説明

画像形成装置

【課題】複数の記録ヘッドおよびその維持回復機構としてキャップ部材と吸引手段とを有する画像形成装置において、従来よりも装置の小型化、組み付け性向上および低コスト化を図る。
【解決手段】メンテナンス装置6Aは、キャップ部材としての複数の吸引キャップ10と、連通部材としての複数の接続チューブ11と、吸引手段としての吸引ポンプ13とから主に構成される。各吸引キャップ10には、当接部10aと、収容部10bと、排出孔10eと、排出孔10eに連通し略水平方向に延びた排出口10cを備えた複数の連結部10dとが一体的に形成されている。各吸引キャップ10は、隣接した各吸引キャップ10を連結し廃液を排出するための排出口10cを備えた連結部10dを複数有し、隣接した各吸引キャップ10の連結部10d同士が接続チューブ11で直列に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特にインクを含む液滴を吐出する複数の記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、あるいはこれら2つ以上の機能を備えた複合機等の画像形成装置の技術分野において、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送されるシート状記録媒体(以下、「シート」ともいう)としての用紙等に対して吐出して、画像形成(以下、「記録、印字、印写、印刷」も同義語で用いる)を行うものである。
液体吐出記録方式の画像形成装置には、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するキャリッジを用いるシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置とがある。
【0003】
上述したような記録ヘッドからインク滴を吐出してシートに画像形成を行う画像形成装置(以下、「インクジェット記録装置」ともいう)においては、記録ヘッドは、インクをノズルからシートに吐出させて記録を行う関係上、ノズルからの溶媒の蒸発に起因するインク粘度の上昇や、インクの固化、塵埃の付着、さらには気泡の混入などによって吐出不良の状態となり、記録不良を起こすということから、記録ヘッドの性能を維持回復する維持回復機構(もしくは維持回復装置)を備えている。
【0004】
上記維持回復機構は、例えば、記録ヘッドのノズル面を覆って密封する「キャップ」もしくは「ノズルキャップ」とも称されるキャッピング手段ないしノズルキャップ部材もしくはキャップ部材を備え、装置の非稼動時には記録ヘッドのキャッピングを行うことで、ノズル内のインクの乾燥、増粘を抑えるようにしている。また、記録動作の前後やその最中において、記録動作に寄与しないインク滴の吐出を行い、ノズル内で乾燥、増粘したインクを排出して、吐出性能の回復や維持を図るようにしている。
このようなノズルの吐出性維持のための画像形成に寄与しないインク滴の吐出は予備吐出もしくは空吐出と称され、専用の空吐出受けに吐出し、あるいはキャップに対して吐出することが行われる。
【0005】
複数の記録ヘッドを配列することでライン印字を行うライン型インクジェット記録装置において、インク吐出状態の回復手段として一般的に用いられている方式として吸引回復方式がある。この吸引回復方式を用い、複数の記録ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置においては、記録ヘッドごとに対応した吸引キャップ等のキャップ部材等を備え、キャップ部材に連結された吸引ポンプにより負圧を発生させ、記録ヘッド内部のインクの排出を行う技術は既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1には、連通部材を削減させ、連通部材の取り回しを簡便にする目的で、インク噴射用ノズルが形成されたノズル面を有する複数の記録ヘッドと、複数の前記記録ヘッドそれぞれに対応して該記録ヘッドの下方に配置可能とされ、前記インク噴射用ノズルから排出されたインクを受け止める第1受け部と、前記インク噴射用ノズルから排出されたインクを排出させる第1排出孔と、を有する複数の第1インク受け部材と、複数の前記第1インク受け部材に対応して該第1インク受け部材の下方に配置され、複数の前記第1排出孔それぞれから排出されたインクを併せて受け止める第2受け部と、前記第1排出孔それぞれから排出されたインクを併せて排出させる第2排出孔と、を有する第2インク受け部材と、インクを収容するインク収容室を有する廃インク容器と、前記第2インク受け部材の前記第2排出孔と前記廃インク容器の前記インク収容室とを連通させる連通部材とを備えるインクジェット記録装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1記載のインクジェット記録装置では、各吸引キャップ(キャップ部材)同士の連結をしないで、接続チューブ、ジョイントがない構成となっている。すなわち、各キャップ(51)の第1底面(511)で受け止めたインク(廃液)は各キャップ(51)の第1排出孔(514)から下方のキャップケース(52)に垂らし、キャップケース(52)の1箇所に集め排出を行う方式である。そのため、ある程度の高さが必要となり、キャップユニット(50)の小型化が難しいという問題点がある。
