説明

画像形成装置

【課題】バックアップ電源を備える画像形成装置において、バックアップ電源によるバックアップ時間を長期化すること。
【解決手段】プリンタ10は、電源部12と、二次電池18を有する充電回路16と、印字部40と、ASIC30と、電源スイッチ26と、充電部から供給される電力によって計時するクロック部と、を含む。ASIC30は、電源部12から供給される電力によって駆動する通常電源動作回路34と、充電回路16から供給される電力によって駆動するバックアップ電源動作回路38を備える。バックアップ電源動作回路38は、電源部12から出力される電力を検出し、バックアップ電源動作回路38が電源部12に対し電力を出力する状態を指示しているにも関わらず、電源部12から電力が出力されない場合、充電回路16に対してバックアップ電源動作回路38への電力供給を停止するように指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ電源を備える画像形成装置において、バックアップ電源によるバックアップ時間を長期化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バックアップ電源を備える画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1)。従来技術では、装置の主電源が接続された場合に、バックアップ電源に電力を蓄えておき、装置の主電源が切断された場合に、バックアップ電源から主電源が切断された場合に装置を制御するバックアップ制御部及びリアルタイムクロック(以下、RTC)に電力が供給される。これによって、印刷中に装置の主電源が切断されたされた場合でも、バックアップ制御部の制御により印字ヘッドをホームポジションに移動させ、印字ヘッドにキャップをする等、必要なバックアップ動作を行うことができるとともに、年月日や時刻を管理するRTCが停止してしまうことが抑制される。
【0003】
また、従来技術では、主電源が切断された状態が長期間に亘って維持され、バックアップ電源の電力が所定以上に減少した場合に、装置の主電源を切断状態から接続状態に切り換え、再びバックアップ電源に電力を蓄える。これによって、RTCに電力が供給されず、RTCが停止してしまうことが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−51482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、停電時など装置が商用電源から切断された状態となった場合、装置に電力が供給されないため、バックアップ電源の電力が減少した場合でも、再びバックアップ電源に電力を蓄えることができない。商用電源から切断された状態では、バックアップ制御部による制御は不要であるにもかかわらず、従来技術のように一律にバックアップ電源からバックアップ制御部及びRTCの両方に電力を供給することとすると、RTCに電力を供給可能な期間か縮小されてしまい、RTCが停止してしまう虞がある。RTCが停止すると、装置に再び電力が供給された場合に、ユーザは年月日や時刻を再設定しなければならない問題が生じていた。
【0006】
本明細書では、バックアップ電源を備える画像形成装置において、バックアップ電源によるバックアップ時間を長期化する技術に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される画像形成装置は、商用電源から供給される電力を出力する電源部と、二次電池を有し、前記電源部から出力される電力によって前記二次電池を充電する充電部と、前記電源部に接続され、前記電源部から出力される電力によって画像を形成する形成部と、前記電源部に接続され、前記電源部から出力される電力によって前記形成部を制御するメイン制御部と、オン状態とオフ状態とを切り換える切換部と、前記充電部から供給される電力によって駆動し、前記切換部の状態に基づいて前記電源部が電力を出力する状態と、前記電源部が電力の出力を停止する状態とを切り換えるバックアップ制御部と、前記充電部から供給される電力によって計時するクロック部と、を備え、前記バックアップ制御部は、前記電源部から出力される電力を検出し、前記バックアップ制御部が前記電源部に対し電力を出力する状態を指示しているにも関わらず、前記電源部から電力が出力されない場合、前記充電部に対して当該バックアップ制御部に対する電力の供給を停止するように指示する。
【0008】
