説明

画像投射機能付撮像システム

【課題】 デジタルカメラにプロジェクタユニットを結合して、デジタルカメラとプロジェクタの機能を具備した小型かつ低コストな画像投射機能付撮像システムを提供する。
【解決手段】 撮影用光学系11および撮像素子14を備えるデジタルカメラ10と、撮像画像を表示する透過LCD33およびそれを照明する光源35を備えるプロジェクタユニット70とから成る画像投射機能付撮像システムは、デジタルカメラおよびプロジェクタユニットの分離時には撮影用光学系11の光路範囲外に退避し、デジタルカメラおよびプロジェクタユニットの結合時には撮像用光学系11および撮像素子14の間に挿入されるように配置されるミラー17を備え、デジタルカメラおよびプロジェクタユニットの結合時には、撮像画像を表示している透過LCD33を光源35で照明することにより、撮像画像をミラー17および撮影用光学系11を介して所定表示面に投射表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影用光学系および撮像素子を備えるデジタルカメラと、撮像画像を表示する画像表示手段および該画像表示手段を照明する照明手段を備えるプロジェクタユニットとを組み合わせることにより、デジタルカメラの撮像機能とプロジェクタの画像投射機能とを具備するように構成した画像投射機能付撮像システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、写真のような画像を電子的に撮像する、デジタルカメラ(デジタルスチルカメラや電子スチルカメラなどともいう)が市販され、一般に広く使われるようになってきている。また、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)の画面に表示される画像やデジタルカメラで撮像した画像を大画面表示して鑑賞するためにスクリーンに投影するプロジェクタも一般に使われるようになっている。デジタルカメラおよびプロジェクタを組み合わせて使用する場合には、一般的には、デジタルカメラで撮影した画像(以下、撮像画像という)のデータを各種メモリーカードやハードディスク等の記録媒体に記録しておき、その撮像画像をプロジェクタを用いて鑑賞する際には、PCにプロジェクタおよび記録媒体を接続して、プロジェクタから大画面スクリーン等に記録媒体内の撮像画像を拡大投射するように構成する。
【0003】
上述したようなデジタルカメラとプロジェクタとを組み合わせる使い方をする場合、必要な機材を簡略化および小型化することが好ましい。このような要求に応えるために、デジタルカメラの撮像用の対物レンズをプロジェクタの投射用レンズと兼用するように構成した電子カメラ(例えば特許文献1参照;以下、従来技術1という)が提案されている。なお、液晶プロジェクタにデジタルカメラを内蔵させて、液晶プロジェクタの投射用レンズがデジタルカメラの撮像用対物レンズを兼用するように構成した液晶プロジェクタ(例えば特許文献2参照;以下、従来技術2という)も提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−137039号公報
【特許文献2】特開2004−252118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術1は、CCD等の撮像素子に被写体の像を結像させる撮影用光学系とは別に、撮影用光学系の対物レンズによる結像状況を観察するファインダ用光学系を有する構成のデジタルカメラを適用対象としている。しかし、最近のデジタルカメラに対する小型化、薄型化のニーズの高まりに応じて、カード型等のコンパクトタイプのデジタルカメラが急激に増加しており、このようなコンパクトタイプのデジタルカメラは、構造上、ファインダ用光学系を設けることが不可能な場合が多いため、「ファインダ光学系を有していない構成のデジタルカメラ」となる場合が多く、そのような場合には上記従来技術1の構成を適用することはできない。なお、「ファインダ光学系を有していない構成のデジタルカメラ」では、ファインダ光学系の代わりにLCD等の電子的表示装置を用いて、観察中の像や撮影済みの画像を確認できるようにするのが一般的である。
また、上記従来技術1は、デジタルカメラ内にプロジェクタの画像投射用の表示素子と投射用照明装置とを予め配置しておく必要があるが、特に、画像投射用の表示素子としては小型かつ高精細で透過率の高いLCD等が必要とされ、投射用照明装置としても高輝度で均一な配光分布を有するプロジェクタ用に適した照明装置が必要とされるため、デジタルカメラ部が大型化したり、価格が高くなったりしてしまう。その結果、デジタルカメラ自体が大型化およびコストアップするため、通常の撮影用途には不便になったり、プロジェクタとしての機能を必要としない使用者には高価なものとなってしまう。
なお、上記従来技術2は、単に、液晶プロジェクタの投射用レンズがデジタルカメラの撮像用の対物レンズを兼用するように構成しただけなので、装置全体としてはデジタルカメラよりも遙かに大きい液晶プロジェクタの大きさとなってしまい、上記小型化の要求に応えることができない。
【0006】
本発明は、一般的なデジタルカメラにプロジェクタユニットを結合分離する構成を採用することにより、デジタルカメラおよびプロジェクタの機能を具備した小型かつ低コストな画像投射機能付撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の第1発明は、撮影用光学系および撮像素子を備えるデジタルカメラと、撮像画像を表示する画像表示手段および該画像表示手段を照明する照明手段を備えるプロジェクタユニットと、から成る画像投射機能付撮像システムであって、前記デジタルカメラおよび前記プロジェクタユニットの分離時には前記撮影用光学系の光路範囲外に退避し、前記デジタルカメラおよび前記プロジェクタユニットの結合時には前記撮像用光学系および前記撮像素子の間に挿入されるように配置される反射部材を備え、前記デジタルカメラおよび前記プロジェクタユニットの結合時には、前記撮像画像を表示している前記画像表示手段を前記照明手段によって照明することにより、前記撮像画像を前記反射部材および前記撮影用光学系を介して所定表示面に投射表示するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の第2発明は、前記反射部材は、前記デジタルカメラの内部に配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の第3発明は、前記反射部材は、前記プロジェクタユニットの内部に配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