説明

画像情報表示装置、画像情報表示方法

【課題】ユーザが表示させたい地図を、高い精度で推定し、表示することができる画像表示装置を提供する。
【解決手段】地図情報表示装置2、地図情報表示装置1によって、画像表示システムを構成する。地図情報表示装置2には、表示状態を変更するための操作を受け付ける操作受付部101、操作の履歴を記録する操作履歴格納部102、操作履歴格納テーブル103、履歴格納判断部108、履歴情報から操作パターンマスタを抽出する操作特徴算出部105、操作パターンマスタと推定画像の推定値とを対応付けて記録する操作特徴格納部110、操作特徴格納テーブル111、操作の少なくとも一部が受け付けられたタイミングで、推定値に基づく推定画像を表示するための処理を開始する地図情報表示部113、地図情報取得部112を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報表示装置、画像情報表示方法にかかり、特に表示される画像の表示状態をユーザの操作によって変更できる画像情報表示装置、画像情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やパーソナルコンピュータ(Personal Computer、以下PCと記す)等の情報端末装置において地図を表示する場合、キーボードやマウスを使って地図の表示倍率や表示範囲を変更することができる。
この際、ユーザは、表示された地図を見ながら表示範囲を変更する移動操作、表示範囲の中心を変更する操作(中心設定操作)、表示倍率を調整するズームイン操作やズームアウト操作をして所望の表示範囲を所望の表示倍率で表示させている。換言すれば、地図の所望の範囲を所望の表示倍率で表示させるためには、ユーザはキーボードやマウスを操作しなければならなかった。
【0003】
このため、地図をPC等で見る処理には、操作回数や操作時間を短縮して操作にかかる負荷を軽減することが望まれていた。ユーザの操作にかかる負荷を軽減する従来技術としては、例えば、特許文献1がある。特許文献1には、ユーザの操作履歴からキーワードを抽出し、キーワードを使ってユーザの意図(ユーザが目的とする地点)を推定するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−039879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に記載されたシステムは、ユーザが見たい地点や地域等を自動的に検出し、検出された地点に関連するWeb上の情報を提供している。このような特許文献1に記載されたシステムは、ユーザの操作回数や操作にかかる時間を短縮することにより、ユーザにかかる負荷を軽減するものではない。
また、特許文献1では、ユーザの操作の個性や習慣が考慮されていない。このため、推定について十分な精度が得られない可能性もある。すなわち、ユーザが地図上で例えば「渋谷」を見る場合、一般的に、「渋谷」について知識があるユーザは比較的高い表示倍率で地図を表示させる。また、反対に、「渋谷」について知識がないユーザは比較的低い表示倍率で広域の地図を表示させる傾向がある。したがって、ユーザが意図するとおりの地図を自動的に表示させるためには、ユーザ毎の操作の特徴を処理に反映させる必要がある。
本発明は、上記の課題を解決するために、操作にかかる負荷を軽減しながら、ユーザが地図を閲覧する際の特徴的な操作に基づき、ユーザが表示させたい地図を高い精度で推定し、表示することができる画像情報表示装置、画像情報表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の画像表示装置(例えば、図1に示した地図情報表示装置2)は、図画、テキストの少なくとも一方を表す画像を表示画面に表示させると共に、前記画像の表示状態を変更可能な画像表示装置であって、前記画像データの表示状態を変更するための操作を受け付ける操作受付手段(例えば図1に示した操作受付部101)と、前記操作受付手段によって受け付けられた操作の履歴を記録する操作履歴記録手段(例えば、図1に示した操作履歴格納部102、操作履歴格納テーブル103、履歴格納判断部108)と、前記操作履歴記録手段に記録された履歴情報から、操作における所定の操作パターン(例えば、図2に示した操作パターンマスタ)を抽出する操作パターン抽出手段(例えば、図1に示した操作特徴算出部105)と、前記操作パターン抽出手段によって抽出された操作パターンと、当該操作パターンから推定される推定画像の表示状態を示すパラメータである推定値とを対応付けて記録する操作特徴記録手段(例えば、図1に示した操作特徴格納部110、操作特徴格納テーブル111)と、前記操作受付手段が前記操作パターンに含まれる操作の少なくとも一部を受け付けたタイミングで、前記操作特徴記録手段に記録されている推定値に基づいて、前記推定画像の表示に関する処理を行う画像表示手段(例えば、図1に示した地図情報表示部113、地図情報取得部112)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような発明によれば、操作の履歴を記録しておき、この履歴から抽出された特徴によって推定された画像の表示処理を、推定された画像を表示させるための操作が受け付けられる以前に開始することができる。