説明

画像形成装置

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
この発明は、画像読み取り手段から出力される画像情報に基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、この種の画像形成装置は、原稿を光電変換して読み取り、ディジタル信号に変換された画像情報を、画像形成部に転送し、例えばページ単位に記憶し、ビットマップに展開しながら印字処理を実行するように構成されている場合が多い。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、画像形成部の画像記録可能性は、画像形成部を構成する各デバイス、例えば給送系の紙ジャム,現像ユニットのトナー切れ,給紙部の紙無しといった環境状態に応じて変動するため、これらの各事態が発生すると、画像読取り部と画像形成部の通信処理で、画像読取り部の原稿読取りをトラブルが解消するまで強制的に中断させていた。
従って、画像読取り手段自体が読取り可能であっても、画像形成部の状態に応じて読取り処理が中断されて、効率よく原稿読取りを行えなくなる等の問題があった。
この発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、原稿画像を読み取ることにより画像情報を出力する画像読取部と、画像読取部より出力される画像情報に基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成部を備えた画像形成装置において、画像形成部にトラブルの発生が判定された場合、ユーザの記憶指定に応じて画像読取部による原稿画像の読み取りを継続させて、画像読取部より出力される画像情報を大容量メモリに記憶することにより、画像形成部にトラブルが発生したとしても、既に画像読取部より読み取られた画像情報を無駄にしないとともに、残りの原稿画像の読み取りも完了させて、効率よく画像読取り処理を行うことができ、画像形成部の復旧後、再度画像読取り処理を行う必要なく、効率よく画像形成結果を得ることがきる画像形成装置を提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
この発明に係る画像形成装置は、原稿画像を読み取ることにより画像情報を出力する画像読取部と、前記画像読取部より出力される画像情報に基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成部を備えた画像形成装置において、前記画像読取部より出力される画像情報を記憶する大容量記憶手段と、前記画像形成部におけるトラブルの発生を判定する判定手段と、前記画像読取部より出力される画像情報を前記大容量記憶手段に記憶せしめるか否かを指定する指定手段と、前記判定手段によりトラブルの発生が判定された場合、前記画像形成部による画像形成を中断せしめ、且つ、前記指定手段による画像情報の前記大容量記憶手段への記憶指定に従って、前記画像読取部による原稿画像の読み取りを継続させて、前記画像読取部より出力される画像情報を前記大容量記憶手段に記憶せしめる制御手段とを具備したものである。
また、前記大容量記憶手段における画像情報の記憶状態を表示する表示手段を具備したものである。
〔作用〕
この発明においては、画像形成部にトラブルが発生したとしても、前記画像形成部による画像形成を中断せしめ、画像情報の大容量記憶手段への記憶指定に従って、前記画像読取部による原稿画像の読み取りを継続させて、画像読取部より出力される画像情報を大容量記憶手段に記憶して、必要に応じて、画像読取部における画像読み取りを継続して、既に画像読取部より読み取られた画像情報を無駄にしないとともに、残りの原稿画像の読み取りも完了させて、効率よく画像読取り処理を行うことができ、且つ、画像情報の大容量記憶手段への記憶指定がなされていなければ、画像読取部より出力される画像情報の大容量記憶手段への記憶がなされず、大容量記憶手段が不要な画像情報によって無駄に利用されてしまうことを防止することを可能とする。
また、大容量記憶手段における画像情報の記憶状態を表示手段に表示して、ユーザは大容量記憶手段の記憶状況を確認した上で、画像形成部のトラブル発生時の画像情報の大容量記憶手段への記憶指定を行うことを可能とする。
〔実施例〕