【0008】
一方、後述する図4に示す比較例に代表される従来のインクジェット方式の画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」ともいう)では、単一の吸引ポンプ(吸引手段)によって複数の吸引キャップからインク(廃液)の吸引を行う場合、従来の吸引キャップには鉛直方向に排出口があるため、高さ方向のスペースが大きくなる点(特許文献1でも同様)、さらに吸引キャップを連結するチューブやジョイントの取り回し(這い回し)が煩雑になり組み付け性が低下する点、連結・連通部材等の部品点数増加に伴いコストが上昇するという問題点がある。
【0009】
そこで、本発明は、上述した課題に鑑みてその課題を解決するためになされたものであり、複数の記録ヘッドおよびその維持回復機構としてキャップ部材と吸引手段とを有する画像形成装置において、従来よりも装置の小型化、組み付け性向上および低コスト化を図ることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、本発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
本発明は、液滴を吐出するノズルが形成され、ノズル面を備えた複数の記録ヘッドと、前記各記録ヘッドに対向して配置され、前記ノズルから排出された廃液を受け止めるべく前記ノズル面を覆うキャップ部材と、該各キャップ部材に収容された廃液を吸引する吸引手段とを有する画像形成装置において、前記各キャップ部材は、隣接した各キャップ部材を連結し廃液を排出するための排出口を備えた連結部を複数有し、前記隣接した各キャップ部材の前記連結部同士を連通部材で直列に連結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、前記課題を解決して新規な画像形成装置を実現し提供することができる。すなわち、本発明によれば、前記構成により、従来よりも装置の小型化、組み付け性向上および低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態を適用する画像形成装置の全体構成を説明する概略構成図である。
【図2】図1の画像形成装置の模式的平面図である。
【図3】ヘッドユニットの一例を示す模式的説明図である。
【図4】図1および図2の画像形成装置に維持回復機構として搭載されるメンテナンス装置の比較例の要部正面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態を示す画像形成装置のメンテナンス装置の要部正面図である。
【図6】第1の実施形態の変形例1を説明する図であって、(a)は吸引キャップの平面図、(b)は同吸引キャップの正断面図、(c)は同吸引キャップの側面図である。
【図7】変形例1の別の変形例2を説明する図であって、(a)は吸引キャップの平面図、(b)は同吸引キャップの正断面図、(c)は同吸引キャップの側面図である。
【図8】変形例1のさらに別の変形例3を説明する図であって、(a)は吸引キャップの平面図、(b)は同吸引キャップの正断面図、(c)は同吸引キャップの側面図である。
【図9】変形例4を説明する図であって、吸引キャップ同士を連通部材で連結したメンテナンス装置の要部の正断面図である。
【図10】第1の実施形態のメンテナンス装置のより具体的なレイアウト構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を詳細に説明する。各実施形態および各変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品等)については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、上記背景技術を含めその符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0014】
以下、本願発明において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
「液滴」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、樹脂、液体などと称されるものを含み、画像形成を行うことが可能に微細粒状化して液滴にできる全ての液体の液滴の総称として用いる。また、「シート」とは、材質を紙に限定するものではなく、OHPシート、布なども含み、液滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙、あるいは単に用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。また、画像とは2次元画像に限らず、3次元画像も含まれる。
【0015】
図1および図2を参照して、本発明の実施形態等を適用する画像形成装置の一例を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態を適用する画像形成装置の全体構成を説明する概略的な正面図である。図2は、同装置の模式的な平面図である。
【0016】