このため、ユーザによる操作の途中でユーザが意図したと推定される画像を表示することができる。また、ユーザの操作の特徴に基づいて画像を推定することができるから、画像の推定の精度を高めることができる。したがって、本発明は、操作にかかる負荷を軽減しながら、ユーザが表示させたい地図等の画像を高い精度で推定し、表示することができる画像情報表示装置を提供することができる。
【0008】
また、本発明の請求項2の画像表示装置は、請求項1において、前記推定値は前記画像の表示倍率を含み、前記画像表示手段は、前記操作受付手段によって前記操作パターンに含まれる操作の少なくとも一部が受け付けられたタイミングで、前記画像を前記表示倍率で表示画面に表示させるための処理を行うことを特徴とする。このような発明によれば、ユーザによる操作の途中でユーザが意図したと推定される表示倍率の画像を表示することができる。
【0009】
また、請求項3の画像表示装置は、請求項1において、前記表示画面に地図を表示するための地図画像データの供給を外部装置に要求する地図画像データ要求手段と、要求に応じて供給された地図画像データを格納する地図情報格納手段と、をさらに備え、前記推定値は、前記地図によって示される地点を含み、前記地図画像データ要求手段は、前記地点を含む地図を前記表示画面に表示させるための地図画像データを前記外部装置に要求し、要求に応じて供給された地図画像データは前記地図情報格納手段に格納され、前記地図情報格納手段に格納されている地図画像データを前記表示画面に表示することを特徴とする。このような発明によれば、ユーザによる操作の途中でユーザが意図したと推定される地点の画像を表示することができる。
【0010】
請求項4の画像表示方法は、図画、テキストの少なくとも一方を表す画像の表示状態を変更するための操作を受け付ける操作受付手段と、前記操作受付手段によって受け付けられた操作の履歴を記録する操作履歴記録手段と、前記操作履歴記録手段に記録された履歴情報から、操作における所定の操作パターンを抽出する操作パターン抽出手段と、前記操作パターン抽出手段によって抽出された操作パターンと、当該操作パターンから推定される推定画像の表示状態を示すパラメータである推定値とを対応付けて記録する操作特徴記録手段と、を備える画像表示装置において実行される画像表示方法であって、前記操作受付手段によって受け付けられた操作が、前記操作パターンに該当するか否か判断するパターン判断ステップと、前記パターン判断ステップにおいて操作が前記操作パターンに該当すると判断された場合、前記操作受付手段が前記操作パターンに含まれる操作の少なくとも一部を受け付けたタイミングを取得するタイミング取得ステップと、前記タイミング取得ステップによって取得されたタイミングで、前記推定値に基づく前記推定画像の表示に関する処理を行う画像表示ステップと、を含むことを特徴とする。このような発明によれば、操作履歴から得られる特徴によってユーザが意図したと推定される画像をユーザによる操作の途中で表示することができるから、ユーザが表示させたい地図等の画像を高い精度で推定し、表示することができる画像情報表示方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
ユーザによる操作の途中でユーザが意図したと推定される画像を表示することにより、少ない操作回数でユーザが希望する地図等の画像を表示する画像情報表示装置、画像表示方法を提供することができる。また、ユーザの意図する画像が、ユーザによる操作履歴から抽出された所定の操作パターンを使って抽出されるので、ユーザの個性や習慣等を勘案した推定の精度の高い画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態の画像情報表示装置を説明するための機能ブロック図である。
【図2】図1に示した操作パターンマスタ格納部に格納されている操作パターンマスタを例示した図である。
【図3】図1に示した操作履歴格納テーブルを例示した図である。
【図4】図1に示した操作特徴格納テーブルを例示した図である。
【図5】本発明の一実施形態の操作受付部によって行われる動作を説明するフローチャートである。
【図6】図1に示した履歴格納判断部によって行われる動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】図1に示した操作特徴算出部によって行われる動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態の画像情報表示装置、画像情報表示方法について説明する。