また、上記の画像形成装置では、前記バックアップ制御部は、前記切換部がオン状態である場合、前記電源部に対して電力を出力するように指示しており、前記切換部がオン状態であるにも関わらず、前記電源部から電力が出力されない場合、前記充電部に対して当該バックアップ制御部に対する電力の供給を停止するように指示する構成としても良い。
【0009】
また、上記の画像形成装置では、前記バックアップ制御部は、前記切換部がオフ状態である場合、前記電源部に対して電力の出力を停止するように指示する一方、前記充電部が供給する電力を検出し、前記切換部がオフ状態であって前記充電部から供給される電力が基準電力を下回った場合、前記電源部に対して電力を出力するように指示しており、当該バックアップ制御部から電力を出力するように指示されているにも関わらず、前記電源部から電力が一定時間に亘って出力されない場合、前記充電部に対して当該バックアップ制御部に対する電力の供給を停止するように指示する構成としても良い。
【0010】
また、本明細書によって開示される画像形成装置は、商用電源から供給される電力を出力する電源部と、二次電池を有し、前記電源部から出力される電力によって前記二次電池を充電する充電部と、前記電源部に接続され、前記電源部から出力される電力によって画像を形成する形成部と、前記電源部に接続され、前記電源部から出力される電力によって前記形成部を制御するメイン制御部と、オン状態とオフ状態とを切り換える切換部と、前記充電部から供給される電力によって駆動し、前記切換部の状態に基づいて前記電源部が電力を出力する状態と、前記電源部が電力の出力を停止する状態とを切り換えるバックアップ制御部と、前記充電部から供給される電力によって駆動し、計時するとともに前記バックアップ制御部にクロック信号を出力するクロック部と、を備え、前記バックアップ制御部は、前記電源部から出力される電力を検出し、前記バックアップ制御部が前記電源部に対し電力を出力する状態を指示しているにも関わらず、前記電源部から電力が出力されていない場合、前記クロック部に対して当該バックアップ制御部に対する前記クロック信号の出力を停止するように指示する構成であっても良い。
【0011】
また、上記の画像形成装置では、前記バックアップ制御部は、前記切換部がオン状態である場合、前記電源部に対して電力を出力するように指示しており、前記切換部がオン状態であるにも関わらず、前記電源部から電力が出力されていない場合、前記クロック部に対して当該バックアップ制御部に対する前記クロック信号の出力を停止するように指示する構成としても良い。
【0012】
また、上記の画像形成装置では、前記バックアップ制御部は、前記切換部がオフ状態である場合、前記電源部に対して電力の出力を停止するように指示する一方、前記充電部が供給する電力を検出し、前記切換部がオフ状態であって前記充電部から供給される電力が基準電力を下回った場合、前記電源部に対して電力を出力するように指示しており、当該バックアップ制御部から電力を出力するように指示されているにも関わらず、前記電源部から電力が一定時間に亘って出力されない場合、前記クロック部に対して当該バックアップ制御部に対する前記クロック信号の出力を停止するように指示する構成としても良い。
【発明の効果】
【0013】
本明細書によって開示される画像形成装置では、電源部が電力を出力する状態であるにも関わらず電源部から電力が出力されない場合、充電部からバックアップ制御部に電力が供給されないようにする。そのため、電源部から電力が出力されず、充電部の二次電池を充電できない場合に、現在充電部に充電されている電力をクロック部のみに供給することができ、バックアップ制御部とクロック部の両方に供給する場合に比べてクロック部に電力を供給可能なバックアップ時間を長期化することができる。これによって、再び電源部から電力が出力される状態となる前に、クロック部への電力の供給が終了し、再び電源部から電力が出力される状態となった場合に、年月日や時間の設定等の作業が必要となる事態の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】プリンタ10の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図2】通常動作時の処理を示すタイムチャート
【図3】通常動作時の処理を示すフローチャート
【図4】第1異常動作時の処理を示すタイムチャート
【図5】第1異常動作時の処理を示すフローチャート
【図6】第2異常動作時の処理を示すタイムチャート
【図7】第2異常動作時の処理を示すフローチャート
【図8】第2異常動作時の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
本実施形態を、図1ないし図8を用いて説明する。
