説明

画像形成装置

【課題】使用時の操作性及びメンテナンス作業時の作業性、設置スペースの小型化、並びに美観の向上を考慮して、アンテナの設置条件の最適化を図る。
【解決手段】画像形成装置10の本体背面102に取付部2を介してアンテナ1を設置する際に、アンテナ1の上端を原稿送り装置16の上面が構成する画像形成装置10の最上面よりも下方に位置させる。アンテナ1の上端が画像形成装置10の最上面よりも上方に露出することがなく、回転動作する原稿送り装置16や原稿送り装置16の上面に載置された原稿がアンテナ1と干渉することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部装置との間で無線通信を行うためのアンテナを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像形成装置、特に、複写機能、ファクス機能及びプリンタ機能等の複数の機能を備えたデジタル複合機(Multi Function Peripheral)では、無線ランモジュールやブルートゥースモジュールを搭載し、外部装置との間で無線通信を行うものがある。画像形成装置は、外部装置から送信された画像データを受信して画像形成処理等を行い、外部装置に対して動作状態を示すデータを送信する。
【0003】
画像形成装置には無線通信のためのアンテナを設置する必要があるが、アンテナは設置条件によって放射特性が変わる。
【0004】
そこで、従来の画像形成装置では、放射特性を考慮してアンテナの設置条件を決定したものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−278172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、画像形成装置は、使用時に使用者が操作する操作パネルや原稿カバー等、並びにメンテナンス作業時に作業者が開閉する外装カバーを備えている。このため、放射特性のみを考慮してアンテナの設置条件を決定すると、使用者の使用や作業者のメンテナンス作業に支障を来す位置にアンテナが設置される可能性がある。
【0007】
例えば、アンテナをその上端が画像形成装置の最上面よりも上方に露出するように設置すると、画像形成装置の最上面を構成する原稿カバー上に載置された原稿や記録紙がアンテナと干渉し、原稿や記録紙の損傷や、アンテナの破損を生じる可能性がある。また、開閉操作される原稿送り装置との干渉を避けるために、アンテナを原稿送り装置から十分に離間させる必要があり、画像形成装置の設置スペースが大型化する。さらに、アンテナの上部が装置の前方から視認され、美観が損なわれる問題もある。
【0008】
また、外装カバーにアンテナを取り付けると、メンテナンス作業時にはアンテナを取り外した後に外装カバーを取り外すことになり、メンテナンス作業が煩雑になる。外装カバーの下方にアンテナの下端部を取り付けた場合でも、アンテナの上端が画像形成装置の最上面よりも上方に露出していると、外装カバーを上方に大きく持ち上げる必要が生じる。
【0009】
この発明の目的は、使用時の操作性及びメンテナンス作業時の作業性、設置スペースの小型化、並びに美観の向上を考慮して、アンテナの設置条件の最適化を図った画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の画像形成装置は、無線通信機能を備え、上端が装置の最上面よりも下方に位置するように、装置本体背面に無線通信用アンテナを配置したことを特徴とする。
【0011】
この構成においては、無線通信用アンテナが上端を装置の最上面から上方に露出することなく、装置本体背面に配置される。画像形成装置の使用時に最上面に載置された原稿等がアンテナに干渉することがなく、原稿の損傷やアンテナの破損を生じることがない。また、画像形成装置の前方からアンテナの上部に視認されず、美観を損なうことがない。
【0012】
この構成において、装置本体背面に着脱自在にされた外装カバーを備える場合には、無線通信用アンテナを装置本体背面から離間させて保持する取付部を外装カバーの下方に取り付けることが好ましい。メンテナンス作業時に外装カバーを容易に取り外すことができ、メンテナンス作業の煩雑化を防止できる。
【0013】
また、取付部は拡張モジュールを内蔵した拡張ユニットとすることができる。この場合には、拡張ユニットを装置本体背面における画像形成部が配置されている領域よりも下方に取り付けることが好ましい。画像形成部で生じた熱による拡張モジュールの劣化を防止できる。
【0014】
さらに、装置本体の下方に配置される給紙ユニットを備えている場合には、拡張ユニットを給紙ユニットの背面に取り付けることが好ましい。画像形成部で生じた熱による無線通信モジュールの劣化をより確実に防止できる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、使用時の操作性及びメンテナンス作業時の作業性の向上、設置スペースの小型化、並びに美観の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A)及び(B)は、この発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の側面図及び背面側から見た斜視図である。
【図2】(A)及び(B)は、同画像形成装置における使用時の状態を説明する側面図である。
【図3】(A)及び(B)は、この発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の側面図及び背面側から見た斜視図である。
【図4】(A)及び(B)は、この発明の第3の実施形態に係る画像形成装置の側面図及び背面側から見た斜視図である。
【図5】(A)及び(B)は、この発明の第4の実施形態に係る画像形成装置の側面図及び背面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、この発明の実施形態に係る画像形成装置を、図面を参照して説明する。
【0018】
図1(A)及び(B)に示すように、この発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10は、複写機能、ファクス機能及びプリンタ機能等の複数の機能を備えたデジタル複合機であり、スキャナユニット11、画像形成部12、給紙カセット13、制御モジュール14を内蔵している。画像形成装置10の本体上面には、操作パネル15が設置され、原稿送り装置16が装着されている。画像形成装置10の背面102には、アンテナ1が配置されている。
【0019】
スキャナユニット11は、上部に配置された原稿台17の上面に使用者が載置した載原稿、又は原稿送り装置16が搬送する原稿から画像データを読み取る。