(画像表示装置を含む画像表示システムの概要)
図1は、本実施形態の画像情報表示装置を説明するための機能ブロック図であって、本実施形態の画像表示装置を含む画像表示システムを表している。図示した画像情報表示システムは、画像情報表示装置と、画像情報提供装置とによって構成されている。本実施形態では、画像情報提供装置を、画像情報表示装置に地図を画像として表すための画像データ(以下、地図情報と記す)を供給するサーバ装置とする。また、画像表示装置を、地図情報を受け取って表示する携帯電話等の移動通信端末とする。このため、本実施形態の画像情報提供装置を地図情報提供装置1、画像情報表示装置を地図情報表示装置2と記す。
【0014】
地図情報提供装置1は、インターネット等を介して地図情報表示装置2に地図情報を提供している。
地図情報提供装置1は、操作受付部101、地図情報格納部104、地図情報取得部112、地図情報表示部113を備えている。このような構成は、いずれも携帯電話機等が一般的に備える構成である。操作受付部101は、ボタン等のユーザインターフェイスの操作内容を受け付けて解釈する。地図情報取得部112は、インターネットを介してテキストや図画を表す画像データを受信する機能を持っている。また、地図情報表示部113は、取得されたテキストや画像のデータを表示するためのディスプレイ画面及びその制御エンジンである。
【0015】
本実施形態の画像表示装置では、操作受付部101によって受け付けられた操作履歴からユーザの操作の特徴的なパターンを抽出し、これをテーブルに保存しておく。そして、以降に行われる操作についても操作のパターンを検出し、検出された操作パターンがテーブルに保存されている特徴的なパターンに一致した場合、ユーザが行おうとしている操作を推定する。さらに、推定された操作によって表示される可能性の高い地図を表示する。
このような処理を可能にするため、本実施形態の地図情報表示装置2は、操作受付部101によって受け付けられた操作と、予め操作パターンマスタ格納部107に保存されている操作パターンマスタとを比較して、操作を操作履歴格納部102に保存すべきか否かを判断する履歴格納判断部108を備えている。
【0016】
また、履歴格納判断部108によって保存すべきであると判断された操作履歴を、操作格納履歴テーブルとして格納する操作履歴格納部102、操作履歴格納テーブル103に格納された操作履歴に基づいて、操作の対象となった地図領域(以下、単に領域と記す)と、領域において行われた操作の特徴的なパターンを抽出する操作特徴算出部105と、操作特徴算出部105によって算出された特徴的なパターンが操作特徴格納テーブル111として記録される操作特徴格納部110と、受け付けられた操作と操作特徴格納テーブル111とを比較して予測値を選択する特徴マッチング判断部106を備えている。
さらに、ユーザの操作によって表示が要求された地図情報が格納(以降、キャッシュと記す)される地図情報格納部104と、地図表示のタイミングを決定するトリガー操作判断部109と、を備えている。
【0017】
以下、上記した構成の各々について、説明する。
(地図情報表示装置の各構成)
・操作受付部
操作受付部101は、図示しない操作ボタンの操作を示す操作情報を受け付けて、操作の内容を検出する。操作の内容とは、地図の表示領域の移動、表示領域の中心点の設定、地図の拡大表示(ズームイン)、及び、地図の縮小表示(ズームアウト)のうちのいずれかをいう。以下、適宜、表示領域の移動を「M」、中心点の設定を「C」、ズームインを「I」、ズームアウトを「O」の記号によっても示すものとする。
【0018】
・操作パターンマスタ
図2は、図1に示した操作パターンマスタ格納部107に格納されている操作パターンマスタを例示した図である。例示された操作パターンマスタは3種類であり、各々はID番号によって識別されている。本実施形態では、IDを「i」、「ii」、「iii」の3つとし、各々を操作パターンマスタi、操作パターンマスタii、操作パターンマスタiiiと記す。
【0019】
なお、図中に示した「+」の記号は同じ操作が連続して行われることを示し、「*」の記号は、*の記号の左に記された操作が複数回行われた後、*の記号の右に記された操作が行われることを示している。図中の「トリガー」とは、一連の操作のうち、操作パターンマスタに該当する操作が行われたとして記録される操作をいう。また、このような操作を、トリガー操作とも記す。
図中の「記録内容」とは、操作パターンマスタに対応付けて記録される表示倍率または地図上において表示される地域及び地点(以降、表示ポイントとも記す)を示す情報である。本実施形態では、表示ポイントを地図が表示された場合の中心点として表すものとする。
【0020】
(操作パターンマスタi)
操作パターンマスタiは、ズームアウトが連続して行われる操作を指す。操作パターンマスタiでは、2回目のズームアウトの操作がトリガー操作となって、最後に行われたズームインIの表示倍率の地図が表示される。