の第4発明は、前記デジタルカメラおよび前記プロジェクタユニットの結合時には、前記反射部材が前記撮影用光学系の光路内に挿入可能になるように、前記撮影用光学系を移動させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の第5発明は、前記デジタルカメラは、記録媒体と、撮像画像の画像データを前記記録媒体に記録する処理回路と、前記記録媒体内の画像データを前記プロジェクタユニットの処理回路に転送するデータ転送手段とを備え、該データ転送手段の作動時に、前記デジタルカメラ内の撮像画像を前記プロジェクタの前記画像表示手段に表示させて前記所定表示面への投射表示を行うようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の第6発明は、前記プロジェクタユニットは、前記撮影用光学系の光軸に対して直交する方向で前記デジタルカメラに結合または分離するようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の第7発明は、前記プロジェクタユニットは、前記デジタルカメラへの充電機能および外部機器との通信機能の少なくとも一方を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の第8発明は、前記デジタルカメラは測距対象物までの距離を測定する測距手段を備え、前記デジタルカメラおよび前記プロジェクタユニットの結合時には、前記測距手段の測距データに応じて、前記画像表示手段に表示された撮像画像の投射像が前記所定表示面に結像するように前記撮影用光学系の焦点位置を制御するようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の第9発明は、前記デジタルカメラは撮像および画像表示を含む各種操作を行うための操作部を備え、該操作部は、前記プロジェクタユニットの画像投射を含む各種操作を行うための操作部を兼用するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1発明によれば、撮影用光学系および撮像素子を備えるデジタルカメラと、撮像画像を表示する画像表示手段および該画像表示手段を照明する照明手段を備えるプロジェクタユニットと、から成る画像投射機能付撮像システムは、前記デジタルカメラおよび前記プロジェクタユニットの分離時には前記撮影用光学系の光路範囲外に退避し、前記デジタルカメラおよび前記プロジェクタユニットの結合時には前記撮像用光学系および前記撮像素子の間に挿入されるように配置される反射部材を備え、前記デジタルカメラおよび前記プロジェクタユニットの結合時には、前記撮像画像を表示している前記画像表示手段を前記照明手段によって照明することにより、前記撮像画像を前記反射部材および前記撮影用光学系を介して所定表示面に投射表示するように構成されているから、一般的なデジタルカメラにプロジェクタユニットを結合分離する構成を採用することにより、デジタルカメラおよびプロジェクタの機能を具備した小型かつ低コストな画像投射機能付撮像システムを提供することができる。
【0017】
第2発明によれば、前記反射部材は、前記デジタルカメラの内部に配置されるので、画像投射機能付撮像システムを小型化することができる。
【0018】
第3発明によれば、前記反射部材は、前記プロジェクタユニットの内部に配置されるので、第2発明よりも前記デジタルカメラが小型化されることになり、画像投射機能付撮像システムを小型化することができる。
【0019】
第4発明によれば、前記デジタルカメラおよび前記プロジェクタユニットの結合時には、前記反射部材が前記撮影用光学系の光路内に挿入可能になるように、前記撮影用光学系を移動させるようにしたから、前記デジタルカメラ内において前記反射部材が占有するスペースを小さくすることが可能になり、画像投射機能付撮像システムの小型化に寄与することになる。
【0020】
第5発明によれば、前記デジタルカメラは、記録媒体と、撮像画像の画像データを前記記録媒体に記録する処理回路と、前記記録媒体内の画像データを前記プロジェクタユニットの処理回路に転送するデータ転送手段とを備え、該データ転送手段の作動時に、前記デジタルカメラ内の撮像画像を前記プロジェクタの前記画像表示手段に表示させて前記所定表示面への投射表示を行うようにしたから、前記デジタルカメラで撮像した撮像画像を前記プロジェクタユニットで前記所定表示面に大画面表示して鑑賞することができるようになる。
【0021】
第6発明によれば、前記プロジェクタユニットは、前記撮影用光学系の光軸に対して直交する方向で前記デジタルカメラに結合または分離するようにしたから、前記デジタルカメラ内において前記プロジェクタユニットが占有するスペースを小さくすることが可能になり、画像投射機能付撮像システムの小型化に寄与することになる。
【0022】
第7発明によれば、前記プロジェクタユニットは、前記デジタルカメラへの充電機能および外部機器との通信機能の少なくとも一方を備えるから、前記プロジェクタユニットを画像投射に使用しないときは前記デジタルカメラに用いる「クレイドル」として利用することが可能になる。
【0023】
第8発明によれば、前記デジタルカメラは測距対象物までの距離を測定する測距手段を備え、前記デジタルカメラおよび前記プロジェクタユニットの結合時には、前記測距手段の測距データに応じて、前記画像表示手段に表示された撮像画像の投射像が前記所定表示面に結像するように前記撮影用光学系の焦点位置を制御するようにしたから、例えば前記デジタルカメラの撮像素子を前記測距手段として流用することにより、前記プロジェクタユニット側には測距手段を設ける必要が無くなるので、画像投射機能付撮像システムの小型化およびコストダウンに寄与することになる。
【0024】
第9発明によれば、前記デジタルカメラが備える撮像および画像表示を含む各種操作を行うための操作部は、前記プロジェクタユニットの画像投射を含む各種操作を行うための操作部を兼用するので、デジタルカメラとして使用するときもプロジェクタとして使用するときも前記操作部で全ての操作を行うことが可能になり、使い勝手が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態の画像投射機能付撮像システムの全体構成を示す縦断面図であり、図2は第1実施形態の画像投射機能付撮像システムにおけるデジタルカメラの撮影時の状態を示す撮影用光学系の光軸位置での縦断面図である。本実施形態の画像投射機能付撮像システムは、図1に示すように、デジタルカメラ10と、プロジェクタユニット30とを具備して成る。なお、本実施形態では、デジタルカメラ10として、コンパクトタイプのデジタルカメラを用いるものとする。