【0020】
画像形成部12は、スキャナユニット11が読み取った画像データに基づいて、例えば電子写真方式により、記録紙に対する画像形成処理を行う。画像形成部12は、制御モジュール14に含まれる無線通信モジュールを介して外部装置から受信したプリントデータ又は制御モジュール14に含まれる電話回線モジュールを介して受信したファックスデータに基づく画像形成処理も行う。画像形成部12は、インクジェット方式の画像形成処理を行うものであってもよい。
【0021】
給紙カセット13は、複数枚の記録紙を収容する。給紙カセット13内に収容されている記録紙は、図示しない搬送路を経由して画像形成部12に搬送される。
【0022】
操作パネル15は、画像形成装置10の本体上面における前面101側に設置されており、前面101に対向して位置する使用者の操作を受け付ける。
【0023】
原稿送り装置16は、原稿台17の上面を開閉する原稿カバーとしても機能し、背面102側の端部をヒンジとして画像形成装置10の上面に軸支されている。原稿送り装置16の上面が、画像形成装置10の最上面を構成する。
【0024】
アンテナ1は、その下端を保持する取付部2を介して画像形成装置10の本体背面102に取り付けられる。アンテナ1は、図示しないケーブルを介して、制御モジュール14に含まれる無線通信モジュールに接続されている。アンテナ1の上端は、原稿送り装置16の上面である画像形成装置10の最上面よりも下方に位置している。
【0025】
このため、図2(A)に示すように、原稿台17の上面を開閉する際に回転される原稿送り装置16との干渉を避けるために、アンテナ1を本体背面102から大きく離間させる必要がなく、画像形成装置10の設置スペースの大型化を防止できる。
【0026】
また、図2(B)に示すように、原稿送り装置16の上面に載置された原稿100等がアンテナ1と当接することがなく、原稿100の損傷やアンテナ1の破損を防止できる。
【0027】
さらに、アンテナ1は画像形成装置10の前方(斜め側方及び斜め上方を含む。)から視認されることがなく、画像形成装置10の美観を損なうことがない。
【0028】
図3(A)及び(B)に示すように、この発明の第2の実施形態に係る画像形成装置20は、本体背面102に外装カバー21を着脱自在に備えた点、及び本体背面102における外装カバー21よりも下方に取付部2を取り付けた点で、画像形成装置10と相違している。画像形成装置20のその他の構成は、画像形成装置10と共通する。
【0029】
外装カバー21は、取付部2を取り外すことなく、本体背面102に着脱できる。また、図示しない取付ネジを弛めて取外し可能にされた外装カバー21を、側方に移動させることができず、上方に移動させる必要がある場合でも、外装カバー21の下端がアンテナ1の上端を越える高さだけ外装カバー21を持ち上げればよい。アンテナ1の上端が画像形成装置20最上面よりも上方に露出している場合に比べて、外装カバー21を持ち上げるべき高さが小さくなる。これらによって、作業者によるメンテナンス作業を簡略化できる。
【0030】
図4(A)及び(B)に示すように、この発明の第3の実施形態に係る画像形成装置30は、本体背面102に取り付けられてアンテナ1の下端を保持する取付部31を拡張モジュールを内蔵する拡張ユニットとした点で、画像形成装置10と相違している。画像形成装置30のその他の構成は、画像形成装置10と共通する。
【0031】
拡張ユニットとしての取付部31に内蔵される拡張モジュールは、例えば無線通信モジュールやPCモジュールである。画像形成装置の背面102側で、アンテナ1を設置するために必要なスペースを有効に活用することができる。
【0032】
図5(A)及び(B)に示すように、この発明の第4の実施形態に係る画像形成装置40は、下部に給紙装置41を備え、拡張ユニットとしての取付部31を給紙装置41の背面412に取り付けた点で、画像形成装置30と相違している。画像形成装置40のその他の構成は、画像形成装置30と共通する。
【0033】
画像形成装置40が内蔵する画像形成部12は、画像形成処理時に発熱する。特に、電子写真方式の画像形成処理を行う画像形成部12は、トナーを溶融可能な温度に維持される定着部を備えている。拡張ユニットとしての取付部31を画像形成装置40の本体背面102に取り付けることとすると、画像形成部12で生じた熱が取付部31内の拡張モジュールを劣化させる可能性がある。
【0034】
そこで、画像形成装置40の下方に配置された給紙装置41の背面に取付部31を取り付けることにより、画像形成部12で生じた熱が取付部31内の拡張モジュールに影響を及ぼさないようにすることができる。
【0035】
また、画像形成装置40の本体背面102に外装カバー21が着脱自在に取り付けている場合には、取付部31を取り外すことなく外装カバー21を本体背面102に対して着脱することができ、メンテナンス作業を簡略化できる利点もある。
【0036】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
1−アンテナ
2−取付部
10,20,30,40−画像形成装置
16−原稿送り装置
101−本体前面
102−本体背面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信機能を備えた画像形成装置であって、
上端が装置の最上面よりも下方に位置するように、装置本体背面に無線通信用アンテナを配置した画像形成装置。
【請求項2】
装置本体背面に着脱自在にされた外装カバーと、
前記無線通信用アンテナを装置本体背面から離間させて保持する取付部であって前記外装カバーの下方に取り付けられる取付部と、を備えた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記取付部は、拡張モジュールを内蔵した拡張ユニットである請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記拡張ユニットは、装置本体背面における画像形成部が配置されている領域よりも下方に取り付けた請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
装置本体の下方に配置される給紙ユニットを備え、
前記拡張ユニットを前記給紙ユニットの背面に取り付けた請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−98954(P2013−98954A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243019(P2011−243019)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】