このような操作パターンマスタiは、以下の理由によって設定されたものである。すなわち、ユーザが連続的にズームアウトをする操作は、ある領域を地図上で表示させた後、表示領域を移動することや、より広い地図領域を表示することが目的と考えられる。
【0021】
操作パターンマスタiは、連続してズームアウトが行われた時点で、さらにズームアウトの操作が行われる可能性が大きいとして設定されたものである。このため、操作パターンマスタiによれば、過去に行われた連続するズームアウトで得られた最終的な表示倍率の地図情報が、連続して2回ズームアウトOが行われたタイミングで表示される。なお、ここで、「最終的な表示倍率の地図情報」とは、連続して行われたズームアウトOのうち、最後のズームアウトOの直後に表示された地図をいう。
このような本実施形態によれば、ユーザは、より少ない操作回数により、希望する表示倍率の地図を表示させることができる。
【0022】
(操作パターンマスタii)
操作パターンマスタiiは、移動Mが複数回行われた後、連続してズームインIが行われる操作を指す。このような操作は、一般に、ユーザが表示領域中から表示させたい地点を絞り込んで検索する際に行われる。操作パターンマスタiiは、移動Mが複数回行われた後にズームインIが行われると、さらにズームインIが繰返し行われる可能性が大きいとして設定されたものである。
【0023】
このため、操作パターンマスタiiによれば、過去に行われた連続する移動Mの後のズームインIで得られた最終的な表示倍率の地図情報が、ズームインIが行われたタイミングで表示される。なお、ここで、「最終的な表示倍率の地図情報」とは、移動Mに続いて行われたズームインI、またはこのズームインIにさらに続いて行われたズームインIの、最後のズームインの直後に表示された地図をいう。
このような本実施形態によれば、ユーザは、より少ない操作回数により、希望する表示倍率の地図を表示させることができる。
【0024】
(操作パターンマスタiii)
操作パターンマスタiiiは、連続して移動Mが行われる操作を指す。このような操作は、一般に、ユーザが周辺検索や経路検索する際に行われる。操作パターンマスタiiiは、移動Mが連続して行われると、過去に取得された地図情報の取得が要求される可能性が高いとして設定されたものである。
このため、操作パターンマスタiiiには、連続して移動Mが行われた場合に過去の移動Mによって最終的に表示された地図の表示ポイントが記録されている。なお、ここで、「最終的に表示された地図」とは、連続して行われた移動Mの、最後の移動Mの直後に表示された地図をいう。
【0025】
このような本実施形態によれば、ユーザは、より少ない操作回数により、希望する表示倍率の地図を表示させることができる。
操作パターンマスタiiiでは、ユーザが地図情報格納部104にキャッシュされた地図情報が示す表示ポイントにユーザがアクセスしたタイミングで、地図を表示するものとする。なお、「アクセス」とは、移動の操作、あるいは表示ポイントの入力等によってユーザが表示ポイントを含む地図情報の表示を指示することをいうものとする。
【0026】
このような操作パターンマスタiiiのトリガー操作は、最初の移動Mである。上述した操作パターンマスタiおよび操作パターンマスタiiの場合は、地図情報格納部104にキャッシュされた地図情報を直ちに表示、すなわち同期して表示する。これに対し、操作パターンマスタiiiの場合は、地図情報格納部104にキャッシュされた地図情報を直ちに表示するものではないため、表示のタイミングは非同期に設定されている。このような操作パターンマスタiiiによれば、高い頻度で取得を要求される地図情報を図1に示した地図情報格納部104に格納しておき、地図情報取得の応答性向上やオフライン環境での地図情報の閲覧を実現することができる。
【0027】
・履歴格納判断部
履歴格納判断部108は、操作受付部101によって順次受け付けられた操作と上記操作パターンマスタi〜iiiとを比較する。そして、比較した結果、操作パターンマスタのいずれにも該当しない操作については操作が操作履歴として格納されないように制御する。一方、操作パターンマスタのいずれかに該当する操作については、その操作の履歴が操作履歴格納部102に格納されるよう制御すると共に、その操作が操作パターンマスタi、ii、iiiのいずれに該当するのかを判断する。判断の結果は、操作履歴格納部102の操作履歴格納テーブル103に記録される。
【0028】
・操作履歴格納部
図3は、図1に示した操作履歴格納テーブル103を例示した図である。操作履歴格納テーブル103中の「操作」はズームアウトO、移動Mといった操作である。「操作パターンマスタID」は操作に該当する操作パターンマスタIDの値である。「領域」は地図情報によって表示される地域であり、この操作が実行された際に表示中の地域を、R1、R2といったエリアコードで表されている。
