説明

画像形成装置

【目的】 可逆性記録媒体を使用した画像形成装置において、記録画像表面をクリーニングするクリーニング手段を設けることによって、ゴミ、手垢等が落とされる。このようなクリーニング手段により、何回再利用されても、ゴミ、手垢などのないきれいな情報記録媒体出力することができる画像形成装置を提供することである。
【構成】 熱エネルギー印加により像情報を形成するカットシート状の情報記録媒体2と、この情報記録媒体に像情報を記録する情報記録手段8、9と情報記録媒体2を再使用するための消去手段71〜75と、情報記録媒体2の記録層表面を擦すってゴミ、手垢などの表面に付着しているものをクリーニングする手段52を備えた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、可逆性記録媒体上に可視画像記録、消去を行う装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータ、プリンタ、ワープロ,ファクシミリは企業ならび個人にかなり普及してきている。それにともない静止画出力に最も多く使用されているプリンタの普及と紙の使用量も増加し、それとともに無駄となる紙の量も増大している。また、プリンタにはより一層の高密度化、高速化が必要となってきている。そのため、レーザービームプリンタやインクジェットプリンタが急速に普及しつつある。しかし、前者には小型化と低コスト化に問題があり、後者には高印字品質化と高速化に問題がある。いずれにせよこれらのハードコピー装置が普及すればするほど無駄な紙が増大し、環境、資源に重大な問題をおこしていることが顕著になっている。そのために、従来より、可逆性記録媒体を紙の代わりに使用する画像記録装置に画像消去機能を付加した装置が検討されてきた。
【0003】可逆性記録媒体を使用した印字装置は、特開昭56-86777号公報がある。この装置は、一度プリントされた用紙を白紙に戻し、繰り返し使用するという方式のプリンタである。構成としては、図13において、入力側から出力側に向かって、送りローラ74a、消去ヘッド71、記録ヘッド8(本例では光記録ヘッドを記録手段としている)、送りローラ9が配置されている。一度プリントされた可逆性記録媒体2は、消去ヘッドに接触加熱されることにより像を消去し、再び記録ヘッド8である強度以上の光をあてて、像を作成する装置であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の可逆性記録媒体に画像を記録、消去することを特徴とする装置において、(1)一旦記録された可逆性記録媒体を再使用する場合、画像の消去時に手垢、ごみ等の付着があると、そのまま残って次の、記録画像の下地が汚くなってしまう。
【0005】(2)一旦記録された可逆性記録媒体を再使用する場合、画像の消去時に手垢、ごみ等の付着があると熱が十分に伝達しないため、消去残りが発生して、次の記録画像とだぶって見にくくなってしまう。
【0006】等の欠点を有していた。
【0007】本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、一度記録されて閲覧された可逆性記録媒体に残った手垢やごみを除去し、消去しやすく、再使用後も、美しい画像を提供できる画像形成装置を得ることが目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の画像形成装置は、画像情報を形成する可逆性記録媒体と、前記可逆性記録媒体に像情報を形成する情報形成手段と、前記可逆性記録媒体に形成された像情報を消去する消去手段と、前記可逆性記録媒体の記録層表面をクリーニングするクリーニング手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
【実施例】以下、実施例と共に本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1R>1、2は、本発明の一実施例を示す斜視図、図3はその断面図、図4、5は構成の部分を示す斜視図である。
【0010】図1、2において、105はケースであり、その中に引きだし台102が引きだしのように差し込まれている、2は可逆性記録媒体であり、ここではカットシートの形状をしている。引きだし台102は、2の可逆性記録媒体を収納しておき、必要に応じて取手104をつかんで、ケース105から引き出して取り出したり収納したりすることができるようになっている。可逆性記録媒体2の出力は出口101を通って行われる。