【0016】
1.プリンタの電気的構成
図1は、プリンタ(画像形成装置の一例)10の概略的な電気的構成を示すブロック図である。プリンタ10は、商用電源であるAC100V電源(以下、電源)から供給される電力に基づいて、シートに画像を形成する装置である。なお、プリンタ10は、レーザプリンタあるいはインクジェットプリンタであってもよい。また、ファクシミリ装置や、プリンタ機能及び読み取り機能(スキャナ機能)等を備えた複合機であってもよい。
【0017】
プリンタ10は、電源部12と、電圧変換回路14と、充電回路(充電部の一例)16と、第1電圧検出回路20と、第2電圧検出回路22と、リアルタイムクロック(クロック部の一例:以下、RTC)24と、電源スイッチ(切換部)26と、ASIC(特定用途向け集積回路)30と、印字部(形成部の一例)40と、を含む。ASIC30は、通常電源動作回路(メイン制御部の一例)34とバックアップ電源動作回路(バックアップ制御部の一例)38と、をを備える。
【0018】
電源部12は、ユーザによってAC100V電源に接続され、当該電源からAC100Vで供給される電力をDC6Vに変換し、電圧変換回路14等に出力する。第1電圧検出回路20は、電源部12の出力電圧V1を検出しており、出力電圧V1を検出した結果である検出信号X1をバックアップ電源動作回路38に出力する。電圧変換回路14は、電源部12から供給されるDC6Vの電力を、ASIC30等で使用されるDC3.3Vの電力に変換し、通常電源動作回路34や充電回路16、印字部40等に出力する。
【0019】
充電回路16は、二次電池18を有しており、電圧変換回路14から供給される電力を二次電池18に充電する。また、充電回路16は、二次電池18に充電された電力を、バックアップ電源動作回路38やRTC24等に出力する。第2電圧検出回路22は、充電回路16の出力電圧V2を検出しており、出力電圧V2を検出した結果である検出信号X2をバックアップ電源動作回路38に出力する。RTC24は、充電回路16から供給される電力によって計時し、ユーザにより設定された年月日や時間に基づいて、装置の年月日や時間を管理している。また、RTC24は、バックアップ電源動作回路38に接続されており、バックアップ電源動作回路38から入力される制御信号X3に基づいて、バックアップ電源動作回路38にクロック信号CLを出力する。
【0020】
電源スイッチ26は、プリンタ10のオン/オフ状態を切り換えるためのスイッチであり、プリンタ10をオン状態とするための第1状態と、プリンタ10をオフ状態とするための第2状態が、ユーザによって切り換えられる。電源スイッチ26は、通常電源動作回路34とバックアップ電源動作回路38に接続されており、ユーザによって第1状態から第2状態に切り換えられた場合、これらの回路にオン状態への遷移指示Yを出力する。また、ユーザによって第2状態から第1状態に切り換えられた場合、これらの回路にオフ状態への遷移指示Yを出力する。
【0021】
通常電源動作回路34は、電圧変換回路14から供給される電力によって駆動するとともに、CPU32を有している。CPU32は、印字部40に接続されており、印字部40を制御する。印字部40は、電圧変換回路14から供給される電力によって駆動し、CPU32から入力される印字指示及び印字データに基づいてシートに画像を形成する。CPU32は、電源スイッチ26に接続されており、電源スイッチ26から入力される遷移指示Yに基づいて、プリンタ10のオン/オフ状態を切り換える。また、CPU32は、後述するバックアップ電源動作回路38の状態検出回路36に接続されており、電源スイッチ26から入力される遷移指示等の各種指示を状態検出回路36に出力する。
【0022】
バックアップ電源動作回路38は、充電回路16から供給される電力によって駆動するとともに、状態検出回路36を有している。状態検出回路36は、電圧検出回路20、22に接続されており、電圧検出回路20、22から入力される検出信号X1、X2を受け取る。また、状態検出回路36は、CPU32及び電源スイッチ26に接続されており、電源スイッチ26及びCPU32から出力される遷移指示Yを受け取る他、CPU32から出力される各種指示を受け取る。
【0023】
状態検出回路36は、RTC24に接続されており、クロック信号CLを出力する状態と出力しない状態とを切り換える制御信号X3をRTC24に出力する。状態検出回路36は、通常、クロック信号CLを出力する状態とする制御信号X3をRTC24に出力している。そして、後述するように、受け取った検出信号X1、X2及び遷移指示Yが特定の状態となった場合に、制御信号X3を切り換える。RTC24は、制御信号X3によりRTC24がクロック信号CLの出力状態となっている場合に、バックアップ電源動作回路38にクロック信号を出力する。一方、制御信号X3によりRTC24がクロック信号CLの出力停止状態となっている場合に、バックアップ電源動作回路38へのクロック信号の出力を停止し、RTC24における電力消費を抑える。
