説明

画像投影システム

【課題】携帯型の投影装置で投影させる画像の各種動作タイミングを正確に制御する。
【解決手段】照明光を発する光源部、無線送信された、画像の投影を指示する制御信号を受信する受信部、及び、上記光源部の発する光を用い、上記受信部で受信した制御信号に基づいた光像を形成して投影する投影部を備えた懐中電灯型プロジェクタ1と、懐中電灯型プロジェクタ1による画像投影位置に敷設され、懐中電灯型プロジェクタ1からの光の照射を検知する複数の光センサ2a,2a,…と、光センサ2a,2a,…の検知結果に応じて、懐中電灯型プロジェクタ1に対して画像の投影を指示する制御信号を無線送信する送信部を備えたPC4とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型の投影装置を用いる画像投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型画像投写装置において、片手で保持された状態で操作部材が操作されても回転等の姿勢変化が生じにくいものが考えられている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−046216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載されたような小型のプロジェクタ装置が実現できれば、従来の据え置き型のプロジェクタ装置とは異なり、ユーザが手に持った状態でスクリーンに光像を投影するような使い方が想定できる。
【0005】
そのような小型のプロジェクタ装置を、例えば遊園地のアトラクションに応用して、投影する場所や位置によって画像を切換えるような使い方を考えた場合、アトラクションの利用者は不特定多数であり、個々の利用者毎に持ち方や照射方向の移動速度などが異なるため、画像を切換えるタイミングを精度よく制御することが難しいという不具合がある。
【0006】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、携帯型の投影装置で投影させる画像の各種動作タイミングを正確に制御することが可能な画像投影システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、照明光を発する光源部、画像の投影を指示する制御信号を受信する受信部、及び、上記光源部の発する光を用い、上記受信部で受信した制御信号に基づいた光像を形成して投影する投影部を備えた投影装置と、上記投影装置による画像投影位置に敷設され、上記投影装置からの光の照射を検知する複数の光センサと、上記光センサの検知結果に応じて、上記投影装置に対して画像の投影を指示する上記制御信号を無線送信する送信部を備えた制御装置とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、携帯型の投影装置で投影させる画像の各種動作タイミングを正確に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るシステム全体の構成例を示す図。
【図2】同実施形態に係る懐中電灯型プロジェクタの機能回路構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態に係るPC側の処理内容を示すフローチャート。
【図4】同実施形態に係る懐中電灯型プロジェクタ側の処理内容を示すフローチャート。
【図5】同実施形態に係る懐中電灯型プロジェクタ側の投影動作を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を遊園地のアトラクション施設、具体的には「お化け屋敷」用の投影システムに適用した場合の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、システムの概要を示すものである。当該アトラクションの利用者(以下「ユーザ」と称する)は、懐中電灯型プロジェクタ1を所持してアトラクション内の通路ARを、図中に矢印Aで示すように一定の方向に移動する。
【0012】
ユーザが移動する通路ARは、極端に照明が落とされた薄暗い環境とされるため、ユーザは懐中電灯型プロジェクタ1から出射する光を唯一の照明手段として使用しながら移動する。同図は複数用意されるうちの1つの懐中電灯型プロジェクタ1を示す。