【0011】図3で、21はトレーであり、可逆性記録媒体2を載置している。3は紙送りローラであり、セット状態では、4の押圧板により可逆性記録媒体2と接触している。押圧板4はレリーズばね41と押圧ばねa42に挟まれて保持されており、摺動板a43とくぼみa106が押圧ばねa42の位置決めをしている。
【0012】5は分離台であり、紙送りローラ3を分離ばね51で押圧している。分離ばね51はケース105の背面に固定されている。
【0013】図4は紙送りローラ3と分離台5の部分斜視図である。本実施例では、クリーニング手段は紙送り分離機構内に備えられている。紙送り分離機構において、紙送りローラ3の中央部31はゴム(例えばEPDMが適当である)で、外側部32は発泡ウレタンゴムが最適である。分離台5と紙送りローラ3と接触する部分の分離パッド51はコルク板を貼り合わせてあり紙送りローラ3の中央部31の幅とほぼ等しくなっている。52はクリーニングパッドであり、これは、発泡エラストマー製であり内部にクリーニング剤(例えば界面活性剤が適当である)が含浸されており、特に手垢などの脂肪を分解しやすくしてある。
【0014】そして紙送りローラ3の外側部32と接触するような厚みになっている。61は紙案内aであり、分離台5から出てきた可逆性記録媒体2を拾って消去機構7に案内する。本実施例では、消去手段として、71〜75までのような消去機構を備えている。図3と図5の消去機構において、71は発熱板であり、ヒーター72が熱伝導の良い接着剤で接着されている。73は押圧フィルムであり、スプロケットローラ75a,75bと系合するガイド穴731が両端に設けられている。74a、74bは送りローラであり、スプロケットローラ75a,75bと一定の圧力で接触して送り力を発生できるようになっている。
【0015】次に、本実施例では、記録手段として8、9、91からなる記録機構を備えている。紙案内b62と紙案内c63は、消去機構7から出てきた可逆性記録媒体2を押えローラ9とラインサーマルヘッド8の隙間にガイドする形状になっている。
【0016】記録機構は、ラインサーマルヘッド8と押えローラ9とで構成されている。ラインサーマルヘッド8は、300dpi(1mm当り11.8本)の密度で発熱体が可逆性記録媒体2の進行方向に直角に配列されている。押えローラ9は、押圧ばねb91で押圧されており、ラインサーマルヘッド8に所定の圧力をかけている。
【0017】尚、押圧ばねb91は摺動板b92と、くぼみb107とで位置決めされている。可逆性記録媒体2は押えローラ9と、ラインサーマルヘッド8の隙間を通過しながらラインサーマルヘッド8の、任意の発熱体から熱を受けて画像を形成する。そして出口101を通って出力される。
【0018】次に、上記構成からなる画像形成装置の動作について説明する。
【0019】まず、可逆性記録媒体2を装置内にセットする動作を説明する。図1の取手104を掴んで引くと、図2のごとく引き出し台102がケース105からひきだされる。引きだし台102の中には可逆性記録媒体2が数十枚収納されており記録面が上向きになっているため一度収納した可逆性記録媒体2を検索する時に便利である。また、引き出された状態では、摺動板b92がくぼみb107からはずれて押圧ばねb91が解除される。
【0020】これによって、万一ラインサーマルヘッド8と押えローラー9の間で挟まれて残っている可逆性記録媒体2があっても軽く引っ張るだけで容易に取り除くことができる。押圧ばねa42も同様に解除されており、その時押圧板4は押上ばね41の力でケース105に突き当てられており、この状態では可逆性記録媒体2の束を押圧していないため、媒体の出し入れが可能である。引き出された状態から取っ手104を押してケース105内に収納すると、押圧ばねa42と押圧ばねb91は摺動板a43、摺動板b92を通して、ケース105のくぼみa106、くぼみb107に沿って圧縮され、それぞれ押圧板4、押えローラー9にばね力が伝わる。以上のように、引き出すことによって記録媒体の取り出しを容易にできるという機能を有している。
【0021】次に、可逆性記録媒体について説明する。
