説明

画像投射装置

【課題】 90度回転して設置した場合の操作性を改善した画像投射装置を提供することである。
【解決手段】 画像を被投射面に投射する投射光学系と、前記画像の第1方向における第1設定値、及び前記第1方向と垂直な第2方向における第2設定値とに応じて、前記画像の形状または位置を変更する画像変更手段と、前記第1設定値に対応する第1入力値、及び前記第2設定値に対応する第2入力値を入力する入力手段と、を備え、第1の設置状態と、前記第1の設置状態から略90度回転させた第2の設置状態の両者で前記画像の投射が可能な画像投射装置であって、前記第1の設置状態においては、前記第1入力値に基づいて前記第1設定値を、前記第2入力値に基づいて前記第2設定値を生成し、前記第2の設置状態においては、前記第1入力値に基づいて前記第2設定値を、前記第2入力値に基づいて前記第1設定値を生成することを特徴とする構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投射装置に関するものである。本発明の画像投射装置は、例えば、液晶プロジェクタ装置や、DLP(Digital Light Processing)プロジェクタ装置等の画像投射装置などに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
コンピュータからの画像を画像投射装置で表示する場合、通常は図4(a)正設置にし横長の画像を表示するが、コンピュータで出力する画像を右回転し、画像投射装置を図4(b)左回転設置にする事で、縦長の映像を表示することも可能である。
【0003】
上記のように画像投射装置を回転して設置した場合、ユーザから見ると、コンピュータから出力される画像の上下左右の方向は正しく表示されるが、画像投射装置のメニューをオンスクリーン表示させた場合、メニューは回転された状態で表示される事となる。この問題に対し、例えば特許文献1では、画像投射装置の設置状態を判定する手段と、通常設置状態用のオンスクリーン画像と回転設置状態用のオンスクリーンを保持しており、設置状態に応じ使い分ける技術が開示されている。こうする事により、メニューが読み易くなるだけでなく、選択項目の変更方向がリモコンの操作方向と一致し、利便性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−148595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献に開示された従来技術では、メニュー項目の選択操作は正設置時と回転設置時の設置状態による違いは無いが、例えば縦方向の台形歪みを補正しようとした場合、ユーザは設置状態を考慮して操作しなくてはならならず操作性が悪かった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、通常の設置状態に対し90度回転して設置する事が可能であり、90度回転して設置した場合の操作性を改善した画像投射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の画像投射装置は、
画像を被投射面に投射する投射光学系と、
前記画像の第1方向における第1設定値、及び前記第1方向と垂直な第2方向における第2設定値とに応じて、前記画像の形状または位置を変更する画像変更手段と、
前記第1設定値に対応する第1入力値、及び前記第2設定値に対応する第2入力値を入力する入力手段と、
を備え、第1の設置状態と、前記第1の設置状態から略90度回転させた第2の設置状態の両者で前記画像の投射が可能な画像投射装置であって、
前記第1の設置状態においては、前記第1入力値に基づいて前記第1設定値を、前記第2入力値に基づいて前記第2設定値を生成し、
前記第2の設置状態においては、前記第1入力値に基づいて前記第2設定値を、前記第2入力値に基づいて前記第1設定値を生成する事を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通常の設置状態に対し90度回転して設置する事が可能であり、90度回転して設置した場合の操作性を改善した画像投射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1に係る画像投射装置のブロック図である。