【0013】
懐中電灯型プロジェクタ1は、その円筒状の外観形状からユーザにとっては通常の懐中電灯として認識されるよう構成されており、一般的な懐中電灯と同様に電源スイッチ1aを備えている。
【0014】
アトラクション内でユーザが移動する通路AR内の壁面や天井等に、複数のスクリーン2,2,…を敷設する。後述するブラックライト効果を発生させるため、スクリーン2,2,…にはいずれも、ユウロピウムをドープさせたフッ化ホウ素酸ストロンチウムや、鉛をドープさせたケイ化バリウムなどの蛍光物質が塗布されているものとする。
【0015】
またこれらスクリーン2,2,…の順路上流側の端部には、それぞれ光センサ2a,2a,…が埋設されており、懐中電灯型プロジェクタ1の発する特定の波長帯域、例えば緑色光を選択的に受光する。
【0016】
ここで光センサ2a,2a,…が懐中電灯型プロジェクタ1の発する緑色光を選択的に受光するのは、詳細は後述するが、懐中電灯型プロジェクタ1が時分割で循環的に発する複数色光のうち、緑色光がもっとも輝度レベルが高いことに起因する。したがって各光センサ2a,2a,…の表面には、緑色光のみを選択的に透過させるようなカラーフィルタが設けられているものとする。
【0017】
各光センサ2a,2a,…の受光信号は中継器3で取り纏められ、この中継器3でデジタル化された後、シリアルケーブル等を介して制御装置としてのパーソナルコンピュータ(以下「PC」と称する)4に送られる。
【0018】
このPC4は、このアトラクション施設を管理するための制御室CR内に設置され、詳細な動作を後述するように、光センサ2a,2a,…の受光信号中に部分的に重畳されている懐中電灯型プロジェクタ1の端末ID情報を認識し、認識した懐中電灯型プロジェクタ1に対して光センサ2aの位置に応じた画像を投影させるための制御、すなわち光センサ2a,2a,…のうち、光の照射を検知した光センサ2aに対応した画像を投影させるための制御を実行する。
【0019】
なお、PC4のハードウェアの構成自体はきわめて一般的であるものとし、図示と説明とを省略する。PC4は、懐中電灯型プロジェクタ1に対して送信するための静止画や動画の画像データを記憶した記憶領域(例えばHDD(ハードディスク装置))を備えている。そして、PC4は、例えばIEEE802.11a/b/g/n規格に準拠した無線LAN機能を有し、通路AR内に必要により設けられたリピータ(図示せず)を介して、懐中電灯型プロジェクタ1と無線接続されており、図中に符号Wで示すようにPC4から懐中電灯型プロジェクタ1に対して記憶領域に記憶している静止画、動画の画像データを制御信号に含めて送信して投影させることが可能とする。
【0020】
次に図2によりDLP(登録商標)方式を採用した懐中電灯型プロジェクタ1の概略機能構成について説明する。
【0021】
同図中、符号11は無線LANアンテナ11である。この無線LANアンテナ11により上記PC4側から送られてきた画像データを含む制御信号を受信し、無線LANインタフェイス12で復調する。無線LANインターフェイス12で復調した画像データは、システムバスSBを介して画像駆動部13に入力される。
【0022】
画像駆動部13は、入力された画像データを投影に適したフォーマットに統一し、内蔵する表示用のバッファメモリに適宜書込んだ後に、書込んだ画像信号を読出し、設定されているフレームレート、例えば60[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動により、マイクロミラー素子14を表示駆動する。
【0023】
このマイクロミラー素子14は、全体が円形状となるようにアレイ配列された複数、例えば直径方向が1280画素分となる微小ミラーの各傾斜角度を個々に高速でオン/オフ動作して表示動作することで、その反射光により円形の光像を形成する。
【0024】
一方で、光源部15から時分割でR(赤色),G(緑色),B(青色),UV(紫外)の光が循環的に出射される。この光源部15からの光が、ミラー16で全反射して上記マイクロミラー素子14に照射される。
【0025】
そして、マイクロミラー素子14での反射光で光像が形成され、形成された光像が投影レンズ部17を介して、投影対象となる上記スクリーン2,2,…のいずれかに投影表示される。