この画像形成装置は、ライン型画像形成装置(ライン型インクジェット記録装置)であり、装置本体1と、シートの一例としての用紙Pを積載し給紙する給紙トレイ2と、印刷された用紙Pを排紙積載する排紙トレイ3と、用紙Pを給紙トレイ2から排紙トレイ3まで搬送する搬送部4と、搬送部4によって搬送される用紙Pに液滴の一例としてのインク滴を吐出し印字する記録ヘッドを構成するヘッド部5と、印刷終了後または所要のタイミングでヘッド部5の各記録ヘッドの維持回復を行う維持回復機構であるメンテナンス装置6と、メンテナンス装置6のキャップ部材、ワイパ部材(ブレード手段)を清掃(クリーニング)するワイパ清掃手段であるクリーナ装置7とを備えている。
なお、メンテナンス装置6は、維持回復装置もしくは回復ユニットとも称される。
【0017】
装置本体1は、図示しない前後側板およびステーなどで構成されており、上記各部・装置を支持したり、取り付けたりするものである。給紙トレイ2上に積載されている用紙Pは、給紙ローラ21および分離ローラ22によって1枚ずつ搬送部4に給紙される。
【0018】
搬送部4は、搬送駆動ローラ41Aと搬送従動ローラ41Bと、これらのローラ41A、41B間に掛け回された無端状の搬送ベルト43とを備えている。この搬送ベルト43の表面には複数の図示しない穴が形成されており、搬送ベルト43の下部には用紙Pを吸引する吸引ファン44が配置されている。搬送駆動ローラ41A、搬送従動ローラ41B上部には、それぞれに対応して搬送ガイドローラ42A、42Bが図示しないガイド部材に保持されて、自重にて搬送ベルト43に当接している。
【0019】
搬送ベルト43は、搬送駆動ローラ41Aが図示しないモータにより回転されることで周回移動する。用紙Pは搬送ベルト43上に吸引ファン44により吸い付けられ、搬送ベルト43の周回移動によってシート搬送路Xの下流側へと搬送される。なお、搬送従動ローラ41B、搬送ガイドローラ42A、42Bは、搬送ベルト43に従動して回転する。
【0020】
搬送部4の上部には、用紙Pに印字するインク滴を吐出する複数の記録ヘッドで構成されるヘッド部5が移動可能(ここでは昇降可能)に配置されている。このヘッド部5は、維持回復動作時(メンテナンス時)にはメンテナンス装置6がヘッド部5の下方まで進入してくるスペースを確保する位置まで上昇する。
【0021】
ヘッド部5は、図3にも示すように、ベース部材52に一列に配列した複数(この例では5個)の記録ヘッドとしてのヘッド61で構成される4つのヘッド列51A〜51Dを有するヘッドユニット50を備えている。各ヘッド61は、インク滴を吐出する複数のノズル62がノズル面64に2列配列されている。そして、ヘッド列51A、51Bの各ヘッド61の2つのノズル列の一方でイエロー(Y)のインク滴を、他方でマゼンタ(M)のインク滴を吐出し、また、ヘッド列51C、51Dの各ヘッド61の2つのノズル列の一方でシアン(C)のインク滴を、他方でブラック(K)のインク滴を吐出する。
つまり、ヘッド部5は、同じ色のインク滴を吐出する2つのヘッド列51がシート搬送方向Xに並べて配置され、2つのヘッド列51でシート幅相当の1列分のノズル列が構成されている。ここでは、150dpiの画像解像度を1ラインとしている。なお、図1〜図3において、符号Yは、シート搬送方向Xと直交する幅方向(以下、「シート幅方向」もしくは「主走査方向」ともいう)を示す。
【0022】
なお、各色のライン構成は、上記に限るものではなく、各色の配置は特に限定はない。また、ヘッド部の構成も、上記例に限るものではなく、例えば上記ヘッド部を2個並べて1ヘッド列に1色を割り当て、画像解像度を上記の2倍にした構成などとすることもできる。
【0023】
ヘッド部5には、ヘッドユニット50の各ヘッド61にインクをそれぞれ供給する分岐部材(図示せず)が各色ごとに配列され、分岐部材上流側にはサブタンク(図示せず)が配置され、サブタンクとヘッドとの水頭差によって、ヘッド61のノズル62のメニスカスを保持するのに適切な負圧が形成される。また、サブタンク上流側には、インクを貯蔵する交換可能なメインタンク(図示せず)が配置されている。
【0024】
搬送部4の下流側には、用紙Pを排紙トレイ3に排紙する搬送ガイド部45が配置されている。搬送ガイド部45にて搬送された用紙Pは排紙トレイ3に排紙される。排紙トレイ3は、用紙Pの幅方向を規制する一対のサイドフェンス31と、用紙Pの先端を規制するエンドフェンス32とを備えている。
【0025】
搬送部4の上方であってヘッド部5におけるシート搬送方向Xの下流側には、各ヘッド61のノズル面64をメンテナンスするメンテナンス装置6が配置されている。メンテナンス装置6は、ヘッド列51A〜51Dの各ヘッド61に対応してノズル面64をキャッピング(覆い密封)するキャップ部材としての吸引キャップ71と、各ヘッド61に対応してノズル面64をワイピングするブレード状のワイパ(ワイパブレード、図1には図示せず)と、1列分の吸引キャップ71内を吸引する吸引ポンプ等を備えた吸引手段63などを有している。
このメンテナンス装置6は、吸引キャップ71にてヘッド61のノズル面64を密閉した状態で吸引手段63によって吸引することでノズル62から増粘したインクを排出させてヘッド61の吐出性能を回復させる。
【0026】