第1図はこの発明の一実施例を示す画像形成装置の構成を説明する断面図であり、1は原稿給送装置で、積載された原稿は1枚ずつ順次原稿台ガラス2面上に搬送される。3はスキャナを構成するランプで、原稿が原稿台ガラス2面の所定位置に搬送されると点灯し、スキャナユニット4が移動して原稿を照射する。原稿の反射光はミラー5〜7を介してレンズ8を通過し、その通過光がイメージセンサ部9に入力される。イメージセンサ部9に入力された画像信号は、イメージプロセッサ19を経て画像情報に変換され、大容量記憶手段を構成する、例えば書き換え可能な光磁気ディスクまたはハードディスクに記憶される。
10は露光制御部で、イメージセンサ部9で光電変換され、後述する画像処理部でディジタル化された画像信号に基づいて光信号に変換し、変換された光信号を感光体11に静電潜像を形成させる。感光体11に形成された静電潜像は現像器12,13によって現像される。14,15は被転写紙積載部(カセット)で、所定サイズの被転写を給紙する。16は転写部で、感光体11に現像されたトナー像を給紙された被転写紙に転写させる。17は定着器で、被転写紙に転写されたトナー像を定着させる。18は排紙部で、画像形成の終了した被転写紙を機外に排出させる。なお、詳述は省略するが、この実施例に示す画像形成装置は、被転写紙に多重または被転写紙の両面に画像を形成するためのループ搬送系が設けられており、フラッパ等の方向制御部材により定着プロセスの終了した被転写紙を再度感光体11の配設位置まで搬送することができるように構成されている。20はディスク装置で画像情報を大容量に記録する。
21はコントローラ部で、第2図に示すCPU部21a,画像処理部21bを備え、CPU部21aのROMに記憶された制御プログラムに応じて各デバイスを総括的に制御し、第2図に示す画像読取り部READ,画像形成部PRINT,外部記憶部DISK(第1図に示したディスク装置20に相当する)等を制御する。
第2図は、第1図に示したコントローラ部21の構成を説明するブロック図である。
第3図は、第2図に示した画像読取り部READに設けられる操作パネルの一例を示す平面図である。
この図において、101は画像形成装置への通電を制御する電源スイッチである。102はリセットキーで、スタンバイ中は、標準モードに復帰させるキーとして動作する。103はコピーキーである。104は現像器選択切換キーであり、この現像器選択切換キー104により現像器12,13の選択切換えを行う。105はテンキーで、主として複写枚数を入力する。136は暗証番号入力キーで、この暗証番号入力キー136により特定の操作者に対して複写動作を可能にし、上記以外の操作者に対しては、暗証番号入力キー136により暗証番号を入力しない限り複写動作を禁止することが可能となる。
106は前記カセット14,15のいずれかを選択するキー、107はコピー濃度調整キー、108は等倍コピーを選択するキー、109は複写倍率を所定倍率、例えば1%刻みで指定するズームキー、130は転写紙のサイズに合せて自動的に拡大,縮小するオート変倍キー、110は定形縮小あるいは定形拡大率を指示する定形倍率キー、111は転写紙の枠消しを指定するキー、112は複写紙の一端を綴じ代作成を指示するキー、113は写真原稿のような中間調画像のコピーを行うための写真モードを指定するキー、125はこの発明に係る設定手段を構成するモード指定キーで、画像形成部PRINTの処理状態(紙詰まり,トナー無し,紙無し等)あるいは他の原稿出力中等の任意のタイミングで原稿読込みモードを設定し、以後、画像形成部PRINTの動作とは別個独立に画像読取り部READからの画像情報を外部記憶部DISKに継続転送させる。
126は領域の内容を一部修正するためのエリアコールキー、117は各機能の内容を知るためのガイドキー、131は予熱モードを設定するための予熱モードキーである。
114は多重モードを選択する多重キー、115は原稿台ガラス面2の複写領域を左右に2分割し、自動的に2枚のコピーをする連続複写を指定する連写キー、116は両面複写モードを選択するキー、119,120はソータ(図示しない)の動作を指定するキーである。122,123,124は複写画像に所定の文字データを書き込むモードを指定するキーであり、それぞれ年月日書き込み,メモ書き込み,ナンバー書き込みモードを指定する。127〜129は複写設定された複写モードを記憶するためのモードメモリキーで、M1〜M3と3通りの複写モードを記憶する。