【0026】
上記光源部15は、緑色(G)光を発するLD(以下「G−LD」と称する)18、
赤色(R)光を発する発光ダイオード(以下「R−LED」と称する)19、青色(B)光を発するLD(以下「B−LD」と称する)20、及び長波長のUV(紫外)光を発する発光ダイオード(以下「UV−LED」と称する)21を有する。
【0027】
G−LD18の発する緑色光は、ダイクロイックミラー22を透過した後、上記ミラー16へ送られる。
【0028】
R−LED19の発する赤色光は、ダイクロイックミラー23で反射された後、上記ダイクロイックミラー22でも反射されて上記ミラー16へ送られる。
【0029】
B−LD20の発する青色光は、ダイクロイックミラー24で反射された後に上記ダイクロイックミラー23を透過し、その後に上記ダイクロイックミラー22で反射されて上記ミラー16へ送られる。
UV−LED21の発する長波長、例えばピーク波長365[nm]の紫外光は、ミラー25で反射された後、上記ダイクロイックミラー24,23を連続して透過し、さらに上記ダイクロイックミラー22で反射されて上記ミラー16へ送られる。なお本実施形態での紫外線とは、ピーク波長が380[nm]以下の光のことを言う。
【0030】
上記ダイクロイックミラー22は、緑光を透過する一方で、赤色光、青色光、及び紫外光を反射する。上記ダイクロイックミラー23は、赤色光を反射する一方で、青色光、及び紫外光を透過する。上記ダイクロイックミラー24は、青色光を反射する一方で、紫外光を透過する。
【0031】
上記光源部15のG−LD18、R−LED19、B−LD20、及びUV−LED21の各発光タイミングや駆動信号の波形等を光源駆動部26が統括して制御する。光源駆動部26は、上記画像駆動部13から与えられる画像信号に同期したタイミング信号と、後述するCPU27の制御に応じて上記G−LD18、R−LED19、B−LD20、及びUV−LED21の発光動作を制御する。なお本実施形態では、G−LD18、R−LED19、及びB−LD20を用いているが、赤、緑、青の光源を全てLED又はLDにする等その他の構成を用いても良い。
【0032】
上記各回路の動作すべてをCPU27が制御する。このCPU27は、メインメモリ28及びプログラムメモリ29と直接接続される。メインメモリ28は、例えばSRAMで構成され、CPU27のワークメモリとして機能する。プログラムメモリ29は、電気的書換可能な不揮発性メモリ、例えばフラッシュROMで構成され、CPU27が実行する動作プログラムや自装置の端末ID情報を含む各種定型データ等を記憶する。
CPU27は、上記プログラムメモリ29に記憶されている動作プログラムや定型データ等を読出し、メインメモリ28に展開して記憶させた上で、当該プログラムを実行することにより、この懐中電灯型プロジェクタ1を統括して制御する。
【0033】
上記CPU27は、操作部30からのキー操作信号に応じて電源の投入各種投影動作を実行する。操作部30は上記電源スイッチ1aで構成される。
【0034】
上記CPU27はさらに、上記システムバスSBを介して3軸加速度センサ31と接続される。
3軸加速度センサ31は、例えばピエゾ抵抗型の半導体式3軸加速度センサで構成され、この懐中電灯型プロジェクタ1が所持されている際の傾き、姿勢を検知する。
【0035】
次に上記実施形態の動作について説明する。
図3は、ネットワーク内のサーバ装置として全体の制御を司るPC4側での基本的な処理内容を示す。PC4のCPUは当初、中継器3からの出力により全光センサ2a,2a,…からの出力を順次スキャンし(ステップS101)、画像の投影対象となる、移動端末である懐中電灯型プロジェクタ1が少なくとも1つあるか否かを、懐中電灯型プロジェクタ1からの光の照射を検知し、その検知した信号中に重畳されている端末ID情報を抽出して認識できたか否かにより判断する(ステップS102)。
【0036】
ここで端末ID情報を認識できた懐中電灯型プロジェクタ1の光の照射が1箇所もないと判断した場合は、再度上記ステップS101からの処理に戻る。
【0037】
また上記ステップS102でいずれかの懐中電灯型プロジェクタ1による光の照射を検知し、その端末ID情報を認識することができたと判断した場合、PC4のCPUは、端末IDを認識できた少なくとも1つの懐中電灯型プロジェクタ1の中から制御対象を1つ選択する(ステップS103)。