【0024】
また、状態検出回路36は、電源部12に接続されており、電力を出力する状態と電力を出力しない状態を切り換える制御信号X4を電源部12に出力する。状態検出回路36は、オン状態への遷移指示Yを受け取った場合に、電力を出力する状態とする制御信号X4を電源部12に出力する。また、オフ状態への遷移指示Yを受け取った場合に、電力を出力しない状態とする制御信号X4を電源部12に出力する。さらに、検出信号X1が第1電圧検出回路20の出力停止状態を示すLow状態の際に、検出信号X2が閾値電圧VK以下の電圧であることを示すLow状態となった場合に、電力を出力する状態とする制御信号X4を電源部12に出力する。電源部12は、電源から電力が供給され、制御信号X4により電源部12が電力出力状態となっている場合に、電力を出力する。その一方、電源部12は、停電等により電源から電力が供給されない、または電源から電力が供給されているにも関わらず制御信号X4により電源部12が電力出力停止状態となっている場合に、電力の出力を停止するとともに、AC100VからDC6Vへの変換も停止する。
【0025】
さらに、状態検出回路36は、後述するように、受け取った検出信号X1、X2及び遷移指示Yが特定の状態となった場合に、充電回路16から状態検出回路36に対する電力供給を停止するようにする。この際、充電回路16側で状態検出回路36に対する電力供給を停止してもよければ、状態検出回路36側で電力の受け取りを遮断してもよい。これにより、状態検出回路36における電力消費を抑える。
【0026】
2.プリンタの動作制御
図2ないし図8を参照して、ASIC30によるプリンタ10の動作制御を説明する。
【0027】
(通常動作時)
図2は、プリンタ10の通常動作時の制御を示すタイムチャートである。ここで、「通常動作」とは、電源から電力が供給されている状態の動作を意味している。このタイムチャートにおいて、ST1は、AC100V電源からの電力供給状態を示しており、振動状態が電力供給状態を示し、非振動状態が電力供給停止状態を示す。また、ST2は、電源部12からの電力出力状態を示しており、Highが電力出力状態を示し、Lowが電力出力停止状態を示す。ST3は、CPU32の状態を示しており、実線はCPU32の起動状態、つまりプリンタ10のオン状態を示し、点線はCPU32の停止状態、つまりプリンタ10のオフ状態を示す。ST4は、状態検出回路36の各状態を示している。ST5は、充電回路16の出力電圧を示しており、HighがDC 3.3Vを示し、LowがDC 0Vを示す。図2には、上記状態STとともに各種信号X、CLの状態をあわせて示す。
【0028】
図3は、通常動作時における処理を説明するフローチャートである。以下、図3を用いて、通常動作時におけるプリンタ10のオフ状態への遷移処理、及びオフ状態における二次電池18の充電処理について説明する。
【0029】
CPU32は、電源スイッチ26からオフ状態への遷移指示Yが入力される(S2)と、当該遷移指示Yを状態検出回路36に出力する(S4)。これによって、状態検出回路36は、CPU32からの指示を受け付けるコマンド待状態から、プリンタ10の再起動を待機する再起動待状態へと移行する(S6)。また、状態検出回路36は、電源部12を電力出力停止状態とする制御信号X4を出力する(S8)。これにより、電源部12は電力の出力を停止し、第1電圧検出回路20が出力する検出信号X1が、出力状態を示すHigh状態から、出力停止状態を示すLow状態へと切り換わる(S10)。また、CPU32が、起動状態から停止状態に切り換わる。
【0030】
電源部12からの電力の出力が停止すると、充電回路16に電力が供給されず、また充電回路16からバックアップ電源動作回路38及びRTC24に対する電力の供給により、二次電池18に充電された電力が減少する。この結果、充電回路16の出力電圧V2が低下する。第2電圧検出回路22は、充電回路16の出力電圧V2を検出しており(S12:NO)、出力電圧V2が予め定められた閾値電圧VKまで減少した場合に(S12:YES)、第2電圧検出回路22が出力する検出信号X2が、閾値電圧VKよりも高い電圧を示すHigh状態から、閾値電圧VK以下の電圧を示すLow状態へと切り換わる(S14)。
【0031】