【図2】実施例2に係る画像投射装置のブロック図である。
【図3】実施例3に係る画像投射装置のブロック図である。
【図4】画像投射装置の設置方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、各実施例での画像投射装置は、説明を簡単にするため、図4の(a)正設置と(b)左回転設置の2つの設置状態のみに限定する。
【0011】
[実施例1]
図1は、実施例1の画像投射装置のブロック図である。画像投射装置は、図示していない入力映像処理部と、設置状態制御部1、OSD処理部10、キーストーン調整値入力部20、キーストーン補正部30、表示部2を有する。なお、OSDはオンスクリーンディスプレイの略である。
【0012】
入力映像処理部は、画像投射装置へ入力された映像信号を画像投射装置内部の映像フォーマットへと変換する。
【0013】
設置状態制御部1は、正設置か左回転設置かの設置状態を保持するメモリと、その設置状態を変更する変更手段で構成されており、変更手段により設置状態が変更する度に、OSD処理部10やキーストーン補正部30の動作を切り替える。変更手段としては、加速度センサー等のセンサー類による自動判別や、OSDメニューによるユーザからの手動入力等がある。
【0014】
OSD処理部10は、入力映像処理部から出力された映像信号に、メニュー等のOSD映像の重畳処理を行い、OSDメモリ部11、回転処理部12、回転選択SW13、OSD重畳部14を有する。OSDメモリ部11は、キーストーン調整値を表示するメニュー画像が保持してある。回転処理部12は、OSDメモリ部11から入力されるメニュー画像を右に90度回転させて出力する。回転選択SW13は、設置状態制御部1により制御され、設置状態が正設置の場合はOSDメモリ部11のメニュー画像をそのまま、設置状態が左回転設置の場合は回転処理部12の回転されたメニュー画像をOSD重畳部14へと出力する。OSD重畳部14は、入力映像処理部から入力される映像に、回転選択SW13から入力されるメニュー画像を重ね合わせた合成画像を出力する。
【0015】
キーストーン調整値入力部20は、画像投射装置と投射面の位置関係により生じる水平及び垂直方向の台形歪みを補正するための調整値を入力する役割を持ち、点線で示すように、垂直調整値入力部21と水平調整値入力部22を有する。垂直調整値入力部21は、垂直方向の台形歪み補正量を調整するための垂直キーストーン調整値を記憶するメモリと、調整値を表示する表示ボタンと、投射面上の上辺を下辺に対し相対的に短くする増加ボタンと、長くする減少ボタンで構成されている。垂直キーストーン調整値は、0が中心値で上下辺長が等しく、正数だと上辺が短く、負数だと下辺が短く、また、絶対値が大きいほど上下辺長差が大きいことを表すものとする。
【0016】
水平調整値入力部22は、水平方向の台形歪み補正量を調整するための水平キーストーン調整値を記憶するメモリと、調整値を表示する表示ボタンと、投射面上の右辺を左辺に対し相対的に短くする増加ボタンと、長くする減少ボタンで構成されている。水平キーストーン調整値は、0が中心値で左右辺長が等しく、正数だと右辺が短く、負数だと左辺が短く、また、絶対値が大きいほど左右辺長差が大きいことを表すものとする。水平または垂直の表示ボタンが押されると、OSD処理部10に調整値が通知され、キーストーン調整値を表示するメニューが表示される。その状態で、さらに増加または減少ボタンが押されると、調整値を記憶するメモリが更新され、更新された調整値がOSD処理部10及びキーストーン補正部30へ通知され、表示されているメニュー及びキーストーン補正量の変更が行われる。
【0017】
キーストーン補正部30は、投射画像の垂直方向歪及び水平方向歪を画像処理によって補正し、点線で示すように、負号反転部31、垂直選択SW32、水平選択SW33、キーストーン補正処理部34、垂直設定値生成部35、水平設定値生成部36を有する。負号反転部31は、水平調整値入力部22からの出力の負号を反転し、相対的に短くなる辺が逆転する。垂直選択SW32は、設置状態制御部1により制御され、設置状態が正設置の場合は垂直調整値入力部21から入力される垂直キーストーン調整値を、設置状態が左回転設置の場合は負号反転部31から入力される水平キーストーン調整値を出力する。水平選択SW33は、設置状態制御部1により制御され、設置状態が正設置の場合は水平調整値入力部22から入力される水平キーストーン調整値を、設置状態が左回転設置の場合は垂直調整値入力部21から入力される垂直キーストーン調整値を出力する。