【0038】
そして、光の照射を検知した光センサ2aの位置によって画像データ中から一義的に対応する画像データを選択する(ステップS104)。
【0039】
PC4のCPUは、選択した画像データに当該懐中電灯型プロジェクタ1の端末ID情報を付加して制御信号とし、無線LAN経由で送信する(ステップS105)。
【0040】
その後PC4のCPUは、上記ステップS102で光センサ2a,2a,…の出力により検知した、移動端末である懐中電灯型プロジェクタ1が他にもあるか否かにより画像送信の対応を終了してもよいかどうかを判断する(ステップS106)。
【0041】
ここでまだ他にも検知された移動端末である懐中電灯型プロジェクタ1があると判断した場合には、上記ステップS103からの処理を繰返し実行する。
【0042】
そして、検知された移動端末である懐中電灯型プロジェクタ1全てに対して同様の処理を終了すると、上記ステップS105で対応を終了するものとし、次のスキャンを実行するべく上記ステップS101からの処理に戻る。
【0043】
次に懐中電灯型プロジェクタ1側での処理内容について説明する。
図4は、懐中電灯型プロジェクタ1の操作部30を構成する電源スイッチ1aがユーザにより一旦操作された後にCPU27が実行する基本的な処理内容を示す。その当初には、プログラムメモリ29から自機に割り当てられた端末ID情報を読出した上で、その端子ID情報を一部に重畳した、結果的に全面が白色となる照明光を出射するべく投影動作を実行する(ステップC101)。
【0044】
図5の一部でこのときの投影動作タイミングについて説明する。
【0045】
図5(A)に示すように1カラー画像フレームがRフィールド、Gフィールド、Bフィールド、及びUVフィールドの計4フィールドから構成されているものとする。この場合、図5(B)〜(E)に示すように光源駆動部26はCPU27の制御の下に各フィールドに同期させてR−LED19、G−LD18、B−LD20、及びUV−LED21を時分割で発光駆動する。
【0046】
ただし、第2番目のフィールドであるGフィールド当初の一定期間DSにおいてのみ、光源駆動部26はプログラムメモリ29から読出した自機の端末ID情報に基づき、G−LD18を時間的に輝度変化(明滅)する情報に符号化して変調するべく発光駆動する。
【0047】
この場合に光源駆動部26が実行する符号化方式及び変調方式については任意ではあるが、望ましくは周波数が28.8[kHz]の副搬送波(サブキャリア)を採用した4値PPM(Pulse−position modulation)を採用する。
【0048】
当然ながらこの種の通信速度においては変調光の明滅パターンを肉眼で視認することは不可能であり、ユーザが懐中電灯型プロジェクタ1から何らかの信号を送信していることを知覚することはない。
【0049】
この種の可視光通信の通信システムにおける情報送信技術の詳細については、例えば特開2003−179556号公報で述べられているのでその説明を省略するが、受信側の光センサ2a,2a,…の出力から上記時間的に輝度変化(明滅)する情報を復調することで、各懐中電灯型プロジェクタ1に割り当てられた端末ID情報を検出することが可能となるものとする。
【0050】
このような光源部15の各送信での発光タイミングに同期して、図5(F)に示すようにUVフィールドを除くR,G,Bの各フィールドではマイクロミラー素子14の全面を構成する全画素のミラーとも、フィールド期間中常にオン状態を維持し、入射光全面を反射光として投影レンズ部17より出射させる。
【0051】
そのため、この状態では懐中電灯型プロジェクタ1がプロジェクタでありながら単に全面で白色光を出射する懐中電灯として機能し、外観形状も併せてユーザに懐中電灯として認識させることができる。
【0052】
またこのとき上述した図5(E)で示す如く、UVフィールドのみマイクロミラー素子14を全面オフ状として、UV光が投影レンズ部17より出射しないように制御するため、スクリーン2に塗布されている蛍光物質がブラックライト効果で蛍光を発することはない。
【0053】