【0027】
デジタルカメラ10は、図2に示すように、筺体10aの左側面に、図示しない対物レンズを含む撮影用光学系(この撮影用光学系は、ズーム機能を有しているものを用いるものとする)11を保持する鏡枠12が、撮影用光学系11の光軸L上を進退移動可能に保持されており、鏡枠12は、図2の状態では撮影位置に停止している。撮影用光学系11の光軸L上の筺体10aの右端部近傍には、ローパスフィルタ13および撮像素子(例えばCCD、CMOS等)14が支持されており、筺体10aの右側面には外部表示部であるLCD15が配置されている。筺体10aの底面には蓋16が着脱可能に設けられている。この蓋16は、図2に示すデジタルカメラ単体使用時には装着し、図1に示すデジタルカメラ10およびプロジェクタユニット30の結合使用時には取り外すことになっている。
【0028】
デジタルカメラ10の筺体10aの内部には、反射部材であるミラー17が回転軸18の中心周りに回動可能に支持されている。このミラー17は、図2に示すようなデジタルカメラ10およびプロジェクタユニット30の分離時には撮影用光学系11の光路範囲外に退避し、図1に示すようなデジタルカメラ10およびプロジェクタユニット30の結合時には撮像用光学系11および撮像素子14の間に挿入されるように配置されている。なお、上述したように反射部材であるミラー17をデジタルカメラの内部に配置するとともに、デジタルカメラおよびプロジェクタユニットの結合時にミラー17が撮影用光学系11の光路内に挿入可能になるように撮影用光学系11を移動させるように構成することにより、画像投射機能付撮像システムの小型化を図っている。
【0029】
デジタルカメラ10の筺体10aの内部にはさらに、処理回路19と、記録媒体20と、内部インターフェース(以下、内部I/Fという)21とが配置されている。処理回路19は、撮像素子14から入力される撮像画像の画像データを記録媒体20に記録する機能の他、記録媒体20内の画像データを、内部I/F21経由で、プロジェクタユニット30の処理回路37(図1参照)に転送するデータ転送機能を含む種々の機能を有している。デジタルカメラ10の筺体10aの右側面には、撮像および画像表示を含む各種操作を行うための各種ボタン類から成る操作部22が設けられている。この操作部22は、後述するように、プロジェクタユニット30の画像投射を含む各種操作を行うための操作部を兼用するようになっている。なお、プロジェクタユニット30側に画像投射を含む各種操作を行うための操作部を別に設けるようにしてもよい。
【0030】
プロジェクタユニット30は、デジタルカメラ10およびプロジェクタユニット30の結合時における撮影用光学系11の光軸位置での縦断面図である図1に示すように、デジタルカメラ10内に入り込むように中央上部に凸部31が形成された箱型の筺体30aを有しており、筺体30a内には、凸部31のミラー17側から順に、カバーガラス32と、撮像画像を表示する画像表示手段である透過LCD33と、集光レンズ34と、照明手段である光源35と、反射板36と、処理回路37とが設けられている。さらに、筺体30aの右上面には、デジタルカメラ10およびプロジェクタユニット30の結合時にデジタルカメラ10の内部I/F21と接続される内部インターフェース(以下、内部I/Fという)38が設けられており、筺体30aの右側面には、外部インターフェース(以下、外部I/Fという)39が設けられている。この外部I/F39としては、例えばUSB端子を用いるものとする。なお、本実施形態では、プロジェクタユニット30は、デジタルカメラ10への充電機能および外部機器との通信機能の少なくとも一方(本実施形態では両方)を備えるから、プロジェクタユニット30を画像投射に使用しないときはデジタルカメラ10の電源供給および内蔵電池の充電やPC等の外部機器との情報通信に用いる「クレイドル」として利用することが可能になっている。
【0031】
次に、本実施形態の画像投射機能付撮像システムの各種状態および各種動作を図面に基づき詳細に説明する。
【0032】
[デジタルカメラ10の非撮影時における撮影用光学系の収納状態]
図3は第1実施形態の画像投射機能付撮像システムにおけるデジタルカメラの撮影用光学系収納時の状態を示す撮影用光学系の光軸位置での縦断面図である。デジタルカメラ10が使用者により非撮影状態に設定され(この非撮影状態は、例えばデジタルカメラ10の電源がOFFにされた状態に対応する)、かつ、プロジェクタユニット30がデジタルカメラ10から分離されているデジタルカメラ単体使用時には、デジタルカメラ10に設けられた図示しない結合/分離検出手段からの「分離状態」を示す検出信号に応じて、処理回路19が「撮影用光学系収納指令」を発するため、鏡枠12は図3に示す収納位置に繰り込まれ、それに伴い撮像用光学系11は図3のように収納される。これと同時に、処理回路19が「ミラー退避指令」を発するため、ミラー17は、鏡枠12および撮像用光学系11と干渉しない図3に示す位置(退避位置)に退避した状態となる。
【0033】
[デジタルカメラ10の撮影時の撮影用光学系の状態]
図3に示す撮影用光学系の収納状態において、使用者によりデジタルカメラ10の電源をONにする操作が行われた場合には、処理回路19が「撮影準備指令」を発するため、鏡枠12は図示しない繰り出し機構によって図2に示す撮影待機位置に繰り出され、それに伴い撮像用光学系11は図2のような撮影待機状態になる。このとき、ミラー17は、図2のように鏡枠12および撮像用光学系11と干渉しない退避位置に退避しているので、ミラー17が撮影の邪魔になることはない。
図2に示す撮影待機状態においては、撮影用光学系11によってローパスフィルタ13を通って撮像素子14に結像される図示しない被写体の像は、撮像素子14によって電気信号に変換された後に、撮像素子14に接続された処理回路19に入力され、デジタルカメラ10の右側面(背面)に配置された外部表示用のLCD15に表示される。この撮影待機時には、LCD15はビューファインダとして機能する。
【0034】
[デジタルカメラ10の撮影動作および画像再生動作]
上記撮影待機状態において、使用者により操作部22による撮影のための操作がなされると、処理回路19が「撮影指令」を発するため、撮像素子14に結像した被写体の像は電気信号に変換された後、処理回路19を経て記録媒体20に記録されることになる。この記録の後に、使用者により操作部22による画像再生のための操作がなされると、処理回路19が「再生指令」を発するため、LCD15は再生モードに切り換えられ、記録媒体20に記録された画像がLCD15に表示されることになる。
【0035】
[デジタルカメラ10およびプロジェクタユニット30の結合動作]