【0018】
キーストーン補正処理部34は、正設置した場合の方向で定義された垂直設定値及び水平設定値を持ち、その設定値に応じて、画像投射装置と投射面の位置関係により生じる水平及び垂直方向の台形歪みを打ち消すような画像処理を施す。垂直設定値生成部35は、垂直選択SW32から入力される垂直または水平キーストーン調整値に応じて、キーストーン補正処理部34の垂直設定値へ設定する値を生成し設定する。水平設定値生成部36は、水平選択SW33から入力される垂直または水平キーストーン調整値に応じて、キーストーン補正処理部34の水平設定値へ設定する値を生成し設定する。
【0019】
従来は、左回転設置した場合に、キーストーン補正により上辺を短くする操作をしようとすると、画像投射装置の上辺はユーザから見ると左辺であるため、左辺が短くなってしまっていた。同様に、左辺を短くしようとした場合は下辺が、下辺を短くしようとした場合は右辺が、右辺を短くしようとした場合は上辺が短くなってしまい操作性が悪いため、そこを改善する需要があった。これに対し本実施例では、左回転設置した場合は負号反転部31、垂直選択SW32、水平選択SW33で上下左右方向をユーザ視点に変換しているため、ユーザは、操作性良く投射画像の歪を補正することができる。
【0020】
表示部2は、キーストーン補正処理部34から入力される映像信号を光学映像へと変換する。なお、画像投射装置は、表示部2で変換された光学映像をスクリーンに投射する不図示の投射部を更に有している。
【0021】
以上、本実施例によれば、左回転設置した場合においても、正設置した場合の感覚で垂直キーストーン調整及び水平キーストーン調整を行うことができ、ユーザは操作性良く投射画像の歪を補正することができる。また、本実施例では説明を簡単にするため、左回転設置に限定したが、右回転設置に関しても、負号反転部31を垂直調整値入力部21と水平選択SW33の間に置き換える事で適用が可能である。
【0022】
なお、本実施例では、水平及び垂直キーストーン補正値をメニュー表示することとしたが、必ずしもその必要性がないためOSD処理部10を含まなくてもよい。
【0023】
[実施例2]
図2は、実施例2の画像投射装置のブロック図である。画像投射装置は、図示していない入力映像処理部と、設置状態制御部1、OSD処理部40、表示部2、レンズシフト調整値入力部50、レンズシフト部60を有する。
【0024】
入力映像処理部は、画像投射装置へ入力された映像信号を画像投射装置内部の映像フォーマットへと変換する。
【0025】
設置状態制御部1は、正設置か左回転設置かの設置状態を保持するメモリと、その設置状態を変更する変更手段で構成されており、変更手段により設置状態が変更する度に、OSD処理部40やレンズシフト部60の動作を切り替える。変更手段としては、加速度センサー等のセンサー類による自動判別や、OSDメニューによるユーザからの手動入力等がある。
【0026】
OSD処理部40は、入力映像処理部から出力された映像信号に、メニュー等のOSD映像の重畳処理を行い、OSDメモリ部41、回転処理部42、回転選択SW43、OSD重畳部44を有する。OSDメモリ部41は、レンズシフト調整値を表示するメニュー画像が保持してある。回転処理部42は、OSDメモリ部41から入力されるメニュー画像を右に90度回転させて出力する。回転選択SW43は、設置状態制御部1により制御され、設置状態が正設置の場合はOSDメモリ部41のメニュー画像をそのまま、設置状態が左回転設置の場合は回転処理部42の回転されたメニュー画像をOSD重畳部44へと出力する。OSD重畳部44は、入力映像処理部から入力される映像に、回転選択SW43から入力されるメニュー画像を重ね合わせた合成画像を出力する。表示部2は、OSD重畳部44から入力される映像信号を光学映像へと変換する。
【0027】