【0022】本発明に用いられる可逆性記録媒体は、例えば特開昭55ー154198、特開平2ー188293、188294に開示されている可逆記録材料等が使用可能である。ここでは、後者を実施例の中で使用しているが、これに限られたわけではない。この原理は、ロイコ化合物と熱的に反応して顕色または減色する顕減色剤とバインダーを主成分とする記録層を基材上に形成し熱エネルギーの付加の仕方で発色、消色するという可逆材料である。構成は図6のように、基材3(PET 100μm)上にバインダーとロイコ染料からなる感熱記録層2を30〜40μm塗布し、その上に保護層1を10μm塗布する。これをサーマルヘッドで書き込みすると、図7のように通電幅によって、濃度のピークが生じる。また、図8のように通電幅一定でエネルギー量を変化させてもピークが生じる。また、図9では、ある温度のホットスタンプを2秒間押し当てた時の減色具合のグラフである。以上のように、数msec程度の動的熱エネルギー付与で発色し、秒単位の一定温度の熱付与で減色する。この現象は、書き込み時点で、同時に顕色、減色反応が起こっていると考えられ、酸性の発色物質の反応速度が早く、その後から塩基性の減色物質の反応がおこるためと考えらている。
【0023】このような、原理で可逆性記録媒体シートが得られる。このシートは、PETでありながらロイコ系染料が白い粉状のため、紙表面に近い凹凸をもって光沢を消しておりハードコピーで得られる印字物の感触を有している。
【0024】次に、この可逆性記録媒体の搬送、消去、記録動作について説明する。
【0025】図3に、見られるように可逆性記録媒体2はトレー21に載せられて収納保管されている、画像形成装置の動作は、図には記してないがモータとギアボックスがケース側面に配置されており、各ローラに動力を伝達する機構が配置されている。
【0026】外部のコンピュータ等の機器から記録データをうけとり、記録動作開始の信号を受けると、紙送りローラー3が矢印方向に回転し、押圧板4と紙送りローラー3に挟まれた可逆性記録媒体2は紙送りローラー3の摩擦力により分離台5と紙送りローラー3の間に巻き込まれる。この時何枚か同時に、巻き込まれても分離パッド51にぶつかり一番下の1枚だけが紙送りローラー3に搬送される。この際、クリーニングパッド52に可逆性記録媒体2の表面が擦れることによって、手垢、ごみなどが付着した表面もきれいにクリーニングされる。また、分離台5を出る時、可逆性記録媒体2の表面が下向きのため付着してきたごみも下に落ちやすい構造になっている。
【0027】このようにして、クリーニング部は汚れを落し易いような構造をなしており、このために、何度使用しても美しく、消去残りのない可逆性記録媒体が出力される。また、長期間の使用で分離パッド51、クリーニングパッド52の汚れがたまった場合は、引きだし台102をケース105から引き出して分離台5を交換することもできる。
【0028】次に、分離クリーニングを経た可逆性記録媒体2は、紙案内a61にガイドされ識別センサー11を通過する、これは可逆性記録媒体かその他の媒体かを識別するためのセンサーで、赤外線反射を利用して物体の反射率の差を識別できる。この場合図10のように可逆性記録媒体の裏側は204の黒帯が上端部と下端部に印刷されており、通常の紙と区別して、消去器の動作の有無、印字条件の設定などが識別できるようになっている。識別動作は、以下のようである。
【0029】まず、紙がセンサー11位置にない時は、反射光がないためセンサー11は、紙無し状態と認識される。そこに可逆性記録媒体が搬送されると、まず上端部の白色部がセンサー11の投射光を反射してセンサー11は、紙有り状態と認識される。その直後、可逆性記録媒体が進んで、黒帯204部分にかかると反射光がなくなりセンサー11が紙無し状態になる。黒帯204がセンサー11を通過する一定時間中紙無し状態になっているため、これを検知して可逆性記録媒体であることが識別される。 次に、紙案内a61を経てセンサー11で識別された可逆性記録媒体2は、スプロケットローラー75aと送りローラー74aの間に挟まれて熱消去機構7に搬送される。図5のように押圧フィルム73の両端はスプロケットローラ用のガイド穴731があけられており、回転中の左右のずれによる脱線を防止している。そして、発熱板71は緩やかに湾曲しており押圧フィルム73と、適度な圧力で接触するようになっている。スプロケットローラー75aと、送りローラ74aに、挟まれて送り力を得た可逆性記録媒体2は、押圧フィルム73と発熱板71に挟まれて搬送される。可逆性記録媒体全面が発熱板71に適度な圧力で接触し、可逆性記録媒体上の記録画像は、前記原理に従って減色する。この場合発熱板71との接触長さは、印字速度によって適度に設定される。本実施例の場合、35mm/secの印字速度のため接触長さは70mmである。