状態検出回路36は、プリンタ10のオフ状態において、検出信号X2がLow状態へ切り換わったことを検出すると、再起動待状態から電源部12から電力供給が開始されるのを待機するアップ待状態へと移行する(S16)。また、状態検出回路36は、電源部12を電力出力状態とする制御信号X4を出力する(S18)。なお、電源部12を電力出力状態とする制御信号X4は、信号出力時間が予め決められた基準時間TKよりも短く設定されており、電源部12を電力出力停止状態とする制御信号X4は、信号出力時間が基準時間TKよりも長く設定されている。そのため、電源部12は、状態検出回路36から制御信号X4が入力された場合に、その信号出力時間を基準時間TKと比較することで、いずれの制御信号X4であるかを検出することができる。
【0032】
電源部12は、電源部12を電力出力状態とする制御信号X4を受け取ると、一定時間TD後に電力を出力する。ここで、「一定時間TD」とは、AC100Vの形式で供給される電力をからDC6Vの形式への変換するために、電源部12を構成するコンデンサに電荷を蓄えるのに必要な時間に基づいて決定される。これにより、検出信号X1が、Low状態からHigh状態へと切り換わる(S20)。また、CPU32が、停止状態から起動状態に切り換わる。また、充電回路16に対する電力の供給が再開され、出力電圧V2が3.3Vまで増加し、検出信号X2が、Low状態からHigh状態へと切り換わる(S22)。状態検出回路36は、検出信号X1がHigh状態へ切り換わったことを検出すると、アップ待状態からコマンド待状態へと移行する(S24)。
【0033】
(第1非通常動作時)
次に、非通常動作時の制御について説明する。ここで、「非通常動作」とは、停電等により電源から電力が供給されない状態の動作を意味している。また、第1非通常動作とは、非通常動作のうち、プリンタ10のオン状態において電源から電力が供給されない状態となった場合の動作を示している。
【0034】
図4は、プリンタ10の第1非通常動作の制御を示すタイムチャートである。また、図5は、第1非通常動作時における処理を説明するフローチャートである。以下、図5を用いて、第1非通常動作時におけるプリンタ10の電力遮断処理とクロック信号停止処理、及びその復旧処理について説明する。
【0035】
電源部12は、プリンタ10のオン状態において、停電等により電源からの電力供給が停止(S32)すると、電力の出力を停止する。これにより、第1電圧検出回路20が出力する検出信号X1が、High状態からLow状態へと切り換わり(S34)、CPU32が、起動状態から停止状態に切り換わる。また、充電回路16に電力が供給されず、二次電池18への充電が停止する。状態検出回路36は、プリンタ10のオン状態にも関わらず、検出信号X1がLow状態へ切り換わったことを検出すると、コマンド待状態から充電回路16からの電力供給を遮断するセーブ状態へと移行する(S36)。
【0036】
また、状態検出回路36は、RTC24に出力する制御信号X3を、出力状態を示すHigh状態から、出力停止状態を示すLow状態へと切り換える(S38)。RTC24は、制御信号X3がLow状態へ切り換わったことを検出すると、状態検出回路36へのクロック信号CLの出力を停止する(S40)。
【0037】
電源部12は、停電復帰等を待機し(S42:NO)、電源からの電力供給が復帰する(S42:YES)と、電力の出力を再開する。これにより、検出信号X1が、Low状態からHigh状態へと変化し(S44)、CPU32が、停止状態から起動状態に切り換わる。状態検出回路36は、セーブ状態において、検出信号X1がHigh状態へ切り換わったことを検出すると、コマンド待状態へと移行する(S46)。
【0038】
状態検出回路36は、コマンド待状態へと移行すると、制御信号X3をLow状態からHigh状態へと切り換える(S48)。RTC24は、制御信号X3がHigh状態へ切り換わったことを検出すると、バックアップ電源動作回路38へのクロック信号CLの出力を再開する(S50)。
【0039】
(第2非通常動作時)
次に、第2非通常動作時の制御について説明する。ここで、第2非通常動作とは、非通常動作のうち、プリンタ10のオフ状態において電源から電力が供給されない状態となった場合の動作を示している。
【0040】
図6は、プリンタ10の第2非通常動作の制御を示すタイムチャートである。また、図7または図8は、第2非通常動作時における処理を説明するフローチャートである。以下、図7または図8を用いて、第2非通常動作時におけるプリンタ10の電力遮断処理とクロック信号停止処理、及びその復旧処理について説明する。