レンズシフト調整値入力部50は、光学的に投射面を平行移動させるレンズシフト量の調整値を入力する役割を持ち、点線で示すように、垂直調整値入力部51と水平調整値入力部52を有する。垂直調整値入力部51は、垂直方向のレンズシフト量を調整するための垂直レンズシフト調整値を記憶するメモリと、調整値を表示する表示ボタンと、投射面を上へシフトする増加ボタンと、下へシフトする減少ボタンで構成されている。垂直レンズシフト調整値は、0が中心値で、正数だと中心値より上側へ、負数だと中心値より下側へ、また、絶対値が大きいほど中心値から離れていることを表す。
【0028】
水平調整値入力部52は、水平方向のレンズシフト量を調整するための水平レンズシフト調整値を記憶するメモリと、調整値を表示する表示ボタンと、投射面を右にシフトする増加ボタンと、左へシフトする減少ボタンで構成されている。水平レンズシフト調整値は、0が中心値で、正数だと中心値より右側へ、負数だと中心値より左側へ、また、絶対値が大きいほど中心値から離れていることを表す。水平または垂直の表示ボタンが押されると、OSD処理部40に調整値が通知され、レンズシフト調整値を表示するメニューが表示される。その状態で、さらに上下左右のシフトボタンが押されると、調整値を記憶するメモリが更新され、更新された調整値がOSD処理部40及びレンズシフト部60へ通知され、表示されているメニュー及びレンズシフト量の変更が行われる。
【0029】
レンズシフト部60は、投射面を光学的に垂直方向または水平方向へ平行移動させるための処理を行い、点線で示すように、負号反転部61、垂直選択SW62、水平選択SW63、垂直レンズシフト部64、水平レンズシフト部65を有する。負号反転部61は、水平調整値入力部52からの出力の負号を反転し、左右の方向が逆転する。垂直選択SW62は、設置状態制御部1により制御され、設置状態が正設置の場合は垂直調整値入力部51から入力される垂直レンズシフト調整値を、設置状態が左回転設置の場合は負号反転部61から入力される水平レンズシフト調整値を出力する。水平選択SW63は、設置状態制御部1により制御され、設置状態が正設置の場合は水平調整値入力部52から入力される水平レンズシフト調整値を、設置状態が左回転設置の場合は垂直調整値入力部51から入力される垂直レンズシフト調整値を出力する。垂直レンズシフト部64は、垂直選択SW62から入力される調整量に応じて、正設置した場合の垂直方向へ、光学的に投射面を平行移動させる。水平レンズシフト部65は、水平選択SW63から入力される調整量に応じて、正設置した場合の水平方向へ、光学的に投射面を平行移動させる。なお、画像投射装置は、水平レンズシフト部65から出力される光学映像をスクリーンに投射する不図示の投射部を更に有している。
【0030】
従来は、左回転設置した場合に、レンズシフトにより上へシフトする操作をしようとすると、画像投射装置の上はユーザから見ると左であるため、左へシフトしてしまっていた。同様に、左へシフトしようとした場合は下に、下へシフトしようとした場合は右に、右へシフトしようとした場合は上へシフトしてしまい操作性が悪いため、そこを改善する需要があった。これに対し本実施例では、左回転設置した場合は負号反転部61、垂直選択SW62、水平選択SW63で上下左右方向をユーザ視点に変換しているため、ユーザは、操作性良くレンズシフト量を調整することができる。
【0031】
以上、本実施例によれば、左回転設置した場合においても、正設置した場合の感覚で垂直レンズシフト調整及び水平レンズシフト調整を行うことができ、ユーザは操作性良く投射画像をシフトすることができる。また、本実施例では説明を簡単にするため、左回転設置に限定したが、右回転設置に関しても、負号反転部61を垂直調整値入力部51と水平選択SW63の間に置き換える事で適用が可能である。
【0032】
なお、本実施例では、水平及び垂直レンズシフト調整値をメニュー表示することとしたが、必ずしもその必要性がないためOSD処理部40を含まなくてもよい。
【0033】
[実施例3]
図3は、実施例3の画像投射装置のブロック図である。画像投射装置は、図示していない入力映像処理部と、設置状態制御部1、OSD処理部70、表示部2、メニュー表示位置調整値入力部80、メニュー表示位置設定部90を有する。
【0034】
入力映像処理部は、画像投射装置へ入力された映像信号を画像投射装置内部の映像フォーマットへと変換する。
【0035】
設置状態制御部1は、正設置か左回転設置かの設置状態を保持するメモリと、その設置状態を変更する変更手段で構成されており、変更手段により設置状態が変更する度に、OSD処理部70の動作を切り替える。変更手段としては、加速度センサー等のセンサー類による自動判別や、OSDメニューによるユーザからの手動入力等がある。
