説明

画像情報印刷方式および装置並びに印刷方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホストコンピュータからのデータに基づいてプリントを行う画像情報印刷装置において、印刷品質調整パターンを印刷することで印刷ずれ、色ずれ等を防止する印刷品質調整機能を有する画像情報印刷方式および装置並びに印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】画像情報印刷装置の一例として挙げられるシリアルプリンタであるインクジェットプリンタでは、一般的に、インクをヘッド前面に形成したオリフィスから吐出するインクジェットヘッドを記録媒体、例えば、プリント用紙に対して走査移動させ、同時にこのプリント用紙を副走査移動させることにより、インクジェットヘッドから吐出したインク滴をプリント用紙に付着させることで、希望する画像をこのプリント用紙にプリントすることができる。このようなインクジェットプリンタは、コンピュータによって構成されるプリンタ制御部と、このプリンタ制御部によって動作制御されるプリンタ機構部とによって構成されている。このプリンタ機構部は、例えば、インクジェットヘッドとこのインクジェットヘッドを走査移動させる駆動装置及びその他の機構部によって構成されている。そして、このプリンタ制御部にはホストコンピュータが接続されており、このホストコンピュータから印刷データが送信される。プリンタ制御部はこの印刷データを解析して印刷イメージを形成し、プリンタ機構部を作動して印刷を実行するようになっている。
【0003】このようなインクジェットプリンタにあっては、インクジェットヘッドは副走査方向に沿って、インク滴を吐出させる複数のノズルと、このノズルに対応してノズル内のインクに圧力を印加する圧力発生素子とを有している。従って、このインクジェットヘッドは記録媒体に対して主走査方向に移動しつつ、記録媒体のノズルがカバーする短冊状の領域にドットのパターンを印刷し、一回の主走査が終わると、プリント用紙は副走査方向に所定距離だけ送られる。そして、プリントヘッドは記録媒体に対して再び主走査方向に移動しつつ、所定の領域にパターンを印刷する。この動作はプリンタ用紙の記録すべき領域全てをカバーするまで繰り返し行われる。
【0004】ところが、例えば、インクジェットヘッドの一回目の主走査方向の移動によるドットのパターンの印刷と、記録媒体を副走査方向に所定距離だけ送った後に、インクジェットヘッドの逆の主走査方向の移動によるドットのパターンの印刷とがずれることがある。これは、各ノズルと記録媒体との距離や記録媒体の送り量、または走査速度の誤差などが原因と考えられる。また、カラー印刷が可能なインクジェットプリンタにあっては、複数色の印字ヘッドが物理的に分離していることがあり、これら分離しているインクジェットヘッド間で吐出するインク滴の位置がずれることがある。また、双方向印刷では、位置ずれが起こる。なお、このような双方向印刷での位置ずれは、同様にシリアルプリンタであるドットインパクトプリンタなどで生じる。また、カラーレーザビームプリンタでは、色ずれが生じる場合がある。
【0005】このような印刷ずれまたは色ずれなどの色調ずれを防止するために、事前に各種の印刷微調整ができるプリンタがある。具体的には、各種の印刷品質調整パターンを印刷し、印刷された調整パターンに基づいて適正な各種調整値を決定し、この調整値を予め設定し、以降はこの設定に基づいて印刷を実行する。かかるプリンタにおいては、従来、ホストコンピュータ上のプリンタドライバまたはこれに付随するアプリケーションが印刷品質調整パターン用の印刷イメージを形成し、これをプリンタに送信して印刷させることにより各種調整値を選択し、これにより各種印刷品質調整値の設定を行うようになっていた。
【0006】図6に従来の印刷品質調整方法を表す処理フローを示す。