【0041】
図2に示す通常動作時と同様に、プリンタ10では、電源スイッチ26からオフ状態への遷移指示Yが入力される(S2)と、状態検出回路36は、コマンド待状態から再起動待状態へと移行する(S6)。電源部12は、電力の出力を停止し、第1電圧検出回路20が出力する検出信号X1が、High状態からLow状態へと切り換わる(S10)。CPU32は、起動状態から停止状態に切り換わる。電源部12からの電力の出力が停止すると、二次電池18に充電された電力が減少し、充電回路16の出力電圧V2が低下する。
【0042】
電源部12は、プリンタ10のオフ状態において電源からの電力供給が停止(S32)しても、既に電源部12からの電力の出力が停止されており、出力状態に変化はない。本実施形態では、電源部12が電力出力停止状態となっている場合に、電源部12はAC100VからDC6Vへの電圧変換処理も停止している。つまり、電源からの電極供給を遮断しており、電源からの電力供給が停止したことを検出しない。
【0043】
また、図2に示す通常動作時と同様に、第2電圧検出回路22は、出力電圧V2が閾値電圧VKまで減少した場合に(S12:YES)、第2電圧検出回路22が出力する検出信号X2が、High状態からLow状態へと切り換わる(S14)。状態検出回路36は、プリンタ10のオフ状態において、検出信号X2がLow状態へ切り換わったことを検出すると、再起動待状態からアップ待状態へと移行し(S16)、電源部12を電力出力状態とする制御信号X4を電源部12に出力する(S18)。
【0044】
状態検出回路36は、電源部12を電力出力状態にする制御信号X4を出力したにも関わらず、一定時間TDが経過しても電源部12から電力が供給されない場合、つまり検出信号X1がLow状態のままである場合(S52)、コマンド待状態からセーブ状態へと移行する(S54)。また、状態検出回路36は、RTC24に出力する制御信号X3を、High状態からLow状態へと切り換える(S56)。RTC24は、制御信号X3がLow状態へ切り換わったことを検出すると、バックアップ電源動作回路38へのクロック信号CLの出力を停止する(S58)。
【0045】
電源部12は、停電復帰等を待機し(S42:NO)、電源からの電力供給が復帰する(S42:YES)と、図5に示す第1非通常動作時と同様に、電力の出力を再開し、CPU32は、停止状態から起動状態に切り換わる。状態検出回路36は、セーブ状態からコマンド待状態へと移行し(S46)、制御信号X3をLow状態からHigh状態へと切り換える(S48)。RTC24は、制御信号X3がHigh状態へ切り換わったことを検出すると、バックアップ電源動作回路38へのクロック信号CLの出力を再開する(S50)。
【0046】
3.本実施形態の効果
(1)本実施形態のプリンタ10では、状態検出回路36が電源部12を電力出力状態とする制御信号X4を出力しているにも関わらず、電源部12から電力が出力されない場合、状態検出回路36はセーブ状態へと移行し、状態検出回路36における電力消費を抑える。そのため、電源部12から電力が出力されず、充電回路16の二次電池18を充電できない場合に、充電回路16に充電されている電力をRTC24のみに供給することができる。これによって、状態検出回路36とRTC24の両方に供給する場合に比べてRTC24に電力を供給可能な期間を長期化することができる。この結果、再び電源部12から電力が出力される状態となる前に、RTC24への電力の供給が終了し、再び電源部12から電力が出力される状態となった場合に、年月日や時間の設定等の作業が必要となる事態の発生を抑制することができる。
【0047】
具体的には、プリンタ10のオン状態において停電が発生した場合に、充電回路16から状態検出回路36に対する電力供給を遮断する。これによって、充電回路16に充電されている電力がRTC24のみに供給され、RTC24に電力を供給可能な期間が長期化する。また、プリンタ10のオフ状態において充電回路16の出力電圧V2が閾値電圧VKを下回った際に、停電等により充電回路16を再充電するための電力が供給されない場合に、充電回路16から状態検出回路36に対する電力供給を遮断する。これによって、充電回路16に充電されている残り少ない電力がRTC24のみに供給され、RTC24に電力を供給可能な期間が長期化する。
【0048】