【0036】
OSD処理部70は、入力映像処理部から出力された映像信号に、メニュー等のOSD映像の重畳処理を行い、OSDメモリ部71、回転処理部72、回転選択SW73、OSD重畳部74を有する。OSDメモリ部71は、画像投射装置の動作を切り替える際の選択肢を表示するメニュー画像が保持されている。その中には、メニュー表示位置調整値を表示するメニュー画像も含まれる。回転処理部72は、OSDメモリ部71から入力されるメニュー画像を右に90度回転させて出力する。回転選択SW73は、設置状態制御部1により制御され、設置状態が正設置の場合はOSDメモリ部71のメニュー画像をそのまま、設置状態が左回転設置の場合は回転処理部72の回転されたメニュー画像をOSD重畳部74へと出力する。OSD重畳部74は、入力映像処理部から入力される映像に、回転選択SW73から入力されるメニュー画像を垂直位置設定部94及び水平位置設定部95に指定された位置に重ね合わせた映像を出力する。表示部2は、OSD重畳部74から入力される映像信号を光学映像へと変換する。なお、画像投射装置は、OSD重畳部74から出力される光学映像をスクリーンに投射する不図示の投射部を更に有している。
【0037】
メニュー表示位置調整値入力部80は、画像投射装置の動作を切り替える際に表示されるメニューの表示位置調整値を入力する役割を持ち、点線で示すように、垂直調整値入力部81と水平調整値入力部82を有する。垂直調整値入力部81は、垂直方向のメニュー表示位置を調整するための垂直メニュー表示位置調整値を記憶するメモリと、調整値を表示する表示ボタンと、メニュー表示位置を上へ移動する増加ボタンと、下へ移動する減少ボタンで構成されている。垂直メニュー表示位置調整値は、0が中心値で、正数だと中心値より上側へ、負数だと中心値より下側へ、また、絶対値が大きいほど中心値から離れていることを表す。水平調整値入力部82は、水平方向のメニュー表示位置を調整するための水平メニュー表示位置調整値を記憶するメモリと、調整値を表示する表示ボタンと、メニュー表示位置を右に移動する増加ボタンと、左へ移動する減少ボタンで構成されている。水平メニュー表示位置調整値は、0が中心値で、正数だと中心値より右側へ、負数だと中心値より左側へ、また、絶対値が大きいほど中心値から離れていることを表す。水平または垂直の表示ボタンが押されると、OSD処理部70に調整値が通知され、メニュー表示位置調整値を表示するメニューが表示される。その状態で、さらに増加または減少ボタンが押されると、調整値を記憶するメモリが更新され、更新された調整値がOSD処理部70及びメニュー表示位置設定部90へ通知され、表示されているメニューの調整値及び表示位置の変更が行われる。
【0038】
メニュー表示位置設定部90は、画像投射装置の動作を切り替える際に表示されるメニューの表示位置を設定し、点線で示すように、負号反転部91、垂直選択SW92、水平選択SW93、垂直位置設定部94、水平位置設定部95を有する。負号反転部91は、水平調整値入力部82からの出力の負号を反転し、左右の方向が逆転する。垂直選択SW92は、設置状態制御部1により制御され、設置状態が正設置の場合は垂直調整値入力部81から入力される垂直メニュー表示位置調整値を、設置状態が左回転設置の場合は負号反転部91から入力される水平メニュー表示位置調整値を出力する。水平選択SW93は、設置状態制御部1により制御され、設置状態が正設置の場合は水平調整値入力部82から入力される水平メニュー表示位置調整値を、設置状態が左回転設置の場合は垂直調整値入力部81から入力される垂直メニュー表示位置調整値を出力する。垂直表示位置設定部94は、垂直選択SW92から入力される調整量に応じて、正設置した場合の垂直方向へ、メニュー表示位置を移動させる。水平表示位置設定部95は、水平選択SW93から入力される調整量に応じて、正設置した場合の水平方向へ、メニュー表示位置を移動させる。
【0039】