【0007】図6に示すように、ステップS001において、ホストコンピュータが印刷品質調整パターン用のアプリケーションを立ち上げることで、印刷品質調整作業を開始する。まず、ステップS002にてホストコンピュータが複数の印刷品質調整パターン(例えば、縦線印刷パターン、横線印刷パターン、黒とカラーのマッチングパターンなど)を生成し、ステップS003にて、生成した複数の印刷品質調整パターンをプリンタ制御コマンドおよび印刷データに変換してプリンタに出力する。次に、ステップS004ではプリンタがホストコンピュータから送信されたプリンタ制御コマンドおよび印刷データを受信し、これを解析してイメージデータに変換し、ステップS005にて印刷品質調整パターンイメージを作成する。そして、ステップS006にて複数の印刷品質調整パターンを印刷する。ステップS007では、操作者は印刷されたこの複数の印刷品質調整パターンをチェックする。そして、ステップS008にて、ホストコンピュータが各印刷品質調整パターンごとに適切な調整値を設定し、ステップS009にてこの各印刷品質調整パターンごとの調整値をプリンタ制御コマンドに変換してプリンタに出力する。ステップS010にて、プリンタはホストコンピュータから送信されたプリンタ制御コマンドを解析し、各印刷品質調整パターンごとの調整値を設定値として記憶する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の印刷品質調整方法にあっては、ホストコンピュータが印刷品質調整用のアプリケーションを用いて複数の印刷品質調整パターンを生成すると共にプリンタに印刷させ、このように印刷した結果に基づいて操作者が決定した各調整値をプリンタに出力していた。
【0009】ところで、プリンタはその種類によってその機能が異なるものであり、当然のごとく、印刷品質調整パターンの種類や調整範囲も異なっている。即ち、縦線印刷パターンと横線印刷パターンの調整しかできないものもあれば、黒とカラーのマッチングパターンができるものもある。また、縦線印刷パターンにおいて、5段階調整できるものもあれば、3段階調整しかできないものもある。また、色に関して、色相、明度および彩度をそれぞれ調整できるものもある。
【0010】そのため、ホストコンピュータは一つの印刷品質調整パターンに対して、プリンタの種類ごとに複数のモードが必要となり、また、プリンタの種類ごとに調整範囲も異なることとなる。従って、ホストコンピュータは予め不要な多数の印刷品質調整パターンを用意しなければならず、記憶するための容量が大きくなるばかりか、イメージデータを作成してプリンタに送信する必要があるため、調整作業に時間がかかるという問題があった。
【0011】また、ホストコンピュータがプリンタに完全に適応した印刷品質調整パターンを具備していない場合、あるいはプリンタに最適な印刷品質調整パターンが選択されていない場合には、プリンタは適当な印刷品質調整パターン、あるいは、調整値を記憶してしまい、印刷品質調整パターンを正しく調整することができないことがあった。
【0012】本発明はこのような問題を解決するものであって、印刷品質の調整を精度よく且つ確実に行うことのできる画像情報印刷方式および印刷装置を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決する本発明の第1の態様は、予め設定された印刷品質調整値に基づいて、ホストコンピュータから送信される印刷データをプリンタで印刷する画像情報印刷方式において、前記ホストコンピュータにおいて実行されて前記プリンタの印刷品質調整値を決定するために所望の印刷品質調整パターン生成コマンドを前記プリンタに送信するパターン生成コマンド発行手段と、前記ホストコンピュータから送信された印刷品質調整パターン生成コマンドを解析するコマンド解析手段と、該コマンド解析手段の解析に基づいて所望の印刷品質調整パターンを生成し印刷する調整パターン生成手段と、印刷された該印刷品質調整パターンに基づいて選択された前記印刷品質調整値を入力し前記プリンタに送信する調整値入力手段と、前記ホストコンピュータから送信された該印刷品質調整値に基づいて所定の設定を行う印刷品質設定手段とを具え、前記ホストコンピュータは予め前記プリンタの所持する印刷品質調整の種類を提示させるコマンドをプリンタに送り、前記印刷品質調整の種類を取得して表示部に表示させ、前記表示した範囲内での印刷品質調整の種類の選択を受け付け、前記選択された種類に基づいて前記印刷品質調整パターン生成コマンドを送信することを特徴とする画像情報印刷方式にある。
【0014】