なお、メンテナンス装置6の吸引手段63や吸引キャップ71と吸引手段63をつなぐ流路、その他圧力室等は、装置本体1の後側板の外側に配置し、チューブ等の経路を使用して接続することもできる。また、維持回復時に吸引に代えて、あるいは吸引とともにヘッド61の上流側から加圧手段によってヘッド61内を加圧する構成とすることもできる。
【0027】
メンテナンス装置6は、搬送部4の上方でシート搬送方向Xに沿ってスライド移動可能に配置され、ヘッドメンテナンス時にはヘッド部5が上昇した後ヘッド部5の下部に移動し、印字中は図1の位置に退避する。
【0028】
メンテナンス装置6の上部には、吸引キャップ71およびワイパブレード(図示せず)に付着したインク滴(廃液)を清掃するクリーナ装置7が配置されている。このクリーナ装置7は、図示しないクリーナ移動手段によって用紙搬送面に対して鉛直方向(上下方向でもある)Zに上下移動可能に配置されている。ヘッド61のメンテナンスが終了したメンテナンス装置6がヘッド部5におけるシート搬送方向Xの下流側に退避した状態において、クリーナ装置7が下降移動し、吸引キャップ71およびワイパブレード(図示せず)を清掃する。
【0029】
図1〜図3に示した画像形成装置における維持回復動作の詳細は、例えば本出願人が提案した特開2011−025621号公報の図5のフロー図、図6の動作説明図、図7のメンテナンス動作の説明図に示した動作内容と比較して、一部の用語・符号を変更した内容を除き同様である。そのため、重複説明を避ける上からこれ以上の説明を省略する。なお、本願の図1〜図3で用いた用語・符号「吸引キャップ71」を「キャップ61」と、「ヘッド61」を「ヘッド101」と、「ノズル62」を「ノズル102」と、「ノズル面64」を「ノズル面104」と、それぞれ読み替えればよい。
【0030】
(比較例のメンテナンス装置)
図4を参照して、図1および図2等に示した画像形成装置に維持回復機構として搭載されるメンテナンス装置6Aの比較例について説明する。図4は、比較例のメンテナンス装置6Xの要部を示している。
【0031】
図4に示すように、メンテナンス装置6Xは、キャップ部材としての複数の吸引キャップ71と、複数の接続チューブ73と、複数のジョイント74a,74bと、複数の接続チューブ75と、単一の吸引手段としての吸引ポンプ76とから主に構成されている。
【0032】
複数の吸引キャップ71(同図には3個のみ示す)は、各色ごとに配列された複数のヘッド61(同図には3個のみ示す)に対向してキャッピング可能に配置されている。各吸引キャップ71には、各ヘッド61のノズル面(図示せず)に突き当たった状態に接触させる(以下、「当接」という)当接部71aと、各ヘッド61のノズル(図示せず)から排出された廃液を受け止め・収容する収容部71bと、収容部71bに溜った廃液を排出するための収容部71bの底部に連通する排出口71cが形成された連結部71dとが一体的に設けられている。
【0033】
各吸引キャップ71の連結部71dには接続チューブ73が接続され、各接続チューブ73にはジョイント74a,74bが接続されている。さらにジョイント74a,74b同士が、接続チューブ75で直列に連結・接続されることにより廃液経路を形成し、廃液経路の下流側に吸引手段である単一の吸引ポンプ76が配置されている。吸引ポンプ76のさらに下流側には、廃液容器として図示しない廃液タンクが配置される。単一(1つ)の吸引手段としての吸引ポンプ76は、各色ごとに配列された複数のヘッド61および複数の吸引キャップ71に対応して配置される。
なお、ジョイント74bは、シート幅方向Yの最上流側に配置されるL形ジョイントであり、ジョイント74aは、シート幅方向Yの下流側に配置されるT形ジョイントである。
【0034】
比較例のメンテナンス装置6Xの動作を説明する。図4において、図示しないヘッド部が所定量下降移動して前記ヘッド部における各ヘッド61のノズル面(図示せず)が各吸引キャップ71にてキャッピングされ、この状態で維持回復動作(メンテナンス動作)が行われる。
待機時には各ヘッド61の上記図示しないノズル面を吸引キャップ71にてキャッピングした状態となり、各ヘッド61の上記図示しないノズル内のインクの乾燥を防止する。
【0035】
メンテナンス動作時、前記図示しないヘッド部が下降して、各ヘッド61が各吸引キャップ71の当接部71aに当接し上記図示しないノズル面をキャッピングする。そして、吸引ポンプ76で吸引することにより、連通した状態にある接続チューブ75、ジョイント74a,74b、接続チューブ73および各吸引キャップ71を介して、各ヘッド61の上記図示しないノズルからインクが吸引排出される。各ヘッド61から吸引排出された増粘インクや気泡などの廃液は、各吸引キャップ71の収容部71bに集められ、各吸引キャップ71の排出口71cから接続チューブ73、ジョイント74a,74b、接続チューブ75を通って、廃液の流れとなって、上記図示しない廃液タンクに貯蔵される。
【0036】
上記比較例のメンテナンス装置6Xの構成では、排出口71bが鉛直方向Zにあるため高さが高くなるとともに、接続チューブ73,75およびジョイント74a,74bの這い回し経路の確保が必要となり、取り回し(這い回し)が煩雑になるため組み付け性が低下してしまう。また、接続チューブ73,75およびジョイント74a,74bの使用個数が多いため、連結・連通部材の部品点数が増加し、これらに伴い結果的にコストアップするという問題点がある。