デジタルカメラ10にプロジェクタユニット30を結合させる際には、まず、使用者により、図2または図3に示す状態のデジタルカメラの底部の蓋16を取り外す操作が行われる。蓋16が取り外されると、デジタルカメラ10の電源がONになるとともに、デジタルカメラ10に設けられた図示しない着脱検出手段からの「蓋取り外し状態」を示す検出信号に応じて、処理回路19が「結合準備指令」を発するため、図2、図3に示すように撮影用光学系11の撮影光路範囲外の位置に退避しているミラー17は、該ミラーと一体化された回転軸18の中心周りに回転移動して、図1に示す投射位置に配置される。このとき、図3の状態で蓋16を取り外す操作が行われた場合には、上記「結合準備指令」に応じて、図2に示す撮影待機位置まで鏡枠12および撮像用光学系11を繰り出す動作が行われるが、図2の状態で蓋16を取り外す操作が行われた場合には、既に鏡枠12および撮像用光学系11は撮影待機位置まで移動しているので、鏡枠12および撮像用光学系11を繰り出す動作は行われない。
図1のようにミラー17が投射位置に配置された状態のときは、デジタルカメラ10の撮像用光学系11および撮像素子14間の光軸Lが90度下方に折り曲げられるので、プロジェクタユニット30を撮影用光学系11の光軸Lと直交する方向から結合して使用することが可能になる。そして、使用者により、プロジェクタユニット30がデジタルカメラ10に結合されると、プロジェクタユニット30の凸部31がデジタルカメラ10の内部に挿入された図1に示す結合状態になり、このときプロジェクタユニットの内部I/F38とデジタルカメラ10の内部I/F21とが電気的に接続され、デジタルカメラ10の処理回路19においてプロジェクタユニット30の画像投射等の操作を行うことが可能になる。
【0036】
[プロジェクタユニット30の画像投射動作]
図1に示すデジタルカメラ10およびプロジェクタユニット30の結合時には、ミラー17によって撮影用光学系11の光軸Lを90度折り曲げられた光軸上に設けられた透過LCD33は、撮像素子14と光学的に略等価な位置に配置されている。また、図1に示すデジタルカメラ10およびプロジェクタユニット30の結合時には、デジタルカメラ10に設けられた図示しない結合/分離検出手段からの「結合状態」を示す検出信号に応じて、処理回路19が「モード切換指令」を発するため、デジタルカメラ10は、初期設定である「デジタルカメラモード」から「プロジェクタモード」に切り換わる。
このプロジェクタモードにおいては、デジタルカメラ10に設けられた図示しない測距手段(この測距手段としては、本実施形態では、コストダウンのためにデジタルカメラ10の撮像素子14を流用するものとするが、撮像素子14とは独立した自発光タイプの測距センサ等を設けてもよい)により、測距対象物である所定表示面(図4のスクリーン)までの距離を測定するとともに、測定された距離に応じて、透過LCD33に表示された画像(撮像画像)の投射像が上記スクリーンに結像するように撮影用光学系11の光軸L方向の位置(すなわち撮影用光学系11の焦点位置)を制御する処理が、処理回路19によって行われる。
【0037】
上記処理の完了後に、使用者により、記録媒体20内に保存された撮像画像の画像データ中から所望の画像データを選択する操作が行われると、選択された撮像画像の画像データは、処理回路19により、内部I/F21、内部I/F38を経てプロジェクタユニット30内の処理回路37に転送され、処理回路37により当該撮像画像が透過LCD33に投射表示される。このとき、光源35に電源が供給されて光源35が点灯し、光源35からの照明光が反射板36および集光レンズ34により集光されて効率よく均一に透過LCD33を照明するので、透過LCD33に表示された撮像画像は、ミラー17を経て、撮影用光学系11により、スクリーン上に投射表示されることになる。その際、例えば図4において、スクリーンから透過LCDまでの距離を2mに設定し、撮影用光学系11の画角を約47°(全対角、35mmフィルムでの相当焦点距離50mm)に設定した場合には、約68インチ相当の大画面スクリーン上に当該撮像画像を投射表示して鑑賞できるようになる。なお、撮像画像の解像度よりも透過LCDの解像度(例えばSVGA;800×600画素)の方が高い場合(例えば撮像画像の解像度がVGA;640×480画素の場合)には撮像画像の解像度で投射表示がなされるが、撮像画像の解像度よりも透過LCD33の解像度(例えばSVGA;800×600画素)の解像度の方が高い場合(例えば撮像画像の解像度がXGA;1024×768画素)には透過LCDの解像度で投射表示がなされる。
【0038】
なお、プロジェクタユニット30の外部I/F39は、外部の機器(例えばPC)などと接続可能に構成されているので、PCに接続されたハードディスクやメモリーカード等の記録媒体に記録された画像データを処理回路37によって読み込んで、当該画像データに対応する画像を透過LCD33に表示してスクリーン上に投射することも可能になっている。したがって、デジタルカメラ10内の記録媒体20に記録されている画像データに対応する画像ばかりでなく、それ以外の画像データに対応する画像(静止画、動画でも可能)や、PCの表示画面をスクリーン上に投影して鑑賞することも可能である。
【0039】
[デジタルカメラ10およびプロジェクタユニット30の分離動作]
図1に示すデジタルカメラ10およびプロジェクタユニット30の結合状態において、使用者により、デジタルカメラ10からプロジェクタユニット30を分離するための操作(例えばプロジェクタユニット30側に設けられた図示しない分離ボタンの操作)がなされると、デジタルカメラ10の下部およびプロジェクタユニット30の凸部31の結合状態が解除されるので、プロジェクタユニット30を撮影用光学系11の光軸Lと直交する方向(図1の下方向)に移動させることにより、デジタルカメラ10とプロジェクタユニット30とは分離された状態となる。デジタルカメラ10およびプロジェクタユニット30の分離後には、取り外しておいた蓋16を装着することにより、デジタルカメラ10を図3の状態に復帰させておくものとする。なお、上述したように、プロジェクタユニット30を、撮影用光学系11の光軸Lに対して直交する方向でデジタルカメラ10に結合/分離する構成とすることにより、デジタルカメラ10内においてプロジェクタユニット30が占有するスペースを縮小して、画像投射機能付撮像システムの小型化を図っている。
【0040】
本実施形態の画像投射機能付撮像システムによれば、上述したように構成することにより、デジタルカメラとプロジェクタユニットとの結合時のプロジェクタユニットとしての使用形態およびデジタルカメラとプロジェクタユニットとの分離時のデジタルカメラ単体としての使用形態を取り得るシステムとなるので、デジタルカメラ機能およびプロジェクタ機能の両機能を具備した小型かつ低コストな画像投射機能付撮像システムを実現することができる。