【0015】本発明の第の態様は、第1の態様の画像情報印刷方式がシリアルプリント方式であり、前記印刷品質調整が、走査双方向の印刷位置調整並びに黒およびカラーの印刷位置調整を含むものであることを特徴とする画像情報印刷方式。
【0016】本発明の第の態様は、第1の態様の画像情報印刷方式がカラーレーザプリント方式であり、前記印刷品質調整が、色調調整を含むものであることを特徴とする画像情報印刷方式にある。
【0017】
【0018】
【0019】本発明の第の態様は、第1〜第3の態様において、前記プリンタは印刷品質調整パターンの生成に必要な各種構成部品を格納した部品格納部を具え、前記調整パターン生成手段は、前記部品格納部の構成部品を組み合わせて印刷品質調整パターンを生成することを特徴とする画像情報印刷方式にある。
【0020】
【0021】
【0022】本発明の第の態様は、予め設定された印刷品質調整値に基づいて、ホストコンピュータからの印刷データに基づいてプリンタで印刷を実行する画像情報印刷方法において、予め前記プリンタの所持する印刷品質調整の種類を取得して表示させるステップと、前記表示した範囲内での印刷品質調整の種類の選択を受け付けるステップと、前記ホストコンピュータにて前記プリンタの印刷品質調整値を決定するために前記選択された種に基づいて印刷品質調整パターン生成コマンドを送信するパターン生成コマンド発行ステップと、前記ホストコンピュータから送信された印刷品質調整パターン生成コマンドを解析するコマンド解析ステップと、このコマンド解析ステップでの解析に基づいて印刷品質調整パターンを生成し印刷する調整パターン生成ステップと、印刷された印刷品質調整パターンに基づいて印刷品質調整値を選択して前記ホストコンピュータから当該印刷品質調整値を入力する調整値入力ステップと、この印刷品質調整値を前記プリンタに送信するステップと、前記印刷品質調整値を前記プリンタが受信すると共に当該印刷品質調整値に基づいて所定の設定を行う印刷品質設定ステップと、その後、前記所定の設定に基づいて印刷を実行するステップと、を有することを特徴とする画像情報印刷方法にある。
【0023】本発明の第の態様は、第5の態様において、前記コマンド解析ステップでの解析に基づいて印刷品質調整パターンの生成に必要な各種構成部品を組み合わせて所望の印刷品質調整パターンを生成することを特徴とする画像情報印刷方法にある。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】本発明によると、ホストコンピュータがプリンタに対して印刷品質調整の種類の提示指令を行うと、プリンタはコマンド解析手段がこの指令コマンドを解析し、解析した印刷品質調整の提示指令に基づき、コマンド解析手段が印刷品質調整の主種類および調整範囲等をホストコンピュータに出力し、ホストコンピュータは複数の印刷品質調整の中一つあるいは複数の印刷品質調整を選択し、プリンタに対して印刷品質調整パターン生成コマンドを発行すると、印刷品質調整パターン生成手段が印刷品質調整パターンを生成し印刷する。また、印刷結果に基づいて印刷品質調整値をホストコンピュータから出力すると、コマンド解析手段が印刷品質調整値を解析して印刷品質調整値に基づいて所定の設定を行うことで印刷品質調整が完了する。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0029】図1に本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成、図2に本実施形態のインクジェットヘッドと記録媒体との関係、図3に本実施形態に係るインクジェット記録装置の制御ブロック、図4に本実施形態のインクジェット記録装置による制御処理のフローチャート、図5にホストコンピュータとインクジェット記録装置との間の具体的な指令コマンドを表す説明を示す。
【0030】本実施形態のインクジェットプリンタは既存の構造をなすものであって、図1に示すように、プリンタ10は、コンピュータによって構成されるプリンタ制御部11と、このプリンタ制御部11によって動作制御されるプリンタ機構部12とによって構成されている。そして、このプリンタ制御部11にはホストコンピュータ13及び電源部14が接続されており、このホストコンピュータ13から印刷データが送信されることで、プリンタ制御部11はこの印刷データを解析して印刷イメージを形成し、プリンタ機構部12を作動して印刷を実行する。