【0029】
「結果」は操作によって得られた最終的な表示倍率または地図情報の表示ポイントを示す。結果のうち、Z1、Z2は地図情報の最終的な表示倍率である。表示倍率は、Z1、Z2…ZNまでのN段階(Nは自然数)に設定されている。表示倍率の具体的な値は画像表示装置の仕様によって異なるが、例えばZ1を1/20m、ZNを1/50kmとすることが考えられる。
また、地図情報の表示ポイントは、例えば(A2,B2)で表される。表示ポイント(A2,B2)は、緯度、経度を基準にして記述される情報であって、表示される地図の中心点を表している。中心点は地図の表示倍率によっては変化しない。
【0030】
「日付」は操作が行われた日付である。この「日付」には、日付のみならず、操作が行われた時刻(時分秒)を含んでもよい。「考察済み区分」とは操作特徴算出部によって操作特徴の抽出がなされたか否かを示す情報である。「考察済み区分」の「Y」は、操作特徴の抽出がなされたことを示すフラグである。
操作結果に「領域」を格納する理由は、閲覧中の地図情報によって最終的な表示倍率が異なる可能性が大きいためである。例えば、渋谷商店街で店を探すために連続的にズームアウトした場合と、那須高原郊外で線路を調べるために連続してズームアウトした場合とでは、最終的な表示倍率が異なっている可能性が高いものと考えられる。
【0031】
・操作特徴算出部
操作特徴算出部105は、操作履歴格納テーブル103に格納されている操作履歴に基づいて、「領域」と、この「領域」において実行された操作に該当する操作パターンマスタと、操作パターンマスタに対応付けて記録されている内容(以下、予測値と記す。本実施形態では地図情報の表示倍率または表示ポイントである)とを1組のデータ(以下、レコードと記す)として算出する。レコードは、操作特徴格納テーブル111に格納される。操作特徴算出部105は、「領域」、「操作パターンマスタID」、「予測値」の全てが同じレコードが、レコードを操作特徴格納テーブル111に既に格納されている場合、格納されているレコードの格納回数を1つカウントアップする。また、格納の頻度を更新する。
【0032】
・操作特徴格納テーブル
図4は、図1に示した操作特徴格納テーブル111を例示した図である。前述したように、操作特徴格納テーブル111には複数のレコードと、このレコードの「格納回数」と「格納頻度」とが記録されている。本実施形態では、レコードのうち、「領域」および「操作パターンマスタID」が同一のもの同士がグループ化される。図4に示した例では、最上段に示したレコード401と、次段のレコード402とが同一のグループに属している。
【0033】
操作特徴格納テーブル111には、さらに、「利用区分」の情報が記録される。「利用区分」は、同じグループに属するレコードの格納回数に基づいて決定され、格納回数の最も大きいレコードに「Y」のフラグが記録される。
本実施形態では、同じグループに属するレコードのうち、格納回数の最も大きいもの、つまり、利用区分に「Y」のフラグが記録されているレコードの予測値が地図の表示に採用される。格納回数が同じレコードが複数存在した場合は、格納頻度が大きなレコード、または、「日付」が最新のレコード、の予測値を採用すればよい。
【0034】
・特徴マッチング判断部
特徴マッチング判断部106は、操作受付部101によって受け付けられた操作が行われた「領域」と「操作パターンマスタID」の値とを判定する。そして、「領域」および「操作パターンマスタID」の値が一致するレコードのうち、利用区分にフラグ「Y」が記録されているレコードを選択する。選択されたレコードの予測値は、操作受付部101に送信される。
【0035】
・トリガー操作判断部
トリガー操作判断部109は、操作履歴格納テーブル103に格納された操作履歴から、操作受付部101によって受け付けられた操作がトリガー操作であるか否かを判断する。トリガー操作判断部109によって操作がトリガー操作であると判断された場合、操作受付部101に対し、トリガー操作であることと、操作に該当する操作パターンマスタIDの値が送信される。
【0036】
地図情報取得部
地図情報取得部112は、操作受付部101によって指示される都度、指示された地図情報を地図情報提供装置1からダウンロードする機能を有している。
地図情報格納部
地図情報格納部104は、ダウンロードされた地図情報を格納(すなわち、キャッシュ)しておくキャッシュメモリである。操作受付部101の指示により、未だアクセスされていない表示ポイントを含む地図情報をキャッシュした場合、地図情報格納部104には地図情報が「先読み」されることになる。
【0037】
・地図情報表示部