このような懐中電灯としての機能を維持したまま、無線LANアンテナ11を介してPC4から自機宛の画像データを付加した制御信号を受信したか否かを、制御信号中の例えば先頭に付加されている端末ID情報が自機の端末ID情報であるか否かにより判断する(ステップC102)。
【0054】
ここで自機宛の画像データを含む制御信号を受信していないと判断した場合には、引き続き上記ステップC101の処理に戻って懐中電灯としての動作を続行する。
【0055】
その後、通路内のいずれかのスクリーン2の光センサ2aに端末ID情報を含む光が照射されることにより、PC4から自機宛の画像データを含む制御信号が送信されてくると、上記ステップC102でそれを判断する。
【0056】
このときCPU27は、3軸加速度センサ31によりその時点でこの懐中電灯型プロジェクタ1で発生している手ブレの方向と懐中電灯型プロジェクタ1の3次元空間内での姿勢角度とを取得する(ステップC103)。
【0057】
この取得した3軸加速度センサ31の出力に基づいてCPU27は、マイクロミラー素子14で形成する光像が、当該スクリーン2上で正しい天地方向を保ち、手ブレを補正する方向で投影されるように画像の表示位置をシフトさせながら投影動作を実行する(ステップC104)。
【0058】
このときマイクロミラー素子14では、図5(G)に示すようにR,G,B,UVの各フィールドで各フィールドに対応した色画像を表示することで、スクリーン2では懐中電灯型プロジェクタ1を所持している角度や手ブレ等を補正した画像が投影されることになり、ユーザは懐中電灯での照射位置に突然何らかの画像が現れるような事態に直面することとなる。
特にブラックライトとしてのUV光を考慮した画像を投影することにより、通常のカラー画像では表現できない視覚効果を得ることができ、ユーザに対する表現力を高めることができる。
【0059】
なおこの画像投影時には、上記Gフィールド当初の期間DSにおける端末ID情報の発信動作は一時的に停止してもよい。
【0060】
さらにCPU27は、上記投影動作が予め設定されている一定時間、例えば0.5[秒]経過したか否かを判断し(ステップC105)、経過していなければ上記ステップC103からの処理に戻って、投影動作を続行する。
【0061】
こうして受信した画像データの投影動作を続行して一定時間が経過すると、上記ステップC105でそれを判断し、再び通常の懐中電灯としての全面白色光照射を行なうべく、上記ステップC101からの処理に戻る。
【0062】
以上詳述した如く本実施形態によれば、懐中電灯型プロジェクタ1の照射光の位置によって画像の照射タイミングを正確に把握できるため、携帯型の投影装置で投影させる画像の各種動作タイミングを正確に制御することが可能となる。
【0063】
加えて上記実施形態では、懐中電灯型プロジェクタ1が端末ID情報を発信することで、各投影装置の存在位置によって異なる画像を投影させることができるため、多彩な画像の投影環境を構築できる。
【0064】
また、同じ光センサの位置であっても投影装置の端末ID情報によって異なる画像を投影させることで、同じ場所でもユーザ(が所持する投影装置)によって異なる画像が見えるようなシステム構成としてもよい。
【0065】
また上記実施形態とは異なり、複数の画像データを端末である懐中電灯型プロジェクタ1側のプログラムメモリ29に予め記憶させておき、PC4からは単に画像データの種別を指示する情報を含んだ制御信号を通信し、これを受けた懐中電灯型プロジェクタ1側でCPU27が画像を選択するようにしてもよい。
【0066】
そのような構成とすることで、投影する画像のデータサイズによっても左右するが、データ通信に要する時間を短縮でき、結果としてより迅速に画像の投影に移行できる。
【0067】
加えて、PC4から懐中電灯型プロジェクタ1に送信する制御信号中に、投影画像に対する動きを伴う表現効果、例えば画像を拡大または縮小して大きさを変化させる、意図的にピントが合った状態とあっていない状態とを経時的に変化させる、画像を投影面に沿って回転させる、などの視覚効果を示す情報を付加して表現をより多彩なものとしてもよい。
【0068】
さらに上記実施形態では説明しなかったが、画像のみならず、懐中電灯型プロジェクタ1、あるいはスクリーン2,2,…周辺から画像に合わせた音声が出力されるようにしてもよく、さらには懐中電灯型プロジェクタ1内にバイブレータを含むことで意図的に懐中電灯型プロジェクタ1を振動させることも可能である。