【0031】ところで、このプリンタ機構部12において、インクジェットヘッド21を搭載したキャリッジ22は、図示しないフレームに取付けられたキャリッジ軸23に軸方向移動自在に装着されている。そして、駆動モータ24の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト25を介してキャリッジ22に伝達されることで、インクジェットヘッド21を搭載したキャリッジ22がキャリッジ軸23に沿って移動することができる。一方、図示しないフレームにはキャリッジ軸23に沿ってプラテン26が設けられている。このプラテン26は紙送りモータ27の駆動力により回転することができ、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体28がプラテン26に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
【0032】インクジェットヘッド21は、図2に示すように、副走査方向(Y方向)に沿って、インク滴を吐出させる複数の記録素子(ノズル)a,b,c〜nと、このノズルa〜nに対応してノズル内のインクに圧力を印加する図示しない圧力発生素子とを有している。かかるインクジェットヘッド21は、記録媒体28に対して主走査方向に移動しつつ、この記録媒体28のノズルa〜nがカバーする短冊状の領域(スキャンラインという)にドットのパターンを印刷し、一回の主走査が終わると、記録媒体28は副走査方向に、1ドット分の距離を単位として必要なドット数分だけ送られる。以上の動作は記録媒体28の記録すべき領域全てをカバーするまで繰り返し行われる。
【0033】また、プリンタ10は、図3に示すように、ホストコンピュータ13からデータ及びコマンドを受信するためのインターフェース31を有し、インターフェース31に入力されたデータ等はプリンタ制御部11に入る。このプリンタ制御部11は、CPU32、ROM33及びRAM34から構成される演算処理部35を有し、ROM33または図示しない外部メモリに記憶された制御プログラム等に基づいてプリンタ10を総括的に制御するものである。そして、プリンタ制御部11は、制御手段36、印刷データ制御手段37、印刷位置制御手段38、印刷品質調整手段39を有している。
【0034】この制御手段36はプリンタ機構部12を総合的に制御するものであり、ホストコンピュータ13から受信したデータを解釈し、解釈した印刷イメージを印刷データ制御手段37及び印刷位置制御手段38に送り、必要なデータが揃ったところで印刷開始指令を出す。印刷データ制御手段37は受信したデータに基づいてインクジェットヘッド21の各ノズルa〜nを制御し、また、印刷位置制御手段38は、キャリッジ22を駆動するヘッド送りモータ24および紙送りモータ27をそれぞれ制御し、且つ、印刷データ制御手段37に印刷の同期信号を送信する。
【0035】このような本実施態様のインクジェットプリンタでは、ホストコンピュータ13から印刷データが送信されると、制御手段36は印刷データを解釈してそのデータを印刷データ制御手段37及び印刷位置制御手段38に次々に送る。ここで、ホストコンピュータ13から送信される印刷データは、ラスタグラフィックイメージであり、まず、インクジェットヘッド21のノズルaに対応するデータラスタの方向(つまり、空間的には主走査の方向)のデータが送信され、1ラスタラインのデータが送信されると、次のノズルbに対応するラスタラインのデータが送信され、1スキャン分、つまり、ノズルnまで、あるいは、予め設定された所定のノズルまでのラスタラインのデータが送られた時点で、制御手段36は印刷開始指令を出すようになっている。
【0036】このような本実施態様のインクジェットプリンタでは、印刷品質調整手段39が設けられており、ホストコンピュータ13とプリンタ10との双方向通信によって、記録媒体28とインクジェットヘッド21との距離、主走査の双方向における走査速度、またはインクの吐出タイミング等の微調整を行うための印刷品質調整パターンを印刷し、この調整パターンに基づいて各種調整を行うことができるようになっている。