【0037】
(第1の実施形態)
図5を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する(請求項1、3、4)。図5(a)は、本発明の第1の実施形態を示すメンテナンス装置の要部の平面図、図5(b)は、同メンテナンス装置の要部の正面図、図5(c)は、同メンテナンス装置の要部の側面図である。
第1の実施形態は、図1〜図3に示した画像形成装置と比較して、メンテナンス装置6に代えたメンテナンス装置6Aを用いる点のみ相違する。この相違点以外の第1の実施形態の構成は、図1〜図3に示した画像形成装置と同様である。
【0038】
以下、本発明の特有の構成を明確にするため、図4に示した比較例のメンテナンス装置6Xと対比しながら、本実施形態のメンテナンス装置6Aを詳述する。図5に示すように、メンテナンス装置6Aは、キャップ部材の一例としての複数の吸引キャップ10と、連通部材の一例としての複数の接続チューブ11と、吸引手段の一例としての吸引ポンプ13とから主に構成されている。
【0039】
複数の吸引キャップ10(同図には3個のみ示す)は、複数のヘッド61(同図には3個のみ示す)に対向してキャッピング可能に配置されている。各吸引キャップ10には、各ヘッド61のノズル面(図示せず)に当接する当接部10aと、各ヘッド61のノズル(図示せず)から排出された廃液を受け止め・収容する収容部10bと、収容部10bの底部に溜った廃液を排出するための排出孔10eと、排出孔10eに連通し略水平方向(図5ではシート幅方向Yでもある)に延びた排出口10cを備えた複数の連結部10dとが一体的に構成ないし形成(以下、「形成」という)されている。各吸引キャップ10は、材料は特に問わないが、例えば樹脂あるいは金属で一体的に形成されている。
【0040】
ここで、「略水平方向」とは、鉛直方向Zと直交する水平方向を含み、設計公差を加味した水平方向内であればよいことを意味する。また、「吸引キャップ10を一体的に形成する」とは、製作上、金型などで一体成型することを含む他、例えば吸引キャップ10の中央部で2等分した形状を金型などで製作した後、適宜の接着や溶着あるいは溶接などによって結合したり、排出口10c部分を後加工したりして形成してもよいことを意味する(以下、同じ)。
【0041】
各吸引キャップ10に一体的に形成された連結部10dは、外周面円形状の管状をなし、隣接した各吸引キャップ10を接続チューブ11を介して連結・接続するためのものである。図5に示すように、廃液の流れに沿って形成される廃液経路の最上流側の吸引キャップ10には、隣接する吸引キャップ10が左隣に1個しかないため、連結部10dは廃液の流れ方向の一箇所に形成されている。廃液経路の下流側の各吸引キャップ10には、隣接する吸引キャップ10が左右の両隣にあるため、連結部10dは廃液経路の上流および下流側の二箇所に形成されている。
【0042】
接続チューブ11は、弾性部材の一例としてのゴムで形成されている。連通部材の弾性部材に要求される性能としては、液滴としてのインクに侵されない材質であることが好ましい。各吸引キャップ10の連結部10dに接続チューブ11が接続されることで、隣接した各吸引キャップ10を直列に連通・連結し廃液を排出するための廃液の排出経路(以下、「廃液経路」ともいう)が構成され、廃液の流れを形成して排出することができる。さらに廃液経路の最下流側に、単一(1つ)の吸引手段としての吸引ポンプ13が配置されている。吸引ポンプ13のさらに下流側には、廃液容器として図示しない廃液タンクが配置される。
【0043】
ここで、単一の吸引手段とは、図5の吸引ポンプ13のように、複数の一列に直列連結・接続されたキャップ部材(吸引キャップ10)を1つの吸引手段(吸引ポンプ13)で吸引することを意味する。すなわち、各色ごとに配列された複数の記録ヘッドおよび複数のキャップ部材に対応して、単一(1つ)の吸引手段が配置されることを意味する(後述の変形例等でも同じ)。本実施形態が適用される図1〜図3に示した画像形成装置においては、フルカラー4色の各色ごとに配列された複数の記録ヘッドおよび複数のキャップ部材に対応して、合計4つの吸引手段が配置されることとなる。
【0044】
上述したとおり、本実施形態のメンテナンス装置6Aにおいて、各吸引キャップ10は、隣接した各吸引キャップ10を直列に連結し廃液を排出するための排出口10cを備えた連結部10dを複数有し、隣接した各吸引キャップ10の連結部10d同士が接続チューブ11で直列に連結されている構成である。
【0045】
本実施形態のメンテナンス装置6Aの動作を説明する。図5において、図示しないヘッド部が所定量下降移動して前記ヘッド部における各ヘッド61のノズル面(図示せず)が各吸引キャップ10にてキャッピングされ、この状態で維持回復動作(メンテナンス動作)が行われる。
待機時には各ヘッド61の上記図示しないノズル面を吸引キャップ10にてキャッピングした状態となり、各ヘッド61の上記図示しないノズル内のインクの乾燥を防止する。
【0046】