地図情報表示部113は、地図情報格納部104にキャッシュされている地図情報に基づく地図を表示する。この際、操作受付部101から地図情報表示部113に表示倍率が指定される。表示倍率が指定された場合、地図情報表示部113は、予め格納しておいた、複数の表示倍率の画像データ(すなわち地図)のうち、該当する表示倍率の画像データを、ユーザの操作が操作パターンと一致したタイミングで、表示する。もっとも、1種類の表示倍率の画像データ(すなわち地図)のみを格納しておき、ユーザの操作が操作パターンと一致したタイミングで、格納しておいた画像データのうち、該当する表示倍率の地図を作成し、この作成したものを表示する。
【0038】
(画像表示装置の動作)
次に、本実施形態の画像表示装置が行う動作について、より詳細に説明する。
・操作受付部によって行われる動作
図5は、本実施形態の画像表示装置の動作を説明するためのフローチャートであって、図1に示した操作受付部101によって行われる動作を説明している。操作受付部101は、操作情報を受け付けて(ステップS501)、図1に示したトリガー操作判断部109に、この操作がトリガー操作であるか否かの判断を依頼する。
トリガー操作判断部は、受け付けられた操作と、図1に示した操作履歴格納テーブル103にすでに格納されている操作履歴を使い、操作がトリガー操作であるか否か判断する(ステップS502)。
【0039】
具体的には、例えば今回行われた操作が連続するズームアウトOの二番目にされた操作であるか否か判断が判断される。連続するズームアウトOの二番目にされた操作であれば、この操作は操作パターンマスタiのトリガー操作であると判断される。また、連続する移動Mに続くズームインIの操作であれば、この操作は操作パターンマスタiiのトリガー操作であると判断される。さらに、連続して移動Mの操作が行われれば、最初の移動Mが操作パターンマスタiiiのトリガー操作であると判断される。判断の結果は、操作パターンマスタIDの値と共に操作受付部に通知される。
【0040】
ステップS502において、判断の結果、トリガー操作である場合(ステップS502:Yes)、操作受付部101に操作パターンマスタIDの値が取得される(ステップS503)。
なお、その操作がトリガー操作ではないと判断された場合(ステップS502:No)、操作受付部は本実施形態に特化されない、通常処理が行われる。すなわち、ユーザの操作に応じた地図情報の取得や表示等の制御を行っている(ステップS505)。このとき、地図情報表示部には、ユーザの操作通りの状態で地図が表示される。
【0041】
続いて、操作受付部は、図1に示した操作特徴格納テーブル111から、操作パターンマスタIDと「領域」とが一致するレコードのうちの利用区分にフラグ「Y」が記録されているレコードの予測値を取得する。
この際、操作受付部101は、操作パターンマスタIDの値がiiiであるか否か判断する(ステップS504)。操作パターンマスタIDの値が「iii」であれば(ステップS504:Yes)、予測値としての表示ポイントが図1に示した地図情報取得部112に送信される(ステップS507)。地図情報取得部112は、操作受付部101から送信された表示ポイントを受信し、その表示ポイントを含む地図情報を地図情報提供装置1に要求する。この要求に応じてダウンロードされた地図情報は、図1に示した地図情報格納部104にキャッシュされる。キャッシュされた地図情報は、ユーザが表示ポイントにアクセスしたタイミングで図1に示した地図情報表示部113に地図として表示される。
【0042】
一方、ステップS504において、操作パターンマスタIDの値がiiiではないと判断された場合(ステップS504:No)、操作受付部は、予測値としての表示倍率を図1に示した地図情報表示部113に送信する。地図情報表示部は、現在表示されている地図情報、あるいは移動後に表示される地図を表示倍率にしたがって拡大、または縮小して表示する。なお、操作特徴格納テーブルに予測値が設定されていない場合には、ステップS505の通常処理により地図が表示される。
【0043】
ここで、操作パターンマスタIDiiiについて、地図表示の具体例を説明する。例えば、ユーザが、渋谷領域において目標物または目標地点までの経路を調べるため、移動Mの操作を複数回実行したものとする。ユーザが渋谷領域において複数回移動Mを行った場合、最終的に渋谷駅が参照される可能性が大きければ、操作特徴格納テーブルのフラグ「Y」は、予測値が渋谷駅を示す表示ポイントであるレコードに記録されている。
【0044】
このような場合、本実施形態では、地図情報取得部が地図情報提供装置に渋谷駅を含む地図情報を要求し、要求された地図情報が地図情報格納部にキャッシュされる。このため、ユーザが渋谷駅を表示させる操作をした(前述した、「地図情報が示す表示ポイントにユーザがアクセス」に相当する)場合、すでにキャッシュされている地図情報が地図表示部に表示される。このように、本実施形態によれば、渋谷駅を含み、かつ、ユーザが表示させたい画像情報を、より短時間のうちに表示させることができる。
【0045】
・操作履歴記録にかかる動作