また、本実施形態の画像投射機能付撮像システムは、光学ファインダ無しのデジタルカメラであっても、対物レンズを有していない小型のプロジェクタユニットを付加するだけで、プロジェクタとして画像を投射することができるので、使用するデジタルカメラが光学ファインダ付きデジタルカメラに限定されることはない。また、本実施形態の画像投射機能付撮像システムに用いるデジタルカメラは、投射表示用の画像表示素子や照明装置を設ける必要がないため、デジタルカメラ単体としては通常のデジタルカメラとほぼ同等の小型かつ低コストなものになる。そのため、デジタルカメラとして撮影に使用するときにも不便にならず、また、プロジェクタとしての機能を必要としない使用者の場合、余分なコストを負担する必要がなくなる。さらに、本実施形態の画像投射機能付撮像システムに用いるプロジェクタユニットは、対物レンズを必要としないので、小型かつ低コストなものになり、デジタルカメラ機能およびプロジェクタの両機能を具備する画像投射機能付撮像システムの小型化および低コスト化に寄与することになる。
【0041】
なお、上記第1実施形態では、プロジェクタユニット30内に透過LCD33への画像表示機能等の各種機能を有する処理回路37を設けたが、デジタルカメラ10内の処理回路19に上記各種機能を統合して、デジタルカメラ10のLCD15への画像表示およびプロジェクタユニット30の透過LCD33への画像表示を同時に行ったり、デジタルカメラ10のLCD15への画像表示およびプロジェクタユニット30の透過LCD33への画像表示を切り換えたりするように構成してもよい。
また、上記第1実施形態では、プロジェクタユニット30をデジタルカメラ10の底部から結合するように構成したが、デジタルカメラ10の横方向から結合するように構成してもよい。
【0042】
また、上記第1実施形態では、プロジェクタユニット30による画像投射時のスクリーンへの結像状態を制御するための測距データを得る測距手段として撮像素子14を流用するように構成しているが、その場合にミラー17を半透過のハーフミラーとすることにより、プロジェクタモードであっても撮像素子14にはスクリーンに投射された像が結像するようになるので、例えば使用者がLCD15をモニタしながら、スクリーン上に結像した投射像のコントラストが最大となる位置に撮影用光学系11を移動制御することにより、光学的に略等価な位置にある透過LCD33の表示画像をスクリーン上に結像させることができるようになる。
また、上記第1実施形態では、画像の投射のために光路を折り曲げる反射部材としてミラーを用いているが、代わりにプリズムを用いてもよい。
また、上記第1実施形態では、撮像素子14と透過LCD33とを光学的に略等価な位置に配置するようにしたが、配置構成上の都合により、略等価ではない位置に配置するようにしてもよい。その場合、撮影状態での撮影用光学系11の繰り出し位置とプロジェクタモードでの撮影用光学系11の繰り出し位置とが異なるように設定しておけばよい。
【0043】
また、上記第1実施形態では、投射表示用に透過LCDを用いているが、反射型LCDや有機EL素子等を含む自発光素子等の表示素子を用いてもよい。
また、上記第1実施形態では、撮影用光学系11としてズーム機能のあるものを用いることにより、画像投射時に同一距離でも投射画像の大きさを任意に変更してプロジェクタとしての使い勝手を向上させるようにしているが、ズーム機能の無い撮影用光学系を用いてもよい。
さらに、上記第1実施形態では、デジタルカメラ10の撮像素子14と投射表示用の透過LCD33の大きさを略同一としたが、両者の大きさが異なってもよい。その場合、撮影用光学系11を構成する対物レンズのイメージサークルが大きい方の素子サイズをカバーしていれば問題無いが、対物レンズのイメージサークルより大きな透過LCDを投射用に使用したい場合には、透過LCDの前に倍率変換の光学系を配置して、透過LCDによる表示画像が対物レンズのイメージサークル内に収まるようにすればよい。
【0044】
[第2実施形態]
図5は本発明の第2実施形態の画像投射機能付撮像システムの全体構成を示す縦断面図であり、図6は第2実施形態の画像投射機能付撮像システムにおけるデジタルカメラの撮影時の状態を示す撮影用光学系の光軸位置での縦断面図である。本実施形態の画像投射機能付撮像システムの上記第1実施形態の画像投射機能付撮像システムとの相違点は、反射部材であるミラーの設置位置を、デジタルカメラ内からプロジェクタユニット内に変更したことであり、この変更に伴い、デジタルカメラの筺体が小型化されている。本実施形態の画像投射機能付撮像システムは、図5に示すように、デジタルカメラ50と、プロジェクタユニット70とを具備して成る。なお、本実施形態では、デジタルカメラ50として、コンパクトタイプのデジタルカメラを用いるものとする。
【0045】
デジタルカメラ50は、図6に示すように、筺体50aの左側面に、図示しない対物レンズを含む撮影用光学系(この撮影用光学系は、ズーム機能を有しているものを用いるものとする)51を保持する鏡枠52が、撮影用光学系51の光軸L上を進退移動可能に保持されており、鏡枠52は、図6の状態では撮影位置に停止している。撮影用光学系51の光軸L上の筺体50aの右端部近傍には、ローパスフィルタ53および撮像素子(例えばCCD、CMOS等)54が支持されており、筺体50aの右側面には外部表示部であるLCD55が配置されている。筺体50aの底面には蓋56が着脱可能に設けられている。この蓋56は、図6に示すデジタルカメラ単体使用時には装着し、図5に示すデジタルカメラ50およびプロジェクタユニット70の結合使用時には取り外すことになっている。
【0046】
デジタルカメラ50の筺体50aの内部には、処理回路57と、記録媒体58と、内部インターフェース(以下、内部I/Fという)59とが配置されている。処理回路57は、撮像素子54から入力される撮像画像の画像データを記録媒体58に記録する機能の他、記録媒体58内の画像データを、内部I/F59経由で、プロジェクタユニット70の処理回路78(図5参照)に転送するデータ転送機能を含む種々の機能を有している。デジタルカメラ50の筺体50aの右側面には、撮像および画像表示を含む各種操作を行うための各種ボタン類から成る操作部60が設けられている。この操作部60は、後述するように、プロジェクタユニット70の画像投射を含む各種操作を行うための操作部を兼用するようになっている。なお、プロジェクタユニット70側に画像投射を含む各種操作を行うための操作部を別に設けるようにしてもよい。
【0047】