メンテナンス動作時、前記図示しないヘッド部が下降して、各ヘッド61が各吸引キャップ10の当接部10aに当接し上記図示しないノズル面をキャッピングする。そして、吸引ポンプ13の吸引作動により、連通した状態にある接続チューブ11および各吸引キャップ10を介して、各ヘッド61の上記図示しないノズルからインクが吸引排出される。各ヘッド61から吸引排出された増粘インクや気泡などの廃液は、各吸引キャップ10の収容部10bに集められ、排出孔10eから排出口10c、さらに接続チューブ11を通って、廃液の流れとなって、上記図示しない廃液タンクに貯蔵される。
【0047】
上述したとおり、本実施形態によれば、従来よりも装置の小型化、組み付け性向上および低コスト化を図ることができる。より具体的には、本実施形態のメンテナンス装置6Aでは、従来のように鉛直方向Zに排出口を持たず、各吸引キャップ10に連結用の排出口10cを備えた複数の連結部10dを持ち、各吸引キャップ10同士を直に、接続チューブ11を介して直列に接続・連結することができるので、高さ方向(鉛直方向Z)に省スペースとなり小型化を図れ、非常に薄型のメンテナンス装置6Aを実現できる。また、各吸引キャップ10同士を直に、接続チューブ11を介して略水平方向に直列に接続・連結することができるので、さらに高さを低くでき、さらなる省スペース・小型化を図れる。
【0048】
また、図4の比較例のようなジョイントもないので部品点数が低減するとともに、廃液経路の簡素化による組み付け性向上、低コスト化が可能となる。さらに、分岐等の必要がないので交換性にも優れ、廃液経路の最上流側に配置される吸引キャップ10は複数の排出口10cを持たずに1つで済む。
また、吸引キャップ10同士を弾性部材からなる連通部材としての接続チューブ11を用いて直列に連結・接続するので、連結された各々の吸引キャップ10の上下動作を接続チューブ11が阻害することがない。
【0049】
(変形例1)
図6を参照して、第1の実施形態の変形例1を説明する(請求項2、3、4)。図6(a)は、変形例1の吸引キャップの平面図、図6(b)は、同吸引キャップの正断面図、図6(c)は、同吸引キャップの側面図である。なお、図6(b)の正断面図は、端面図的に描かれている(図7(b)、図8(b)、図9も同じ)。
変形例1は、図5のメンテナンス装置6Aに使用された複数の吸引キャップ10に代えて、キャップ部材としての吸引キャップ10Aを用いる点のみ相違する。この相違点以外の変形例1の構成は、図5に示したメンテナンス装置6Aと同様である。
【0050】
図6に示すように、変形例1の吸引キャップ10Aは、ニップ部材15とニップ部材15を保持するベース部材16とで一体的に構成されている。変形例1の吸引キャップ10Aは、一体的に形成された図5の吸引キャップ10と比較して、上記図示しないヘッドのノズル面と当接し密封する当接部10Aaを含むニップ部材15と、ニップ部材15と一体的に構成され、ニップ部材15を保持するベース部材16とで一体的に構成されている点、ベース部材16が排出口10Aeを備えた複数の連結部10Adを有している点が主に相違する。
【0051】
吸引キャップ10Aには、上記当接部10Aa、収容部10Ab、排出孔10Aeと、排出口10Acを備えた複数の連結部10Adとが一体的に形成されている。但し、廃液経路の最上流側に配置される吸引キャップ10Aは、図5を借りて説明すると、下流側に排出口10Acを備えた1つの連結部10Adを持っているだけで済む。
【0052】
ベース部材16は、吸引キャップ10A全体の剛性を確保しており、材質が樹脂であることが望ましい。ニップ部材15は、図示しないヘッドのノズル面と当接し密閉状態を確保する部分であり、材質がゴムまたはエラストマー等の弾性体であることが望ましい。
【0053】
排出口10Acを備えた連結部10Adは、吸引キャップ10Aの両端に略水平方向に設けられている。それぞれの連結部10Adは、隣接する吸引キャップ10Aと連通部材を介し直列に連結・接続される。連通部材は、弾性材料であり、ゴムチューブのような管状の弾性体であることが望ましい。吸引キャップ10A内部の廃液経路は、収容部10Ab内のインクが中央に集められた後、排出孔10Aeから排出口10Acへ排出される。
【0054】
変形例1によれば、第1の実施形態と同様のメンテナンス装置6Aに吸引キャップ10に代えて吸引キャップ10Aを採用した場合、第1の実施形態と同様の効果を奏することは無論である。また、ヘッドのノズル面と当接し密封する機能の当接部10Aaを備えたニップ部材15と、ニップ部材15を保持する機能のベース部材16とに材質上から機能を分けたので、第1の実施形態の吸引キャップ10よりもキャップ部材としてより機能を発揮するという効果を奏する。
【0055】
(変形例2)
図7を参照して、変形例1の別の変形例2を説明する(請求項2、3、4)。図7(a)は、変形例2の吸引キャップの平面図、図7(b)は、同吸引キャップの正断面図、図7(c)は、同吸引キャップの側面図である。
変形例2は、変形例1の吸引キャップ10Aに代えて、キャップ部材としての吸引キャップ10Bを用いる点のみ相違する。
【0056】
図7に示すように、変形例2の吸引キャップ10Bは、図6の吸引キャップ10Aと比較して、ベース部材16で形成された吸引キャップ10Aの収容部10Abの底壁および排出孔10Aeを除去して、吸引キャップ10Bの収容部10Bb側面から直接連結用の複数の排出口10Beへとインクを含む廃液が排出される構成である点が相違する。この相違点以外の変形例2の構成は、図6に示した変形例1と同様である。
