印刷が既に実行されたか否かを判定する(ステップS24)。
【0072】
なお、機密文書の画像データについては、印刷要求を発行したユーザーにより印刷が実行されるときに、印刷が実行されたことを示す情報が、その画像データに関連付けて保存され、ステップS24の判定においては、その情報が参照される。
【0073】
その機密文書の画像データについて、印刷要求を発行したユーザーにより印刷が既に実行されたと判定した場合、機密処理部36は、その画像データを文書ボックス25bから消去し(ステップS25)、その画像データを消去した旨を、その機密文書の画像データの元である印刷要求を発行したユーザーに通知する(ステップS26)。その後、当該画像形成装置1は、ログインユーザーが利用可能な状態になる。
【0074】
一方、ステップS24において、その機密文書の画像データについて印刷がまだ実行されていないと判定した場合、機密処理部36は、その機密文書の画像データの機密レベルが高いか否か(つまり、その機密レベルが所定の条件を満たすか否か)を判定する(ステップS27)。
【0075】
その機密文書の画像データの機密レベルが高い場合(つまり、その機密レベルが所定の条件を満す場合)には、機密処理部36は、ステップS25およびステップS26の処理を実行し、その画像データを消去する。その後、当該画像形成装置1は、ログインユーザーが利用可能な状態になる。
【0076】
一方、その機密文書の画像データの機密レベルが高くない場合(つまり、その機密レベルが所定の条件を満たさない場合)には、機密処理部36は、その画像データを暗号化し、その文書ボックス25b内の暗号化前の画像データを暗号化後の画像データで置き換える(ステップS28)。このとき、機密処理部36は、印刷要求において設定されている機密レベルに応じた暗号化方法で、その画像データを暗号化する。例えば、暗号鍵の長さを機密レベルに応じた長さにしたり、機密レベルに応じた暗号化アルゴリズムを使用する。
【0077】
そして、暗号化が完了すると、機密処理部36は、その画像データを暗号化した旨、およびその画像データの復号に必要な情報(暗号鍵など)を、その機密文書の画像データの元である印刷要求を発行したユーザーに通知する(ステップS29)。
【0078】
その後、当該画像形成装置1は、ログインユーザーが利用可能な状態になる(つまり、ログインユーザーによる操作パネル11の操作に従って、文書ボックス25a,25b内の画像データの閲覧などが可能となる)。また、ステップS22において、文書ボックス25bに、暗号化されていない状態の機密文書の画像データが保存されていない場合には、当該画像形成装置1は、ログインユーザーが利用可能な状態にただちになる。
【0079】
一方、ステップS23において、その機密文書の画像データの元である印刷要求を発行したユーザーがログインユーザーである場合、当該画像形成装置1は、ログインユーザーが利用可能な状態にただちになる。
【0080】
その後、ログインユーザーは、文書ボックス25b内の画像データに基づく画像の出力(印刷、ファクシミリ送信など)を当該画像形成装置1に行わせることができる。そして、ユーザーによるログアウト操作が操作パネル11により検出されると(ステップS30)、機密処理部36は、文書ボックス25b内に、上述の機密文書の画像データが、暗号化されていない状態で保存されているか否かを判定する(ステップS31)。
【0081】
上述の機密文書の画像データが、暗号化されていない状態で保存されている場合には、機密処理部36は、ステップS24以降の処理を行った後にログアウトを完了させ、上述の機密文書の画像データが、暗号化されていない状態で保存されていない場合(例えば、ユーザーにより消去された場合)には、機密処理部36は、ただちにログアウトを完了させる。
【0082】
以上のように、上記実施の形態2によれば、機密処理部36は、上述のユーザーがログイン処理部31によるログインに成功したとき、ログインに成功したユーザーおよび他のユーザーがアクセス可能な文書ボックスに、上述の他のユーザーの画像データが保存されている場合に、その画像データに基づく画像の出力が行われたか否かおよびその画像データの機密レベルに応じて、その画像データの暗号化およびその画像データの消去のいずれかを選択する。
【0083】
これにより、機密性を確保する方法(暗号化または消去)が適切に選択される。
【0084】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0085】
例えば、上記実施の形態1において、上記実施の形態2と同様の処理を、画像スキャンによる生成された画像データの文書ボックス25b内の機密文書の画像データに対して行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、例えば、複合機などに適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 画像形成装置
2 ホスト装置
22 印刷装置(画像出力部の一例)
23 画像読取装置
24 ファクシミリ装置(画像出力部の一例)
25a,25b 文書ボックス
31 ログイン処理部
32 通信処理部
36 機密処理部(復号部の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーのログイン処理を行うログイン処理部と、
前記ユーザーが前記ログイン処理部によるログインに成功したとき、ログインに成功した前記ユーザーおよび他のユーザーがアクセス可能な文書ボックスに、前記他のユーザーの画像データが保存されている場合、その画像データを暗号化または消去する機密処理部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記機密処理部は、前記ユーザーが前記ログイン処理部によるログインに成功したとき、ログインに成功した前記ユーザーおよび他のユーザーがアクセス可能な文書ボックスに、前記他のユーザーの画像データが保存されている場合に、その画像データに基づく画像の出力が行われたか否かおよびその画像データの機密レベルに応じて、その画像データの暗号化およびその画像データの消去のいずれかを選択することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記機密処理部は、前記画像データを暗号化した場合、暗号化した前記画像データを復号するための情報を、前記他のユーザーに通知することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
ホスト装置から印刷要求を受信する通信処理部と、
前記文書ボックス内の暗号化された画像データを復号する復号部と、
復号された前記画像データに基づく画像を出力する画像出力部とをさらに備え、
前記文書ボックスは、前記印刷要求に基づく画像データを保存すること、
を特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
文書の画像を読み取り、その画像の画像データを生成する画像読取装置と、
前記文書ボックス内の暗号化された画像データを復号する復号部と、
復号された前記画像データに基づく画像を出力する画像出力部とをさらに備え、
前記文書ボックスは、前記画像読取装置により生成された画像データを保存すること、
を特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−97485(P2013−97485A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238291(P2011−238291)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】