図6は、図1に示した履歴格納判断部108によって行われる動作を説明するためのフローチャートである。履歴格納判断部は、操作受付部101によって受け付けられた操作を順次受信し(ステップS601)、受信した操作の内容と図2に示した操作パターンマスタとを比較する(ステップS602)。この比較により、操作が操作パターンマスタのいずれかのトリガー操作であるか否か、つまり操作を操作履歴格納テーブルに記録すべきか否か判断する(ステップS603)。
【0046】
履歴格納判断部は、操作を記録すべきであると判断した場合、操作に該当する操作パターンマスタIDの値を操作受付部に送信する。操作受付部は、IDを受信すると、トリガー操作の種別、操作が行われた「領域」、最終的に表示された地図の表示倍率や表示ポイント、操作の日付を操作履歴格納テーブルに記録するよう操作履歴格納部102に要求する。操作履歴格納部は、記録を要求された情報を、図3に示した操作履歴格納テーブルとして記録する(ステップS604)。
【0047】
・操作特徴の抽出にかかる動作
次に、図1に示した操作特徴算出部105によって行われる処理について説明する。操作特徴算出部は、操作特徴格納テーブルに格納されている操作履歴情報から、特徴の抽出操作を定期的に行っている。図7は、操作履歴情報から操作特徴を抽出する処理を説明するためのフローチャートである。
操作特徴算出部は、操作履歴格納テーブルから「考察済み区分」に「Y」のフラグが記録されていない(つまり未考察である)レコードを取得する(ステップS701)。そして、取得されたレコードの「操作パターンマスタID」、「領域」、「結果」と、「操作パターンマスタID」、「領域」、「予測値」とが一致する他のレコードを、操作特徴格納テーブルを対象にして検索する(ステップS702、703)。
【0048】
操作特徴格納テーブルを検索した結果、一致するレコードが検出されれば、検出されたレコードの「回数」が1つカウントアップされる(ステップS704)。また、操作特徴算出部は、「回数」がカウントアップされたレコードの「頻度」についても計算して更新する。頻度は、「回数」がカウントアップされる時間間隔の平均値等によって表すことができる。
【0049】
なお、検索されたレコードが操作特徴格納テーブルに存在しない場合、ステップS701において、取得された操作履歴格納テーブルのレコードが、新たなレコードとして、操作履歴格納テーブルに格納される。このとき、格納された新たなレコードの「回数」は1、「頻度」は0、「利用区分」のフラグは記録されないように設定される。
ステップS701において、操作特徴算出部によって取得されたレコードには「時考察済み区分」にフラグ「Y」が記録される。ステップS701〜ステップS705の処理は、操作履歴格納テーブルに「考察済み区分」にフラグ「Y」が記録されていないレコードがなくなるまで(つまり、全てのレコードにフラグ「Y」が記録されるまで)、操作特徴算出部によって繰り返される(ステップS705)。
【0050】
次に、操作特徴算出部は、操作特徴格納テーブルに格納されたレコードのうち、「領域」および「操作パターンID」の値とが同じレコード同士をグループ化する。そして、グループに含まれるレコードを、「回数」の値が大きいものから順にランキングする(ステップS706)。ランキングの結果、「回数」が最も大きいレコードの「利用区分」にフラグ「Y」が記録されているか否か判断する(ステップS707)。回数」が最も大きいレコードの「利用区分」にフラグ「Y」が記録されていない場合には(ステップS707:No)、このレコードの「利用区分」にフラグ「Y」を記録して、同一グループに属する他のレコードの利用区分を空欄とする(ステップS708)。
【0051】
以上述べた本実施形態によれば、ユーザが、例えば連続して4回ズームアウトし、より表示倍率が低い地図を表示しようとした場合、2回目のズームアウトによって4回ズームアウトした結果得られる表示倍率の地図を表示させることができる。このため、より少ない操作回数によってユーザに意図した地図を提供する(すなわち地図情報を表示させる)ことができる。また、ユーザが例えば3回移動して目的の建物等を表示しようとした場合、2回移動した時点で建物を含む地図情報を取得し、建物を含む画像にユーザがアクセスしたタイミングで直ちに表示することができる。このため、操作から画像表示までの時間を短縮してユーザにかかる操作の負荷を軽減することができる。
【0052】
また、ユーザの意図する画像が、ユーザによる操作履歴から抽出された所定の操作パターンを使って抽出されるので、ユーザの個性や習慣等を勘案した推定の精度の高い画像を表示することができる。