(2)本実施形態のプリンタ10では、状態検出回路36が電源部12を電力出力状態とする制御信号X4を出力しているにも関わらず、電源部12から電力が出力されない場合、状態検出回路36はRTC24をクロック信号CLの出力停止状態とし、RTC24における電力消費を抑える。そのため、電源部12から電力が出力されず、充電回路16の二次電池18を充電できない場合に、充電回路16に充電されている電力の消費をおさえることができる。これによって、クロック信号CLを出力状態とした場合に比べてRTC24に電力を供給可能な期間を長期化することができる。この結果、再び電源部12から電力が出力される状態となる前に、RTC24への電力の供給が終了し、再び電源部12から電力が出力される状態となった場合に、年月日や時間の設定等の作業が必要となる事態の発生を抑制することができる。
【0049】
具体的には、プリンタ10のオン状態において停電が発生した場合に、クロック信号CLを出力しない状態とする。これによって、RTC24で消費される量が減少し、RTC24に電力を供給可能な期間が長期化する。また、プリンタ10のオフ状態において充電回路16から供給される電力の電圧が閾値電圧VKを下回った際に、停電等により充電回路16に電力を蓄えるための電力が供給されない場合に、充電回路16から状態検出回路36に対する電力供給を遮断する。これによって、充電回路16に充電されている電力が残り少ない場合に、RTC24で消費される量が減少し、RTC24に電力を供給可能な期間が長期化する。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、電源部12から電力が出力されない場合、状態検出回路36がセーブ状態へと移行することと、RTC24をクロック信号CLの出力停止状態とすることを共に行う例を用いて説明を行ったが、一方のみ行ってもよい。これらの少なくとも一方を行うことで、状態検出回路36またはRTC24における電力消費を抑えることができ、RTC24に電力を供給可能な期間を長期化することができる。
【0051】
(2)上記実施形態では、電源部12に電源から電力が供給されない例として停電を用いて説明を行ったが、これだけではない。例えば、プリンタ10の移動のために、電源部12を電源から非接続とした場合や、電源部12と電源を接続する配線の断線等の場合にも本発明は有用である。
【0052】
(3)上記実施形態では、装置として、印字部40を有し、プリンタ機能を有するプリンタ10を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。例えば、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の1つの機能を有する装置でもよければ、これらの機能の複数をあわせ持つ複合機であっても良い。
【0053】
(3)上記実施形態では、電源スイッチ26を有しており、ユーザによる電源スイッチ26の状態の切り換えにより状態検出回路36に遷移指示Yが入力される例を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。例えば、CPU32がユーザからの指令をうけてからの時間を計時しており、この計時時間に基づいてCPU32が状態検出回路36に遷移指示Yを出力してもよい。
【0054】
(4)上記実施形態では、プリンタ10が1つのASIC30を有し、ASIC30がCPU32を有する通常電源動作回路34と状態検出回路36を備えるバックアップ電源動作回路38を備える例を用いて示したが、本発明はこれに限られない。例えば、お互いに異なる制御ユニットに通常電源動作回路34とバックアップ電源動作回路38が構成されても良い。
【0055】
(5)上記実施形態では、状態検出回路36が電源部12に制御信号X4を出力し、電源部12の状態を切り換える例を用いて説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、状態検出回路36は電圧変換回路14に制御信号を出力し、電圧変換回路14の状態を切り換えてもよい。この場合、第1電圧検出回路20は、電圧変換回路14から出力される出力の電圧を測定する。また、電源部と電圧変換回路は、一体として形成されていても良い。
【符号の説明】
【0056】
10:プリンタ、12:電源部、14:電圧変換回路、16:充電回路、18:二次電池、20、22:電圧検出回路、24:RTC、26:電源スイッチ、30:ASIC、32:CPU、34:通常電源動作回路、36:状態検出回路、38:バックアップ電源動作回路、40:印字部、CL:クロック信号、TD:一定時間、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源から供給される電力を出力する電源部と、
二次電池を有し、前記電源部から出力される電力によって前記二次電池を充電する充電部と、