【0069】
また上記実施形態では、懐中電灯型プロジェクタ1がUV光を発することでブラックライトによる画像も併せて投影させるものとしたので、特に暗所における視覚効果としての表現力をより豊かなものにできる。
【0070】
なお上記実施形態は、DLP(登録商標)方式のプロジェクタ装置を用いる場合について説明したが、RGB3色の時分割で発信されるレーザ光をMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナで走査することでスクリーン上に2次元像を得る、レーザ走査方式のプロジェクタ装置を用いることにより、投影レンズを不要とし、投影距離に関係なく常に合焦した状態の画像を投影させることが可能となる。そのため、各ユーザがそれぞれ自由な位置から画像を投影したとしてもピンボケせずにはっきりとした画像を投影することができる。
【0071】
また上記実施形態では、「お化け屋敷」用の投影システムに本発明を適用した構成を例示したが、「お化け屋敷」だけでなく例えば「博物館」や「美術館」などに本発明を適用し、観覧者が本発明のプロジェクタで対象物を照射すると解説が投影される等といった構成にしてもよいことは勿論である。
【0072】
この場合、例えば展示物に対する一定方向、例えば右隣の位置を照射することで接地されている光センサがその光の照射を検知して、解説文や図解等の画像を投影させるものとしても良いし、さらには上述した画像データに付加する視覚効果情報に代えて音声データを付加するものとし、懐中電灯型プロジェクタ1側に音声デコーダとアンプ回路、及びスピーカを備えて懐中電灯型プロジェクタ1から音声を拡声出力させるような構成とすることも考えられる。
【0073】
さらに本実施形態では、光センサ2aは懐中電灯型プロジェクタ1の発する緑色光を選択的に受光する構成となっているが、その他の色の光を受光するようにしてもよい。
【0074】
また、本実施形態では懐中電灯型プロジェクタ1は、自機の端末ID情報をG−LD18の時間的輝度変化(明滅)する情報に符号化して変調するべく発光駆動し、光を検出した光センサ2aの出力から上記時間的に輝度変化(明滅)する情報を復調することで、各懐中電灯型プロジェクタ1に割り当てられた端末ID情報を検出しているが、例えば、Bluetooth(登録商標)等の短距離無線技術を用いて、懐中電灯型プロジェクタに無線情報送信機能を設け、光センサ2aの近くにその無線情報を受信する受信機を設けることで、端末ID情報を短距離無線で送受信し、検出する構成にしても良い。
【0075】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0076】
以下に、本願出願の当所の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
請求項1記載の発明は、照明光を発する光源部、画像の投影を指示する制御信号を受信する受信部、及び、上記光源部の発する光を用い、上記受信部で受信した制御信号に基づいた光像を形成して投影する投影部を備えた投影装置と、上記投影装置による画像投影位置に敷設され、上記投影装置からの光の照射を検知する複数の光センサと、上記光センサの検知結果に応じて、上記投影装置に対して画像の投影を指示する上記制御信号を無線送信する送信部を備えた制御装置とを有することを特徴とする。
【0077】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記投影部は、予め装置毎に割り当てられた識別情報に基づく明滅パターンを投影し、上記光センサは、上記投影装置からの上記明滅パターンを検知し、上記制御装置は、上記光センサで検知した上記明滅パターンから投影装置の個体を識別する識別部をさらに備え、上記送信部は上記識別部で識別した投影装置の個体に応じた上記制御信号を無線送信することを特徴とする。
【0078】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、上記制御装置が無線送信する上記制御信号は、画像投影に関する動きを指定する視覚効果の情報、及び投影画像と対応した音声情報の少なくとも一方からなる付加情報を含み、上記投影装置は、上記受信部で受信した制御信号に上記付加情報が含まれていた場合に、その付加情報に応じた再生動作を実行することを特徴とする請求項1記載の投影システム。