さらに、本実施形態は、移動、中心点の設定、ズームイン、ズームアウトの操作を検出するものに限定されるものではなく、他の操作を検出するものであってもよい。他の操作としては、例えば、画像の色合いの調整や、言語や文字の書体の変更が考えられる。また、本実施形態は、地図情報を移動通信端末に表示する構成に限定されるものでなく、一般的なPCに地図情報を表示する装置等にも適用される。PC等の共用される可能性がより高い機器を画像表示装置に適用する場合、ユーザ各人をID等によって識別し、ユーザ毎に操作履歴を記録して操作の特徴を抽出することはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、地図をサーバ装置から携帯電話やPCにダウンロードするシステムの装置に適用できる。また、地図以外であっても、サーバ装置から携帯電話やPCに画像データをダウンロードし、表示された画像を加工する操作をする装置であれば、どのようなものにも適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 地図情報提供装置
2 地図情報表示装置
101 操作受付部
102 操作履歴格納部
103 操作履歴格納テーブル
104 地図情報格納部
105 操作特徴算出部
106 特徴マッチング判断部
107 操作パターンマスタ格納部
108 履歴格納判断部
109 トリガー操作判断部
110 操作特徴格納部
111 操作特徴格納テーブル
112 地図情報取得部
113 地図情報表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図画、テキストの少なくとも一方を表す画像を表示画面に表示させると共に、前記画像の表示状態を変更可能な画像表示装置であって、
前記画像データの表示状態を変更するための操作を受け付ける操作受付手段と、
前記操作受付手段によって受け付けられた操作の履歴を記録する操作履歴記録手段と、
前記操作履歴記録手段に記録された履歴情報から、操作における所定の操作パターンを抽出する操作パターン抽出手段と、
前記操作パターン抽出手段によって抽出された操作パターンと、当該操作パターンから推定される推定画像の表示状態を示すパラメータである推定値とを対応付けて記録する操作特徴記録手段と、
前記操作受付手段が前記操作パターンに含まれる操作の少なくとも一部を受け付けたタイミングで、前記操作特徴記録手段に記録されている推定値に基づいて、前記推定画像の表示に関する処理を行う画像表示手段と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記推定値は前記画像の表示倍率を含み、
前記画像表示手段は、
前記操作受付手段によって前記操作パターンに含まれる操作の少なくとも一部が受け付けられたタイミングで、前記画像を前記表示倍率で表示画面に表示させるための処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記表示画面に地図を表示するための地図画像データを外部装置に要求する地図画像データ要求手段と、要求に応じて供給された地図画像データを格納する地図情報格納手段と、をさらに備え、
前記推定値は、前記地図によって示される地点を含み、
前記地図画像データ要求手段は、前記地点を含む地図を前記表示画面に表示させるための地図画像データを前記外部装置に要求し、要求に応じて供給された地図画像データは前記地図情報格納手段に格納され、前記地図情報格納手段に格納されている地図画像データを前記表示画面に表示することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
図画、テキストの少なくとも一方を表す画像の表示状態を変更するための操作を受け付ける操作受付手段と、前記操作受付手段によって受け付けられた操作の履歴を記録する操作履歴記録手段と、前記操作履歴記録手段に記録された履歴情報から、操作における所定の操作パターンを抽出する操作パターン抽出手段と、前記操作パターン抽出手段によって抽出された操作パターンと、当該操作パターンから推定される推定画像の表示状態を示すパラメータである推定値とを対応付けて記録する操作特徴記録手段と、を備える画像表示装置において実行される画像表示方法であって、
前記操作受付手段によって受け付けられた操作が、前記操作パターンに該当するか否か判断するパターン判断ステップと、
前記パターン判断ステップにおいて操作が前記操作パターンに該当すると判断された場合、前記操作受付手段が前記操作パターンに含まれる操作の少なくとも一部を受け付けたタイミングを取得するタイミング取得ステップと、
前記タイミング取得ステップによって取得されたタイミングで、前記推定値に基づく前記推定画像の表示に関する処理を行う画像表示ステップと、
を含むことを特徴とする画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−276985(P2010−276985A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131208(P2009−131208)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】