また、138はコピー枚数,転写紙,設定倍率およびメッセージ等を表示する液晶表示部(表示器)で、液晶表示素子で構成されている。139〜150はLED(発光ダイオード)による表示器で、先ず、139はソータを使用する場合のソータ使用表示用のLEDであり、ソートモード,グループモード等を表示する。
140は自動露光調整(AE)キー137が押下された時に点灯する自動露光調整表示器、141はコピー濃度調整キー107に対応する濃度表示器、142はカラー現像器選択切換えキー104が押され、本体内またはオプションで装備される現像器収納装置内にある現像が選択された時にその現像器の色に対応した色表示が点灯する表示器である。
143はオート変倍キー130が押下されたことを表示するオート変倍表示器、144は写真モード表示器、145は年月日書込みモード表示器、146はエリア指定表示器、147は綴じ代モード表示器、148はメモ書込みモード表示器、149は枠消しモード表示器、150はナンバー書込みモード表示器である。132はアスタリスクキー、133,134は選択キー、135は確定キーである。
なお、液晶表示部138は、CPU部20a(この実施例における催促手段)の指示により外部記憶部DISKに対する情報蓄積状態を存在有無または出力枚数等で催促表示し、使用者にその旨を通知する。
このように構成された画像形成装置において、設定手段(この実施例ではモード指定キー125)により画像読取り手段(画像読取り部READ)より出力される画像情報の転送先の切り換えが画像形成部PRINTの処理とは独立した所望のタイミングでなされると、画像読取り部READより出力される画像情報が順次大容量記憶手段(外部記憶部DISK)に記憶されて行き、画像形成部(画像形成部PRINT)とは独立して画像読取りを継続することを可能とする。
また、催促手段は、画像形成部の処理状態を判定して設定手段による転送先切換え設定を催促して、画像読取り手段より出力される画像情報が順次大容量記憶手段に記憶されて行き、画像形成部とは独立して画像読取りを継続することを可能とする。
以下、第4図に示すフローチャート参照しながらこの発明に係る画像形成装置に係る画像情報蓄積処理について説明する。
第4図はこの発明に係る画像形成装置に係る画像情報蓄積処理手段の一例を説明するフローチャートである。なお、(1)〜(14)は各ステップを示す。
CPU部21aは操作パネル上のモード指定キー125が押下されたかどうかを判定し(1)、NOならばコピーキー103が押下されるのを待機し(2)、押下されたら、画像読取りスキャンを開始し(3)、被転写紙を給紙して画像形成を開始する(4)。
次いで、画像形成シーケンス中に、図示しない各種のセンサ出力から何らかのトラブルが発生しているかどうかを判定し(5)、NOならば多重コピーが指定されているかどうかを判定し(6)、YESならばステップ(3)に戻り、NOならば排紙処理を実行して(7)、処理を終了する。
一方、ステップ(5)の判断でYESの場合は、画像形成を一時中断する(8)。この時、CPU部21aは操作パネル上のモード指定キー125が押下されたかどうかを再度判定し(9)、NOならばトラブル回避処理(例えばトナー補給等)を行う(10)。次いで、リセットキー102が押下されたかどうかを判定し(11)、YESならばステップ(1)に戻る。
一方、ステップ(1),(9)の判定でYESの場合は、コピーキー103が押下されるのを待機し(12)、押下されたら画像読取り部READによる読取り情報を外部記憶部DISKに書き込み(13)、読み取り終了まで外部記憶部DISKへのデータ書き込み処理を実行する(14)。
なお、上記処理により外部記憶部DISKに蓄積されたデータ量から出力処理時間を算出して、液晶表示部138に出力終了時間を表示するように構成しても良い。
以上説明したように、この発明は画像読取り手段より出力される画像情報を順次記憶する大容量記憶手段と、画像読取り手段より出力される画像情報の転送先を画像形成部の処理とは独立した所望のタイミングで大容量記憶手段に切り換え設定する設定手段とを設けたので、画像形成部に何らかのトラブルが発生しても、画像読取り手段による画像読み取り処理を継続して行うことができる。また、電源投入時、画像読取り手段が読み取り可能ならば、画像形成部のウエイトアップ処理完了前に、画像読み取りを先行することができる。従って、画像形成部より出力する画像情報を短時間に先読みして、所望のタイミングで出力させることができる。また読取り処理と画像形成出力とのタイミングをそれぞれ独立に調整管理することができる。