【0037】このような印刷品質調整のため、ホストコンピュータ13は印刷品質調整パターン用のアプリケーションを有する。このアプリケーションはプリンタドライバに組み込まれてまたは付随して、例えば、プリンタ10の設定画面からのボタンのクリックなどの指示により起動されるようになっており、印刷品質調整用の印刷品質調整パターンを印刷するためにプリンタ10との双方向の通信および印刷の指示、および調整値の設定を行うだけである。すなわち、従来のように印刷品質調整用パターンを印刷するための印刷データを生成したりする機能は有さないので、非常に単純である。したがって、プリンタ10の種類に依存した特殊のアプリケーションである必要はなく、調整パターンの種類、調整段階の数等を把握するための通信を行うような共通の言語等を有していればよい。なお、ホストコンピュータ13は、このアプリケーションを用いてプリンタ10に各種の指令を入力するデータ入力部(例えば、キーボード)13aと、このデータ入力部13aから入力された指令をコマンドとしてプリンタ10に出力するコマンド発行部13bと、プリンタ10から返送された各種のデータを表示するデータ表示部(例えば、ディスプレイ)13cとを有している。
【0038】一方、プリンタ10は印刷品質調整手段39を有する。印刷品質調整手段39は、コマンド解析部39aと印刷品質調整パターン生成部39bと印刷品質調整値記憶部39cとを有している。このコマンド解析部39aはホストコンピュータ13から送信された各種の指令コマンドを印刷制御コマンドに解析すると共にその要求に応じて印刷品質調整パターンごとの調整範囲等をホストコンピュータ13に出力する。印刷品質調整パターン生成部39bはホストコンピュータ13から送信されてコマンド解析部39aが解析した印刷品質調整パターン生成コマンドに基づき、複数の印刷品質調整パターンを生成する。この生成は、印刷品質調整パターンプログラムなどにより行うが、印刷品質調整パターンの構成部品をROM33内のテーブル等に格納しておいて、該テーブルを参照しながら構成部品を組み合わせて印刷品質調整パターンを生成してもよい。印刷品質調整パターン生成部39bは、生成した印刷品質調整パターンを制御手段36に送信して印刷実行を行う。また、印刷品質調整パターンの確認の結果、ホストコンピュータから出力された各印刷品質調整値は、印刷品質調整手段39のコマンド解析部39aがその調整値を解釈し、これによりその後の印刷品質を左右する設定が行われる。この設定は、必要に応じて、調整値に応じた所定の設定値を、例えば、RAM34あるいは別途設けられたEEPROM等の不揮発性メモリに記憶し、以降の印刷はこの設定値に基づいて印刷される。なお、この調整値に基づいて、設定が正しく行われたかどうかの確認用に該調整値の選択のために使用した印刷品質調整パターンを再度印刷するようにしてもよい。
【0039】以上のような印刷品質調整の処理フローを図4に示す。図4に示すように、ステップS1において、ホストコンピュータ13が印刷品質調整パターン生成用のアプリケーションを立ち上げることで、印刷モード調整作業を開始する。そして、ステップS2にて、プリンタ10がどのような印刷品質調整の種類を持っているのかを知るために、操作者はデータ入力部13aからコマンド発行部13bを用いて印刷品質調整の種類を提示させるためのコマンドをプリンタ10に出力する。すると、プリンタ10は、ステップS3において、印刷品質調整手段39のコマンド解析部39aがホストコンピュータ13から送信されたコマンドを解析し、ステップS4にて、所持している印刷品質調整の種類をホストコンピュータ13に出力する。例えば、プリンタ10の機能に適応した、縦線印刷品質調整、横線印刷品質調整、黒とカラーのマッチング調整などの印刷品質調整の種類があることをホストコンピュータ13に返送する。