従来は、左回転設置した場合に、メニュー表示位置設定部90により上へ移動する操作をしようとすると、画像投射装置の上はユーザから見ると左であるため、左へ移動してしまっていた。同様に、左へ移動しようとした場合は下に、下へ移動しようとした場合は右に、右へ移動しようとした場合は上へ移動してしまい操作性が悪いため、そこを改善する需要があった。これに対し本実施例では、左回転設置した場合は負号反転部91、垂直選択SW92、水平選択SW93で上下左右方向をユーザ視点に変換しているため、ユーザは、操作性良くメニュー表示位置を調整することができる。
【0040】
以上、本実施例によれば、左回転設置した場合においても、正設置した場合の感覚で垂直及び水平メニュー表示位置調整を行うことができ、ユーザは操作性良くメニュー表示位置を移動させることができる。また、本実施例では説明を簡単にするため、左回転設置に限定したが、右回転設置に関しても、負号反転部91を垂直調整値入力部81と水平選択SW93の間に置き換える事で適用が可能である。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1、 設置状態制御部
21、51、81 垂直調整値入力部
22、52、82 水平調整値入力部
31、61、91 負号反転部
32、62、92 垂直選択SW
33、63、93 水平選択SW


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を被投射面に投射する投射光学系と、
前記画像の第1方向における第1設定値、及び前記第1方向と垂直な第2方向における第2設定値とに応じて、前記画像の形状または位置を変更する画像変更手段と、
前記第1設定値に対応する第1入力値、及び前記第2設定値に対応する第2入力値を入力する入力手段と、
を備え、第1の設置状態と、前記第1の設置状態から90度回転させた第2の設置状態の両者で前記画像の投射が可能な画像投射装置であって、
前記第1の設置状態においては、前記第1入力値に基づいて前記第1設定値を、前記第2入力値に基づいて前記第2設定値を生成し、
前記第2の設置状態においては、前記第1入力値に基づいて前記第2設定値を、前記第2入力値に基づいて前記第1設定値を生成する事を特徴とする画像投射装置。
【請求項2】
画像投射装置の各種設定を行うためのメニュー表示データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から読み出した前記メニュー表示データをそのまま表示する第1のメニュー表示状態、及び90度回転させて表示させる第2のメニュー表示状態をもつメニュー表示手段と、を備えた請求項1記載の画像投射装置であって、
前記メニュー表示手段は、前記第1の設置状態においては第1の表示状態を、前記第2の設置状態においては第2の表示状態をとる事を特徴とする画像投射装置。
【請求項3】
装置が前記第1の設置状態に設置されているか、前記第2の設置状態に設置されているかを判定するための判定手段を備えた請求項1または請求項2に記載の画像投射装置。
【請求項4】
前記画像変更手段が、前記画像の縦方向における縦キーストーン設定値、及び横方向における横キーストーン設定値とに応じて、前記画像の縦及び横の台形歪みを補正するキーストーン補正手段である事を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の画像投射装置。
【請求項5】
前記画像変更手段が、前記画像の縦方向における縦シフト設定値、及び横方向における横シフト設定値とに応じて、前記画像の投射位置を変更する投射画像シフト手段である事を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の画像投射装置。
【請求項6】
前記画像変更手段が、前記画像の縦方向における縦位置設定値、及び横方向における横位置設定値とに応じて、前記メニュー表示の表示位置を変更するメニュー表示位置変更手段である事を特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像投射装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−110613(P2013−110613A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254597(P2011−254597)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】