プロジェクタユニット70は、デジタルカメラ50およびプロジェクタユニット70の結合時における撮影用光学系51の光軸位置での縦断面図である図5に示すように、デジタルカメラ50内に入り込むように中央上部に凸部71が形成された箱型の筺体70aを有している。凸部71は、図示右上端部に45度の傾斜面から成る斜面部71aを有しており、斜面部71aの内面には反射部材であるミラー72が固定されている。このミラー72は、図5に示すようなデジタルカメラ50およびプロジェクタユニット70の結合時には撮像用光学系51および撮像素子54の間に挿入されて撮像用光学系51の光軸Lと45度の傾斜角をなすように配置されており、図6に示すようなデジタルカメラ50およびプロジェクタユニット70の分離時には撮影用光学系51の光路範囲外に退避することは言うまでもない。なお、上述したように反射部材であるミラー72をプロジェクタユニットの内部に配置することにより、本実施形態の画像投射機能付撮像システムにおけるデジタルカメラ50の小型化を図っている。
【0048】
プロジェクタユニット70の筺体70a内には、凸部71のミラー72側から順に、カバーガラス73と、撮像画像を表示する画像表示手段である透過LCD74と、集光レンズ75と、照明手段である光源76と、反射板77と、処理回路78とが設けられている。さらに、筺体70aの右上面には、デジタルカメラ50およびプロジェクタユニット70の結合時にデジタルカメラ50の内部I/F59と接続される内部インターフェース(以下、内部I/Fという)79が設けられており、筺体70aの右側面には、外部インターフェース(以下、外部I/Fという)80が設けられている。この外部I/F80としては、例えばUSB端子を用いるものとする。なお、本実施形態では、プロジェクタユニット70は、デジタルカメラ50への充電機能および外部機器との通信機能の少なくとも一方(本実施形態では両方)を備えるから、プロジェクタユニット70を画像投射に使用しないときはデジタルカメラ50の電源供給および内蔵電池の充電やPC等の外部機器との情報通信に用いる「クレイドル」として利用することが可能になっている。
【0049】
次に、本実施形態の画像投射機能付撮像システムの各種状態および各種動作を図面に基づき詳細に説明する。
【0050】
[デジタルカメラ50の非撮影時における撮影用光学系の収納状態]
図7は第2実施形態の画像投射機能付撮像システムにおけるデジタルカメラの撮影用光学系収納時の状態を示す撮影用光学系の光軸位置での縦断面図である。デジタルカメラ50が使用者により非撮影状態に設定され(この非撮影状態は、例えばデジタルカメラ50の電源がOFFにされた状態に対応する)、かつ、プロジェクタユニット70がデジタルカメラ50から分離されているデジタルカメラ単体使用時には、デジタルカメラ50に設けられた図示しない結合/分離検出手段からの「分離状態」を示す検出信号に応じて、処理回路57が「撮影用光学系収納指令」を発するため、鏡枠52は図7に示す収納位置に繰り込まれ、それに伴い撮像用光学系51は図7のように収納される。
【0051】
[デジタルカメラ50の撮影時の撮影用光学系の状態]
図7に示す撮影用光学系の収納状態において、使用者によりデジタルカメラ50の電源をONにする操作が行われた場合には、処理回路57が「撮影準備指令」を発するため、鏡枠52は図示しない繰り出し機構によって図6に示す撮影待機位置に繰り出され、それに伴い撮像用光学系51は図6のような撮影待機状態になる。
図6に示す撮影待機状態においては、撮影用光学系51によってローパスフィルタ53を通って撮像素子54に結像される図示しない被写体の像は、撮像素子54によって電気信号に変換された後に、撮像素子54に接続された処理回路57に入力され、デジタルカメラ50の右側面(背面)に配置された外部表示用のLCD55に表示される。この撮影待機時には、LCD55はビューファインダとして機能する。
【0052】
[デジタルカメラ50の撮影動作および画像再生動作]
上記撮影待機状態において、使用者により操作部60による撮影のための操作がなされると、処理回路57が「撮影指令」を発するため、撮像素子54に結像した被写体の像は電気信号に変換された後、処理回路57を経て記録媒体58に記録されることになる。この記録の後に、使用者により操作部60による画像再生のための操作がなされると、処理回路57が「再生指令」を発するため、LCD55は再生モードに切り換えられ、記録媒体58に記録された画像がLCD55に表示されることになる。
【0053】
[デジタルカメラ50およびプロジェクタユニット70の結合動作]
デジタルカメラ50にプロジェクタユニット70を結合させる際には、まず、使用者により、図6または図7に示す状態のデジタルカメラの底部の蓋56を取り外す操作が行われる。図7に示す状態のデジタルカメラの蓋56が取り外されると、デジタルカメラ50の電源がONになるとともに、デジタルカメラ50に設けられた図示しない着脱検出手段からの「蓋取り外し状態」を示す検出信号に応じて、処理回路57が「結合準備指令」を発するため、この「結合準備指令」に応じて、図6に示す撮影待機位置まで鏡枠12および撮像用光学系11を繰り出す動作が行われる結果、デジタルカメラ50は図6に示す状態になるが、図6の状態で蓋56を取り外す操作が行われた場合には、既に鏡枠52および撮像用光学系51は撮影待機位置まで移動しているので、鏡枠52および撮像用光学系51を繰り出す動作は行われない。
デジタルカメラ50が図6に示す状態のときは、デジタルカメラ50の撮像用光学系11および撮像素子14の光路上に図示のような空間が形成されているので、この空間にミラー72が挿入されるように、上部にミラー72を設けたプロジェクタユニット70を撮影用光学系51の光軸Lと直交する方向から結合して使用することが可能になる。そして、使用者により、プロジェクタユニット70がデジタルカメラ50に結合されると、プロジェクタユニット70の凸部71がデジタルカメラ50の内部に挿入された図5に示す結合状態になり、このときプロジェクタユニットの内部I/F79とデジタルカメラ50の内部I/F59とが電気的に接続され、デジタルカメラ50の処理回路57においてプロジェクタユニット70の画像投射等の操作を行うことが可能になる。
【0054】
[プロジェクタユニット70の画像投射動作]
図5に示すデジタルカメラ50およびプロジェクタユニット70の結合時には、ミラー72によって撮影用光学系51の光軸Lを90度折り曲げられた光軸上に設けられた透過LCD74は、撮像素子54と光学的に略等価な位置に配置されている。また、図5に示すデジタルカメラ50およびプロジェクタユニット70の結合時には、デジタルカメラ50に設けられた図示しない結合/分離検出手段からの「結合状態」を示す検出信号に応じて、処理回路57が「モード切換指令」を発するため、デジタルカメラ50は、初期設定である「デジタルカメラモード」から「プロジェクタモード」に切り換わる。