【0040】ホストコンピュータ13は、ステップS6において、プリンタ10から受信した複数の印刷品質調整の種類をデータ表示部13cに表示する。また、操作者は、必要があれば、ステップS7で、ある印刷品質調整における調整範囲(段階)を知るために、データ入力部13aからコマンド発行部13bを用いて選択し、ステップS8でその印刷品質調整の調整範囲を要求するコマンドをプリンタ10に出力する。すると、プリンタ10は、ステップS9において、印刷品質調整手段39のコマンド解析部39aがホストコンピュータ13から送信されたコマンドを解析し、ステップS10にて、選択された印刷品質調整の調整範囲をホストコンピュータ13に返送する。これに対してホストコンピュータ13は、ステップS11において、プリンタ10から出力された印刷品質調整の調整範囲をデータ表示部13cに表示し、ステップS12にて、必要な印刷品質調整パターンを特定の調整範囲にて印刷するように印刷調整パターン生成コマンドを発行する。プリンタ10は、ステップS13において、ホストコンピュータ13から送信された印刷品質調整パターン生成コマンドを解析し、その解釈に基づいてステップS14にて印刷品質調整パターン生成部39bが印刷品質調整パターンのイメージを生成する。ここで、調整パターンを構成する各種部品はテーブルになってROM33に保存されており、印刷品質調整パターン生成部39bは、このテーブルを参照しながら各種部品を組み合わせることにより印刷品質調整パターンのイメージデータを生成する。印刷品質調整パターン生成部39bは、ステップS15でこのイメージデータを制御手段36に出力して印刷品質調整パターンを印刷する。
【0041】操作者はステップS16にて、印刷された印刷品質調整パターンをチェックし、ステップS17にて、印刷品質調整パターンにおける適切な印刷品質調整値を選択して設定し、ステップS18にてこの選択した印刷品質調整値の制御コマンドをプリンタ10に出力する。プリンタ10はステップS19にて、ホストコンピュータ13から送信された印刷品質調整値を解析し、ステップS20において、所定の設定のために設定値を記憶する。なお、これに伴って、記憶された設定値で、この調整値選択に使用したものと同様な印刷品質調整パターンを印刷し、操作者が調整が確実に行われたことを確認できるようにしてもよい。
【0042】なお、上述の実施形態にあっては、プリンタ10における印刷品質調整手段39は、印刷品質調整パターン生成部39bがホストコンピュータ13から送信された印刷品質調整パターン生成コマンドを解析して、複数の印刷品質調整パターンを生成していたが、印刷品質調整手段39が予め複数の印刷品質調整パターンを記憶しているようにしてもよい。
【0043】本実施形態では、上述したように印刷品質調整に関する処理の内容を機能ブロックに基づいて説明したが、実際の実行形態は特に限定されない。例えば、印刷品質調整を総合的に管理制御するアプリケーションにより処理してもよいし、例えば、以下のような各種タスクを交互に実行することにより実行するようにしてもよい。ここで、各種タスクとしては、基本的なものとして、ホストからのデータを受信バッファに受信するための受信タスク、受信バッファに蓄積されたデータを読み込み解釈するジョブ言語解釈タスク、および印刷情報データを解析して印刷キューに格納する印刷データ解析タスクなどがあり、また、印刷品質調整用としては、ジョブ言語解釈タスクの解釈に基づいてまたは自ら解釈して印刷品質調整パターン生成コマンドを解釈し応答するタスク、および印刷品質調整パターン生成コマンドに基づいて印刷品質調整パターンを生成するタスクなどを挙げることができる。これらのタスクには優先順位が定められており、各タスクは、その優先順位に基づいて、一般に、数msecオーダの時間単位で交互に実行されるようになっている。なお、制御部が各種タスクを交互に実行するに際して、次にどのタスクにCPUの利用権利を渡すかの選択は、例えば、1msec以下のオーダで実行されるプログラムの集合体であるリアルタイムモニタが、各タスクの優先順位等を参照しながら決定している。
【0044】ここで、印刷品質調整パターンの調整作業において、ホストコンピュータ13とプリンタ10との具体的な双方向通信について説明する。なお、各コマンドは予め取り決められたものである。