【0079】
請求項4記載の発明は、上記請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、上記投影装置は、複数の画像データを記憶する記憶部、及び、上記受信部で受信した上記制御信号に基づいて上記記憶部から読出す画像データを選択する選択部をさらに備えることを特徴とする。
【0080】
請求項5記載の発明は、上記請求項1乃至4の何れかに記載の発明において、上記光源部は、RGB3色のレーザ光を時分割で発振し、上記投影部は、上記光源部からのレーザ光を投影対象に向けて走査して光像を形成することを特徴とする。
【0081】
請求項6記載の発明は、上記請求項1乃至5の何れかに記載の発明において、上記光源部は、紫外線発光素子をさらに含むことを特徴とする。
【符号の説明】
【0082】
1…懐中電灯型プロジェクタ、1a…電源スイッチ、2…スクリーン、2a…光センサ、3…中継器、4…パーソナルコンピュータ(PC)、11…無線LANアンテナ、12…無線LANインタフェイス(I/F)、13…画像駆動部、14…マイクロミラー素子、15…光源部、16…ミラー、17…投影レンズ部、18…G−LD、19…R−LED、20…B−LD、21…UV−LED、22〜24…ダイクロイックミラー、25…ミラー、26…光源駆動部、27…CPU、28…メインメモリ、29…プログラムメモリ、30…操作部、31…3軸加速度センサ、AR…通路、CR…制御室、SB…システムバス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を発する光源部、画像の投影を指示する制御信号を受信する受信部、及び、上記光源部の発する光を用い、上記受信部で受信した制御信号に基づいた光像を形成して投影する投影部を備えた投影装置と、
上記投影装置による画像投影位置に敷設され、上記投影装置からの光の照射を検知する複数の光センサと、
上記光センサの検知結果に応じて、上記投影装置に対して画像の投影を指示する上記制御信号を無線送信する送信部を備えた制御装置と
を有することを特徴とする投影システム。
【請求項2】
上記投影部は、予め投影装置毎に割り当てられた識別情報に基づく明滅パターンを含んで投影し、
上記光センサは、上記投影装置からの上記明滅パターンを検知し、
上記制御装置は、上記光センサで検知した上記明滅パターンから投影装置の個体を識別する識別部をさらに備え、上記送信部は上記識別部で識別した投影装置の個体に対して上記制御信号を無線送信する
ことを特徴とする請求項1記載の投影システム。
【請求項3】
上記制御装置が無線送信する上記制御信号は、画像投影に関する動きを指定する視覚効果の情報、及び投影画像と対応した音声情報の少なくとも一方からなる付加情報を含み、
上記投影装置は、上記受信部で受信した制御信号に上記付加情報が含まれていた場合に、その付加情報に応じた再生動作を実行する
ことを特徴とする請求項1または2記載の投影システム。
【請求項4】
上記投影装置は、複数の画像データを記憶する記憶部、及び、上記受信部で受信した上記制御信号に基づいて上記記憶部から読出す画像データを選択する選択部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の投影システム。
【請求項5】
上記光源部は、RGB3色のレーザ光を時分割で発振し、
上記投影部は、上記光源部からのレーザ光を投影対象に向けて走査して光像を形成する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の投影システム。
【請求項6】
上記光源部は、紫外線発光素子をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の投影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−57822(P2013−57822A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196395(P2011−196395)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】