【0030】消去機構を通過した可逆性記録媒体2は再びスプロケット75bと送りローラ74bとに挟まれて送り力を得る。そして紙案内62、63を経てヘッド8と押えローラ9とのすきまに差し込まれる。その時、紙端センサー12はシートが搬送されたことを検知して、紙送りローラ3への動力伝達を止める。そして、スプロケットローラ75a、送りローラ74aとスプロケットローラ75bと送りローラ74b、727と押えローラ9を回転させるようにギアボックス内で切り替を行い、ラインサーマルヘッド8に可逆性記録媒体を挿入し画像形成開始状態にする。そして出口101に印字された可逆性記録媒体シートが印字面を裏向きに出てくる。そのため何頁かまとめて印字しても帳合があっており便利である。
【0031】図11は、第2の実施例を示す断面図である。
【0032】第一の実施例との構成上の違いは、13はクリーニングローラと131のクリーニング液タンク、132のクリーニング液注入口がついていることである。クリーニングローラ13は、スポンジ製でクリーニング液を吸収保持できる。また、該ローラは、分離台5の中に収まっており、動力をもらって可逆性記録媒体2の進行方向に回転している。回転速度は可逆性記録媒体2の進行速度より早く回転している。
【0033】次に、第2の実施例の動作を説明する。
【0034】前記実施例と同じ動作を行うが、クリーニングローラ13の動作が加わる。
【0035】まず、紙送りローラ3の回転と同期してクリーニングローラ13にも動力が伝わる。可逆性記録媒体2がクリーニングローラ13に接触しながら紙送りローラ3に送られていく。クリーニングローラ13と可逆性記録媒体2に発生する摩擦力は送りローラ13と可逆性記録媒体2に発生する摩擦力より小さいため、クリーニングローラが紙送り動作に与える影響は少ない。クリーニングローラ13を使用した場合は、実施例1より、より大きなクリーニング能力が得られる。
【0036】
【発明の効果】以上の、説明からあきらかなように、本発明によれば、可逆性記録媒体に像情報を記録する情報記録手段と該情報記録媒体を再使用するための消去手段と、該情報記録媒体の記録層表面をクリーニングする手段を備えることよって、一旦記録された可逆性記録媒体を再使用する場合、画像の消去時に、手垢、ごみ等の付着があると、そのまま残って次の記録画像の下地が汚くなってしまうことを防止し、きれいな状態で何度も使用することを可能にしている。また、画像の消去時に、手垢、ごみ等の付着があると熱が十分に伝達しないため、消去残りが発生して、次の記録画像とだぶって見にくくなってしまうこともなくなり美しい画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の画像形成装置の外形図である。
【図2】本発明の実施例の画像形成装置の引きだし台を開けた時の外形図である。
【図3】本発明の実施例の画像形成装置の横断面図である。
【図4】本発明の実施例の画像形成装置の分離、クリーニング部を示す図である。
【図5】本発明の実施例の消去機構の透視外形図である。
【図6】本発明の実施例の可逆性記録媒体の構造の模式図である。
【図7】本発明の実施例の可逆性記録媒体の通電幅と印字濃度との比較を示す図である。
【図8】本発明の実施例の可逆性記録媒体の通電エネルギーと印字濃度との、比較を示す図である。
【図9】本発明の実施例の可逆性記録媒体の消去温度と消去濃度との比較を示す図である。
【図10】本発明の実施例の可逆性記録媒体の裏面に印刷された識別黒帯の、模式図である。
【図11】本発明の第2の実施例の画像形成装置の横断面図である。
【図12】本発明の第2の実施例の画像形成装置の分離、クリーニング部を示す図である。
【図13】従来例の構成図である。
【符号の説明】
2 可逆性記録媒体
3 紙送りローラ
4 押圧板
5 分離台
61、62、63 紙案内a,b,c
8 ラインサーマルヘッド
9 押さえローラ
71 発熱板
72 発熱体
73 押圧フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】 可視画像を形成する可逆性記録媒体と、前記可逆性記録媒体に像情報を形成する情報形成手段と、前記可逆性記録媒体に形成された像情報を消去する消去手段と、前記可逆性記録媒体の記録層表面をクリーニングするクリーニング手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】 前記可逆性記録媒体の分離搬送手段内にクリーニング手段が設置されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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