このプロジェクタモードにおいては、デジタルカメラ50に設けられた図示しない測距手段(この測距手段としては、本実施形態では、コストダウンのためにデジタルカメラ50の撮像素子54を流用するものとするが、撮像素子54とは独立した自発光タイプの測距センサ等を設けてもよい)により、測距対象物である所定表示面(図4のスクリーン)までの距離を測定するとともに、測定された距離に応じて、透過LCD74に表示された画像(撮像画像)の投射像が上記スクリーンに結像するように撮影用光学系51の光軸L方向の位置(すなわち撮影用光学系51の焦点位置)を制御する処理が、処理回路57によって行われる。
【0055】
上記処理の完了後に、使用者により、記録媒体58内に保存された撮像画像の画像データ中から所望の画像データを選択する操作が行われると、選択された撮像画像の画像データは、処理回路57により、内部I/F59、内部I/F79を経てプロジェクタユニット70内の処理回路78に転送され、処理回路78により当該撮像画像が透過LCD74に投射表示される。このとき、光源76に電源が供給されて光源76が点灯し、光源76からの照明光が反射板77および集光レンズ75により集光されて効率よく均一に透過LCD74を照明するので、透過LCD74に表示された撮像画像は、ミラー72を経て、撮影用光学系51により、スクリーン上に投射表示されることになる。その際、例えば図4において、スクリーンから透過LCD74までの距離を2mに設定し、撮影用光学系51の画角を約47°(全対角、35mmフィルムでの相当焦点距離50mm)に設定した場合には、約68インチ相当の大画面スクリーン上に当該撮像画像を投射表示して鑑賞できるようになる。なお、撮像画像の解像度よりも透過LCDの解像度(例えばSVGA;800×600画素)の方が高い場合(例えば撮像画像の解像度がVGA;640×480画素の場合)には撮像画像の解像度で投射表示がなされるが、撮像画像の解像度よりも透過LCDの解像度(例えばSVGA;800×600画素)の解像度の方が高い場合(例えば撮像画像の解像度がXGA;1024×768画素)には透過LCDの解像度で投射表示がなされる。
【0056】
なお、プロジェクタユニット70の外部I/F80は、外部の機器(例えばPC)などと接続可能に構成されているので、PCに接続されたハードディスクやメモリーカード等の記録媒体に記録された画像データを処理回路78によって読み込んで、当該画像データに対応する画像を透過LCD74に表示してスクリーン上に投射することも可能になっている。したがって、デジタルカメラ50内の記録媒体58に記録されている画像データに対応する画像ばかりでなく、それ以外の画像データに対応する画像(静止画、動画でも可能)や、PCの表示画面をスクリーン上に投影して鑑賞することも可能である。
【0057】
[デジタルカメラ50およびプロジェクタユニット70の分離動作]
図5に示すデジタルカメラ50およびプロジェクタユニット70の結合状態において、使用者により、デジタルカメラ50からプロジェクタユニット70を分離するための操作(例えばプロジェクタユニット70側に設けられた図示しない分離ボタンの操作)がなされると、デジタルカメラ50の下部およびプロジェクタユニット70の凸部71の結合状態が解除されるので、プロジェクタユニット70を撮影用光学系51の光軸Lと直交する方向(図5の下方向)に移動させることにより、デジタルカメラ50とプロジェクタユニット70とは分離された状態となる。デジタルカメラ50およびプロジェクタユニット70の分離後には、取り外しておいた蓋56を装着することにより、デジタルカメラ50を図7の状態に復帰させておくものとする。なお、上述したように、プロジェクタユニット70を、撮影用光学系51の光軸Lに対して直交する方向でデジタルカメラ50に結合/分離する構成とすることにより、デジタルカメラ50内においてプロジェクタユニット70が占有するスペースを縮小して、画像投射機能付撮像システムの小型化を図っている。
【0058】
本実施形態の画像投射機能付撮像システムによれば、上述したように構成することにより、デジタルカメラとプロジェクタユニットとの結合時のプロジェクタユニットとしての使用形態およびデジタルカメラとプロジェクタユニットとの分離時のデジタルカメラ単体としての使用形態を取り得るシステムとなるので、デジタルカメラ機能およびプロジェクタ機能の両機能を具備した小型かつ低コストな画像投射機能付撮像システムを実現することができる。
また、本実施形態の画像投射機能付撮像システムによれば、光学ファインダ無しのデジタルカメラであっても、対物レンズを有していない小型のプロジェクタユニットを付加するだけで、プロジェクタとして画像を投射することができるので、使用するデジタルカメラが光学ファインダ付きデジタルカメラに限定されることはない。また、本実施形態の画像投射機能付撮像システムに用いるデジタルカメラは、投射表示用の画像表示素子や照明装置を設ける必要がないため、デジタルカメラ単体としては通常のデジタルカメラとほぼ同等の小型かつ低コストなものになる。そのため、デジタルカメラとして撮影に使用するときにも不便にならず、また、プロジェクタとしての機能を必要としない使用者の場合、余分なコストを負担する必要がなくなる。また、本実施形態の画像投射機能付撮像システムに用いるプロジェクタユニットは、対物レンズを必要としないので、小型かつ低コストなものになり、デジタルカメラ機能およびプロジェクタの両機能を具備する画像投射機能付撮像システムの小型化および低コスト化に寄与することになる。
【0059】
さらに、本実施形態の画像投射機能付撮像システムでは、光路折り曲げ用のミラー72をプロジェクタユニット70側に配置しているので、デジタルカメラ側に「撮影用光学系の対物レンズをプロジェクタユニットの対物レンズとして使用ための追加の機構(ミラー回転機構等)」を設ける必要がないため、上記第1実施形態の画像投射機能付撮像システムよりもデジタルカメラが小型かつ低コストになるとともに、プロジェクタ使用時のミラー可動制御が無くなって制御が簡略化される。また、光路折り曲げ用のミラー72をプロジェクタユニット70側に固定する構造としたため、撮影用光学系51および撮像素子54の間の空間はミラーで光路を折り曲げるために必要なスペースのみ確保できればよく、上記第1実施形態のようにミラーが可動式の場合に必要な「ミラーが退避する際に撮像素子等のデジタルカメラ内の他の部材に干渉しないための余分な空間」を必要としないので、撮影時および画像投射時の撮影用光学系51および撮像素子54の間隔をより小さく設計することが可能になり、デジタルカメラ本体をより小型で薄くすることができるようになる。