【0057】
吸引キャップ10Bには、当接部10Ba、収容部10Bb、排出口10Bcを備えた複数の連結部10Bdとが一体的に形成されている。但し、廃液経路の最上流側に配置される吸引キャップ10Bは、図5を借りて説明すると、下流側に排出口10Bcを備えた1つの連結部10Bdを持っているだけで済む。
【0058】
変形例2によれば、第1の実施形態と同様のメンテナンス装置6Aに吸引キャップ10に代えて吸引キャップ10Bを採用した場合、第1の実施形態と同様の効果を奏することは無論である。また、ヘッドのノズル面と当接し密封する機能の当接部10Baを備えたニップ部材15と、ニップ部材15を保持する機能のベース部材16とに材質上から機能を分けたので、変形例1と同様の効果を奏する。また、変形例1の吸引キャップ10Aと比べて、収容部10Abの底壁および排出孔10Aeが除去されている分、より低コストを図れる。
【0059】
(変形例3)
図8を参照して、図6に示した変形例1のさらに別の変形例3を説明する(請求項2、3、4)。図8(a)は、変形例3の吸引キャップの平面図、図8(b)は、同吸引キャップの正断面図、図8(c)は、同吸引キャップの側面図である。
変形例3は、図6の吸引キャップ10Aに代えて、キャップ部材としての吸引キャップ10Cを用いる点のみ相違する。
【0060】
図8に示すように、変形例3の吸引キャップ10Cは、ニップ部材15とベース部材16とが一体的に形成された図6の吸引キャップ10Aと比較して、ニップ部材15とベース部材16とを別体に構成(形成)した点が相違する。この相違点以外の変形例3の構成は、図6に示した変形例1と同様である。
【0061】
吸引キャップ10Cには、上述したと同様の機能を有する当接部10Caおよび収容部10Cbを備えたニップ部材15と、このニップ部材15を保持し、排出孔10Ceおよび排出口10Ccを備えた複数の連結部10Cdとが一体的に形成されたベース部材16とが別体に形成されている。但し、廃液経路の最上流側に配置される吸引キャップ10Cは、図5を借りて説明すると、下流側に排出口10Ccを備えた1つの連結部10Cdを持っているだけで済む。
ニップ部材15、ベース部材16、連通部材の機能や材質は、変形例1で説明したと同様である。
【0062】
変形例3によれば、第1の実施形態と同様のメンテナンス装置6Aに吸引キャップ10に代えて吸引キャップ10Cを採用した場合、第1の実施形態と同様の効果を奏することは無論である。また、ヘッドのノズル面と当接し密封する機能の当接部10Caを備えたニップ部材15と、ニップ部材15を保持する機能のベース部材16とに材質上から機能を分けたので、第1の実施形態の吸引キャップ10よりもキャップ部材としてより機能を発揮するという効果を奏する。
【0063】
(変形例4)
図9を参照して、図5に示した第1の実施形態の変形例4を説明する(請求項5)。図9は、変形例4の吸引キャップ同士を連通部材で連結した要部のメンテナンス装置の正断面図である。
変形例4は、図5の複数の吸引キャップ10に代えて、変形例1で採用した吸引キャップ10Cの排出口の断面積を変更した複数の吸引キャップ10C1,10C2,10C3を用いる点、吸引キャップ10C1,10C2,10C3を廃液経路の下流側から上流に向けてこの順に配置し、接続チューブ11で連結した点が主に相違する。
【0064】
複数(3つ)の吸引キャップ10C1,10C2,10C3は、それぞれベース部材16ごとに排出口の断面積が異なるように形成されている。図9に例示するように、吸引キャップ10C1の排出口10A1cの断面積がd1に、吸引キャップ10C2の排出口10A2cの断面積がd2に、吸引キャップ10C3の排出口10A3cの断面積がd3に、それぞれ形成されている。
【0065】
廃液経路の下流側からの排出口10A1c、10A2c、10A3cの断面積を、上述したようにd1、d2、d3とすると、d1<d2<d3・・・(式1)を満足する関係に設定されている。
つまり、排出口10A1c、10A2c、10A3cの断面積d1、d2、d3が、廃液経路の廃液の流れに対して、上流側から下流側に向けて順に小さくなる(換言すれば、下流側から上流側に向けて順に大きくなる)ように設定されている。
【0066】
変形例4によれば、廃液経路の上流側より下流側に向けて配置されるキャップ部材の排出口の断面積を、この順に小さくすることで、複数のキャップ部材を連結しても流路抵抗の影響の少ない吸引状態となり、連結された複数のキャップ部材の配置位置に関わらず、上流側から下流側に渡り流路抵抗の少ない吸引状態を実現でき、各キャップ部材連結時の吸引バラツキが低減する。
廃液経路の上流側より下流側に向けて配置されるキャップ部材の排出口の断面積を同じにした場合には、上流側と下流側とに配置されたキャップ部材の排出口にかかる流路抵抗が、流体力学的に大きく異なることとなるが、変形例4では上述した関係で配置することにより、配置位置の違いによる流路抵抗がキャンセルできて均一な流路抵抗を設定できる。
【0067】