前記電源部に接続され、前記電源部から出力される電力によって画像を形成する形成部と、
前記電源部に接続され、前記電源部から出力される電力によって前記形成部を制御するメイン制御部と、
オン状態とオフ状態とを切り換える切換部と、
前記充電部から供給される電力によって駆動し、前記切換部の状態に基づいて前記電源部が電力を出力する状態と、前記電源部が電力の出力を停止する状態とを切り換えるバックアップ制御部と、
前記充電部から供給される電力によって計時するクロック部と、
を備え、
前記バックアップ制御部は、前記電源部から出力される電力を検出し、前記バックアップ制御部が前記電源部に対し電力を出力する状態を指示しているにも関わらず、前記電源部から電力が出力されない場合、前記充電部に対して当該バックアップ制御部に対する電力の供給を停止するように指示する画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記バックアップ制御部は、前記切換部がオン状態である場合、前記電源部に対して電力を出力するように指示しており、前記切換部がオン状態であるにも関わらず、前記電源部から電力が出力されない場合、前記充電部に対して当該バックアップ制御部に対する電力の供給を停止するように指示する画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記バックアップ制御部は、前記切換部がオフ状態である場合、前記電源部に対して電力の出力を停止するように指示する一方、前記充電部が供給する電力を検出し、前記切換部がオフ状態であって前記充電部から供給される電力が基準電力を下回った場合、前記電源部に対して電力を出力するように指示しており、当該バックアップ制御部から電力を出力するように指示されているにも関わらず、前記電源部から電力が一定時間に亘って出力されない場合、前記充電部に対して当該バックアップ制御部に対する電力の供給を停止するように指示する画像形成装置。
【請求項4】
商用電源から供給される電力を出力する電源部と、
二次電池を有し、前記電源部から出力される電力によって前記二次電池を充電する充電部と、
前記電源部に接続され、前記電源部から出力される電力によって画像を形成する形成部と、
前記電源部に接続され、前記電源部から出力される電力によって前記形成部を制御するメイン制御部と、
オン状態とオフ状態とを切り換える切換部と、
前記充電部から供給される電力によって駆動し、前記切換部の状態に基づいて前記電源部が電力を出力する状態と、前記電源部が電力の出力を停止する状態とを切り換えるバックアップ制御部と、
前記充電部から供給される電力によって駆動し、計時するとともに前記バックアップ制御部にクロック信号を出力するクロック部と、
を備え、
前記バックアップ制御部は、前記電源部から出力される電力を検出し、前記バックアップ制御部が前記電源部に対し電力を出力する状態を指示しているにも関わらず、前記電源部から電力が出力されていない場合、前記クロック部に対して当該バックアップ制御部に対する前記クロック信号の出力を停止するように指示する画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置であって、
前記バックアップ制御部は、前記切換部がオン状態である場合、前記電源部に対して電力を出力するように指示しており、前記切換部がオン状態であるにも関わらず、前記電源部から電力が出力されていない場合、前記クロック部に対して当該バックアップ制御部に対する前記クロック信号の出力を停止するように指示する画像形成装置。
【請求項6】
請求項4に記載の画像形成装置であって、
前記バックアップ制御部は、前記切換部がオフ状態である場合、前記電源部に対して電力の出力を停止するように指示する一方、前記充電部が供給する電力を検出し、前記切換部がオフ状態であって前記充電部から供給される電力が基準電力を下回った場合、前記電源部に対して電力を出力するように指示しており、当該バックアップ制御部から電力を出力するように指示されているにも関わらず、前記電源部から電力が一定時間に亘って出力されない場合、前記クロック部に対して当該バックアップ制御部に対する前記クロック信号の出力を停止するように指示する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−978(P2013−978A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134347(P2011−134347)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】