【0045】図5に示すように、ホストコンピュータ13は、プリンタ10がどのような印刷品質調整の種類を持っているか確認するためにH1「XX 01 00」のコマンドを発行する。ここで、最初の「XX 01」は印刷品質調整用のコマンドであることとその後に続くコマンドの数を示す。また、次の「00」は印刷品質調整の種類を確認するコマンドである。すると、プリンタ10はP1「XX 05 00 01 02 03 04」のコマンドを返送し、5つの印刷品質調整パターン「00 01 02 03 04」があることを知らせる。この場合、例えば、「00」は縦線印刷品質調整で、01は横線印刷品質調整で、02は黒とカラーのマッチング調整・・・などを知らせる。また、ホストコンピュータ13は、例えば、印刷品質調整「00」はどんな調整範囲があるのかという、H2「YY 01 00」のコマンドを発行する。すると、プリンタ10はP2「YY 03 00 00 10」のコマンドを返送し、「00」の印刷品質調整パターンの調整範囲は01〜10の10段階であることを知らせる。これらのデータは所定の場所に取得しに行ってもよいが、予めテーブル等として用意しておいてもよい。
【0046】すると、ホストコンピュータ13は、例えば、印刷品質調整パターン「00」のテストパターンを印刷させるためにH3「ZZ 01 00」のコマンドを発行する。プリンタ10はホストコンピュータ13からの指令を受けて調整パターンを作成して印刷する。操作者は印刷された印刷品質調整パターンをチェックし、この印刷品質調整パターンにおける適切な印刷品質調整値を選択し、ホストコンピュータ13から入力する。そして、ホストコンピュータ13は入力された印刷品質調整値をプリンタ10に出力するために、P3「ZZ 02 00 10」のコマンドを発行し、印刷品質調整パターン「00」の調整値を「10」の値に設定する。プリンタ10はホストコンピュータ13から送信された印刷品質調整パターン「00」の印刷品質調整値「10」を記憶する。
【0047】以下、必要に応じて他の印刷品質調整の設定を行うことができる。
【0048】なお、以上の実施形態は、画像情報印刷装置の一例としてインクジェットプリンタを例にとって説明したが、ドットインパクトプリンタなどの他のシリアルプリンタについての同様な印刷品質調整を行うことができる。また、カラーレーザビームプリンタにおいては、色ずれ等の印刷品質を同様に調整することができる。
【0049】また、以上のようなプリンタと印刷品質調整設定のための双方向通信を行い、所定の設定を行うためのアプリケーションは、プリンタドライバとは独立して、あるいは付随して、または組み込まれた形態で、フロッピィディスク、CD−ROMなどに格納して提供することができ、このようなアプリケーションは、ホストコンピュータに適宜インストールして使用することができる。
【0050】
【発明の効果】以上、実施形態において詳細に説明したように本発明によれば、ホストコンピュータは各種プリンタに対応した専用の印刷品質調整パターン及びこの印刷品質調整パターンごとの調整範囲並びにこれらの印刷イメージ生成のための情報を保有する必要はなく、最低限の情報のみをプリンタに送付すれば必要な印刷品質調整パターンはプリンタが作成し且つ印刷する。従って、印刷品質調整作業をホストコンピュータからの選択処理のみで行うことができるので、常に個々のプリンタに完全に適応した印刷品質調整作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。
【図2】本実施形態のインクジェットヘッドと記録媒体との関係図である。
【図3】本実施形態に係るインクジェット記録装置の制御ブロック図である。
【図4】本実施形態のインクジェット記録装置による制御処理のフローチャートである。
【図5】ホストコンピュータとインクジェット記録装置との間の具体的な指令コマンドを表す説明図である。
【図6】従来の印刷品質調整パターン調整方法を表すフローチャートである。
【符号の説明】
10 プリンタ
11 プリンタ制御部
12 プリンタ機構部
13 ホストコンピュータ
13a データ入力部
13b コマンド発行部
13c データ表示部
14 電源部
21インクジェットヘッド
24 ヘッド送りモータ
25 紙送りモータ
31 インタフェース
32 CPU
33 ROM
34 RAM
35 演算処理部
36 制御手段
37 印刷データ制御手段
38 印刷位置制御手段
39 印刷品質調整手段
39a コマンド解析部