なお、変形例4では、変形例1の吸引キャップ10Aをその排出口10Acの断面積を変えたものを用いて説明したが、これに限らず、第1の実施形態の吸引キャップ10や、変形例2の吸引キャップ10Bあるいは変形例3の吸引キャップ10Cの断面積を、上記式1を満足するように配置することで採用できることは無論である。
【0068】
図10を参照して、図5に示した第1の実施形態のメンテナンス装置6Aを補説する。図10は、第1の実施形態のメンテナンス装置6Aのより具体的なレイアウト構成を示す斜視図である。
それぞれの吸引キャップ10は、接続チューブ11により直列に接続されており、廃液経路の最下流側にある吸引キャップ10の排出口と吸引ポンプ13との間、および吸引手段としての吸引ポンプ13と廃液容器としての廃液タンク18との間は、それぞれ連通部材である廃液チューブ17,19により連結されている。
【0069】
吸引ポンプ13を駆動させ、図10に図示していないヘッドよりインクを吸引し吐出状態の回復を行うが、吸引後のヘッドのノズル面に付着したインクはブレード状のワイパ20により払拭され、同時にノズル面のメニスカスが形成され、吐出可能状態となる。
【0070】
図10では、第1の実施形態のメンテナンス装置6Aで用いた吸引キャップ10で説明したが、変形例1ないし4で説明した吸引キャップや、吸引キャップの連結構成を採用することにより、メンテナンス装置(維持回復装置)およびこれを有するインクジェット記録装置を構成できることは無論である。
【0071】
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態や変形例等について説明したが、本発明が開示する技術は、上述した実施例を含む実施形態や変形例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0072】
本発明に係る画像形成装置は、上記実施形態等におけるライン型画像形成装置としてのライン型インクジェット記録装置に限らず、例えば、シリアル型画像形成装置としてのシリアル型インクジェット記録装置にも適用可能である。また、プリンタ、プロッタ、ワープロ、ファクシミリ、複写機等またはこれら2つ以上の機能を備えた複合機等において、インクジェット記録装置を含む画像形成装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 装置本体
2 給紙トレイ
3 排紙トレイ
4 搬送部
5 ヘッド部
6A メンテナンス装置(維持回復装置)
7 クリーナ装置
10、10A、10B、10C 吸引キャップ(キャップ部材)
10c、10Ac、10Bc、10Cc 排出口
10d、10Ad、10Bd、10Cd 連結部
11 接続チューブ(連通部材)
13 吸引ポンプ(吸引手段)
15 ニップ部材
16 ベース部材
17、19 廃液チューブ(連通部材)
18 廃液タンク(廃液容器)
20 ワイパ
50 ヘッドユニット
61 ヘッド(記録ヘッド)
62 ノズル
64 ノズル面
P 用紙(シート、シート状記録媒体)
X シート搬送方向(副走査方向)
Y シート幅方向(主走査方向)
Z 鉛直方向、上下方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開2011−25496号公報(図9A等)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するノズルが形成され、ノズル面を備えた複数の記録ヘッドと、前記各記録ヘッドに対向して配置され、前記ノズルから排出された廃液を受け止めるべく前記ノズル面を覆うキャップ部材と、該各キャップ部材に収容された廃液を吸引する吸引手段とを有する画像形成装置において、
前記各キャップ部材は、隣接した各キャップ部材を連結し廃液を排出するための排出口を備えた連結部を複数有し、
前記隣接した各キャップ部材の前記連結部同士を連通部材で直列に連結することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記各キャップ部材は、前記ノズル面と接触し密封するニップ部材と、該ニップ部材と一体的に構成され、前記ニップ部材を保持するベース部材とを有し、
前記各ベース部材が、前記連結部を複数有していることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の連結部は、前記隣接した各キャップ部材の略水平方向に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記連通部材は、弾性部材であることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記排出口の断面積が、前記キャップ部材または前記ベース部材ごとに異なり、
前記各排出口の断面積が、廃液の排出経路における上流側から下流側に向けて、順に小さくなることを特徴とする請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−99887(P2013−99887A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244903(P2011−244903)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】