【0060】
なお、本実施形態では、光路の折り曲げにミラーを使用しているが、上記第1実施形態と同様にプリズムを使用してもよく、また、ハーフミラーを用いて画像投射時にも撮像素子54で投影画像をモニタできるようにしてもよい。
また、上記第1実施形態および上記第2実施形態は、本発明の構成をデジタルカメラに適用した例であるが、他の種類のカメラ(ムービーカメラ等)に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1実施形態の画像投射機能付撮像システムの全体構成を示す縦断面図である。
【図2】第1実施形態の画像投射機能付撮像システムにおけるデジタルカメラの撮影時の状態を示す撮影用光学系の光軸位置での縦断面図である。
【図3】第1実施形態の画像投射機能付撮像システムにおけるデジタルカメラの撮影用光学系収納時の状態を示す撮影用光学系の光軸位置での縦断面図である。
【図4】第1実施形態および第2実施形態の画像投射機能付撮像システムを用いて画像をスクリーンに投射したときの状態を説明するための図である。
【図5】本発明の第2実施形態の画像投射機能付撮像システムの全体構成を示す縦断面図である。
【図6】第2実施形態の画像投射機能付撮像システムにおけるデジタルカメラの撮影時の状態を示す撮影用光学系の光軸位置での縦断面図である。
【図7】第2実施形態の画像投射機能付撮像システムにおけるデジタルカメラの撮影用光学系収納時の状態を示す撮影用光学系の光軸位置での縦断面図である。
【符号の説明】
【0062】
10 デジタルカメラ
10a 筺体
11 撮影用光学系
12 鏡枠
13 ローパスフィルタ
14 撮像素子
15 LCD
16 蓋
17 ミラー(反射部材)
18 回転軸
19 処理回路
20 記録媒体
21 内部インターフェース
22 操作部
30 プロジェクタユニット
30a 筺体
31 凸部
32 カバーガラス
33 透過LCD(画像表示手段)
34 集光レンズ
35 光源
36 反射板
37 処理回路
38 内部インターフェース
39 外部インターフェース
50 デジタルカメラ
50a 筺体
51 撮影用光学系
52 鏡枠
53 ローパスフィルタ
54 撮像素子
55 LCD
56 蓋
57 処理回路
58 記録媒体
59 内部インターフェース
60 操作部
70 プロジェクタユニット
70a 筺体
71 凸部
71a 斜面部
72 ミラー(反射部材)
73 カバーガラス
74 透過LCD(画像表示手段)
75 集光レンズ
76 光源
77 反射板
78 処理回路
79 内部インターフェース
80 外部インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影用光学系および撮像素子を備えるデジタルカメラと、撮像画像を表示する画像表示手段および該画像表示手段を照明する照明手段を備えるプロジェクタユニットと、から成る画像投射機能付撮像システムであって、
前記デジタルカメラおよび前記プロジェクタユニットの分離時には前記撮影用光学系の光路範囲外に退避し、前記デジタルカメラおよび前記プロジェクタユニットの結合時には前記撮像用光学系および前記撮像素子の間に挿入されるように配置される反射部材を備え、
前記デジタルカメラおよび前記プロジェクタユニットの結合時には、前記撮像画像を表示している前記画像表示手段を前記照明手段によって照明することにより、前記撮像画像を前記反射部材および前記撮影用光学系を介して所定表示面に投射表示するようにしたことを特徴とする画像投射機能付撮像システム。
【請求項2】
前記反射部材は、前記デジタルカメラの内部に配置されることを特徴とする請求項1記載の画像投射機能付撮像システム。
【請求項3】
前記反射部材は、前記プロジェクタユニットの内部に配置されることを特徴とする請求項1記載の画像投射機能付撮像システム。
【請求項4】
前記デジタルカメラおよび前記プロジェクタユニットの結合時には、前記反射部材が前記撮影用光学系の光路内に挿入可能になるように、前記撮影用光学系を移動させるようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の画像投射機能付撮像システム。
【請求項5】
前記デジタルカメラは、記録媒体と、撮像画像の画像データを前記記録媒体に記録する処理回路と、前記記録媒体内の画像データを前記プロジェクタユニットの処理回路に転送するデータ転送手段とを備え、該データ転送手段の作動時に、前記デジタルカメラ内の撮像画像を前記プロジェクタの前記画像表示手段に表示させて前記所定表示面への投射表示を行うようにしたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の画像投射機能付撮像システム。
【請求項6】
前記プロジェクタユニットは、前記撮影用光学系の光軸に対して直交する方向で前記デジタルカメラに結合または分離するようにしたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の画像投射機能付撮像システム。
【請求項7】
前記プロジェクタユニットは、前記デジタルカメラへの充電機能および外部機器との通信機能の少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項記載の画像投射機能付撮像システム。
【請求項8】
前記デジタルカメラは測距対象物までの距離を測定する測距手段を備え、前記デジタルカメラおよび前記プロジェクタユニットの結合時には、前記測距手段の測距データに応じて、前記画像表示手段に表示された撮像画像の投射像が前記所定表示面に結像するように前記撮影用光学系の焦点位置を制御するようにしたことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項記載の画像投射機能付撮像システム。
【請求項9】
前記デジタルカメラは撮像および画像表示を含む各種操作を行うための操作部を備え、該操作部は、前記プロジェクタユニットの画像投射を含む各種操作を行うための操作部を兼用するようにしたことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項記載の画像投射機能付撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−180201(P2006−180201A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371164(P2004−371164)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】