39b 印刷品質調整パターン生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 予め設定された印刷品質調整値に基づいて、ホストコンピュータから送信される印刷データをプリンタで印刷する画像情報印刷方式において、前記ホストコンピュータにおいて実行されて前記プリンタの印刷品質調整値を決定するために所望の印刷品質調整パターン生成コマンドを前記プリンタに送信するパターン生成コマンド発行手段と、前記ホストコンピュータから送信された印刷品質調整パターン生成コマンドを解析するコマンド解析手段と、該コマンド解析手段の解析に基づいて所望の印刷品質調整パターンを生成し印刷する調整パターン生成手段と、印刷された該印刷品質調整パターンに基づいて選択された前記印刷品質調整値を入力し前記プリンタに送信する調整値入力手段と、前記ホストコンピュータから送信された該印刷品質調整値に基づいて所定の設定を行う印刷品質設定手段とを具え、前記ホストコンピュータは予め前記プリンタの所持する印刷品質調整の種類を提示させるコマンドをプリンタに送り、前記印刷品質調整の種類を取得して表示部に表示させ、前記表示した範囲内での印刷品質調整の種類の選択を受け付け、前記選択された種類に基づいて前記印刷品質調整パターン生成コマンドを送信することを特徴とする画像情報印刷方式。
【請求項2】 請求項1記載の画像情報印刷方式における前記プリンタはカラーシリアルプリンタであり、前記印刷品質調整が、走査双方向の印刷位置調整並びに黒およびカラーの印刷位置調整を含むものであることを特徴とする画像情報印刷方式。
【請求項3】 請求項1記載の画像情報印刷方式における前記プリンタはカラーレーザビームプリンタであり、前記印刷品質調整が、色調調整を含むものであることを特徴とする画像情報印刷方式。
【請求項4】 請求項1〜3において、前記プリンタは印刷品質調整パターンの生成に必要な各種構成部品を格納した部品格納部を具え、前記調整パターン生成手段は、前記部品格納部の構成部品を組み合わせて印刷品質調整パターンを生成することを特徴とする画像情報印刷方式。
【請求項5】 予め設定された印刷品質調整値に基づいて、ホストコンピュータからの印刷データに基づいてプリンタで印刷を実行する画像情報印刷方法において、予め前記プリンタの所持する印刷品質調整の種類を取得して表示させるステップと、前記表示した範囲内での印刷品質調整の種類の選択を受け付けるステップと、前記ホストコンピュータにて前記プリンタの印刷品質調整値を決定するために前記選択された種類に基づいて印刷品質調整パターン生成コマンドを送信するパターン生成コマンド発行ステップと、前記ホストコンピュータから送信された印刷品質調整パターン生成コマンドを解析するコマンド解析ステップと、このコマンド解析ステップでの解析に基づいて印刷品質調整パターンを生成し印刷する調整パターン生成ステップと、印刷された印刷品質調整パターンに基づいて印刷品質調整値を選択して前記ホストコンピュータから当該印刷品質調整値を入力する調整値入力ステップと、この印刷品質調整値を前記プリンタに送信するステップと、前記印刷品質調整値を前記プリンタが受信すると共に当該印刷品質調整値に基づいて所定の設定を行う印刷品質設定ステップと、その後、前記所定の設定に基づいて印刷を実行するステップと、を有することを特徴とする画像情報印刷方法。
【請求項6】 請求項5において、前記コマンド解析ステップでの解析に基づいて印刷品質調整パターンの生成に必要な各種構成部品を組み合わせて所望の印刷品質調整パターンを生成することを特徴とする画像情報印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【特許番号】特許第3449138号(P3449138)
【登録日】平成15年7月11日(2003.7.11)
【発行日】平成15年9月22日(2003.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−311071
【出願日】平成8年11月21日(1996.11.21)
【公開番号】特開平10−151807
【公開日】平成10年6月9日(1998.6.9)
【審査請求日】平成12年6月12日(2000.6.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【参考文献】
【文献】特開 平8−152415(JP,A)
【文献】特開 平5−20437(JP,A)
【文献】特開 昭62−279957(JP,A)