また、画像形成部の処理状態を判定して設定手段による転送先切換え設定を催促する催促手段を設けたので、蓄積された画像情報の存在有無を認識することができるとともに、必要に応じて任意のタイミングで蓄積された画像情報の画像出力処理を開始でき、使用環境に応じて読み取り順序と画像形成出力順序とを容易に変更することができる等の優れた効果を奏する。
〔発明の効果〕
以上説明したように、この発明によれば、画像形成部にトラブルが発生したとしても、前記画像形成部による画像形成を中断せしめ、画像情報の大容量記憶手段への記憶指定に従って、前記画像読取部による原稿画像の読み取りを継続させて、画像読取部より出力される画像情報を大容量記憶手段に記憶するので、必要に応じて、画像読取部における画像読み取りを継続して、既に画像読取部より読み取られた画像を無駄にしないとともに、残りの原稿画像の読み取りも完了させて、効率よく画像読取り処理を行うことができ、且つ、画像情報の大容量記憶手段への記憶指定がなされていなければ、画像読取部より出力される画像情報の大容量記憶手段への記憶がなされず、大容量記憶手段が不要な画像情報によって無駄に利用されてしまうことを防止することができる。
また、大容量記憶手段における画像情報の記憶状態を表示手段に表示するので、ユーザは大容量記憶手段の記憶状況を確認した上で、画像形成部のトラブル発生時の画像情報の大容量記憶手段への記憶指定を行うことができる。
従って、画像形成部にトラブルが発生したとしても、既に画像読取部により読み取られた画像情報を無駄にしないとともに、残りの原稿画像の読み取りも完了させて、効率よく画像読取り処理を行うことができ、画像形成部の復旧後、再度画像読取り処理を行う必要なく、効率よく画像形成結果を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例を示す画像形成装置の構成を説明する断面図、第2図は、第1図に示したコントローラ部の構成を説明するブロック図、第3図は、第2図に示した画像読取り部に設けられる操作パネルの一例を示す平面図、第4図はこの発明に係る画像形成装置に係る画像情報蓄積処理手順の一例を説明するフローチャートである。
図中、21はコントローラ部、21aはCPU部、21bは画像処理部である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】原稿画像を読み取ることにより画像情報を出力する画像読取部と、前記画像読取部より出力される画像情報に基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成部を備えた画像形成装置において、前記画像読取部より出力される画像情報を記憶する大容量記憶手段と、前記画像形成部におけるトラブルの発生を判定する判定手段と、前記画像読取部より出力される画像情報を前記大容量記憶手段に記憶せしめるか否かを指定する指定手段と、前記判定手段によりトラブルの発生が判定された場合、前記画像形成部による画像形成を中断せしめ、且つ、前記指定手段による画像情報の前記大容量記憶手段への記憶指定に従って、前記画像読取部による原稿画像の読み取りを継続させて、前記画像読取部より出力される画像情報を前記大容量記憶手段に記憶せしめる制御手段とを具備したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】前記大容量記憶手段における画像情報の記憶状態を表示する表示手段を具備したことを特徴とする請求項(1)記載の画像形成装置。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【特許番号】第2922592号
【登録日】平成11年(1999)4月30日
【発行日】平成11年(1999)7月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−162939
【出願日】平成2年(1990)6月22日
【公開番号】特開平4−54065
【公開日】平成4年(1992)2月21日
【審査請求日】平成7年(1995)11月27日
【前置審査】 前置審査
【出願人】(999999999)キヤノン株式会社
【参考文献】
【文献】特開 平1−311770(JP,A)
【文献】特開 昭63−30067(JP,A)
【文献】特開 平1−95656(JP,A)
【文献】特開 平1−155768(JP,A)
【文献】実開 平1−156659(JP,U)